写真を見るレッスン:ケータイとダゲレオタイプ
© Mika Kobayashi
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れるかもしれません。しかし写真の歴史を紐解いてみると、実際には写真を見るという行為の根源に関わるものではないかと思えるのです。なぜでしょうか。それは、19世紀半ばに世界で最初に発明された写真術が、鏡のような金属板の表面に像を定着させるものだったからです。160 年以上前に初めて写真に触れた人達の写真の見方と、携帯電話の画面を見るような写真の見方を比較してみると、さまざまな違いとともに意外な共通点も浮かび上がってくるかもしれません。
記憶を持った鏡、ダゲレオタイプ
世界で最初の写真術は、発明者のフランス人、ルイ=ジャック=マンデ・ダゲール(1787-1851)の名前にちなんで、「ダゲレオタイプ」として名付けられ、1839 年に公表されました。その制作のプロセスを手短に説明しておきましょう。(図 2)の木箱は発明当時のダゲレオタイプ・カメラで、(図 3)は現像用の機材です。まるで化学実験の装置のようですね。薄く銀メッキを施した銅板を沃素の蒸気にあてると、表面に感光性のある皮膜ができます。その銅板をカメラの中にセットして、撮影して取り出します。その後に (図 3)の左側の箱の中でアルコール・ランプを使って水銀を加熱し、撮影した銅板をその上にかざすと像が浮かび上がってきます。(図3)の右側は、像の定着と階調を増すための調色というプロセスを表しています。この図からも明らかなように、銅板に直接像を定着させるため、ダゲレオタイプは複製が不可能で、一枚の画像しか作ることができません。
(図2)アルフォンス・ジルーの制作した最初のダゲレオタイプカメラ(ジョージ・イーストマン・ハウス所蔵)(図3)ダゲレオタイプを現像するための装置
ダゲレオタイプは、ポートレートを制作する技術として欧米を中心に急速に広まり、人気を博していくことになりました。1840年代末には日本にもダゲレオタイプの機材一色が導入され、その技法が紹介されていますし、1854年にはペリー艦隊に乗船していた写真家エリファレット・ブラウン・ジュニアが下田で遊女をダゲレオタイプで撮影する様子を描いた絵も残されています(図4)。
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