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写された手
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写された手 手で辿る写真史
 
手は、体の中で一番よく動かしている部位であると同時に、見たり見られたりしてもいる部位である、と言えるでしょう。私たちが無意識のうちに行っているような手の仕草は、その時々の意志や感情を伝えるものとして読みとられていたりもします。手を写した写真の中には、見る人にさまざまなことを連想させたり、感情や欲望を喚起したりする力を持つものがあります。広告写真や報道写真、ポートレート写真、科学写真などさまざまな目的のために撮影された「手の写真」を通して、手という部位に向けられている視線のあり方や、手の仕草が伝えることについて考えてみましょう。
 
1.
 
手の仕草から読みとられること 記号としての手2.
 
「手の写真」で辿る写真の黎明期(19世紀)3.
 
手が伝える「意味」 写真表現の多様化 報道写真 (1920年代1950年代)4.
 
現代写真家/芸術家の試み
手の仕草から読みとられること 記号としての手
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生身の手
 
「手が写っている写真」のなかには、顔や胴体のような他の部位と共に手が写っているものや、手だけが全身から切り離された状態で写っているものがあります。「断片」として切り取られた手の仕草は、その手の持ち主の性別や年齢、関係性などを読み説く手がかりになったり、写真に収められた情景の前後の経緯を想像させるような要素になったりもします。
 
手の仕草に注意を向けることによって、写真を通して身体を見るためのひとつの手がかりを拾い上げてみましょう。
 
 
イネズ・ファン・ラムズヴェルド
(Inez van Lamsweerde)
 
Forest, 1995
 
香水の広告写真の比較 手の仕草・姿勢・表情
 
 
アーヴィン・ゴフマン
 
Gender Advertisement
 
 
エリノア・カルッチ
(Elinor Carucci)
 
Closer
’ (2002)
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写された手
2
「手の写真」で辿る写真の黎明期
(19
世紀
)
写真の発明とその技術的な進歩は、身体を記録し、認識・分析する方法に大きな変化をもたらしました。写真の黎明期である19世紀半ばから末にけて撮影されたポートレート写真や司法写真、人類学写真、レントゲン写真、連続写真などから、手が写された写真を取り上げながら、当時の人々の生活の中に写真が導入されて定着していった経緯を辿ってみていきます。
 
 
ダゲレオタイプ
(
銀板写真
)
精緻な記録・アクセサリーとしての写真
 
アルフォンス・ベルティヨンが司法写真の方法論を確立
(1885)
 
コンラッド・フォン・レントゲンが
X
線を発見
(1885)
 
エドワード・マイブリッジ
(Eadweard Muybridge, 1830-1904)
が動物や人間の運動を捉えた連続写真を纏めた『アニマル・ロコモーション』を発表
(1887)
手が伝える「意味」 写真表現の多様化 報道写真・広告写真 (1920年代∼1950年代)
1920年代 ポートレートとしての手 断片/全体
カメラの小型化や、写真器材の発展・普及に伴って、1920 年代以降には、多様な写真表現が試みられるようになります。クローズアップのような撮影によって切り取られたりフォトグラムやソラリゼーションのような印画技法によって操作を施されたりして、身体の断片として切り取られた手は、こ個人の身体の一部分というよりもむしろ、あたかも独立した「もの」としての形として抽出されているようにも見えます。
 
アルフレッド・スティーグリッツ
(Alfred Stieglitz, 1864-1946),
〈ジョージア・オキーフ〉
(1918)
〈指ぬきを嵌めた手〉
(1920)
 
ラースロー・モホイ=ナジ
(Laszlo Moholy-Nagy, 1895-1946)
 〈フォトグラム〉
(1925)
 
マン・レイ
(Man Ray, 1890-1971)
〈手と卵のあるレイヨグラム〉
(1922)
(1931)
 
写された手
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1930年代∼ フォトモンタージュ、プロパガンダ
1920 年代以降には写真や雑誌や新聞のような印刷媒体で大量に流通するようになり、写真を貼り合わせたり、多重露光で重ね合わせたりするようなフォトモンタージュの技法が、広告やプロパガンダを目的とした印刷媒体の中で頻用されるようになります。モンタージュの中で個々の写真は全体を構成するための部品として取り扱われ、手を写した写真は、消費者・国民などをあらわすための記号として読みとられていくようになっていきました。
 
エル・リシツキー(
El Lissitzky 1890-1941
 ,
「構成者
 
セルフポートレート」
(1925)
 
グスタフ・クルチス
(Gustav Klutsis, 1895-1938)
働者は皆ソビエトの改選へ」
(1931)
 
ヘルベルト・バイヤー
(Herbert Bayer, 1900-1985)
「孤独な市生活者」
 
饒舌な手 フォトジャーナリストの視線
 
新聞や雑誌に掲載される報道写真は、出来事や状況を的確に描写し、読者の注意を惹き付け、明確なメッセージを伝えるものであることが求められます。すぐれたフォトジャーナリストが撮影した写真の中には、被写体となる人物の仕草や表情が捉えられていて、感情・心理に強く訴えかけてくるような力を備えているものがあります。言葉を超えて強く訴えかけるジェスチャーの力に目を向けてみましょう。
 
 
ドロシア・ラング
(Dorothea Lange,1895-1965)
移民綿み労働者〉
(1940)
 
マルク・リブー
(Marc Riboud, 1923-)
〈反ベトナム戦争デモでのジャン・ローズ・カシミール、ワシントン
DC
(1967)
 
W
・ユージン・スミス
(W. Eugene Smith, 1918-1978)
:
汚染の恐怖、この水は一つの世代に生涯にわたる傷を負わせた〉
The Sunday Times Magazine
(1973)

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