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褥瘡通信 第 2-1 号

勤医協中央病院 褥瘡対策チーム
発行編集責任者:臺野 巧
08 年 12 月 26 日 問い合わせ:師長室 高橋

12 月 16 日に 3 回連続学習会の 1 回目を行い、38 名が学習会に参加してくれました。ありがとうございま


した。
実技も交えた学習会で、実際に患者さんの立場になって辛さが良くわかったなどの意見や感想が出されました。
質問もたくさん頂きましたので、今回は Q&A としてお答えいたします。

Q:褥瘡を洗浄するとき微温湯でするのか、患者の好みでよいか?
A:褥瘡学会が出している褥瘡局所治療ガイドラインには、「洗浄液は、消毒薬などの細胞毒性のある製品の
使用は避け、生理食塩水または蒸留水、水道水の使用を推奨する」とあります(推奨度 B、エビデンスレ
ベルⅠ)。
温度は 37℃だと細胞が一番活発になりますので微温湯(38℃位)でよいと思います。
ただし、真皮までのびらんなどは痛みを伴うことがあるので、そのような場合は生理
食塩水にすると良いでしょう。
また、創内だけでなく創周囲の皮膚も清潔にすることが重要です。泡でなでるように
洗って微温湯で流して押さえ拭きするようにしましょう。

Q:ギャッヂアップで食事をするとき、足のギャッヂアップは少し下げたほうが良いと聞きま
したが、下げたほうが良いですか?
A:学習会の時にベッドで寝て体験された方は実感していると思いますが、30 度の場合は足を上げたままで
良いと思います。
でも、90 度まで上げたときはどうでしょうか?
私達が食事をするときは椅子に座って足を下ろしています。しかしベッド上では体育座りのような形にな
ってしまいます。この状態で食事をするのは、特に自分で動けない高齢者のように身体が硬くなっている
方にはきついのではないでしょうか。
また足を上げてギャッヂ 90 度だとかなり腹部が圧迫されます。
ただ、頭側挙上するときには下にずれないようストッパーのために足を上げる必要があります。その後に
患者様の姿勢を見ながら、ずり落ちない程度に足側を少し下げるのはかまわないと思います。
褥瘡通信 第 2-2 号
勤医協中央病院 褥瘡対策チーム
発行編集責任者:臺野 巧
08 年 12 月 26 日 問い合わせ:師長室 高橋

Q:持続栄養で水様便が続いている場合、頻回のオムツ交換の他に何が良いですか?
A:水様便の原因を調べてみましょう。
栄養剤によるものか、腸炎の有無、腸管機能の問題、下剤の使用などがないかどうか。
水様便を固めるためには何が必要か見えてくると思います。
皮膚の保護にはいくつか方法があります。
・ 皮膚自体を便から保護する方法:サニーナ塗布、サトウザルベ厚塗り
・ 便を回収する方法:便吸収パッド(テークケア軟便安心パッド、便 200ml 吸収)
肛門用装具(ストーマ装具のようなもの)
フレキシシール(尿道留置カテーテルの肛門版、5 万円)
頻回なオムツ交換は患者様にも負担がかかりますので、まずは医師と相談して便を固める方法の検討を進
めましょう。便が有形になり、便意が伝えられてトイレで排泄できることが本来の姿だと思います。

Q:創の縁から出血している場合ズレが原因と考えるべきですか。
A:出血がある場合はフレッシュな創ということになります。できたてほやほやです。
原因は何でしょうか?どこにできているでしょうか?
患者様の動きや状態を見たら、ずれているか圧迫されているかわかってくると思います。
出血=ずれにはなりませんが、創が発生または悪化する状態にあることは間違いありません。早急に原因
をアセスメントして取り除きましょう。

Q:褥瘡に極力ガーゼは使用していないが、他セクションではどうですか?
A:褥瘡にはガーゼを使用しないと決めてはいません。
ドレッシングを選択する際に、浸出液が多量でオムツを使用するときに創に塗った軟膏が飛び出さないよ
うに、1 枚だけガーゼを当てたりすることもあります。
褥瘡に関わらず、ドレッシングとしては感染の可能性があり浸出液が逆戻りするので、浸出液が多い創に
厚く当てるのは適さないと思います。

Q:2 時間ごとの体位変換とよく聞きますが、2 時間の根拠は何ですか?


A:人間は寝ると 15 分ごとに寝返りをうっているといわれています。
だからそのくらいの割合で体の向きを変えて動かすのが本来の状態に近くなります。
しかし、そのような援助を行うのは患者様の睡眠を妨げてしまい、介護力としても難しいものがあります。
学習会でもお話しましたが、200mmHg の圧が 2 時間かかると褥瘡が発生するといわれています。だか
らそのような圧迫やずれが加わらないような体位をとることが大切です。
目安として 2 時間を基本とするよう推奨されていますが、自力体位変換が完全ではないが少し動ける人
の場合は 3~4 時間ごとの体位変換で良いとされています。
褥瘡通信 第 2-3 号
勤医協中央病院 褥瘡対策チーム
発行編集責任者:臺野 巧
08 年 12 月 26 日 問い合わせ:師長室 高橋

Q:エアマットやドレッシング材について教えてほしい。
A:当院にあるマットの種類
・高機能型エアマット(厚みがあるもの)
ビッグセルエキスパート 4 台、アドバン 8 台
・汎用型エアマット(上に敷くもの)
プライム、エアードクタ-各 3 台
注意! このタイプは浮腫の強い方には褥瘡の原因となる可能性があります。
・静止型マット
ソフィア 26 台、マキシーフロート(ICU)6 台、ヘルスケアマット 11 台、その他 2 台
・基本的には全ベッドにオムニマット 445 台(透析室・救急含む)

ドレッシング材
・オプサイト(ポリウレタンフィルム)ロールタイプ 10cm×10m 5460 円
薄くて中が見えるので観察できる。ずれは予防するが、除圧効果なし。
中の綿は薄いがガーゼより吸収力が高く、吸ったものは戻らない。
また、綿が創に固着しないよう加工してある。
・アクアセル(ハイドロファイバー)10×10cm 1 枚 1400 円(3 週間まで算定)
吸収力が高く途中でちぎれにくいので、深いポケットに入れても回収可能。
浸出液を吸収するとゲル化し、細菌を閉じ込めるので感染に強い。創を湿潤環境に保つ。
・ソーブサン(アルギン酸)2.5×40cm 1 本 1400 円(3 週間まで算定)
吸収力が高く、止血効果がある。創を湿潤環境に保つ。
・デュオアクティブ CGF(ハイドロコロイド)10×10cm 1 枚 1400 円(3 週間まで算定)
それほど浸出液を吸収しないが、創を湿潤環境に保つ。外部刺激から保護する。
創を閉鎖するので、や感染創には適さない。
厚みがあるので創部の圧迫が増加する可能性がある(BIPAP によるびらんなど)
・ガーゼ
浸出液を吸収するが、逆戻りもする。ガーゼのみだと閉鎖環境にならず感染の可能性あり。
創が乾燥すると張り付いて剥離刺激が加わる場合がある。目が粗い。
・オムツ
浸出液の吸収力はダントツなので、浸出液多量の場合に使用する。吸ったものを戻さない。安価。
皮膚に張り付かない。

次回学習会は 1 月 20 日(火)18:00~ 褥瘡の局所治療について


たくさんの参加をお待ちしております♪

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