第4講
では、
理
論的に金融危機の発現メカ
ニ
ズムを
考察
します。金融危機は
歴史上繰
り返し起こっていますが、
常
にこれまでにない要
素
や
意匠
を
伴
う形で
新
たな危機は起こります。今回の危機に関しても、金融危機である
以上
、共通したメカ
ニ
ズムが
働
いています。それをまず確認した
上
で、
新
しいフ
ァ
クターの
役割
についても
理解
する必要があります。
投
機が行きす
ぎ
て、それが崩壊することで、金融危機が起こります。そうした過
剰投
機が起こる
原因
としては、
エ
ージェンシー問題と
「美人投票」
の問題が
考
えられます。
自己資
金で
投
機を行っている場合には、失
敗
すれば大
損
をすることになりますから、
自
ずと
抑
制が
働
くことになります。しかし、
他人
の金を
預
かって、それで
投
機をしているときには、失
敗
しても
他人
が
損
をするだけということになります。こうした事情は、過度のリスクテイクにつながる
可
能性があります。また、複
数
の
投資家
が
相互
に戦略的な
依存
関係にあることを認
識
しながら行動しているときには、
横
並
び
行動などが起きて、フ
ァ
ン
ダ
メンタル
価値
から
乖離
した
価
格が形成されることが
考
えられます。 今回のアメリカでは、本質的に銀行
取
り付けと
同様
の現
象
が起こったとみられます。銀行
取
り付けは、実は合
理
的な行動だと
解釈
できます。すなわ
ち
、1定
以上
の
割
合の
預
金者が
預
金の
払
い
戻
しを
求
めると、そのことが
原因
になって銀行が
破綻
し、
残
りの
預
金者は
払
い
戻
しを
受
けられなくなる
可
能性が生じます。そうであれば、1定
以上
の
割
合の
預
金者が
預
金の
払
い
戻
しを
求
めようとしたときには、
残
りのすべての
預
金者も
払
い
戻
しを
求
めることが合
理
的行動になってしまいます。これは、
コ
ーデ
ィネ
ーションの失
敗
と呼ばれる事態の1
例
です。
第5講
では、金融危機と経済政策の関
連
をテーマとしますが、まずは
「
政
府
の失
敗」
が金融危機につながった面があることを
指摘
します。
例
えば、アメリカ政
府
の住宅政策がサブプライムローン問題を
助長
したとみられるところがあります。また、政
府
あるいは
連邦準備
制度
(FED)
が何とかしてくれるという期
待
が、
民
間
主
体のリスクテイクを過度に
促
進する
結果
になったと
考
えられます。 次に、経済思潮の変
遷
について
説明
します。既述のように、ケインズ経済学は過去のものとなりました。それに代わって
古典派
経済学の復活が起こりましたが、現
在
は、
古典派
的な
議
論の成
果
は全
部踏
まえた
上
で、それにある
種
のケインズ的要
素
を組み入れたモデルが統1的フレーム
ワ
ークとして
受
け入れられるようになっています。こうした現代の経済学においては、不
況
というのはある
種
の市場の失
敗
としてとらえられます。こうした現代的な経済学の知
見
が
広
く共
有
されるようになることが
望
まれます。 実
際
の経済政策に関しては、通
常
の金融政策が
手詰
まりになる中で、アメリカでは
非
伝統
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