ては大
体
こういう意
味
のことを
云
っている。民間有資者をして五万円以上の資本金を有する国立銀行を
設
立させ、そしてその資本金の六割を政府発行の不換紙 幣を以て大
蔵
省に上納させ、
代
りにこれと同額の公債証書(六分利付金札)を大
蔵
省より交付し、更にその公債証書を抵当として大
蔵
省に納めさせ、それと引換 に銀行
券
を
渡
してやり、それを営
業
資金として一
般
に
貸出
させ、
別
に資本金の四割に相当する本
位
貨幣を兌換準備として
積
み立てさせ、且つこの準備金は銀行
券
発行の三分の
二
を下ってはなら
ぬ
、というのである。だからこれは明らに不換紙幣
処
分のみを目
的
とする巧妙な
方
策だったと
云
えるので、同条例に明
記
した「金
融
の流通を図る」という目
的
などは制
定
の始めから
副次的
な取
扱
いしかなされなかったのであった。国立銀行は政 府下
賜
の金札公債証書を
担保
に銀行
券
が同額発行でき、その証書の利子六分が入ってくるという
優遇
を受け、政府発行の不換紙幣すり替えの
役
割を
担
わされたわ けだ。まことに奸
計
あるいは
窮余
の一策といえるが、こうした史実は実に
興味深
い。権藤の
話
はまだまだ
続
くが、今
日
はこれくらいにしておくか。ドイツ製新紙幣
ほん
とうは
現代
により
近
い史実を振り返りたい
欲
求があるが、権藤をメモし始めたので
最
後まで
作業
しておこうと思う。というのも、権藤に意見を求めた昭和初期の
人々
の
置
かれた
状況
は、今
日
からみても
教訓
に
満
ちており、当
然彼等
が思考の
素材
を求めた時
代
も
現代
の
我々
にとって有
益
な
素材
でなしとしないからだ。新 政府は金札公債証書を以て国立銀行に銀行
券
を
与
える
ば
かりか、その公債の利子まで
支払
うという
特
典
を
与
えて、不換紙幣の銀行
券へ
のすり替えをはかろうとし たのだが、これがうまくいったかというとそうではない。
特
典
があれ
ば
これを利用したいという民間の
動
きが
盛
ん
になって当
然
だが、国立銀行
設
立はわずか
4
行 であった。「
第
一、
第二
、
第
四、
第
五の四つであった。」それしか
設
立されなかった
最
大の理
由
は、「一
般
の
人々
が、銀行
業
というものに対して一
種
の
危
惧
の
念
を
抱
いていたためであった。「
第
一国立銀行は主として三
井
組と
小
野組の
出
資によって
設
立されたものである。これは
最
初資本金を三
百
万円と
予
定
して、その
内
の
二百
万円を発
起人
である三
井
と
小
野が
出
資し、残額
百
万円は公
募
することにした」のだが、
株式
応
募
は
予
定
に
満
たなかった。それでも
株式
会
社
の
体
裁
を整えたうえで、
渋沢栄
一を
総
監
役
に
置
いた。そして明治
7
年に
小
野組が
破産
したあとは「まるで三
井
の
個人事業
のようなものになってしまった」という。
第二
国立銀行は「
横浜為
替
会社
がそれに
変
わった」ものだが、これも
株式
応
募
者が
少
なく、資本金額を
減
額して明治
7
年に
開業
。
第
三国立銀行は大
阪
の
鴻池
などの
富豪
が発
起人
となり
設
立を目指すが、
設
立できず、
第
四は新
潟
の大
地
主たちが
設
立、
第
五は
九
州
で
開業
。し かしこれら国立銀行の営
業
がうまくいったかというと、さにあらず。理
由
は、
第
一に、当時の
人
間が銀行にさ
ほ
どの利
便
を
感
じ
ていなかったことがある。
第二
に 政府紙幣が下落の一
途
のなか、同
じ
紙幣である銀行
券
も
嫌
われれたこと、さらにこの
嫌
悪が銀行
券
の兌換
請
求となり、国立銀行は銀行
券
が発行できない
状況
に
追
い
込
まれた。「
八
年以
降
に
於
ける政府紙幣の大
暴
落とともに銀行紙幣の流通は
全
く
杜
塞してしまい」、政府が銀行
券
を抵当として受け入れて、
代
わりに政府が五年四月にドイツに発
注
して
作
成した新紙幣を国立銀行に
貸
し下げ
ざ
るを得ない
事態
にまでなった。これでは不換紙幣の銀行
券へ
のすり替えとい う政府の奸策もうまくいかず、貨幣の流通さえとどこおるという
事態
を
迎
えた。ここで新紙幣とは、政府がドイツの
ト
ンド
ル
フ
社
に発
注
して
造
らせたいわゆるジャーマン紙幣で、太政官札や民部省札、大
蔵
省兌換証
券
、
開
拓
使兌換証
券
など
各種
紙幣を一つにまとめ、あわせて貨幣
偽造
に対
処
しようとした もの。貨幣は
九種
類
あって、
総
額一
億
三
百
万円であったという。また、
維
新後、政府が
作
らせた
為
替
会社
は「国立銀行条例によって金
券
発行の
特
権」を
喪失
したのだが、
数
あ
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