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勤医協中央病院 副院長(麻酔科)
高桑 良平
2009年も終わりに近づいて参りました。新型インフルエンザの流行や、政権交代など今年は歴史に残る1年になるだろうと思われます。当院は、近い将来の病院のリニューアルに向けて、検討を開始しております。その一環として、地域の医療機関の皆様からのご紹介患者様を確実に受け入れることが出来るように、救急病床の増床を行いました。また、札幌市のケガ災害救急病院に加えて、第二次救急医療体制にも協力を開始し、循環器・呼吸器・消化器の二次救急を毎月数回担当することになりました。今後とも、地域医療に貢献できますように、紹介しやすい病院を目指して改善を進めていきたいと考えております。
秋・紅葉[写 真]松浦 武志(勤医協中央病院 内科医長)
 
感染対策
2000年に大阪府堺市の病院でセラチア院内感染が発生し、院内感染が、大きな社会問題としてクローズアップされました。マスコミにも大々的に取り上げられ、院内感染対策が注目されました。折しも、日本感染症学会や日本環境感染学会が中心となり、インフェクション・コントロール・ドクター(ICDInfection Control Doctor:感染制御医師)の制度が2000年より発足し、次々とICDの認定が始まりました。私も初年度にICDの認定を受けました。また、病理科の医師と呼吸器外科の医師も続いて取得し、3人で助け合いながら活動してきました。最近では、様々なテキストが出版され、参考書が手に入り易くなりましたが、当時は良いテキストがなく、インターネットで米国CDC
*1
のガイドラインをダウンロードし、原文を読みながら必死で勉強したものでした。
*1 CDC(Centers for Disease Control and Prevention:米国疾病予防管理センター)アメリカ合衆国保健社会福祉省所管の感染症対策の総合研究所、多くのエビデンスに基づく方針を出し、世界共通ルール(グローバルスタンダード)とみなされるほどの影響力を持ち、実際に日本やイギリス等でも活用されている。
勤医協中央病院では2001年度より「医療安全室」を設置し、医療安全対策と院内感染対策を担当する専従の職員を1名配置しました。始めてみるとその業務は膨大で、翌年にはもう1名の専従職員を配置し、1人は主に安全対策、もう1人は主に感染対策の業務を分担して仕事を行っています。当院の安全対策と感染対策は、医療安全室の設置とともに新しい時代を迎えました。
勤医協中央病院 副院長/院内感染対策委員会 委員長
高桑 良平
専従職員の仕事に対する熱意とその活動のおかげで、私も今まで活動を続けて来ることができました。それにしても、専従職員の配置を決定した、当時の管理部の決断はすばらしかったと思います。現在でも、感染対策の基本はスタンダードプリコーション(標準予防策)です。その内容を簡単に言うと、「湿性生体物質(血液、体液、汗以外の分泌物、排泄物)には直接触れてはいけない。そのために、手袋やエプロンなどの個人防護具(Personal Protective Equipment:PPE)を処置ごとに使い捨てで使用する。処置の前後に手を洗う(アルコール系擦り込み式手指消毒薬でも良い)」というものです。
1
はじめに
2
「医療安全室」の設置と専従職員の配置
当院の安全対策と感染対策を担当していますICT(感染対策チーム)会議メンバー
3
スタンダードプリコーション
 
した。一人の患者様の下痢が発端となり、次々と入院患者様と職員に広がり、病棟を超えて他の病棟にも広がり、100人近い感染者を出しました。保健所の方にも大変お世話になりました。このときに問題となったのが、ハイタッチサーフェス(多くの人が頻回に触れるものの表面)です。手すり、ドアノブ、電気のスイッチ、ベッドの柵などがこれに当たります。カルテや伝票などの紙類は、多孔質で乾燥が早く実際には消毒も困難なので、ハイタッチサーフェスには該当しません。これらのハイタッチサーフェスは定期的に消毒することが必要です。当院では、清掃担当が毎日消毒をしています。ノロウイルスの流行時期は、回数を増やします。ノロウイルス感染の発生時は、看護や介護のスタッフも消毒を行い、さらに回数を増やします。活動を始めた2001年当時、当院では予防投与に用いる薬剤は、各科や各グループに任されていました。その結果、カテーテル検査時の予防的抗菌薬投与や、手術の時の予防的抗菌薬投与に第3世代セフェム系薬なども使用されていました。術後の抗菌薬は手術終了後に投与を開始することがほとんどで、7日前後使うことも珍しくありませんでした。2002年から、予防的抗菌薬投与は通常はセファゾリン、大腸の手術ではセフメタゾールに統一すること、執刀前に麻酔科医が予防的抗菌薬を投与することなどを提案しました。すでに感染症を発症している場合や、MRSA
*2
のリスクが高い場合、免疫不全がある場合などはこの限りではありません。各科の医師は、いろいろと意見を言いながらも、協力してくれました。同時に、抗菌薬届出制度を開始しました。第3、第4世代セフェム系、広域ペニシリン、カルバペネム系、抗MRSA薬を使用するときは届け出が必要ということにしました。許可制も検討はしましたが、許可するためには、毎回抗菌薬の使用が妥当かどうかの検討をして許可するというステップが必要になり、とても対応しきれないと判断しました。病名と予想される菌名または「グラム陰性桿菌」などの菌の種類名に丸をつけて、おおよその使用期間を記入し、提出するものでした。また、青木眞先生などの日本を代表する感染症治療の専門家まだまだ職員全員にスタンダードプリコーションが徹底しているとは言い切れません。日本全体でも、まだまだ、改善が必要です。つい先日9月のNHKの報道番組で、献血のための採血を行うシーンが放映されましたが、採血を行う看護師が、手袋も着用せずに素手で行っていました。血液に接触する可能性のある業務で、手袋を着用するのは、もはや常識と考えていましたが、採血のプロとも言うべき人達でもまだこのようなレベルです。当院では、検査室での採血も、病棟での採血も、患者様1人に対して、一組のプラスチック手袋を毎回使い捨てで使用しています。注射や清拭など患者様に接するほとんどの業務で手袋の着用を行っています。汚染物が飛び散ることが予想される場合は、エプロンやゴーグルも使用します。咳やくしゃみによって生じる飛沫や飛沫核によって感染する疾患を予防するのが、咳エチケットです。飛沫は1メートル以内に落下するもので、飛沫感染の原因となります。飛沫核は5ミクロン以下の病原体を含む浮遊物で空気中に漂って、空気感染の原因となります。どちらの場合も感染源の患者様が、きちんとマスクをしていれば、予防効果が高くなります。当院では、咳をしている患者様には、マスクを渡して着用するようにお願いしています。受付窓口にも、看護師の問診コーナーにもマスクを常備しています。流行時期には、職員も必要に応じてマスクの着用を行っています。3年前に院内で、ノロウィルスのアウトブレイクを経験しま
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抗菌薬の適正使用
4
咳エチケット
スイッチの掃除清掃のポイント
5
ハイタッチサーフェス
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