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ヒューマンインタフェース学会誌
Vol.6 No.3 2004
日本学術振興会 網谷 重紀
184
いままでとこれからとをつなぐことを念頭に
2004年の3月に東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程を修了しました。大学院時代は東京大学端科学技術研究所の知能工学研究室(堀研究室)に在籍し、創造活動支援の研究に取り組んできました。2004年の4月から日本学術振興会の海外特別研究員としてオーストラリアの University of Technology, Sydney(UTS)にあるCre-ativity & Cognition Studios(CCS)に所属しています。こちらに来て早くも3ヶ月経ちました。海外特別研究員の任期は2年間長いようで短いことをひしひしと感じています。
海外で研究するために行き先の決定から研究助成の申請
行き先の決定のためには、人的なネットワークをできる限り広げておくのが重要だと思います。私の場合は国際会議への参加がきっかけでした。この渡航が留学ではなく「就職」であるため、これまで自分がやってきたことをどうやって展開していくか、どこで研究するのがふさわしいのか、ということが大きなテー マでした。創造活動支援究で有名な研究機関は徐々に世界各地に広がってきていますが、私の現在の上司であるErnest Edmonds教授は、大学 院時代の指導教官の堀浩一教授とともに世界的にもこの分野の第一人者であり、堀研究室を卒業して次に働く場所しては世界で最も研究に適した場所であると判断しました。そういう機会を得るにはもちろん周囲の人たちの助けが大きな力になるのは言うまでもありませんが、いままでをこれからにつなげるためにはやはり自分で行動を起こす必要があります。国際会議に限らず、こうした会議に積極的に参加して自分の研究を世に出して自分の研究を知ってもらい、他の人の研究を知り、他の研究者とのコミュニティを広げていくことが必要だと思います。それはひいは自分自身にとってだけでく、自分が属する研究分野全体にとって有益なことだと思います。オーストラリアでの長期間の研究助成金を調べたところ、学振の海外特別研究員の2年間が最長で、留学用の奨学金以外はほぼ皆無です。学振以外の選択肢が ないという点で大きな不安がありましたが、学生の頃から申請し続て3年目にしてようやく採択されました。学生生活がわったところなので学生の方へのメッセージになってしまいますが、学生のうちから「研究助成に申し込んでみる」練習をすることをお薦めします。これは「書いてまとめて、自分の専門分野外の人に説明する」練習であり、留学資金研究資金を獲得するための練習です。かつ、申請書を書というのは「自分の研究のスケッチを描く」ということ です。書いていくに従って次第に自分が何をどうするべきなのか、ということが明確になってきます「研究を進めて、まとまったら書く」のではなく、「研 究を進めるために書く」という考え方が必要だと思いますいままでをこれからにつなげるための練習です。
なぜCCS?いままでの研これからの研
ここCCSは、創造活動でも特にインタラクティブアートや知識創造に関する研究が盛んです。そのアプローチも理論構築や認知的な分析から支援システムの構築、実際の作品としてのアウトプットまで幅広く研究が進められています。私は修士課程では作曲過程支援の研究、博士課程で知識創造過程支援のための方法とシステムの研究を行いました。これらは異なるトピックに聞こえるかもしれませんが、どちらも情報の表現操作系および人間の創造活動における認知 過程の研究です。従来の作曲用エディタは楽譜をメタファとして、各音符に対して様々な調節ができるような表現操作系のものがほとんどでした。もちろんそれらは必要な機能なのですが、作曲に限らずデザイン「現在作っている部分が全体の中でどのように位置づけられるのかといったことを考えながら進めます。作曲支援の研究では空間表現を用いて全体を俯瞰する視点を提供するインタフェースを実装し、ユーザスタディを行いシステム導入の前後における認知過程の変化について詳細に分析しました。博士課程においては、従来の知識創造に関する理論的枠 組みをいかにして実践に落とし込むかということがテーマで、そのための方法とシステムを構築しました。広告会社と共同研究を行う機会を得て、提案する方法とシステムを
図1 University of Technology, Sydney 

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