日本放射線技術学会雑誌
第 59 卷 第 2 号
270
・陰
内ガス:まだ開存している鼠径管を通って腹腔内遊離ガスが鞘状突起内に侵入したもの.・網
内ガス:W inslow孔から腹腔内遊離ガスが肝と胃の間の盲網内へ侵入したもの.
2-6 新生児の腹部立位正面像における消化管閉塞部位の診断
1,2)
・single bubble sign:上腹部に一つの大きな液面形成を認めた場合は,肥厚性幽門狭窄症による胃の拡張を考える.・double bubble sign:拡張した胃と十二指腸を認めた場合は,十二指腸閉塞を考える.・triple bubble sign:胃,十二指腸に加え三つめの液面形成を認めた場合は,近位空腸の閉塞を考える.さらに多数の液面形成を認める場合は,遠位小腸あるいは大腸レベルでの閉塞を考える.
3.頭頸部
3-1 小児の特徴
頭蓋は,出生時には大泉門(1 対),小泉門(1 対),前側頭泉門(2 対),後側頭泉門(2 対)の 4 種の泉門がある.これら泉門は生後に閉じるもので,小泉門が生後 3 カ月で最初に融合し,前側頭泉門は 6 カ月,後側頭泉門は18カ月,大泉門が36カ月で融合し頭蓋骨を形成する
1)
.脳は乳幼児期から小児期に著しく発達するが,必ずしも頭蓋骨の発達と並行ではなく,脳の表面が頭蓋骨 内板を圧迫することによって指圧痕の増強が起こる.これは 2∼3 歳と 5∼7 歳の二つのピークがあり,単純写真上で打ち抜き像が認められる.新生児では指圧痕は認められず,認められた場合は異常所見となり,10歳以上の場合も同様である
1)
.副鼻腔は,出生時にはほとんど認められず,上顎洞,篩骨洞,前頭洞,蝶形骨洞の順に発達する.上顎洞と篩骨洞は生後 6 カ月頃から発達し始め,前頭洞は6 歳頃に含気が認められるようになる.蝶形骨洞は10歳頃から発達する.副鼻腔の大きさや形は,個人差や年齢差が大きい.2 歳未満では,正常でも副鼻腔粘膜が厚いうえ涕泣により上顎洞の含気は容易に低下するため,その所見の病的意義については慎重に評価すべきである
1)
.
3-2 撮影方法
頭部の固定の補助具には主に発砲スチロールを用いる.正面撮影は,頭部の両側から発砲スチロールで挟み込むようにして固定し,OM ラインは顎の形にくり抜いた発砲スチロールを上から押さえるように用いて角度を調整し,同時に固定する.側面撮影は,片側を軽い半円に切り凹型にした発泡スチロールで後頭部を押さえ,かつ下顎を押さえて固定する.小児の特異的な撮影としてアデノイド撮影と,それに伴う副鼻腔撮影がある.アデノイドは真側面で顎関節より下方 2cm,前方 2cmの点にカセッテに対して垂直に入射する.下顎は,鼻棘と後頭隆起を結ぶ面が水平になるように軽く上げ,口を閉じ鼻呼吸時のタイミングで撮影する.小児は呼吸時に両肩が挙上し,体は後ろに傾きやすいので,頭部をしっかりと固定する.副鼻腔撮影は,そのほとんどがウォーターズ撮影である.小児では永久歯が上顎洞下方に投影され読影の妨げとなるため,成人よりも角度に注意を要し,ドイツ水平線をカセッテに対して55
˚
∼60
˚
で撮影する.小児 と成人ではドイツ水平線の角度はほとんど同じであるが,特に 5 歳以下の小児のポジショニングでは,顔面骨が小さいために鼻尖部がカセッテにつく角度となる.ポジショニングは成人と同じだが,そのポジショニングの“見ため”が全く異なるのは,ウォーターズ撮影の特徴である.
3-3 画像のチェックポイント3-3-1 頭部
・左右のずれはないか.・縫合部,指圧痕は明瞭であるか.・石灰化,錐体部が明瞭であるか.
3-3-2 アデノイド
・両下顎枝が重なっているか.・鼻腔が描出されアデノイドが確認できるか.
3-3-3 副鼻腔
・左右のずれはないか.・下顎の出し過ぎ,引き過ぎはないか.・錐体部が上顎洞の下縁に描出されているか.・上顎洞内に歯牙の投影を少なくすること.
3-4 小児特有の症状・疾患・正常変異
アデノイドは,3 歳頃より発育が始まり 6 歳頃で最大となり,12∼13歳で退縮する.前方は鼻腔に,側方は耳管を介して中耳に,下方は咽頭,喉頭に通じているため,肥大や炎症が生じると隣接する耳鼻咽喉領域に影響を及ぼす.臨床的には肥大だけでは異常ではなく,肥大による二次的疾患(副鼻腔炎,滲出性中耳炎,急性中耳炎,耳管狭窄症など)が生じると問題となる.アデノイドの大きさは側面像により計測することができる(Fig. 1)
5)
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4.脊 椎
4-1 小児の特徴
小児の椎体は,成人と比較して椎間腔および環椎前
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