マシンインテリジェンス 期末課題
工学府 機械システム統合工学専攻
10GB116
大矢徹二
ローン・コンプレックス」と名付ける.
スタンド・アローン・コンプレックスという社会現象はフィクションに留まらず,現実の世界でも似たような現象が生じていると言える.
昨年末に世間を賑わせた尖閣諸島沖の漁船衝突事件の海保職員による映像流出に,「笑い男事件」と「スタンド・アローン・コンプレックス」に一致する点が見て取ることができる.以下に一致点を挙げる.
投稿者が義憤にかられて,行動に至った事
投稿者が姿を消した事により多くの議論生じ,投稿者の人物像が模索された事
投稿者を支援し,同様な行動を起こした人物現れた事
第一に挙げた点について,これは事件後自首した投稿者は動機について何も語らなかったことから推察の域を出ないが,日本の海を守る立場である海上保安庁に身を置き,政府の映像を秘匿し続ける方針に納得が出来なかったのであろうと思われる.第二に挙げた点は,流出が発覚した
11
月
4
日から投稿者が自首をする
11
月
10
日までの間,マスコミに限らずインターネット上でも多くの議論や推察が飛び交った.投稿された動画に付けられたタイトルは「本当の尖閣」,「尖閣の真実」と言ったもので,コメントもなく,これだけで投稿者がどういう意図で流出させたかというものは言及していなかった.それにも関わらず,インターネット上で投稿者は『義憤に駆られた憂国の士』という人物像を獲得した.第三に挙げた点は,投稿後半日もおかずに投稿者がアカウントを削除したため,オリジナルの映像は視聴できなくなった.しかし視聴した利用者が保存し,自身のアカウントで
Youtube
に投稿,他動画サイトに転載,または録画した
DVD
を配布するといった形で映像が拡散していったというものである.これにより拡散規模は国内に留まらず,海外にまで伝播することになった.この一連の流れにおいて,インターネット上で各個人の行動動機が,架空の投稿者の像の意図に沿うような形で集団としての行動動機に形成されたと言える.
大規模な事件として,漁船衝突事件の映像流出を挙げたが,小規模なレベルでのスタンド・アローン・コンプレックスは日常的に生じていると言っても過言ではない.電子掲示板サイト『
2
ちゃんねる』などで見られる『祭り』がその一つである.個人がブログやSNSサイトで公開した軽犯罪や迷惑行為に対し,それを読んだ人々が制裁を与えるというものである.『祭り』は誰かが祭りの材料
(
軽犯罪,迷惑行為等が書かれたサイト
)
を発見,その旨を掲示板に書き込むこと始まる.そして同様に反感を抱いた参加者が現れ,独自に問題のサイトを精査,別の問題行動が無いかを調べ掲示板上に報告する.これを燃料に『祭り』は更に加速,拡大していく.問題のサイトが炎上し,ブログ閉鎖やSNS退会に追い込まれる形で終了することもあれば,時として自宅住所や勤務先・通学先などの個人情報が特定され,電話による抗議
(
電凸
)
,または自宅や勤務先を直接訪問して撮影しアップロードされる
(
スネーク
)
といった事態にも発展することもある.また曖昧な情報から誤解が生じ,昨年
9
月には北海道で起きた事件の加害者と同名であった全くの別人がインターネット上での中傷被害やいたずら電話になどの被害を受けるという事件も発生した.
[3]