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リカバリー全国フォーラム 2010 Web 開催レポート http://www.comhbo.

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9/10(金)

【分科会 2】看護とリカバリー〜本当は、私たちはこんな⽀援がしたい

司会:仲野栄(社団法人日本精神科看護技術協会)
柿沼紀子(医療法人積愛会横浜舞岡病院)
服部眞澄(医療法人社団柏水会初石病院)
羽田誠之(医療法人白日会黒川病院)

今年度の看護の分科会は、「看護とリカバリー」をテーマとした。企画を検討する際に、チー
ムの中で多数派の看護者が精神科医療の変革に及ぼす影響は小さくないこともあり、看護者がリカ
バリーについて語る分科会が必要だという意見がだされた。また、マンパワーが決して十分とは言
えない環境の中で身体ケアの必要な患者が増えて業務が繁忙になったり、医療安全の観点から管理
的な業務が増えるなど、医療現場が看護者 1 人 1 人が考える理想の看護を実践することが難しい環
境になっているのではないか。そのようなときだからこそ、看護者が元気になるような分科会が必
要だという意見もだされた。このような意見を受けて、「本当は、私たちはこんな支援がしたい」
というサブテーマをつけ、精神科病院の病棟に勤務する看護師 3 人に登場してもらうことにした。
3 人のシンポジストは、退院調整領域の精神科認定看護師であり、日々の業務の中で「患者さ
んの思いを大切にし、患者さんが主体的になった退院調整」を実践している。そこで、それぞれの
臨床経験の中から、患者さんを中心にしたケアを提供することが難しかったケースを紹介し、自分
が行った看護実践を振り返り、看護師がリカバリーを実現するために必要なことを発表した。
看護師がリカバリーを実現するために必要なこととして、「患者さんが生き生きとした夢をも
てるような支援を行う」ことや「看護師主導から、患者中心の看護に転換する」こと、「患者さん
の退院後の生活を見据えた支援をする」こと等があげられていた。しかし、これらは本来であれば、
看護を実践するときには忘れてはならない基本的なことである。しかし、日々の看護実践の中で実
現することは難しいという報告であった。
シンポジストが勤務する病院や日常的な業務も紹介も併せて行ったことで、分科会に参加した
家族の方からは、精神科病院に関するさらに詳しい情報がほしいという質問がだされ、精神科医療
に関する情報はまだまだ入手しにくい状況にあることが実感された。また、当事者の方からは、「入
院回数が増えるごとに、退院するのに勇気が必要になり、退院のハードルがとても高くなるという
ことを知っていてほしい」という意見がだされた。さらには、病棟看護師の業務に対する不用意な
発言を偶然耳にした家族の方からは、看護者の仕事に対する姿勢の甘さに対する指摘もあった。こ
のように、専門職だけが参加する学会やセミナーと違い、家族や当事者の意見を直接聞くことがで
き、貴重な機会となった。また、「看護師がリカバリーを実現するのが難しい理由」に関する研究
に取り組んでいる研究者からも、その結果を踏まえた意見や問題提起もあった。
日々の業務の中で、「当事者中心」の看護実践が行えない場合、何らかの理由をみつけて諦め
たり保留にすることも少なくない現状があることを分科会の中で確認でき、それについていろいろ
な意見を出し合うことが大事であることが認識できた。最後に「次年度もまた看護師がリカバリー
について考え語り合う場をもとう」と確認して、分科会は終了した。
≪仲野栄(企画委員)≫

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