環境大臣

細野剛志

殿

法務大臣

小川敏夫

殿

環境再生保全機構

御中
中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会
中皮腫・じん肺・アスベストセンター
全国労働安全衛生センター連絡会議

石綿健康被害の救済に関する質問書
昨年 6 月に、「中央環境審議会石綿健康被害救済制度の在り方について(第二次答申)」
が取りまとめられました。その内容は、加害者が被害者に対して果たすべき責務の履行を
免除させるものでした。いまなお、公正な補償・救済が実現せず、企業による加害責任の
放棄を政府が許容し、多くの被害者の名誉が回復されていない状態に憤りを隠さずにはい
られません。
公正な被害者救済の円滑な実施が図られるよう希望していますことから、昨年 8 月と同
様の懇談形式で現状認識のすり合わせをしたいと思っています。つきましては、以下に掲
げる各項目について貴省の取り組み状況と認識をお教え頂ければと思います。
13 時 00 分~13 時 30 分
1

法務省の判例タイムズ問題(法務省、④のみ環境省)
2012 年 1 月 15 日発売の判例タイムズ(第 1359 号)に「規制権限の不行使をめぐる国家

賠償法上の諸問題について-その 2」との論文が掲載されています。著者は法務省大臣官房
民事訟務課付の職員 2 名です。論文には「規制権限の不行使の問題は、被害回復の側面で
国の後見的役割を重視して被害者救済の視点に力点を置くと、事前規制型社会への回帰と
大きな政府を求める方向につながりやすい。それが現時点における国民意識や財政事情か
ら妥当なのか否かといった大きな問題が背景にあることにも留意する必要がある」とあり
ます。
①当該論文は私見として掲載されていますが、法務省職員の肩書きが付います。肩書きを
つけている以上、当該論文が法務省の見解とも受け取れますが、見解をお聞かせください。
②法務大臣は肩書き付で当該論文が掲載されることを知っていたのでしょうか。
③政治的、行政的な関与がない場合、本論が社会的に非常に大きな誤解を与えていること

に対して、大臣の公式見解の表明、掲載雑誌・当該雑誌上で謝罪等の公式な見解が必要と
思います。見解をお聞かせください。
④環境省および、環境省石綿健康被害対策室は、上記に掲げた当該論文のような主張を反
映して政策を実施しているのでしょうか。
13 時 30 分~14 時 00 分
2

環境省の被災者救済に対する姿勢(環境省)
不幸にして被害にあわれた被害者に対して、被害者がどのように暮らせるような救済
のあり方を目指しているのでしょうか。患者の病気はさまざまです。それなら、さまざ
まな支援が必要だと思います。
夫が若くしてアスベスト疾患でお亡くなりになられた場合、子どもがご遺族になり
ます。労災では遺族年金の対象者になり補償がありますが、環境の場合は残された小
さな子どもには全く救済はありません。妻にも、特別遺族弔慰金(280 万円)と特別葬祭
料(19 万 9 千円)しか給付がありません。生活と小さな子どもを養育するために奥様は、
必死に働かないとなりません。残されたご遺族(妻)が安心して生活できるように、残
された子どもが健やかに成長できるように、温かい救済をして頂けないのでしょうか。

<参考意見>
・業務上と環境被害の場合とでは、救済格差が余りにも大きすぎるように思います。環境
の場合は「救済」であり、業務災害は「補償」であるとのことですが、被害者やご遺族か
ら見ると、同じアスベストによって被害者になったわけですから納得いくものではありま
せん。
・労災認定された遺族にとって夫亡きあと、悔しさ、淋しさの中で労災認定がされ、年金
支給がせめてもの安らぎでした。でも、アスベスト曝露がどこだと特定できない環境被害
の方への救済があまりにも無策です。
・一度、被害者の立場になったことを想像してほしいです。「国の責任」、「公害」という認
識に欠けている様な気がします。危険と知りながら使用を続けた事、それによって突然、
死の宣告を受けた人がいるという事。その患者の気持ちや苦しみがどれほどのものか、環
境省の方にもわかって頂きたいです。これがわかって頂けたら、救済制度は良い方向へ行
くはずと信じてます。

前回の懇談で、「石綿健康被害救済法は救済法なので、公健法や労災保険法とは意味
が違うから、それをただちに比較することは適当ではない」との回答がありました。法
律の性格は脇に置き、実際の給付内容だけを見たときに、公健法や労災保険と比較して
石綿救済法は損害に対して同等以上の補填がされているとの認識でしょうか。

環境省は「汚染者の特定が極めて困難」だから、原因者から石綿健康被害者に正当な
賠償がされなくても良いと考えているのでしょうか。環境省としては、加害企業は正当
な賠償義務を履行しなくても良いと考え、被害者の名誉が損なわれた状態でも問題がな
いと考えているのでしょうか。ばく露歴の詳細な調査で原因者の特定が一定程度できて
も、あとは裁判をしてください、との見解なのでしょうか。原子力災害については原子
力損害賠償紛争審査会が設置され、加害企業へ損害賠償に関する一定の勧告がされてい
ます。

14 時 00 分~14 時 20 分
3

石綿健康被害救済法の特別拠出金(環境省)

2011 年 8 月 25 日まで特別拠出金の事業社名が伏せられていました。それ以前は「特別
事業主の名称及び特別拠出金の額については、公にすることにより、当該特別事業主の
権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあること等から公開しないこと
が適当」としていました。公表した理由を教えてください。また、これまでは被害者の
「知る権利」よりも事業主の権利を尊重していたということでしょうか。

前回の懇談で、特別拠出金は賦課金とは違い、「石綿との関係が深くて、それだけ石綿
によって恩恵を被ってきたという方につきましてはより大きな責任を負うべきとの判断
からお金を頂いている」とのことでした。責任とは、被害を出したことに対する責任で
はなく、哀れみに基づく施しをする責任という意味でしょうか。

14 時 20 分~15 時 00 分
4

石綿健康被害救済法の給付内容と申請手続き(環境省)

4-1

療養手当ての増額

療養手当てを増額をして頂けないでしょうか。
<参考意見>
・治療や手術にかかる保健医療の自己負担額と療養費として一律の 10 万円の支援のようで
すが中皮腫の治療・手術と術後疼痛により活動できぬ私(妻と子供ふたり)には余りにも寂
しい支援です。
・40 歳で発病した女性はたまたま独身だったこともあり、たちまち生活に困窮しました。
発病当時は新法制定の前だったのでそれまでに蓄えた貯金を切り崩しながら生活していま
した。救済法給付の受給後は毎月 10 万円を貰えたが家賃等を支払うと厳しい生活だっので、
彼女は自身の掛けている生命保険金を担保に兄弟から援助をして貰いました。まさに命を
切り刻んで生活していたのです(この方は 2 年前の 4 月に死亡)。

・情けない話ですが、早期の職場復帰ができなかっただけではなく、定年を迎えた後、ハ
ローワーク等で仕事を探したが、体力的に、日に 2、3 時間から探されてはどうかと言われ、
選択し応募してみるも職はえられず、そうこうする内に疼痛は激増し、殆ど床に伏してい
る状態です。介護が必要になってきているひとり暮らしの母の面倒を見ることもできず、
自分も今や介護を必要とするような状況になってきています。この私には年金と保険医療
の自己負担分の負担と療養費 10 万円では生活は成り立ちません。救済法は無いよりはまし
でしょうと言われるかもしれません。勿論そうですし有難いことで、心から感謝していま
す。しかし、これだけの救済しかできない日本の力と姿勢が残念でなりません。
・2011 年 6 月、父を中皮腫で亡くしました。私の父は病院を転々とし、引越しもしていた
ので、借金をして治療をしました。治療に専念させるためにも、経済的不安をなくせる様
検討頂きたいです。
4-2

交通費の支給

交通費は決して安くはありません。安心して治療が受けられるように、交通機関の交通
費及び交通機関の利用が困難な場合にはタクシー代等の給付をして頂けないのでしょうか。
<参考意見>
・被認定者(患者)の通院交通費を認めて頂きたいです。中皮腫などの特殊な疾患の方は地
元に専門病院が少ないことや、完治(寛解)したいとの一心で、体調不良であっても遠方の
専門病院へ通院されています。ひょうごの会員の S さんの娘さんのケースでは、当時は東
京在住でしたが再発した中皮腫手術を執刀して頂ける病院を求めて和歌山の病院へ行かれ
ました。
・岐阜県在住の患者は地元医師の紹介状をもってN大学病院に行ったとき「(手術の実績が
少ないので)試しに切ってみましょう」といわれました。そこで「命を実験されてはかな
わない」と経験豊富な遠方の病院で片肺全摘手術を行きました。しかし遠方の通院は飛行
機を使用しているので過度な負担がかかります。
4-3

遺族年金

遺族に対して年金の様なものを支給して頂けないのでしょうか。全面的にというのが無
理なら、せめて末子が就学を終える年齢までや、確定年金といった方法があると思います。
<参考意見>
・特別遺族弔慰金及び特別葬祭料の請求は、同一生計のご遺族が対象になりますが、遅発
性の疾患のために高齢で亡くなられた被害者で、配偶者が先に亡くなられた場合は、子が
請求者になります。結婚されていても仕送りをしていれば請求者になりますが、その場合
法的書類がないと民生委員に証明を頂きます。しかし、民生委員の方がどこまで被害者の

ご家族のことを把握しておられるのか疑問に思います。
また、配偶者に先立たれ、頑固として子どもの世話にはならないといったお考えの被害
者の場合、子は生存していても請求出来ないことになります。労災のように遺族一時金の
給付制度のようにならないのでしょうか。
4-4

申請窓口の対応と教育(環境再生保全機構を含む)

環境省と環境保全機構は申請窓口の職員に対して、申請者の対応についてどんな指導・
教育をしているのでしょうか。
<参考意見>
・申請窓口の人は慈愛を持って被害者に接しましょう。突然、死刑宣告を受け、術後は体
中に矢が刺さった落ち武者のごとき患者に対してどのように接したら良いのか?窓口の人
には勿論、国民皆にもどのように接すべきか、プロモーションするような姿勢が必要では
ないか?アスベスト被害者のみならず、原爆や薬害にも言えることであるろうが...。
4-5

医療費の返還申請

苦痛ながらも、環境省から毎年頂く認定患者へのアンケートに記載していますが、医療
費の返還申請ができていないのは、疼痛からその作業ができないためで、手伝っては頂け
ないかと。残念ながらアンケートに書いても何の反応もないまま 2 年以上経過しています。
<参考意見>
・なぜか昨年の東日本大震災以降、疼痛が増し、今では痛み止め薬も術後の量に逆戻りし、
痛みのため1時間程度しか起きていられず、殆ど床に伏している状態が続いております。
アスベストの患者として何らかの活動をしなければと思いながらも起きれば、頭の中は「痛
い痛い」だけが支配し、イライラとして何も考えられなくなります。中皮腫の手術を受け
た患者も人それぞれのようで私のようなタイプは強い疼痛から物申さぬ患者ですが、実は
強い痛みから物申せぬ患者なのです。情けない話ですが、言いたくても、苦痛から、文章
を綴ることは困難を極めます。
4-6

認定審査手順の周知と結果通知

① 申請者(患者)は担当の医師(国家資格者)から診断され申請しているにもかかわらず環
境省の方でも医師に判断をあおぎ、担当の医師の判断に疑義を挟むことがあります。こ
の時、認定はおりない。こんなことを続けるのなら、こんなことが発生しうる事を明記
して欲しいし、こんな無駄の発生しない方法を検討してもらえないでしょうか。患者は
手術も受けた後、その病気ではないと環境省の依頼を受けた医師が判断するというのは、
患者の問題ではなく、医療制度の問題ではないでしょうか。

認定申請者への結果通知にあたっては、公害不服審査会から根拠や議論の内容を提示

せず、判定の結論だけを記載している状況について度々、批判されています。改善状況を
教えてください。
15 時 00 分~15 時 30 分
5

石綿健康被害の実態と調査(環境省、①のみ環境再生保全機構)
環境再生保全機構は毎年、累計被認定者を対象に制度利用アンケートを実施していま
すが、対象者を遺族を含めたものに拡大することはできないのでしょうか。また、費用
等の質問事項が限定された月を対象としたもので、年間・複数年を通じた患者や遺族の
状態を把握するには不十分だと思いますが、改善等の計画がありましたらお聞かせくだ
さい。

前回の懇談で行政関係者以外の調査について、「それぞれの研究者の方ですとか研究
機関の方がそれぞれ個別の目的を持たれて実施されているので、それについて当方から
評価というのはなかなか難しい」との回答がありました。
1968年9月、水俣病についての政府の正式見解で原因企業を断定しましたが、その根拠
となった環境省の調査を教えてください。

尼崎地域で発生している被害の多くはクボタが原因だと考えますが、環境省もそのよ
うな見解をお持ちですか。クボタ以外の工場で、現在のような被害が出ているところが
あれば教えてください。クボタ以外に考えられる原因企業を具体的に教えてください。

15 時 30 分~15 時 55 分
6

公正な議論の担保(環境省)
石綿健康被害に係る各種委員会に召集される委員の選考基準がわかりません。教えて
ください。また公募による委員の採用は公正さの担保を促進すると考えられますが、導
入の検討はしないのでしょうか。

石綿健康被害に係る各種委員会に患者、あるいは遺族本人が委員や臨時委員として参

加できないのはなぜでしょうか。障がい者制度改革推進会議は委員の半数以上が当事者で
す。ヒアリングの機会しか与えられない理由がわかりません。

石綿健康被害に係る各種委員会には、石綿健康被害を発生させた企業から研究費を受
領している研究者がいます。利益相反の疑いが払拭できず、社会的公平性の観点からも
非常に憂慮すべき問題です。そのような研究者、団体職員は環境省主催の委員会等には

召集しないような方針があるのでしょうか。また、委員の招集にあたっては利益相反に
抵触しないために、これまでは事前調査でどのような取り組みをされてきたのでしょう
か。

パブリックコメントの制度が石綿健康被害に係る委員会では形骸化しています。結論
が決まった後に意見を求めても意味がありません。委員会開催期間中は常に意見を募集
し、HP への掲載、毎回の委員会での参考資料としての添付等は検討していないのでしょ
うか。

石綿健康被害者は体調面での不安などで、石綿健康被害に係る各種委員会が開催され
ていても傍聴に参加できないことがあります。また、被害者が全国に点在していること
もあり、東京に頻繁に来ることができません。インターネット中継の導入で、より多く
の方が議論に参加できますが、そのような検討はなされないのでしょうか。

15 時 55 分~16 時 00 分
7

架空検査結果による認定審査問題(環境省)
当該問題の報告書の作成が予定されていましたが、完成はいつでしょうか。完成してい

る場合は当日お持ちください。
16 時 00 分~16 時 15 分
8

中皮腫登録制度(環境省)
2011年6月10日の第10回石綿健康被害救済小委員会で古谷、岸本、今村、の各委員から中

皮腫登録制度の創設を希望する発言があります。三浦委員をはじめ、他の委員も非常に強
い関心を持っていました。したがって、二次答申においても「中皮腫についてもがん登録
制度を参考にしつつ、救済制度の中で機構に集まる治療内容や生存期間の情報を活用しな
がら調査研究を行い、その結果を広く認定患者や、医療機関に対し、情報提供することに
ついて検討すべき」、との提言がされています。中皮腫登録制度に向けた取り組み状況を
教えてください。
16 時 15 分~16 時 30 分
9

被災地のアスベスト問題(環境省)
被災地のアスベスト被害がとても心配です。アスベストの危険性の呼びかけをもっと積

極的におこなってほしいです。どうしてニュースでは放射能の事しか取り上げないのでし
ょうか。将来、今の様に「因果関係が特定できない」とされそうな気がします。環境省の
取り組みと見解をお聞かせください。