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JP 4196225 B2 2008.12.

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(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ストレプトマイセスフラジア(Streptomyces fradiae)を培養し、分別沈澱またはカラム 通過によって生産した、比活性が100,000A.U./mg以上で、分子量が30∼36kDaで、等電点 が7.0である、コレラ毒素のサブユニットBを破壊せず、サブユニットAのみを選択的に 破壊する蛋白質分解酵素またはその混合物の、感染症および免疫機能障害の予防および/ または治療用、および、ワクチン効力を増加させる医薬の製造での使用。 【請求項2】 上記蛋白質分解酵素を患者に5.000∼100.000アンソン単位(A.U.)の供与量で投与する医 薬の製造での請求項1に記載の使用。 【請求項3】 ストレプトマイセスフラジア(Streptomyces fradiae)を培養し、分別沈澱またはカラム 通過によって生産した、比活性が100,000A.U./mg以上で、分子量が30∼36kDaで、等電点 が約7.0である、コレラ毒素のサブユニットBを破壊せず、サブユニットAのみを選択的 に破壊する蛋白質分解酵素またはその混合物の、老化に付随するホルモン不全および退行 性疾患の予防および/または治療用医薬の製造での使用。 【請求項4】 上記蛋白質分解酵素を患者に5.000∼100.000アンソン単位(A.U.)の供与量で投与する医 薬の製造での請求項3に記載の使用。 【発明の詳細な説明】 20 10

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本発明は生物学の分野、特に治療化学の分野に関するものである。 本発明の対象は、病気の予防および/または治療に使用可能な酵素または酵素を含む酵素 複合体をベースとした医薬組成物および/または食事療法用組成物にある。 本発明は特に、腸の機能を刺激して加齢に付随する退行性疾患の予防および/または治療 で使用可能な、酵素または酵素を含む酵素複合体をベースとした医薬組成物に関するもの である。 本発明は一つの対象は、本出願人のフランス国特許第2.600.340号に定義の条件でStrepto myces fradiae(ストレプトマイセスフラジー)を培養することによって得られる酵素複 合体から抽出されるか、これに含まれる酵素を活性成分として含む医薬組成物にある。 上記特許には糸状菌であるStreptomyces fradiaeより得られる、新規な蛋白質分解性複合 体の産生方法と畜産学におけるその利用が開示されている。以下、この複合体を現在の商 品名であるパンスチマーゼ(PANSTIMASE、登録商標)と称する。 この糸状菌は少なくとも5種類の蛋白質分解酵素と2種類のペプチダーゼを同時に産生す ることができる。これら7種類の酵素はモリハラ達(K.Morihara)によって報告されてい る(Biochem.Biophys.Acta,1967,139,382)。動物が消費する食物にこれら7種類の酵素 を一緒に加えると、これら酵素は腸粘液の粘性を大幅に低下させて腸壁に潰瘍を形成させ る危険性が有る。すなわち、これら7種類の酵素を一緒に用いた場合には畜産学的に有害 な影響が出る。 上記特許に記載の条件では3種類の細胞外蛋白質分解酵素のみで構成され、その中の1つ が支配的で、細胞内蛋白質分解酵素およびペプチダーゼは含まないるパンスチマーゼが得 られる。このパンスチマーゼは動物が消費する食物に添加された場合、腸粘液の粘性を適 度に低下させだけで、腸壁を攻撃することはない。 このパンスチマーゼは腸粘液の蛋白質に対して相対的に適度な作用をすると同時に、食物 組成物中に含まれる原材料の蛋白質に対して強力に作用して食物の消化を改善する。 腸内でのこうした直接作用に加えて、パンスチマーゼは各種の器官、特に膵臓に対して間 接的な作用をし、膵臓の酵素または酵素前駆体濃度を50から100%増加させることは過去 の特許に既に記載されている。 これらの好ましい作用によってパンスチマーゼは動物の成長および生産性を高めるために 動物用食物に添加される栄養補体として現在使用されている。パンスチマーゼはさらに、 動物の感染性、細菌性またはウィルス性疾患に対する抵抗性を改善し、加齢によるいくつ かの有害な影響を軽減することが見いだされている。 以上の知見は、パンスチマーゼまたはそれを構成する活性成分のStreptomyces fradiaeが 産生する優勢な細胞外蛋白質分解酵素またはこの優勢な細胞外蛋白質分解酵素とStreptom yces fradiaeによって産生される他の2種類の細胞外蛋白質分解酵素の中の少なくとも1 つとで構成される混合物が動物および人間の治療で使用できることを示唆している。 医薬組成物の活性成分は動物に使用する製品対して付加的な精製を必要とする。公知特許 に記載の条件で得られる未精製のパンスチマーゼの力価は少なくとも2,000A.U./mgに等し い。 アンソン単位(Anson Unit、略してA.U.)は変性されたヘモグロビンの存在下、温度25℃ 、pH7.5で10分間培養した時に、基質から1mcgチロシン当量を遊離させる酵素量と定義 され、トリクロロ酢酸で沈殿しない濾液を分光光度法で280nmでの吸収を測定して得られ る。 公知特許に記載の条件を調整することで少なくとも4,000A.U.に等しい力価を有する半精 製パンスチマーゼが得られ、従来の分画沈殿またはカラム通過技術でパンスチマーゼを構 成する3種類の蛋白質が単離できる。優勢な細胞外蛋白質分解酵素の比活性は100,000A.U ./mg以上であり、他の2種類の蛋白質分解酵素の比活性よりもはるかに高い。その分子量 は約32kDaであり、等電点は約7.0である。 優勢な蛋白質分解酵素だけで2つの重要な蛋白質すなわちコレラ毒素およびコラーゲンに 対する特徴的な作用を有するという事実から、パンスチマーゼの基本的な生理学的性質は 優勢な蛋白質分解酵素だけで説明できる。 50 40 30 20 10

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コレラ毒素はある種の病原性大腸菌によって産生されるLT毒素の相同体であり、攻撃的な サブユニットAと免疫刺激性のサブユニットBとで構成される。優勢な蛋白質分解酵素は 、パンスチマーゼを補充した食物を接種した動物の腸内で見られる濃度に匹敵する低い濃 度でサブユニットBを破壊することなくサブユニットAを選択的に破壊する。それによっ て免疫系を刺激する能力は保持される。 コラーゲンは動物界、乳類に最も大量に存在する蛋白質であり、各種のコラーゲンが総蛋 白質量の3分の1を占める。筋肉コラーゲンの熱水に対する溶解度は若い動物由来の筋肉 コラーゲンの場合には高く、高齢の動物由来の筋肉コラーゲンの場合には低いことが知ら れている。 優勢な蛋白質分解酵素で高齢の動物のコラーゲンを処理すると、高温の水に対する溶解度 が向上し、若い動物のコラーゲンの溶解度に匹敵するようになる。この蛋白質分解酵素は コラーゲンの若返りを引き起こすものと結論することができる。動物に関する大多数の結 果は、未精製パンスチマーゼまたは半精製パンスチマーゼを用いて行われた結果に相当す る。人間の場合には、半精製パンスチマーゼまたはパンスチマーゼを構成する1種以上の 蛋白質分解酵素の精製物のいずれか、すなわち優勢な細胞外蛋白質分解酵素、この優勢な 細胞外蛋白質分解酵素とそれ以外の2種類の細胞外蛋白質分解酵素の少なくとも1つとの 混合物、もしくは優勢な細胞外蛋白質分解酵素のアミノ酸配列または上記に定義の蛋白質 分解酵素混合物のアミノ酸配列に対して少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列を 有する蛋白質分解酵素を使用することができる。 本発明の対象は、活性成分としてのStreptomyces fradiaeの培養によって産生される比活 性が100,000A.U./mg以上で、分子量が30∼36kDa、好ましくは約32kDaで、等電点が約7.0 である、コレラ毒素のサブユニットBを破壊せずにサブユニットAのみを選択的に破壊可 能な優勢な細胞外蛋白質分解酵素を、不活性で無毒且つ生理学的に許容可能な賦形剤と混 合または組合せた状態で含有する、医薬および/または食事療法用組成物にある。 本発明の他の対象は、活性成分としてのStreptomyces fradiaeの培養によって産生される 上記定義の優勢な細胞外蛋白質分解酵素またはこの優勢な細胞外蛋白質分解酵素と他の2 種類の細胞外蛋白質分解酵素の少なくとも1つとの混合物、もしくは優勢な細胞外蛋白質 分解酵素のアミノ酸配列または上記定義の蛋白質分解酵素混合物のアミノ酸配列に対して 少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列を有する蛋白質分解酵素を、不活性で無毒 且つ生理学的に許容可能な賦形剤と混合または組み合わせた状態で含む医薬および/また は食事療法用組成物にある。相同な蛋白質分解酵素は各種微生物、特にStreptomyces fra diaeまたはStreptomyces griseusの培養物から抽出することができる。 活性成分は5,000∼100,000A.U.の投与量を経口または肺または生殖器を介して投与される 。そのため、活性成分は通常の賦形剤と混合または組合わされてこれらの投与に適した医 薬形態に整えられ、製薬技術で一般的な任意の形態、例えば錠剤、コート錠、ゼラチンカ プセル、カプセル、粉末、溶液または懸濁液、乾燥エアロゾル、卵型膣座薬、膣錠剤など の形で提供される。 投与は治療の必要に応じて一日に1回∼3回とする。 動物で得られる結果は全て同じ起源すなわちパンスチマーゼの腸に対する基本的作用によ るものと思われる。この基本的作用は種々の側面を有し、それについては以下順を追って 説明する。 本発明医薬組成物の薬理学的研究 腸におけるパンスチマーゼの作用 1.絨毛 比較的若いラット(約2カ月)では、光子顕微鏡による検査の結果、対照のラットおよび 被処理ラットの両方について絨毛の発生は正常であることが示された。 相対的に高齢のラット(約7カ月)では、同様な検査の結果、15匹の対照のラットで絨毛 に萎縮症が見られ、4週目の離乳以来パンスチマーゼ処理を施したラットでは生後2カ月 のラットと同じ発達が見られた。従って、パンスチマーゼが腸にある種の若返りを引き起 こし、腸の絨毛が発生および迅速に再生するための初期能力をより長期に亘って維持する 50 40 30 20 10

(4) ことが確認された。

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腸は生理学的に不活性なフィルターであるだけでなく、最大の内分泌腺である(B.LEBLAN C et al.Rec.Med.Vet.1981,157 629;K.UVNAS-MOBERG,for SCIENCE,September 1989,24) 。腸は生涯を通じて迅速に再生する小細胞から成り、核酸すなわちDNA+RNAを最も多く含 む器官である(G.DURAND et al.Ann Biol.Anim.Bioch.Biophys.1966,6,389)。従って、 腸は高い蛋白質合成能力を潜在的に有している。腸の組織断片を調べると、パンスチマー ゼがこの潜在的能力のより良い発現を可能にして、いくつかの生理活化合物、消化酵素、 ホルモン(膵臓、肝臓および能に作用)、免疫グロブリン、サイトカイン、神経伝達物質 (例えばVIP=vasaoactive intestinal peptide血管作用性小腸ペプチド)、細胞成長(ま たは生存)因子などの産生を増加させる。このことから腸に直接作用するパンスチマーゼ が器官および上記化合物の影響を受ける生理学的症状に間接的に作用する理由が説明され 、特に膵臓に対する顕著な作用が説明される(A.ESTIVAL達、Communication at the Meta bolism Conference of Nancy,25-16 January 1979-University of Nancy I)。 さらに、腸は免疫細胞を最も多く含む器官であり、免疫細胞は血管やリンパ管内を循環し 、パイエル板で集合および増加する。これらの免疫細胞はMALT(mucosae associated lym phoid tissue粘膜関連のリンパ組織)の成分であり、このMALTは腸内にあるGALTと気管支 内にあるBALTとに細分類され、皮膚内にあるSALTとの間に類似性を有する。GALTとBALTは 相互依存性を有し、相乗作用して粘膜の免疫防御を保証し、生物体全体としての防御に寄 与する。 腸の組織学的断片を調べると、パンスチマーゼが直接GALTを刺激していることが示される 。従って、パンスチマーゼは間接的に全般的な免疫防御を刺激できる。このことからパン スチマーゼが感染症に対する動物の抵抗性を増加させるという事実が説明される。 2.微絨毛 若いラットまたは高齢のラットを電子顕微鏡検査した結果、対照のラットの微絨毛は非常 に粘性の高い粘液と痕跡量の食物残留物とで覆われているが、パンスチマーゼ処理された ラットの微絨毛はより清潔でより高さがあり、数も多いことが観察される。すなわち、パ ンスチマーゼは微絨毛の全発生面積、従って、その吸収能力を増加させる。 インビトロ試験で対照ラットより採取した腸の断片をパンスチマーゼで処理すると、微絨 毛に損傷を与えずにそれらを覆っている過度に粘性が高い粘液を除去することができる。 この穏やかな洗浄操作は数分間のうちに行われる。 インビボ試験では、腸管粘膜の清掃によって感染性病原菌と粘膜との間の接触が確保され て、腸内でこれら病原菌と戦う免疫細胞の増殖が誘導される。 3.分泌細胞およびミクロ外分泌腺 腸内には各種の分泌細胞(粘液、リソチームを産生するもの)および多数のミクロ外分泌 腺が分散しており、これらは腸内に大量の分泌物を放出する(人間の場合で1日あたり約 2000ml)。これら分泌物の流れは粘液マイクロプラグの存在によって抑制され、さらには 遮断されることもある。 腸の組織学断片の検査から、パンスチマーゼがこれらマイクロプラグの凝集を解き、分泌 物の正常な流れを回復し、分泌物の反動的な産生を増加させることが分かっている。 唾液分泌物が細胞成長因子すなわち上皮性成長因子(EGF)を含むことは知られており、 腸分泌物は腸細胞、リンパ細胞などに作用する成長因子を含むことがある。パンスチマー ゼの作用でこれら因子の産生が増加することは、処理されたラットの組織学的断片に見ら れた絨毛やGALTの発生状況が改善することで説明できる。 4.パイエル板 腸内に分散する免疫細胞の凝集体であるパイエル板は、処理されたラットにより多数見ら れる。すなわち、これは処理されたラットの十二指腸から現れるが、対照のラットでは空 腸からしか現れず、より高密度である。すなわち、そのリンパ細胞は小さく、より緻密、 より活性が高いと思われる(組織学で使用される試薬によってより強く着色される)。 5.感染性病原菌の長期非付着性 パンスチマーゼは感染性病原菌が粘膜、特に腸管粘膜へ長時間にわたって付着するのを防 50 40 30 20 10

(5) 止できる。

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この長時間の付着は病原菌に固定された付着因子と粘膜上に存在する受容体との間に化学 結合によるものであり、付着因子と受容体は複合体(グリコ−リポ)蛋白質になる。 インビトロ試験の結果、この複合体蛋白質に対して一定の親和性を有するパンスチマーゼ は付着を切断するか、受容体をそれらが付着している粘膜から脱着させ、その結果、しば しば付着の破断が起こることが示され、これは数10分間の間に起こり得ることが分かって いる。 さらに、パンスチマーゼは腸の絨毛の再生を刺激でき、異常または感染性病原菌の付着に よる影響を受けた古い細胞を除去することができる。この除去は腸分泌の流れが強化され ることによって促進され、腸分泌物の産生はパンスチマーゼの作用によって増加する。 パンスチマーゼはまず最初に感染性病原菌と腸粘膜との間のより密接な接触を可能にし( それら病原菌と戦うことの可能な免疫細胞の腸内での増殖を誘導する)、これらの病原菌 が長時間に亘って粘膜に付着して粘膜の下にある組織に侵入するのを防ぐことができるこ とが理解される。 6.蛋白質エンテロトキシンの破壊 パンスチマーゼは濃度を10∼100A.U./mlで、37℃に数10分間温めることで数種類の蛋白質 毒素を破壊し、下痢の予防および/または治療に貢献する。パンスチマーゼによって破壊 される毒素としてはボツリヌス毒素、コレラ毒素、病原性大腸菌によって産生されるLT毒 素、これら大腸菌によって産生される壊死性細胞障害性因子などが挙げられる。 同じ条件で、内在性の蛋白質分解酵素(トリプシン、キモトリプシンなど)はこれら毒素 を破壊せず、従って、下痢の予防および/または治療に貢献することはできない。 LT毒素の場合、パンスチマーゼは免疫刺激性のサブユニットBを破壊することなく攻撃的 なサブユニットAを破壊する。 7.結論 パンスチマーゼは腸内全体で重要な器官の全般的機能を刺激し、その結果、生物全体の全 般的機能を刺激するという基本的作用を有し、従って、広範囲に亘る治療上の用途例を有 する。 本発明医薬組成物の治療への利用 パンスチマーゼの腸に対する基礎的作用にから、パンスチマーゼまたはパンスチマーゼを 構成する活性成分すなわち優勢な細胞外蛋白質分解酵素またはこの優勢な細胞外蛋白質分 解酵素と他の2種類の細胞外蛋白質分解酵素の少なくとも1つとで構成される混合物を用 いて、対象となる病気の予防および治療に役立てることが可能になる。 1.嚢胞性繊維症および呼吸器疾患 嚢胞性繊維症(mucoviscidose)は腸および気管支領域で過度に粘性の高い粘液が過剰に 分泌される点に特徴がある。粘液は全て同じ種類の生化学的構造を有しているので、パン スチマーゼは腸粘液、気管支粘液または生殖器粘液の粘性を最適化することができる。 本発明の細胞外蛋白質分解酵素または本発明の細胞外蛋白質分解酵素のアミノ酸配列に対 して少なくとも60%の相同性を有する蛋白質分解酵素は、腸、気管支および/または生殖 器粘液の粘性を最適化するための医薬の調製で使用可できる。 本発明の細胞外蛋白質分解酵素または本発明の細胞外蛋白質分解酵素のアミノ酸配列に対 して少なくとも60%の相同性を有する蛋白質分解酵素は、嚢胞性線維症および腸、気管支 および/または生殖器粘液の過剰分泌(特にそれらの粘稠性が高すぎる場合)に関連した 疾患を治療するための医薬の調製で使用できる。 2.吸収および血液循環の改良 腸壁に対する穏やかな洗浄作用によってパンスチマーゼは吸収の改善に貢献する。この吸 収の改善は動物の血液中に経口投与した薬剤を分析することによって確認できる。例えば パンスチマーゼを含まない50mgのテトラサイクリン(対照群)または400A..U./mgの力価 を有するパンスチマーゼ3mgと組み合わせたもの(処理群)を胃チューブを介して鶏に投 与し、投与2時間後に2.5mlの血液を採取することで、血清中の平均テトラサイクリン濃 度は対照群では1.35mcg/mlであり、処理群では1.90mcg/mlになることが分かる。 50 40 30 20 10

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この吸収の改善は種々の器官での薬剤の固定を検討することでより詳細に分析できる。例 えば、パンスチマーゼを追加しない4g/kgのオキシテトラサイクリンを含む医薬療法用食 物(対照群)、あるいは400A..U./mgの力価を有するパンスチマーゼ300m/kgを追加した医 薬療法用食物(処理群)を2日間に亘ってマスに与え、その後魚を犠牲にして肝臓、筋肉 および腎臓内の抗生物質を分析すると、パンスチマーゼによって組織内の抗菌性濃度に有 意な増加が見られ、この増加は問題となる器官によって大きく異なることが分かる。 肝臓では+100%(処理群で5.75mcg/gに対して対照群では2.5mcg/g) 筋肉では+400%(処理群で1.75mcg/gに対して対照群では0.3mcg/g) 腎臓では+1,000%(処理群で5.75mcg/gに対して対照群では0.5mcg/g) パンスチマーゼはオキシテトラサイクリンの吸収を良くし、この抗生物質を全ての器官に より良く分散させることは明らかで、このことは血液循環の改善を示唆するものと思われ る。 本発明の細胞外蛋白質分解酵素または本発明の細胞外蛋白質分解酵素のアミノ酸配列に対 して少なくとも60%の相同性を有する蛋白質分解酵素は、医薬または栄養分吸収不良の治 療および血液循環障害の治療を目的とした医薬の調製で使用できる。この医薬は特に、高 齢者または腸の適正な機能に影響を与える副作用を有する医薬を投与した患者見られる栄 養失調の治療のためのものである。 3.消化器潰瘍および腸毒血症 消化器潰瘍は胃壁に細菌(Helicobacter pylori)が付着することによって起こり、腸毒 血症は腸壁に各種感染性病原菌が付着することによって起こる。 パンスチマーゼは感染性病原菌が長時間に亘って粘膜に付着することを妨げ、多数のエン テロトキシンを破壊する。従って、パンスチマーゼは腸の再生を刺激し、消化器潰瘍およ び腸毒血症を予防および/または治療することができる。 事実、商業的畜産ではパンスチマーゼが消化器潰瘍に罹る豚の数を減らし、腸毒血症によ る死亡を減少させることが分かっている。 本発明の細胞外蛋白質分解酵素または本発明の細胞外蛋白質分解酵素のアミノ酸配列に対 して少なくとも60%の相同性を有する蛋白質分解酵素は、長時間に亘って感染性病原菌が 粘膜へ付着するのを予防および/または治療し、委縮あるいは破壊された腸管粘膜の絨毛 の再生を促進させ、さらに消化器潰瘍および腸毒血症を予防および/または治療するため の医薬の調製に用いられる。 4.糖尿病、肝機能不全症および腸通過障害 パンスチマーゼが膵臓の外分泌機能を刺激することは公知特許に示唆されており、事実、 膵臓における全ての酵素または酵素前駆体の濃度の有意な増加が見いだされている。アミ ラーゼでは+50%、トリプシノーゲンとキモトリプシノーゲンでは+70%、リパーゼでは +80%(A.ESTIVAL et al.,Communication at the Metabolism Conference of Nancy,2526 January 1979-University of Nancy I)。 膵臓の組織学的断片の検査から、処理を行ったラットではランゲルハンス島の数がより多 く、外観もより優れていることが示された。 これらの研究にから、パンスチマーゼはまず最初に膵臓の内分泌機能を刺激し、結果的に 蛋白質同化作用全般を改善し、その結果、引き続いて外分泌機能を刺激することが示唆さ れる。 膵臓に与えられる刺激は肝臓にも与えられ、その結果、腸の通過が改善される。集約的な 畜産では、閉じ込められた(お産の床にある)雌豚にしばしば便秘が観察され、彼らの食 物にパンスチマーゼを追加することによって腸内通過に関するこれら致命的な妨害を回避 することが可能になることが分っている。 本発明の細胞外蛋白質分解酵素または本発明の細胞外蛋白質分解酵素のアミノ酸配列に対 して少なくとも60%の相同性を有する蛋白質分解酵素は、糖尿病、肝機能不全症および腸 内通過障害を予防および/または治療医薬の調製に使用される。 5.感染症、免疫機能不全およびワクチン接種 パンスチマーゼがGALTに対して好ましい作用を有し、その結果、免疫系全体に対して好ま 50 40 30 20 10

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しい作用を有することはすでに示されている。3つの異なる分野において改善が得られて いる。 A.感染症 集約的な畜産では、パンスチマーゼがしばしば動物の健康状態を改善することが示されて おり、このことは初めはパンスチマーゼが市販の餌の多くに添加されている抗生物質の吸 収を促進することによるものと考えられた。しかし、その後、この改善が特に各種ウィル スによる感染の場合に顕著であって、それらウィルスは一般に抗生物質の作用に対しては 非感受性であることが見いだされた。コレラの知見は豚のインフルエンザおよびオージェ スキー病、鶏のガンボロ病およびヤギの膿瘡に関するものである。 前述のケースでは、実験ステーションにおけるトライアルコース中に見いだされたウィル ス感染について、全部で120匹のヤギを用いて詳しい検討を行った。ウィルス感染の影響 を受けなかった動物の割合は対照群では34%、処理群では70%であり、深刻な影響を受け た動物の割合は対照群で28%、治療群には深刻な影響を受けた動物はいなかった。 この抗ウィルス作用はパンスチマーゼが、腸全体に分散する免疫細胞の集塊であるパイエ ル板の数と密度を増加させるという事実によって説明される。 B.免疫機能障害 集約的な畜産における子ブタに関するその他の知見によれば、パンスチマーゼは金属格子 上で飼育された動物が関節傷害を受けた時にそれに続いて起こる炎症性反応である関節炎 の持続時間を短縮することが示されている。瘢痕を生じて傷が癒えた後、これら炎症反応 はいわゆる抑制性免疫細胞(腸に多数存在して炎症部位まで移動する)の作用によって次 第に鎮静化される。パンスチマーゼは腸内でのこれら細胞の増殖を刺激し、それらの移行 を促進することが可能であり、このことによってパンスチマーゼが関節炎の持続時間を約 50%短縮することが説明されよう。 C.ワクチン接種 集約型畜産においてみられる健康状態の改善は、パンスチマーゼが補充された食物を接種 する動物のワクチン接種に対する応答が向上することによって説明される。実験室でマウ スを使って行われた予備試験では、特に経口的にワクチン接種を行った場合、パンスチマ ーゼがワクチン接種の効力を増加させることが効率的に確認された。 本発明の細胞外蛋白質分解酵素または本発明の細胞外蛋白質分解酵素のアミノ酸配列に対 して少なくとも60%の相同性を有する蛋白質分解酵素は、感染症および免疫機能障害を予 防および/または治療してワクチン接種の効力を増加させることを目的とした薬剤を調製 するために使用される。 6.ホルモン不全および老化に伴う生殖上の疾患 高齢の生殖性ブタでは、パンスチマーゼが離乳から交尾/受胎までの間隔(雌豚では長く なる傾向がある)を短縮し、性的情熱(雄豚において減退傾向がある)を刺激することが 見いだされている。従って、パンスチマーゼはホルモン不全、そしておそらくは老化に起 因するその他の悪影響を治療するものと思われる。 パンスチマーゼは高齢の生殖性雌ラットでは「若返り」を引き起こし、高齢の生殖性雌豚 およびニワトリでは老化に伴う悪影響を軽減することが効率的に見いだされている。 A..雌のラットの最初の交尾は生後約70日目で行われ、交尾が約140日後に行われた場合 、生殖成績は対照群では低く、処理群(同じ餌に力価400A.U./mgのパンスチマーゼを300m g/kg補充したものを与えた)ではより優れた結果が得られた。 40 30 20 10

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140日目に交尾したラットの結果は悪いが、処理に供された雌ラットで同様に140日目に交 尾したものは70日目に交尾した対照群の雌ラットによって得られた正常な結果に近い結果 を示し、周産期死亡率に至っては同じ結果が得られた。従って、パンスチマーゼは生後14 0日の雌のラットに「若返り」を引き起こしたと言うことができる。 B.生殖用の豚は「状態不良」と思われた時点、例えば立っていられなければゆっくりと 横たわることもできない(突然倒れ込んで生まれたばかりの子豚をつぶしてしまう恐れが ある)と養育者が判断した場合に引退させられる。80頭の豚を擁する畜産では、パンスチ マーゼを使用する前は豚は平均4.4回の生殖サイクルを経て引退していたが、パンスチマ ーゼを使用して6カ月後には、豚は平均5.8回の生殖サイクル後に引退可能であることが 見いだされた。従って、パンスチマーゼが豚の「良好な状態」および成績に許容不可能な 変化をもたらすことなくその生産的寿命を約30%延長させることができると考えられる。 加齢で産卵用の雌鶏は次第に脆弱な卵を生むようになる傾向があり、産卵終了段階では割 れた卵の割合が10%以上に上昇する可能性が有る。パンスチマーゼはこの割合を半分に減 らす。これは燐酸カルシウム代謝刺激を意味する。 本発明の細胞外蛋白質分解酵素または本発明の細胞外蛋白質分解酵素のアミノ酸配列に対 して少なくとも60%の相同性を有する蛋白質分解酵素は、老化に付随するホルモン不全お よび変性疾患、例えば関節炎、関節症および骨粗鬆症の治療を目的とした医薬の調製に使 用される。 本発明医薬組成物の耐性に関する予備的評価 中毒学的研究では、パンスチマーゼは現在推奨される用量(食物1kgあたり40,000A.U.) の20倍を1カ月間子豚に投与した場合には毒性を示さず、この用量の200倍を3カ月間に 亘ってラットに投与した場合も毒性を持たない。 従って、現在考えられている用量よりも相対的に高い用量で人間に対する予備トレランス 試験を行うことが可能であり、実際、750,000A.U.の精製パンスチマーゼ(つまり1バッ チ50mgで力価は15,000A.U./mg)を含むゼラチンカプセルを使用し、それらを2∼3週間 に亘って1日2∼3カプセルの量で患者に与えた。 平均年齢が44歳である25歳∼70歳までの24人の患者(12人の男性と12人の女性)を選択し た。これら患者のうち17人は、副次的臨床研究(paraclinical investigation)(臨床検 査、X線、場合によっては内視鏡検査)で検出可能な有機的病変は全く観察されない状態 で最も広い意味における消化不良を患っており、患者のうち7人は有機的病変を有する。 つまり3人は膵臓に病変を有し、2人は胃を切除されており(1人は潰瘍、もう1人は新 生物のため)、2人は結腸を切除されている(1人は潰瘍出血性の直腸結腸炎ulcerohaem orrhagic rectocolitisのため、もう1人は新生物のため)。これら24人全ての患者につ いて、総体症状の進行、体重の推移、治療開始時点で体重不全(栄養失調を伴う、あるい は伴わない)が見られるか否かを調べた。いくつかの対象により、便秘または下痢の場合 には腸内通過の調整に関連する改善が報告され、栄養失調の場合には体重の増加が報告さ れた。 3週間に亘って各10,000A.U.のパンスチマーゼを含むゼラチンカプセルを毎日2つずつ投 与された18歳の患者についても、嚢胞性線維症に関する予備的な試験が行われた。腸領域 での症状(便の量が減少して粘着性も低下する)および気管支領域での症状(去痰が容易 になって頻度も少なくなる)の改善が見られた。 結論として、パンスチマーゼのトレランスは高く、特に栄養失調の場合に効果的であると 思われる。 本発明の細胞外蛋白質分解酵素または本発明の細胞外蛋白質分解酵素のアミノ酸配列に対 して少なくとも60%の相同性を有する蛋白質分解酵素は、虚弱または栄養失調を有する患 者の栄養摂取用の食事療法用組成物の調製に使用することができる。 40 30 20 10

(9) フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.,DB名) A61K 38/00 - 38/58 A61K 39/39 BIOSIS(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) CA(STN)

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