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作家のみなさまへ
 ボイジャーからのお願い



ボイジャーは出版社̶̶そういって 1992 年 10 月私たちは会社をスタートしました。エキス

パンドブックというアメリカ製の出版ツールを携えての門出でした。それから 15 年が経とうと

しています。

ボイジャーの提唱に賛同いただき、かけがえのない作品をもって参加してくださった作家のみな

さまに、そして新しい出版社、書店を試みられたみなさまへ心から御礼申しあげます。感謝の気

持ちを忘れたことはいちどもありません。ただ、長いあいだみなさまの努力にたいして何のみか

えりもできない「出版社」のまま時は過ぎていきました。

実情は甘いものではありませんでした。苦難の道でした。当然といえば当然です。私たちに道は

なかったのです。一人生き延びることだけが私たち 15 年の歴史でした。親を背負うことも子の

手を引くこともできない必死の逃亡者のように駆けめぐってきたのです。みなさまへの期待に応

えられなかったこと、非礼についてはお詫び申しあげる言葉もありません。

やっぱり時代はやってきた!
時は経ち、時代は変わりました。ボイジャーは今日まで生き続けられました。そして積もり重ね

た経験をいかす機会をつかむことができるようになりました。

すでにボイジャーは、ドットブック(.book)を「原液」とするモバイル・デバイス対応の仕組

みをつくりあげました。携帯3キャリアの公式サイト用ビューアとして『BookSurfing』を共同

開発し、市場での圧倒的なシェアを獲得しています。

ボイジャーが主張したように、つくることは自由であり 読む方法は柔軟であるべきであり、漫

画とか文字だとかの区別なく、電子とか紙とかの境界を越える……15 年前の「夢想」は現実の

ものになったのです。

出版は未来へと方向性をますます深化させていくことでしょう。

小さなメディアとして出発したボイジャーの T-Time/.book は、インディペンデントな作家であ

るみなさまの支援に助けられて、潜在的な可能性を大手出版社の出版活動の中へ浸透させる前進

を果たしました。ボイジャーは大手出版社の文字系・漫画系作品の.book 制作、そして携帯用フ

ァイル作成までを請負う仕事を大量にこなし、システムやツールの開発を充実させました。試行

錯誤に費やされるリスクはすべてここでクリアされ、名実共に新しい出版ビジネスを担う生産シ

ステムができあがってきたのです。

いまこそ、長いあいだともにご苦労いただいたみなさまの力が発揮される時だろうと思います。
みなさまの作品は「原液」として作られた.book でできています。いま即、作品は携帯3キャリ

アでの配信が可能です。まず世の中にこのことを知らしめ、願わくばみなさまの作品の販売促進

につながり、売上の貢献に結びつけていきたいとボイジャーは考えます。

強固な PC サイトと携帯サイトの構築
私たちボイジャーは、ここで提案をお届けしたいと思います。

◎一つは PC ベースである『理想書店』の強化です。

◎一つは携帯電話への対応です。

PC サイトと携帯サイトの構築を完成させ、コンテンツの流れをつかさどる IN/OUT を確立する

ことです。そのためにみなさまのさらなるご支援をいただきたく、以下の通りお願い事項を列記

いたしました。

1.『理想書店』でのみなさまの作品をことごとく携帯対応させていただきたい。

*携帯3キャリア用ファイルはみなさまの.book から生成できます。

*制作作業はボイジャーが担当し、作家のみなさまに確認いただきます。

*携帯用は原則 PC 用を分冊して配信します。

*確認手順、方法は別途ご相談いたします。

2.携帯投稿サイト『小説キッチン』にご協力ください。

*4月より『小説キッチン』をスタートさせます。

*内容は別紙企画書をご参照ください。

*すでに発表された皆さまの作品を導入時に掲載させてください。

*連載の形で、細分化した連続的な掲載となります。

*連載しながら、作品のプロモーションを行います。

3.ネット販売活性化構想(*図参照)


 





新しい生産システム
提案で申し上げた『理想書店』の強化とは、PC サイトでのみなさまの作品の効果的な提示、他

メディア展開、販売促進のことです。

そしてもう一つの提案である携帯電話への対応には二つの意味が含まれています。一つは当然の

こととして、携帯電話3キャリアへの作品の配信です。同時にもう一つ、携帯電話を使った作品
のプロモーションを考えようと思います。

携帯電話を通して投稿される作品が、やがて出版化されベストセラーを記録する例がいくつも生

まれています。昨年発行された小説の売上ベストテンの中で、携帯発の作品が4作品も含まれて

いたと朝日新聞(2/10 夕刊)は報じています。つまり、携帯が小説の「生産システム」を担っ

ているということです。出版社はさまざまな雑誌を発行し、そこでの連載を単行本へ、そして文

庫本へという「生産システム」をつくって来ましたが、これと同じことが雑誌に代わって携帯電

話から生まれていることが現実の出来事として明らかになったわけです。

携帯小説のブームを報じる朝日新聞2月10日夕刊

具体的なかたちでこれを示していく必要があります。

すでに作られた皆さまの作品を、『小説キッチン』携帯投稿サイトに連載形式でリトライさせて

いただきたいと思います。

これは従来の出版の流れとはまるで逆さまです。雑誌の連載があり、それが単行本になり、文庫

本になり、電子本になるというのが今までの流れです。この流れが電子本が最初に作られ、携帯

で連載になり、最後に単行本となるわけです。まるで逆なのです。だから社会にとって新鮮なの

です。

青空文庫の原データは瞬時に携帯配信が可能です。現在の作品数 6000 余は、すでにボイジャ

ーの開発チームによって携帯3キャリア配信の準備ができあがっています。

また.book フォーマットを採用した講談社、新潮社、角川書店、集英社、文藝春秋、筑摩書房と

いう出版社の作品も同じことがいえます。するしないは出版社の判断ですが、販売に貢献できる

であろう進展が歓迎できないものであるはずはありません。すでに講談社は、ボイジャーの『理

想書店』を通じて電子本の販売を開始し、オンデマンド印刷のサービスまで付加するという姿勢

を見せています。

講談社は、1999 年に web マガジン「Web 現代」を創刊しました。2005 年に「MouRa(モ

ウラ)」としてリニューアルします。
『生協の白石さん』をピックアップしたことで注目をあつめ

ます。
「MouRa」の漫画サイトとして「Michao!(ミチャオ)
」が 2006 年 4 月にグランドオー

プンします。

デジタルからの出発をスローガンに新作オリジナル 50 作品が連載され、毎週更新されています。

もはや伝統的大出版社でさえも紙から出発するという方法をとらない発想が定着してきました。

デジタルが先、紙が後なのです。

「Michao!」は PC サイトでの無料立読みと携帯電話での有料配信を有効に組合せ、携帯での売

上を飛躍的に伸ばしました。独自の販売促進を成功させた具体例といっていいでしょう。プロモ

ーションとしての PC 上での立読みに、ボイジャーの T-Time Plug が利用されています。この

方法は、現在行われている小学館の「週刊ヤングサンデー」でも利用されています。おそらく大

きな潮流となっていくことは間違いありません。

成功の影にボイジャーの開発の歴史とそれを支えるために積極的に支援の手を惜しまなかった

インディペンデント作家、版元の皆さまの力があったことをいまこそ振り返り、そしてみなさま

と私たち自身の梃子とすべきでありましょう。

新しい出版の胎動という状況のなかに、みなさまの作品こそ、意を新たに、いまを象徴する時代

の旗手として躍りいでていかん時を迎えたのです。

以上