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日本教育社会学会第 58 回大会(大阪教育大学)

2006 年 9 月 23 日Ⅳ-4部会 大学と教育効果

コミュニティとしての大学

-21 大学調査から-
武内 清(上智大学)
○浜島幸司(上智大学大学院)
○大島真夫(東京大学)
○伊藤素江(上智大学大学院)

1.はじめに
1.1 問題の所在
近年、大学教育の改革をめぐる動きが盛んである。多くの大学で新しい教育プログラムが導入
されていると同時に、政府もさまざまな支援策を講じている。文部科学省が 2003 年以降実施し
ている特色 GP や現代 GP は、その最たる例といえよう。
改革の焦点は、これまでのところ、教育課程や教育方法に当てられることが多かった。しかし、
学生生活を支援し、学生の成長を促すという視点からすると、いささか教育課程や教育方法に過
度な注目が寄せられているようにも見える。というのも、学生生活は授業や勉強からだけで構成
されているのではなく、部・サークル活動や友人関係といった教育課程以外のさまざまな活動も
含めて成り立っており、そうした教育課程以外の部分が学生の成長に与えるインパクトは決して
小さくないと考えられるからである。それゆえ、学生の成長や学生生活の支援を考えるためには、
教育課程以外の分野も視野に入れ、学生生活をトータルに捉える視点が必要だと言えよう。
実のところ、大学教育の改革において学生生活をトータルに見ようという動きが弱いのは、教
育課程以外の部分が学生に与えるインパクトについて不明なことが多いからではないだろうか。
以上のような問題意識から、本報告では、教育課程以外の学生生活にも注目し、どのような場合
に学生生活が学生へインパクトを与えているのかを、とりわけ学生の意識に着目しながら考察を
していきたい。

1.2 分析の枠組み
学生生活が学生にどのようにインパクトを与えるかは、学生生活がどのように編成されている
かということと少なからず関係していると言えよう。
大学が生活全般を通じて学生を教育するという考え方は、アメリカのリベラルアーツカレッジ
に典型的に見ることができる。そこでは、学生と教員が、教養教育や人間形成という共通の目的
のために、同じキャンパスに住まい生活をしている(喜多村 1993)。つまり、構成員である教員
と学生は、教養や教育・人間形成といった文化的な側面で同質性があり、なおかつキャンパスと
いう同じ空間の中で共同生活を営んでいる。このような特徴を持つ大学は、古典的な「コミュニ
ティ」(MacIver,1924)としての存在ととらえることができよう。そうした大学においては、大
学=コミュニティの目的に沿うように学生生活が編成されているはずである。したがって、学生
生活を通じて学生がどういうインパクトを受けるかについても、学生生活を編成する原理、すな
わち大学=コミュニティの目的に影響を受ける面が大きいと考えられる。
しかしながら、カーの「マルチバーシティ」(Kerr,1982)という言葉を引用するまでもなく、

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現代の大学の多くは、このような共通の目的を教員と学生の間で持ちあわせているわけでは必ず
しもない。むしろ、さまざまな目的を持った集団の寄り合い所帯として大学という組織が成立し
ている。こうした寄り合い所帯化は、なによりもアメリカにおいて進行した。喜多村によれば、
大学=コミュニティというとらえ方に対して、1960 年代以降、「コミュニティの喪失」という言
葉に表されるような懐疑的な見方が急速に広まった。その背景の一つには、学生の態度と行動に
変化が生じたこと、すなわち「学生の成熟度の進行、学生集団の多様化、大学へのロイヤリティ
の喪失」などがあったという(喜多村 1993)。
現在の日本の大学も、多くの場合目的は明確ではない。学生と教員の間に共通の目的があると
想定し、アメリカのリベラルアーツカレッジに見られるような大学=コミュニティ観で大学を捉
えることは、理念的もしくは当為的ではあっても、事実ではないだろう。むしろ、18 歳人口の減
少、大学全入時代の到来などにより、学生集団の多様化はますます進行し、
「コミュニティの喪失」
と言われた 1960 年代以降のアメリカの状況の方が、重なる点が多い。
では、現在の日本の大学においては、学生生活はどのように編成され、学生に対してどのよう
なかたちでインパクトを与えているのだろうか。大学には依然として学生と教員が集まり、一見
すると大学という空間の中にコミュニティが形成されているようにも見える。とはいえ、彼らが
共通の目的を持っており、それゆえ文化的に同質であると言えるかといえば、必ずしもそうとは
いえない。したがって、そこに古典的な意味でのコミュニティが成立していると見ることはでき
ない。
そこで本報告では、学生生活を編成するものとして、大学に対する学生の「帰属感」に着目す
る。つまり、学生は、学生生活におけるさまざまな活動を通じて大学に対する帰属感を見出す。
そうして帰属感を有した学生たちが集まり続けることによって、大学というコミュニティが成立
していると見るのである。
もちろん、学生が帰属感を見出すのは、大学が提供する教育プログラムを通じてであるかもし
れないし、それ以外の学生生活の部分を通じてであるかもしれない。一つ言えるのは、こうした
見方に立てば、教員と学生の間に、リベラルアーツカレッジに見られるような共通の目的がなく、
それゆえ教養や教育・人間形成といった点での文化的同質性がなかったとしても、コミュニティ
が形成される、という点である。学生によって帰属感には差異があるが、とにかく学生は何らか
の帰属感を大学に対して感じており、それゆえコミュニティは成立していると見るのである。現
代の学生生活は、こうした大学=コミュニティの中で編成されている。
このように大学=コミュニティを位置づけた上で、本報告では次の 2 点について考察を行いた
い(図 1)。まず検討するのは、大学への帰属感を有している学生はどういう学生かという点であ
る。帰属感を見出す契機として、他者との何らかの相互作用、すなわちコミュニケーションが行
われることは、重要な要素であると考えられる。そこで、学生生活の中でどのような活動(コミ
ュニケーション)が行われると学生の帰属感につながっていくのか、という点を分析する(2 章)。
そのうえで次に、学生が有する帰属感と学生の様々な意識のありようとの関係について検討する。
学生生活の送り方の違いが、結果として学生の意識にどのような違いを生み出しているのかとい
う点について考察を行いたい(3 章)。
分析は、2003~4 年に実施した 21 大学の大学生データを用いる(武内編 2005)。すでに、調査
対象の 21 大学を大学類型に分けて報告している。概要は以下のとおりである。
・研究会名;大学生文化研究会、・研究代表;武内清(上智大学)

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・調査時点;2003 年 11 月~2004 年 1 月、2004 年 11 月~2005 年 1 月


・調査方法;授業時に学生に記入してもらう自記形式(一部持ち帰り法)
・調査対象;文系学部に所属する大学生
・有効回答;2721 名

図 1 分析の枠組み
属性

大学=コミュニティ 学生の意識
への帰属感 のありよう
学生生活
のあり方

(大島真夫)

2.大学での諸活動と帰属感
学生が大学への帰属感を高めるものとして、大学でのコミュニケーションは不可欠な要素であ
る。
大学における学生のコミュニケーションとして、まず友人との交友があげられる。カレッジ・
インパクト研究の中でも、友人との関わりは、学生に影響を与える大学での重要な経験として取
り上げられている(E.Pascarella & P.Terenzini, 1991, pp.1-14)。友人との交友以外では、授業や
部・サークルがもたらすコミュニケーションが挙げられるだろう。
今回のデータでみてみると、それらの活動が大学生活に占める比重(「大部分+かなり」)は、
「交友」が 66.0%で最も高く、次に「勉強」52.7%、そして「部・サークル」35.0%となってい
る(図 2.1)。これら大学での学生の主要な活動は、学生の大学への帰属感を高めることになって
いるのだろうか。ここでは、大学への帰属感の指標として「大学全体の雰囲気への満足度」を用
い、上記 3 つの活動との関連を検討する。

図 2.1 現在の生活に占める比重(%)
大学全体の雰囲気への満足度

70.0
60.0
50.0 66.0
40.0
52.7
30.0
20.0 35.0

10.0
0.0
勉強 交友 部・サークル

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2.1「大学全体の雰囲気への満足度」
「大学全体の雰囲気への満足度」は、入学したこと、など一時点の評価ではなく、大学入学後
の、大学全体に対する評価であるとみなすことができる。
その評価が親和的な感情だった場合、それは帰属感によってもたらされていると考えられる。
(デランティ、2006、
デランティによれば、コミュニティは「くつろいだ気分になれる心地よい世界」
P260)をもたらしてくれるものである。つまり、大学=コミュニティに対する帰属感から人々は
安定感や親和的感情を得たと考えられるのである。逆に、安定感などの感情が帰属感を高めるこ
ともあるだろう。学生は友人・教員・教室・施設など、現在自分を取り囲んでいるものに対し親
和的な感情(満足感)を抱くと、それは大学への帰属感になる。学生の大学への帰属感は、大学
への種々の親和的で肯定的な感情と相互に影響しあいながら高まっていく。
学生の大学への帰属感を構成していく要素をこのように考えたとき、自分が所属している集団
に対する「愛着」、
「安心」、
「充足」といったもののほかにも、
「満足」という感情も帰属感の一つ
に含まれると考えられる。そこで本報告では、大学全体に対する満足度を帰属感の代理変数とし
て使用することにした。
「大学全体の雰囲気への満足度」の程度を全体でみると、図 2.1.1 のようになる。5 割近い学生
が、現在の大学の雰囲気に「(とても+やや)満足」しており、親和的な感情を持っていることが
分かる。次に多いのが、
「どちらとも(言えない)」と判断しかねている学生である(35.9%)。
「(や
や+とても)不満」に思っている学生の割合は最も少ないが、全体の 2 割程度が大学に不満を感
じながら生活している様子がわかる。

図 2.1.1 大学全体の雰囲気への満足度

不満
17.9

満足
  46.2

どちらとも
35.9

N=2721

2.2 大学生活の比重と大学雰囲気満足度
表 2.1 は、
学生の各活動の比重と大学全体の雰囲気に対する満足度との関連をみたものである。
交友、勉強、部・サークルのどれについても、それぞれの活動の比重が高いほうが大学全体の雰
囲気に対する満足度が高くなっている。

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表 2.1 雰囲気満足度×活動比重(%)
大学全体の雰囲気
N(人)
満足 どちらとも 不満足
高い 50.3 34.8 14.9 1781
交友**
低い 38.4 38.1 23.5 921
高い 52.4 32.1 15.5 1423
勉強**
低い 39.4 40.1 20.5 1277
部・サーク 高い 55.8 33.5 10.7 914
ル** 低い 41.3 37.2 21.5 1735
カイ2乗検定 * p<0.05 ** p<0.01
大学での活動に比重をおき、その分野でコミュニケーションを多くとっている学生は、大学に
対する帰属感を高めるという結果である。

2.3 活動比重による学生タイプと帰属感
しかし学生たちは、これらの大学の活動の一つだけに打ち込んでいるわけではない。実際は複
数にかかわり、その比重もそれぞれの学生によって異なる。
「勉強」
「交友」
「部・サークル」の3つの活動への比重によって学生をタイプ分けしてみると、
以下の8通りになった。その割合を示したのが、図 2.2 である。
(図中、
(+)は比重が高い、
(-)
が低いことをそれぞれ意味している。部・サークルに関しては、
「入っていない」も比重が低い(-)
に入れた。)

図 2.2 学生タイプの内訳(%)

10.2 11.6
4.7 A 勉強(+)交友(+)サークル(+)

21.7 B1 勉強(+)交友(+)サークル(-)

B2 勉強(+)交友(-)サークル(+)

B3 勉強(-)交友(+)サークル(+)
19.6
C1勉強(+)交友(-)サークル(-)

C2 勉強(-)交友(+)サークル(-)

C3 勉強(-)交友(-)サークル(+)
5.4
D 勉強(-)交友(-)サークル(-)
13.8 12.9
N=2680

勉強・交友・部、サークルと、3 つすべての活動に多く取り組んでいるのが A タイプで、全体


の 1 割程度となった。
3 つの活動のうちどれか 2 つの活動の比重が高いのがBタイプ(B1~3)で、全体の 4 割弱
を占めている。その中で、勉強と交友の 2 活動の比重が高い学生(B1)は全体のうちでも最も
多くなっている(21.7%)。

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どれか 1 つの活動の比重が高いのが C タイプ(C1~3)で、これも全体の4割程度となってい


る。この中では、「交友」の 1 活動のみ比重が高い学生(C2)が一番多い(19.6%)

どの活動にも比重を置いていない D タイプの学生は、全体の 1 割いる。
性別と学年別に、各タイプそれぞれに占める構成割合をみたのが、表 2.2 である。
性別で見ると、勉強と交友の比重が高いB1 タイプで女子学生の割合(75.4%)が、全体の平
均(66.7%)より若干高くなっている。また、男子に多いのは、サークルのみ比重の高いC2 タ
イプ(39.7% > 全体割合 33.3%)と、どの活動も比重が低い D タイプ(42.9% > 全体 33.3%)
である。それ以外は、男子 3〜4 割、女子 6〜7 割と全体の比率に近い内訳となっている。
学年でみても、どのタイプとも 1・2 年が 7 割前後、3・4 年が 2〜3 割と全体の比率に近く、大
きな偏りは見られなかった。唯一、勉強とサークルの比重が高いB2 に関して、1・2 年の割合が
他のタイプより高くなっている。(84.8% > 全体 74.9%)。

表 2.2 各学生タイプの属性別内訳
性別(N=2678) 学年(N=2661)
男 女 1・2年 3・4年
A 勉強(+)交友(+)サークル(+) 31.9 68.1 75.5 24.5
B1 勉強(+)交友(+)サークル(-) 24.6 75.4 74.1 25.9
B2 勉強(+)交友(-)サークル(+) 39.7 60.3 84.8 15.2
B3 勉強(-)交友(+)サークル(+) 35.7 64.3 77.1 22.9
C1 勉強(+)交友(-)サークル(-) 34.5 65.5 75.3 24.7
C2 勉強(-)交友(+)サークル(-) 31.8 68.2 68.2 31.8
C3 勉強(-)交友(-)サークル(+) 46.0 54.0 80.2 19.8
D 勉強(-)交友(-)サークル(-) 42.9 57.1 77.3 22.7
全体 33.3 66.7 74.9 25.1

さて、このように 9 割の学生が大学で一つ以上の何らかの活動に取り組んではいるが、その内
容や比重には多様性があることが明らかとなった。学生によって大学でのコミュニケーションの
機会、形態、頻度が異なるということである。
先の分析で、活動比重の程度によって帰属感は異なるという結果だったが、このようなコミュ
ニケーションのタイプでみるとどうなるだろうか。
これらタイプと「大学全体の雰囲気に対する満足度」との関連を見たのが、図 2.3 である。
図のとおり、3つの活動の分野すべてに高い比重を置いている学生(A)は、大学全体の雰囲
気に対する満足度が最も高いことがわかる。次いで満足度が高いのは、2つの活動に比重をおい
ているBタイプ(B1~3)である。そして次に、1つにしか生活の重点を置いていないCタイプ
(C1~3)の学生がつづき、最も満足度が低いのは大学内の活動のどれにも重点を置いていない
Dタイプの学生であることがわかる。
どの活動においても比重が高いことは、大学でのコミュニケーションの多さを意味しており、
それにより帰属感を獲得したと解釈できる。大学内でのコミュニケーションの程度が、学生と大
学をつなぐ重要な役割を果たしていると考えられる。

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「交友」のみ比重が高い C2 のタイプである。大学レジャーランド時代から、多
興味深いのは、
くの学生は大学に交友を求めており(全国大学生活協同組合連合、2006、25 ページ)、交友は大学
でのコミュニケーションの大きな部分を占める活動である。しかし、「交友」活動のみの比重が高
い学生の満足度は高くない(35.4%)。コミュニケーションは帰属感を高めるはずであるが、「交
友」の 1 活動のみでは、狭い交友の関係に閉ざされてしまうのだろうか、大学全体への満足度は
高くならない。
そして大学での活動のどれも比重が低い学生は、必然的に大学内のコミュニケーションが少な
くなり、大学全体の雰囲気への満足度、つまり帰属感が低くなると思われる。

図 2.3 学生タイプと大学全体の雰囲気への満足度(%)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

A 勉強(+)交友(+)サークル(+) 66.3 26.1 7.5

B1 勉強(+)交友(+)サークル(-) 54.8 29.7 15.5

B2 勉強(+)交友(-)サークル(+) 51.4 30.1 18.5

B3 勉強(-)交友(+)サークル(+) 51.5 39.5 9.0

C1 勉強(+)交友(-)サークル(-) 38.1 40.8 21.1

C2 勉強(-)交友(+)サークル(-) 35.4 42.0 22.6

C3 勉強(-)交友(-)サークル(+) 44.4 40.5 15.1

D 勉強(-)交友(-)サークル(-) 29.3 37.0 33.7

満足 どちらでも 不満足

2.4 小括
学生は大学内で様々な活動に参加、もしくは巻き込まれることにより、コミュニケーションの
機会を得ている。今回の結果をふまえると、学生はそれらを通して大学への帰属感を高め、大学
の一成員となっている(将来、なることができる)といえるのではないだろうか。
大学での諸活動は、大学への帰属感を獲得する・させる要因として、学生・大学双方にとって
重要な意味を持っている。

(伊藤素江)

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3.大学生の帰属感の規定要因とその結果
3.1 帰属感を規定する要因
2 の分析より、学生の学内での活動比重経験の組み合わせタイプによって、大学全体の雰囲気
への満足度(帰属感)が異なることがわかった。学生は学業(勉強)、部・サークル活動・交友関
係の複数の活動の比重が高いと、大学の雰囲気に満足する(帰属感が高い)という結果であった。
この活動比重の数、もしくは活動の組み合わせによる効果が、性別や第一志望とは独立して効
果をもつのか、確認しておこう。大学全体の雰囲気満足(帰属感)を従属変数として、いくつか
の独立変数を投入した重回帰分析の結果が、表 3.1 である。モデル A が活動比重の個数(0~3)
をみたもので、モデル B が 3 つの活動の組み合わせをみたものである。参考までに、
「今の学部・
学科に入ったこと」と「今の大学に入ったこと」の満足度を従属変数にして分析した結果も付し
た。

表 3.1 帰属感の規定要因(重回帰分析)
【従属変数】不満(1)~満足(5)
重回帰分析 大学全体の 今の学部・学科 今の大学に
雰囲気 に入ったこと 入ったこと

モデルA モデルB モデルA モデルB モデルA モデルB


【独立変数】 β β β β β β
(定数)t値 8.188 ** 7.874 ** 9.271 ** 8.675 ** 2.168 * 2.014 *
性別(男性=1) -0.078 ** -0.079 ** -0.079 ** -0.073 ** -0.056 ** -0.054 **
学年(1~4年) -0.011 -0.010 0.056 ** 0.052 ** 0.049 ** 0.050 **
通学形態(自宅=1/それ以外=0) 0.096 ** 0.097 ** 0.019 0.022 0.044 * 0.048 **
大学志望(第一志望=1) 0.129 ** 0.129 ** 0.075 ** 0.076 ** 0.200 ** 0.200 **
学部・学科志望(第一志望=1) 0.033 0.033 0.243 ** 0.238 ** 0.096 ** 0.094 **
入学偏差値※ 0.180 ** 0.181 ** 0.119 ** 0.119 ** 0.233 ** 0.231 **
比重タイプ個数(0~3) 0.206 ** - 0.221 ** - 0.242 ** -
大学での活動比重組み合わせ vs. D 勉強(-)交友(-)部・サークル(-)                               
A 勉強(+)交友(+)部・サークル(+) - 0.238 ** - 0.254 ** - 0.269 **
B1 勉強(+)交友(+)部・サークル(-) - 0.197 ** - 0.289 ** - 0.274 **
B2 勉強(+)交友(-)部・サークル(+) - 0.075 ** - 0.114 ** - 0.117 **
B3 勉強(-)交友(+)部・サークル(+) - 0.194 ** - 0.176 ** - 0.230 **
C1 勉強(+)交友(-)部・サークル(-) - 0.087 ** - 0.165 ** - 0.138 **
C2 勉強(-)交友(+)部・サークル(-) - 0.088 ** - 0.100 ** - 0.096 **
C3 勉強(-)交友(-)部・サークル(+) - 0.064 ** - 0.058 ** - 0.089 **
F 値 60.530 ** 33.257 ** 74.117 ** 42.468 ** 110.298 ** 60.898 **
調整済み R2 乗 0.136 0.137 0.162 0.169 0.224 0.227
N 2,648 2,648 2,651 2,651 2,653 2,653
* p<0.05 ** p<0.01 βは標準化回帰係数
※偏差値は各調査年時の代々木ゼミナールの指標を用いた。詳細は武内編(2005)。

モデル A から、活動比重の高い個数が多いと、満足度(帰属感)に効果があることがわかる。
モデル B では、活動比重の組み合わせの比較対象を「D 勉強(-)交友(-)部・サークル(-)」
とした。これは、大学での活動比重が最も低いタイプである。モデル B から、表のように、彼ら
(D タイプ)と比べて、3 つの活動のうちどれか 1 つでも活動比重が高いと、大学全体の雰囲気

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満足(帰属感)の効果があらわれる。これは 1 つの活動比重が高いだけでなく、2 つ活動比重が


高いタイプ、さらに 3 つの活動への比重が高いタイプほど、帰属感への効果が高まる。帰属感の
他にも、
「今の学部・学科に入ったこと」と「今の大学に入ったこと」の満足度を分析した結果に
ついても、同様の傾向を示している。
学内での活動数・組み合わせの他にも、入学した大学の偏差値が高いこと、大学が第一志望で
あること、自宅生であること、女性であることが帰属感を高めていることがわかる。

3.2 帰属感の結果
図 1 の枠組みに従い、帰属感(大学への雰囲気満足)が、学生たちにどのような結果(効果)
を与えることになるのか検討しよう。

図 1 分析の枠組み(再掲)

属性

大学=コミュニティ 学生の意識
への帰属感 のありよう
学生生活
のあり方

表 3.2 は、帰属感と 3 つの意識項目のクロス分析表である。意識項目間の分析なので、因果関


係の特定は難しいものの、帰属感(大学全体の雰囲気満足)が他のどのような変数と関係をもっ
ているのか、みることができる。
a では、帰属感と「人に負けない得意な分野をもっている」とは、関係がある。b では、帰属感
と「自分が好きである」とは、関係がある。このように、帰属感と自己肯定意識との間に関係が
あることが読みとれる
c では、帰属感が高いと、
「毎日が充実している(「そう」
)」ことがわかる。
d では、帰属感が高いと、「自分の通っている大学に入るよう人にすすめる(そう)」ことがわ
かる。2004 年調査に回答した学生は、創設の歴史も浅く、偏差値もそう高くない、いわゆる「新
興」の大学に属している。入学して、大学全体の雰囲気へ満足(=帰属感)をし、自分の入った大
学を人にすすめるようになる。
しかし、学生の大学への帰属感を高めれば、すべてがうまくいくというわけではない。注意点
もある。e では、帰属感が高いほど、「将来のことより、現在を大切にしたい(そう)」と思って
いる。これは現在に対して前向きであるとの解釈もできるが、帰属感によってコミュニティへの
同一性が高まり、そこでのみ充足を求めてしまいかねないともいえる。帰属への距離感を誤れば、
外部との接触をやめてしまう可能性だってある。
このように、大学への帰属感は、学生の意識の諸側面と関係している。学生生活をどのように
送るかによって、学生の意識も分化していくことがわかる。

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表 3.2 意識項目×帰属感(大学全体の雰囲気)

a 人に負けない得意な分野をもっている
そう そうでない N
満足 49.5 50.5 1244
大学全体
の雰囲気
どちらとも 41.4 58.6 972
不満 43.9 56.1 483
全体 45.6 54.4 2699
カイ2乗検定 ** * p<0.05 ** p<0.01

b 自分が好きである
そう そうでない N
満足 64.0 36.0 1242
大学全体
の雰囲気
どちらとも 47.3 52.7 969
不満 45.4 54.6 482
全体 54.7 45.3 2693
カイ2乗検定 ** * p<0.05 ** p<0.01

c 毎日が充実している
そう そうでない N
満足 72.0 28.0 1246
大学全体
の雰囲気
どちらとも 50.7 49.3 967
不満 41.7 58.3 480
全体 58.9 41.1 2693
カイ2乗検定 ** * p<0.05 ** p<0.01

d 自分の通っている大学に入るよう人にすすめる ※2004調査のみ
そう そうでない N
満足 23.3 76.7 232
大学全体
の雰囲気
どちらとも 7.8 92.2 335
不満 2.7 97.3 222
全体 10.9 89.1 789
カイ2乗検定 ** * p<0.05 ** p<0.01

e 将来のことより、現在を大切にしたい
そう そうでない N
満足 48.7 51.3 1241
大学全体
の雰囲気
どちらとも 42.5 57.5 968
不満 41.1 58.9 482
全体 45.1 54.9 2691
カイ2乗検定 ** * p<0.05 ** p<0.01

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2006 年 9 月 23 日Ⅳ-4部会 大学と教育効果

この 5 項目を従属変数として、表 3.1 で使用したモデル A・B に帰属感(大学全体の雰囲気満


足)変数を加えて、重回帰分析をした結果が、表 3.3 である。それぞれの意識項目に対する、帰
属感および他にも投入した各変数の単独の効果・規定力を読み取ることができる。

表 3.3 意識項目の規定要因
【従属変数】選択肢 全くそうでない(1)~とてもそう(4)
a b c d e
重回帰分析
人に負けない得意な 自分が 毎日が 自分の通っている 将来のことより、
分野をもっている 好きである 充実している 大学に入るよう人にすすめる※2 現在を大切にしたい

モデルA モデルB モデルA モデルB モデルA モデルB モデルA モデルB モデルA モデルB
【独立変数】 β β β β β β β β β β
(定数)t値 11.568 ** 11.069 ** 8.620 ** 8.086 ** 10.873 ** 10.732 ** 1.808 1.872 18.493 ** 17.812 **

性別(男性=1) 0.176 ** 0.176 ** 0.090 ** 0.091 ** -0.051 ** -0.056 ** -0.004 0.005 0.099 ** 0.094 **

学年(1~4年) 0.002 0.002 0.083 ** 0.082 ** 0.026 0.029 -0.064 -0.056 -0.017 -0.014

通学形態(自宅=1/それ以外=0) 0.034 0.034 0.029 0.029 0.026 0.028 0.042 0.042 0.010 0.007

大学志望(第一志望=1) 0.013 0.013 0.014 0.014 -0.008 -0.007 -0.038 -0.040 0.017 0.017

学部・学科志望(第一志望=1) 0.012 0.010 0.011 0.010 0.044 * 0.043 * 0.058 0.058 -0.005 0.002

入学偏差値※1 0.018 0.015 0.065 ** 0.067 ** 0.028 0.022 0.009 0.008 -0.055 ** -0.048 *

比重タイプ個数(0~3) 0.086 ** - 0.089 ** - 0.236 ** - 0.093 ** - 0.007 -

大学での活動比重組み合わせ vs. D 勉強(-)交友(-)部・サークル(-)                                                                 

A 勉強(+)交友(+)部・サークル(+) - 0.101 ** - 0.101 ** - 0.281 ** - 0.096 * - 0.009

B1 勉強(+)交友(+)部・サークル(-) - 0.118 ** - 0.110 ** - 0.222 ** - 0.092 - -0.018

B2 勉強(+)交友(-)部・サークル(+) - 0.069 ** - 0.045 - 0.134 ** - 0.017 - -0.040

B3 勉強(-)交友(+)部・サークル(+) - 0.079 ** - 0.092 ** - 0.225 ** - 0.034 - 0.064 *

C1 勉強(+)交友(-)部・サークル(-) - 0.055 * - 0.046 - 0.120 ** - 0.065 - -0.095 **

C2 勉強(-)交友(+)部・サークル(-) - 0.057 - 0.061 * - 0.100 ** - -0.008 - 0.057

C3 勉強(-)交友(-)部・サークル(+) - 0.061 ** - 0.035 - 0.102 ** - -0.006 - 0.055 *

大学全体の雰囲気満足(1~5) 0.050 * 0.051 * 0.144 ** 0.143 ** 0.220 ** 0.218 ** 0.308 ** 0.304 ** 0.096 ** 0.092 **

F 値 14.197 ** 8.438 ** 20.138 ** 11.615 ** 56.186 ** 32.957 ** 14.453 ** 8.609 ** 6.218 ** 8.368 **

調整済み R2 乗 0.038 0.038 0.055 0.053 0.144 0.145 0.123 0.122 0.016 0.038

N 2,641 2,641 2,635 2,635 2,635 2,635 770 770 2,633 2,633

* p<0.05 ** p<0.01 βは標準化回帰係数 ※1 偏差値は各調査年時の代々木ゼミナールの指標を用いた。詳細は武内編(2005)。

※2 2004年調査データのみ

5 つの項目とも、モデル A・B ともに、帰属感には単独で有意な効果があることがわかる。活


動比重の個数・比重の組み合わせを投入しても、帰属感そのものが各意識に影響を与えている(活
動比重の変数も単独で効果があることがわかる)。
とりわけ、各意識に与える帰属感変数のβ(標準化回帰係数)の値をみると、
「大学に入るよう
に人にすすめる」、「毎日が充実している」、「自分が好きである」に対して、強い効果をもつこと
がわかる。
要するに、大学への帰属感(雰囲気満足)が高まると、向大学意識や自己肯定意識が高まって
いるということができる。

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3.3 帰属感と大学観
帰属感(大学全体の雰囲気満足)の違いは、大学観(下の囲みのような 2 者択一の設問)に対
しても異なる。差のみられた項目が、表 3.4 である。

問 大学について、いろいろな意見がありますが、あなたはそれぞれについてどちら
の意見に賛成ですか。あなたの意見に近いほうに○をつけてください。

a 1. 単位が楽に取れる科目を選択したい。
2. 単位を取るのが大変でも、自分の興味のひかれる科目を選択したい。

b 1. 大学ではもっと社会に出た時に役立つ知識や技術を教えるべきだ。
2. 大学の授業は、好きなことが学べて、知的刺激になればよい。

表 3.4 大学観×帰属感(大学全体の雰囲気)
a 大学についての意見
単位が楽に 自分の興味の
N
取れる科目を 引かれる科目を
満足 24.9 75.1 1243
大学全体
の雰囲気
どちらとも 36.5 63.5 961
不満 32.6 67.4 479
全体 30.5 69.5 2683
カイ2乗検定 ** * p<0.05 ** p<0.01

b 大学についての意見
社会に役に立つ 知的刺激に
N
知識や技術を なればよい
満足 43.4 56.6 1243
大学全体
どちらとも 50.8 49.2 958
の雰囲気
不満 57.0 43.0 481
全体 48.5 51.5 2682
カイ2乗検定 ** * p<0.05 ** p<0.01

a では、帰属感が高いと、
「自分の興味の引かれる科目を」求めている。一方、どちらともいえ
ない、もしくは帰属感が薄いと、「単位が楽に取れる科目を」求めている。
b では、帰属感が高いと、大学で教えられる知識は「知的刺激になればよい」と考えている。
それに対し、帰属感が薄いと、「社会に役に立つ知識や技術を」教えるべきだと考えている。
帰属感が薄い場合、大学に対し、単位を楽に与えてくれる存在とみなしたり、実学を優先した
思考を抱いたりする。しかし、帰属感が高いと、知識への思考は異なる。つまり、自分の興味を
優先した授業を履修しようとしたり、知的刺激を優先したりするのだ。

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帰属感の高まりによって、学生は主体的に大学の知に関わろうとする。安易な単位修得や、実
用向けの知識・技術修得といった側面から大学を利用することをやめて、学内に散在する多くの
知識に、自ら浸ろうとしている様子がうかがえる。それは功利的なものとはいえない種類の知識
かもしれないが、帰属感の高まりを通じて、学生は大学に価値を見出し、知を希求していくので
ある。時代の流れからは遅れた大学のありようかもしれないが、学問知を媒介にしたコミュニテ
ィを欲している学生が存在する。
表 3.5 は、
「自分の興味の引かれる科目を」、
「知的刺激になればよい」との回答を従属変数(選
択した場合を 1 とし、非選択を 0 とした)とし、表 3.1 と同じく独立変数を投入して、ロジステ
ィック回帰分析を行った結果である。

表 3.5 大学観の規定要因
ロジスティック回帰分析 【従属変数】=1
自分の興味の
知的刺激になればよい
引かれる科目を
【独立変数】 効果 Exp (効果) 効果 Exp (効果)
性別(男性=1) -0.324 ** 0.723 0.384 ** 1.468
学年(1~4年) 0.037 1.038 -0.013 0.987
通学形態(自宅=1/それ以外=0) -0.089 0.914 -0.040 0.960
大学志望(第一志望=1) -0.226 * 0.797 0.136 1.145
学部・学科志望(第一志望=1) 0.045 1.046 -0.064 0.938
入学偏差値※ 0.017 * 1.017 0.048 ** 1.049
大学での活動比重組み合わせ vs. D 勉強(-)交友(-)部・サークル(-)               
A 勉強(+)交友(+)部・サークル(+) 1.050 ** 2.858 0.040 1.041
B1 勉強(+)交友(+)部・サークル(-) 1.213 ** 3.362 0.095 1.099
B2 勉強(+)交友(-)部・サークル(+) 1.153 ** 3.168 -0.132 0.876
B3 勉強(-)交友(+)部・サークル(+) -0.276 0.759 0.056 1.058
C1 勉強(+)交友(-)部・サークル(-) 1.051 ** 2.860 0.017 1.017
C2 勉強(-)交友(+)部・サークル(-) 0.033 1.033 0.158 1.171
C3 勉強(-)交友(-)部・サークル(+) -0.311 0.732 0.116 1.124
大学全体の雰囲気満足(1~5) 0.138 ** 1.148 0.151 ** 1.163
定数 -0.840 * 0.432 -3.159 ** 0.042
カイ 2 乗 253.007 ** 114.676 **
-2 対数尤度 2,982.231 3,521.969
Cox & Snell R 2 乗 0.092 0.043
Nagelkerke R 2 乗 0.130 0.057
N 2626 2625
* p<0.05 ** p<0.01
※ 偏差値は各調査年時の代々木ゼミナールの指標を用いた。詳細は武内編(2005)。

両項目とも、帰属感には有意な効果がある。とりわけ、
「知的刺激になればよい」では、性別(男
性)に次いで、高い効果がある。一方、
「自分の興味の引かれる科目を」は、勉強比重の効果に比

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べて、帰属感の規定力は低いことがわかる。

3.4 小括
ここでの分析で明らかになった点を列挙しておこう。

・大学での活動が多いほど、大学生の帰属感(大学全体の雰囲気への満足)は高まる
・帰属感が高まると、大学生の向大学観・自己肯定意識・現在志向が高まる
・帰属感が高まると、大学生は自主的な形で大学知に関わろうとする

帰属感(大学全体の雰囲気への満足)の違いは、大学生の生活意識に差をもたらす。帰属感が
高いほど、自分の生活をポジティブ(前向き)に捉えているといえる。在籍大学への帰属を感じ、
学生生活を送るにつれて、学生の知的欲求は喚起されていく。大学内の知を媒介にして、大学生
は、自己・社会に対して、問い返す機会を得ているといえるだろう。
資格取得や卒業後に役立つ実学知識の修得を優先した大学のカリキュラムでは、学業(勉強)
を中心においた学生生活となってしまう。そこでは、交友や部・サークル活動に時間を割くこと
が難しい。しかし、データからは、学業(勉強)以外の活動にも、比重を置くことによって、大
学への帰属を感じる大学生の存在が明らかとなった。大学生は、さまざまな活動が実践できる場
としての大学(=コミュニティ)を求めている。
大学側としても、学業(勉強)以外の活動へのサポートも必要ではないか。帰属感の薄い大学
生には、まず、大学内の多くの活動に参加できる機会を与えることが大事である。すでに帰属感
が高まっている大学生へも、更なる満足を導くためにサポートは必要と考える。

(浜島幸司)

本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金・基盤研究B(課題番号:13660167)「有効な学生
支援に関する実証的研究-学生のキャンパスライフからの考察-」
(代表・武内清)の一部をなす
ものである。

【参考文献】
Delanty, Gerard, 2003, Community, Routledge.,
(=2006,山之内靖・伊藤茂訳『コミュニティ』
NTT出版)

E.Pascarella & P.Terenzini (1991) How College Affects Students: Findings and Insights from
Twenty Years of Research, San Francisco : Jossey-Bass.
Kerr, Clark, 1982, The Uses of The University, 3rd Edition,(=1994,箕輪成男・鈴木一郎訳『大
学経営と社会環境-大学の効用〔増補第3版〕
』玉川大学出版部)
喜多村和之,1993,「コミュニティとしての大学」本間長世編『アメリカ社会とコミュニティ』
財団法人日本国際問題研究所,pp.207-224.
喜多村和之,1986,『学生消費者の時代 アメリカの大学「生き残り」戦略』リクルート
MacIver, R.M., 1924, Community: a sociological study : being an attempt to set out the nature
and fundamental laws of social life, Macmillan,(=1975,中久郎・松本通晴訳『コミュ

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ニティ』ミネルヴァ書房)
武内清編 2005『学生のキャンパスライフの実証的研究―21 大学・学生調査の分析―』文部科学
研究費中間報告書(課題番号:13660167)
全国大学生活協同組合連合会(2006)『第 41 回学生の消費生活に関する実態調査:Campus life
Data 2005』。

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