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間 通巻227号、2008年11月3日
発行

の  
 
 
 
 
 
 


 





 
 
 



 
 


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る 対 於
こ し け
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と 猛 錬
す 威 金
る を 術
。 振 で
米国の金融システムはどのように機能
したか
森野 榮一
経済の出来事を、うまくできた寓話がよく理解させてくれるということがある。
ドイツの freiwirte
というゲゼリアンのメーリングリストを購読しているが、そこで、サ
ブプラ危機から始まる金融危機に関して、ミヒャエル・ムジール氏の、08年10月24
日付け﹁チャックと駄馬、あるいは米国金融システムの機能の仕方﹂という一文が目につ

1
いた。
お話はおおよそこうである。
青年チャックは独立して農場を持つほど豊かになりたいと望んだ。
初めに彼は馬を農民から購入する。
農民に代金全部、100ドルを支払い、彼と翌日、馬を引き渡す約束を交わす。
次の日、農民が訪れ、チャックにこう告げた。
﹁悪い知らせです。申し訳ありません。昨晩、動物は倒れて死にました。﹂
チャックは答える。
﹁いいですよ。ただ私のお金を返してください。逃げないでください。﹂
農民は彼にこう打ち明ける。
﹁そのお金は昨晩、肥料を購入するのに使ってしまいました。﹂
チャックは少し考え、
﹁う∼ん、じゃあ、﹂と口を開き、では、私は﹁死んだ動物をもらう﹂。
農民は尋ねる。
﹁何のために?﹂
﹁それでくじをしたい﹂とチャックはいう。

2
農民は驚く。
しかしチャックは答える。
﹁問題ない。それがすでに死んでいても、誰にも言わない。﹂
数ヶ月後、すてきなスーツとかっこよい靴でチャックと農民は都会の道を走る。
農民はいう。
﹁チャック、馬の死体の富くじでどれくらい儲かった?﹂
﹁こうさ﹂チャックは彼に説明する。
﹁2ドルで500枚のくじを売った。最初から1000ドルが利益だ。﹂
農民は﹁で、だれも不平をいわなかったかい? くじで勝った人は。﹂と聞く。
チャックは﹁単に2ドルを戻しただけさ。﹂と。
いま、チャックはゴールドマン・サックスで仕組み金融商品を販売している。
ここで馬はサブプラ債権である。
債務担保証券の構成要素である住宅ローンなどの貸出債権は、個人の平均信用度を上回
る、オルトAとプライム、それにこれを下回るクレジット・スコアのサブプライム向けに
分かれる。
プライムを○、オルトAを△、サブプラを×とすると、○△×を集めてきて債務担保証
券を仕組んだ。

3
ここで×ははなから、死んだ馬であることがわかっていて貸し出したわけ。
しかし、要は、﹁問題ない。それがすでに死んでいても、誰にもいわない﹂ということ
であった。
つまり、死んだ馬も普通の馬も駿馬もみな切り刻んでごちゃごちゃにして一つの﹁馬﹂
を作り上げる。これを格付け会社が、AAA、AA、A、BBB、BB、B、 格付外、に
ランキングを作成してくれる。
客はこの馬がよい成績を出してくれるだろうと、その馬に賭ける。そうしていま、その
馬は値が付かないほど下落している。こうした証券をたとえば、破綻してしまったリーマ
ンから購入した人々は、額面1ドルにつき、いまはわずか セントの値しかつかない紙く

15
ずを握ることになっているそうだ。
右記文中に﹁都会の道を走る﹂とあるが、まさに走ると表現できるほど、この詐欺商売
のスピードははやかった。
そのスピードの元が金融工学であった。
年代の半ばころ、ソロモン・ブラザースが証券化の技術を開発した。それに首を傾げ
80

てきたが、 年にも満たぬうちに、世界を席巻した。
20

投資会社︵証券会社︶はマネーマーケットからカネを借り、それを融資し、そう、﹁農
場を持つほど豊かになりたいと望んだ﹂というぐあいに、融資しまくった。
死んだ馬でもよかったのだ。
そして証券化して販売した。
その販売代金をまた貸し付け、・・・以下同様。

4
最初にスタートするときに借り入れた資金のほかは、資本など不要なわけである。こう
した手口はさまざまな類似の手口を生み出した。しかし、死んだ馬が稼いでくれると人に
信じ込ませる本質にかわりはない。
米国人はクレジット・カードを使う。いま、その信用残高は2兆6000億ドル。これ
も資産担保証券の元になっている。
米国流生活様式は世界に輸出されてきた。しかし死んだ馬の成績に期待させ、リスクを
引き受けさせるビジネス文化は死んだ。ほんとうに死んだのである。借金文化も死滅して
いく必要がある。
チャックを走らせてはならない、いや失速しているか。米国では債務担保証券の発行は
急減しているそうだから。
しかしこの数十年、こうした金融詐欺産業で儲けてきて、それが立ちゆかなくなってい
る状況は米国にとって深刻だろう。仕組み金融商品で世界中の欲に目のくらんだ人々をだ
ましてきはしたが、次なる米国の産業はなにか、製造業の大切さが日本人ほどわかってい
るのか、たとえそうではあっても、とてもそこには戻れないだろう。債務担保証券という
インチキを商えなくなって、こんどはどんな﹁産業﹂を起こすつもりなのか。
そこでどうするか、いま大統領がどちらになるか世界の注目ではあるが、まずは、こう
した金融上の詐欺の尻ぬぐいをしなければならないだろう。もしかしたら、極端なドル安
にするあらゆる手を使うかもしれない。

5
週刊マーケットレター、第 号

253
︵ 年 月3日週号︶
08
11

6
曽我 純
為替レート 10 月 31 日(前週) 1ヵ月前 3ヵ月前
  円ドル 98.50(94.25) 106.1 107.9
 ドルユーロ 1.2730(1.2620) 1.4085 1.56
 ドルポンド 1.6105(1.5910) 1.7775 1.9815
 スイスフランドル 1.1575(1.1695) 1.124 1.0475
短期金利(3ヵ月)
 日本 0.94063(1.00250) 1.015 0.9025
 米国 3.02625(3.51625) 4.0525 2.79125
 ユーロ 4.76875(4.90750) 5.27375 4.9625
 スイス 2.71833(2.92000) 2.955 2.75583
長期金利(10 年債)
 日本 1.480(1.480) 1.48 1.53
 米国 3.96(3.68) 3.82 3.95
 英国 4.50(4.37) 4.45 4.8
 ドイツ 3.91(3.75) 4.03 4.36
株 式
 日経平均株価 8576.98(7649.08) 11259.86 13376.81
  TOPIX 867.12(806.11) 1087.41 1303.62
  NY ダウ 9325.01(8378.95) 10850.66 11378.02
  S & P500 968.75(876.77) 1166.36 1267.38
ナスダック 1720.95(1552.03) 2082.33 2325.55
  FTSE100(英) 4377.34(3883.36) 4902.45 5411.9
  DAX(独) 4987.97(4295.67) 5831.02 6479.56
商品市況(先物)
  CRB 指数 268.39(256.00) 345.5 416.4
 原油(WTI、ドル/バレル) 67.81(64.15) 100.64 124.08
 金(ドル/トロイオンス) 716.8(729.1) 874.2 913.9

表 1: 主要マーケット指標

7
■ 日本経済の厳しい状態は1年以上続くだろう
週初の 月 日、日経平均株価は 年4月のバブル崩壊後の安値を更新した。約 年
10
89 27

03

19
経過してなお 年末の最高値からの下降相場から抜け出していないのである。これまで政
府の経済対策を始めさまざまな試みを講じてきたが、それらの処方箋は日本経済の体質強
化に結びついていないことを明示している。日本経済の外需依存性、自律性のなさ、それ
に伴う大きな経済変動等、これらの構造問題はほとんど改善されていない。経済構造の変
革がなされないまま、人口減、高速高齢化を迎え、日本丸の進路は定まらない。杜撰な前
提に基づいた社会保障の見取り図が社会の混乱に拍車を掛けることになる。

8
日本の株式市場は政府の間違った政策により、超短期売買が活発になり、博打場の様相
を呈している。売買回転率は主要国のなかで最高であり、特定の金が頻繁に売買を繰り返
している異常な市場である。これほどの暴落をしながらも先週、東証1部の出来高は3営
業日、 億株を越えた。日銀は政策金利を 年間も1%以下に抑えていることも株式市
30

13
場を投機的にしている。
利息収入が限りなく少なくなってしまったため、国民は株式や投資信託のようなリスク
の高い商品に手を出してしまった。高い販売手数料を払っただけでなく、毎年、信託報酬
を取られ、挙げ句のはてに、元本まで食い潰されてしまう投資信託を購入した。銀行や郵
貯まで高い手数料ほしさに大量に売ってきた。預金の金利が1年物で0・3%程度なのに
株式投資信託を購入するだけで多額の手数料を取られ、その上、信託報酬は年1%以上を
没収される。 そうした手数料や管理費が
運用会社や証券会社の懐に転がり込んで
いるのだ。
投資信託の購入に、 このような高い手
数料、 運用コストを消費者に負担させる
一方、 株式売買の委託手数料は安価にな
り、 また税金が掛からないのは不思議で
ある。 投資信託のように民間から金を集
め、 リスクを取らない企業を太らせるこ
とよりも、 株式売買に税金を課したほう

9
が、 投機を抑え、 株式変動による社会的
な悪影響を和らげ、 国全体にとって有益
ではないかと思う。
日、政府は追加経済対策を決定、そ

30
の翌日、 日銀は政策金利を0 ・ 2%引き
下げ年0 ・ 3%とした。 こうした経済対
策や利下げの効果はほとんど効き目がな
いだろう。 2兆円の給付金を全世帯にば
らまくよりは、 所得格差の拡大を是正す
るためにも累進課税を強めるべきだ。法
人の約7割は欠損法人であり、 法人税を
納めていないが、 社会のインフラ使用料
として、 いくばくかの税金を徴収する必
要がある。
全国銀行ベースの業務純益は 年度、5

07
兆円だが、 法人税等の税金は5427億
円と業務純益の1割強でしかない。 公的
資金は注入してもらい、 税金も少ないと
は、 銀行への優遇は度を越している。 政
府支援で銀行は生き長らえたが、 198

10
9年末を100とした銀行株指数は 年

08
月末、 ・1にすぎず、銀行は合併で

10

11
大きくなっただけで、中身は変わっていな
いことを示している。
非金融部門の株価指数は銀行ほど落ち
込んでいないが、 年4月以降の株価回

03
復は資源高や新興国の拡大といった神風
のお蔭であり、 自らの努力や開拓により
収益が向上した割合はさほど大きくなかっ
た。 だが、 CRB指数が週末、 268と
ピークの473︵7月2日︶から約4ヵ月で ・3%も暴落し、世界的な金融部門の機能
43

不全と合わせて、事業会社の収益は急低下している。
今回の日本株の下落を、企業業績を無視した根拠のない暴落と指摘する主張をよく目に
するが、今期の予想1株当たり利益だけで十分に説明可能である。今下期の収益環境は上
期よりも悪化することは間違いなく、今期の減益率は2割を超えるだろう。しかも景気は
下降の段階にあり、さらに落ち込むと考えられる。
機械受注や資本財出荷指数によれば、それらは減少、低下しつつあり、まだ底に到達す
るには1年以上かかるのではないか。前回IT不況のときには、回復に向かうには2年半
ほどの時間を要したが、欧米の住宅バブル、資源バブル等の影響を受け、不況から抜け出
すには長い時間が必要になると思う。

11
米国の7∼9月期のGDPが発表されたが、実質前期比年率0・3%減と3四半期ぶり
のマイナスとなった。耐久消費財が同マイナス ・1%と大幅に落ち込んだことから、消

14
費支出が3・1%減少したほか、設備投資と住宅が1・0%、 ・1%それぞれ減少し、

19
民間部門だけで2・5%の低下となった。純輸出と政府支出の拡大により、小幅なマイナ
スにとどまったが、 月の消費マインドは極端に冷え込んでおり、 ∼ 月期の成長率

10

10

12
はさらに悪化するだろう。
米国だけでなく欧州の景気も悪化しており、その影響が日本の輸出産業を直撃している。
外需の不振により資本財部門の受注は急激に減少しており、稼働率は低下、利益は落ち込
んでいる。資本財部門の不振は消費財部門に及び、日本経済は向こう1年以上、IT不況
を上回る厳しい経済状態が続くだろう。
週刊マーケットレター、第 号

252
︵ 年 月 日週号︶

12
08
10
27
曽我 純
為替レート 10 月 24 日(前週) 1ヵ月前 3ヵ月前
  円ドル 94.25(101.65) 106.1 107.3
 ドルユーロ 1.2620(1.3410) 1.462 1.5675
 ドルポンド 1.5910(1.7320) 1.8495 1.9865
 スイスフランドル 1.1695(1.1355) 1.091 1.0355
短期金利(3ヵ月)
 日本 1.00250(1.06000) 0.90625 0.905
 米国 3.51625(4.41875) 3.47625 2.795
 ユーロ 4.90750(5.02000) 5.0625 4.95938
 スイス 2.92000(3.09000) 2.81667 2.76833
長期金利(10 年債)
 日本 1.480(1.570) 1.48 1.65
 米国 3.68(3.93) 3.81 4
 英国 4.37(4.68) 4.57 4.97
 ドイツ 3.75(4.03) 4.16 4.56
株 式
 日経平均株価 7649.08(8693.82) 12115.03 13603.31
  TOPIX 806.11(894.29) 1167.97 1332.57
  NY ダウ 8378.95(8852.22) 10825.17 11349.28
  S & P500 876.77(940.55) 1185.87 1252.54
ナスダック 1552.03(1711.29) 2155.68 2280.11
  FTSE100(英) 3883.36(4063.01) 5095.57 5362.3
  DAX(独) 4295.67(4781.33) 6052.87 6440.7
商品市況(先物)
  CRB 指数 256.00(282.14) 366.44 412.9
 原油(WTI、ドル/バレル) 64.15(71.85) 105.73 125.49
 金(ドル/トロイオンス) 729.1(785.1) 889 922

表 1: 主要マーケット指標

13
■  年後、株価が最安値を付けようとしている経済的
19

含意
週間で日経平均株価は約1000円下落し、 年4月のバブル崩壊後の安値に接近し

03
た。前回レポートで指摘した輸出や設備投資依存度の高い日本経済の脆弱さを、ここにき
て市場参加者が認識してきたからだ。輸出や設備投資の拡大が企業収益の源泉であっただ
けに、それらが減少することは、企業収益に大打撃を与えることになる。加えて、金融政
策の政策余地は0・5%と乏しく、政府の債務残高は巨額であり、大規模の財政支出を打

14
ち出すこともできない。欧米の主要国に比べて、金融・財政政策出動の余地が狭いことが、
日本経済の不況克服能力を弱め、景気後退の長期化必至観測を招き、日本株の下落率を大
きくしているのである。
さらに、市場参加者が外人に偏っており、外人が日本株の相場をリードしている特異な
市場であることも、今回の暴落に繋がっている。 年から 年の5年間に、外人は日本株

03

07
を累計 ・1兆円も買い越しており、売り玉はいくらでもある。株式だけでなく債券︵中
45
長期債︶も同期間、 兆円買い越し、海外の機関投資家やヘッジファンドの円資産の比率

25
は上昇している。
最近、企業業績の下方修正が続出しているが、下期の業績はさらに悪化する見通しであ
り、今期の1株当たり利益は、前期比 %前後は減少するだろう。日経平均株価の予想

20
株価収益率︵PER︶は先週末、 ・

10

25
倍だが、PERが同じで %減益予想で

20
は、 株価は6788円となる。 利益の何
倍まで買われるかについては将来の経済・
収益見通しにより大きく変わるが、 世界
的に景気が急速に悪化しているときには、
市場は弱気に傾き、 PERも低下するだ
ろう。 そうなれば、 日経平均株価の妥当
な水準はますます低くなる。
世界の主要株価の予想PERも 倍以

10

15
下であり、 大方、 日経平均株価の予想P
ERを下回っている。 また日経平均株価
の予想配当利回りは2 ・ 8%だが、 欧米
主要株価に比べて低く、 これだけ売られ
たにもかかわらず、 日経平均株価が割安
と判断することができないのである。
OECD景気先行指数によれば、 世界
景気のピークアウトの兆候は 年4月頃

06
にあらわれていた。 そうした兆しには目
もくれず、日経平均株価は上昇を続け、

07
年 月
7 には1万8261円に達した。売買代金や予想PERなども株式バブルを示唆して
いた。株価は 年央以前に下降しなければならなかったが、バブルに酔い痴れて、高い水
07

準まで上昇しすぎ、下降が遅れてしまった。
バブル崩壊後の日経平均株価が安値 ︵7607円︶ を付けた 年4月は、 日本の景気

03
が底打ちしてから、すでに1年3ヵ月経過していた。金融危機によって過度に悲観的にな
り、株式の反発は景気に大幅に遅れた。だが、今回、景気は下降中であり、しかも、欧米
の住宅バブル崩壊によって、世界経済は歴史的な金融危機のさ中にある。通常の世界景気
の後退ではなく、戦後、最大の試練に直面しており、世界不況は長くかつ深いものになる
だろう。もともと景気変動の激しい日本経済であるだけに、今回は戦後最大級の谷になる
覚悟を決めておいたほうがよい。景気が深刻さを増す段階にあることが、1ヵ月で日経平

16
均株価が4466円もの暴落しても、まだ株式を不安にさせている最大の要因である。
それにしても、1989年末の過去最高値後の安値を今になってまた経験するというこ
とは、いまだに日本経済は株式・不動産バブル崩壊の痛手から立ち直っていないことを示
している。失われたのは 年代だけでなく、今も失われつつある時代なのだ。

90
欧米の政府・中央銀行は金融機関に資本注入をすることが、金融の安定化に繋がるとい
うが、だれが、どのくらい不良資産を保有しているかも精査することなく、簿外資産を認
めたまま、安易に注入すれば、日本のように、景気はいつまでたっても低迷し続けること
になりかねない。﹁大きくて潰せない﹂のではなく﹁大きいからこそ潰さなければならな
い﹂のだ。シティグループのように約2兆ドルもの総資産を抱える巨大金融機関の実態が
不透明なままでは、金融危機をたとえ乗り越えたとしても、その後の経済の足取りは決し
て確かなものにはならないはずだ。
■ 円、ドルの現金選好強まる
あれだけバブル崩壊で苦しい思いをしたけれども、学習効果がほとんどみられず、日本
の金融機関、機関投資家、個人は過去5年間ほどで、外国証券︵投信を含む︶を大量購入
した。 年6月末の対外証券投資残高は279・7兆円、 年6月末から ・ 5兆円増
08

03

88
加した。主要通貨に対して円が %上昇すれば、 兆円の評価損が発生することになる。

10

28

17
そのような恐怖に襲われ、先週、外国証券の大量の売りがでた。
米国の投資信託やヘッジファンドも解約等に備え、ユーロからドルへの転換を進めてい
る。米金融機関も流動性確保のため、証券等売却できるものはすべて売却する姿勢を強め、
ドル確保に躍起になっている。7∼9月期のイギリスの実質GDPが約 年ぶりにマイ

16
ナスになったことも、欧州の景気を不安にさせ、ドル買いユーロ売りに拍車を掛けた。
先週 週
1 間で、対ドルでユーロは5・9%下落、対ドルで円は7・3%上昇したことか
ら、円・ユーロ相場は約119円、 ・7%も円は急騰した。低金利の円を借り海外で運

12
用しているヘッジファンドなどが、運用悪化、解約により証券を売却、円に換える動きも
続くかもしれない。予想外の円高により、国内の外国証券保有者の狼狽売りもでるだろう。
今度こそは、自分の頭で理解できる商品以外購入しないと決意してもらいたい。日本経
済が成長しない状態では、資産の利回りもほとんど期待できないのである。うまい話をも
ちかけられたら、かならずトリックがあると考えなければならない。欲が命取りになる。

18
﹁人間の経済﹂、通巻 号
227

 二〇〇八年一一月三日 発行
 編集・発行 ゲゼル研究会
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221

321
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