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 どうして私は、私の人生の映画のリストを作成しようなどとしたのだろう?どうして

そんな気になったのだろう?ロサンジェルスの空港に着陸した後、なぜ私は、頭の中で
次から次へとリストを完成していくことばかりしていたのだろう?そして、私に起こる
などとはまったく予想もしていなかったことが起こったのだろうか?どうして私は、白
髪混じりのエルサルバドール人の運転する古い緑色のマリブの後部座席に乗って、この
果てしない都会を見て回ってみようなどとしたのだろう?孤独で妄想癖のある存在た
ちでいっぱいの「DVDプラネット」という名の店の、明かりに照らされた通路で私に目
眩を起こさせたものは何なのだろう?なぜ私は、私の無意識から消された(克服した、
払拭した)ことにしていた出来事や人物や映画を再び考えようとしたのだろう—ある
いは生きようと、感じようと、楽しもうと、恐れようとしたのだろう?どうしてこんなに
年月が経っているのにまた思い出そうとするのだろう?もう何年も映画を見に行った
こともなく、まったくと言っていいほど何も見ていないのに、どうして映画を貪り食っ
ていたあの時代へと戻ったのだろう?別な風に言えばこうだろうか:What the fuck
is going on?
 実際起こることはひどいものだ。
 まぁ、それほどひどくはないのかもしれないが、私にとってはそうだ。私は、大学との
約束を破り、旅程を無視し、私を待ってくれている人のいる場所へ行かなかった。
《エル・エイ》 、The City of Angels。サンフェルナンド渓
 私はロサンジェルスにいる。
谷のバンナイズ、エリジアン・パーク断層システムの水平断層の上だ。
 ここで私は何をしている?
 なぜまだ私はこの町に留まっているのだろう?なぜ私は、予定どおり、契約したとお
りに東京におらず、405号ハイウェイが見わたせるホリデイインの一室で閉じこもっ
たまま、狂ったように書き物をしているのだろう?
 私はもうほとんどまる4日間こうして、いっぱいいっぱいになって、スローモーショ
ンで流れるような、ときに2倍早送りのような時間を過ごしている。午前6時43分、日
は昇ったばかし、サンタアナの暖かい風が下方のプールの水を揺らしている。廊下の奥
へ探しに行った氷はすでに溶けてしまっている。絨毯には、ツインキーズの食べかすと
かぼちゃの種の残りが溜まっている。
 誰でも、退屈してか、疲れ切ってか、あるいは眠気まなこでキッチンに入ったことがあ
るだろう?まるでゾンビのような姿で、渇いた喉とねっとりした息をして、冷たく冷や
した爽やかなコカコーラの2リットル半入りの容器をそのまま口から飲もうとする。し
かしまさに開けようとするそのとき、何の前触れもなく、誰かが(おそらく自分自身
で)、それを激しく揺さぶったことに気づく。そのときはもう遅い、いつでも遅すぎるの
だ。プラスティックの栓を外すと、プンッ、パフッ、シュワーッ....すべての黒い液体、す
べての泡とあぶくが君の顔にまるで衝突された消火栓のように吹き出し、大噴火が治ま
るまでずぶ濡れになっておくほかはない。
 いいだろう。これがおおよそ私の状態だ。
 実際は、もっと悪い。しかし悪くないとも言える。
 つまり、私はコカコーラの容器で、私を揺さぶったのは、(おそらく)二度ともう会う
こともないひとりの女だった。私の目をまっすぐ見ていたのは彼女だった。彼女が笑い
を誘い、話しを引き出し、疑いを持たせて、連絡を取るようにしたのだった。私の記憶を
開け、思い出でできた粘ついた物質を逃がしたのは彼女だった。