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『モバイルナビ会議』参加特典

ONEDARI BOYS インタビュー

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002 | ONEDARI BOYS
人気ブロガー7 人で構成される ONEDARI BOYS(おねだりボーイズ)。企業

に商品を「おねだり」し、その使用感をブログ上でレポートする。ただし「気

に入った商品しかレビューしない」
「企業からは一切金銭的な報酬を受け取ら

ない」というポリシーを貫いている。

ONEDARI BOYS http://www.onedari.org/

2006 年 1 月開始以来、口コミで存在が広がり、大手メーカーから直接商品

を提供されるなど、ブログマーケティングを手がける企業から注目を集めて

いる。参加ブロガーの月間ページビューの合計は 200 万前後。

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ONEDARI BOYSは企業のブログマーケティングをどう捉えているのか、参

加メンバーのコグレ氏(ネタフル 1 運営)といしたに氏(みたいもん 2 運営)

に話を伺った。

■ きっかけは「シャレ」

「きっかけはシャレだったのです。で、本当は今もシャレでやっています。」

コグレ氏もいしたに氏も笑いながらそう語る。

きっかけは「ガイアの夜明け」のラーメン特集。この番組に登場する企業が

口コミを狙い、ラーメン通のブロガーを呼んで試食会を開くことになった。

その試食会に呼ばれたのが ONEDARI BOYS を構成する 7 人の人気ブロガー。

7 人がラーメンを食べる様子が取材された。

テレビに出ることになるかも、と 7 人は喜んでその様子をブログに書いた。

そして放送日。「今か、今か?」とテレビを前に 7 人の期待は裏切られる。

まったく取り上げられなかったのだ。

その無念さから書かれた参加メンバーの一つの記事。
「これからは張り切って

売り上げ弊社比 200%増な記事を書きますから、無料でなんか食わしてくだ

さい。」 3 。

1
月間 100 万ページビューを超える人気ニュースサイト。URLは http://netafull.net/
2
ITビジネス関連から時事ニュースまで幅広く扱う人気ブログ。URLは
http://mitaimon.cocolog-nifty.com/
3
http://rebecca.ac/milano/mt/archives/001309.html

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「この『無料でなんか食わしてください』っていいよね、とチャットで盛り

上がったのがきっかけです。」いしたに氏は ONEDARI BOYS 誕生の瞬間を

そう教えてくれた。

そこからはとんとん拍子で話が進んでいく。コグレ氏が「企業に商品を『お

ねだり』してブログに書けたらいいよね」と、
「おねだり」というキーワード

を思いつく。いしたに氏はその日のうちに「おねだり用のブログ」を自身の

ブログの一角に立ち上げた。すると思わぬ反響があった。急いで独自ドメイ

ンをとり、「おねだり」専用のブログを立ち上げた。2006 年 1 月のことだっ

た。

滑り出しは順調だった。ドコモ、Skype といった企業と「おねだり」が成立。

参加ブロガーは思い思いのレビューを書き込み、商品を提供した企業から感

謝された。その後も数多くの問い合わせが続いた。気がついてみたら 1 周年

を迎えていた。そして 2007 年 2 月には日経新聞朝刊の一面で取り上げられ

る。

「日経新聞の反響は大きいですね。続々と問い合わせが来ています。」そうい

したに氏は教えてくれた。しかし「おねだり」の趣旨を理解してくれる企業

としか「おねだり」は成立させない。その趣旨について二人に聞いた。

■ 自分の気に入ったものしか書かない

ONEDARI BOYS のポリシーは単純かつ明快だ。自分の気に入ったものしか

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『おねだり』しない、である。自分が望まないものは一切もらわないし、ブ

ログにも書かない。

企業と「おねだり」が成立した場合、ONEDARI BOYS の 7 人全員が書く、

というわけではない。7 人の中で商品を気に入った人だけが書くというルー

ルを徹底している。「企業から最初に問い合わせがあるとまずは 7 人に流し

ます。そこで気に入った人が 1 人でもいれば『おねだり』が成立します。」

また書く内容についても一切指示を受けない。
「自分の好きなように書かせて

もらっています。そうでないと単なる記事広告になってしまいますよね。」掲

載時期、期間についても同様だ。
「商品を受け取ってなるべく早めに書くよう

にしていますが、商品によっては少し使ってからでないと書けないものもあ

ります。そのあたりは自由にやらせてもらっています。」

いしたに氏いわく「ブロガーにとってきわめて都合の良い仕組み」ではある

が、企業からは「それでもいいので是非お願いしたい」と回答が返ってくる

という。

「好きなものしかレビューしない」という ONEDARI のポリシーは「ネガテ

ィブな記事は書かない」ということでもある。「ネガティブな記事、つまり、

読者が読み終わって気分が悪くなるような記事は書きません。自分でもそう

いう記事は読まないし、読むだけ時間の無駄だと思います。」

商品に対して部分的に批判をすることはある。ただし、そこにはきちんとし

た理由がある。読んだ人が自分なりの判断を下せるような材料を提示するこ

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とを忘れない。
「企業の担当者からも『忌憚のない意見を書いて欲しい』と言

われています。だから思ったように書きます。」あくまでも「正直な声」なの

だ。

また最近は ONEDARI BOYS だけでなく、彼らのブログの読者用に商品プレ

ゼントをもらうことも多い。そうすると当選した読者が自身のブログで商品

を紹介することもある。ただし応募の条件に「ブログに書くこと」というも

のはない。あくまでも「書きたい人が書く仕組み」なのである。

そうした「正直な仕組み」は 7 人のブログの読者にも好評だ。実際、ジレッ

ト社からの提供してもらった髭剃りのプレゼント企画 4 では 100 名を超える

応募者を集めた。他にもSANYOの空気清浄機 5 でも 100 名強の応募者を集め、

シャーパーイメージ社のユニークなスピーカー『iTower』6 に至っては応募者

は 200 名を超えた。

さらに「あれはすごかったね」と二人が教えてくれた事例はkijiji 7 。地域のタ

ウン広告を手がけるkijijiではONEDARI BOYSの読者向けにウェブカメラと

QUOカードを提供してくれた。ただし条件は「kijijiのブログパーツを貼って

から応募してください」というもの。ブログパーツをつけるのは単にメール

を送ったり、フォームで応募するよりもはるかに難易度が高い。それでも 200

名近い応募が集まり、kijijiからは予想を超える大きな反響に対する喜びの声

が届いたという。

4
http://www.onedari.org/2006/10/gillettefusion51onedari.html
5
http://www.onedari.org/2007/02/sanyo.html
6
http://www.onedari.org/2006/12/itoweronedari_1.html
7
http://www.onedari.org/2006/12/ebayonedari_boysonedari.html

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■ 企業とブロガーが作り出す好循環

「おねだり」の仕組みを使えば、企業はたった数点の商品を提供するだけで

このように「正直な声」をブログ上に広めていくことができる。マスメディ

アの影響力が低くなっているのでは・・・と懸念される今、
「場合によっては

雑誌広告よりもある意味効果的だと思う」といしたに氏は主張する。

また、とりあげるブロガーにとっては「タダで好きな商品を試すことができ

る」以上のメリットがある。
「商品をもらってレビューを書くだけだったら自

分のブログがレビューだらけになってしまいます。だから ONEDARI がある

と他の記事も書かなくては、というモチベーションが高まります。」

結果的にレビュー以外のブログの投稿が増える。そうするとページビューが

増え、さらにそのブログの人気が高まっていく。そして、その人気が高まっ

ていくと、さらにレビュー記事の価値が高まる、という仕組みになっている。

「おねだり」によって、ブロガーにとっては結果的に閲覧数が増え、企業に

とっては露出が増える、という好循環を生みだしているのだ。

またブロガーにとってブログの投稿数が増えるという量的な効果以外のメリ

ットもある。7 名のブロガーはそれぞれにブログ歴が長く、お互いに負けず

嫌いであるようだ。
「他の人が書いたレビュー記事を見ると、自分は違う切り

口で取り上げるぞ、と思います。結果的に確実に『レビュー力』が磨かれて

いますね。」ONEDARI がきっかけとなり、ブログの「質」自体も向上してい

るのである。もちろんその結果、企業にとっても質の高いレビュー記事が書

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かれるという結果を生み出している。

■ おねだり成立のためのポイント

「問い合わせはけっこう来ています。」という ONEDARI BOYS。企業とブロ

ガー、そしてブロガーの読者にとって好循環を作り上げる「おねだり」の仕

組みに参加するにはどうしたらいいだろうか。
「おねだり」成立のために企業

が気をつけるべき 5 つのポイントについて聞いた。

(1) 商品への熱意を伝えて欲しい。

「企業からの最初の問い合わせメールは商品を良く知っている人が書いて欲

しい。」二人は口をそろえて言う。商品を知らなくては熱意が伝わらない。熱

意が伝わらなくてはブログでは書くことができない。

鍵となるのは「商品への自信」。「商品スペックには出てこない、こだわりの

ポイントを熱意を持って伝えて欲しい。」熱意があるメールとそうでないメー

ルはすぐにわかるという。

「やはりネットショップの店長が一番うまいですね。」とも教えてくれた。ウ

ェブやメールだけで商品を売っていかなくてはいけないネットショップの店

長はメールでの伝え方を熟知しているという。

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(2) ブログを理解してほしい。

「たまに記事広告と間違えている方がいらっしゃいます。
『掲載期間はいつま

でですか』と聞かれたことがあります。
『ブログが存在する限り永久に掲載し

ます』と答えましたが、ブログをわかっていないな、と思いました。」逆にブ

ログを理解している人はすぐわかるという。
「売りたい、ではなくて、理解し

てほしい」という姿勢が伝わってくるからだ。

ONEDARI BOYS では数字をコミットするようなことはしない。それを理解

したうえで「真摯な意見を聞かせて欲しい。それを広めて欲しい」という姿

勢の企業からの問い合わせにはよろこんで対応する。その結果、良い記事が

生まれ、ブロガーと企業の双方にとって良い結果が生まれていく。このブロ

グ特有のサイクルを企業には理解して欲しいという。

(3) メールの書き方にも気を使って欲しい。

「気持ちはわかるのですが、やはり長すぎるメールをいただくことが多いで

すね。」とコグレ氏は語る。要点は簡潔に、できれば箇条書きで伝えた方が「お

ねだり」が成立しやすいという。また業界用語や専門用語の多用にも注意し

たい。わかりにくい言葉が多いメールでは伝えたいポイントがわからなくな

ってしまう。

またメールの件名にも気を使ってほしい、とも教えてくれた。
「想像力をかき

たてるような件名のメールがいいですね。」ONEDARI BOYS に寄せられる数

多くの問い合わせメールに埋もれてしまわないように、
「これはおもしろいか

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も!」と思わせるキャッチコピーをメールの件名で伝えるべきであるようだ。

(4) ブログの読者にもプレゼントして欲しい。

当初は 7 人だけが「おねだり」していたが、最近は 7 人のブログの読者にも

プレゼントをしてほしいという希望がある。
「自分たちだけでなく、みんなが

楽しめる企画をしていきたい」と思っているからだ。そのために企業には

ONEDARI BOYS 分の 7 個以上の商品を用意してもらったり、一般読者向け

の応募フォームをつくってくれるように頼んでいるという。

「お問い合わせをいただくときに読者向けのプレゼントも可能か、数量的に

いくつぐらいまで可能か、もあわせて書いてくれると対応しやすいと思いま

す。」とコグレ氏は教えてくれた。

ただし、それが必須ではない。
「数量がなければないで、ももちろんかまいま

せん。1 個でも 2 個でもいいのです。大事なのは熱意ですから。」企業側で数

量が用意できなかったら、ONEDARI BOYS の中で抽選を行うだけである。

数量が多ければもちろんうれしいが、さまざまな理由でそれができないこと

も ONEDARI BOYS は理解している。正直な対話が基本なのである。

(5) 企業でもブログを持っていて欲しい。

「なかなか難しいと思いますが・・・企業でもブログを持っていると最高で

す。」そういった意味ではもっとも「おねだり」が成功しやすいのは、ネット

ショップの店長がブログを持っている場合だという。ブログがあればコメン

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トやトラックバックでつながっていきやすい。ONEDARI BOYS が書いた記

事に店長のブログからトラックバックが来て、それを見た読者がそちらにも

飛んでいく、という図式が出来るからだ。

もちろん必須ではない。大きな企業であればあるほどブログを持つのは難し

いであろう。ただ、ブログマーケティングの好循環を生み出していくには企

業ブログと「おねだり」の連携が理想的であるようだ。

■ 「おれ、今すごくベーコン食べたいんすよ」

ONEDARI BOYSでベーコンを「おねだり」したことがあった 8 。提供してく

れたのはベーコンの通販サイト「トンデンファーム」。ONEDARI BOYSのメ

ンバーが次々に「こんな風に料理してみた」「うまい!」「この味でこの値段

は安すぎる!」といった記事をあげていった。

それを読んだいしたに氏の友人が言った。
「いしたにさん、おれ、今すごくベ

ーコン食べたいんすよ。」いしたに氏はその言葉が忘れられない。本当に食べ

たい!という彼の「純粋な欲望」が伝わってきたからだという。

そのとき、いしたに氏は思った。
「複数の人が波状攻撃的に記事を書くと、人

の中の欲望はこんなに高まるのだな、と実感しました。」ONEDARI BOYS の

効果を肌で感じた瞬間だった。

8
http://www.onedari.org/2006/07/onedari_8.html

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「『おねだり』したからといって爆発的に売れる、とは正直思っていません。」

と 語 る コ グ レ 氏 。 た だ 、 ブ ロ グ は 半 永 久 的 に そこに存 在しつづける。

ONEDARI BOYS を構成するのは人気ブロガーばかり。検索すればかなりの

上位にあがってくる。購入を検討している人が検索したときには有力な判断

材料となるだろう。

企業からは一切金銭的な報酬をいただきません、という ONEDARI BOYS。

ブログの特性を理解したうえで、という条件はあるが、ブログマーケティン

グに挑戦してみたい企業にとって活用しない手はないのではないだろうか。

「おねだり」を依頼したい企業は onedari@onedari.org に問い合わせてみる

といいだろう。

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