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立地戦略における

ネットワーク優位

プロ ジェク トメン バー
佐藤 圭一   中村 智治
 鈴木 香織   長谷 川武尊
目次

第1章 序文 コンビニエンスストア産業を調べるきっかけ・・・・・・・・・・  3
第2章 コンビニエンスストア産業の現在・・・・・・・・・・・・・・・・・・  5
2-1 コンビニエンスストア産業の定義・・・・・・・・・・・・・・・・・  5
2-2 コンビニエンスストア産業の沿革・・・・・・・・・・・・・・・・・  5
2-3 コンビニエンスストア産業の現在・・・・・・・・・・・・・・・・・  7
第3章 ドミナント出店とその利点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 0
3-1 ドミナント方式の利点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 0
3-2 ドミナント方式をとることによって行うことができる問屋政策・・・・1 1
第4章 産業クラスター理論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 5
4-1 産業クラスターと何か・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 5
4-2 立地の重要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 6
4-3 クラスターの優位性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 6
第5章 セブン‐イレブン・ジャパンとファミリーマートの店舗展開・・・・・・1 9
 5-1 セブン‐イレブン・ジャパンの店舗展開・・・・・・・・・・・・・・1 9
 5-2 ファミリーマートの店舗展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1
 5-3 ドミナント方式の問題点と問題意識・・・・・・・・・・・・・・・・2 3
第6章 ドミナント出店と先行者優位・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 5
6-1 ドミナント出店というイノベーション・・・・・・・・・・・・・・・2 5
6-2 ドミナント出店と先行者優位・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 7
第7章 ネットワーク理論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 0
 7-1 ネットワーク組織の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 0
 7-2 ネットワーク組織の本質・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 1
 7-3 組織間ネットワーク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 2
第8章 地図検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 5
第9章 結論・結びに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 1
参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 2

2
図表目次
図 1 店舗数増加の推移・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  6
図 2 セブン-イレブン・ジャパンの店舗数の推移・・・・・・・・・・・・・・  6
図 3 ポーターモデル援用によるCVS業界の構造分析・・・・・・・・・・・  8
図 4 コンビニエンスストア売上高(上位11社の全店)と店舗数推移・・・・  8
図 5 コンビニエンスストアの客数前年比推移・・・・・・・・・・・・・・・  9
図 6 コンビニエンスストアの客単価前年比推移・・・・・・・・・・・・・・  9
図 7 セブン‐イレブン・ジャパンの対面コミュニケーション構造・・・・・・1 1
図 8 セブン‐イレブン・ジャパンの物流方法・・・・・・・・・・・・・・・1 2
図 9 各都道府県あたり平均出店数と 1 店舗あたり営業利益・・・・・・・・・1 4
図10 立地の競争優位の源泉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 8
図11 ファミリーマートの物流構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1
図12 見えるネットワークと見えないネットワークの相互作用・・・・・・・・3 1
図13 組織間構造の形態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・3 4
図14 組織間構造の形態-同盟型の分類・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・3 4
図15 地図検証1~池袋駅周辺・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 7
図16 地図検証2~北池袋周辺・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 8
図17 地図検証3~要町周辺・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・3 9
図18 地図検証~要町周辺・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・4 0

表 1 ドミナント方式の利点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 0
表 2 2005年の企業別経営比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 4
表 3 産業クラスター理論が与える影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 8
表 4 ハイアラキー型とネットワーク型の組織特性・・・・・・・・・・・・3 3

3
第1章 序文 コンビニエンスストア産業を調

べるきっかけ

現在、コンビニエンスストアは街中のいたるところに存在している。食料品や日用品、雑
誌からチケットの予約、ATMにいたるまで多くの財やサービスを手に入ることができ、24
時間いつでも気軽に立ち寄ることができることから、私たちの生活になじみ深いものとな
っている。しかし、私たちはその何気なく利用しているコンビニエンスストアについてわか
らないことが多い、というより分かろうとしていない。私たちが暮らしている町にはたくさ
んのコンビニエンスストアが存在するが、そのたくさん存在する各企業のコンビニエンス
ストアがどんな戦略をとっているかなど、その店で普通に買い物をしている人が知る由が
ない。
しかしながら、企業のとる戦略などという難しい話でなくても、疑問に思うことはいろい
ろあるものだろう。それが立地や出店場所の問題である。例えば、同じコンビニエンススト
アが、100 mしか離れていないところに 2 店も 3 店も出店しているのを見れば、あるいは聞
けば、たいていの人はなぜそんなことをするのか分からないだろう。実際には、100 mは言い
過ぎでも、狭い範囲に同じコンビニエンスストアが集中して出店しているのを見たことが
あるという人は、少なくともいるはずだ。私たちは、このようなコンビニエンスストアの立
地や出店場所の問題に関して疑問を持った。つまり、地域によって、セブン-イレブン・ジャ
パンを多くみかける地域や、ファミリーマートを多くみかける地域があり、各企業によって、
出店場所や出店のさせ方に違いがあるのではないかということである。このことに疑問と
興味をもったため、私たちはコンビニエンスストア産業を立地の観点から調査していくこ
とにした。

 この論文は、まずコンビニエンスストアの歴史と現状に触れ、現在の状況を把握してもら
い、セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマートは同じドミナント出店という戦略をと
っているにもかかわらず、どうして業績に差が出ているのかということを問題提起とし、そ
して、セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマートはドミナント方式を採用しているの
に、なぜ利益に差がでるのかという仮説を立てる。
その仮説の検証方法として、セブン-イレブン・ジャパンの組織形態を探る。また、セブン-
イレブン・ジャパンとファミリーマートの店舗数がほぼ同じである豊島区において、両者
のドミナント方式の採用の仕方に違いがあるのかを実際に地図上に両社の店舗を記入し、
それを分析することにした。結果として、ファミリーマートは人通りの多い場所に兎に角集
中的に出店を行っているのに対し、セブン -イレブン・ジャパンは等間隔な出店を行ってい
ることがわかった。よって私たちは、密集しすぎた出店はカニバリゼーションを起こすと考

4
え、ファミリーマートよりも、セブン-イレブン・ジャパンのドミナント方式の採用の仕方が
より適正なものであると判断した。そして、セブン-イレブン・ジャパンがそのような立地を
獲得できたのは、創業当時からドミナント出店をとっているということが大きいからであ
り、それは先行者優位が働いているからだということを指摘する。
また、セブン-イレブン・ジャパンは他の企業と違い、縦と横のネットワークを有意に働か
せ、物流や意思決定を効率的に行っているため、利益を計上しているということを指摘する。
 
最終的な結論として、クラスターの利点とネットワークを活かし、効率の良い経営ができる
とされているドミナント方式だが、ドミナント出店にも適切な方法があると述べる。

5
第2 章 コンビニエンスストア産業の現在

 実際にセブン-イレブン・ジャパンのドミナント方式による出店方法とローソンやファミ
リーマートによる出店方法により、出店店舗数の違いはあるのだろうか。また、出店方法の
違いにより経営上の違いは出ているのだろうか。
 まず、コンビニエンスストアの定義を述べ、そしてコンビニエンスストア産業の沿革と現
状をみることにより、コンビニエンスストア産業における店舗数と出店方法の重要性を調
べていく。次に、セブン-イレブン・ジャパンとローソン、ファミリーマートの営業比較を行
うことによって出店方式と営業状況の関連性を見ていく。

2-1 コ ンビニエ ンススト ア産業の 定義


 まず、コンビニエンスストアの明確な定義を記しておく。その前に、これから言葉の定義
づけについて多くの記述がある。なぜ言葉を定義づけるかというと、人によりその言葉の定
義が異なる場合があるため、意味が曖昧にならないように言葉の定義づけをするのである。
経済産業省の商業統計表業態別統計編では、コンビニエンスストアの定義を 3 つの条件で
規定している。第 1 に、セルフ方式1を採用していることである。第 2 に、14 時間以上営業して
いることである。第 3 に、売り場面積が 30 平方メートルから 250 平方メートルであることと
規定している。つまり、コンビニエンスストア(convenience store)とは、長時間の営業を
行い、小さなスペースでありながら多数の品種を扱う形態の小売店である。日本のコンビエ
ン ス ス ト ア に 関 し て は 、 経 済 産 業 省 か ら 発 表 さ れ る 数 字 と 並 ん で MCR ( manufacture
convenience research)23の数字が詳しいとされている。

2-2 コ ンビニエ ンススト ア産業の 沿革


 図 1 はコンビニエンスストア店舗数の推移を表したものである。図 2 より、コンビニエン
スストア店舗数は増加していることが分かる。最初に日本にコンビニエンスストアが出店
したのは、昭和 40 年代後半である。詳しくは、(株)セブン-イレブン・ジャパンがイトーヨ
ーカ堂とアメリカのサウスランド社との提携により発足し、第 1 号店を 1974 年4に出店した。
以降、同社の急激な展開(図 2 のセブン-イレブン・ジャパンの店舗数の推移において、店舗
数が著しく増加していることから分かる)に合わせてコンビニエンスストアという業態は
急成長を遂げたのである。図 3 より、1987 年から 1989 年の店舗数の増加が顕著であり、その
1
セルフ方式とは売り場面積の 50%以上でセルフ・サービス方式を採っているものをいう。
2
MCR とは酒類、食品、菓子の三大メーカーと、市場調査会社 1 社、コンピュータのソフト会社 1 社が共同で
創設、主としてコンビニエンスストアを対象に調査を実施しているグループである。
3
コンビニエンスストアの定義に関しては、MCR も経済産業省と異なったものを発表しているが、本論文で
は割愛させていただく。
4
コンビニエンスストアの国内 1 号店にはいくつかの説があるが、本論文では 1974 年に出店したセブン‐
イレブン・ジャパンの 1 号店をコンビニエンスストアの国内 1 号店とする。

6
後も順調に店舗数を伸ばしていることがわかる。わずか 20 年の間で店舗数は約 35,000 店も
増加したのである。セブン-イレブン・ジャパンが第 1 店を出店した 1974 年から 1983 年ま
での店舗数の増加と比較すると、その差は明らかである。2000 年に入り、店舗数の増加は鈍
化しているが、現在でも店舗数は増加している。もちろん店舗数の増加に伴ってコンビニエ
ンスストア全店の売上高も増加している(図 5 参照)。生活様式の多様化により、購入時間
帯の拡大など消費者行動も変化してきた。コンビニエンスストアは、このような消費者ニー
ズをうまくとらえたことで急成長を遂げることができた。
図 1 店舗数増加の推移

店舗数増加の推移

45,000
40,000
35,000
店舗数(店)

30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
1984年
1985年

1987年

1990年

1992年
1993年

1995年
1996年

1998年
1999年

2001年
2002年

2004年
1983年

1986年

1988年
1989年

1991年

1994年

1997年

2000年

2003年
出所:日本フランチャイズチェーン協会業種業態別店舗数の推移より筆者が作成

図 2 セブン-イレブン・ジャパンの店舗数の推移

セブン‐ イレブン・
ジャパンの店舗数の推移

12000
10000
累計)

8000
店舗数(

6000
4000
2000
0
19 度

19 度

19 度

19 度

19 度

19 度

19 度

19 度

19 度

20 度
19 度

19 度

19 度

20 度

20 度




80

82

84

86

90
74

76

78

88

92

94

96

98

00

02

04
19

出所:セブン-イレブン・ジャパンの HP より筆者が作成
2-3 コ ンビニエ ンススト ア産業の 現状

7
まず始めに、M.E.ポーターの考案した産業構造分析をコンビニエンスストア産業に当て
はめてみた。それが次ページの上図である。
この図を説明すると、まず、競争業者は、セブン-イレブン・ジャパンや、ローソン、ファミ
リーマートの大手三社が多くのシェアを握り、その下に、サークルKサンクスやミニストッ
プなどの中堅および中小企業などがいる。新規参入業者は、もう新規参入をするような余裕
はないため、新規参入の脅威は小さい。代替品の脅威は同じような業種である、デパートや
DS(ディスカウントストア)などが当てはまる。買い手は、業者などは一切いなく、一般の顧
客である。供給業者は交渉力の弱い業者である。これについては後に記述する。
図 4 は日本フランチャイズチェーン協会が発表した 2001 年から過去 5 年分のコンビニエ
ンスストア売上高(上位 11 社の全店)と店舗数推移である。 
2005 年は新規出店の効果でコンビニエンスストア 11 社の全店売上高は 7 兆 2179 億円、
1.1%増である。伸び率は前年より約 2 ポイント低く、出店増で既存店のマイナスを補う傾向
が続いている。一方、既存店(11 社)は 6 兆 6006 億 4100 万円と前年比 2.2%減となり、6 年
連続で前年実績を割り込んだ。ここでの既存店とは 2004 年までに営業を開始した店舗のこ
とである。全店とは 2005 年に新規出店した店舗と既存店の合計である。店舗数の伸びは前年
比 2.5%増(実増 976)となり、前年の伸び率 3.2(実増 1188)を下回った。11 社の合計店
舗数は 2005 年 12 月末時点で 3 万 9877 店である。
現在、コンビニエンスストア全店の売上高は 8 年連続で右肩上がりである。その売上高を
伸ばしている要因として、上記に示したとおり、新店舗の出店増が挙げられる。このことが
コンビニエンスストアの売上高に大きく影響することは明らかで、各社は売上高を増
やすため、これからも店舗数を増加していくと考えられる。
しかし、店舗数の増加は年を追う毎に鈍化の傾向にあり(図 3 並びに図 5 参照)、コンビ
ニエンスストア店舗数の飽和点が近づいてきているのが事実である。そのため、現在では
各社は店舗数拡大以外の対策が求められている。図 5 並びに図 6 はそれぞれコンビニエン
スストアの来店客数と客単価を各年代(2002 年から 2005 年の 4 年分)とその前年の増減
比率で表したものである。
図 5 より 2005 年は前年に比べて、来客数が 2.3%増加した。なお 11 社の全店ベースで見た
年間来店客数は 120 億 8,306 万人であった。そのため、年間における来店客数も前年の
0.8%から-1.0 とマイナスに転じた。なお、11 社の既存店で見た年間来店客数は 111 億
7,639 万人であった。
 図 6 の 2005 年の客単価は、全店で見ると年間では-1.1%と低下傾向は続いている。しか
し、前年の-1.2%から見ると 0.1 ポイントほど下げ幅が小さくなっており、数値的にわずか
ながら改善を見ることができる。全店で見た年間平均客単価は、577 円であった。既存店で見
た 2005 年の客単価は-1.1%となり、全店で見た客単価と同様に 0.1 ポイントほど下
図 3 ポーターモデル援用による CVS 業界の構造分析

8
新規参入業者
新規参入の脅威は小さい

供給業者
競争業者(敵対関係)
(交渉力は弱い業者)
・大手三社 買い手
・弁当お惣菜などの
・その他中堅および中小 一般のお客
中小メーカ
企業
・大手メーカ

代替品の脅威(小売形態)
・デパート
( スカウントストア)
・DSディ

出所:秋元(1998)を修正 

図 4 コンビニエンスストア売上高(上位 11 社の全店)と店舗数推移

コンビニエンスストア売上高(全店)と店舗数推移

80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年

全店売上高(億円) 店舗数(店)

出所:日本マーケットシェア辞典 2006年版

げ幅が小さくなり、数値的にわずかながら改善が見られた。既存店で見た年間平均客単価は、

9
579 円であった。図 6 並びに図 7 から言えることは上記の図 5 から読み取れることと同様で
ある。既存店の客数や客単価のマイナスが大きく、それを新規出店の店舗で補う形が続いて
おり、結果としてコンビニエンスストア全店の客数や客単価はプラス成長、あるいは現状維
持という数字になっているのである。新規出店はそれだけコンビニエンスストア企業にと
って重要な戦略なのである。
図 5 コンビニエンスストアの客数前年比推移

客数の前年比推移(単位:%)

6
4.5
4
3.4
2.8 2.3
2
0.8
0 - 0.2
- 1.0 - 1.0
-2
2002年 2003年 2004年 2005年
客数(全店) 3.4 2.8 4.5 2.3
客数(既存店) - 0.2 - 1.0 0.8 - 1.0

出所:日本フランチャイズチェーン協会コンビニエンスストア統計
時系列データより筆者が作成

図 6 コンビニエンスストアの客単価前年比推移

客単価の前年比推移(
単価:
%)

- 0.5

-1 - 1.1
- 1.2 - 1.2
- 1.5 - 1.5
- 1.8
-2
2002年 2003年 2004年 2005年
客単価(
全店) - 1.8 - 1.2 - 1.2 - 1.1
客単価(
既存店) - 1.8 - 1.5 - 1.2 - 1.1

出所:日本フランチャイズチェーン協会コンビニエンスストア統計時
系列データより筆者が作成

10
第 3 章 ドミナント出店とその利点
 
前章では、コンビニエンスストアの定義や、沿革を述べ、それからコンビニエンスストア
産業の現状でポーターの産業構造分析を行ったところ、コンビニエンスストアは既に飽和
状態に至っていることがわかった。そのため、コンビニエンスストア産業は、既存店の店舗
拡大と既存店の客数減少と客単価減少を新規出店によって補うことが必要であることがわ
かった。つまり、それだけ店舗の規模と店舗数はコンビニエンスストア産業に大きな影響を
及ぼすのである。
 そこで私たちは、コンビニエンスストア産業トップのセブン-イレブン・ジャパンとその
他の企業には店舗につていての取り組みに違いはあるのかと考えた。すると、セブン-イレ
ブン・ジャパンとファミリーマートはドミナント出店という集中出店戦略をとっているの
に対し、その他の企業はそのような戦略をとっていないことがわかった。
 よって、本章では、ドミナント出店とはどのような出店方法なのか、そしてそれは利点の
ある出店方法なのかを説明し、その後具体的にセブン-イレブン・ジャパンとファミリーマ
ートの経営比較を行うことにする。

3-1 ド ミナント 方式の利 点


 ドミナント方式とは店舗の出店戦略の 1 つであり、ある一定の地域に集中出店すること
により様々な利点をもたらそうとする戦略である。そのドミナント方式の利点は大きく分
けて 5 つあるとセブン-イレブン・ジャパンは述べている。それは第 1 に、チェーンの認知度
の向上、第 2 に、来店頻度の増加、第 3 に、物流効率の向上、第 4 に、加盟店への経営アドバイ
ス時間の確保(図○参照)、第 5 に、広告効率の向上の 5 つである。 1 つ目から説明してい
5

くと、まずチェーンの認知度の向上ついてだが、一定地域内に多くの店舗があれば、それだ
け当該チェーンの看板が消費者の目に触れる機会が増え、知名度があがる。2 つ目の来店頻
度の増加は、1 度利用してみて、その利便性を自身で体験した消費者は当該チ
表1 ドミナント方式の利点

ドミナント方式の利点
1.チェーンの認知度の向上
2.来店頻度の増加
3.物流効率の向上
4.加盟店への経営アドバイス時間の確保
5.広告効率の向上
出所:筆者が作成
5
http://www.sej.co.jp/oshiete/kaibou/kaibou02.html

11
図7 セブン‐イレブン・ジャパンの対面コミュニケーション構造

加 盟 店
地域会議A 全体会議
( 週1回 ) 巡回指導 ( 週2回 ) ( 週1回 )

スーパーバイ
地区会議 ザー
( 週1回 )
マネジャー会議
( 週1回 )

地区マネジャー

地域マネジャー トップ ( 本部 )

地域会議B
( 週1回 )
注、トップ・マネジメントは全体会議とマネジャー会議に出席。

ェーンを 2 度、3 度と利用するようになる。例えば、自宅の近くでは同じチェーンの A 店を、


学校の近くでは B 店を、職場の近くでは C 店を利用するといったように、複数店舗の利用も
促進されるだろう。3 つ目の物流効率の向上は、一定地域への集中的な出店のため、配送車は
その地域だけを 1 度配送するだけで済み、配送のコストが抑えられる。4 つ目の加盟店への
経営アドバイス時間の確保について、ある一定に加盟店が集中的に出店していれば、本部経
営指導員の店舗間の移動時間が削減され、その分、経営アドバイスに時間を回すことができ
る。
 また店舗が密集していれば、どこか1か所に加盟店の店長を集め、全体にアドバイスを与
え、その地域全体の協力による戦略を行うことができる。最後の広告効率の向上は、出
店地域への集中的な TVCM を放映することにより、全国 CM に比べて安い料金で大量の
スポット CM が放送でき、コストの削減を見込める。

3-2 ドミナン ト方式を とること によって 行うこと ができる 問屋政策


コンビニエンスストアにとって商品の発注精度を向上させることは経営上とても重要なこ
とである。なぜなら、発注ミスによって在庫をきらしてしまうことは店の売り上げにとって
悪影響をもたらし、また、逆に在庫が余りすぎてしまうこともコストを生んでしまい店にと
って悪影響を及ぼすからである。そこで、セブン-イレブン・ジャパンは発注精度の向上を
図るため、多頻度小口の納品を行うだけではなく、その納品精度を極限まで高める図8 セ
ブン‐イレブン・ジャパンの物流方法

12
米飯協同配送センター チルド協同配送センター
(1日3回) (1日3回)
・弁当 ・調理パン
・おにぎり セブン- イレブン ・サラダ、惣菜、麺類
・焼きたてパンなど ・牛乳・乳飲料など


ソフトドリンク、加工食品
・アイスクリーム ・
インスタントラーメン
・冷凍食品 ・
雑貨類など
・ロックアイスなど 本・雑誌 加工食品協同配送センター
フローズン協同配送セン 雑誌配送センター 雑貨協同配送センター
ター(週3~7回) (週6回) (週3回)

出所:セブン-イレブン・ジャパンのHPより筆者が作成

仕組みを構成している。それは、取組型と呼ぶべき問屋政策である。この政策は、まず、第 1
に、取引する問屋(ベンダー)の数を絞り、取引相手を特定少数の問屋に集約し、それらの業
者と数年に渡る長期継続取引を前提に物流システムを構築していくという政策だ。
 そこでは、例えば、100 種類の商品を5社の業者にすべて 100 個ずつ配送してもらうので
はなく、同じ 100 の商品を 1 社で 500 個配送してもらう、あるいは 2 社で 50 商品ずつ 500 個
配送してもらうという政策である。そうすることで、物流に関する規模と範囲の経済を引き
出すことができるのだ。つまり、1 アイテム当たりの取扱高の増加と取扱商品数の拡大を通
じて配送車の載積効率と施設稼動率を上げることを狙ったのである。さらにセブン-イレブ
ン・ジャパンは、自社と取引をする問屋にセブン-イレブン・ジャパン専用のセンター
を設置してもらい、加盟店からの発注に対応してもらうことを要請した。それは、そのこと
によって 3 つのメリットが生じる。第 1 に、専用化することで問屋側の在庫管理や労働管理
が容易になる。第 2 に、セブン-イレブン・ジャパンと共同で業務改善を図ることができ、小
売業務と卸売り業務の間で発生する問題についても一体となって解決できるようになる。
第 3 に、セブン-イレブン・ジャパンでの売れ筋情報が他社に漏れるのを防ぐことができる
のである。以上の説明からわかるように、専用のセンターを設置することは、そのセンター
を利用するその企業の店舗がある一定地域内にある程度存在しなくてはならない。そのた
め、セブンーイレブン・ジャパンのとっている問屋政策は、ドミナント方式をとっているが
故に行える政策だと言える。
セブンーイレブン・ジャパンのドミナント方式によって行うことのできる物流の効率化
について上述した。これらの政策は実際に物流コストの削減というかたちで経営に影響を
与えているのではないだろうか。ここでセブンーイレブン・ジャパンとローソン、ファミリ
ーマートの経営比較を実際に行ってみようと思う。

表 2 はコンビニエンスストア業界の上位 3 企業であるセブン‐イレブン・ジャパンと
ローソン、ファミリーマート全店の 2005 年の営業利益や店舗数を比較したものである。

13
この表からローソンとファミリーマートは店舗数に対する売上営業利益の割合に大きな差
がないが、セブン‐イレブン・ジャパンは他のコンビニエンスストアに比べて店舗数に対
する営業利益の割合が大幅に上回っていることがわかる。セブン‐イレブン・ジャパンの
店舗数が 11,310 店であり、業界 2 位のローソンと約 3,000 店舗しか差がないが、セブン‐イ
レブン・ジャパンの営業利益は 1,774 億円、ローソンは 438 億円と、大幅に営業利益に差が
生じていることが読み取れる。
そして、最後に、1 店舗あたりの営業利益と各都道府県あたり平均出店数に関して調べて
みた結果、図 8 のデータが得られた。このデータから得られることは、平均出店数が高け
表 2 2005 年の企業別経営比較
  セブン‐イレブン・ジャパン ローソン
売上高 2 兆 4,987 億円 1 兆 3,617 億円

営業利益 1,774 億円 438 億円


従業員数 4,804 人 3,120 人
1日の販売額 61 万円 45 万円
店舗数 11,310 店 8,366 店
  ファミリーマート
売上高 1 兆 32 億円

営業利益 327 億円
従業員数 2,540 人
1日の販売額 44 万円
店舗数 6,284 店

出所:各社のHPより筆者が作成
図 8 各都道府県あたり平均出店数と 1 店舗あたり営業利益

平 400 341
1800
均 350 1568 1600 営
1400 業
出 300
1200 利
店 250
174 1000 益
数 200 151 800

150

524 520 600 万


店 100
400 円
舗 50
200

0 0
セブン‐ イレブン・ジャパン ローソン ファミリーマート

各都道府県あたり平均出店数(店舗)
2005年の各社1店舗あたり営業利益(単位:万円)

出所:「コンビニ」2005 年 9 月統計データより筆者が作成

14
 
れば高いほど、営業利益が高いことが確認できる。コンビニエンスストアはある地域に集中
出店した場合の方が、利益が高いということだ。そして、セブン-イレブン・ジャパンはファ
ミリーマートと違い、創業当時、セブン-イレブン・ジャパン以外の他の企業は、ドミナント
方式を軽視し、立地場所の良さを優先したため、出店数を増やすことはできても、効果的な
出店が取れていなかったのである。そのため、後になってドミナントを意識した出店を行う
ことはできても、完全に集中出店をすることは難しいのである。さらに、ドミナント方式を
軽視した結果、後述するが、問屋やメーカーの完全専門化を行うことも難しくなってしまっ
たのである。
一方、セブン-イレブン・ジャパンは、創業時から、ドミナント方式を意識した立地戦略を
行っていたため、現在もドミナント方式をとることができ、利点を最大限に活かすことがで
きているのだ。

15
第4章 産業クラスター理論
 
前章では、セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマートはドミナント出店という、1 つ
の地域に集中出店する出店戦略をとっており、それによって次の 5 つの利点があることを述
べた。それは、第 1 に、チェーンの認知度の向上、第 2 に、来店頻度の増加、第 3 に、物流効率
の向上、第 4 に、加盟店への経営アドバイス時間の確保、第 5 に、広告効率の向上の 5 つであ
った。このドミナント出店という方法には、もちろん問題点もあるが、その問題点以上にこ
の方法を使うことは利益があることがわかったのである。
よって、本章では集中出店することによって利益を生むと考えられているドミナント出
店をより理論的に理解するために、ドミナント出店の理論的背景ではないかと私たちが考
えた産業クラスター理論につて説明していこうと思う。
まず、産業クラスターとはどのようなものなのか、ということについて説明し、次に、産業
クラスター理論が重要だとしている立地の重要性、最後に、クラスターをとることによって
生み出されるクラスターの優位性を述べていこうと思う。

まず、産業クラスター理論についての大まかな説明をしよう。これまでの経営者や管理者
は、競争と戦略を企業レベルで考える場合や国や州の競争力を考える場合、どちらにおいて
も立地という観点が抜け落ちていた。しかし、グローバル化によって、資本や製品、技術をど
こからでも入手できるようになり、最もコスト効率の良い場所で指示、指揮することが可能
になった。そうした立地に対する考えは広く受け入れてられているものの、競争の現実に合
致していない。それを The Competitive Advantage of Nations,1990 のなかで、米国の経営
学者マイケル・E・ポーターは国家や州、地域の競争力をグローバル経済という文脈の中で
捉える理論を提示している。その理論が産業クラスター理論である。クラスターの概念は
「特定分野における関連企業、専門性の高い供給業者、サービス提供者、関連業界に属する企
業、関連機関(大学・業界団体)が地理的に集中し、競争しつつ、同時に協力している状態」を
いう。
これからこのクラスター理論に対する詳しい説明やクラスターの優位性などを述べてい
く。

4-1 産 業クラス ターとは 何か


クラスターとはある特定の分野に属し、相互に関連した企業と機関からなる地理的に近
接した集団である。これらのクラスターに属する企業と機関は、共通制や補完性によって結
ばれている。クラスターの地理的広がりは、1都市のみの小さなものから、国全体、あるいは
隣接数カ国のネットワークにまで及ぶ場合がある。クラスターは成長の程度によってさま
ざまな形態をとるが、たいていの場合、最終製品やサービスを生み出す企業、専門的な資源

16
や部品、サービスの供給業者、金融業者、関連産業に属する企業といった要素で構成される。
クラスターの範囲は垂直的なものや水平的なもの、制度的なものかを問わず、強いつながり
を持った企業や産業、機関全てを含む。つながりが弱く、まったく関係のないつながりにつ
いては除外してもかまわない。

4-2 立 地の重要 性 
立地は、競争優位に大きな影響を与える。特に、競争環境を動態的に捉えた場合、立地は生
産性、特に生産性の成長に与える影響という点で競争優位と関係がある。ここでの生産性と
は、1 労働日に使用された資本もしくは物的資源 1 単位当たりで生み出される価値である。
次ページの下部の図はポーターが、立地が競争に与える影響を 4 つの相互に関連する影響か
らなるモデルで表したものである。この理論を簡潔に示す比喩になっている。企業戦略およ
び競争環境とは、地元の競合のタイプや激しさを決定づけるルールや規範を意味している。
要素条件には、有形資産(物理的なインフラストラクチャー6など)や情報、法律制度、企
業が競争の際に協力する大学の研究機関などがある。生産性を向上させるためにはこれら
の要素条件の効率、品質を向上させ、さらには特定のクラスター分野に特化したものにしな
ければいけない。要素の特化が進めば、特に特定の場所でしか手に入れられない要素(例え
ば専門的な大学系研究所など)であれば、生産性の向上だけでなく、他では代用の効かない
ものとなり、他の立地からは手に入りにくいものとなる。需要条件とは、イノベーションを
求める地元の需要や、高度で要求水準の厳しい地元顧客の存在である。関連産業・支援産業
とは、有能な地元供給業者の存在や競争力のある関連産業の存在である。クラスターは直接
には関連産業・支援産業のダイヤモンドの 1 角を占めるにすぎない。しかし、実際は、クラス
ターはダイヤモンドの 4 つの要素の相互作用を示したものとして考えるのがもっとも良い
である。このような条件がうまく合わさった、または合う可能性のある土地を本拠地に選ぶ
ことができれば、競争優位の面において優位を得ることができる。

4-3 ク ラスター の優位性


クラスターは大きく 3 つの形で競争に影響を与える。第 1 に、クラスターを構成する企業
や産業の生産性を向上させる事である。第 2 に、企業や産業がイノベーションを行う能力を
強化し、それによって生産性の成長を支える事である。第 3 に、イノベーションを支え、クラ
スターを拡大するような新規事業の形成を刺激する事である。これから、その 3 つを詳しく
説明していく。
まず、クラスターを構成する企業や産業の生産性を向上させることについて、クラスターに
属することでの利点がいくつかある。例えば、クラスターに属していれば、他社との提携、遠
隔地からの投入資源の輸入など、クラスター以外の選択肢をとるよりも、部品や機械類、ビ
ジネスサービス、人材など専門性の高い投入資源に対するアクセスの改善が行われ、アクセ
6
組織が製品・サービスを提供するために必要とする施設や設備のことである。

17
スの費用が安くなる場合がある。また、投入資源の供給業者による機械主義的な値上げや約
束違反を防ぐことができる。なぜなら、地元での関係は透明性・継続性ともに高いため、下
手な仕事をすれば他のクラスター参加者のあいだでの評判を落とすという逆効果が生じて
しまうからである。また、クラスターには専門性が高く経験豊かな従業員がたくさん集まっ
ているため、採用のために人材を探し、交渉する費用が安くなり、より効率よく雇用と人材
をマッチさせられるようになる。さらに、クラスターは転居して来ようとする従業員から見
てもチャンスが多く、リスクが低下すると考えられるだろう。その結果、他の立地から専門
能力の高い従業員を移動させるときに生じる費用が、低く抑えられる可能性がある。そして、
クラスターの存在によって、大きな費用を払わなければ入手できなかったはずの投入資材
の多くが、公共財もしくはそれに近いものになる。例えば、地元の研修プログラムで鍛えら
れた従業員を採用できれば、社内での研修費用を撤廃もしくは節約できる。また専門的なイ
ンフラストラクチャーや地元機関の専門家によるアドバイスなどを、企業が非常に低い費
用で利用できる例も多い。そもそもクラスター内部に蓄積された情報そのものも、準公共財7
と考えられる。以上のことから、様々な面において、クラスターを構成する企業や産業の生
産性を向上させることができるといえる。
次に、企業や産業がイノベーションを勧める能力を強化し、それによって生産性の成長を
支えることについてだが、クラスターに属していると、新しい顧客ニーズを、より明確

図10 立地の競争優位の源泉

企業戦略および競争環境

適切な形態での投資と持続的 なグ
レードア ップ を促すような地元の状
況。
要素条件 需要条件
地元で活 動する 競合企 業間での激し
い競争。

関連産業・支援産業

出所:Porter(1990)
表3 産業クラスター理論が与える影響
7
準公共財とは非排除性を持たない財を呼ぶ。

18
産業クラスター理論が与える影響
1.企業や産業の生産性を向上させる
2.イノベーションを行う能力を強化させる
3.新規産業の形成を刺激する
出所:筆者が作成 

かつ迅速につかめる場合が多い。クラスターには顧客に関する知識や顧客との関係を有す
る企業が集中し、また関連産業に属する企業も軒を並べている。専門情報を送り出す機関も
集まっており、顧客のレベルも高いといったメリットもある。だから、クラスターに属する
企業は、孤立した企業に比べて、顧客ニーズをすばやく判別できる場合が多い。そして、クラ
スターに属していることで、技術やオペレーション、製品提供といった面で新しい可能性に
気づきやすくなるという優位も得られる。以上のようなことからイノベーションの面で優
位に立てる。
最後にイノベーションを支えクラスターを拡大するような新規事業の形成を刺激するこ
とについてである。新しい事業の本拠地のうち、その多くは孤立した立地にではなく、既存
のクラスターの内部で形成される。なぜなら、クラスター内部では、市場機会についての情
報が豊富であるから、これが参入を誘うきっかけとなる。クラスターの内部もしくはその近
くで働いていれば、製品やサービス、供給業者の不足に気づきやすい。こうした洞察が得ら
れれば、既存の企業を飛び出て、自分が気づいた不測を満たすことを狙った新規事業を起こ
そうという気にもなりやすい。参入障壁の低さ、潜在的な地元顧客の多さ、既存の人脈、そし
て実際に成功した他企業の存在、こうした全ての要因が働いて、参入リスクが低いように思
われて、本拠地はクラスター内部に形成される。クラスター外部に本拠を置く企業家も遅か
れ早かれクラスターの立地に移動してくる例が多い。
ここまでクラスターの優位性を大きく 3 つの形にわけて説明してきた。なかでも、この 3
つ全てに関わり、もっとも大切なことは各企業間のネットワークの協力である。ネットワー
クとは各企業間や各店舗間のつながりであり、ネットワークが前述してきた産業クラスタ
ー理論の機能の全てに関連してくる。そのため、ネットワークは産業クラスター理論におい
て、最大の機能であり、ネットワークは産業クラスター理論の本質であると考えられる。

19
第5 章   セ ブ ン -イ レ ブ ン ・ ジ ャ パ ン と フ ァ ミ リ

ーマートの店舗展開

5- 1 セブン -イレブン・ ジャパン の店舗展 開


 セブン-イレブン・ジャパンは、一貫してドミナント出店を行ってきた。そのため、全国一
の店舗数を展開しているが、出店都道府県数は未だに 32 都道府県である。さらに細かく見る
と、出店都道府県の中でもドミナント出店により、出店地域に偏りがある。実例を 2 つあげよ
うと思う。
第 1 に、北海道の例を挙げようと思う。北海道では 1978 年に初めて出店した。初年度は 20
店だったが、その大半は札幌市でオープンしていた上に、その中でも白石区に集中していた。
第 2 に、福島県の例を挙げようと思う。福島県の場合は、東京や、神奈川、埼玉と並んで 74 年
には出店を始めた。しかし、福島県は広く、同じ県でも太平洋岸もあれば、会津若松のように
山に囲まれたところもあるのである。そこで、出店を行ったのは県内でも特定の地域からで
あった。核になったのは、郡山や、福島、いわき、会津若松の 4 市であり、その後も 4 市を核に
店舗数を拡大してきたのである。85 年 2 月段階で、福島県全域でセブン-イレブン・ジャパ
ンは 153 店舗展開していたが、このうち郡山が 34 店舗、以下福島 30 店舗、いわき 27 店舗、会
津若松 17 店舗であり、これは合計すると 180 店舗となり、県内全体の実に 7 割を占めていた
のである。このようにセブン-イレブン・ジャパンはドミナント方式で集中出店して店舗展
開を行ってきたのである。それはなぜであろうか。
セブン-イレブン・ジャパンは、この事業を始めるに当たって小分け配送を実施した。決
められた時間にきちんと小分け配送できるかどうかが、コンビニエンスストアの生命線と
考えられたからである。そのため、セブン-イレブン・ジャパンは首都圏からジワジワとド
ーナツのように広げる方式ではなく、物流事情のいいエリア、具体的には小分け配送の可能
なところにドミナント方式で集中出店してきたのである。そのわかりやすい例が群馬県の
例である。セブン-イレブン・ジャパンは群馬県に 81 年に 1 号店を出している。しかし、それ
は県庁所在地の前橋市や交通の要衝・高崎市ではなく、県東南部の館林市であった。なぜ館
林市であったのか。それは、すでに栃木県の佐野市や、茨城県の古河市で出店しており、両県
に隣接している館林市の場合、小分け配送に問題がなかったからである。
こうしたエリアを車で走ると、セブン-イレブン・ジャパンの看板が次々と見え、これが効
率よく小分け配送を可能にしているといって良いだろう。そういう意味で、セブン-イレブ
ン・ジャパンの出店戦略はドミナントの形成によるローカルネットワークの積み重ねだと
いうことができるだろう。
次にセブン-イレブン・ジャパンのドミナント出店による物流コストのダウンについて
述べていく。セブン-イレブン・ジャパンは、1 号店を豊洲にフランチャイズ店としてオープ

20
ンさせ、後に神奈川県や、福島県、埼玉県と次々に拠点店舗をオープンさせ、初年度に 15 店舗
を出店した。その後、各拠点店舗を中心にドミナントを形成して店舗を増やしていき、並行
してそのエリア周辺に専用工場を設置して物流と組み合わせた効率化の追求を開始してい
ったのである。ドミナントを形成する際、セブン-イレブン・ジャパンは、その単位を 100 店
舗に設定している。なぜならば、物流コストが 100 店舗を境として急激に低くなるという理
由があるからである。また、それは同時に、「30 坪、間口 5 間の店を、1号店周辺にフランチャ
イズで出店せよ」という鈴木の至上命令を守る店舗を展開する上でも、ドミナントで効率性
を高めることができるという利点がとても大きく、それにより、大型店に匹敵する力を持つ
ことができるようになったのである。
また、より具体的なドミナントエリア作りについて説明すると、セブン-イレブン・ジャ
パンは行政単位ではなく、「商圏」を基本としたエリア拡大をしている。セブ ン-イレブン・
ジャパンは、商圏を来店までの所要時間や交通手段、人の流れという諸条件で設定している。
地域にもよるが、店を中心として、半径 350~600 メートルが目安となる範囲である。そのよ
うに言っても、商圏には線路や、河川、一方通行、右折左折のできない道路など、人や車の流
れを断ち切る要因は至る所に存在している。そうした要因がどこにあるのかを良く分析や
把握したうえで、店の商圏を見極めることが重要であり、セブン-イレブン・ジャパンはド
ミナントを形成していない地域の小売店からの加盟要望が来た場合、その地域へのドミナ
ント出店の時期が来るまで待ってもらいたいと断るほど、徹底したドミナント出店を行っ
ているのである。

最後に、ドミナント戦略を支えるフランチャイズシステムを述べていく。セブン-イレブン・
ジャパンの加盟店は A や B、C の 3 つのタイプに分けられている。また、自営店にも 2 つのタ
イプがあり、セブン-イレブン・ジャパンは全部で 5 タイプの店を持っているのである。以下
に各分類について説明していく。
 まず、加盟店の 3 タイプについて説明しよう。加盟店は売上に基づく分類ではなく、出資負
担の方法により分類される。A タイプはオーナーが土地と建物を所有し、改装資金や、商品か
ら釣銭、備品を負担する小売店経営者の転身組の店である。什器についてはセブン-イレブ
ン・ジャパンが負担するタイプである。B タイプは A タイプとほとんど同じだが、什器まで
はオーナーが負担する点が異なる。そして C タイプは土地・建物をセブン-イレブン・ジャ
パンが所有し、それ以外については A タイプと同様のタイプである。これらのうち什器まで
オーナーが負担する B タイプは例外的であり、実質的には A タイプと C タイプの 2 タイプが
ほとんどを占めている。特に、A タイプの店が約 8 割を占めていることからも、セブン-イレ
ブン・ジャパンの徹底したアプローチの程がうかがえる。
 次に自営店についてだが、自営店である経営委託店は、原則として 3 か月の経験の後、C タ
イプへの移行が可能となっている。つまり経営委託店は、フランチャイズ拡大のための予備
軍的存在であると言える。そして、セブン-イレブン・ジャパンは、オーナーの適正チェック

21
と立地条件の吟味を行い、質の高い店舗を出店することを心がけているのである。

5- 2 ファミリー マートの 店舗展開


ファミリーマート発足当時、ファミリーマートは西友の一部であり、そのために出店する
際の問題が多々あった。それらから解放され、ファミリーマート独自の活動ができるように
上層部に働きかけ、ようやく手続き上の煩雑さから解放されたのである。しかし、西友の一
部から事業部となって活動していく上で、予算の不足があった。中でも不足していたのは PR
予算であった。その不足に対する最善の策としてファミリーマートがとった作戦が、ファミ
リーマートの店自体が宣伝のための媒体となるというものだった。つまり、ある地域にファ
ミリーマートを集中出店させることによって、嫌でもファミリーマートの看板が目に入っ
てくるようにしたのである。これがファミリーマートのドミナント出店の始まりであろう。
その作戦予定地として選び出されたのは、国道 16 号沿いであった。16 号線は、木更津から千
葉や、大宮、八王子、横浜、三浦半島と東京湾を中心に東京 23 区、それに関東平野を包み込む
ように走る大環状線であり、16 号線の内側は西友の金城湯池でもあった。ファミリーマート
はこの西友の出店地域に沿ってターゲットを絞り、出店していったのである。よって、当初
におけるファミリーマートの出店戦略は、西友城下町作戦とでも呼べる西友の力を利用し
たものであった。
 この様に西友の出店地域に出店する方法を採った後、次に集中出店を行ったのは、東京を
中心にした幹線道路の下り車線沿いであった。なぜならば、CVS の来店客の大半は、共働きを
含めたサラリーマンであったため、会社の集中する東京を中心として出店し、更に、サラリ
ーマンは忙しい朝は店に立ち寄る時間がないと考え、比較的時間のある帰りにサラリーマ
ンが立ち寄ることのできるよう、幹線道路の下り車線に集中出店を行ったのである。そして
その後、16 号線沿いからさらに幹線道路との間を埋めていくといった形で店舗数を増やし
ていったのである。以上に説明したように、ファミリーマートは西友の出店している地域に
主に出店をしてきた。
では、その他の地方都市ではファミリーマートはどのような出店戦略をとってきたのだ
ろうか。実は、この点にセブン-イレブン・ジャパンとファミリーマートのドミナント出店
の違いがあるのである。よって、以下ではセブン-イレブン・ジャパンとの比較をしながら
ファミリーマートの出店戦略について説明していく。
 セブン-イレブン・ジャパンは、1 県を制する場合、まず郡部を固め、次第に県庁所在地へ
と向かっていく方法をとっている。県庁所在地は市場の潜在性が郡部より高いため、早い時
期に郡部を攻め、その上で中央へと渡っていく方法をとっているのである。一方、ファミリ
ーマートは、まず中央に出店し、知名度を上げ、そのあとで郡部に出店するという方法をと
っている。なぜならば、CVS としての歴史が最も古く、知名度や、実績ともに業界一であるセ
ブン-イレブン・ジャパンに比べ、ファミリーマートは後発というハンディを背負っている
ため、中央で知名度を上げ、その知名度に乗って郡部に進出しようというファ

22
図11 ファミリーマートの物流構造
加工食品 メ セス


菓子 ン ト常
カ タ 温 1日1回配送


飲料


酒類 ク 6日/週

メ セス 冷
アイスクリーム
市販冷食 ー ン ト冷 凍
1日1回配送
カ タ 凍 ス


ファストフード 6日/週


ク ル


メ セ 店

氷(ロックアイス)

 
中華まんじゅう カ
 



メ セス
日 1日3回配送

日用品 雑貨品 ント
用 ス (毎日)
カ タ

用度品 定
品 ル

ク 温





パン 米飯 メ ン




チルド

出所:月刊『コンビニ』より筆者が作成

ミリーマートの考えがあるからである。
 ファミリーマートは、昭和 56 年に西友から独立し、先に述べたように、以後首都圏を中心
に出店政策を進めた。ファミリーマートのチェーン展開の基本は、他社と同様のフランチャ
イズ(FC)である。そして、FC にも 3 つのタイプがあり、最も多いのは、セブン-イレブン・ジ
ャパンの A タイプに該当する、オーナーが自己資金または借入金で店舗を改造・新築、ある
いは貸借し、ファミリーマートが販売に必要な設備を負担するというタイプであり、これを
FC 第 1 種店と呼ぶ。2 つ目は、ファミリーマートが店舗を提供してオーナーの募集を行い、土
地や、建物を持たない加盟希望者に自社で用意した物件を貸すタイプがあり、これを FC 第 2
種店と呼ぶ。3 つ目は、本部社員の教育や新規加入者のトレーニングに利用する直営店であ
る。以上に説明した FC の 3 つの方法を見ると、ファミリーマートの加盟店のパターンは、先
に述べたセブン-イレブン・ジャパンをほぼ踏襲していると言える。
また、ファミリーマートの出店戦略についてだが、ファミリーマートは、本部直轄エリア
を首都圏と近畿圏に設置し、それ以外の地域についてはエリア FC の展開を基本方針に据え
ている。本部が徹底してドミナントを追及しながら、遠隔地はエリア FC を推進するという出
店戦略をとっているのである。
では、なぜファミリーマートはこのような戦略をとっているのであろうか。
ファミリーマートがエリア FC に重点を置いて展開するのは、後発としての不利を補うた
めである。エリア FC を採用し、その地域の有力企業と手を組むことは、地元企業が持つ力に

23
ファミリーマートの CVS 経営ノウハウを融合させることになる。そうすることで、ファミリ
ーマートだけで展開するよりも、はるかに効率的なチェーン化と経営の安定が期待できる
のである。
次にファミリーマートの物流について述べる。ファミリーマートの場合、セブン-イレブ
ン・ジャパンの物流システムを規範とした物流システムを構築している。基本的には弁当
や、惣菜、日配品は自社物流による共同配送を進め、一方加工食品や、日用雑貨などについて
は、特定の問屋に集約するベンダー方式を進めている。
では、まず弁当や、惣菜、日配品の配送をしているファミリーマートの自社物流について
説明する。
ファミリーマートが日配品を自社物流とするのには次の 2 つの理由がある。それは、第 1
に、温度管理の徹底や、配送集約による効率化の追求、定時配送をはじめとする配送サービ
スのレベルアップを図ることである。第 2 に、グループ企業である西友が持つ物流センター
を有効活用するということである。
次に、加工品や、日用雑貨などを配送しているベンダー物流について説明する。ベンダー
物流は、特に弁当や調理パンなどに利用されるシステムである。これは、自社商品の調理法
を公開してメーカーに委託生産させるなどして、各エリアに最も近いベンダーからの直送
体制を敷くとうものであり、ファーストフードの命である鮮度を高くするために導入され
たエリア完結型と呼ばれるシステムである。約 200 店を1エリアの単位に設定してそこに工
場を 2 つ置き、そこから毎日 3 回の頻度で商品を配送するというものである。このシステム
により、弁当や調理パンなどの物流コストは 1.5%減少させることができた。

5-3 ドミナン ト方式の 問題点と 問題意識


 今まで、ドミナント方式の利点と各企業の店舗展開を述べてきたが、ドミナント方式にも
問題点もある。ドミナント方式の問題点は 2 つあり、1 つ目は、既存店への影響である。ドミ
ナント方式はある一定地域に集中出店を行うので、既存店の近くへ出店してしまうとお互
い利益を奪い合い、新規店と既存店で共倒れをしてしまう可能性があるからだ。2 つ目に首
都圏では、経済条件や面積の確保などの制約があることだ。ドミナント方式にも問題点はあ
る。しかし、それを差し引いてもドミナント方式をとることは、企業に大きな利益を生み出
すだろう。それならば、なぜセブン-イレブン・ジャパンとファミリーマート以外の企業は
ドミナント方式をとらないのだろうか。また、後述するが、セブン-イレブン・ジャパンとフ
ァミリーマートは同じ店舗展開戦略を行っているが、売上高、利益には大きな差がある。こ
れはなぜだろうか。
以上のことから、問題意識を「セブン -イレブ ン・ジャ パンとフ ァミリー マートは ド
ミナント方 式をとっ ているの に、なぜ 利益に差 がでるの か。」と置き、これからこの問題
意識を中心にこの論文を進めていこうと思料する。そして、今までのことから私たちはセブ
ン-イレブン・ジャパンのある仮説をたてた。

24
 仮説 : 「セブン‐ イレブン ・ジャパ ンはドミ ナント方 式と呼ば れる集中 出店戦略
を創業当初 からとる ことで、クラスタ ーの利点 を生かし 、ネット ワークを 生かした 効
率のいい経 営を行っ ているの ではない か。 」

25
第6章 ドミナント出店と先行者優位

前章では、セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマートがとるドミナント出店方式の
効率の差について述べた。それによるとセブン -イレブン・ジャパンのドミナント出店はフ
ァミリーマートのドミナント出店よりも効率がいいことがわかった。セブン -イレブン・ジ
ャパンは店舗の立地条件がいいことによって、物流の面での配送コストの減少やスーパー
バイザー(店舗指導員)の移動時間の軽減などを実現している。ファミリーマートはセブ
ン‐イレブン・ジャパンに比べると、店舗を近い位置に配置しすぎることで、ドミナント出
店の効果を十分に生かせず、効率を悪くしてしまっている。しかし、セブン‐イレブン・ジ
ャパンとファミリーマートのドミナント出店に明確な差があるのは出店場所や物流などの
要因のみに由るわけではない。そもそも、この二つのコンビニエンスストア企業がドミナン
ト出店をとり始めた時期には明確な差があり、それがドミナント出店の効果に大きな差を
もたらしているのである。

6-1 ド ミナント 出店とい うイノベ ーション


 セブン- イレブン・ジャパンは日本のコンビニエンスストア企業で初めてドミナント政
策 を実施したコンビニエンスストア企業である。 ほかにもセブン-イレブン・ジャパンは
8 9

10
商品開発に関して、チーム・マーチャンダイジング という手法を開発した企業で、現在こ
の二つの手法はコンビニエンスストア企業が広く用いている戦略である。現在になって他
の企業が遅れながらも採用せざるを得ない手法を生み出し続けるセブン -イレブン・ジャパ
ンは、コンビニエンスストア業界における先行者であり、言うまでもなく、このイノベーシ
ョン力がセブン-イレブン・ジャパンの強さの秘密である。
 イノベーションとは、一般には「何か新しいものを取り入れる、既存のものを変える」とい
11
う意味をもつ。 日本ではイノベーションをしばしば「技術革新」と訳している。日本語訳で
は「技術」が入っているため、イノベーションというと技術(のみ)のことととられがちだ。
しかし、イノベーションの本来の意味はもっと幅広く、技術の革新に限定されるものではな
い。イノベーションとは広く革新を意味しており、狭義の技術革新にとどまるものではない。
新しい製品やサービスの創出、既存の製品やサービスを生産するための新しい生産技術や、
それらをユーザーに届け、保守や修理、サポートを提供する新しい技術や仕組み、さらには

8
ここではドミナント政策と記述したが、ドミナント政策とは主にチェーン展開している店舗の出店施策
のひとつであり、ドミナント出店などの他の記述と同意である。
9
ドミナント出店はアメリカのサウスランド社でも試みられたものだったが、日本(セブン‐イレブン・
ジャパン)のドミナント方式はさらに徹底されたものであった。
10
チーム・マーチャンダイジングとは、企画の骨子が決まった段階で、関連企業が召集され、チームが結成
される、つまり、商品開発工程の一部を外部に任せ、それをチーム化する商品開発手法の一つである。この手
法によって、セブン-イレブン・ジャパンは質の高い商品を生み出し続けている。
11
一橋大学イノベーション研究センター(2001) p1

26
それらを実現するための組織・企業間システム、ビジネスのシステム、制度の革新などを含
12
める。「イノベーション研究のゴッドファーザー」ともいうべき存在であるシュンペーター
(Schumpeter)は、経済システムにおけるイノベーションの定義について、自身の著書で
「イノベーションとは新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で生産する
ことを意味する」と書いている( Schumpeter 1934 )。生産とは利用可能な物や力
(materials and forces)を結合することであり、つまりイノベーションとは物や力を従
来とは異なるかたちで結合することを指す。すなわち「新結合」である。そして、シュンペー
ターは新結合には 5 つの種類があると論じている。それは、第 1 に、まだ消費者に知られて
いない新しい商品や商品の新しい品質の開発、第 2、未知の生産方法の開発(科学的新発見
に基づいていなくてもいいし、商品の新しい取り扱い方も含む)、第 3 に、従来参加してい
なかった市場の開拓、第 4 に、原料ないし半製品の新しい供給源の獲得、第 5 に、新しい組織
の実現である。シュンペーターはイノベーションを、広がりをもった現象としてとらえてい
る。
私たちはシュンペーターの定義をその基本にしつつ、本論文で扱うイノベーションを「経
13
済効果をもたらす革新」ととらえることにする。 セブン‐イレブン・ジャパンが作り上げ
たドミナント方式というイノベーションは、上記のシュンペーターのイノベーションの定
義に照らし合わせると第 2 に挙げたものに当てはまるだろう。
しかし、イノベーションは製品や製法が市場で受け入れられて初めてイノベーションと
呼ぶことができる。新しければイノベーション、変化すればイノベーションというわけでは
ない。イノベーションかどうかを判断する基準は次の 2 点である。1 点目は、上記でも「経済
効果をもたらす革新」と示されているとおり、経済的な成果を目指し、それが市場で実現さ
れているかどうかということである。つまり、イノベーションとして成立するかどうか、そ
の成否を判断するのは市場であるということである。いかに高度で洗練された新しい技術
や戦略を開発しても、それが市場で受け入れられなくては、イノベーションたりえなのであ
る。2 点目は、イノベーションは市場で受け入れられることによりイノベーターに利潤をも
たらすが、買い手側もよりより製品、より安い製品を買うことができるので便益を得るかど
うかである。さらには他の企業もイノベーターの革新的なやり方から学ぶことができるの
14
で、便益を受けるのである。
このイノベーションがイノベーションであるための基準をセブン -イレブン・ジャパンの
ドミナント方式は満たしている。ドミナント方式は、本論文でも説明してきたように、セブ
ン-イレブン・ジャパンの利潤に大きく貢献してきた。しかし、それだけではなく、ドミナン
ト出店により消費者は店舗に足を運ぶ回数が増え、その結果として得られる情報から作ら
れるより質の高い商品を手にすることができる。さらには上記にも示したとおり、現在では
多くの企業がドミナント出店方式を用いていて、大きな利益をもたらしている。セブン-イレ
12
一橋大学イノベーション研究センター(2001) p3
13
一橋大学イノベーション研究センター(2001)p2,3
14
一橋大学イノベーション研究センター(2001)p4

27
ブン・ジャパンが生み出す経済効果については言うまでもなく莫大である。セブン -イレブ
ン・ジャパンの行ったドミナント出店というイノベーションは自身だけではなく周囲の人
や企業、環境などに大きな便益をもたらしてきた。しかし、現在ドミナント出店を用いてい
るどのコンビニエンスストア企業もセブン -イレブン・ジャパンのパフォーマンスには追従
できていない。それはドミナント出店という戦略に大きな特徴があるからである。セブン-イ
レブン・ジャパンはいち早くドミナント出店の特性に気づき、他のどのコンビニエンスス
トア企業も模倣することのできない高い効果を引き出しているのである。

6-2 ド ミナント 出店と先 行者優位


 上記の説明のとおり、セブン -イレブン・ジャパンはドミナント出店という優れたイノベ
ーションを開発、実行し業績を高めてきた。しかし、いかに優れたイノベーションをもって
いたとしても、市場導入の相対的タイミングを誤ればその効果は小さくなってしまう。つま
り、技術開発や市場導入を他社より先駆けて行うのか。それとも他社より遅れて行うのかと
いった問題である。
一般に他社に先駆けることで得られる競争優位性のことを「先行者の優位」( first-
mover advantage)という。先行者の優位には主に次の 4 つの源があると考えられる。①
技術的リーダーシップ、②希少資源の先取り、③買い手の切り替えコスト、④ネットワーク
外部性の 4 つである。
① 技術的リーダーシップ:先行者は技術的なリーダーとなれる。追いつかれるまで時間を
稼いで(リードタイム)、その間利益を独占できる。また、顧客の生の声を聞いて製品、サービ
スを先行して改善することもできるし、顧客の間に強固なブランドイメージを築く事もで
きる。また、他社より早く学習、経験することでコストを下げることができる。
「経験効果」と
いわれるもので、特定の製品をより多く作って経験を積むことでコストを下げることがで
きることを指す。作業者の習熟度が上がり、工程も改善される。
② 希少資源の先取り:先行企業は希少な資源となる特定の生産要素を他社に先駆けて占拠
することができる。例えば、流通拠点などはその例である。アメリカの小売チェーンである
ウォルマートは、競合チェーンが見向きもしなかった南部の小規模都市に次々に店舗を開
き、効率的な広域供給システムを活かしながら、それらの商圏で独占的地位を確保していっ
た。本論文の主題であるドミナント出店の効果の大小にもこの希少資源の先取りという要
素が関わっている。
③ 買い手の切り替えコスト:一度取引を始めると、購入先を新しい企業に切り替えるのが
面倒になることがある。新しい購入先を見つけてきて、購入先としてふさわしいかどうか評
価するには労力がいる。最初の供給業者が自分たちの要求を理解し、それに合わせた商品を
提供してくれていれば切り替えのインセンティブは低くなる。付き合いを継続するメリッ
トがあればなおさらだ。航空会社の「マイレージプログラム」では、いったんある会社のメン

28
15
バーになった顧客を自社の会員にスイッチさせるのは大変である。
④ ネットワーク外部性:同じネットワークに参加するメンバーが多いほど、そのネットワ
16
ークに参加するメンバーの効用が高まること をネットワーク外部性という。つまり製品や
サービスのユーザーの数にしたがってその財から得られる便益が増大するのである。その
ことから、ネットワーク外部性がある商品では、ある技術、規格がいったん優勢になると、雪
だるま式にユーザーが増えていくというパターンが生じる。こうなると、後発者があとから
追いつき、追い抜くのは至難の業となるのである。
セブン-イレブン・ジャパンのドミナント出店はこれら 4 つの源泉から成る先行者の優位
を利用し、その効果を最大限に高めているのである。セブン-イレブン・ジャパンがドミナン
ト出店を開始したのは、第一号店のコンビニエンスストアを出店した 1974 年からである。
セブン‐イレブン・ジャパンは一号店を東京・江東地区に決めたことから、まずは江東区
内に店舗網を張り巡らせることになった。しかし、創業当初は江東地区での出店、加盟店集
めは難しく、思うように進まなかったという。 それでも、現在のセブン-イレブン・ジャパ
17

ン代表取締役会長・最高経営責任者(CEO)である鈴木敏文氏 は当時、「江東地区から 絶
18

対に出るな」と厳命している。鈴木氏にとって効率性を伴わない出店戦略は受け入れがたい
ことだった。 それほど、セブン-イレブン・ジャパンは創業当初からドミナント出店を意識
19

し、実施していたのである。一方、ファミリーマートがドミナント出店を開始したのは、バブ
ル経済の崩壊後といわれている。つまり、セブン‐イレブン・ジャパンとファミリーマート
がドミナント出店を開始した時期を比べると、セブン‐イレブン・ジャパンの方が、約 20
年も早いのである。
 セブン-イレブン・ジャパンは創業当初からドミナント出店を強く意識し、実施してきた
ことによって、先行者の優位を最大限活かしているのである。それがドミナント出店の特性
ともいうべきもので、必要不可欠のものなのである。ドミナント出店の先行者優位には上記
の主たる 4 つの源泉の中で、主に②の希少資源の先取りという要素が強く関係している。上
記でも説明したとおり、希少資源の先取りとは先行企業は希少な資源となる特定の生産要
素を他社に先駆けて占拠することができるということである。ドミナント出店に関わる重
要な生産要素は、言うまでもなく立地である。マーケティングなどで調べた商品がよく売れ
そうな地域に、他社に先駆けて店舗を出店することができる。しかし、それだけなら後発企

15
一橋大学イノベーション研究センター(2001)p137,138
16
一橋大学イノベーション研究センター(2001)p85
17
江東地区は人口密集地で、大型店が出店できるような広大な土地はあまりなく、商店街の中小小売店は繁
盛していた。そこで、コンビニエンスストア向けの中小小売店を探しては店主にセブン‐イレブンへの加入
を勧めた。しかし、知名度もほとんどなくコンビニエンスストアという店舗形態すら知られていない当時で
は最初からすんなりと話を聞く店主は皆無だったという。
18
現在、鈴木敏文氏はセブン‐イレブン・ジャパン以外に、株式会社セブン&アイ・ホールディングス代表
取締役会長・最高経営責任者(CEO)、株式会社イトーヨーカ堂代表取締役会長・最高経営責任者
(CEO)、株式会社トーハン取締役副社長、大学法人中央大学理事長を経営、運営しているが、本文ではセブ
ン‐イレブン・ジャパンでの役職のみ掲載させていただいたが、他の役職は脚注にて紹介させていただく。
19
田中陽(2006)p31

29
業にも十分に利益を上げる立地に店舗を配置することは可能である。重要なのは、早期に目
をつけた優良な立地に集中して出店することによって、他社その地域への出店を防ぐこと
ができるのである。ドミナント出店によって、その地域での自社の知名度を上げ、人々の心
をつかむ。さらに、近い間隔に集中的に出店すれば他社の出店スペースさえ奪いとることが
できる。結果的にその地域はセブン-イレブン・ジャパンの店舗によって埋め尽くされ、利益
を独占することができるのだ。セブン-イレブン・ジャパンは当初からこの構想を思い描き、
ファミリーマートよりも 20 年も早くドミナント出店を行っていたのである。ファミリーマ
ートにも後発企業の優位性として、先行者が苦労して築き上げたイノベーションを苦労な
く模倣する「ただ乗り」、先行者の経験から学び、無駄な投資や無用な失敗を避けることが で
きる「不確実性の減少」、先行企業が特定の資産や仕組みにコミットし、本格的な投資をし て
20
後になって、市場や技術環境が変化する場合、後発企業が優位に立てる「変化への対応」 が
あるが、ドミナント出店の効果に関しては先行者の優位性に強く影響づけられるようであ
る。セブン-イレブン・ジャパンは自ら作り上げたイノベーションであるドミナント出店の
特性よく理解し、早くから強い意識をもって戦略を実施し続けている。今日のセブン-イレブ
ン・ジャパンとファミリーマートのドミナント出店の効率、効果の差、そして、セブン-イレ
ブン・ジャパンとファミリーマートの業績の差は、先行して好立地のコンビニ店舗を確保
し、増やしていくという先行者優位の意識と実践が生んだものと考えられるのである。

20
一橋大学イノベーション研究センター(2001)p139

30
第7章 ネットワーク理論

ネットワークとはなんだろうか。辞書の定義によると、1.テレビ・ラジオで、キー局を中
心にして多数の放送局が協定を結び、同一番組を放送すること。また、その組織。放送網。2.
複数のコンピュータを結び、データなどを共有し、情報処理の効率を図るシステム。3.個々
の人のつながり。特に、情報の交換を行うグループ、と定義される。ここでは、ネットワーク
を「自律的な主体間のゆるやかな関係」(寺本、1990)と定義して進めていく。そして、本来
ネットワーク理論を議論する際には、階層性などの上司と部下のパワー関係は否定、ないし、
無視されるだろう。そもそも全てのメンバー間の平等な参加を前提する、ネットワーク概念
とパワーというある種の力という概念が結びつくこと自体が矛盾しているのではないかと
考えられる。しかし、実際の現実のネットワークには、上下関係などのパワー関係はたしか
に存在する。例えば、趣味のサークルやボランティア活動にもネットワークは存在するし、
ICPEN(消費者保護及び執行のための国際ネットワーク)などの、国際的なネットワークと
なると、パワー関係が存在しないということはありえない。多くのネットワーク論者が考え
るように、パワー関係は本来あってはならないものなのだろうか。しかし、ネットワークが
なんらかのパワーを発揮しないとしたら、それはなんの変革力ももたないはずである。以上
のことから、この論文上は、ネットワーク組織にもパワー関係は存在すると仮定して議論を
進めていく。

7-1 ネ ットワー ク組織の 特徴


ネットワーク組織には 2 つの特徴がある。1 つ目は、ネットワーク化は、組織の内外で同時
に進行しているものであるということだ。そして 2 つのレベルでのネットワーク化は別々
の現象というよりも、内部でのネットワーク化と外部のネットワーク化が相互に影響しあ
いながら、相互形成的に作用しているのである。ここに現在のネットワーク化が、たんに個
人あるいは個々の組織と組織の柔軟な結合・連関をすすめるだけでなく、産業社会全体に
わたるネットワーク化、ネットワーク社会の構築という新たな次元への転換の契機が存在
するのである。2 つ目は、現実になんらかの資源の結合・連関がおこなわれ、ネットワークシ
ナジーの創造を実現しつつある顕在化したネットワーク組織と、ネットワーク化の可能性
があるが現実には具体的なネットワーク組織を形成するにいたっていない潜在的なネット
ワーク組織という二つのタイプの存在をあげることができる、ということである。前者はい
わば見えるネットワークであり、後者は見えないネットワークである。
例えば、ある工業地帯の中小企業の間では、顕在的なネットワークが敷かれている。それ
もそのネットワークは県・市や区が旗振り役を務める官主導型のネットワークでなく、中
小企業の自主的、創発的なネットワーク化なのである。この地域はもともと中小企業間で連
携をとって注文などをこなしていたという、緩やかな結合のネットワークが形成されてい

31
たことによるそうだ。つまり、目に見えない潜在的なネットワークが日常的にこれらの企業
間に存在し、必要に応じて流動的、機動的なネットワークが形成され、適切な資源の結合や
相関が実現されている。こうしたネットワーク化の経験と知識の蓄積が、異業種交流の新し
い活動の際にも活用されているのである。
見えないネットワークが見えるネットワークを生み出す培養の元として働くだけでなく、
見えるネットワークの具体的活動が、潜在的な見えないネットワークの形成、拡大に作用す
るという相互形成的な関係にあるのだ。図7はこれを図にしたものである。

7-2 ネ ットワー ク組織の 本質


ネットワーク組織の本質は、種々の主体が「ルースに結合されたシステム」であり、その組
織形成の原理として「自己組織性」をもっているというところにある。したがって、ネットワ
ーク化という行為は複数の主体を自己組織的にルースに結合することであるということで
ある。ルースに結合する、ルースカップリングとは、二つ、あるいはそれ以上の別々のシステ
ムが共通の変数をほとんどもたないか、あるいはその共通の変数がそのシステムに影響を
あたえるほかの変数に比べて弱いかのいずれかの場合に生ずる。したがって、少数の共通変
数かあるいは弱い共通変数によって結合される二つのシステムは、ルースに結合されてい
るということができる。
ルースに結合されたシステムの対極に「タイトに結合されたシステム」というものがある
ということを意味している。タイトに結合するということは、二つ、あるいはそれ以上の別々
のシステムが共通の変数を多数もつか、あるいはその共通の変数がそのシステムに影響を
あたえるほかの変数にくらべて強いかのいずれかの場合に生ずる。したがって、多数の共通
変数かあるいは強い共通変数によって結合される二つのシステムは、タイトに結

図12 見えるネットワークと見えないネットワークの相互作用

ネットワーク組織

見えるネットワーク(顕在的)

形成・拡 培養

見えないネットワーク(潜在的)

出所:寺本(1990)

32
合されているということができる。こうしたタイトに結合されたシステムをもつ組織を「ハ
イアラキー組織」と呼ぶことができる。そして、ネットワーク組織とハイアラキー組織は程
度の違いにおいて対極であるといえる。この程度の差が組織の環境適応を考える場合に大
きな意味を持つ。次の表はネットワーク組織とハイアラキー組織の属性をまとめたもので
ある。もちろん、以下に記述される特性は理念型のそれであって、現実に存在するものは、何
らかの程度において混合形態である。
ハイラアキーでは、メンバーの行動や役割が固定的、定型的であり、その意味で制限的で
あるのに対し、ネットワークのメンバーは、自らの行動について相当程度の自由裁量権、自
律性をもっている。つまり、ネットワーク内部でのそれぞれの行動や役割は、必ずしも固定
的、定型的ではなく、特定のネットワークへ参加するかどうか、またそれを継続するかどう
かについてまでも、自律的に決定できるのである。また、ハイアラキーでは、メンバー間の関
係は垂直的であり、ピラミッドの頂点の部分が、組織内の分業のあり方を一方的に規定し、
そのほかのメンバーの自律性が大幅に制限されている。したがって、ここでの基本的な関係
は支配―従属関係の性格を強く帯びるようになる。他方、ネットワークでは一方的な支配-
従属関係というよりは、自由で機能的な結合関係を基盤としており、その関係は水平的でよ
り対等な関係が中心となっている。それがまたメンバーの自立的な行動を保障する基盤を
提供している。個々のメンバーの行動は、ハイアラキーでは多次元に渡って詳細に、タイト
にコントロールされることによって、結合が図られている。他方、ネットワークは、全体とし
て緩やかに結合・連関されたシステムであり、その結合も比較的ルースに行なわれるにすぎ
ない。ハイアラキーがその官僚制的でメカニスティックな特性によって、比較的、同質的、案
的な環境に適合するのに対して、ネットワークは柔軟に自らを変化させることができるた
めに、不確実制が高く、異質な環境の下でよく機能する。換言すれば、前者は安定的な大量生
産・大量流通により適した組織形態であり、後者は変化に富んだ多品種少量生産・流通方
式に適合しているといえる。以上のことから、ハイアラキーは規模の経済、効率性の追求を
主な目的としているが、ネットワークは範囲の経済や速度の経済をより強く志向している。
単純な効率性の追求よりも、資源の多様な結合や連関、多重利用によるスピーディな創造性、
革新性の発揮が重視されているのである。

7―3 組 織間ネッ トワーク


 いままでは組織内ネットワークについて述べてきた。ここでは補足的な意味合いで組織
間ネットワークについて考察したいと思う。山倉(1993)によると、組織間ネットワークの性
格は主に 3 類型され、1 つ目は相互調整型であり、2 つ目は同盟型、3 つ目は法人型であると
いわれている。同盟型はその中でも連携型、連邦型に分類される。組織構造を整理すると、第
1 に組織間の調整関係である。ネットワークが自律した組織的合意によって調整される状況
になるにしたがって、ネットワークの緊密度は高まると同時に硬直化される。第 2 は、組織
間調整の主体原理である。これは、当事者間調整を中心としているか、特定の媒体組織によ

33
る調整を基本としているかの区分原理である。第 3 は、組織間調整の公式化原理である。こ
れは、インフォーマルな規範に従うのか、公式に文書化されたルールを定めるのかによる区
別である。第四は、組織間調整の範囲についての原理である。ネットワークの性格は、それら
4 つの点が相互に関連しあって形成される。前述した組織間ネットワークの 3 類型について
順に述べていく。第 1 の相互調整型は、各組織の自立性が高く、相互依存の度合が少ない。特
定の問題に対して組織間で調整が必要な場合には、組織間の非公式接触を通して、調整が行
われる。そのため、組織間規則は非公式でアドホック なものとなる。第 2 の法人型は、階層
21

型とも呼ばれ、組織間の調整が最も重要視される。あたかも組織内関係であるかのように権
限が働き、その調整メカニズムにより中央集権的な組織間調整が行われる。調整の結果は、
ネットワーク全体に適応される公式的なものとなる。第 3 の同盟型は、相互調節型と法人型
の中間に位置し、組織間の調整は自立的な交渉に基づいて行われる。組織間の調整は継続的
なものとなり、合意がなされた場合には、それが当事者のルールとなる。同盟型は、組織間調
整が当事者間で直接的に行われるか、第 3 者機関あるいは中央管理組織によっておこなわ
れるかにより連合型と連邦型とに分けられる。全社は、各組織の自主性を重視し比較的少数
の組織からなるシステムに適しているのに対し、後者は、組織間の統合を重視し公式化され
たシステムとなりやすい。
 以上の説明が前頁上図に示すとおりであるが、ある組織間システムがこれらのうちのい
ずれに分類されるかは、そのシステムを取り巻く環境や各組織の内部形態などの要因によ
って左右される。

表 4 ハイアラキー型とネットワーク型の組織特性
次元/組織類型 ハイアラキー型 ネットワーク型
メンバーの行動 制限的 自律的
メンバー間の関係 垂直的,支配-従属 水平的,対等
行動の統合 タイト ルース
環境適合 安定的 不確実性下
経済性 規模,効率性 範囲,速度,多様性,創造性
出所:寺元(1990)

21
その場しのぎの(その場限りの・それだけのための)という意味。特定の目的のためだけ
に行われる表面的な解決策・論法などを形容する言葉である。

34
図13 組織間構造の形態

相互調整型 同盟型 法人型

特性

調整メカニズム 影響力 交渉 権限
調整主体 個別組織 個別組織及び管理組織 所有組織
非公式的期待 個別組織による規則の 権限による公式規則の
公式化
規則はほとんどない 形成 形成
調整の程度 小 中 大
組織の関わり合い 小 中 大
制裁 ほとんどない 多少 大

出所:山倉(1993) 

図14 組織間構造の形態-同盟型の分類

連携型 連邦型

ネットワーク 管理媒体

管理(媒体)組織 無 有
相互利益
関係の基礎 相互利益 組織間ネットワークの
複雑性の減少
調整主体 個別組織 管理組織
組織の数 小 中~大
正当性に対するネッ
低 ~大
トワークの重要性

出所:山倉(1993) 

35
第8章 地図検証

セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマートは、どちらもドミナント出店を行ってい
るにも関わらず、売上高に大きな差がある。それはなぜだろうか。いままでドミナント出店
の利点を述べてきたが、出店の仕方によってその効果に違いが出るのではないだろうか。私
たちはそう考え、実際に両社の出店の仕方を地図を使い、距離を計測することで確認するこ
とにした。そこで、店舗数の大差のない土地での出店の仕方を比べることが最適だと考え、
セブン-イレブン・ジャパン 38 店舗、ファミリーマート 42 店舗と大差のない豊島区を例に
とることにした。
 そして、検証の結果の一部分、池袋駅周辺の地図が次のページの図○である。
豊島区のセブン-イレブン・ジャパンとファミリーマートの出店の仕方を比べてみると、
ファミリーマートは池袋駅周辺に、大量に集中出店しているのに対し、セブン-イレブン・ジ
ャパンは、池袋駅から半径約 500 メートルの円周上にだいたい等間隔に出店されているこ
とがわかった。
セブン-イレブン・ジャパンは、池袋駅から半径 500 メートルの円周内、円周上付近に 8 店
舗出店しているのに対し、ファミリーマートは、池袋駅から半径 500 メートルの円内に密集
して 12 店舗出店されているのである。
 また、池袋駅から少し離れた場所になると、ファミリーマートは山手線や、都営地下鉄有
楽町線、都営三田線の駅前や、大通り沿いを中心に出店していることがわかる。人通りの多
い大通りに出店し、多くの集客を狙うことが目的であろう。
 それに対し、セブン-イレブン・ジャパンの出店の仕方は、ファミリーマートと同様、山手
線や、都営地下鉄有楽町線、都営三田線の駅前、大通り沿いに出店しているが、それだけでは
なく、住宅地への出店も目立った。
 住宅地への出店に注目してみると、ファミリーマートは住宅地への出店自体が少なく、出
店していてもその距離はバラバラであるのに対し、セブン-イレブン・ジャパンは、巣鴨では
約 300~400 メートル間隔、板橋区よりの土地では約 500 メートル間隔で出店されている
といえる。
 豊島区でのセブン-イレブン・ジャパンとファミリーマートの出店の仕方を全体的にまと
めると、セブン-イレブン・ジャパンは等間隔に豊島区全体に広く出店しているのに対し、フ
ァミリーマートは、セブン-イレブン・ジャパンとは対照的に、店舗間の間隔に規則性はなく、
また、豊島区全体に出店するのではなく、池袋駅を中心とした人の多く集まる場所に密集し
て出店されているといえるであろう。
 さて、どちらの出店方法が良いかと考えてみると、ファミリーマートは近接しすぎている
ために、カニバリゼーション をおこしてしまうと考えられるのに対し、セブン-イレブン・
22

22
共食いという意味で使われる。自社競合あるいは会社内抵抗を意味する。

36
ジャパンの出店方法が良く見えるのは自明である。少なくとも私たちは同じ場所に密集し
て出店するよりも、ある程度の間隔を保ち、全体に出店するほうが売上を伸ばせるのではな
いかと思料する。
 このような結果がでた背景を考えてみると、セブン -イレブン・ジャパンは常に立地条件
を考えているからではないだろうか。他のチェーンが出店数を増やすために立地条件につ
いて妥協してきたが、セブン-イレブン・ジャパンは、立地のよい物件を重視してきた。例え
ば、信号がある場合は、進行方向で信号を超えた位置、四つ角なら駅へ繋がっているほうを、
23
坂があるならば下るより上る側、途中より頂上、などである。
立地のよい物件をどのように計測するかというと、セブン-イレブン・ジャパンは「候補地
立地調査書」というものを作成し、120 に及ぶ項目についてチェックし、日販予測を立て、出
店するかどうかを決めるのだ。たとえば、店舗の面積や間口、道と入り口の高低差、また、住
宅世帯調査で 100 世帯あたり一人にインタビューし動線率なども算出している。動線率と
いうのは商圏人口の何パーセントが新設店の前を通るかという比率である。そして、セブン-
イレブン・ジャパンはコンビニエンスストアの商圏を半径 350 メートルと考えており、大
抵は 350 メートル間隔で出店を目指している。
これらのようにセブン-イレブン・ジャパンが立地条件を決して妥協しない店作りを行っ
ているのに対し、ファミリーマートやその他のチェーンは出店数を増やすために妥協して
しまっているのではないか。
また、セブン-イレブン・ジャパンはドミナント出店を創業当時から意識し出店をしてい
るため、候補地調査書に当てはまるような良い条件の立地場所を確保できているのでない
か。

23
国友(1988)p33

37
図15 地図検証1~池袋駅周辺

※赤点がセブン-イレブン・ジャパン、青点がファミリーマート
出所:マピオン(http://www.mapion.co.jp/)より筆者が作成

38
図16  地図検証2~東池袋周辺

※赤点がセブン-イレブン・ジャパン、青点がファミリーマート
出所:マピオン(http://www.mapion.co.jp/)より筆者が作成

39
図17  地図検証3~北池袋周辺

※赤点がセブン-イレブン・ジャパン、青点がファミリーマート
出所:マピオン(http://www.mapion.co.jp/)より筆者が作成

40
図18 地図検証~要町周辺

※赤点がセブン-イレブン・ジャパン、青点がファミリーマート
出所:マピオン(http://www.mapion.co.jp/)より筆者が作成

41
第8章 結論・結びに 
結論として、クラスターの利点とネットワークを活かし、効率の良い経営ができるとされて
いるドミナント方式だが、ドミナント出店にも適切な方法がある。
 適切な店舗間隔と他社より早く出店することによって、条件の良い土地に出店すること
が大切だと言えるだろう。
 そこで、セブン-イレブン・ジャパンは、創業当時からドミナント出店を行っていたこと
により、他社よりもいち早く条件の良い土地に出店することができ、クラスターとネットワ
ークの利点を活かし、適切なドミナント出店を行えたのであろうと私たちは考える。

インプリケーションとして、立地というのは、コンビニエンスストア産業だけでなく、全
ての企業に大切な要素であり、特に小売業や、サービス業は軽視することのできない要素で
あろう。よって、集客数の多い場所に単に出店するだけでなく、ネットワークを活かした出
店をすることによって、コストの削減を可能にするなど、更に効率の良い経営が可能にされ
るであろうと私たちは考える。

42
参考文献
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3. 阿部幸男『発展するコンビニエンスストア』日本食糧新聞社,1971 年.
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5. 石崎研二「コンビニエンス・ストアの品揃えと立地」
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17. 梅林「コンビニエンスストアにおける立地特性及び施設発生予測分析」 『日本建築学会
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1991 年.
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20. 小川進『イノベーションの発生論理』千倉書房,2000 年.
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insight』第 14 号(通号 53),2006 年,6-21 頁.
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『流通研究』第 7 号,2004 年,
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