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分科会Ⅳ

多文化共生を実現するために

テーブルチーフ 梶原宣子

はじめに

第4分科会が実行委員、参加者などの多くの方々からの協力によって有益な議論をすることが出来たこと、心から感謝申し上げます。

特に分科会中にご講演頂きました移民政策所の坂中所長と通訳をして頂きました地球市民交流会のスタッフのみなさま、フィールドワ

ークとして訪問させて頂きました、新宿多文化共生プラザの職員のみなさまにつきましては、お忙しい中お時間を割いて頂いた上に快く

ご協力頂きましたこと、重ねて御礼申し上げます。

議題の背景

グローバル化に伴い、世界では国や独自の文化を持つ民族のテリトリーを越えた移動が進んでいった。同時に各地で移民に関する問題

が多角的な面から発生し、過去の歴史では、移民に対する「差別」や「虐殺」、逆に移民による国の社会秩序崩壊もあった。現代では過去

の反省を踏まえて、「多文化共生」を遂行するために移民と国民(国)の相互利益を尊重する国も出てきた。しかし、この移民と国民(国)

の相互の利益を尊重するにはいくつもの課題がある。例えばシンガポールでは積極的に労働力を補充するために移民を受け入れ、雇用先

を提供しているのだが、同時に移民に対する労働条件の劣悪さや人権問題が国際的に問題視されている。ドイツでは、政府は多文化共生

を目標としているのだが、実際には過去に受け入れた移民と国民の間にある社会的、経済的な溝が深まる一方であり、ネオナチなどの民

族対立が起きることもしばしばある。

一方、日本においての移民問題の一つの例として、労働者移民の受け入れ政策があげられる。高齢化と同時に伴う労働力の減少化を一つ

のきっかけに、政府は不足している労働力を特に福祉分野において海外からの人材で補う方針でいる。そして近年この政策が実験段階に

ある。この移民をどのように受け入れるかを慎重に取りきめなければ、将来日本は他国で起きた移民に関する失敗を再び繰り返してしま

うことになるのではないか。

世界においても、日本国内においても移民についての問題が深刻であること、自国だけでは解決ができないグローバルな問題であること、

そしてそれぞれの国が抱える移民問題に対しての対策をあげるために、他国の経験や知恵をシェアすることが必要だと考える。よって、

是非この多様な国籍や文化をもつ学生たちから構成される国際学生会議で、この「移民問題」について議論したいと思う。

事前勉強会内容

第一回勉強会では、まず自国である、日本の移民に関する現状や問題点を経済・労働・政治・地域・教育・人権・差別・医療の8つの

分野から複眼的に学んだ。

第二回勉強会では視野を日本からグローバルに向け、日本と他国が抱えている移民問題の共通点や相違点などを探っていった。そして

海外の移民事情から日本の移民問題解決のヒントも少し得ることができた。

この2回に渡る勉強会の開催によって、本会議前から早くも日本と海外における移民問題の概要を学ぶことができた。

本番内容

[会議内容の流れ]

各国の移民の現 グローバル・国家・地域レベル 原因を追及 状・問題把握
各国の移民の現
グローバル・国家・地域レベル
原因を追及
状・問題把握
でのソリューションを考える
各国のプレゼンと議論を踏まえて、
アクションプラン
会議後にアクション
の作成
今後の自国の在り方について発表

[分科会Ⅰ] 「イントロダクション」 はじめに、第 4 分科会の概要についてテーブルチーフから第 4 分科会参加者に説明を行った。次に互いに自己紹介をし、その後2つの テーマについてディスカッションを行った。 1.「移民の定義」 全体でこの分科会の要でもある「移民の定義」について話し合い、「移民とはある目的のために意図的に他国に住み移っている人」に決 定した。 2.「なぜ多文化共生が重要なのか?」 ペアになって話し合ってもらい、各自ペアになった人の考えを発表してもらった。多くの参加者は自分の多文化共生や移民に関する体 験を交えながら、この多文化共生の重要性について語っていた。その中でも一番多く取り上げた理由として、移民の孤立によって生じる 問題が 挙げられていた。

[分科会Ⅱ] 「日本と世界の移民問題の状況報告・全体の問題把握」 参加者の母国が抱えている移民問題についてのプレゼンを行うことで、お互いの国の移民の状況・問題点を把握した。 プレゼンテーションの後3グループ(1 グループ 5 人)に分け、各国の抱える移民問題の共通点を探った上で、それぞれのグループが担 当する移民問題のテーマを決めた。グループ1は「コミュニケーション」、グロープ2は「インテグレーション(統合)」、そしてグループ 3は「教育」というテーマで今後のディスカッションを進めることにした。

[フィールドワークⅠ] 「一般社団法人移民政策研究所 坂中所長による講演「日本型移民国家構想」」 東京入国管理局長に就任されていた経験をもつ、一般社団法人移民政策研究所所長の坂中英徳氏に日本の労働力の減少などの現状を踏 まえて、移民の受け入れとその政策の必要性についてお話を伺った。質疑応答の時間には参加者から積極的に質問や意見が出て、普段聞 くことのできないお話に皆興味津々であった。

[分科会Ⅲ]

「移民問題の原因追究」

この分科会の目的は、移民との多文化共生に関する問題の原因を追究し、整理することである。分科会Ⅱで作ったグループごとに各々の

テーマの問題に対し、原因を探るためのディスカッションを行った。

各グループの考える原因は以下にまとまった。

・グループ1「コミュニケーション」:言語の違い、言葉の解釈の違い・移民に対する受け入れ国の文化や習慣の教育機会の欠如・受け入

れ国の国民の移民に対する理解不足

・グループ2「インテグレーション」:人種や宗教、文化、習慣などの違い・コミュニケーション能力の低下・受け入れ国の人々が持つ移

民に対する偏見や恐怖心・教育

・グループ3「教育」:移民に対する教育サポートシステムの欠如と言語や文化の違い

[分科会Ⅳ] 「多文化共生にむけての解決策 partⅠ~global, 国同士の連携~」 この分科会からはこれまでに把握した問題と原因を踏まえて、解決にむけての議論を始めた。 まずアジアとヨーロッパのグループを2つ作り、実際に移民で強い関係性を持つ国同士で、どのようなパートナーシップを持つことや国 家間のどのような取り組みを行うことでお互いの問題を克服できるのかを議論した。結果は以下の通りになった。 ◎日本-中国 ・特に中国、日本の若者同士の情報交換を積極的に行い、一緒に物事を考え、学び、そして互いに信じあえるような環境を整えること ・メディアの規制 ◎日本-インドネシア ・日本の教育制度の改善、特に国際性を身につける教育を促進すること ◎インドネシア-中国 ・偏見を持たないよう努めること ◎トルコ-オーストリア ・相互のコミュニケーションの改善 ・教育面においては、送り出し側のトルコは自国の教育制度を改善し、受け入れ国のオーストリアは移民たちに無料、または低価格でオ ーストリアの文化や習慣、語学を学べる講座を提供すること ・合法移民になりやすい環境を整えること ◎スペイン-ルーマニア ・不法移民、人身売買等の取り締まりを協力し合う ・スペインは移民の貧困化に対する制度を整えること ・ルーマニアの教育システムの改善 ◎ルーマニア-オーストリア ・オーストリアによる東欧州への投資によって多くの移民がオーストリアにいるという現状をオーストリア人に理解してもらうこと

最後に、どの国家間でも共通したのは、ISC55のような国際会議を開催することによって市民レベルで相互理解を深めていく、とい

うことだった。

[フィールドワーク2]

「新宿多文化プラザと新宿コリアタウンの訪問」

この日は地域レベルでの外国人に対する支援について学ぶために、新宿多文化プラザを訪問し、そこで職員として働いていらっしゃる

八木原氏からお話を伺いました。

全国と同様、新宿の外国人登録者数が年々上昇を続けている現状から、今後の外国人に対する多文化共生プラザのような支援センターの

充実の重要性を教えて頂いた。行政が今後どのように日本に住む外国人に対し支援を行っていくべきなのかを深く考える機会となった。

お昼は新宿多文化プラザの近くにある韓国の繁華街が集う「新宿コリアンタウン」に行き、昼食に韓国料理を堪能した。自由時間にはそ

の地域の人々に対し、多文化共生に関する街頭インタビューをメンバー各自が実施した。結果、今回のフィールドワークを通して、書物

からでは学べない、実際の声を聞く事ができ充実した時間を過ごすことができた。

[分科会Ⅴ] 「多文化共生にむけての解決策 partⅡ~地域の取り組み~」 まず、フィールドワークの振り返りを行い、その後各グループの移民問題テーマに対し地域レベルでの解決案を出すためのディスカッシ ョンを行った。そして各グループ以下の地域レベルでの多文化共生に向けての解決案を出した。 グループ1「コミュニケーション」:もっと人々が他の文化や習慣に出会えるような接点を作ることが問題解決に繋がっていくと考える。 グループ2「インテグレーション」:会議等を通して移民とより多くの情報交換をする機会を作る。 グループ3「教育」:学校と保護者の連携がより良い子どもの教育環境を作るのに欠かせず、学校側は保護者に文化や教育制度、子どもに ついて保護者に伝え、逆に親は学校に子どものことをより学校側に理解してもらうために相互が話し合いを頻繁に行うべきである。

[分科会Ⅵ]

「ふりかえりとアクション・プランの作成」

この日は今までの分科会を振り返り、最終プレゼンテーションのメインテーマともな

る「アクション・プラン」について各グループでディスカッションを行った。

[分科会Ⅶ]

「最終プレゼンテーション作成準備」

この分科会では最終プレゼンテーションに向けて、最終打ち合わせとリハーサルを行

った。

[最終プレゼンテーション]

主に以下のことについて発表した。

1.「教育」・「コミュニケーション」・「インテグレーション」の3つの分野における

移民問題について

移民問題について

・「教育」:外国の教育システムの理解することの難しさ、言語、文化の違い、親・学校・子どもの連携不足

・「コミュニケーション」:言語の壁、外国人に対する意識面における態度

・「インテグレーション」:地元の人と移民との交流をもつ難しさ、コミュニティの孤立、偏った情報の流出、帰属意識の低下

2.一般的な移民問題とその原因

・地元の人と移民の交流する機会が少ないこと、さらにそれに伴い、他の文化や習慣、価値観に触れる機会が少ないこと

・尊重の心の欠如

・教育面における問題

・移民に対する情報不足、情報アクセスへのバリア(言語の壁など)

 最後に 3.解決案

最後に

3.解決案

・情報提供、情報アクセスのバリアフリー化、偏った情報に対する人々の正しい判断力

の強化

・学校での教育だけではなく、家族の教育参加を促進すること

・移民と地元の人々での話し合いの場を設けること

4.私たちのアクション・プラン

・外国人に対する教育支援を行う

・移民の声をもっと世間に広めること

・家族で旅行に行くこと(新しい文化・人・価値観との出会い)

・ISCのような学生会議をより多く開催する

私の分科会テーブルでは、ディスカッション時とは別で特に文化・価値観の違いによって衝突が何度か起きた。衝突が起きた当初は、

メンバーは皆気づかなかったのだが、この衝突こそが私たちのテーマでもある「多文化共生の実現」を目指す上で乗り越えていかなくて

はいけないものだったのだ。このように、ISC55では分科会中だけではなく、1週間の集団生活の中でも普段の日常では学べない多

くのことを勉強させられるものだったのではないかと感じた。今後もISCのような国際会議の開催によって、国際的な相互理解を深め、

世界平和に対する志をもつ学生を多く輩出していくことを願う。