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家庭医療あらかると

~診断編~

大福診療所
朝倉健太郎
• 日々の臨床の現場で「困ったな~」「どうしよ
うか…」の連続ですが、この間、少し気になっ
たケースについてご報告します.

• いつもより「珍しいなあ」「印象的だなぁ」という
ケースについて『診断編』としてまとめてみま
した.
顔が腫れて…
• 80歳 男性
• 既往に「悪性リンパ腫」
• 数日前より顔面が赤く腫れてきたと来院.
• 「これって、病気(悪性リンパ腫)の再発でしょ
うかぁ…」
• 比較的境界が明瞭な顔面の浮腫性紅斑.痛
みはあまりなく、熱感と腫脹を感じているとの
こと.
顔が腫れて…

A群溶連菌の真皮
への感染.
特に顔面に多い.
「習慣性丹毒」とな
ることもある.
感冒で来院した女性…
• 30歳 女性 柴咲コウ似
• 約1週間、発熱と倦怠感、心窩部痛が続いてい
るが改善しない.
• 他院で夏かぜと診断、LVFX等が処方されてい
るが効果はない様子.
• ん?待てよ…何か臭う…
• アセトアミノフェンのみ処方し、念のため血液検
査をオーダーしておくことに.
感冒で来院した女性…
• 翌日、検査結果が返ってくると、何とトランス
アミナーゼは4桁にっ!!!
• 急性肝炎にて基幹病院に入院依頼.
• その後、HBs抗原(+)の結果が返ってくる.

• 基幹病院では、さらに肝機能の悪化が見られ
たため、重症化が懸念され大学病院に転院
したが、順調な回復を見せているとのこと.
数ヶ月続く湿疹
• 80歳 女性
• 認知症、廃用症候群、気管切開、寝たきり
• 他院より訪問診療を受けていたが、当院に転
院の依頼あり.
• 2週間毎の気管切開チューブ交換、経鼻チュ
ーブ交換などを中心としたケア.
• 「それにしても、ひどい湿疹ですね~」
数ヶ月続く湿疹
• 手には引っ掻かないようにミトンの手ぶくろが
はめてある.「うーん、とても痒そう(^ ^;」
• 体幹を中心に、手や足の先まである慢性の
湿疹.
• 前医からはステロイド(マイザー)の処方.塗
布すると改善するが、しばらくするとまた悪化
する…難治性の慢性湿疹か.
• けど全身?よくよく目を凝らすと…
数ヶ月続く湿疹
• 鏡検を依頼すると…疥癬(^ ^;
• オイラックス軟膏塗布+イベルメクチン内服

• 実は約2年前に同じようなケースがあり、診断
が付いたことがあった.
• それは、優秀な訪問看護師の提言によって、
なのですが(^ ^; 今回は何とか…
手のイタミとムクミ
• 78歳、女性
• 逆流性食道炎、骨粗鬆症、高脂血症、間質
性肺炎にて治療中.
• 転倒し右肋骨骨折、血気胸(平成21年8月)

• 1月前より、肩から腕にかけての痛みが出現
した.特に夜間に痛みが強くなり、起床時に
は手のこわばりが出現する.
手のイタミとムクミ
• 「先生、リウマチじゃないですか?」
• RA、IgG欠損GAL抗体、抗核抗体を検査す
るが、特に異常は認めなかった.

• 約3週が経過、特に肩から指先までしびれ、
痛み、両手のこわばりが強くなったとの訴え.
• 両側手指はやや腫れぼったく、手指の背屈
は困難とのことであった.
手のイタミとムクミ
• 高齢女性、身体、特に上半身の痛み…リウマ
チ性多発筋痛症(PMR)?
• どちらかと言うと、特に上肢に強い症状.

• PMRと同様、ステロイド(PSL10mg)を内服す
ると翌日には劇的に症状の改善が!
• Paraneoplastic disorderでもあり、要注意.
お腹が急に痛くなって…
• セッティング:夜間救急外来
• 患者:36歳 女性
• 主訴:下腹部痛
• 既往歴:特になし

• 病歴:性行為の後、突然、腹部の痛みが生じ、
来院.痛みは激痛だったが、来院時は比較
的落ち着いている.
お腹が急に痛くなって…
• BP110/60 HR85 BT37.4℃
• 眼球結膜 貧血なし
• 胸部所見 異常なし
• 腹部 蠕動音は正常
全体的に軽い圧痛
Blumberg徴候(+/-) デファンスはなし
やや膨瘤しているような印象
お腹が急に痛くなって…
• 月経はいつも40日前後の周期だが、それな
りに順調に来ている.
• 先月だけ10日ほど早かった.そこから40日が
経過するので、そろそろ月経が来るはず.
• 「妊娠はしていないと思う」
• 不整性器出血はなし.
• 予定排卵より2~3週間程度、妊娠反応検査
は陰性の結果.
お腹が急に痛くなって…
• この日の当直は、尿路結石疑い、胆嚢炎疑
いと、「自分でUS検査をあてる」ケースが続き、
これが3例目(^ ^;
• それでも、手堅くUSをあてる!

→ 骨盤空内に大量の腹水?
Free echo spaceを認める.
お腹が急に痛くなって…
• 「性行為中に突然の痛みを生じる」というエピ
ソード
• 黄体出血(80%)と卵胞出血(20%)
• 保存的に治療されることが多いが、ショック、
大量出血、腹痛が著しい場合は手術も考慮.
便が出ない…
• 80歳 男性 高血圧にて治療中.
• 5日前より便が出ない、と定期受診日より早く
に来院.お腹が少し張るとのこと…
• 高齢者に多い便秘.「たかが便秘、されど便
秘」 まずは直腸診を…便が触れない、やっ
ぱりおかしい…
• レントゲン写真を取ると、案の定、二ボー像が
見られる…イレウスの診断にて入院を.
便が出ない…

腹部単純レントゲン写真(立位)
便が出ない…
• 後日、息子さんが入院後の経過報告のため
に来院される.
• 「おかげで無事、経過してます.何か腸が捻
れていたとかで…」 ひぇーっ!!!

• 紹介状の返信 「腸捻転を内視鏡的に整復し
ました」とのこと…助かった~
これで満足してはイケないっ!
• 家庭医として何を学んだのか
• 家庭医として何が重要と感じたのか
という視点が大事

–患者さんの解釈 「かきかえ」
–自分自身の振り返り
顔が腫れて…
• 診断:丹毒

• 「これって、病気(悪性リンパ腫)の再発でしょ
うかぁ…」 ←最も気になっている点に注目
• 何でも診る Comprehensiveなケアの提供
• その後、高血圧の治療のため他院から転院
感冒で来院した女性…
• 診断:急性B型肝炎

• 見逃してはならない感冒症状のピットフォール
• 『ちょっとハラハラ、ドキドキ…』
• アラートがかかったのはどこ?
• 初診ながら、普段は元気そうな!?お母さんが子
連れで来院、何かしんどそう…
数ヶ月続く湿疹
• 診断:疥癬

• ステロイド軟膏の基本 “2週間ルール”
• 『転んでもただでは起きぬ、七転び八起き』
• 忘れてはならない疥癬!

• 疥癬の予防策に120%の奮闘をする娘(介護
者)へのケアも忘れずに.
手のイタミとムクミ
• 診断:RS3PE

• 「病い」と「疾患」
• 背景から心理社会的アプローチを取りたくな
る中で、常にバランスよく生物医学的視点に
も留意する.
お腹が急に痛くなって…
• 診断:卵巣出血

• 若い女性の腹痛、特に下腹部痛にはあらた
めて注意.
• 妊娠、月経歴は忘れるな!
• エコーも手を抜くな!
便が出ない…
• 診断:大腸捻転

• 『高齢者の便秘、されど便秘…』
• 直腸診も忘れるな!
• 症状が乏しい中、いつもと違うサインはない
か?