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新規産業レポート 2007/春 2006 年の新規公開企業の概要

2006年の新規公開企業の概要
~情報サービス業中心に188社が IPO 実施~

… 2006年の新興市場は主要マーケットと比べて大幅な下落となっ
た。ライブドアショックなどにより新興企業に対する会計不信などが
強まったため。
… そうした環境下にもかかわらず昨年の新規公開企業は188社に達
し、2000年以来の高水準となった。
… 新規公開企業の業種別傾向を調べると、引き続き情報・IT サービス
関連企業が圧倒的に多い。競争激化により足元の収益面では苦戦して
いる企業も散見されているが、業界全体としては有望な成長産業であ
ることには間違いない。
… ソフトウェア開発や企業向け IT サポート会社に加え、IT 技術を活
用したユニークな BtoB 企業、BtoC 企業の増加も注目される。
… さらに地価の上昇を反映して不動産関連ビジネス、人材不足・雇用流
動化などの社会的背景から人材派遣ビジネス、多様な消費者ニーズに
対応した個性的な店舗展開をする飲食店ビジネスなども目立った。
… 変わったセクターとしては M&A 関連企業が2銘柄上場した。金融情
報サービス企業、高齢者向け介護、葬儀ビジネスなど高齢化社会を意
識したサービス業も相次いだ。
… 今年の IPO 企業数は昨年よりはやや減少すると予想されている。し
かし市場の信頼回復には量よりも質が重要となる。新時代を担う、
「志
の高い」ベンチャー企業の登場が期待される。

新規産業調査本部 中野充弘
mitsuhiro.nakano@rc.dir.co.jp

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2006 年の新規公開企業の概要 新規産業レポート 2007/春

1. 不振となった新興市場
1-1 2006年は大幅下落
昨年の新興市場のパフォーマンスは主要株式マーケットと比べ非常に
厳しい結果であった(図表1-1参照)。1月のライブドアショックを
きっかけに新興企業に対する会計不信などが強まり、年初から大きく値
を崩した。その後やや持ち直した場面もあったが、ネット関連企業など
の業績下方修正が相次いだことなどから人気離散が続いた。

図表1-1 主要株式市場の年間騰落率
06年 05年 04年 03年
東証マザーズ ▲56.3% +47.7% +30.5% +132.9%
ジャスダック指数 ▲33.8 +44.1 +33.8 +75.4
大証ヘラクレス指数 ▲51.9 +78.1 +25.4 ―
日経平均 +6.9 +40.2 +7.6 +24.4
TOPIX +1.9 +43.5 +10.1 +23.7

出所:HP 等より DIR 作成。大証ヘラクレスは03年7月からの指数開始のため03年はデータなし

しかしやや長い期間で比べれば現在の株価水準は日経平均などに大
きく見劣りしているわけではない。図表1-2は2003年初を100
として、日経平均、東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均を比較し
たグラフである(週末値ベース、直近は2月23日)。2004年前半
及び2005年後半に急上昇した新興市場株価は、昨年の調整を経て日
経平均とほぼ同じ水準に収斂していることがわかる。
もともと、新興市場は流動性が低いことから株価が一方的に動きやす
い性質があることを考慮すれば、昨年来の株価不振に対して過度に悲観
視する必要ない。

1-2 IPO 企業数は2000年に次ぐ高水準


昨年の IPO 企業数は188社で91年以降では2000年の204社
に次ぐ企業数となった。そのうち東証1部・2部や大証1部などを除い
た、新興市場(東証マザーズ、ジャスダック、大証ヘラクレス、名証セ
ントレックス、福岡 Q ボード、札幌アンビシャスの6市場)への新規公
開企業数は155社と2000年(161社)にかなり接近している。
(図表1-3参照)

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図表1-2 主要株式指標の推移
550
2003年初=100
500 東証マザーズ指数
日経JASDAQ平均
日経平均
450

400

350

300

250

200

150

100

50
03 04 05 06 07
(注)直近は2/23

図表1-3 新規公開企業数の推移

(社) 東証等
250
新興市場
204
200 187 188
175
167 43 169
150 158 33
50 144 20 25
150 19
129 53 124 121
43 39 107
34 24 20
90 86
100
30
161 155
35 24 149 150
137 139
107 114
50 105 100 101
95
27 77
55 62
12
15
0
91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 (年)

出所:大和証券法人ビジネス部資料より DIR 作成。他市場上場や合併等による再上場銘柄は除く

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1-3 2006年 IPO の状況


次に昨年公開された188社についてもう少し分析してみよう。まず
公開月の分布状況はほぼ例年通りの傾向で、12月が30社と最も多く、
あとは 2 月、3月、4月、6月、10月が多かった。次に社長の年齢を
調べると、40歳代が72名と最も多く、一般にマーケットで期待され
ているような若手起業家はそれ程多くないことがわかる。ちなみに20
歳代の3名はアドウェイズ(岡村陽久氏26歳)、ドリコム(内藤裕紀
氏28歳)、健康コーポレーション(瀬戸健氏28歳)、の三名である。

図表1-4 昨年の IPO 月別数 図表1-5 昨年 IPO188社の社長年齢

公開月 社長の年齢
(社)
35
30 80 72
30
26 70
25 23
60
20 20
20 17 50 43 41
15 14
15 40
11 30
8
22
10
20
5 3 7
1 10 3
0 0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上

(出所:HP 等より DIR 作成) (出所:HP 等より DIR 作成)

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2. 2006年 IPO 企業の特徴


それでは昨年新規公開企業の傾向について、業種からまとめてみよう。
ただし、今回の分析においては、HP 等を参照しながら筆者が独自にグル
ープ化したものである点には注意されたい。(各表の企業は上場日順)

2-1 情報・IT 関連企業が引き続き中心


昨年も情報・IT サービス関連企業の IPO が目立った。技術革新が早い
こと、比較的新規参入が容易なこと、などが要因と思われる。ここでは、
①情報通信業、②B to B 関連(対企業向けサービス)、③B to C 関連(対
個人向けサービス)の3グループに分けたが、業態が分類しにくい企業
も多い。また競争も激しいため、足元の業績は厳しいところも見られる。

図表2-1 ①情報通信業
企業名 コード 市場 上場日 概要等

エヌ・デーソフトウェア 3794 ジャスダック 2/8 介護ソフト

ドリコム 3793 マザーズ 2/9 ブログの企画・販売など

ファンダンゴ 3797 ヘラクレス 2/16 情報コンテンツ作成、DVD 販売

ウルシステムズ 3798 ジャスダック 2/21 IT サポート

ビーエスピー 3800 ジャスダック 3/15 IT サポート

エコミック 3802 アンビシャス 4/4 ビジネスサポート

アスキーソリューションズ 3801 ヘラクレス 4/6 パソコンソフト開発・販売

イメージ情報開発 3803 ヘラクレス 4/21 IT サポート

システムディ 3804 ヘラクレス 4/27 業務システムソフト

キーウェアソリューションズ 3799 ジャスダック 6/7 IT サポート

オウケイウェイヴ 3808 セントレックス 6/20 Q&A サイト

セキュアヴェイル 3042 ヘラクレス 6/26 情報セキュリティサービス

パリオセキュアネットワークス 3809 ヘラクレス 6/29 情報セキュリティサービス

サイバーステップ 3810 マザーズ 7/5 オンラインゲーム

ビットアイル 3811 ヘラクレス 7/19 データセンター運営

ゴメス・コンサルティング 3813 ヘラクレス 8/16 ウェブサイト評価・アドバイス

アルファックス・フード・システム 3814 ヘラクレス 9/15 外食向け情報システム

メディア工房 3815 マザーズ 9/15 占いサイト

大和コンピューター 3816 ジャスダック 9/29 受託システム開発、IT サポート

バンクテック・ジャパン 3818 ジャスダック 10/5 イメージ情報処理システム

フラクタリスト 3821 セントレックス 10/11 情報機器連携技術、携帯サイト

JSC 3822 ジャスダック 10/16 ソフト開発

アクロディア 3823 マザーズ 10/19 携帯向けソフト開発

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リミックスポイント 3825 マザーズ 12/1 ソフト開発

システムインテグレータ 3826 マザーズ 12/4 パッケージソフトの開発等

ニフティ 3828 東証2 12/7 インターネットプロバイダー

ゲームオン 3812 マザーズ 12/8 オンラインゲームの運営・開発

セルシス 3829 セントレックス 12/12 アニメ作成ソフト

ギガプライズ 3830 セントレックス 12/15 マンション向けネット接続サービス等

ソースネクスト 4344 マザーズ 12/20 パソコンソフト

パイプドビッツ 3831 マザーズ 12/21 情報管理ソフト

朝日ネット 3834 東証2 12/26 インターネットプロバイダー

eBASE 3835 ヘラクレス 12/26 各種データの情報管理システム

図表 2-2 ②B to B (to C)関連


企業名 コード 市場 上場日 概要等

ラクーン 3031 マザーズ 4/6 衣料ネット

日本サード・パーティ 2488 ジャスダック 6/22 海外 IT 企業のサポート

TRUCK-ONE 3047 Q ボード 8/8 中古トラックのネット

インフォマート 2492 マザーズ 8/8 業務用食材ネット

イーサポートリンク 2493 ヘラクレス 8/10 青果流通

ネットエイジグループ 2497 マザーズ 8/30 ネットベンチャー

メンバーズ 2130 セントレックス 11/2 ネットマーケティングのサポート

アイレップ 2132 ヘラクレス 11/16 インターネットマーケティング

MonotaRO 3064 マザーズ 12/6 間接資材ネット

情報インフラの拡充にともない、新しい IT 関連セクターが登場してい
る。なかでも B to B 分野への展開企業が目に付いた。業種は卸売業に分
類される企業も多いが、実体は IT サービス企業といえるだろう。

図表2-3 ③B to C 関連
企業名 コード 市場 上場日 概要等

比較.com 2477 マザーズ 3/15 比較によるネット広告

スタイライフ 3037 ヘラクレス 6/2 ファッション

夢の街創造委員会 2484 ヘラクレス 6/5 ネット宅配・出前サービス

アドウェイズ 2489 マザーズ 6/20 アフィリエイト

バリューコマース 2491 マザーズ 7/31 アフィリエイト

イージーユーズ 2495 アンビシャス 8/18 ネット広告

ミクシィ 2121 マザーズ 9/14 ネットメディア mixi の運営等

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インタースペース 2122 マザーズ 9/19 アフィリエイト

マガシーク 3060 マザーズ 11/28 ファッション

Web2.0 時代に突入したことで、個人(消費者)からの情報発信もビジ
ネスに重要な影響を及ぼし始めている。消費者動向をうまく捉えた企業
は市場からも大きく評価されよう。小売業との垣根も低くなっている。

2-2 不動産関連ビジネスも好調
土地価格の都市部を中心とした上昇、景気回復、デフレ脱却期待など
に支えられて、不動産関連ビジネスの IPO も多かった。不動産証券化ビ
ジネスやデザイン重視の個性的住居などの企業が登場している。なお情
報・IT 関連サービス企業のうち不動産に関わる企業はこちらに分類した。
図表2-4 不動産関連
企業名 コード 市場 上場日 概要等

ハウスフリーダム 8996 Q ボード 2/10 不動産仲介

グランド・ファイナンシャル・アドバイザリー 8783 ジャスダック 2/10 不動産流動化

いい生活 3796 マザーズ 2/16 不動産向け物件情報管理など

誠建設工業 8995 大証2 2/17 住宅建設

エムケーキャピタルマネージメント 2478 マザーズ 3/23 不動産管理・開発などのアセットマネジメント

アトリウム 8993 ジャスダック 3/28 不動産流動化事業等(現在は東証 1 部)

ラ・アトレ 8885 ヘラクレス 6/12 マンション

日本レップ 8992 マザーズ 6/16 物流向け不動産

リビングコーポレーション 8998 マザーズ 6/20 デザインマンション

サムシングホールディングス 1408 ヘラクレス 6/29 住宅向け地盤改良

ライフステージ 8991 ヘラクレス 7/5 分譲マンション

東京建物不動産販売 3225 東証2 7/13 総合不動産流通

三栄建築設計 3228 セントレックス 9/12 分譲住宅

スター・マイカ 3230 ヘラクレス 10/2 中古マンションのファンド

野村不動産ホールディングス 3231 東証1 10/3 総合不動産

ファンドクリエーション 3233 ジャスダック 10/27 不動産投信

ネクスト 2120 マザーズ 10/31 不動産ネット

燦キャピタルマネージメント 2134 ヘラクレス 12/7 不動産ファンド

トラストパーク 3235 Q ボード 12/12 駐車場

プロパスト 3236 ジャスダック 12/13 不動産総合ディベロッパー

イントランス 3237 マザーズ 12/15 不動産再生事業等

セントラル総合開発 3238 東証2 12/22 不動産販売、ビル賃貸等

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2-3 人材派遣ビジネス
雇用の流動化と景気回復による企業サイドの人材不足感から人材派遣
業界も活況を呈しているようだ。技術者や生産部門などへの人材供給ビ
ジネスが目立っている。

図表2-5 人材派遣ビジネス
企業名 コード 市場 上場日 概要等

エスプール 2471 ヘラクレス 2/10 総合人材アウトソーシング事業

WDB 2475 ジャスダック 3/16 理系人材

テンプスタッフ 2476 東証1 3/17 人材派遣等

ジェイテック 2479 ヘラクレス 4/4 技術者派遣など

翻訳センター 2483 ヘラクレス 4/28 通訳の派遣など

フリーワーク 2486 ヘラクレス 6/15 工場のアウトソーシング

ジェイエイシージャパン 2124 ジャスダック 9/22 人材派遣等

メディアファイブ 3824 Q ボード 10/25 システムエンジニア派遣

VSN 2135 ジャスダック 12/20 エンジニア・製造部門の人材

ヒップ 2136 ジャスダック 12/20 技術者派遣など

2-4 飲食店ビジネス
個性的なレストランなど飲食業も新規参入が活発な分野といえよう。

図表2-6 飲食店
企業名 コード 市場 上場日 概要等

トリドール 3397 マザーズ 2/15 うどん、焼き鳥など

丸千代山岡家 3399 ジャスダック 2/17 ラーメン

ハブ 3030 ヘラクレス 4/3 パブチェーン

パワーアップ 3044 ヘラクレス 7/13 伊レストラン

ペッパーフードサービス 3053 マザーズ 9/21 ステーキ、ハンバーグ

ゼットン 3057 セントレックス 10/19 カフェバー、レストランなど

ジェイプロジェクト 3063 マザーズ 11/30 居酒屋など

ライフフーズ 3065 ジャスダック 12/14 和風レストラン

東京一番フーズ 3067 マザーズ 12/21 ふぐ料理

JB イレブン 3066 セントレックス 12/22 中華レストランなど

WDI 3068 ジャスダック 12/22 伊レストランなど

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2-5 その他
10月に M&A ビジネスを手がける GCA(2126、マザーズ)と日本
M&A センター(2127、マザーズ)が上場した。また高齢化社会の到来を
目前にして、介護サービス、葬儀サービス、生花サービスなども相次い
だ。さらに商品先物や金融情報提供など金融ビジネス関連企業も増加し
た。

3. まとめ
以上をまとめると以下の表のようになる。

図表3-1 2006年 業種別 IPO 動向

全体 ジャス 東証マ ヘラク その他 東証


ダック ザーズ レス 新興市 1・2
場 部、大証
2部

情報通信 33 7 9 10 5 2

B to B (to C)関連 9 1 4 2 2 0

B to C 関連 9 0 6 2 1 0

不動産関連 22 4 6 5 3 4

人材派遣ビジネス 10 4 0 4 1 1

飲食店ビジネス 11 3 4 2 2 0

その他 94 37 12 12 7 26

合計 188 56 41 37 21 33

企業の事業内容も多様化、複合化しており、単純な業種区分から IPO
企業の傾向を概観することは無理があるかもしれない。しかし個別企業
の事業内容をみると、IT の技術革新と顧客ニーズをうまくつなぎ合せる
ことで、サービス業を中心として新しいビジネスプランを構築した企業
が増加しているのは明らかである。

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