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平成18年版

通商白書
〔概要〕

平成18年6月
経 済 産 業 省
【目 次】

序章 「持続する成長力」に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
「持続する成長力」に向けて

第1節 「知恵」と「実行力」が試される時代 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

第2節 日本が直面する「悪循環」の危機と「可処分所得」の必要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

第3節 「持続する成長力」の源泉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

第1章 国際経済の動向と構造変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
国際経済の動向と構造変化

第1節 リスクをはらみつつも着実な成長を続ける国際経済・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

第2節 国際資本移動の活発化と経常収支不均衡の拡大 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

第3節 原油価格上昇・高止まりがもたらす新たな国際経済の構図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

第2章 「アジア・ダイナミズム」と国際事業ネットワークの形成 ・・・・・・・・・・・・・・・・19

第1節 存在感の高まるアジア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

第2節 アジアにおける国際事業ネットワークの形成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

第3節 国際事業ネットワーク形成における進出先としての中国とASEAN4の
経済環境と投資・事業環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

第3章 「持続する成長力」のために取り組むべき課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
「持続する成長力」のために取り組むべき課題

第1節 国際的な事業環境整備の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38

第2節 対内直接投資の拡大 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47

第3節 人的資本の育成と活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52

第4節 「投資立国」の実現に向けて
∼「単線的」構造から「複線的」構造へ∼ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58

結びに代えて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66

(注)図表の番号は、通商白書本文の図表に対応している。

1
序章 「持続する成長力」に向けて

第1節 「知恵」と「実行力」が試される時代

¾①グローバル化、②アジアの台頭、③少子高齢化、といった大きな構造変化に直面する中、「知恵」(時
¾①グローバル化、②アジアの台頭、③少子高齢化、といった大きな構造変化に直面する中、「知恵」(時
代変化を的確に捉え対応方法を考え出していく能力)と「実行力」(「知恵」に基づいて自己改革を実行し
代変化を的確に捉え対応方法を考え出していく能力)と「実行力」(「知恵」に基づいて自己改革を実行し
ていく能力)を発揮し、変化をチャンスとして活用していくことが重要である。
ていく能力)を発揮し、変化をチャンスとして活用していくことが重要である。

<グローバル化>
○企業活動のグローバル化に伴い、貿易や投資が急速に拡大している。
(兆ドル) 第2図 貿易・投資の拡大
10

9
輸出
8
サービス受取額

7 対外直接投資(フロー)

0
48

50

52

54

56

58

60

62

64

66

68

70

72

74

76

78

80

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90

92

94

96

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00

02

04
19

19

19

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19

19

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19

19

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19

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19

19

19

19

20

20

20

(年)
(資料)IMF「IFS」、「Balance of Payments」より作成。

○グローバル規模での「人材競争」の激化に伴い、 ヒトの移動も拡大している。

(百万人) 第3図 学歴別国際的な人の移動(世界からOECD加盟国へ)
70

高等教育
60
後期中等教育

後期中等教育未満
50
20.4

40
12.5
30 17.1

10.6
20

10 18.8 21.5

0
1990 2000 (年)
2
(資料)世界銀行「International migration remittances and the brain drain」から作成。
<アジアの台頭>
○アジアは高い経済成長を背景に、国際経済における存在感を増している。

(兆ドル) 第4図 アジアの実質GDP規模の推移 (%)


4.0 16
実質GDP
3.5 実質GDP成長率(右目盛) 14
世界経済に占めるシェア(右目盛)
3.0 12

2.5 10

2.0 8

1.5 6

1.0 4

0.5 2

0.0 0
80
81
82
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85
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87
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90
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00
01
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(年)
19
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19
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20
20
20
20
20
(備考)1.アジアとは中国、韓国、香港、台湾、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、
      タイ、シンガポール、ベトナム、インドの合計。
    2.2000年価格で実質化。
(資料)世界銀行「WDI」から作成。

<少子高齢化>
○少子高齢化は我が国のみならず、国際的な課題となりつつある。

(%) 第5図 アジア諸国の老齢人口比率の将来推計
35

30
世界

25 日本
中国
20 韓国
シンガポール
15
マレーシア
タイ
10
ベトナム

5 インド

0
2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 (年)
(備考)老齢人口比率=65歳以上人口/総人口
(資料)国連人口統計局「World Population Prospects: The 2004 Revision Population Database」から作成。

3
第2節 日本が直面する「悪循環」の危機と「可処分所得」の必要性

¾急速に進展する少子高齢化は、経済成長の低下を通じて、国の「可処分所得(=GNI)」の減少と、
¾急速に進展する少子高齢化は、経済成長の低下を通じて、国の「可処分所得(=GNI)」の減少と、
社会基盤劣化をもたらし、更なる少子高齢化につながる懸念がある。
社会基盤劣化をもたらし、更なる少子高齢化につながる懸念がある。
¾このような「悪循環」の危機を克服するためには、我が国は、少子高齢化に負けず、国の「可処分所得」
¾このような「悪循環」の危機を克服するためには、我が国は、少子高齢化に負けず、国の「可処分所得」
を増加させていく「持続する成長力」を備える必要がある。
を増加させていく「持続する成長力」を備える必要がある。
※国の「可処分所得」とは、「どれだけのお金を国民のために使えるか」を示す国民経済計算(SNA)上のマクロの概念であり、
「どれだけのお金を国民が稼ぎ出したか」を示すGNI(国民総所得)と表裏一体である。

○国の「可処分所得」はGDP成長と所得収支拡大でもたらされる。

国の「可処分所得」(=GNI)の増加 = GDP成長 + 所得収支の拡大

(備考)贈与・無償援助・賠償金等である経常移転収支は、ここでは捨象する。

○しかし、少子高齢化は供給面、需要面、所得収支面といった複数の経路を通じて「可処分所得」を
抑圧する可能性があり、少子高齢化にも負けない「持続する成長力」を備えることは必ずしも容易では
ない。

日本が直面する「悪循環」の危機

〔供給面 〕 少子高齢化 → 実質的な労働投入の減少とそれに伴う資本投入の減少

〔需要面〕
需要面〕 総人口の減少 → 需要の減少

〔所得収支面〕
所得収支面〕 貯蓄率の低下 → 経常収支黒字の縮小 → 所得収支の減少

少子高齢化 経済成長低下懸念

●「可処分所得」(=GNI)の減少
「可処分所得」(=GNI)の減少
●社会基盤の劣化

(資料)経済産業省作成。

4
第3節 「持続する成長力」の源泉

¾「可処分所得」拡大を図るための「持続する成長力」の源泉としては、GDP成長のための、①生産性の
¾「可処分所得」拡大を図るための「持続する成長力」の源泉としては、GDP成長のための、①生産性の
向上、②十分な資本投入の確保、③労働参加の推進、に加え、④所得収支の拡大が重要となる。
向上、②十分な資本投入の確保、③労働参加の推進、に加え、④所得収支の拡大が重要となる。
¾特に、急速な少子高齢化に直面する我が国は、①生産性の向上と、②「複線的」構造に基づいた所得
¾特に、急速な少子高齢化に直面する我が国は、①生産性の向上と、②「複線的」構造に基づいた所得
収支の拡大が重要なカギとなる。
収支の拡大が重要なカギとなる。
※「生産性」は全要素生産性(TFP:Total Factor Productivity)を指す。具体的には、経済成長の要因のうち生産要素(資本及
び労働)によっては計れない技術体系、生産組織(経営の在り方など)などを指す 。
<生産性>
○近年の我が国の経済成長に対する生産性の寄与が相対的に拡大しており、今後ともGDP成長を図る
上では、生産性の向上が重要なカギである。

(%) 第7図 日本の経済成長の源泉
12
生産性の寄与
資本の寄与
10
労働の寄与
8 実質GDP成長率

6 労働の寄与がマイナス
になる一方で、生産性
の寄与が相対的に拡大。
4

-2
55-60 60-65 65-70 70-75 75-80 80-85 85-90 90-95 95-00 00-04 (年)
(備考)1.労働の寄与は総労働時間ベース。
    2.1980年以降は資本ストックを稼働率により調整した。
    3.試算方法は付注2を参照
(資料)内閣府「国民経済計算」、「民間企業資本ストック統計」、総務省統計局「労働力調査」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」、
    経済産業省「鉱工業生産・出荷・在庫指数」、「第3次産業活動指数」から作成。

<資本投入>
○資本投入を十分確保するためにも、国際資本移動が活発化する中、生産性の向上がカギとなる。
第9図 OECD諸国の生産性と固定資本投資の関係
25
固定資本投資
の伸び率(%) 95年以降
y = 2.20x + 3.47
20 2
R = 0.23

15 85年∼94年
y = 1.08x + 4.79
R2 = 0.04
10

グローバル化を背景に、生産性が
5 高いほど、資本を惹きつけやすい
環境に変化。

0
-6 -4 -2 0 2 4 6 8 10
-5 生産性の伸び率(%)

-10
85年∼94年
-15 95年以降

-20
(備考)OECD加盟30カ国のうち生産性上昇率と固定資本投資のデータの双方が取得できるチェコ、ハンガリー、アイスランド、
    韓国、ルクセンブルク、メキシコ、ノルウェー、ポーランド、スロバキア、スイス、トルコを除く19カ国のデータ
    を使用。
(資料)OECD「National Account」、「MFP Database」から作成。

5
<労働>
○ヒトについては、「量」もさることながら「質」(=労働生産性)の向上がカギとなる。
第10図  米国と比較した一人当たりGDP格差の要因
一人当たりGDP 一人当たり労働投入時間 労働時間当たりGDP
のかい離率 のかい離率 のかい離率
ノルウェー
アイルランド
スイス
アイスランド
カナダ
オーストリア
デンマーク
英国
オランダ
ベルギー
フィンランド
スウェーデン
オーストラリア
日本
フランス
ドイツ
ユーロ圏
OECD
イタリア
EU19
スペイン
ニュージーランド
ギリシア
韓国
ポルトガル
チェコ
ハンガリー
スロバキア
ポーランド
メキシコ
トルコ
- 80 - 60 - 40 - 20 0 20 - 80 - 60 - 40 - 20 0 20 - 80 - 60 - 40 - 20 0 20
(備考)1.(一人当たりGDPのかい離率)=(一人当たり労働投入時間のかい離率)+(労働時間当たりGDPのかい離率) (%)
    2.EU19はEU加盟国のうち、OECDに加盟している19カ国。
    3.ユーロ圏とはオーストリア、ベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、アイルランド、イタリア、
      ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン。
(出所)OECD(2005)「OECD Science, Technology and Industry Scoreboard 2005」から作成。

<所得収支>
○少子高齢化の中で所得収支を更に拡大するためには、「経常収支黒字→対外純資産残高増加→所得
収支拡大」という「単線的」構造から、「対内投資と対外投資双方の拡大+高い対外資産収益率→所得
収支拡大」という「複線的」構造への転換がカギとなる。
(%) 第11図 日米英の所得収支(対名目GDP比)の比較
2.5
英国:2005年
日本 米国 英国 2.27%(速報値)
2.0

1.5 日本:2005年
2.26%

1.0

0.5

0.0
米国:2005年
0.01%(速報値)
-0.5

-1.0
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
19
20
20
20
20
20
20

(資料)財務省/日本銀行「国際収支統計」、内閣府「国民経済計算」、米国商務省「Balance of Payments」、 (年)


    「National Income and Product Accounts」、英国統計局「Balance of Payments: The Pink Book」、
    「Economic Account」から作成。
6
第1章 国際経済の動向と構造変化

第1節 リスクをはらみつつも着実な成長を続ける国際経済
1.国際経済の概況とリスク要因
1.国際経済の概況とリスク要因
¾国際経済は、米国を始めとした先進国がけん引役として着実に成長している。
¾国際経済は、米国を始めとした先進国がけん引役として着実に成長している。
¾こうした中、東アジア諸国・地域やBRICS諸国は、グローバル化をいかし、高い経済成長を実現し、国
¾こうした中、東アジア諸国・地域やBRICS諸国は、グローバル化をいかし、高い経済成長を実現し、国
際経済における存在感を高めている。
際経済における存在感を高めている。
¾他方、国際経済は、①世界的な経常収支不均衡、②中国のはらむ様々な課題の顕在化、③原油価格
¾他方、国際経済は、①世界的な経常収支不均衡、②中国のはらむ様々な課題の顕在化、③原油価格
上昇・高止まり、④国際経済のインフレ、等のリスク要因も抱えており、注視が必要である。
上昇・高止まり、④国際経済のインフレ、等のリスク要因も抱えており、注視が必要である。
※なお、①は第1章第2節、②は第2章第3節、③は第1章第3節で分析。

<国際経済の概況>
○東アジア諸国・地域とBRICS諸国は1990年以降高い経済成長を実現している。
(%) 第1-1-1図 各国・地域別GDP成長率
15

10 中国

BRICS(除:中国)
米国 東アジア(除:中国)
5
その他
世界

日本 EU15
0

米国
EU15
日本
-5 中国
東アジア(除:中国)
BRICS(除:中国)
その他
世界
-10
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
(備考)1.東アジア(除:中国)は、韓国、香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、
      フィリピン、タイ。BRICS(除:中国)は、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ。
    2.データが欠損している国、年については含めていない。
(資料)世界銀行「WDI」、中国国家統計局「中国統計年鑑」から作成。

○他方、世界経済の成長に対する寄与を見ると、米国などの先進国が大きい。
(%) 第1-1-3図 世界の経済成長における地域別寄与度の推移
6.0
その他 BRICS(除:中国)
東アジア(除:中国) 中国
5.0
日本 EU15
米国 世界の経済成長率
4.0

3.0

2.0

1.0

0.0

-1.0

-2.0
1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004
(備考)1.各国のGDP(実質ドル(2000年価格)ベース)から計算。
    2.東アジア(除:中国)は、韓国、香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ。
7       BRICS(除:中国)は、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ。
(資料)世界銀行「WDI」から作成。
○国際分業の進展、所得水準の向上などを背景に、貿易面における東アジアの存在感が増大。

第1-1-6図 世界貿易の動向(2004年)
(単位:百万ドル)
米国 東アジア→米国
367,863
米国→東アジア
108,183
①電気機器 93,314 ①電気機器 37,187
②機械機器 83,452 ②機械機器 26,641
米国→EU EU→米国 ③玩具雑貨 18,822 ③精密機器 11,135
189,273 272,439
①機械機器 41,251 ①機械機器 41,845
②航空機等 25,736 ②自動車等 39,232
③精密機器 19,043 ③医療機器 23,540 中国→米国 米国→中国
196,682 44,652
①機械機器 43,837 ①機械機器 7834
②電気機器 40,199 ②電気機器 7623
③玩具雑貨  17,224 ③精密機器 3469

EU→東アジア EU→中国
181,317 68,012
①機械機器 45,407 ①機械機器 23,358
②電気機器 35,655 ②電気機器 11,692 中国→東アジア(除中国) 東アジア→東アジア
③精密機器 11,160 ③精密機器 5,034 202,103 682,490
EU→EU ①電気機器 65,774 ①電気機器 258,589
②機械機器 31,166 ②機械機器 94,451
2,025,434
①自動車等 294,957 東アジア ③編物衣料 7,558 ③鉱物性燃料 46,678
②機械機器 262,041 EU15
③電気機器 173,989 東アジア→EU 中国→EU 東アジア(除中国)→中国
293,589 146,668 198,703
①電気機器 79,794 ①電気機器 34,518 中国 ①電気機器 71,632
②機械機器 67,856 ②機械機器 31,927 ②機械機器 25,190
③織物衣料 11,819 ③玩具雑貨 8,884 ③精密機器 20,458

米国→日本 日本→米国
日本→EU EU→日本 62,563 129,805
85,875 77,022 ①機械機器 10,127 ①自動車等 45,894
①自動車等 21,731 ①自動車等 10,868 ②電気機器 7,850 ②機械機器 26,569
②電気機器 20,437 ②機械機器 8,807 ③精密機器 6,302 ③電気機器 22,112
③機械機器 19,599 ③精密機器 6,306 東アジア→日本 日本→東アジア
196,348 290,753
①電気機器 44,335 ①電気機器 88,760
②機械機器 30,032 ②機械機器 63,448
③鉱物性燃料 20,722 ③精密機器 23,661
  ∼150(十億ドル)
150∼250 (十億ドル)
250∼350 (十億ドル) 中国→日本 日本→中国
350∼ (十億ドル) 94,446 94,192
①電気機器 16,939 ①電気機器 28,335
日本 ②機械機器 15,647 ②機械機器 21,642
③織物衣類 20,721 ③精密機器 7,797

(備考)1.東アジアはNIEs、ASEAN4、中国の9カ国(香港は中国に含めない)、EUは全期間を通じて15カ国。
     2.輸入国側の統計(CIF価格)を利用した。
(資料)Global Trade Information Services Inc.「World Trade Atlas」から作成。

○投資面でも、東アジアの直接投資の受入シェアは拡大している。

第1-1-7図 世界の直接投資の動向(1990年代前半→2000年代前半)
(単位:百万ドル)

49,602
アジア 日 本: 2,393 → 8648 ↓
中 国: 4 → 146
(日本、中国、NIEs、ASEAN4) N  I Es:  352 → 1,356
360,804

ASEAN4: 23 →  109
中国
E U
日 本: 1,163 → 6,034
中 国: 3,030 → 6,092
3,072 8 N  I Es: 1,111 → 5,210
↓ ↓ ASEAN4: 4,959 → 4,499
5,588 3
22,731 → 86,336

8,364 9 1,418 132


↓ ↓ ↓
16,324 → 57,162


14,202 7,134 1,689 1,913
日本
6,149
216 1,552 ↓
↓ 3 3,910
↓ ↓
648 4,876 1
日 本: 8,722 → 4,311
中 国:  40 →  30
8,496 → 4,142 N  I Es:  788 →  1,051
NIEs ASEAN4 ASEAN4: 101 → 23
118 → 822

383 → 3,454 日 本: 1,315 → 5,604 米 国


816 → 994 中 国: 4,054 → 8,458
N  I Es: 1,988 → 7,032
ASEAN4: 3,375 → 2,130

(備考)1.対内直接投資の年平均額(単位は百万ドル)。1990年代前半とは1990-95年、2000年代前半とは2000-2003年。
    2.中国、NIEs、ASEAN4については投資監督機関の認可額、日本、EU、米国については国際収支上の対内直接投資額。
    3.ここでは香港はNIEsに含めて計算しているが、中国−NIEs間の場合だけは香港を除外して計算。
(資料)OECD「International Direct Investment Statistics Yearbook」、財団法人国際貿易投資研究所「世界主要国の直接投資統計集」から作成。

8
<インフレ・リスク>
○現在の国際的なインフレ圧力増大の背景には、「国際的な過剰流動性の増加」と「資産価格の上昇」
の循環的作用が存在している。 第1-1-8図 国際経済のインフレへの経路

東アジア諸国・地域 先進国の
の経常黒字と貯蓄過剰 輸入増加

各国株式 消費、
価格の上昇

国際的な過剰流動性の増加
設備投資
の増加

インフレ懸念の発生
各国不動産
各国の金融緩和に
価格の上昇
伴う金利の低下

原油等の
国際商品
価格の上昇 素材、製品
産油国の 価格の上昇
経常黒字と貯蓄過剰

(資料)経済産業省作成。

○日米欧の「マーシャルのk」は従来の傾向線を上回って推移しており、世界の通貨供給量は
飛躍的に増大している。
※「マーシャルのk」とは、経済規模(名目GDP)に対して、マネーサプライ(通貨供給量)が適正水準であるかどうかの指標。
(2000年平均=100) 第1-1-12図 日米欧の過剰流動性資金の増加 (%)
120 50

日米欧のマーシャルのk
110 40

傾向線
100 30

90 20

80 10

傾向線からの乖離率
70 0

60 -10
1Q
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4Q
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4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q

80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05

(備考)世界のマーシャルのk=日米EU15カ国の加重平均値。
    名目GDPは01年∼05年の固定ウエートを使って、3カ国のマーシャルのkを合算。米国のマーシャルのk
    は、マネーサプライ(M3)の代わりに、企業、家計の負債を使用。
(資料)水野(2005)「過剰流動性・過剰貯蓄依存の先進国経済」から作成。

○インフレ・リスクが顕在化する中、先進各国は金融政策を転換している。
(%) 第1-1-9図 日米欧の政策金利の推移
16

英国レポレート
14
米国公定歩合(ニューエー)
12 ユーロエリアリファイナンスオペレート
(コール翌日物、98年以前はドイツの公定歩合)
10 米国FFレート誘導目標

8 金融緩和

金融引締
6

2
日本無担保コール(翌日物)
日本公定歩合
0
1985 1990 1995 2000 2005
(備考)米国では1995年より公定歩合に代わりFFレート誘導目標が政策金利として採用された。量的緩和実施
9     レポレートは債券貸借取引を行う際の金利。
(資料)日本銀行「金融経済統計月報」、「日本銀行統計」から作成。
量的緩和解除
2.地域別に見た世界経済の動向
2.地域別に見た世界経済の動向
¾米国経済は、経常収支赤字を抱えながらも景気拡大している。
¾米国経済は、経常収支赤字を抱えながらも景気拡大している。
¾欧州経済は、緩やかに景気回復している。
¾欧州経済は、緩やかに景気回復している。
¾アジア経済は、中国を始めとして景気拡大を続けている。
¾アジア経済は、中国を始めとして景気拡大を続けている。
¾BRICS経済は、堅調に推移している
¾BRICS経済は、堅調に推移している
¾LDC諸国については、経済状況が依然として苦しい国が多い。
¾LDC諸国については、経済状況が依然として苦しい国が多い。

○米国は、経常収支赤字を拡大させつつも、好調な個人消費を背景に景気拡大をしている。
(%) 第1-1-17図 米国の実質GDP成長率の推移
10

個人消費 設備投資 個人消費を中心に景気は拡大


8 住宅投資 政府支出
在庫投資 純輸出
実質GDP成長率
6

-2
ハリケーン等による
一時的な低下
-4
2001 2002 2003 2004 2005 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ
2004 2005 2006
(備考)季節調整値。前期比年率。2006年第1四半期は速報ベース。 (年)
(資料)米国商務省経済分析局Webサイトから作成。

○欧州経済は、緩やかに景気回復を続けている。
(%)  第1-1-22図 ユーロ圏の実質GDP成長率の推移
2.5

個人消費 政府消費
2.0 固定資本形成 在庫投資
純輸出 実質GDP成長率
1.5

1.0

0.5

0.0

-0.5

-1.0
2001 2002 2003 2004 2005 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ
2004 2005 2006

(備考)季節調整値。前期比。2006年第1四半期は速報ベース。 (年)
(資料)Eurostat Webサイト、内閣府「海外経済データ」から作成。

○中国経済は3年連続で10%前後の高成長を達成している。NIEs・ASEAN4は、景気拡大しているものの、
ASEAN4は原油価格上昇・高止まりによる影響が懸念される。
(%) 第1-1-27図 中 国 ・ N I E s の 実 質 GDP 成 長 率 の 推 移
14
中国 シンガポール
12

10
香港
8

4 韓国

2
台湾
0

-2

-4 中国 韓国
台湾 香港
-6
シンガポール
-8
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年
(備考)1.前年同期比。
    2.中国の2005年第1四半期から第4四半期までは2006年1月に発表された全国経済調査に基づく改定値。
      2001年から2004年までは四半期ベースの修正値は発表されていないため修正前の数値となっている。
10
(資料)内閣府「海外経済データ」から作成。
3.国際経済のサービス化や人材競争の激化
3.国際経済のサービス化や人材競争の激化
¾国際経済の成熟化に伴い、経済のサービス化が進展しており、サービス業の生産性向上が各国の課
¾国際経済の成熟化に伴い、経済のサービス化が進展しており、サービス業の生産性向上が各国の課
題になりつつある。
題になりつつある。
¾国際的なヒトの移動が活発化する中、優秀な人材をめぐって、グローバル規模で「人材競争」が激化し
¾国際的なヒトの移動が活発化する中、優秀な人材をめぐって、グローバル規模で「人材競争」が激化し
始めている。
始めている。しかし、我が国の国際的な人材の流入・流出は低水準にとどまっており、今後、高度人材
しかし、我が国の国際的な人材の流入・流出は低水準にとどまっており、今後、高度人材
の活用・育成に向けた取組が大きな課題となっている。
の活用・育成に向けた取組が大きな課題となっている。

<サービス経済化>
○先進国のみならず、経済的発展を遂げつつある途上国においてもサービス経済化が進展しつつある。
(%) 第1-1-31図 各国・地域の実質GDPに占めるサービス産業の付加価値割合 (%)
75% 90%
各国とも経済のサービス化が進展。

70% 米国 80%

65% 70%
日本
EU15

60% 60%

55% 東アジア(除:中国、右目盛り) 50%

BRICS(除:中国、右目盛り)
50% 40%

中国(右目盛り)
45% 30%

40% 20%
1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004
(備考)1.東アジア(除:中国)は、韓国、香港、シンガポール、インドネシア、マレーシア、
      フィリピン、タイ。BRICS(除:中国)は、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ。
    2.データが欠損している国、年については含めていない。
(資料)世界銀行「WDI」、中国国家統計局「中国統計年鑑」から作成。

<「人材競争」>
○国際的に「人材競争」が激化する中、我が国の人材の流出入は低水準にとどまっている。
第1-1-34図 OECD諸国の高等教育修了者に占める他国からの流入及び他国への流出割合(2001年)
OECD諸国の高等教育修了者に占める他国への流出割合(2001年) OECD諸国の高等教育修了者に占める他国からの流入割合(2001年)

英国 ニュージーランド
ニュージーランド
オーストリア アイルランド
スロバキア カナダ
ポルトガル オーストリア
スイス スウェーデン
ギリシア 英国
ポーランド ベルギー
ハンガリー ノルウェー
EU15 ギリシャ
EU19 EU15
オランダ ポーランド
ドイツ 米国
デンマーク フランス
カナダ デンマーク
EU19
メキシコ
チェコ
ベルギー
OECD
フィンランド
トルコ
チェコ
オランダ
スウェーデン
スロバキア
ノルウェー
スペイン
日本は出入りともに少ない。 トルコ
ドイツ
フランス
ハンガリー
オーストラリア
フィンランド
スペイン メキシコ
韓国 ポーランド (上段)非OECD諸国からの高等教育修了者の流入
日本 (下段)OECD諸国からの高等教育修了者の流入
韓国
米国 日本
(%)
- 25 - 20 - 15 - 10 -5 0 0 5 10 15 20 25
(%)
(出所)OECD(2005)「OECD Science, Technology and Industry」。
11
第2節 国際資本移動の活発化と経常収支不均衡の拡大

1.拡大する経常収支不均衡
1.拡大する経常収支不均衡
¾国際経済のリスク要因として、世界の経常収支不均衡の拡大が指摘されている。
¾国際経済のリスク要因として、世界の経常収支不均衡の拡大が指摘されている。
¾その構造を見ると、米国が巨額(GDP比6.4%:2005年暫定)の経常収支赤字を計上している一方で、
¾その構造を見ると、米国が巨額(GDP比6.4%:2005年暫定)の経常収支赤字を計上している一方で、
我が国や東アジア諸国・地域、中東諸国などが経常収支黒字を計上している。
我が国や東アジア諸国・地域、中東諸国などが経常収支黒字を計上している。
¾米国の経常収支赤字の原因を貯蓄投資バランス(ISバランス)という視点から見ると、
¾米国の経常収支赤字の原因を貯蓄投資バランス(ISバランス)という視点から見ると、
①政府部門のISバランスの悪化(=財政赤字の拡大)
①政府部門のISバランスの悪化(=財政赤字の拡大)
②民間部門のISバランスの悪化(=旺盛な消費と貯蓄率の低下)
②民間部門のISバランスの悪化(=旺盛な消費と貯蓄率の低下)
が考えられる。
が考えられる。

○世界の経常収支不均衡は拡大している。

(10億ドル) 第1-2-1図 世界の経常収支の推移
その他
800 米国 EU
日本 NIEs
中東
600 ASEAN4 中国
BRICS(除く中国) 中東 BRICS(除く中国)
400 その他 中国 ASEAN4

200 NIEs 日本

-200

-400 ASEAN4

-600
EU 米国
-800
米国の膨大な経常赤字と東アジア諸国及び産油国の経常黒字

-1,000
1990 1995 2000 2005
(年)
(備考)2006年、2007年は見通し。
(資料)IMF「World Economic Outlook Database April 2006」から作成。

12
2.経常収支不均衡の持続可能性への疑問
2.経常収支不均衡の持続可能性への疑問
¾世界の経常収支不均衡の持続可能性については、①米国債務のリスク・プレミアムの拡大、②アジア
¾世界の経常収支不均衡の持続可能性については、①米国債務のリスク・プレミアムの拡大、②アジア
などにおける外貨準備の積上げとインフレ圧力を相殺するための不胎化政策が抱える問題が拡大し
などにおける外貨準備の積上げとインフレ圧力を相殺するための不胎化政策が抱える問題が拡大し
ている、との指摘がされている。
ている、との指摘がされている。
¾仮に、経常収支不均衡が持続可能ではなく、調整が起こる場合、以下の調整経路等が考えられる。
¾仮に、経常収支不均衡が持続可能ではなく、調整が起こる場合、以下の調整経路等が考えられる。
①ドルの減価
①ドルの減価
②米国住宅市場の減退と消費の減少
②米国住宅市場の減退と消費の減少
③米国の財政赤字縮小
③米国の財政赤字縮小
¾しかしながら、いずれの調整過程においても、国際経済への悪影響があり得る。
¾しかしながら、いずれの調整過程においても、国際経済への悪影響があり得る。

※不胎化政策とは、為替市場への介入において、売却された自国通貨を、国債などの発行により吸収し、為替市
場介入による金融への影響を中立化する政策。
※不胎化政策が抱える問題としては、①市中銀行の収益性低下による金融機能の信用配分の阻害、②不胎化が
不完全であった場合のインフレ上昇圧力、③不胎化が完全であっても債券が市場へ過剰流入し、利子率の上昇
により海外資本が流入しインフレ圧力が上昇(政策の自己矛盾説)、④収益性の高い国内投資に資金が回らず、
資金配分の非効率性増大、などが指摘されている。

○世界の経常収支不均衡の拡大は諸外国が米国資産への投資を拡大することと表裏一体であり、
その規模が拡大するにつれて、米国資産の「リスク・プレミアム」が高くなり、米国への資本流入が
鈍化する可能性があると考えられる。

>
自国資産の期待収益率 =
< 米国資産の期待収益率

− ( リスク・プレミアム + 為替の期待減価率 )

○東アジア諸国・地域は増加する外貨準備の運用先として、米国財務省証券への投資を拡大していると
考えられ、インフレ圧力を相殺するための不胎化政策が抱える問題が拡大していると指摘されている。

(10億ドル) 第1-2-5図 東アジアの外貨準備保有高
3,000

2,500

2,000
中国

ASEAN4
1,500 シンガポール
香港
台湾

1,000 韓国

500 日本

0
2000 2001 2002 2003 2004 2005 (年)
13 (資料)IMF 「IFS」、台湾中央銀行「台湾中央銀行統計」から作成。
3.経常収支不均衡の持続的拡大から見える構造変化
3.経常収支不均衡の持続的拡大から見える構造変化
¾経常収支不均衡が拡大し続けている背景は、
¾経常収支不均衡が拡大し続けている背景は、
①国際的な過剰流動性の増加(既述)
①国際的な過剰流動性の増加(既述)
②国際資本移動の活発化
②国際資本移動の活発化
③以上を前提として、投資先としての米国の魅力の存在。
③以上を前提として、投資先としての米国の魅力の存在。
¾世界の経常収支不均衡から確認される国際的資本移動の活発化といった国際経済の構造変化は、
¾世界の経常収支不均衡から確認される国際的資本移動の活発化といった国際経済の構造変化は、
①国内の魅力を高めることで、世界の資金を国内に呼び込むことが可能
①国内の魅力を高めることで、世界の資金を国内に呼び込むことが可能
②戦略的な対外投資を通じて、投資収益を拡大するチャンス
②戦略的な対外投資を通じて、投資収益を拡大するチャンス
を示している。
を示している。

<国際資本移動の活発化>
○各国間の生産の伸びの相関に比較して、消費の伸びの相関が強いことは、外国からの資金流入に
よって消費水準が維持されているためと考えられ、国際資本移動が活発化していることを示している。
第1-2-12表 主要先進国間の消費の相関係数と生産の相関係数の比較
フランス ドイツ イタリア 日本 米国 英国
0.26 0.25 0.70 -0.440.67 0.08
カナダ
(0.078) (0.19) (-0.14) (-0.14)
(0.57)(0.24)
0.71 0.62 -0.460.48 -0.26
フランス
(0.53) (-0.11) (-0.19)
(0.47)(-0.29)
0.55 -0.320.37 0.07
ドイツ
(-0.05) (-0.30)
(0.26)(0.05)
-0.320.40 -0.23
イタリア
(-0.15)
(0.05)(0.41)
-0.45 0.44
日本
(0.12)(-0.01)
-0.06
英国
(0.31)
(備考)1.上段の数字は各国間の一人当たり消費の伸び率の相関係数、
      下段の括弧内の数字は生産の伸び率の相関係数を表す。
    2.生産については、一人当たりGDPから固定資本投資、
      政府支出相当分を除いたものを利用した。
    3.網掛け部分は消費の相関が生産の相関よりも強い組合せを示す。
4.上記の数値は1993年∼2003年のもの。
    5.Obstfeld and Rogoff(2000)を参考とした。
(資料)世界銀行「WDI」から作成。

<投資先としての米国の魅力>
○米国への資金流入は、その形態を変えつつも増加しており、投資先として米国の魅力の高さが、経常
収支不均衡拡大の一つの背景となっている。
第1-2-15図 米国の資金流入・流出と経常収支 外国政府から
(10億ドル)
の資金流入
1,800 対外直接投資 対外証券投資
外国政府からの 減少
資金流入増加
その他資金流出 外国政府購入財務省証券 民間から政府
1,600 民間資金流入
部門への投資
外国政府購入政府系機関債 外国政府購入その他米国債券 中心
拡大
1,400 外国民間購入財務省証券 外国民間購入政府系機関債
対内直接投資 株式投資流入
1,200
社債投資流入 資本移転収支
1,000 その他民間資金流入 統計誤差
経常収支(逆目盛) 民間
800 →民間

600

400 民間
→政府
200 政府
→政府
0

-200

-400

-600

-800

-1,000
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
(年)
14
(資料)米国商務省経済分析局「Balance of Payments」から作成。
第3節 原油価格上昇・高止まりがもたらす新たな国際経済の構図

1.原油価格の動向とその上昇・高止まりの要因
1.原油価格の動向とその上昇・高止まりの要因
¾国際経済におけるリスク要因としての、原油価格の上昇・高止まりの要因は複合的ではあるが、
¾国際経済におけるリスク要因としての、原油価格の上昇・高止まりの要因は複合的ではあるが、
基本的には、
基本的には、
①米国やアジアを中心とした世界的な景気拡大に伴う原油需要の拡大と、それに見合う投資の不足
①米国やアジアを中心とした世界的な景気拡大に伴う原油需要の拡大と、それに見合う投資の不足
②国際的な過剰流動性の原油市場への流入
②国際的な過剰流動性の原油市場への流入
であり、過去の石油ショックに見られた「供給側のショック」と異なる。
であり、過去の石油ショックに見られた「供給側のショック」と異なる。

○過去の原油価格高騰は原油生産の一時的減少による価格上昇だったが、今般の原油価格
上昇・高止まりは需給両面での原因による市場を通じた価格形成によるものである。
(対前年比、倍) 第1-3-1図 原油生産量・消費量・価格の推移 (対前年比、倍)
1.08 2.10

1.06 今般の価格上昇 1.90


第二次石油ショック 生産量
1.04
1.70

1.02
1.50
1.00
消費量
1.30
0.98
1.10
0.96

0.90
0.94
第一次石油ショック
原油価格(右目盛)
0.92 0.70

0.90 0.50
(年)
1971 1976 1981 1986 1991 1996 2001
(備考)原油生産・消費量は前方3年移動平均値。原油価格は、1970年∼1983年アラビアンライト原油価
    格、1984年以降WTI原油価格。
(資料)BP社「BP統計」から作成。

○国際的な過剰流動性が、株式市場等に比べ相対的に収益機会の多い原油市場に流入している。

第1-3-5図 国際的な過剰流動性とWTI原油価格、S&P株価指数の推移
(2001=100) (対前年比 %)
180 16

160 14
国際的な過剰流動性の伸びに
140 あわせて原油価格は上昇。
12

120
10
100
8
WTI原油価格
80
6
60 原油価格に比べて、
株価指数は低位で推移。
国際的な過剰流動性 4
40
の伸び率(右目盛)

20 2
S&P500株価指数

0 0
1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 (年))
(備考)過剰流動性は米国M1+定期預金+EU15、日本、カナダ、オーストラリア、中国(マカオ含
    む)、ASEAN4、NIEs、インド、イラン及びインドネシアを除くOPEC諸国の外貨準備の合
    計。なお、過剰流動性の伸び率を除き日次終値の年平均。
15 (資料)Bloomberg、IMF「IFS」から作成。
2.原油価格上昇・高止まりによる影響
2.原油価格上昇・高止まりによる影響
¾原油価格上昇・高止まりによる経済への影響を見ると、
¾原油価格上昇・高止まりによる経済への影響を見ると、
①世界経済全体での影響は、それほど大きくないと考えられる(-1.5%程度)が、各国の産業構造の
①世界経済全体での影響は、それほど大きくないと考えられる(-1.5%程度)が、各国の産業構造の
違いやエネルギー効率の差、石油依存度の差等によって不均一な影響となる。
違いやエネルギー効率の差、石油依存度の差等によって不均一な影響となる。
②アジアにおいても第二次産業の割合が高いタイ、マレーシア、インドネシアで物価上昇や政策金利引
②アジアにおいても第二次産業の割合が高いタイ、マレーシア、インドネシアで物価上昇や政策金利引
上げが観察される一方で、第二次産業の割合が低いシンガポール、エネルギー効率の高い韓国では
上げが観察される一方で、第二次産業の割合が低いシンガポール、エネルギー効率の高い韓国では
影響が小さいなど、不均一な影響となっている。
影響が小さいなど、不均一な影響となっている。
③我が国においては、石油依存度の低下、産業構造の変化、エネルギー効率の改善等によって経済
③我が国においては、石油依存度の低下、産業構造の変化、エネルギー効率の改善等によって経済
全体での影響は小さいものとなっている。ただし、航空業等一部業種では原価率上昇等の影響が見
全体での影響は小さいものとなっている。ただし、航空業等一部業種では原価率上昇等の影響が見
られ、注視が必要である。
られ、注視が必要である。

○原油価格上昇は、各国・地域とも経済にマイナスの影響を与えるが、産業構造やエネルギー効率の差
等によって、その度合いは国・地域によって不均一である。

第1-3-6表 国際機関における原油価格上昇による経済への影響の試算
機関 ケース想定 日本 米国 EU アジア 中国 韓国 シンガポール 台湾 インド インドネシア マレーシア フィリピン タイ
原油価格が5ドル上昇した場合の
IMF ▲ 0.2 ▲ 0.4 ▲ 0.4 ▲ 0.4 ▲ 0.4 ▲ 0.9 ▲ 0.5 1.0 ▲ 0.2 ▲ 0.8 ▲ 0.9
翌年の実質GDP成長率への影響 − −
(2000)
(1ドル当たりの影響推計) ▲ 0.04 ▲ 0.08 ▲ 0.08 ▲ 0.08 ▲ 0.08 ▲ 0.18 ▲ 0.10 0.20 ▲ 0.04 ▲ 0.16 ▲ 0.18
原油価格が2004年∼2005年の間に
10ドル(25ドル→35ドル)に上昇
IEA ▲ 0.4 ▲ 0.3 ▲ 0.5 ▲ 0.8 ▲ 0.8 ▲ 1.0 ▲ 0.4 ▲ 1.6 ▲ 1.8
し継続した場合の2005年の実質 − − − −
(2004)
GDP成長率への影響
(1ドル当たりの影響推計) ▲ 0.04 ▲ 0.03 ▲ 0.05 ▲ 0.08 ▲ 0.08 ▲ 0.10 ▲ 0.04 ▲ 0.16 ▲ 0.18
原油価格が15ドル(32ドル→47ド
ル)短期間に上昇し継続した場合
▲ 0.6 ▲ 0.6 ▲ 0.4
の2005年の実質GDP成長率への影 − − − − − − − − − −
響(実質金利一定)
OECD (1ドル当たりの影響推計) ▲ 0.04 ▲ 0.04 ▲ 0.02
(2004) 原油価格が15ドル(32ドル→47ド
ル)短期間に上昇し継続した場合
▲ 0.4 ▲ 0.3 ▲ 0.2
の2005年の実質GDP成長率への影 − − − − − − − − − −
響(名目金利一定)
(1ドル当たりの影響推計) ▲ 0.02 ▲ 0.02 ▲ 0.01
原油価格が2004年2Q∼2005年
中、10ドル上昇した場合の2005年 ▲ 0.5 − − ▲ 0.8 ▲ 0.8 ▲ 0.6 ▲ 1.7 ▲ 0.4 ▲ 0.8 0.1 ▲ 0.9 ▲ 1.9 ▲ 2.2
ADB の実質GDP成長率への影響
(2004) 原油価格が2004年2Q∼2005年
中、20ドル上昇した場合の2005年 ▲ 1.0 − − ▲ 1.5 ▲ 1.5 ▲ 1.2 ▲ 3.4 ▲ 0.7 ▲ 1.5 0.1 ▲ 2.4 ▲ 3.6 ▲ 4.1
の実質GDP成長率への影響
(1ドル当たりの影響推計) ▲ 0.05 − − ▲ 0.08 ▲ 0.08 ▲ 0.06 ▲ 0.17 ▲ 0.04 ▲ 0.08 0.01 ▲ 0.12 ▲ 0.18 ▲ 0.21
原油価格が2005年3Q∼2006年4Q
ADB の間、53ドル→70ドルで上昇し継 ▲ 0.5 ▲ 1.0 ▲ 0.5 ▲ 1.3 ▲ 0.2 ▲ 1.1 ▲ 0.9 ▲ 0.6 ▲ 1.4 ▲ 1.8
続した場合の2006年の実質GDP成 −
(2005)
長率への影響
(1ドル当たりの影響推計) ▲ 0.03 ▲ 0.06 ▲ 0.03 ▲ 0.08 ▲ 0.01 ▲ 0.06 ▲ 0.05 ▲ 0.04 ▲ 0.08 ▲ 0.11
▲0.02 ▲0.02 ▲0.01 ▲0.06 ▲0.03 ▲0.08 ▲0.01 ▲0.06 ▲0.05 ▲0.04 ▲0.08 ▲0.11
(1ドル上昇した場合の実質GDP成長率への
∼ ∼ ∼ ▲0.08 ∼ ∼ ∼ ∼ ∼ ∼+ ∼ ∼ ∼
影響推計のレンジ)
▲0.05 ▲0.08 ▲0.08 ▲0.08 ▲0.18 ▲0.17 ▲0.04 ▲0.10 0.20 ▲0.12 ▲0.18 ▲0.21
(備考)1.1ドル当たりの推計値は、割り戻した値。
    2.IMF(2000)及びIEA(2004)のアジアの範囲は日本、台湾、シンガポールを除いたものと推定(韓国については、World Economic Outlook上ではAdvanced
        economiesに含まれているが、レポート中ではEmerging marketの中で記載されている)。
    3.IMF(2000)においては、原油価格が5ドル上昇した翌年の全世界の実質GDP成長率への影響を▲0.3%と試算。先進国全体でも▲0.3%と試算。
    4.IMF(2000)及びADB(2004)のインドネシアの試算は石油純輸出国としての試算。
    5.IEA(2004)においては、同様の条件の下で、OECD全体の実質GDP成長率への影響を▲0.4%と試算。
    6.IMFのWorld Economic Outlook September 2005では、改訂MULTIMODモデルによる試算で原油価格が10%上昇した場合の世界経済の影響を▲0.1∼▲0.15%と試算。
    7.OECD(2004)においては、OECD全体の実質GDP成長率への影響を実質金利が一定の場合▲0.45%、名目金利が一定の場合▲0.25%と試算。
    8.ADB(2005)においては、日本、米国、ユーロ圏をG3として記載。
    9.ADB(2005)のインドネシア及びマレーシアについては、石油輸出による収入と国内向け石油補助金の収支が均衡した場合の推計。
(資料)IMF(2000)「The Impact of Higher Prices on Global Economy」
    IEA(2004)「Analysis of Impact of High Oil Prices on the Global Economy」
    OECD(2004)「OECD Economic Outlook No.76」
    ADB(2004)「Asian Development Outlook 2004 Update」
    ADB(2005)「Asian Development Outlook 2005 Update」 から作成。

16
3.過小投資問題と適切な投資の確保
3.過小投資問題と適切な投資の確保
¾今般の原油価格上昇・高止まりは、以下の原因による産油国・消費国における需要拡大に見合う投
¾今般の原油価格上昇・高止まりは、以下の原因による産油国・消費国における需要拡大に見合う投
資の不足(過小投資問題)があると考えられる。
資の不足(過小投資問題)があると考えられる。
<産油国側>
<産油国側>
消費国の景気減速に伴う需要低迷(供給過剰)からの原油価格低迷の懸念による上流開発投資
消費国の景気減速に伴う需要低迷(供給過剰)からの原油価格低迷の懸念による上流開発投資
の積極的なインセンティブの欠如
の積極的なインセンティブの欠如
<消費国側>
<消費国側>
好景気のため高い原油価格の支払が可能であることによる省エネルギー等の投資の遅れ
好景気のため高い原油価格の支払が可能であることによる省エネルギー等の投資の遅れ
他方で、景気への悪影響のリスク
他方で、景気への悪影響のリスク

¾これら過小投資問題を解決していくためには、適切な投資の確保が必要であり、我が国の積極的な
¾これら過小投資問題を解決していくためには、適切な投資の確保が必要であり、我が国の積極的な
取組が求められる。
取組が求められる。
<産油国>
<産油国>
外資の上流投資参入規制の緩和等の投資環境整備
外資の上流投資参入規制の緩和等の投資環境整備
石油依存型経済からの脱却のための産業多角化、社会資本整備
石油依存型経済からの脱却のための産業多角化、社会資本整備
<消費国>
<消費国>
エネルギー効率の低い途上国を中心に省エネルギー投資等の更なる推進
エネルギー効率の低い途上国を中心に省エネルギー投資等の更なる推進

○過小投資問題の解決に向けて、①産油国側による投資環境整備、②消費国による省エネルギー政策
などの積極的な推進、③双方の対話の促進などが必要である。

過小投資問題の解決に向けて

【産油国】 【産油国】
・消費国の景気減速による原油需要低迷 ・上流投資ディスインセンティブの抑制
・上流投資、産業多角化に向けた
(供給過剰に伴う原油価格低迷リスク) ・原油の国際市況に左右されない経済
外資参入規制の緩和
↓ 構造の実現
上流投資インセンティブが欠如 ↓
ビジネスチャンス 安定的な上流投資の確保

過小投資
【我が国】
↓ ・産油国との対話の促進
・途上国に対する省エネルギー等支援 価格の安定化
価格上昇
ビジネスチャンス

【消費国】
【消費国】
・好景気のため高い価格の支払が可能
・省エネルギー政策等の ・原油需要の抑制

積極的な推進 ・原油の国際市況に左右されない経済
省エネルギー投資が遅れ、途上国を中
構造の実現
心に景気への悪影響のリスク

17
4.オイルマネーの拡大と新たな潮流
4.オイルマネーの拡大と新たな潮流
¾原油価格の上昇とともに、産油国のオイルマネーの規模も拡大している。
¾原油価格の上昇とともに、産油国のオイルマネーの規模も拡大している。
¾現在のところ、オイルマネーは、①貿易、②海外金融資産への投資、などを通じて、産油国側から国際
¾現在のところ、オイルマネーは、①貿易、②海外金融資産への投資、などを通じて、産油国側から国際
経済へ還流していることがうかがえる。
経済へ還流していることがうかがえる。
¾他方、オイルマネーの約7割は行方不明となっているとされるが、その一部はヘッジファンドなどを通じ
¾他方、オイルマネーの約7割は行方不明となっているとされるが、その一部はヘッジファンドなどを通じ
て、国際経済へ還流している可能性もある。
て、国際経済へ還流している可能性もある。

○オイルマネーの一部は貿易を通じてEUに還流している。
(億ドル)
第1-3-11図 OPEC諸国の地域別貿易収支
1,400
今般の原油価格上昇
1,200
第二次石油ショック
1,000
対米国貿易収支
800

600

400

200

-200
対アジア貿易収支 対EU25貿易収支
-400
貿易を通じて一部がEU25に還流。
-600
1980 1984 1988 1992 1996 2000 2004
(備考)アジアは日本、中国、韓国、シンガポール、フィリピン、マレーシア、タイ、OPECは (年)
    インドネシア、イラクを除く9カ国。
(資料)IMF「DOT」から作成。

○OPEC諸国は、英国等欧州を中心とした海外銀行への貯蓄を拡大させており、我が国や米国に対する
証券投資も歩調を合わせるように拡大している。さらに、2004年第3四半期末から第4四半期にかけての
海外の銀行貯蓄の減少と英国から我が国・米国への証券投資の増加は、オイルマネーが海外銀行を
介さない形で我が国・米国へ還流している可能性を示している。

第1-3-13図 原油価格とOPEC諸国の対外純貯蓄の推移 第1-3-14図 英国からの対日米証券投資(フロー)の推移
(億ドル) (ドル/バレル) (10億ドル)
2,000 70
160
原油価格は上昇しているにも
1,800 関わらず純貯蓄は減少
60 140
1,600
120 証券投資は拡大傾向
1,400 50
純貯蓄は原油価格に連動し拡大傾向 100
1,200
40 純貯蓄の減少後、対日
80 米証券投資は急拡大
1,000
WTI原油価格(右目盛)
30 60
800
40
600 20

400 20

OPEC諸国の純貯蓄 10
200 0
20 1

20 2

20 3

20 4

20 1

20 2

20 3

20 4

20 1

20 2

20 3

20 4

20 1

20 2

20 3

20 4

20 1

20 2

20 3
4
Q

0 0
01

01

01

01

02

02

02

02

03

03

03

03

04

04

04

04

05

05

05

05
20

1995Q4 1997Q2 1998Q4 2000Q2 2001Q4 2003Q2 2004Q4


(資料)米国財務省「Treasury International Capital System」、財務省Webサイトから作成。
(資料)BIS「BIS統計」、Bloombergから作成。

18
第2章 「アジア・ダイナミズム」と国際事業ネットワークの形成

第1節 存在感の高まるアジア

1.アジアのダイナミックな経済成長とサービス経済化
1.アジアのダイナミックな経済成長とサービス経済化
¾アジアは、中国やASEAN4を中心に高い経済成長を実現しており、今後とも継続する見込みである。
¾アジアは、中国やASEAN4を中心に高い経済成長を実現しており、今後とも継続する見込みである。
¾アジアは、我が国等からの直接投資の受入れによって高成長を実現し、それが更なる投資を呼び込む
¾アジアは、我が国等からの直接投資の受入れによって高成長を実現し、それが更なる投資を呼び込む
という好循環メカニズムの結果、「世界の成長センター」に。
という好循環メカニズムの結果、「世界の成長センター」に。
¾世界の生産拠点として存在感を増大させるとともに、所得水準の上昇によりマーケットとしても重要性を
¾世界の生産拠点として存在感を増大させるとともに、所得水準の上昇によりマーケットとしても重要性を
増している。
増している。

<アジアの成長>
○アジアは今後も高い成長を続けると見られ、2015年の世界経済におけるGDP規模で見たアジアのシェ
アは29.4%と試算される。

第2-1-1図 主要国・地域の2015年におけるGDPシェア

(%) 主要国・地域の2015年までの年平均成長率見通し

7
6
5
4
3
2
1
0
日本 米国 EU 中国 インド ASEAN4 NIEs

日本 米国 EU 中国 インド ASEAN4 NIEs


世界銀行(2006) 1.7 3.6 2.0 6.1 5.5 6.1 6.1
  国際エネルギー機関(2004) 1.9 2.3 2.1 5.0 4.7 3.8 3.8
内閣府(2004) 1.5 3.1 1.8 6.9 4.1 3.1 4.1
平均値 1.7 3.0 2.0 6.0 4.8 4.3 4.7
(備考)1.各予測では、地域区分や対象期間が異なるので、ここに掲げた平均値は一つの目安である。
    2.各予測によって地域区分が異なるため、次のように扱った。
      ・世界銀行の予測では、中国、ASEAN4という区分がないため「東アジア・大洋州」、インドについては「南アジア」、EUについては
       「ユーロ圏」の数値を使用した。
      ・国際エネルギー機関の予測では、日本という区分がないため「アジアOECD」、米国については「米国・カナダ」、EUについては
       「ヨーロッパOECD」、ASEAN4、NIEsについては「東アジア」の数値を使用した。
      ・内閣府の予測ではEUは15カ国ベース。
    3.各予測の対象期間は内閣府、国際エネルギー機関は2030年まで、世界銀行は2015年まで。
    4.世界銀行の日本、米国、EUについては、2006年版に先進国の長期予測が含まれていなかったことから、2003年版の数値を使用した。


2005年における主要国・地域のGDPシェア 2015年における主要国・地域のGDPシェア
ASEAN4 ASEAN4
1.9% NIEs 2.2%
インド 4.0% インド NIEs
2.0% 中国 2.4% 4.8%
6.3%
中国
米国 8.5%
日本 35.2% 米国
12.8% 35.7%
日本
11.5%

EU
37.8% EU
34.8%
アジアのシェア
アジアのシェア
27.0%
29.4%
(備考)1.上記の予測成長率(年平均値)を用いて、2005年におけるGDP実績を基に、2015年のアジアのシェアを予測した。
    2.米国、EU、アジアを全体としたシェア。
    3.ここではアジアとは日本、中国、インド、ASEAN4、NIEsとした。EUは25カ国ベースで計算した。
    4.2005年GDPは国・地域によっては速報値の場合がある。
    5.為替レートについては2005年のレートが将来変わらないと仮定した。経済成長の高い国の通貨は増価する傾向があることを考えれば、
      2015年のアジアのシェアは更に大きくなる可能性がある。
(資料)World Bank(2006)「Global Economics Prospects 2006」、IEA(2002)「World Energy Outlook 2002」、
19 IMF「IFS」、内閣府(2004)「世界経済の潮流(2004年秋)」、台湾中央銀行Webサイトから作成。
○アジアの高い経済成長の要因を分解すると、資本投入が安定的に大きく貢献している。
第2-1-2図 アジア諸国・地域の実質GDP成長率の要因分解
(%)
16

14 生産性
労働
12 資本
実質GDP成長率
10

-2
1989-95

1995-2003

1989-95

1995-2003

1989-95

1995-2003

1989-95

1995-2003

1989-95

1995-2003

1989-95

1995-2003

1989-95

1995-2003

1989-95

1995-2003

1989-95

1995-2003
香港 韓国 シンガポール 台湾 インドネシア マレーシア フィリピン タイ 中国

(資料)Jorgenson and Vu(2005)“Information Technology and the World Economy” から作成。

<日本の貢献>
○我が国のアジアに対する直接投資は、1980年からの累計で世界一位であり、アジアの成長に貢献して
第2-1-3表 アジアに対する主要直接投資国の推移
いる。 (単位:100万ドル)
1980年−2003年 1980年−1989年 1990年−1999年 2000年−2003年 2003年
1 日本 103,358 日本 19,684 日本 65,426 米国 35,368 米国 7,432
2 米国 85,444 米国 4,821 米国 45,255 日本 18,248 日本 5,351
3 英国 23,288 英国 3,055 英国 14,133 ベルギー 8,112 ベルギー 5,049
4 ドイツ 15,234 フランス 648 スイス 10,643 ドイツ 6,722 英国 2,280
5 フランス 12,083 ドイツ 561 ドイツ 7,950 英国 6,100 韓国 1,684
(備考)1.アジアとは中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、インドの合計。
    2.2000年-2003年のベルギーはルクセンブルクを含む。
    3.統計の変更から、2000年-2003年のベルギーは2000年-2001年の2年間の投資額となっている。
(出所)社団法人日本経済研究センター(2005)「検証:日本の東アジアへの経済的貢献」から作成。

<生産拠点としてのアジア>
○アジアは、携帯電話、パソコン、半導体等の世界生産で高い比率を占めている。
   

第2-1-5図 主な電気電子機器・部品の国・地域別生産シェア

携帯電話 パソコン アジア生産比率


  96.9%
アジア生産比率
フィリピン
  78.3% マレーシア 0.5%
1.4% 北米 欧州
シンガポール 1.3% 1.8%
南米 0.5%
北米 5.2% 日本 台湾
3.7% 6.2% 5.3%

フィリピン 欧州 韓国 日本
0.1% 12.8% 3.0% 2.6%
中国
シンガポー 35.0%

2.1% 台湾
6.0%
マレーシア 韓国 中国
2.9% 26.0% 83.5%

半導体
アジア生産比率
66.6%

欧州
9.4% 日本
18.4%

北米
24.0% 韓国
12.8%
中国
2.9%
台湾
インド 14.3%
0.1%
フィリピン マレー
2.4% シア シンガ 香港
インドネシア 6.2% ポール 0.1%
0.6% タイ 7.0%
2.0%
(備考)携帯電話、パソコンについては2005年の生産台数、半導体については2004年の生産額より計算した。
(資料)社団法人電子情報技術産業協会(2006)「主要電子機器の世界生産状況」、
    電子ジャーナル「半導体データブック2005」から作成。
20
<マーケットとしてのアジア>

○アジアでは、所得水準の上昇とともに、年収3,000ドル以上の人口が急速に拡大していくと見られる。

第2-1-9図 年収3,000ドル以上の人口の試算(中国、ASEAN4、インド)
(百万人)
700
中国 インドネシア インド
600 マレーシア フィリピン ASEAN4
タイ インド  タイ
500  フィリピン
 マレーシア
 インドネシア
400

300
中国

200

100

0
2005年 2010年 2015年
(備考)1.各国における所得分布は、対数正規分布に従い、所得のばらつきが今後も変わらないと仮定。
    2.各国における所得のばらつきについては、WIDERデータベースに掲載されている所得十分位のデータを利用。
    3.将来の各国の所得水準は、中国については2005年の一人当たりGDP(中国政府公表)、他の国については2004年
      の一人当たりGDP(世界銀行データ)から内閣府の伸び率予測を基に推計。ただし、将来の為替レートは不変とし、
      インフレはないものとする。
    4.将来の各国の総人口は国連の人口見通しを利用。
(資料)World Institute for Development Economics Research(WIDER), United Nations University「World Income Inequality Database」、
    世界銀行「WDI」、国連「World Population Prospects」、内閣府(2004)「世界経済の潮流(2004年秋)」から作成。

<アジアのサービス経済化>
○サービス経済化は、所得水準の高いNIEsが先行し、中国、ASEAN4が続いている。

(%) 第2-1-11図 アジア各国におけるサービス産業のGDPに占める比率の推移
80

70
日本
NIEs

60

50 ASEAN4

インドネシア
40 マレーシア
フィリピン
中国 タイ
シンガポール
30 韓国
中国
日本
20
1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 (年)

(備考)1.ここでのサービス産業は第三次産業全体を意味する。
    2.中国の1993年以降の値については、国家統計局が2006年1月に発表したGDP修正値に基づく。
(資料)世界銀行「WDI」から作成。
21
2.アジアの経済的活力の拡大と深化
2.アジアの経済的活力の拡大と深化
¾アジアの経済的活力は、インド、ベトナム等に拡大しつつある。
¾アジアの経済的活力は、インド、ベトナム等に拡大しつつある。
¾アジア域内の経済関係も、従来の伝統的な機械分野にとどまらず、文化関連財(コンテンツ)等の
¾アジア域内の経済関係も、従来の伝統的な機械分野にとどまらず、文化関連財(コンテンツ)等の
新たな分野においても深化している。
新たな分野においても深化している。

○インドは、近年、IT産業等を中心に高い経済成 ○ベトナムは、90年代後半から、社会的・政治的安定
長を遂げている(「蛙跳び」的な成長)。 性を背景に高い経済成長を遂げており、リスク低減
のための分散投資の受け皿としても魅力が大きい。
第2-1-13図 インドの経済成長率の推移 第2-1-21図 ベトナムの経済成長率の推移
(兆ルピー) (%)
30 9 (10億ドル) (%)
実質GDP 8.5 50 10
8 9.5
実質GDP成長率(右目盛) 7.8 9.3 実質GDP
7.5
7.3 7.3 実質GDP成長率(右目盛)
7 8.2
40 8
6.5 7.7
20 6.1 6 7.2
5.9 5.8 7
5.6 6.7 6.8
5.1 5
4.8 30 6
5.8
4.4
4 4.8
3.8

10 3 20 4

2
1.3 10 2
1

0 0
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 0 0
(備考)1.インドの会計年度(4月∼翌年3月)による。 (年) 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
    2.1999年度GDPから基準年度が変更された(1993年度→1999年度)。なお、1999年度の
(資料)ベトナム統計総局「Statistical Year Book」から作成。 (年)
      成長率は便宜的に1993年度基準で計算。
(資料)インド財務省「Economic Survey 2005-2006」から作成。

○オーストラリア経済は、2001年以降堅調に推移しており、また、第1回東アジアサミットに参加するなど、
アジアの一員化を進めている。
第2-1-27図 オーストラリアの経済成長率の推移
(億オーストラリア・ドル) (%)
8,800 5.0
実質GDP
8,600 4.5
実質GDP成長率(右目盛)
8,400 3.9 4.0

8,200 3.4 3.5


3.3 3.2
8,000 3.0

2.6
7,800 2.5
2.4
7,600 2.0

7,400 1.5

7,200 1.0

7,000 0.5

6,800 0.0
2000 2001 2002 2003 2004 2005
(資料)内閣府「海外経済データ」から作成。 (年)

○アジア域内の経済関係は、文化関連財(コンテンツ)等の新たな分野においても関係が深化している。
我が国におけるアジア作品の興行収入は5年前と比較すると5倍に増加している。
第2-1-36図 アジア域内における文化関連財の輸出動向(1994年と2004年の比較)

 アジア域内全体の取引金額(15.36億ドル→45.80億ドル)
(単位:10万ドル)
        (日本、中国、NIEs、ASEAN4、インド)
0.5→25
インド 中国
11→122

15→114
226
 ↓ 259→833
1,615  
9→150 400→1,445
952
 286 20→205  ↓
16 5,133
 ↓
↓ 2,478
36
  日本
1,001
 ↓
26 2,711 4,223
↓   613→732  ↓
125 5,866
5→46
 2,736
  ↓
103→209
13.503

966→1,011
ASEAN4 NIEs
44→166 1,630→2,549 3,327→5,218

(備考)1.文化関連財とは、貿易収支のうち、文化に関連すると推測されるHSコードの財(映画フィルム関係(3705類、3706類)、書籍(49類)
      美術品(97類)、音楽・映像ソフト(含むゲーム等)関係(8524類))を合算したもの。
    2.台湾関連の貿易データについては国連データからとれないため、World Trade Atlasのデータを用いて計算した。
    3.シンガポール政府はインドネシアとの貿易データを公表していないため、シンガポールのインドネシア向け輸出額には、インドネ
      シアのシンガポールからの輸入を代用して計算した。
(資料)国連「COMTRADE」、Global Trade Information Services Inc.「World Trade Atlas」から作成。

22
第2節 アジアにおける国際事業ネットワークの形成

1.我が国製造業の国際事業ネットワーク形成の進展とアジアの産業構造の変化
1.我が国製造業の国際事業ネットワーク形成の進展とアジアの産業構造の変化
¾我が国製造業はアジアへ製造工程を中心に展開しており、特に「工程を分割せず国内と海外に
¾我が国製造業はアジアへ製造工程を中心に展開しており、特に「工程を分割せず国内と海外に
おいてそれぞれ一貫生産を行う」水平展開が進展している。
おいてそれぞれ一貫生産を行う」水平展開が進展している。
¾自動車産業等の水平展開の進展により、我が国とアジアとの産業連関効果は減少している。
¾自動車産業等の水平展開の進展により、我が国とアジアとの産業連関効果は減少している。
他方、電気機械においては、アジア域内において互いに部品を供給する構造が進展している。
他方、電気機械においては、アジア域内において互いに部品を供給する構造が進展している。
¾アジア域内では、部品・資本財の産業内貿易が増大しているが、消費財の産業内貿易は減少し
¾アジア域内では、部品・資本財の産業内貿易が増大しているが、消費財の産業内貿易は減少し
ている。
ている。
※産業連関効果とは、ある国の産業の生産が増加することによって他国の産業の生産が誘発される効果である。
※産業内貿易とは、同一産業の製品について、各国が輸出と輸入を双方向で行う形の貿易のことを指す。

○我が国製造業は、研究開発を日本、製造工程を日本・ASEAN4・中国に立地させている。

(地点) 第2-2-3図 我が国製造業の国際事業ネットワークの展開状況<現在>
140 研究開発などは日本国内 製造は日本国内とともに中国・ASEAN4

120

100

80

60

40

20

0
基礎・応用 研究開発 製造 製造 保守点検 販売 その他
研究 (部品製造) (製品組立)
日本国内(大都市圏) 日本国内(大都市圏以外) 欧米 中国 ASEAN4 NIEs
(備考)1.回答企業数335社。各企業は事業機能ごとに重要拠点3カ所まで回答(複数回答)。回答総数は2,055地点。
   2.日本国内(大都市圏)とは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、三重県、大阪府、
      兵庫県、奈良県を指す。
    3.詳細は付注2-2-1を参照。
(資料)財団法人産業研究所(2006b)「東アジアの投資・資金調達環境と我が国企業の海外展開に関する調査研究」
    から作成。

○近年我が国企業は、「工程を分割して我が国と海外で分業を行う」垂直展開の割合が減少し、 「工
程を分割せず国内と海外においてそれぞれ一貫生産を行う」水平展開の割合が増加している。
第2-2-4図 我が国製造業の海外現地法人の生産形態
(%)
100
水平展開の製造拠点の割合が増加

80

60

40

20

0
1996 2000 2003 1996 2000 2003 1996 2000 2003
製造業 電気機械 輸送機械
垂直展開 日本以外の国との工程間分業 水平展開
(年)
(備考)1.各業種におけるアンケート回答数に対する構成比。
    2.回答数は、製造業全体で1996年:7,243社、2000年:7,857社、2003年:4,544社。
    3.アンケートでは、選択肢が「日本との工程間分業」、「日本以外の国との工程間分業」、
      「一貫生産」となっている。ここでは、その「日本との工程間分業」を「垂直展開」、
      「一貫生産」を「水平展開」として記載している。
(資料)経済産業省「海外事業活動基本調査」から作成。
23
○我が国企業の水平展開の進展により、我が国とアジアの間で連関効果の組合せ数は減少している。
電気機械ではアジアが我が国へ部品を供給する関係が増加している。

第2-2-6図 日本と東アジアとの間の連関効果の組合せ数(日本の産業別(一部))
(組合せ数) (組合せ数)
20 200
素材系 軽工業・化学系 機械系 総計
(右目盛)
18 180
連関効果が減少
16 160
電気機械で日本が後
14 工程の連関増加 自動車の連関効果 140
域内で相互に部品を が減少
水平展開が進展
12 供給 120

10 100
後工程 連関効果の
8 総数が減少 80

6 60
前工程
4 40

2 20

0 0
1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年
石油・ 鉱物 鉄・ 紡績 衣類 基礎化学 石油精製 産業機械 電気機械 自動車 その他 精密機械 その他 サービス 総計
天然ガス 非鉄金属 輸送機械 製造業 他

(備考)1.全産業を23産業に区分した際の14産業について示した。総計は全産業の合計。
    2.数字は、(相手国産業へ与える連関効果)/(自国産業の生産)が5%以上である前方・後方連関効果を
      受容・供与している組合せの数の合計を示す。
    3.前工程は連関において川上側、後工程は連関において川下側に位置することを示す。
(資料)財団法人産業研究所(2006a)「東アジアの産業連関及び貿易構造と我が国の経済構造変化に関する調査研究」から作成。
(原資料)アジア経済研究所「1990年アジア国際産業連関表」、「1995年アジア国際産業連関表」、「2000年アジア国際産業連関表」。

○アジア域内全体では電気機械において連関効果の組合せ数が増加しており、互いに部品供給を行う
関係が広がっている。

第2-2-10図 域内国・地域の連関効果の組合せ数(産業別(一部)) (組合せ数)
(組合せ数)
総計
100 サービス (右目盛) 500
素材系 軽工業・化学系 機械系
90 450
連関効果の
80 総数は減少 400
後横ばい
70 350
後工程
60 電気機械の 300
前工程 連関効果の
50 増加が著しい 250
40 200
30 150
20 100
10 50
0 0
1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年
1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

1990年
1995年
2000年

石油・ 鉱物 鉄・非鉄 紡績 衣類 石油精製 基礎化学 産業機械電気機械 自動車 その他 精密機械 その他 サービス 総計
天然ガス 金属 輸送機械 製造業 他
(備考)1.域内国・地域は日本、米国、中国、韓国、台湾、シンガポール、ASEAN4の10カ国・地域。
    2.全産業を23産業に区分した際の14産業について示した。総計は全産業の合計。
    3.数字は、(相手国産業へ与える連関効果)/(自国産業の生産)が5%以上である前方・後方連関効果を
      受容・供与している組合せの数の合計を示す。
    4.前工程は連関において川上側、後工程は連関において川下側に位置することを示す。
(資料)財団法人産業研究所(2006a)「東アジアの産業連関及び貿易構造と我が国の経済構造変化に関する調査研究」から作成。
(原資料)アジア経済研究所「1990年アジア国際産業連関表」、「1995年アジア国際産業連関表」、「2000年アジア国際産業連関表」。

24
○アジア域内において、中間財・資本財の産業内貿易が活発化している。一般的な「消費財に関する
嗜好の差異に基づいて産業内貿易が増加する」という製品差別化の考え方に合致しない点が特徴的
である。 第2-2-12表 域内10カ国・地域における財別のグルーベル・ロイド指数(国別)
中間財 資本財 消費財
国別 1990年 1995年 2000年 1990年 1995年 2000年 1990年 1995年 2000年
中国 0.480 0.511 0.623 0.394 0.509 0.524 0.131 0.212 0.193
韓国 0.587 0.700 0.793 0.446 0.551 0.555 0.189 0.429 0.470
台湾 0.712 0.710 0.819 0.688 0.760 0.525 0.320 0.597 0.532
シンガポール 0.573 0.619 0.812 0.434 0.392 0.550 0.519 0.552 0.480
マレーシア 0.435 0.593 0.744 0.258 0.524 0.474 0.528 0.627 0.505
タイ 0.453 0.574 0.747 0.378 0.395 0.604 0.252 0.311 0.361
フィリピン 0.469 0.492 0.739 0.307 0.307 0.490 0.330 0.361 0.296
インドネシア 0.154 0.265 0.338 0.054 0.248 0.746 0.408 0.428 0.357
日本 0.406 0.447 0.484 0.357 0.438 0.584 0.254 0.401 0.442
米国 0.436 0.506 0.562 0.560 0.610 0.631 0.191 0.341 0.243
(備考)1.消費財は民間+政府消費支出への投入、資本財は総固定資本形成への投入。
   2.網掛けは3期間の最大値を示す。
(資料)財団法人産業研究所(2006a)「東アジアの産業連関及び貿易構造と我が国の経済構造変化に関する調査研究」から作

○我が国と中国やASEAN4との間で、電気機械において部品を中心とした産業内貿易が増加している。
第2-2-14図 電気機械産業の日本との貿易における産業内貿易の比率
(%)
100

90
最終消費財
80
資本財
70
部品
60

50

40

30

20

10

0
1990 1995 2000 2005 1990 1995 2000 2005 1990 1995 2000 2005 (年)
中国 ASEAN4 NIEs

(備考)産業内貿易とは、HS6桁分類の各品目において、輸出額と輸入額の差が10倍以内の場合とした。
(資料)財務省「貿易統計」から作成。

○アジア域内で、電気機械を中心に相互に部品供給を行う関係が進展している。我が国とアジアとの間
では、部品等を相互に取引する水平的産業内貿易が進展している。消費財については、各国・地域の
輸出志向の高まりにより相互依存関係が強まり、特に米国・我が国の消費地としての影響が強い。
第2-2-19図 アジアの分業構造

米国
EU

最終消費財

最終消費財は アジア
最終消費財 自国消費・米日向輸出
NIEs
部品等の
日本 産業内貿易
部品
部品

部品等を中心に 中国 ASEAN4
産業内貿易が進展

水平展開指向の投資

25 (資料)経済産業省作成。
2.企業戦略としての国際事業ネットワーク形成
2.企業戦略としての国際事業ネットワーク形成
¾我が国企業は、安価な人件費や市場を求めて中国・ASEANに、高い技術力や市場・顧客に関す
¾我が国企業は、安価な人件費や市場を求めて中国・ASEANに、高い技術力や市場・顧客に関す
る情報交換等の集積効果を求めて日本に立地している。
る情報交換等の集積効果を求めて日本に立地している。
¾進出先においては、コスト低減のため現地調達が増加。また、現地販売の割合も多くなっている。
¾進出先においては、コスト低減のため現地調達が増加。また、現地販売の割合も多くなっている。
¾海外進出が進む一方で、サポーティング・インダストリーの集積を重要視して、製造工程の主要拠点
¾海外進出が進む一方で、サポーティング・インダストリーの集積を重要視して、製造工程の主要拠点
が我が国にも立地されている。
が我が国にも立地されている。

○我が国製造業の立地要因として、中国・ASEANでは人件費及び市場、我が国では技術水準が重要視
されている。

第2-2-21図 我が国製造業の地域別主要立地要因
25%
日本では高い技術水 中国、ASEAN、 日本国内(大都市圏)
中国、ASEANで
は安価な人件費 準、情報交換の容易さ NIEsでは市場の 日本国内(大都市圏以外)
20% が特に重要 が特に重要 魅力も重要 中国
ASEAN4
15%
NIEs
合計
10%

5%

0%
人件費が安価

繊細な作業を正確にこ なせる工場労働

必要な部品等を供給する
技術水準の高い技術者・研究者

技術、市場ニーズ、顧客等に関する情
土地、建物等の現地資本が安価

部品、原材料が安価

製品・サービスの販売先企業が現地へ

製造工程全体を考慮するとコストが安

研究開発、生産、販売を集中させるこ
親会社の進出に伴って進出

現地国内市場での販売が有利

日本に技能・技術を残す

日本国内での雇用確保
近隣国の市場への輸出が有利

道 路・港湾 等 が 整 備されて いる
2 4時 間 シ フ ト の 操 業 に も 対 応 可 能 な

ングインダストリ

とで リ ードタイム を 短く する ため
ン必
グ要
・な
イ部
勤 勉な工 場 労働 者

ン品
報交換が容易

ダ等
進出した

いため
スを

ト供
ー ーが 現 地 に あ る

リ給

がる
現サ サ
ー ィ

地ポ ホ
に ゚
あテ ー
る テ

(備考)各地域の回答に占める立地要因別のシェア。回答総数:n=5,544。各企業は事業機能ごとに重要拠点3カ所まで回答し、その
    立地要因を選択(拠点地域ごとに重要な項目を5つまで複数回答)。
(資料)財団法人産業研究所(2006b)「東アジアの投資・資金調達環境と我が国企業の海外展開に関する調査研究」から作成。

○我が国の海外現地法人は、日系現地法人の進出や進出企業の技術指導等により現地調達が
増加。現地販売も増加しており、国際展開による販売機会拡大を実現している。

第2-2-22表 我が国製造業の海外現地法人の調達・販売金額及び比率の推移
調達先・販売先別 仕入・売上金額及び比率

第三国
総額 日本 現地
調達/販売 年 合計 うち東アジア
(百万円)
金額 金額 金額 金額
割合 割合 割合 割合
(百万円) (百万円) (百万円) (百万円)

1995 6,913,965 27,863 40.3% 27,863 40.3% 13,413 19.4% 9,956 14.4%
調達
2001 13,780,804 49,335 35.8% 59,671 43.3% 28,940 21.0% 25,632 18.6%

1995 12,299,770 23,124 18.8% 71,831 58.4% 28,043 22.8% 16,359 13.3%
販売
2001 20,382,041 52,789 25.9% 93,961 46.1% 57,070 28.0% 37,911 18.6%
(資料)Ando and Kimura(2005)から作成。
26
○現地調達が増加している背景として、我が国製造業の海外現地法人において技術の高度化が進展。

第2-2-26図 我が国製造業の海外現地法人の技術水準
(%)
70
「日本と同じ技術水準」との回答が増加し、「日本より低い技術水準」との回答が減少。
60

50

40

30

20

10

0
1996 2003 1996 2003
電気機械 輸送機械

日本より高い技術水準 日本と同じ技術水準 日本より低い技術水準

(備考)1.各業種におけるアンケート回答数に対する構成比。
    2.回答数は、製造業全体で1996年:7,243社、2003年:4,547社。
(資料)経済産業省「海外事業活動基本調査」から作成。

○製造工程の立地要因において、我が国のサポーティングインダストリーの重要性が高い。他方、電気
機械では我が国企業の進出等によって中国におけるサポーティングインダストリーの重要性が高まって
いる。

第2-2-28図 立地国別のサポーティング・インダストリーの重要性
部品製造における重要性 製品組立における重要性
(%) (%)
9% 14%
8%
製造業全体 12% 製造業全体
7% 輸送用機器 輸送用機器
一般機械 10% 一般機械
6%
電気機器 電気機器
5% 8%

4%
6%
3%
4%
2%

1% 2%

0% 0%
日本国内 中国 ASEAN4 日本国内 中国 ASEAN4
(備考)回答企業数249社。当該地域ごとにサポーティング・
    インダストリーの存在を挙げる割合について、
    立地要因の重要度に応じて加重して算出。
(資料)財団法人産業研究所(2006b)「東アジアの投資・資金調達環境と
    我が国企業の海外展開に関する調査研究」から作成。

27
3.国際事業ネットワークと生産性との関係
3.国際事業ネットワークと生産性との関係
¾国際分業システムの参加には初期コストが必要であり、また現地企業に対する優位性を必要と
¾国際分業システムの参加には初期コストが必要であり、また現地企業に対する優位性を必要と
するため、ある程度生産性が高い企業のみが海外進出可能である。また、企業戦略として国際展
するため、ある程度生産性が高い企業のみが海外進出可能である。また、企業戦略として国際展
開が行われるため、国際分業システムへの参加によって企業の生産性が上昇する。
開が行われるため、国際分業システムへの参加によって企業の生産性が上昇する。
¾国際事業ネットワーク形成により、進出企業の生産性が向上する「ミクロレベル」での効果、
¾国際事業ネットワーク形成により、進出企業の生産性が向上する「ミクロレベル」での効果、
産業内での競争レベルが上昇し、各産業の生産性が上昇する「セミ・マクロレベル」での効果、
産業内での競争レベルが上昇し、各産業の生産性が上昇する「セミ・マクロレベル」での効果、
国内の資源が生産性の高い分野へ移動し一国の生産性が向上する「マクロレベル」での効果があ
国内の資源が生産性の高い分野へ移動し一国の生産性が向上する「マクロレベル」での効果があ
る。
る。

<ミクロレベルの効果> ○また、海外進出による生産性向上を実感して
○海外進出企業は企業業績が良好である。 いる。 第2-2-34図 海外進出後の生産性向上についての企業の実感

無回答
2%
第2-2-31表 海外進出企業と非進出企業の業績等の比較 低下した
19%
進出なし 進出あり
従業員数 627 3,899
売上高営業利益率(%) 4.03 5.01
期待したほど
売上高(百万円) 40,799 222,235 向上しなかった
1%
一人当たり売上高(千円) 58,104 59,102
一人当たり付加価値額(千円) 11,533 11,636 期待通り
今後向上する 向上した
研究開発費(百万円) 863 10,807 見込み 59%
(備考)2000年から2004年の5年間の平均値。 19%

(出所)財団法人産業研究所(2006a)「東アジアの産業連関及び貿易構造と
    我が国の経済構造変化に関する調査研究」から作成。
(資料)財団法人産業研究所(2006b)「東アジアの投資・資金調達環境と我が国企業の国際展開に関する
    調査研究」から作成。
<セミ・マクロレベルの効果>
○海外展開が進んでいる産業では、生産性成長率への寄与が大きい傾向が見られる。
第2-2-35図 海外進出と各産業の生産性向上の成長率への寄与との関係(1990-2002年平均)
(%) (%)
0.06 90
生産性成長率がマイナスの産業の 生産性成長率がプラスの産業の 生産性向上の 80
0.05 海外売上高比率平均 海外売上高比率平均 GDP成長率への寄与
(8.0%) (18.1%) (左目盛) 70
0.04 海外売上高比率 60
(右目盛)
50
0.03
40
0.02 30
20
0.01
10
0.00 0
-10
-0.01
-20
-0.02 -30
一般産業機械

セメン ト・セ メン ト製品


パルプ・紙・ 板紙・加工

ゴム製品

石炭 製品

石 油製品
その 他の金属 製品

その他の電気 機器
その他の一 般 機械
精密機械

その 他の 窯業 ・土石 製品

皮革・皮革 製品・ 毛皮

事 務用・サー ビス用 機器
建設・建築用 金属製品

その他の輸送 用機械

その 他の 鉄鋼

銑 鉄・粗鋼

その 他の 製造 工業 製品

半導体素子・ 集積回路
化学最終製品

化学肥 料
化学繊維

陶磁器

通信機器
電子応用装置 ・電気計測

プラスチック 製品

紙加工品

電子計算機・ 同付属品

電子部品
重電機器

非鉄金属加工 製品
印刷・ 製版・ 製本

非鉄金属 製錬 ・精 製

医薬品
特殊 産業 機械

繊維製品

家具・ 装備品

製材・木 製品

有機化学製品

無機化学基礎 製品
有機化学基礎 製品

ガラ ス・ ガラ ス製品

自動車
自動車部品・ 同付属品

民生用 電子・ 電気機器


(備考)海外売上高比率=(海外生産額)/(国内生産額)
    生産性向上のGDP成長率への寄与=(生産性成長率)*(産業のGDP)/(全産業のGDP)
(資料)独立行政法人経済産業研究所「JIPデータベース2006暫定版」から作成。

<マクロレベルの効果>
○海外進出による資源の再配分は、一国の経済成長を押し上げるマクロレベルでの効果を持つ。
第2-2-37図 生産要素の再配分による経済成長と海外進出との関係
5%

4% y = 0.01x + 0.0099
2
R = 0.273、t = 3.412

3%
対外直接投資フロー(GDP比)

2%

1%

0%

-1%

-2%
-2.0% -1.5% -1.0% -0.5% 0.0% 0.5% 1.0%
再配分効果による経済成長

(備考)再配分効果による経済成長は1970年から2000年までの平均(Pires,Garcia(2004)による)。
    対外直接投資フローは1970年から2000年までの間でデータの存在する期間についての平均。
28
(資料)Pires,Garcia(2004)、世界銀行「WDI」、UNCTAD「World Investment Report」から作成。
4.国際事業ネットワークの展望
4.国際事業ネットワークの展望
¾我が国企業は国際事業ネットワークの全体の効率化を図る中で、今後とも自社枠、国境を越え
¾我が国企業は国際事業ネットワークの全体の効率化を図る中で、今後とも自社枠、国境を越え
た事業ネットワークを形成していく。
た事業ネットワークを形成していく。
¾今後は海外現地法人において現地調達・販売が増加していく見込みであり、調達・販売のオー
¾今後は海外現地法人において現地調達・販売が増加していく見込みであり、調達・販売のオー
プン化が進む。
プン化が進む。
¾製造業の立地要因としては、引き続き安価な人件費が重要であるものの、技術・市場ニーズと
¾製造業の立地要因としては、引き続き安価な人件費が重要であるものの、技術・市場ニーズと
に関する情報交換の容易さといった集積の効果も重要である。
に関する情報交換の容易さといった集積の効果も重要である。
¾海外進出は進出先の需要増に対応するものであり、大半の企業では国内生産を維持している。
¾海外進出は進出先の需要増に対応するものであり、大半の企業では国内生産を維持している。

○日系現地法人の調達先は、我が国の割合が減少し、現地の割合が増加する見込みである。
(件)
第2-2-38図 今後の我が国製造業の海外現地法人の調達先の推移
140
調達先として拡大する現地に立地する企業
120 拡大していく調達先
100 縮小していく調達先
80
60
40
20
0
-20
-40
調達先として縮小する日本に立地する企業
-60
-80
地場企業

小売 市場

グループ 内 企業

グループ 外企業

小売 市場

グループ 内 企業

グループ 外企業

小売 市場
外資 系 企 業

日系 グ ル ープ 外

日系 グ ル ープ 内
企業

企業

現地 日本 第三国
(備考)回答企業数193社。各企業は、今後拡大・縮小していくと認識している取引先について3個まで回
    答。回答数は、拡大:337、縮小:156。
    グループ内企業とは資本関係のある企業を指している。
(資料)財団法人産業研究所(2006b)「東アジアの投資・資金調達環境と我が国企業の海外展開に関する
    調査研究」から作成。

○製造業の立地要因は、人件費が重要であるとと ○大半の企業は海外生産を行っても国内生産を
もに、情報交換の容易さ等の集積要因も重要である。 維持している。

第2-2-42図 製造業で重要な立地要因(現在→今後の変化) 第2-2-45図 我が国製造業の海外生産活動と国内生産活動の関係
0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0%

人件費が安価 国内工場を一部閉鎖。
1.2%
現地国内市場での販売が有利 -0.6% 5.8%
技術、市場ニーズ、顧客等に関する情報交換が容易 0.3% 国内生産は減少、余剰人
技術水準の高い技術者・研究者 -1.4% 員は削減するが工場数は
土地、建物等の現地資本が安価 -1.1% 維持。
6.4%
繊細な作業を正確にこなせる工場労働者 0.7%
研究開発、生産、販売を集中させることでリードタイムを短くするため -1.6% 国内生産は減少、余剰人
日本に技能・技術を残す -1.3% 員は再配置などで対応。
5.4%
製造工程全体を考慮するとコストが安いため 0.2%
24時間シフトの操業にも対応可能な勤勉な工場労働者 -0.7%
必要な部品等を供給するサポーティング・インダストリーが現地にある -0.4%
製品・サービスの販売先企業が現地へ進出した 0.6% 国内生産は高付加価値製
部品、原材料が安価 0.3% 品等にシフト。
親会社の進出に伴って進出 -0.8% 19.3% 海外生産は現地需要に対
日本国内での雇用確保 -0.7% 応したもので国内生産に
近隣国の市場への輸出が有利 0.2% 変化はない。
道路・港湾等が整備されている -0.7% 63.0%
製造業をサポートする物流会社等のサービス業が多く存在 0.4%
物流コストが安価 0.6% 現在 今後
海外への技術流出の警戒 -0.2%
日本との時間的距離が短い 0.2%
(備考)1.各業種のアンケート回答数に対する構成比。回答数は製造業全体で4,440社。
(備考)全回答に占める立地要因別のシェア。回答総数は現在:n=5,544、今後:n=3,526。各企業は事業機能ごとに重要拠点3カ所まで
    2.対象業種は製造業。対象年度は2003年度。
    回答し、その立地要因を選択(拠点地域ごとに重要な項目を5つまで複数回答)。図表中の「現在」は現在重要と考える立地
    要因、「今後」は今後立地するとしたら重要と考える立地要因を意味する。 (資料)経済産業省「海外事業活動基本調査」から作成。
(資料)財団法人産業研究所(2006b)「東アジアの投資・資金調達環境と我が国企業の海外展開に関する調査研究」から作成。

29
5.我が国サービス業のアジアにおける事業展開
5.我が国サービス業のアジアにおける事業展開
¾我が国サービス業のアジア進出が進んでいるが、その進出動機を類型化すると、
¾我が国サービス業のアジア進出が進んでいるが、その進出動機を類型化すると、
①製造業日系現地法人へのサービス提供を目的とする進出(物流業)
①製造業日系現地法人へのサービス提供を目的とする進出(物流業)
②アジアの経済発展に伴って拡大する現地市場の獲得を目的とする進出(小売業)
②アジアの経済発展に伴って拡大する現地市場の獲得を目的とする進出(小売業)
③製造業と同様に分業を行い、事業全体のコスト削減、生産性の向上を目的とする進出(情報
③製造業と同様に分業を行い、事業全体のコスト削減、生産性の向上を目的とする進出(情報
サービス業)
サービス業)
がある。
がある。

○国際事業ネットワーク形成に伴い、運輸業の中国 ○経済発展に伴い、小売業の中国進出が増加
進出が増加している。 している。
第2-2-55図 アジアにおける運輸業の日系現地法人数 第2-2-58図 アジアにおける小売業の日系現地法人数
(法人数) (法人数)
250 40 中国進出が拡大。
中国進出が拡大。 1995年
1995年 35 2000年
2000年
200 2004年
2004年 30

150 25

20

100
15

10
50

0
0
韓国 中国 香港 台湾 タイ シンガポール マレーシア 韓国 中国 香港 台湾 タイ シンガポール マレーシア
(資料)東洋経済新報社「海外進出企業総覧2005」から作成。 (資料)東洋経済新報社「海外進出企業総覧2005」から作成。

○情報サービス業においても、分業の相手先として、また我が国現地法人へのサービス提供のため、
中国への進出が進んでいる。

第2-2-60図 アジアにおける情報サービス業の現地法人数
(社)
80
中国への進出が最も多い。
70

60

50

40

30

20

10

0
韓国 香港 台湾 中国 ASEAN インド

(備考)海外現地法人数を計算。
(資料)東洋経済新報社「海外進出企業CD-ROM 2004年」から作成。

30
第3節 国際事業ネットワーク形成における進出先としての中国とASEAN4の経済環境
投資・事業環境

1.経済成長の原動力と成長制約要因
1.経済成長の原動力と成長制約要因
¾中国は、改革・開放政策の採用以降、投資主導で年平均9.6%の高成長を維持しており、ASEAN4は、
¾中国は、改革・開放政策の採用以降、投資主導で年平均9.6%の高成長を維持しており、ASEAN4は、
アジア通貨・経済危機以降、外需・消費を中心に経済成長を遂げている。
アジア通貨・経済危機以降、外需・消費を中心に経済成長を遂げている。
¾一方で、中国は投資過熱、ASEAN4は原油価格の上昇を背景に国内消費の低迷という懸念がある。
¾一方で、中国は投資過熱、ASEAN4は原油価格の上昇を背景に国内消費の低迷という懸念がある。

<マクロ経済情勢>
○中国では、純輸出の寄与は小さく、投資主導で経済成長を遂げている。
第2-3-1図 中国の実質GDP成長率の需要項目別寄与度
政府消費 固定資本形成
(%) 在庫増減 純輸出
20 家計消費 実質GDP伸び率(改訂前)
実質GDP伸び率(改訂値)
家計消費
実質GDP
15 成長率
(改訂値)

10
実質GDP
成長率
(改訂前)
5
固定資本形成

在庫増減
純輸出
-5

-10
1979 1984 1989 1994 1999 2004 (年)
(備考)需要項目別の寄与度は、1979年∼2004年までの値は改訂前の値。2005年については、経済センサス
    による改訂後の値。
(資料)中国国家統計局「中国統計年鑑2005」、「中国統計摘要2006」から作成。

○ASEAN4では、輸出及び家計消費の寄与度が大きくなっており、外需と消費を中心に経済成長を遂げ
ている。
第2-3-3図 ASEAN4の実質GDP成長率の需要項目別寄与度
(%) インドネシア (%)
フィリピン
25 15

20

15 10

10

5 5

-5 0

-10 誤差脱漏
純輸出
-15 在庫投資 -5
固定資本形成
-20 政府消費
民間消費
-25 実質GDP成長率 -10
1996 1998 2000 2002 2004 1996 1998 2000 2002 2004

(%) マレーシア タイ
(%)

30 20

15
20
10

5
10
0

0 -5

-10
-10
-15

-20
-20
-25

31 -30 -30
1996 1998 2000 2002 2004 1996 1998 2000 2002 2004
(資料)IMF「IFS」、内閣府「海外経済データ」から作成。
○中国の投資効率は低下しているにもかかわらず投資が拡大しており、投資過熱との指摘がある。
第2-3-4表 アジア各国の高度成長期における限界資本係数の比較
高度成長期(年) 高度成長期における 高度成長期における 限界資本係数
実質GDP成長率の平 投資比率の平均
均(%) (対名目GDP比:%)
韓国 1986∼1990 9.65 30.09 3.12
インドネシア 1989∼1993 8.30 26.79 3.23
マレーシア 1992∼1996 9.56 40.37 4.22
フィリピン 1986∼1990 4.74 19.01 4.01
タイ 1987∼1991 10.94 34.99 3.20
日本 1966∼1970 11.56 33.50 2.90
1981∼1989 9.95 26.80 2.69
中国 1990∼1999 10.00 31.66 3.17
2000∼2005 9.30 39.48 4.24
(備考)中国を除く各国の期間は5年平均で実質GDP成長率が最も高い期間。
    中国の投資比率は全社会固定資産投資/名目GDPで算出。
(資料)世界銀行「WDI」、中国国家統計局「中国統計年鑑」、中国国家統計
    局Webサイトから作成。

<不良債権問題>
○中国の国有商業銀行の保有する不良債権は、1999年に資産管理会社への売却等による処理が開始
されて以降、貸出残高に占める不良債権比率は低下傾向にある。
(兆元) 第2-3-23図 中国国有商業銀行における不良債権比率の推移 (%)
12 40

33.4 不良債権比率(右目盛) 35
10
31.0
30
26.1
8
25

20.4
6 19.2 20
15.6 15.715.6
15 15
4 貸出残高

10.12 10.11 10.5 9.78 10

2
5
不良債権残高

0 0
(年)
2000 2001 2002 2003 2004/3 2004/6 2004/9 2004/12 2005/3 2005/6 2005/9 2005/12 2006/3
(資料)中国銀行業監督管理委員会Webサイトから作成。
(出所)細川(2005)「2005年の中国経済」(『国際金融』1140号、財団法人外国為替貿易研究会)。
(原出所)「財経」誌。

○ASEAN4の金融機関の保有する不良債権は資産管理会社への売却等の結果、貸出残高に占める
不良債権比率は低下傾向にある。
(%)
第2-3-25図 ASEAN4の不良債権比率の推移
60 アジア通貨・経済危機に伴い、タイ、インドネシア
では急激に不良債権比率が増加したが、漸減傾向。

50
インドネシア

40
タイ

30
フィリピン
20
マレーシア

10
マレーシア、フィリピンの不良債権比率は急激な増加を
示しておらず、不良債権比率は横ばいで推移。
0
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
(年)
(備考)インドネシアについては、1996年∼1999年のデータを財団法人国際金融情報センター(2005)
    「インドネシアの政治・経済情勢の変化に沿った我が国の取組に係る研究会」から、2000年∼
    2005年のデータをインドネシア中央銀行Webサイトから取得。
(資料)各国中央銀行Webサイト、財団法人国際金融情報センター(2005)「インドネシアの政治・経済
    情勢の変化に沿った我が国の取組に係る研究会」(財務省委嘱研究会)から作成。
32
<格差問題>
○中国農村部の消費は低迷しており、都市部と異なり、基本的な耐久消費財すら十分に普及していない。
第2-3-28図 中国都市部と農村部の耐久消費財保有台数の格差
(台/百世帯)
200

農村の耐久消費財の普及
は十分に進んでいない。
150

都市部
100
農村部
普及率の差
(都市部-農村部)

50

扇風機 自転車 カラー 洗濯機 冷蔵庫 電話機 エアコン カメラ ビデオ バイク
  テレビ
-50

(備考)カラーテレビ、洗濯機、冷蔵庫、電話機、エアコンは2005年、その他は2004年の格差。
(資料)中小企業総合研究機構(2003)「耐久消費財の普及から見た中国市場の特性」を参考に、
    中国国家統計局「中国統計年鑑2005」、「中国統計摘要2006」から作成。

○ASEAN4各国においても、格差が見られる。

第2-3-41図 フィリピンとインドネシアにおける地域間経済格差
フィリピンの地域間経済格差(2004年) インドネシアの地域間経済格差(2003年)

(一人当たりGDP:千ペソ) (一人当たりGDP:百万ルピア)
180 首都圏 50

160 45 首都圏及び資源が豊富な地域
工業化の進展度合いにより地域間経済格差が存在。 資源賦存の差により地域間経済格差が存在。
140 40
35
120
その他の地域
30
100
25
80 資源が少なく、
20 人口が集中しているジャワ島
60
15
40 10
20 5
0 0
マニラ コル イコロス 中部 中部 中部 カラガ ジャカルタ 東カリマンタン州 西ジャワ州 中ジャワ州 東ジャワ州
ディレラ ルソン ヴィサヤ ミンダナオ
(資料)CEICから作成。

33
<中国の第11次五ヶ年規画>
<中国の第11次五ヶ年規画>
○中国経済がはらむ課題の解決に向け、中国では2006年3月に第11次5カ年規画が採択され、
持続可能な発展に向けた取組を目指している。

第2-3-49表 中国第11次5カ年規画の主要目標 資源、環境、社会保障に係る目標は、必ず
達成することとされる「拘束性」目標。

2005年 2010年(目標) 年平均伸び率(%) 区分


国内総生産(兆元) 18 26 7.5 所期性
経済成長
一人当たり国内総生産(元) 13,985 19,270 6.6 所期性
GDPに占めるサービス業の割合(%) 40 43 所期性
就労者全体に占めるサービス業の割合(%) 31 35 所期性
経済構造
研究開発費の対名目GDP比(%) 1 2 所期性
都市化率(%) 43 47 所期性
全国総人口(万人) 130,756 136,000 拘束性
単位GDP当たりのエネルギー消費削減量(%) 2005年消費量の20%削減 拘束性
人口・資源・環境
単位工業生産(付加価値)当たりの水使用削減量(%) 2005年使用量の30%削減 拘束性
主要汚染物質の排出削減量(%) 2005年排出量の10%削減 拘束性
都市部の基本養老保険加入者数(億人) 2 2 5 拘束性
新農村合作医療のカバー率(%) 24 80 拘束性
5年間の都市部就業増加数(万人) 5年間累積で4,500万人 所期性
生活 5年間の農業労働力の移動(万人) 5年間累積で4,500万人 所期性
都市部登録失業率(%) 4 5 所期性
都市部家計一人当たりの可処分所得(元) 10,493 13,390 5 所期性
農村部家計一人当たりの純収入(元) 3,255 4,150 5 所期性
(資料)各種Webサイト等から作成。

34
2.中国とASEAN4の事業環境と投資収益の比較
2.中国とASEAN4の事業環境と投資収益の比較
¾事業環境を比較すると、コスト面で中国・ASEAN4の差は縮小している。また、投資収益率の面では中
¾事業環境を比較すると、コスト面で中国・ASEAN4の差は縮小している。また、投資収益率の面では中
国よりもASEAN4の方が高くなっている。
国よりもASEAN4の方が高くなっている。
○かつては中国の労働コストが低かったが、エンジニア賃金、ワーカー賃金を比較すると、中国と
ASEAN4の差は縮小してきている。特に、エンジニア賃金については、 上海がバンコク、ジャカルタ
を上回るなど、一部逆転している。

第2-3-54図 ワーカー/エンジニア賃金の中国とASEAN4の比較
ワーカー賃金比較 エンジニア賃金比較
3.0 1996年 5.0
2000年 4.5
2.5 ワーカー賃金の差は縮小。 2004年
4.0
バンコク、ジャカルタに比べ上海は高い。
3.5
2.0
3.0
1.5 2.5
2.0
1.0 1.5
1.0
0.5
0.5
0.0 0.0
中国(北京) 中国(上海) タイ(バンコク) マレーシア インドネシア フィリピン 中国(北京) 中国(上海) タイ(バンコク) マレーシア インドネシア フィリピン
(クアラルンプール) (ジャカルタ) (マニラ) (クアラルンプール) (ジャカルタ) (マニラ)
(備考)各指数は、1996年の中国(北京)での金額を1として算出。
(備考)各指数は、1996年の中国(北京)での金額を1として算出。     同時期の日本の指数は、1996年:24(実額4,744ドル)、
    同時期の日本の指数は、1996年:25.6(実額3,096ドル)、     2000年:25.4(実額5,026ドル)、2004年:21.8(実額4,318ドル)
    2000年:28.8(実額3,479ドル)、2004年:21.5(実額2,602ドル)     エンジニアとは中堅技術者を示し、高等専門学校・大学卒相当以上の技術習熟者を対象。
ワーカーとは一般工を示し、高卒新人相当を対象。各国の賃金は、現地の日本人     各国の賃金は、現地の日本人商工会議所などの賃金実態調査若しくは個別企業への
    商工会議所などの賃金実態調査若しくは個別企業へのアンケートに基づき算出。     アンケートに基づき算出。
(資料)ジェトロ「アジア主要都市・地域の投資関連コスト」から作成。

○公共料金についても、地域差があるも、中国の方がASEAN4よりも割高となっている。

第2-3-57図 電気/水道料金の中国とASEAN4の比較
電気料金(kWh当たり)比較 水道料金(㎡当たり)比較
1996年
3.0 2000年 18
2004年
16 北京、ジャカルタの水道料金は高い。
2.5
14
2.0 12
フィリピンを除き、中国の電気料金は高い傾向。
10
1.5
8
1.0 6

4
0.5
2
0.0 0
中国(北京) 中国(上海) タイ マレーシア インドネシア フィリピン 日本(横浜) 中国(北京) 中国(上海) タイ マレーシア インドネシア フィリピン 日本(横浜)
(バンコク) (クアラルンプール) (ジャカルタ) (マニラ) (バンコク) (クアラルンプール) (ジャカルタ) (マニラ)

(備考)各指数は、1996年の中国(北京)での金額を1として算出。
(資料)ジェトロ「アジア主要都市・地域の投資関連コスト」から作成。

○中国とASEAN4に進出している日系企業の投資収益率を比較すると、2003年以降、ASEAN4の方が中
国を上回っている。
第2-3-60図 中国とASEAN4におけるマクロ的に見た日系企業の地域別収益率推移
20%

中国 中国の収益率はASEAN4の
収益率を下回る。

10%

ASEAN4
0%

-10%

-20%
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
35 (備考) 中国は香港を含む。投資収益率は年中の直接投資収益受取額/当該年末の直接投資資産残高により算出。
(資料) 日本銀行「地域別国際収支統計」から作成。
(年)
3.中国とASEAN4の為替制度
3.中国とASEAN4の為替制度
¾中国の為替制度は、2005年7月、実質的なドルペッグ制から管理変動相場制へ移行した。
¾中国の為替制度は、2005年7月、実質的なドルペッグ制から管理変動相場制へ移行した。
¾ASEAN4各国は、アジア経済・通貨危機以後、タイやインドネシアは為替制度を柔軟化する一方、
¾ASEAN4各国は、アジア経済・通貨危機以後、タイやインドネシアは為替制度を柔軟化する一方、
マレーシアは固定相場制へ移行した。
マレーシアは固定相場制へ移行した。

○管理変動相場制度へ移行後の人民元の対ドルレートは安定して推移しており、バスケットへの参照の
度合いが小さい可能性がある。さらに、人民元の対ドル中心レートの算出方法も明確ではなく、中国通
貨当局により管理されている面が強い。

第2-3-67図 為替制度改革後の人民元レートの動向及び為替バスケットの推計
(2005/7/22=100) 人民元の対主要通貨レートの動向
105
元安
通貨バスケットの推計

対ユーロ ドル 円 ユーロ
元高
対ドル
100

2005/7/22∼2005/12/30 1.04 -0.028 -11.32


対ドルレート
対円レート
95
対ユーロレート
2006/1/2∼2006/3/30 0.905 0.028 0.308

対円
90
05 /4

0 9

05 /14

0 5

20 /21

06 /3

06 /9

06 /7

06 /13
06 /26

06 9
20 /22

05 7
05 0
05 2
0 3
05 /6

05 1/1

05 /8

06 6
20 /27

20 /22

0 0
06 31

2
20 /8/1
20 /8/3
20 /9/1
20 /9/2

20 0/1

20 1/2

20 /1/1

20 /3/2

20 5/0
/2
20 5/8

20 6/1

20 6/2

20 6/3
20 5/10

20 5/12

20 6/3/
/7

20 5/ 1
20 / 11

/1

/2

20 / 04
20 / 04

/5
/1

/1

/1

/0
0

0
05
20

(備考)通貨バスケットのウエイトは、ドル、円、ユーロ、ウォンの構成ウエイトの推計を、
    Ogawa and Sakane(2006)の手法を参考に行っている。
(資料)Bloombergから作成。

第2-3-68図 中国の外国為替市場(2006年4月現在)
スポットインターバンクレート
先物、スワップ取引
銀行 対ドル  :±0.3%
対非ドル:±3%
銀行
スポットインターバンクレート スポットインターバンクレート
対ドル  :±0.3% ☆対ドル中心レート 対ドル  :±0.3%
対非ドル:±3% →各営業日開始前のマーケットメーカーからのヒアリングに基づき、対非ドル:±3%
 最高値と最安値を取り除いた上で、残りのマーケットメーカーの相
 場を、当該メーカーの取引高、相場状況等その他の指標を加重平
 均して確定 インターバンク市場の中央レート
☆対非ドル中心レート
→対米ドル中心レート、国際外国為替市場におけるユーロ、円、香
 港ドルの対ドルレートから裁定して確定
送金為替 現金為替
売買スプレッド 売買スプレッド
先物、スワップ取引 先物、スワップ取引 対ドル:±1% 対ドル:±4%
対非ドル:制限なし 対非ドル:制限なし

外貨取引センター

通貨バスケットを「参照」した管理と調節

通貨当局 貿易企業 貿易企業


(資料)ジェトロWebサイト、中国人民銀行Webサイト等から作成。

36
○人民元がドルとの連動性を高く維持する背景には、急激な対ドルレートの変動は拡大する貿易に
大きな影響を与える懸念があり、また、対外資産におけるドル資産のウエイトが高いこと等が考えられる。

第2-3-70図 中国の対外資産の構成

(億ドル) 中国の外貨準備と米国資産 (億ドル)


9,000 4,500
米国資産(右目盛)
8,000 4,000
外貨準備
7,000 3,500

6,000 3,000

5,000 2,500

4,000 2,000

3,000 1,500

2,000 1,000
相関係数:0.977431
1,000 500

0 0
1月

1月

1月

1月

1月

1月

1月

1月

1月

1月

1月

1月

1月


(備
94

95

96

97

98

99

00

01

02

03

04

05

06
19

19

19

19

19

19

20

20

20

20

20

20

20

(備考)米国資産は、中国通貨当局及び金融機関の保有する米国国債、政府系機関債の  
    買越額の累積値。  
(資料)中国外貨管理局Webサイト、米国財務省Webサイトから作成。  
(資
中国対外直接投資残高上位20カ国(2004年)

累計金額(億ドル)シェア(%)
香港 303.93 67.9
ケイマン諸島 66.6 14.9
英領バージニア諸島 10.89 2.4
米国 6.7 1.5
マカオ 6.25 1.4
韓国 5.62 1.3
オーストラリア 4.95 1.1
シンガポール 2.41 0.5
バミューダ諸島 1.85 0.4
タイ 1.82 0.4
スーダン 1.72 0.4
ベトナム 1.6 0.4
ザンビア 1.48 0.3
日本 1.39 0.3
ドイツ 1.29 0.3
スペイン 1.23 0.3
ペルー 1.26 0.3
メキシコ 1.25 0.3
ロシア 1.23 0.3
マレーシア 1.23 0.3
その他 23.07 5.2
合計 447.77 100.0
(備考)金融部門を除く全部門の対外投資残高。香港はドル
    ハードペッグのため、米国と同様の色づけをしてい
    る。なお、香港、ケイマン諸島、英領バージニア諸
    島は中国本土への再投資が多く含まれているとされ
    る。
(資料)中国商務部「2004年中国対外直接投資統計公報」
    から作成。
37
第3章 「持続する成長力」のために取り組むべき課題

第1節 国際的な事業環境整備の推進

1.国際事業ネットワーク形成上の重要な3つの視点
1.国際事業ネットワーク形成上の重要な3つの視点 ∼自由化・調和・安定化∼
∼自由化・調和・安定化∼
¾我が国企業が、我が国とアジアを企業活動の「フィールド」(活動の場)として、国際事業ネットワークを
¾我が国企業が、我が国とアジアを企業活動の「フィールド」(活動の場)として、国際事業ネットワークを
形成している中、「フィールド」の自由化・調和・安定化等を通じて事業環境整備を推進することが重要な
形成している中、「フィールド」の自由化・調和・安定化等を通じて事業環境整備を推進することが重要な
課題である。
課題である。

<自由化>

○貿易・投資の自由化を通じた「自由なフィールド」の整備は重要な課題であるが、依然としてアジア
の実効関税率は高い。

(%) 第3-1-1図 アジア諸国・地域の実効関税率
45
全品目
40 農産品
非農産品
35

30

25

20

15

10

0
゚ン

ール




ネシ

ーシ

ラリ
リヒ

ポ


マレ
ド

スト

フィ

ガ


イン

オー

シン

(備考)1.各品目の単純平均実効関税率。
    2.台湾、マレーシアは2003年、インドネシアは2002年の実効関税率。
(資料)WTO「World Trade Report 2005」から作成。

38
○また、アジアの多くの国で外国企業に対する業種・出資比率・資本金等に係る参入規制も存在している。

第3-1-2表 アジア諸国・地域の主な外資規制
業種規制 出資比率 土地所有 資本金規制
○「外商投資方向の指導規定」に基づく「外商投資産業指導目録」で規定
(禁止業種例)
 電力網の建設・運営、郵便会社、遺伝子組換植物の種子生産・開発 等
・会社法に基づく最低払込
・合弁企業法及び合作企業法に  資本金額
中 (規制業種例) ・所有権は国家に帰属
 基づく外資比率25%以上  有限責任公司:3万人民元
 土地の大規模開発(合弁、合作に限定)、法律相談、 ・ただし、外資による使用権は
国  マーケティング相談(合弁、合作に限定)、医療機関(合弁、合作
・「外商投資産業指導目録」に
 定める出資比率制限
 認められている  一人有限責任公司
 に限定)、水上輸送(49%未満)、基礎電信業務における移動音声       :10万人民元
 サービス及びデータサービス(49%未満)、生命保険(50%未満)、
 証券会社(33.3%未満) 等

○日韓投資協定により日本人の韓国内投資は内国民待遇が付与 ・内外平等主義の原則に従い、
○ただし、同協定付属書により例外規制業種が存在 ・外国人投資対象業種のうち  民法上内国人と同等の権利が
韓 (禁止業種例)  認められる ・最低資本金:株式会社は
 開放業種に対しては100%許容
 映画産業、電気業、ガス業、屋外広告業 等 ・ただし、外国人土地法に基づき、
国 ・部分開放業種は外国人投資許容  5,000万ウォン
 国防産業、その他公共目的に
(規制業種例)  比率まで許容  必要な地域については一部
 電気通信業、航空運輸業、放送業 等  制限有り

○外国投資法、大統領令等による規定(ネガティブリスト)
(禁止業種例)
イ  国防産業、国内海運(商業部門)、ラジオ及びテレビ放送
・インドネシア企業との合弁を選択
 した場合、出資比率95% ・土地所有権はインドネシア人のみ
ン  商業サービス及び関連サービス(ただし、大規模小売業、大規模流通業、
 まで可能  に認められる
ド  港湾倉庫業、アフターサービス等7分野は除外) 等
・外資100%の場合は、操業後15年 ・外資は電子計算機利用技術
原則、金額に関する規程なし
ネ  以内に株式の一部を直接譲渡  開発室、賃借権等のその他の
(規制業種例)
 又は証券市場を通じてインド  土地に関する権利を取得した
シ ①内資との合弁が条件
 港湾の建設・運営、発電・送電・電力供給、医療サービス、通信 等  ネシアの個人又は法人に譲渡  上で、特定の土地おいて操業
ア ②一定条件下で投資可能  することが義務付けられている
 発電、レストラン、木材を原料としたパルプの製造 等

○外国人事業法に基づき43業種が規制
(絶対禁止業種例) ・外資比率50%以上の企業は、外国 ・最低資本金:外資マジョリ
 新聞発行、ラジオ放送、テレビ放送事業、農業、果樹園 等  人事業法に規定される43業種  ティの場合200万バーツ以
・原則、禁止
 への参入が制限 ・ただし、BOI奨励企業や、工業 上。
タ (閣議承認の下、商務大臣の許可を得た場合参入可能業種例) ・ただし、タイ投資委員会(BOI)  団地公社(IEAT)認定企業は、
 (タイ資本マジョリティの
イ  国内陸上、海上、航空運輸及び国内航空事業 等  新投資奨励策により特例あり  出資比率にかかわらず土地
  場合、規制なし)
・ただし、外国人事業法の規制
 (例)製造業の投資プロジェクト  取得可能
(外国人事業委員会承認の下、商業省商業登記局の許可を得た場合参入可能業     はその立地にかかわらず、  業種では特別な認可が必要な
種例)     外資の株式全数所有可能  場合は原則300万バーツ以上
 会計サービス、法律サービス、建築設計サービス、広告業 等
○外国投資法の規定に従い、ネガティブリストで規制(2年ごとに改定)

(以下2004年11月改定のリストに基づく) 最低資本要件は、株式会社は授
(禁止業種例) ・土地所有は、禁止 権資本金額の最低25%相当の株
・ネガティブリストの出資規制業種
 医療及びその関連業種、会計士、税関貨物取扱業 等 ・ただし、フィリピン人が60% 式を発行、発行株式の最低25%
リ  に該当しなければ上限規制
 以上の資本を所有する株式会社 を払い込まなければならない。
 はなし
ピ (規制業種例)  等は土地所有可能 また、払込資本金額は5,000ペソ
 ラジオ放送局(出資比率25%以下)、広告宣伝業(同30%以下)、 以上。
ン  民間就職斡旋業(同25%以下) 等

マ (規制業種)
(製造業部門)
 原則、外資100%可能

レ  公益業種(鉄道、電力、水道、電気通信、放送等)へは条件によって30%
 まで出資可能 最低授権資本金は10万リンギ
(非製造業部門) 1物件15万リンギ以上のみ許可
最低払込資本金は2リンギ
 全産業に対してブミプトラ資本
シ   ※国内産業保護の観点から、金融、保険、証券の分野は事実上、外資の
 を30%以上導入すれば、残りは
   参入が制限
ア  外資の保有が可能

○外国投資法に基づき、投資ライセンスの取得が必要
(条件付き許可業種例)
 ①事業協力契約限定業種(ベトナム側事業者は当該専業団体に限定)
  公共通信網構築、通信サービス提供、国際・国内宅配便サービス運営 等
 ②事業協力契約又は合弁企業限定業種
ベ   石油等鉱物資源採掘・精製、航空・鉄道・海上輸送、公共乗客輸送、 ・最低出資比率30%(政府承認が ・土地は政府の管理下におかれる
ト   経営コンサルタント業(技術指導事業除く) 等  あれば20%) ・外資はベトナム政府から土地を

ナ  ③原材料開発が求められる業種 ・国際郵便配達事業における資本  賃貸し、財務省規則の従い賃貸料
  乳製品の生産・加工、植物油の生産、木材の加工 等  拠出比率は首相が決定  を支払う必要有り
ム  ④首相の認可が必要な業種
  輸入支援サービス、国内流通サービス、海洋漁業、資源採掘

(禁止業種例)
 郵政事業(ただし国際郵便配達に限り合弁会社のみ許可)、カジノ事業 等
○ライセンス取得義務:アルコール飲料の蒸留・醸造 等
○小規模企業への24%超の出資は認められない
○1991年新産業政策で指定された立地規制に触れる投資はライセンス取得義務 ・会社法に基づく最低資本金
 (人口100万人以上の指定23都市において中心部25km以内の工場立地は ・ネガティブリストに該当しな
 規制が存在
 ライセンス取得義務) 等  ければ、100%まで可能
イ    (出資比率は規制業種ごとに規 ・外国企業のインド法人、支店は
  非公開会社:10万ルピー
   公開会社:50万ルピー
ン (禁止業種例) 定)  取得可能
・ノンバンクについては、
 小売業、原子力、農業 等 ・外国機関投資家によるインド企業  (駐在員事務所は不可)
ド  の株式取得については、原則24%  外資側の出資比率に応じて
 最低資本金額が規定
(規制業種例)  まで(例外有り)
 銀行業、保険業、通信サービス業、放送業、薬品・医薬品、
 ベンチャーキャピタル 等

(資料)ジェトロWebサイトから作成。

39
<調和>

○競争政策、知的財産保護制度、会社関連制度等の経済ルールの調和を図ることが重要な課題である。
第3-1-6図 日系企業が被害にあった模倣品の流通パターン
第3-1-3表 貿易・投資に関連する競争政策上の問題
1.貿易・投資に影響を及ぼす各国・地域の国内市場における反競争的行為 対応 (単位:件) <アジア>
○モノ、サービスのアクセス又は投資障壁となる反競争的行為 執競各 214 22
・輸入カルテル 行争国
・不当な排他的取引慣行 強政・

欧州
・事業者の市場支配的地位の濫用 等 化策地
の域
日本 18 116
○行為が行われる国以外の国の市場に影響を及ぼす反競争的行為 57
・輸入カルテル 整の 81
・外国事業者間の反競争的な合併 等 備 14
・ 22 15 52 126 15
26
2.経済関係の緊密化に伴って生じ得る国際的なカルテル等の反競争的行為
○外国の事業者による投資先国における反競争的行為
対応
調国域 韓国 中国
・多国籍企業によるカルテル、反競争的な合併、市場支配的地位の濫用 等 和際内 45 224
○複数国の市場に影響のある反競争的行為 協で 14 5
・国際カルテル 力の
188
24 62
3

北米
・反競争的な国際合併 等 及競 15 35 124
び争 16
3.複数国間で競争法制の内容や運用が異なることによる問題
○競争法制の内容や運用の相違が、競争当局間の執行における協力の阻害となる可能性 制政
度策
○ある国で問題とならない行為が、他の国で問題となり、事業活動の円滑な遂行に影響を及ぼす可能
性 のの
ASEAN6 6
台湾 25
(資料)公正取引委員会(2002)「独占禁止法国際問題研究会報告書」から作成。 33
97 79
20
(備考)1.日系企業へのアンケート調査(全数641社)。複数回答。調査期間は、2004年12月20日∼2005年1月31日。
2.矢印は模倣品製造国・地域から模倣品販売・消費国・地域への流れを示す。
3.中国は香港を含む。ASEAN6はインドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、フィリピン。
(資料)特許庁(2005)「2004年度模倣被害調査報告書」から作成。

第3-1-8表 アジアの倒産法制度と運用の問題点
法制度整備状況 保有する倒産法制 司法管轄 運用の問題点
中国 1986年 企業破産法 破産、和議 地方民事裁判所
・自国債権者保護など裁判官の恣意性
インドネシア 1998年 改正破産法 破産、和議 破産裁判所  (中国、インドネシア、タイ)
・裁判官の不足
破産、和議、 ・破産手続に多大な時間とコストを要する
1909年 破産法 裁判所
支払猶予、会社更生
(ただし、法人の支  (タイ)
フィリピン
1976年 払猶予手続に関して ・担当者による法解釈の不一致
支払猶予、会社更生 は証券取引委員会) ・株式会社に対する適切な倒産法制が未整備
 大統領令(PD902-A)  (中国)
・関連する法体系が複雑(フィリピン)
破産、和議、
タイ 1998年 改正破産法 破産裁判所
会社更生

・1998年 改正破産法 ・運用上の問題は特に指摘されていない
マレーシア 破産、和議 民事裁判所 ・ただし、法的解決を回避する国民性から制度
・1965年 会社法
の実効性が低下しているとの指摘あり

(資料)大蔵省(2000)「アジア9ヵ国の倒産法制度の現状と実際の運用」、経済産業省(2003)「APEC諸国における債権
    回収訴訟・仲裁の実状に関する調査」、ジェトロ(2006)「平成17年度東アジア経済連携に関する調査」、
    今泉・安倍(2005)「東アジアの企業統治と企業法制改革」から作成。
<安定化>
○アジア域内における為替リスクの低減、金融システムの安定は、重要な課題である。
第3-1-9図 為替変動が企業収益に与える影響
(%) 製造業の売上高経常利益率と実質実効為替レート (1973年3月=100) 1998年第1四半期∼2005年第3四半期までの間において1%の円高が売上高経常利益率に与える影響(%pt)
7.00 160
業種
売上高経常利益率 円高の収益に与える影響 +
石油・石炭
150
係数(t値) 0.0449(1.73)
実質実効為替レート
6.00
(右目盛) 円高の収益に与える影響 +
化学
140 係数(t値) 0.0313(0.73)
円高の収益に与える影響 −
輸送用機械
5.00
係数(t値) -0.0780(-3.16)
130
円高の収益に与える影響 −
電気機械
係数(t値) -0.0580(-1.71)
120 円高の収益に与える影響 −
鉄鋼
4.00 係数(t値) -0.0944(-1.98)
円高の収益に与える影響 +
110 非鉄金属
係数(t値) 0.1122(3.77)
円高の収益に与える影響 +
3.00 1985年9月 金属製品
プラザ合意 100 係数(t値) 0.0609(1.84)
円高の収益に与える影響 −
精密機械
係数(t値) -0.0264(-0.8)
90
2.00 円高の収益に与える影響 +
繊維
係数(t値) 0.0706(1.83)
80 円高の収益に与える影響 −
一般機械
係数(t値) -0.0676(-2.14)
1.00
円高の収益に与える影響 −
70 製造業全体
係数(t値) -0.0230(-1.22)

0.00 60
1976 1979 1982 1985 1988 1991 1994 1997 2000 2003
(年)

(備考)1.左図は1年移動平均値。
    2.右図においては、円高が収益に与える影響がプラス符号の場合はプラス、マイナス符号の場合はマイナスの影響を与える。詳細は付注3-1-1参照。
(資料)財務省「法人統計季報」、日本銀行「実質実効為替レート」、独立行政法人経済産業研究所(2006a)「東アジアにおける事業環境等に関する調査研究」から作成。
40
2.アジアの「ビジネスコスト距離」
2.アジアの「ビジネスコスト距離」
¾国際事業ネットワークの形成に当たっては、「フィールド」の自由化・調和・安定化を前提として、事業拠
¾国際事業ネットワークの形成に当たっては、「フィールド」の自由化・調和・安定化を前提として、事業拠
点間をモノ、カネ、ヒト、情報等が往来するコストの水準が重要となる。
点間をモノ、カネ、ヒト、情報等が往来するコストの水準が重要となる。

○1980年代と2005年の二時点におけるアジアを中心とした14都市と国内4都市の合計18都市を対象とし
て、東京から各都市への「ビジネスコスト距離」を試算し、地図化すると、ビジネスを行うという視点から
見たアジアは大きく歪んでいる。

第3-1-16図 1980年代の「ビジネスコスト距離」で測定したアジア地図

(備考)1.緑色で描かれた地図が「ビジネスコスト距離」で測定した地図。影で描かれた地図は、実際の地理的距離に基づいて正距方位図で描かれた地図。
2.対象都市以外の東京との距離については、あくまで目安である。
(資料)独立行政法人経済産業研究所(2006c)「東アジアの事業ネットワークの構築に向けた課題調査」から作成。

41
ポイント
○アジアとの「ビジネスコスト距離」は
縮小しているがその度合いは不均一。
○現在の東京−シンガポール間は
1980年代の東京−福岡間と同程度。
○中国、ベトナムなどは「ビジネスコスト距離」
短縮に向けて更なる政策努力が必要。
○国内地方都市とアジア都市との立地競争
は激化の方向

第3-1-17図 現在の「ビジネスコスト距離」で測定したアジア地図

(備考)及び(資料)は第3-1-16図と同じ。

○関税引下げといったモノの移動に係るコスト的な課題と併せて、域内における港湾整備や通関手続
等の貿易円滑化により、「ビジネスコスト距離」を短縮し、域内の貿易量を拡大する。
第3-1-20図 関税削減と各種貿易円滑化措置等の
貿易創出効果の相対比較
輸入国の
政情安定性
4%
貿易円滑化措置の効果
合計 56% 通関手続の
簡素化・迅速化
17% 関税削減
40%
通関手続の透明化
10% 港湾インフラ
の効率化
29%

(備考)1.各項目が1%改善(関税については1%削減)された時の貿易拡大効果を相対的に示したもの。
    2.対象国・地域は日本、中国、香港、韓国、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、
      ベトナム、インド、オーストラリアの13カ国・地域。
    3.試算方法については付注3-1-4を参照。
(資料)IMF「Direction of Trade」、「World Economic Outlook Database」、UNCTAD「TRAINS」、IMD「World Competitiveness Yearbook 2005」、
    World Economic Forum「The Global Competitiveness Report 2005-2006」、世界銀行「Doing Business 2005」から経済産業省試算。
42
3.EPA/FTAの積極的活用及び経済協力等の我が国の貢献
3.EPA/FTAの積極的活用及び経済協力等の我が国の貢献
¾貿易・投資の自由化促進の手段として、EPA/FTAの推進は重要な課題である。
¾貿易・投資の自由化促進の手段として、EPA/FTAの推進は重要な課題である。
¾現在、日シンガポールEPA、日マレーシアEPA等の二国間EPAが締結され、日ASEAN包括的経済連
¾現在、日シンガポールEPA、日マレーシアEPA等の二国間EPAが締結され、日ASEAN包括的経済連
携の地域EPAの交渉が開始されている。また、「東アジアEPA」構想、「東アジア版OECD」構想が提唱さ
携の地域EPAの交渉が開始されている。また、「東アジアEPA」構想、「東アジア版OECD」構想が提唱さ
れている。
れている。
¾我が国は、EPA/FTA等を通じて、アジアの発展に大きく貢献してきた。
¾我が国は、EPA/FTA等を通じて、アジアの発展に大きく貢献してきた。

<我が国のEPA交渉の状況>
<我が国のEPA交渉の状況>
○我が国政府は、経済的つながりの深いアジア諸国を中心にEPA交渉を進めてきている。
第3-1-26図 我が国の経済連携のスケジュール
(2006年5月30日現在)
2004年 2005年 2006年∼
2001年1月交渉開始
シンガポール 現在
2002年11月発効
4月発効
メキシコ (2002年11月交渉開始)

1月 5月大筋合意 12月署名 所要の手続終了後


マレーシア 交渉
交渉 発効

03年12月 2月 9月大筋合意
タイ 交渉開始合意 交渉
交渉

2月 11月大筋合意
フィリピン 交渉
交渉
1月 (5月交渉開始合意) 7月∼交渉
インドネシア 産学官研究会
産学官研究会 交渉
交渉

03年10月 12月
韓国 交渉開始合意 交渉
交渉

2月 (11月交渉開始合意) 2年間以内の
ASEANマルチ 政府間協議
政府間協議 4月 交渉
交渉 交渉終了が目標
※05年12月、独立
した二国間EP
ベトナム ※ 2月 検討会合
検討会合
Aの検討に合意 ブルネイ ※ 2月 準備会合
準備会合 交渉
交渉
1月 (11月交渉開始合意) 2月
チリ 産学官共同研究会
産学官共同研究会 交渉
交渉
5月
GCC(湾岸協力会議) 準備会合
準備会合 交渉
交渉

7月 6月報告書
インド 政策対話 共同研究会
共同研究会 提出予定
4月∼
11月研究会開始 原則2年間以内
豪州 政府間研究
政府間研究
10月研究会開始
スイス 政府間研究
政府間研究
11月 政府間協議 5月
参考 日中韓 投資協定 開始合意 投資取決めに係る政府間協議

(資料)経済産業省作成。

<我が国のアジアへの貢献>
○EPAの推進と併せて、経済協力を戦略的に活用し、相手国の事業環境整備を行うことが重要である。
我が国のアジアに対する経済的貢献度は高く評価されており、貿易・投資などを通じてアジア経済の
発展に寄与してきた。
※経済的貢献度とは、アジア途上国の成長率をどれだけ押し上げたかを測るもので、貿易、ODA、銀行融資、直接投資、
人の移動の分野などで算出した総合指標である。
第3-1-30表 アジアに対する貢献度指標ランキング
順位 経済的貢献度(1/100%) ODA(100万ドル)
1 米国 102.1 日本 5,130
2 日本 61.5 英国 856
3 ドイツ 20.4 米国 622
4 韓国 20.2 ドイツ 449
5 中国 18.5 カナダ 444
6 英国 17.9 フランス 325
7 オランダ 16.0 オランダ 292
8 オーストラリア 11.7 オーストラリア 267
9 フランス 9.1 デンマーク 239
10 ベルギー 8.5 スウェーデン 152
43 (資料)社団法人日本経済研究センター(2005)「検証:日本の東アジアへの経済的貢献」から作成。
4.地域協力の推進
4.地域協力の推進
¾アジアを中心とした国際的な事業環境を整備していくためには、ASEAN+3、APEC、ASEMなどの地域
¾アジアを中心とした国際的な事業環境を整備していくためには、ASEAN+3、APEC、ASEMなどの地域
協力の場を積極的に活用していくことが重要である。
協力の場を積極的に活用していくことが重要である。

<ASEAN+3と東アジアサミット>
ASEAN+3と東アジアサミット>
○ASEAN+3:1997年、アジア経済・通貨危機を契機として東アジアにおける政策協調の機運が高まった
ことを背景に、開催。
第3-1-34図 ASEAN+3首脳会議での共同声明等
1999年 東アジアにおける協力に関する共同声明
・経済、社会、政治・安全保障など広範囲にわたる政策分野を包摂した指針の発出。
東アジア・ビジョン・グループ(EAVG)報告書 「Towards an East Asian Community」の公表
2001年 ・1998年のASEAN+3首脳会議で設置された有識者会合が、政治、経済、社会、文化の幅広い分野での将来
的な東アジア協力の可能性と方策について議論。
2002年 東アジア・スタディ・グループ(EASG)最終報告書の公表
・2000年のASEAN+3首脳会議で設置。各国外務次官レベルで構成され、EAVG報告を評価し勧告。
2007年 東アジア第二共同声明の発出
・ASEAN+3協力10周年を記念し、東アジア協力に関する第二共同声明を発出する予定。
東アジア政府間では17分野において48の協議体が活動中(2006年現在)
アセアン日中韓首脳会議

電気通信・情報技術相会議
国境を越える犯罪に関する

文化と芸術に関する
アセアン日中韓

アセアン日中韓

アセアン日中韓 エネルギー相会議

アセアン日中韓

アセアン日中韓

アセアン日中韓閣僚会議

アセアン日中韓閣僚会議

アセアン日中韓

アセアン日中韓

アセアン日中韓

農村開発・貧困撲滅に関する
青少年に関する アセアン日中韓
社会福祉と開発に関する
高級事務レベル会議
アセアン日中韓

アセアン日中韓

アセアン日中韓

アセアン日中韓

アセアン日中韓閣僚会議

アセアン日中韓高級事務レベル会議
経済相会議

観光相会議

通信相会議
外相会議

科学技術委員会
環境相会議

労働相会議
保健 相会議
財相会議

農林相会議

※各閣僚級会合に、高級実務者レベルの会合が付随して設置。
(資料)経済産業省作成。

○東アジアサミット:2005年12月に第1回東アジアサミットを開催。クアラルンプール宣言を採択。参加国
は、ASEANと日中韓に加え、インド、オーストラリア、ニュージーランドの16カ国。

第3-1-35図 クアラルンプール宣言の概要
○東アジアサミットは、この地域における共同体形成において、重要な役割を果たす
○東アジアサミットは、開放的、包含的、透明な枠組みである
○東アジアサミットでは、グローバルな規範と普遍的価値の強化に努める
○東アジアサミットでは、政治・安保、経済、社会・文化の幅広い領域に亘る分野に焦点を当てていく
○東アジアサミットは定期的に開催し、ASEAN加盟国が主催・議長を務める
(資料)経済産業省作成。

<APEC(アジア太平洋経済協力)>
APEC(アジア太平洋経済協力)>
○アジア太平洋の21カ国・地域から参加するフォーラムであり、1989年に設立。
○先進国・地域のボゴール目標達成年である2010年は、我が国において首脳会合を開催予定。

<ASEM(アジア欧州会合)>
ASEM(アジア欧州会合)>
○38カ国(ASEAN+3、EU)と1機関(欧州委員会)が参加するフォーラムであり、1996年に発足。

44
5.GATT/WTO体制下における貿易・投資自由化の進展
5.GATT/WTO体制下における貿易・投資自由化の進展
¾WTO体制の下、世界貿易の拡大と統合の深化に対応し、関税の引下げのほか、農業、サービス貿易
¾WTO体制の下、世界貿易の拡大と統合の深化に対応し、関税の引下げのほか、農業、サービス貿易
の自由化、貿易ルールの強化が行われ、非関税障壁分野へと規律範囲を拡大している。
の自由化、貿易ルールの強化が行われ、非関税障壁分野へと規律範囲を拡大している。

○WTO体制下では、加盟国が着実に増加しているとともに、非関税障壁分野へと規律範囲が拡大して
いる。また、紛争解決手続の実効性が強化されている。

(国数)  第3-1-36図 GATT/WTO参加国数と途上国の割合の推移 ドーハ・ (%)


180 WTO発足 ラウンド 90 第3-1-38図 紛争案件数の推移
4
ウルグアイ・ラウンド 1950-54 4.4
160 80
4
149
1960-64 1.8
140 70 1
平均 6.7件/年
1970-74 2.6
3.6
120 東京ラウンド 60 1980-84 9.4
ケネディ・ 14.4
ラウンド 1990-94 19.8
100 50
118 22 WTO設立
1996 42
80 40 46
うち途上国 1998 44
うち先進国 31 平均
60 日本GATT加盟 30 2000 30 32.4件/
途上国の比率(右目盛) 27

40 20 2002 34
28
2004 20
20 10 (件)
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
31
(備考)1948-94年は年平均件数。 紛争案件数とは、紛争解決手続を解決するための協議要請が行われた件数。
(資料)外務省ウェブサイトから作成。
0 0
48 51 54 57 60 63 66 69 72 75 78 81 84 87 90 93 95 98 01 04(年)
(備考)ここでいう先進国とは、OECD加盟国30カ国とEUを指し、現在のOECD加盟国がWTOに加盟した時点で計上
    している。
(資料)WTO事務局資料から経済産業省作成。

○2001年11月、新ラウンド(ドーハ開発アジェンダ)が立ち上げられ、農業、非農産品市場アクセス、
サービス、アンチ・ダンピング等の幅広い分野を対象に議論が進んでいる。

第3-1-40表 香港閣僚宣言における具体的な交渉分野の成果
複数の係数を持つスイス・フォーミュラを採用することに合意。
途上国配慮と相互主義の軽減の重要性を確認。
① 非農産品(NAMA) 非譲許品目の扱いについてノン・リニア・マークアップ方式を採用することに合意。
2006年4月末までにモダリティを確立し、7月末までに譲許表案を提出することを合意。

国内支持については、先進国を3階層に分け、高い階層ほど、大きく削減することに合意。
② 農業 輸出補助金の撤廃期限を2013年末と設定。
市場アクセスについては、一般品目の関税削減を4階層の階層方式により行うことに合意。
2006年4月末までにモダリティを確立し、7月末までに譲許表案を提出することを合意。
綿花に関する輸出補助金を2006年に撤廃、LDC無税無枠の供与、国内支持について一般
③ 綿花 フォーミュラより野心的に削減することなどについて合意。

モード毎の交渉目標等を努力目標として規定。
④ サービス 二国間交渉に加えて、リクエスト・オファー交渉を複数国間でも行うことに合意。

アンチ・ダンピング交渉における交渉範囲や目的、議長による条文案の提示など今後の交渉の段
⑤ ルール 取りなどを確認。

香港閣僚会議後速やかに条文ベースの交渉に移行する必要性を確認。
⑥ 貿易円滑化
2008年までに又は実施期間の開始までに、すべてのLDC原産の、すべての産品に対する無税
無枠の市場アクセスを持続的に供与することに合意。また、上記が困難な加盟国は、LDC原産の
⑦ 開発 タリフラインの97%以上の産品に対し、無税無枠の市場アクセスを供与することに合意。
「貿易のための援助」について、サプライサイド能力や貿易関連インフラの重要性に言及。
(資料)経済産業省作成。

○また、我が国は、開発問題に対して、「開発途上国一村一品キャンペーン」を積極的に支援している。
第3-1-43図 経済産業省で行われた開発途上国「一村一品」 キャンペーン
展示会本省展(オープニングセレモニー)

45
6.グローバル化と構造調整
6.グローバル化と構造調整
○我が国の農産物輸出額は主要国と比較すると極めて小さい。
第3-1-47図 主要国の農産物輸出入額(2003年)
(単位:億ドル)
輸入額                   輸出額

535 米国 623

456 ドイツ 328

370 日本 17

351 英国 172

307 フランス 421

(出所)農林水産省「平成16年度食料・農業・農村白書」。
(原出所)FAO「FAOSTAT」。

○しかしながら、グローバル化は、我が国の農業にとってチャンスとなり得る。高付加価値化により
輸出が伸びている農業品目もあり、近年、我が国の農林水産物の輸出額は増加している。

第3-1-51図 我が国の農林水産物等の輸出額の推移
(%)
(億円)
3,500 14

3,000 12

2,500 10

2,000 8

1,500 6

1,000 4

500 2

0 0
2003 2004 2005 (年)
(備考)1.アルコール飲料、たばこ、真珠を除く。
    2.菓子は農産物に含まれる。
(資料)農林水産省資料から作成。
農産物 林産物
(原出所)財務省「貿易統計」。 水産物 前年比(右目盛)

○アジアの中間所得層の拡大により、日本の高級農産品の輸出市場が拡大している。
第3-1-50図 タイのスーパーマーケットで常設販売される日本の果物

(提供)農林水産省。 46
第2節 対内直接投資の拡大

1.我が国への対内直接投資の動向
1.我が国への対内直接投資の動向
¾我が国への対内直接投資は拡大傾向にある。
¾我が国への対内直接投資は拡大傾向にある。

○近年、我が国への対内直接投資は順調に拡大しているものの、倍増目標を達成するには更に積極的
な取組が求められている。

(兆円) 第3-2-1図 我が国への対内直接投資の推移 (兆円)


16.0 1.6
ストック
倍増の目標値
14.0 フロー(右目盛) 13.2 1.4

12.0 1.2
10.5
10.1
10.0 9.6 1.0
9.4

8.0 0.8
6.6
5.8
6.0 0.6
4.7

4.0 3.4 3.5 3.5 0.4


3.0

2.0 0.2

0.0 0.0
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 (年)

(備考)2006年のストックは対内直接投資拡大の目標額。2005年のストックは、2005年12月時点の財
    務省推計値。
(資料)財務省「本邦対外資産負債残高」、財務省「対内・対外直接投資の推移」から作成。

47
2.製造業とサービス業における対内直接投資の効果
2.製造業とサービス業における対内直接投資の効果
¾我が国への対内直接投資は、①海外からの技術・ノウハウ、新たなビジネス・モデルなどの流入を
¾我が国への対内直接投資は、①海外からの技術・ノウハウ、新たなビジネス・モデルなどの流入を
通じて、M&A投資を受け入れた企業の生産性を上昇させ、②更に当該産業内において競争が
通じて、M&A投資を受け入れた企業の生産性を上昇させ、②更に当該産業内において競争が
活発化し、生産性の高い企業がシェアを伸ばすことで産業全体の生産性を高める、というメカニズム
活発化し、生産性の高い企業がシェアを伸ばすことで産業全体の生産性を高める、というメカニズム
によって我が国の生産性を向上させる。
によって我が国の生産性を向上させる。

○製造業において、M&A外資系企業の業績向上 ○また、M&A外資系企業の売上高経常利益率は
は我が国平均より大きい。 高く、我が国企業の技術・ノウハウとのシナジー
効果が生じている。

(%) 第3-2-7図 製造業における売上高経常利益率(2004年)
第3-2-5表 製造業における一人当たり純利益の変化(参入時期別)
(単位:百万円)
40
対象企業のM&A時から直近 我が国産業の対象期間中平均か 日本全体 M&A外資系企業の売上高経常利
対象期間 業種 (2002-2004年)までの変化 ら直近(2002-2004年)までの変化
35 益率は高い。
外資
増減額(M&A時→直近) 増減額(期間中平均→直近) 32.4
製造業全体 10.3 (▲2.3 → 7.9) 0.1 (0.7 → 0.8) M&A外資系企業
1990-1994 30 28.5
電気機械 10.3 (▲2.3 → 7.9) ▲ 0.4 (0.6 → 0.3)
製造業全体 ▲ 1.1 (0.5 → ▲0.6) 0.3 (0.5 → 0.8)
1995-1999
電気機械 ▲ 0.9 (0.3 → ▲0.6) ▲ 0.2 (0.4 → 0.3) 25
製造業全体 ▲ 0.1 (▲0.6 → ▲0.7) 0.2 (0.6 → 0.8)
2000-2004
電気機械 ▲ 0.6 (0.5 → ▲0.1) 0.2 (0.1 → 0.3)
20
製造業全体 2.4 (▲0.7 → 1.7) 0.2 (0.6 → 0.8)
全期間
電気機械 4.7 (▲1.0 → 3.7) ▲ 0.1 (0.4 → 0.3)
15
(備考)「国民経済計算年報」のGDPデフレータ(1995年基準)で実質化。
(資料)独立行政法人経済産業研究所(2006)「我が国の財・サービス貿易及び投資の自由化の経済効果等
    に関する調査研究」から作成。 10
5.3 5.9
5 3.6
2.6

0
製造業 電気機械
(資料)独立行政法人経済産業研究所(2006)『我が国の財・サービス貿易及び投資の自由化の経済
    効果等に関する調査研究』から作成。

○サービス業においても、総じてM&A外資系企業 ○しかしながら、サービス業は製造業と異なり、
の業績向上は我が国平均を上回っている。 M&A外資系企業の売上高経常利益率は必ずし
も大きくなっていないが、サービス業全体では、
M&A外資系企業の売上高経常利益率はやや高
い。業種別に見ると金融で高い一方、情報通信・
運輸では低くなっている。
第3-2-8表 サービス業における一人当たり純利益の変化(参入時期別)
(%) 第3-2-10図 サービス業における売上高経常利益率(2004年)
(単位:百万円)
対象企業のM&A時から直近 我が国産業の対象期間中平均か 14
(2002-2004年)までの変化 ら直近(2002-2004年)までの変化 サービス業全体ではM&A外資系企 業種別に見ると、金融では 日本全体
対象期間 業種 売上高経常利益率が高く、
業の売上高経常利益率は日本全 外資
増減額(M&A時→直近) 増減額(期間中平均→直近) 12 体、外資と比較してやや高い。 情報通信・運輸が低い。
M&A外資系企業
サービス業全体 ▲0.1 (0.1 → 0.0) 0.1 (0.3 → 0.4)
情報通信・運輸業 0.1 (0.2 → 0.2) 0.4 (0.3 → 0.8) 9.9
1990-1994 10
卸 売 業 1.5 (▲1.0 → 0.5) ▲ 0.2 (0.5 → 0.4)
金 融 業 ▲ 5.0 (3.1 → ▲1.9) ▲ 0.7 (1.5 → 0.8)
サービス業全体 5.9 (2.1 → 8.0) 0.3 (0.1 → 0.4)
8
情報通信・運輸業 4.4 (▲2.3 → 2.1) 0.6 (0.2 → 0.8)
1995-1999 6.8
卸 売 業 1.6 (15.0 → 16.6) 0.1 (0.3 → 0.4)
金 融 業 7.2 (▲0.6 → 6.6) 2.0 (▲1.3 → 0.8)
6
サービス業全体 ▲1.9 (▲0.3 → ▲2.2) 0.1 (0.3 → 0.4) 5.1
情報通信・運輸業 8.1 (0.7 → 8.8) 0.3 (0.4 → 0.8) 4.5
2000-2004 4.2
卸 売 業 25.8 (▲2.7 → 23.1) 0.1 (0.3 → 0.4)
4 3.2
金 融 業 ▲14.9 (0.1 → ▲14.8) 0.9 (▲0.1 → 0.8)
サービス業全体 1.6 (0.7 → 2.3) 0.2 (0.2 → 0.4) 2.6 2.6
情報通信・運輸業 3.1 (▲0.3 → 2.8) 0.4 (0.3 → 0.8)
全期間 2 1.4
卸 売 業 3.6 (1.5 → 5.1) 0.0 (0.4 → 0.4)
金 融 業 ▲ 0.1 (0.3 → 0.2) 0.7 (0.0 → 0.8)
0.06
(備考)「国民経済計算年報」のGDPデフレータ(1995年基準)で実質化。 0
(資料)独立行政法人経済産業研究所(2006)『我が国の財・サービス貿易及び投資の自由化の経済効果等に関 サービス業 情報通信・運輸業 卸売業 金融
する調査研究』から作成。我が国産業の平均のうち金融業は、全国銀行協会、日本証券業協会、日本
損害保険協会、生命保険協会資料から作成。 (資料)独立行政法人経済産業研究所(2006)『我が国の財・サービス貿易及び投資の自由化の経
済効果等に関する調査研究』から作成。日本全体のうち金融業は、全国銀行協会、日本
証券業協会、日本損害保険協会、生命保険協会資料から作成。

48
3.対内直接投資の国際比較
3.対内直接投資の国際比較
¾世界の対内直接投資は趨勢的に増加しているが、業種別ではサービス業における大型クロスボーダー
¾世界の対内直接投資は趨勢的に増加しているが、業種別ではサービス業における大型クロスボーダー
M&Aが増加しており、受入国別では欧米の割合が大きくなっている。
M&Aが増加しており、受入国別では欧米の割合が大きくなっている。
¾我が国への対内直接投資は国際的には低い水準にとどまっている。
¾我が国への対内直接投資は国際的には低い水準にとどまっている。

○我が国への対内直接投資を名目GDP比で諸外国と比較すると、低い水準にとどまっている。

(%) 第3-2-17図 対内直接投資(残高ベース)の国別名目GDP比率

40
日本 米国 英国 36.3
35 ドイツ フランス 中国
韓国 世界平均
30.5
30
26.5
日本は諸外国と比し
25 て低い水準
20.6
19.9
20 17.9

14.5 14.9
15 12.9 12.6 12.9
11.8

10 8.1 8.1
6.9 6.6 7.1
5.8
5 3.9 3.9
3.0
2.1 2.1 2.1
0.5 1.1
0.3 0.3
0
1980 1990 2000 2004 (年)

(出所)UNCTAD「World Investment Report 2005」から作成。

49
4.我が国への対内直接投資が低調な要因の分析
4.我が国への対内直接投資が低調な要因の分析
¾我が国への対内直接投資が低い水準にとどまっている要因としては、①我が国の立地優位性の問題、
¾我が国への対内直接投資が低い水準にとどまっている要因としては、①我が国の立地優位性の問題、
②参入障壁の存在、
②参入障壁の存在、③国内企業との厳しい競争、がある
③国内企業との厳しい競争、がある。。
<立地優位性>
○外資系企業へのアンケート調査結果(内閣府) によれば、我が国の事業環境において、「事業活動コス
トが高い」を不満とする外資系企業が全体の60%以上を占めており、コスト面における立地優位性が十
分でない。
○特に地域では、人材確保やマーケット・アクセス等の点において、立地優位性に問題が多い。
第3-2-22図 我が国への対内直接投資の障害
日本での活動に際しての不満点、改善点(既活動企業) (%) 日本への進出の障害として認識している点(未活動企業)
(%)
45
70
40
60
35
50 30

40 25

30 20

15
20
10
10
5
0
事業活動コストが高い

外国人 ・外国企業に対して閉鎖的

消費者が求めるクオリティが高い

技術力 は特に高いわけではない
魅力的 なパートナーや買収先が少な
参入後のケアが足りない
優良企業が多く競争が激しい

コミュニケーションに不安がある
手続が 煩雑

インセンティブが不足

地域市場に関する情報不足

規制が過大

インフ ラが不足している

その他
有能な人材の獲得が困難
独自の取引慣行になじめない

法制度に関する情報不足

今後の成長性が低い

経営手 法等を受け入れる姿勢が不足

0
事業活動コストが高い

技術力は特に高いわけではない

外国人・外国企業に対して閉鎖的

消費者が求めるクオリティーが高い
魅力的なパートナーや買収先が少な

参入後のケアが足りない
コミュニケーションに不安がある
手続が煩雑

地域・市場に関する情報不足

インセンティブが不足

規制が過大

優良企業が多く競争が激しい

インフラが不足している

その他
有能な人材の獲得が困難
法制度に関する情報不足

独自の取引慣行になじめない
今後の成長性が低い

経営手法等を受け入れる姿勢が不足

(出所)内閣府(2005)「海外企業の日本進出阻害要因に関する調査研究」から作成。

<参入障壁の存在>
○製造業と比較して、サービス業においては、1990年代の規制緩和が進んだものの、いまだ参入障壁
の残っている分野も存在する。
第3-2-21表 我が国の規制緩和の推移
1970 1980 1985 1990 1995 2000 2002
製造業 0.772 0.772 0.772 0.775 0.775 0.785 0.785
建築業 0.667 0.667 0.667 0.750 0.750 0.750 0.750
電気、ガス、水道 0.446 0.446 0.446 0.446 0.494 0.611 0.611
卸・小売業 0.243 0.324 0.324 0.389 0.487 0.525 0.525
金融・保険業 0.379 0.399 0.433 0.521 0.595 0.704 0.704
電信・電話業 0.400 0.400 0.500 0.667 0.700 0.769 0.786

(備考)指標が「1」に近づくほど規制が存在しない状態を示す。1998年までは、住友生命総合研
究所編(1999年)「規制緩和の経済効果」の各掲載産業の規制緩和の年表から、また
2000年以降は内閣府資料から、各産業の規制緩和の数をカウントすることを基にして
作成。よって、緩和された規制一つ一つの効果までは測定できない。
(出所)中西・乾(2003)を基に、両氏が2002年まで延長した規制緩和指標を経済産業省で再分
類して作成。

<我が国国内企業との厳しい競争>
○国内企業との厳しい競争が我が国への進出の際の「壁」となっていると認識している外資系企業が
多い。

50
5.我が国への対内直接投資の更なる拡大に向けた課題
5.我が国への対内直接投資の更なる拡大に向けた課題
¾我が国政府は、一層の対内直接投資促進を図るべく、「対内直接投資残高を2010年までにGDP比で倍
¾我が国政府は、一層の対内直接投資促進を図るべく、「対内直接投資残高を2010年までにGDP比で倍
増となる5%程度」との新たな目標設定を行ったところである。更なる対内直接投資拡大に向け、一層の
増となる5%程度」との新たな目標設定を行ったところである。更なる対内直接投資拡大に向け、一層の
取組が重要である。
取組が重要である。

<立地優位性の活用と情報提供>

○我が国の立地優位性をいかした対内直接投資の促進が重要である。
○具体的には、優秀な研究者・技術者をいかした研究開発拠点や高付加価値製品の生産拠点、大きな
市場規模や整備された情報インフラ等をいかしたサービス業などの立地が期待される。また、地域にお
いては立地優位性の向上が必要である。
○我が国の立地優位性に関する情報発信が重要である。

第3-2-19図 インフラ整備状況の国際比較
(順位) IMDによる総合インフラ指数 ブロードバンド通信料金の国際比較
0 米国
(2003年7月における kbps/s の月額料金、US$100)
5 日本
5.0 4.4
10 ドイツ 4.5
15 4.0 3.4 3.5
3.3
20 3.5 3.1
フランス 2.7
3.0
25 英国 2.2
2.5
30 2.0
1.2 1.3
35 1.5
中国 1.0
40 0.3
0.5 0.1
45
0.0
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 (年)



(備考)「インフラ」については、①基本的インフラ(国土、人口、資源など)、②技





術的インフラ(インターネット普及、サイバーセキュリティなど)、③科学イ



ンフラ(研究開発費、ノーベル賞受賞者数、特許取得など)、④健康・環境


(福祉・公害など)、⑤教育(初等教育、高度教育、産学連携など)を基に算出

される。
(資料)IMD 「IMD World Competitiveness Yearbook 2006」から作成。 (資料)International Telecommunication Union 「Birth of Broadband」から作成。

<サービス分野における規制緩和の推進>

○サービス分野は、対内直接投資による生産性向上が強く期待される。
○今後、医療・福祉サービス分野、公共サービス分野等において対内直接投資促進が期待される。

<国境を越えたM
<国境を越えたM&Aの円滑化>

○三角合併の円滑な施行に向けて、税制措置が租税回避等の観点も踏まえ現在検討されている。

51
第3節 人的資本の育成と活用

1.人的資本の育成・活用の重要性
1.人的資本の育成・活用の重要性
¾国際的な人材獲得競争が激化する中、少子高齢化による労働投入量の減少懸念に対しては、労働の
¾国際的な人材獲得競争が激化する中、少子高齢化による労働投入量の減少懸念に対しては、労働の
「量」そのものをどう増やすかよりも、いかに「質」を向上させるかが重要な課題である。
「量」そのものをどう増やすかよりも、いかに「質」を向上させるかが重要な課題である。

○国際的な「人材競争」が激化する中、労働の「質」向上のため、国内人材の育成、知識・経験の豊富な
女性や高齢者の就業促進、高度な海外人材の活用が重要である。

第3-3-1図 OECD諸国の高等教育修了者に占める他国からの流入及び他国への流出割合(2001年)
OECD諸国の高等教育修了者に占める他国への流出割合(2001年) OECD諸国の高等教育修了者に占める他国からの流入割合(2001年)

英国 ニュージーランド
ニュージーランド
オーストリア アイルランド
スロバキア カナダ
ポルトガル オーストリア
スイス スウェーデン
ギリシア 英国
ポーランド ベルギー
ハンガリー ノルウェー
EU15 ギリシャ
EU19 EU15
オランダ ポーランド
ドイツ 米国
デンマーク フランス

カナダ デンマーク
EU19
メキシコ
チェコ
ベルギー
OECD
フィンランド
トルコ
チェコ
オランダ
スウェーデン
スロバキア
ノルウェー
スペイン
日本は出入りともに少ない。 トルコ
ドイツ
フランス
ハンガリー
オーストラリア
フィンランド
スペイン メキシコ
韓国 ポーランド (上段)非OECD諸国からの高等教育修了者の流入
日本 (下段)OECD諸国からの高度教育修了者の流入
韓国
米国 日本
(%)
- 25 - 20 - 15 - 10 -5 0 0 5 10 15 20 25
(出所)OECD(2005)「OECD Science, Technology and Industry」。 (%)

52
2.国内における人材育成
2.国内における人材育成
¾我が国は、積極的な人材育成を通じて、生産性を高めていくことが求められているが、教育にかける費
¾我が国は、積極的な人材育成を通じて、生産性を高めていくことが求められているが、教育にかける費
用が低いことに加え、企業における人材育成も減少している。
用が低いことに加え、企業における人材育成も減少している。
¾産業界のニーズにマッチした高度な人材を育成するため、教育制度の充実、能力開発の促進が求めら
¾産業界のニーズにマッチした高度な人材を育成するため、教育制度の充実、能力開発の促進が求めら
れる。
れる。
¾また、このような中、就業経験を積む機会の少ないフリーターやニートが多く存在する我が国において
¾また、このような中、就業経験を積む機会の少ないフリーターやニートが多く存在する我が国において
は、将来にわたる生産性の低下が懸念されており、それへの対応も課題となっている。
は、将来にわたる生産性の低下が懸念されており、それへの対応も課題となっている。

<高等教育の現状>
○諸外国と比較すると、我が国の高等教育機関の学生一人当たり支出は、必ずしも大きくはない。
第3-3-6図 主要国における高等教育機関(大学・大学院等)の
学生一人当たりの支出
(1,000 USドル)
25

20

15

10

0

リア








トリ










ィン









(備考)在学者一人当たり教育支出は、国公私立教育機関の年間支出の合計をフルタイム換算した在学者数(パートタイム在学者
  を含む)で除して算出。
(資料)OECD(2005b)「Education at a Glance 2005」から作成。

<増加するニートやフリーター>
○ニートやフリーターが増加してきており、将来にわたる生産性の低下が懸念される。
第3-3-19図 フリーターの人数の推移
(万人)
250
217 214
208
201
200

151
150

101
100
79

50
50

0
1982 1987 1992 1997 2002 2003 2004 2005(年)

(出所)総務省統計局「労働力調査(詳細結果)」<特別集計>、厚生労働省(2005c)「平成17年
版労働経済の分析」。

第3-3-20図 ニートの人数の推移
(万人)
70
64 64 64

60

49
50 46
44
42
40
40

30

20

10

0
1994 1996 1998 2000 2001 2002 2003 2004(年)
53 (出所)厚生労働省(2005c)「平成17年版労働経済の分析」。
3.知識・経験の豊富な女性・高齢者の就業促進
3.知識・経験の豊富な女性・高齢者の就業促進
¾諸外国と比較して、我が国は、知識・経験の豊富な女性や高齢者が十分にいかされておらず、こうした
¾諸外国と比較して、我が国は、知識・経験の豊富な女性や高齢者が十分にいかされておらず、こうした
「質」の高い女性・高齢者の就業促進が重要な課題である。
「質」の高い女性・高齢者の就業促進が重要な課題である。
¾知識・経験の豊富な女性や高齢者を十分に活用した場合の潜在的な付加価値創出額は極めて大きい
¾知識・経験の豊富な女性や高齢者を十分に活用した場合の潜在的な付加価値創出額は極めて大きい
と試算される。
と試算される。
¾また、「2007年」問題に伴う技能・ノウハウの損失や海外流失が懸念されており、企業における技能承
¾また、「2007年」問題に伴う技能・ノウハウの損失や海外流失が懸念されており、企業における技能承
継など積極的な対策が必要となる。
継など積極的な対策が必要となる。
※「2007年」問題とは、2007年から「団塊の世代」が大量定年を迎えることに伴い、後世へ技術・ノウハウをいかに継承させるか
という問題。

<知識・経験の豊富な女性・高齢者の活用>
○我が国においては、女性の労働力率が出産適齢 ○我が国の高学歴の女性の労働力率は、諸外
期付近で落ち込む「M字カーブ」が見られる。 国と比較して、低い水準となっている。
第3-3-24図 年齢階層別女性の労働力率の国際比較 第3-3-26図 高学歴女性の労働力国際比較
(%) (%)
100 100
88 86
90
79 78 76
80 80
67
70

60
60
50
日本 韓国
40
40
米国 イタリア
30
ドイツ ノルウェー
20
20 フィンランド フランス
10
ニュージーランド
0
0 スウェーデン 英国 ドイツ 米国 フランス 日本
20∼24 25∼29 30∼34 35∼39 40∼44 45∼49 50∼54 55∼59 60∼64 (歳) (備考)学歴は大学・大学院に相当。年齢は25∼64歳。各国2003年時点のデータ。
(資料)OECD(2005b)「Education at a glance 2005」から作成。
(備考)時点は、イタリアは2003年、その他の国は2004年。
(資料)総務省統計局(2006)「世界の統計2006」から作成。

○我が国の女性(大学・大学院卒)の潜在労働力は約66.7万人、潜在的な付加価値創出額は約3.5兆円
である。また、米国並みに就業した場合は、約28.7万人、約1.7兆円である。
第3-3-27図 潜在労働力(大学・大学院卒女性)と付加価値創出額

(万人) 16
米国並み就業達成ケース
14
12 日本の大学・大学院卒女性の潜在労働力

10
約66.7万人、約3.5兆円
8
6
4
2 約28.7万人、約1.7兆円
0
0∼ 24 ∼29 34
2 25 30∼ 35∼39 40∼44 5∼49 ∼54 59
4 50 55∼ 60∼64 65∼69 (歳)
(備考)1.潜在労働力(付加価値創出額)=潜在労働者(無業者のうち、就業意欲を有する大学・大学院卒
      女性(人))×大卒以上年間給与を各年齢階級分足し合わせたもの。
    2.「年間給与」は、きまって支給する現金給与額に、年間賞与その他特別給与額を合わせたもの。
    3.米国並み就業率達成ケースは、30∼64歳の日本の大学・大学院卒女性の就業率が、米国女性の就
      業率と同率になった場合で計算。
    4.試算には、労働の需給バランスなどは考慮されていない。
5.各データの時点は2002年。
(資料)総務省「平成14年就業構造基本調査」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査報告」、「データブック
    国際労働比較2005」から作成。 54
○我が国の高齢者の潜在労働力は約218万人、潜在的な付加価値創出額は約8兆円である。

第3-3-28図 潜在労働力(高齢者)と付加価値創出額
潜在労働力(高齢者)男女計
(万人)
約218万人、約8兆円/年
70
潜在労働力(男性)
60 約119万人、
約5.1兆円
50 男性

40
潜在労働力(女性)
30 約99万人、
約3兆円
20
女性
10

0
60∼64
65∼69 (歳)
(備考)1.潜在労働力(付加価値創出額)=潜在労働者(無業者のうち、就業意欲を有する60歳以上の男女
      (人))×各年齢階級の年間給与を足し合わせたもの。
    2.「年間給与」は、きまって支給する現金給与額に、年間賞与その他特別給与額を合わせたもの。
3.試算には、労働の需給バランスなどは考慮されていない。
    4.各データの時点は2002年。
(資料)総務省「平成14年就業構造基本調査」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」から作成。

<「2007年」問題>
<「2007年」問題>
○ 「2007年」問題については、技能・ノウハウを継承する人材の確保、技能継承に時間がかかり円滑に
進まないなど、危機意識を抱いている企業が多い。

第3-3-30図 2007年問題に危機意識を持つ要因(全業種と製造業)

63.2
意欲のある若年・中堅層の確保が難しい

技能・ノウハウ等伝承に時間がかかり、円滑に進 51.1
まない

教える方と教わる方の年代/レベルの差が開きす 35.9
ぎていて、コミュニケーションが厳しい

15.9
教える人材がいない
全産業

継承者が技能等を習得しても転職してしまう 12.1 製造業

伝承の仕方がわからない 3.5

4.8
その他

0 10 20 30 40 50 60 70 80 (%)
(資料)厚生労働省「平成16年度能力開発基本調査」から作成。

55
4.高度な海外人材の活用
4.高度な海外人材の活用
¾「持続する成長力」を確保していくためには、高度な海外人材の活用を図っていくことが重要な課題であ
¾「持続する成長力」を確保していくためには、高度な海外人材の活用を図っていくことが重要な課題であ
る。
る。
¾我が国の高度な海外人材の活用は、諸外国と比較して、高い水準とは言えない状況である。また、高
¾我が国の高度な海外人材の活用は、諸外国と比較して、高い水準とは言えない状況である。また、高
度人材となり得る留学生の受入れについても他の先進諸国と比べると低い水準である。こうした中、ア
度人材となり得る留学生の受入れについても他の先進諸国と比べると低い水準である。こうした中、ア
ジアから留学生を呼び込むため、「アジア人財資金(仮称)」構想の推進が重要である。
ジアから留学生を呼び込むため、「アジア人財資金(仮称)」構想の推進が重要である。
¾今後、我が国が高度な海外人材の受入れ・活用を図るためには、受入制度面、生活環境面での取組を
¾今後、我が国が高度な海外人材の受入れ・活用を図るためには、受入制度面、生活環境面での取組を
進めることが重要である。
進めることが重要である。

○米国においては、科学技術の分野における博士号等取得者の外国人の割合が高い。
第3-3-38図 米国の科学技術分野における外国人の割合

社会科学
博 生命科学
博士

士 数学・コンピュータ科学
物理学
エンジニアリング

修 社会科学
修士

士 生命科学
数学・コンピュータ科学
物理学
エンジニアリング
1990年割合
学 社会科学 1990年–2000年
学士

士 生命科学 での割合の伸び
数学・コンピュータ科学
物理学
エンジニアリング

0 10 20 30 40 50 60(%)
(資料)National Science Board (2005)「Science and Engineering Indicators 2004」から作成。

○英国においては、「高度技能移民プログラム」を導入し、積極的に高度人材の獲得を進めている。
第3-3-39表 英国の代表的な受入れの仕組み

目的・用途 受入れシステム 制度概要(受入れ要件)

判断に必要な要素をポイント化して一定以
①受入れさせるべき高 ポイントシス 上のポイントを獲得した者を受け入れる。 
度人材の受入れ テム
(永住権を付与する場合が多い。)

受入れ人数の上限を予め定め、この範囲内
②半熟練・非熟練労働 でのみ受入れる。            
数量割当制
者の受入れ
(滞在期限付き受入れとする場合が多い。)
国内労働市場において求人が充足しなかっ
③国内労働者を保護し たを証明すること等を条件に受け入れる。
労働市場テス
つつ必要な人材を受入 (ニーズの高い人材にはテストを免除する場


合が多い。)
(出所)財団法人国際経済交流財団(2005)「外国人労働者問題に係る政策・実態調査  
  研究事業」報告書。
56
5.労働市場の資源配分機能の向上
5.労働市場の資源配分機能の向上
¾国内人材の育成、知識・経験の豊富な女性や高齢者の就業促進に加え、こうした人的資本が労働市場
¾国内人材の育成、知識・経験の豊富な女性や高齢者の就業促進に加え、こうした人的資本が労働市場
において適切に移動・配分され、活用されるような環境整備が重要である。
において適切に移動・配分され、活用されるような環境整備が重要である。
¾このため、労働市場の資源配分機能を向上させるよう、働き方の選択に中立的な諸制度の設計や、既
¾このため、労働市場の資源配分機能を向上させるよう、働き方の選択に中立的な諸制度の設計や、既
存制度の運用改善が課題である
存制度の運用改善が課題である。。

○労働市場の柔軟性(賃金の伸縮性の高さで表したもの)と、労働生産性上昇率との関係を見ると、
労働市場が柔軟な国ほど、労働生産性も上昇している。

第3-3-43図 労働市場の柔軟性と労働生産性の関係
8
労 カナダ
働 7
市 英国 日本 米国
6
場 豪州
が 5
よ フランス y=1.21x+5.89
り 4 R2=0.56
柔 イタリア
軟 3
ドイツ
2
-2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5
労働生産性の伸び幅が大きい

(備考)1.内閣府(2004)「世界経済の潮流(2004年春)」の手法に基づき分析。
    2.労働生産性は、OECD productivity databaseから、労働市場の柔軟性に関する指数は、Fraser
      Institute(2005)から作成。
    3.労働生産性の伸び幅は、1990∼1995年、1995∼2004年の変化分。
    4.労働市場の柔軟性に関する指数は、雇用・解雇に関する慣行等に基づき数値化したもの。
      賃金が伸縮的であるほど高い。
    5.労働市場の柔軟性に関する指数は2003年時点。
(資料)OECD「Productivity database」、Fraser Institute(2005)「Economic Freedom of the World Annual Report」から作成。

○我が国の労働生産性上昇率を低下させている要因の一つとして、労働力の再配分効果の低下がある。

第3-3-44表  労働生産性上昇率の要因分解
(単位:%)
1980∼1990年 1990∼2000年 2000∼2002年
労働生産性上昇率 3.15 1.11 0.93
 資本蓄積効果 1.37 0.82 0.73
 資本再配分効果 -0.03 0.00 0.07
 労働の再配分効果 0.55 0.00 -0.33
生産性変化率 1.25 0.30 0.46
(出所)社団法人日本経済研究センター(2006)「失われた10年を超えて」研究会報告書から作成。

57
第4節 「投資立国」の実現に向けて ∼「単線的」構造から「複線的」構造へ∼
1.拡大する我が国の所得収支
1.拡大する我が国の所得収支
¾我が国が「持続する成長力」を備え、「可処分所得」を増加させるためには、GDP成長に加えて、海外資
¾我が国が「持続する成長力」を備え、「可処分所得」を増加させるためには、GDP成長に加えて、海外資
産からの収益である所得収支の拡大が重要である。
産からの収益である所得収支の拡大が重要である。
¾所得収支の黒字幅は拡大して順調に拡大してきており、2005年には過去最高額の11兆3,817億円(前
¾所得収支の黒字幅は拡大して順調に拡大してきており、2005年には過去最高額の11兆3,817億円(前
年比22.7%)に達した。
年比22.7%)に達した。
¾我が国の所得収支のGDP比(2005年
¾我が国の所得収支のGDP比(2005年2.26%)を対外投資の先進国である英国、米国と比較すると、英
2.26%)を対外投資の先進国である英国、米国と比較すると、英
国の2.27%(2005年速報値)と概ね同水準であり、米国の0.01%(2005年速報値)を大きく上回る水準にあ
国の2.27%(2005年速報値)と概ね同水準であり、米国の0.01%(2005年速報値)を大きく上回る水準にあ
るる。。

○原油価格の高騰もあり、2005年には初めて我が国の所得収支黒字が貿易収支黒字を上回った。
(兆円) 第3-4-1図 日本の貿易収支と所得収支の推移
18

16

14
貿易収支
12

10

6
所得収支 2005年所得収支:11兆3,817億円
2005年貿易収支:10兆3,348億円
4

0
1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
(年)
(資料)財務省/日本銀行「国際収支統計」から作成。

○我が国の所得収支黒字は、対外投資先進国である英米と同程度まで拡大している。
(%) 第3-4-4図 日米英の所得収支(対名目GDP比)の推移
2.5
英国
2005年:2.27%(速報値)
2

1.5
日本
2005年:2.26%

0.5

0
米国
2005年:0.01%(速報値)

-0.5

-1
1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004
(備考)英国、米国の2005年所得収支は速報値。
(資料)IMF「IFS」、日本銀行「国際収支統計」、米国商務省「Balance of Payments」、
    英国 統計局「Balance of Payments: The Pink Book」から作成。 58
2.「単線的」構造の我が国、「複線的」構造の英国・米国
2.「単線的」構造の我が国、「複線的」構造の英国・米国
¾我が国の所得収支を受取(対GDP比(2005年):3.1%)と支払(同0.8%)に分解すると、英米と比較して規
¾我が国の所得収支を受取(対GDP比(2005年):3.1%)と支払(同0.8%)に分解すると、英米と比較して規
模が小さく「厚み」がない構造となっている(英国(2005年速報値):受取15.3%、支払13.0%、米国(2005年
模が小さく「厚み」がない構造となっている(英国(2005年速報値):受取15.3%、支払13.0%、米国(2005年
速報値):3.75%、支払3.74%)。
速報値):3.75%、支払3.74%)。
¾さらに、対外純資産と経常収支の関係を見ると、
¾さらに、対外純資産と経常収支の関係を見ると、
①我が国は「経常収支黒字→対外純資産残高増加→所得収支拡大」という「単線的」構造
①我が国は「経常収支黒字→対外純資産残高増加→所得収支拡大」という「単線的」構造
によって所得収支を拡大、
によって所得収支を拡大、
②英国・米国は経常収支赤字で対外純資産残高が減少している中で、対内投資と対外投資の
②英国・米国は経常収支赤字で対外純資産残高が減少している中で、対内投資と対外投資の
双方を拡大しつつ、対外資産収益率と対内負債収益率の格差を収益源とした「複線的」構造
双方を拡大しつつ、対外資産収益率と対内負債収益率の格差を収益源とした「複線的」構造
によって所得収支黒字を獲得。
によって所得収支黒字を獲得。
¾今後、少子高齢化を通じて経常収支黒字が縮小し、対外純資産の増加幅が低下していく中、所得収支
¾今後、少子高齢化を通じて経常収支黒字が縮小し、対外純資産の増加幅が低下していく中、所得収支
の拡大を目指すためには、「単線的」構造を脱して、「複線的」構造に立脚した「投資立国」を実現するこ
の拡大を目指すためには、「単線的」構造を脱して、「複線的」構造に立脚した「投資立国」を実現するこ
とが重要である。
とが重要である。

○我が国は、「単線的」構造によって所得収支を拡大してきた。

(兆円) 第3-4-18図 日本の対外純資産と累積経常収支の関係 (兆円)


300 12

所得収支(右目盛)

250 10

200 8



150 純 6


残 累
高 積
100 4




50 額 2

0 0
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
(備考)累積経常収支は便宜的に1995年から累積させている。 (年)
(資料)財務省「国際収支統計」、「対外資産負債残高統計」から作成。

○英国・米国は、経常収支赤字の中で、「複線的」構造によって所得収支の拡大を実現している。

(10億£) 第3-4-19図 英国の対外純資産と累積経常収支の関係 (10億£) (兆ドル) 第3-4-20図 米国の対外純資産と累積経常収支の関係 (10億ドル)


300 30 5 50


外 所得収支(右目盛) 40
純 所得収支(右目盛)
200 20 3
資 30


高 20
100 10 1
10

0 0 -1 0


対 経 -10
-100 -10 外 常
-3 純 収 -20
累 資 支
積 産 額
経 残
常 -30
-200 -20 -5 高

支 -40

-300 -30 -7 -50
1966 1970 1974 1978 1982 1986 1990 1994 1998 2002 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004
(備考)便宜的に経常収支は1966年から累積させている。2005年の所得収支は速報値。 (備考)累積経常収支は便宜的に1982年より累積させた。2005年の累積経常収支と所得収支は速報値。 (年)
(資料)英国統計局「Balance of Payments: The Pink Book」から作成。 (資料)米国商務省経済分析局「Balance of Payments」、「International Investment Position」から作成。

59
○少子高齢化の中で所得収支を拡大していくためには、「複線的」構造への転換が重要である。

第3-4-21図 「単線的」構造と「複線的」構造の模式図と
「複線的」構造の実現による所得収支拡大の仕組み

「単線的」構造 所得受取

・我が国から海外への
対外投資 対外投資が中心。
・対外投資の増加に
対内投資
より所得収支が増加

所得支払

「複線的」構造
所得受取

・我が国から海外への
対外投資と海外から
対外投資
我が国への対内投資
が双方とも増加。
・対外投資と対内投資
の収益率の差により
対内投資 所得収支が増加

所得支払

「単線的」構造

対外資産 × 受取収益率(低) = 所得受取


対外純資産 10 10 所得収支
9 9
1 対外負債 × 支払収益率(低) = 所得受取 1

「複線的」構造

20 対外資産 × 受取収益率(高) = 所得受取 30


所得収支
対外純資産
19

対外負債 × 支払収益率(低) = 所得受取


11 11

(資料)経済産業省作成。
60
3.相対的に低い我が国の海外資産収益率
3.相対的に低い我が国の海外資産収益率
¾我が国の対外資産収益率を英国・米国と比べると、相対的に低く、所得収支を拡大していくためには、
¾我が国の対外資産収益率を英国・米国と比べると、相対的に低く、所得収支を拡大していくためには、
対外資産収益率の向上も重要な課題である。
対外資産収益率の向上も重要な課題である。
¾我が国の対外資産収益率が英国・米国と比べて低い要因としては、
¾我が国の対外資産収益率が英国・米国と比べて低い要因としては、
①資産種別ポートフォリオが証券投資に偏重
①資産種別ポートフォリオが証券投資に偏重
②地域別資産ポートフォリオが相対的に低収益率の米国、EUに偏重
②地域別資産ポートフォリオが相対的に低収益率の米国、EUに偏重
③低い直接投資収益率
③低い直接投資収益率
が考えられる。
が考えられる。
¾これらの要因の改善し、アジア向け直接投資を拡大することは、アジアを中心とした国際事業ネット
¾これらの要因の改善し、アジア向け直接投資を拡大することは、アジアを中心とした国際事業ネット
ワークの形成と表裏一体であることから、所得収支の拡大に加えて、我が国全体の生産性の向上に
ワークの形成と表裏一体であることから、所得収支の拡大に加えて、我が国全体の生産性の向上に
も資する。
も資する。

○我が国の海外資産収益率は英国・米国に比べて相対的に低い。

(%) 第3-4-24図 日米英の対外資産収益率
6.0

5.5

5.0

4.5

4.0 米国

3.5 英国

3.0
日本

2.5

2.0
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
(備考)対外資産収益率=投資収益受取/対外資産残高 (年)
(資料)日本銀行「国際収支統計」、「対外資産負債残高統計」、米国商務省「Balance of Payments」、
「International Investment Position」、英国統計局「Balance of Payments: The Pink Book」から作成。

61
○その要因は、我が国の対外資産の構造が、英国・米国と比較して、①対外資産が証券投資に
偏っていること、②相対的に収益率が低い米国、EUに対外資産が偏っていること、
③直接投資収益率が低いこと、が考えられる。

第3-4-25図 日米英の対外資産別収益率、対外資産構成、対外資産別投資収支
対外資産種類別収益率:日本 対外資産種類別構成比:日本 (億円) 資産別投資収益収支の推移:日本
8 (%) 140,000

7
直接投資収益率 直接投資 120,000
外貨準備 371(9%) その他投資収益収支
6 843(20%) 100,000

証券投資収益率
5 80,000 証券投資収益収支

4 60,000
4兆1,670億ドル
3
(2004年) 40,000
その他投資
その他投資収益率
939(23%) 証券投資 20,000
2
2,015(48%)
1
0
直接投資収益収支

-20,000
0
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
(年)
対外資産種類別収益率:英国 対外資産種類別構成比:英国
(%)
16 (百万£) 資産別投資収益収支の推移:英国
外貨準備 50,000

14 直接投資収益率 45(1%)
40,000
直接投資収益収支
直接投資
12
1,277(17%) 証券投資収益収支
30,000

10

20,000

8
7兆5,960億ドル
その他投資収益率
(2004年)
その他投資 10,000
6
4,165(54%) 証券投資
2,110(28%) 0
4

証券投資収益率 -10,000
2
その他投資収益収支
-20,000
0
1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
(年)
対外資産種類別収益率:米国 対外資産種類別構成比:米国 (10億ドル) 資産別投資収益収支の推移:米国
(%)
10 150
外貨準備 その他投資収益収支
9
190(2%)
直接投資収益収支
8 100

直接投資収益率
7
直接投資
6 その他投資 3,287(33%) 50
その他投資収益率
3,059(31%)
5
9兆9,730億ドル
4 (2004年) 0

証券投資収益率
3

2
証券投資 -50

1
3,437(34%) 証券投資収益収支

0 -100
1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
(年)
(資料)日本銀行「国際収支統計」、「対外資産負債残高統計」、英国統計局
    「Balance of Payments: The Pink Book」、IMF 「Balance of Payments」から作成。

第3-4-26, 27図(一部抜粋) 日本の地域別対外直接投資残高及び対外証券投資残高


<対外直接投資残高> <対外証券投資残高>
ASEAN4
中国 0.4(0.2%) その他
(香港含) アジア
中国 (インド除)
(香港含) 1.5(1%)
1.1(1%)
2.7(7%)
ASEAN4
アジア
2.5(6%) (インド含)
BRICs その他世界 7.9(19.5%)
(中国除) 4.9(13%)
0.7(2%) その他
世界
その他アジア
54.8
(インド除) (26%) 米国
2.5(6%)
72.3
(35%)
2004年 2004年
38.6兆円 BRICs
(中国除) 209.2兆円
EU
0.4(0.2%)
10.5(27%)

米国
14.8(38%)
EU
78.8
(37%)
(単位:兆円)

(資料)日本銀行「地域別国際収支統計」、「直接投資・証券投資残高地域別統計」から作成。 62
○以上のような課題を克服して、海外投資収益率の向上・所得収支の拡大を目指すためには、
アジアへの直接投資を拡大していくことが重要である。

(%) 第 3-4-26図(一部) 日本の地域別対外直接投資収益率
20

15

10

0
中国(香港含)
-5 ASEAN4
アジア全体
-10 米国
EU
-15
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
(年)
(備考)直接投資(証券投資)の収益率は直接投資(証券投資)収益受取額を直接投資(証券投資)残高額で除して計算した。
(資料)日本銀行「地域別国際収支統計」、「直接投資・証券投資残高地域別統計」から作成。

○アジア向けの直接投資を拡大させることで、所得収支の拡大だけでなく、国際事業ネットワークを
通じた我が国企業の生産性向上にもつながる。

産業的な「投資立国」の実現に向けて

我が国の対外資産の収益率を高めるためには、以下の取組が必要。
①対外資産の直接投資シェアを高める
②対アジア投資シェアを高める
③直接投資収益率を高める
=「効率的なアジア向けの直接投資の拡大」

表裏一体

国際事業ネットワーク形成を通じた我が国の生産性向上
(資料)経済産業省作成。

63
4.「複線的」構造への転換に向けた制度整備
4.「複線的」構造への転換に向けた制度整備
¾「複線的」な所得収支構造を実現するためには、①対内投資の拡大、②対外投資の拡大、③海外資産
¾「複線的」な所得収支構造を実現するためには、①対内投資の拡大、②対外投資の拡大、③海外資産
収益率の拡大、といった3つの視点に沿って制度整備を進めていくことが重要である。
収益率の拡大、といった3つの視点に沿って制度整備を進めていくことが重要である。
¾他方、対外投資の拡大については、クロスボーダーM&Aの活用が有効であるが、クロスボーダー
¾他方、対外投資の拡大については、クロスボーダーM&Aの活用が有効であるが、クロスボーダー
M&Aをめぐる近年の問題に見られるように、買収対象企業の所在国の事情も十分考慮する必要
M&Aをめぐる近年の問題に見られるように、買収対象企業の所在国の事情も十分考慮する必要
がある。
がある。
¾さらに、拡大した所得収支の適切な国内還流を自由に行える環境整備も重要である。
¾さらに、拡大した所得収支の適切な国内還流を自由に行える環境整備も重要である。

<「複線的」構造への転換のための制度整備>
○「複線的」構造に立脚した「投資立国」の実現には、国内外の制度整備を進めていくことが重要である。

第3-4-33表 「複線的」構造への転換に向けた主な制度整備
内            容 今   後   の   課   題
対内投資の拡大
① 我が国の対内直接投資促進に向けての制度整備 実質的な参入障壁低減の推進、立地優位性の創出、M&A関連法制の整備
② 我が国金融市場の国際化 我が国の国際金融センターとしての地位向上
対外投資の拡大
① 生産性の高まるアジアでの国際分業ネットワークの形 ① EPAによる経済連携交渉の推進による事業環境整備
成 ② 経済ルールの調和による企業活動の調整コストの低減
③ 現地情報に関するインフラ整備
④ 業法規制(貸金業法・出資法・銀行法)の見直し
② 投資原資の調達 ① 我が国企業の現地資金調達に関する支援
② アジア債券市場の育成による域内直接金融の拡充
③ 金融機関、年金基金の積極的対外資産運用、リスク許 投資リスクの開示のための制度整備(規制や法制度の整備、信用保証機関
容度の拡大 の整備、証券IR制度の整備、格付機関の整備)
④ 我が国金融市場の国際化 国際金融センターとしての地位向上による投資の容易化
⑤ 為替の安定化 ① 貿易決済、投資における円の国際化の推進
② 各国毎の円を含む通貨バスケットの導入による域内為替リスク低減
海外資産収益率の向上
対外資産ポートフォリオの証券投資から直接投資シフト アジア域内での経済ルールの調和
対外資産ポートフォリオの欧米からアジアシフト アジア債券市場の育成による域内証券の流動性の拡充
直接投資の収益率向上 企業買収(M&A)、サービス業への進出等による直接投資収益率向上
海外収益の国内還流
現地の資金、通貨の規制緩和 貿易外取引における送金規制
国際租税制度の整備 ① 締結国との間の租税条約の改定
② 我が国の外国税額控除制度の見直し
(資料)経済産業省作成。

<クロスボーダーM&Aをめぐる問題>
<クロスボーダーM&Aをめぐる問題>

○他方、対外直接投資収益率向上のためには、現地でのノウハウや既存資産を活用できるM&Aによる
進出も有効であるが、買収対象企業の業種、規模によっては国家の安全に関わる面から、買収対象
企業の所在国との間に摩擦が生じる可能性があり、対象国の状況についても十分考慮する必要がある。

クロスボーダーM&A
クロスボーダー をめぐる最近の問題の例
M&Aをめぐる最近の問題の例
クロスボーダーM&Aをめぐる最近の問題の例
1.UAE企業による米国港湾運営会社の買収
1.UAE企業による米国港湾運営会社の買収:米国議会は、①買収主体がUAEであること、②
:米国議会は、①買収主体がUAEであること、②
保安業務であることを理由に規制を主張。
保安業務であることを理由に規制を主張。
2.中国企業による米国石油会社の買収問題:米国議会は、①エネルギー安全保障、②買収に
2.中国企業による米国石油会社の買収問題:米国議会は、①エネルギー安全保障、②買収に
関する競争の不公正性を理由により、反対決議。
関する競争の不公正性を理由により、反対決議。
3.欧州鉄鋼企業(経営陣はインド系)による欧州鉄鋼企業の買収:被買収企業の強い抵抗。
3.欧州鉄鋼企業(経営陣はインド系)による欧州鉄鋼企業の買収:被買収企業の強い抵抗。
(最近の動向)クロスボーダーM&Aに制限立法の動き。
(最近の動向)クロスボーダーM&Aに制限立法の動き。

64
<海外収益等の国内還流>

○我が国企業が海外で獲得した投資収益、ロイヤリティの国内還流についても、進出国における送金
規制等の問題があり、適切な国内還流を自由に行える環境を整備していくことも重要である。

第3-4-40表 アジア諸国における配当金に対する送金規制

中国 タイ フィリピン マレーシア ミャンマー ベトナム 韓国


送金は原則自由 送金は自由 送金が自由 送金は自由 貿易外取引の海外向 送金は原則自由 送金は自由
け送金は限度額あり
貿易外取引に係る外 送金は自由だが、送 外国投資家が資本の イスラエル、セルビ 2000年8月1日以降、 外貨の海外持ち出し 外為銀行への書類提
貨購入による中国国 金目的を示す書類の 本国向け送金と、資 ア・モンテネグロ以 FEC(外貨兌換券、 は、3,000ドルが上限 出義務。
外送金については、 提出を外為銀行に提 本から発生した配 外の国に対しては規 1FEC=1ドル)を原 とされ、それ以上の
金額が10万ドル以下 出する必要がある。 当、利益、収益金の 制なし。ただし、10 資とする外貨送金に 持ち出しは中央銀行
の場合、外為指定銀 送金を行うために必 万リンギ超の場合は ついては一カ月当た の許可が必要。居住
行が直接に審査を 要な外国為替を銀行 為替管理書類の完備 者の外国投資家は、
り1万ドル以内に制限
し、10万ドル超の場 を通じて購入する場 が条件。 ロイヤリティやサー
合、外国投資を中央 されている。
合、当該企業所在地 ビスの対価として外
の外為管理局(分 銀行(BSP)に事前登録 貨を海外送金するこ
局)が審査を実施す する必要がある。 とができる。ただ
る。 し、ロイヤリティの
金額には政府が特定
した上限が適用され
る。

(備考)データは2006年3月時点のもの。ただし、中国については中国人民銀行2006年第5号公告に基づくもの。
    インドネシアについては、配当の送金に関する制限はなく自由。
(資料)ジェトロ「海外情報ファイル」から作成。

65
結びに代えて

¾大きな構造変化の中、①グローバル化をいかした生産性の向上(GDP成長)と、②国際投資の構造的・
¾大きな構造変化の中、①グローバル化をいかした生産性の向上(GDP成長)と、②国際投資の構造的・
質的変換による「投資立国」の実現(所得収支の拡大)、によって「持続する成長力」(「可処分所得」
質的変換による「投資立国」の実現(所得収支の拡大)、によって「持続する成長力」(「可処分所得」
=GNIの持続的成長)を実現することが、我々の未来のために求められている。
=GNIの持続的成長)を実現することが、我々の未来のために求められている。

「持続する成長力」に向けて
∼グローバル化をいかした生産性向上と「投資立国」∼
供給側 :少子高齢化 → 実質的な労働投入の減少とそれに伴う資本投入の減少

需要面 :総人口の減少 → 需要の減少

少子高齢化
所得収支面:貯蓄率の低下 → 経常収支黒字の縮小 → 所得収支の減少
経済成長低下懸念
●「可処分所得」(=GNI)の減少
「可処分所得」(=GNI)の減少
●社会基盤の劣化
悪循環を断ち切るために(国際経済との関わりから)

““持続する成長力”
持続する成長力”
活用
少子高齢化の中でも “投資立国”
投資立国”の実現
持続するGDP成長
持続するGDP成長 ー所得収支の拡大ー
所得収支の拡大ー
生産性の向上 「単線的」構造から
生産性の向上による 「複線的」構造へ
国際資本の呼び込み 等 海外資産の投資収益率
の改善(
の改善(アジア向け直接
投資の拡大)
投資の拡大)
国際的な事業環境整備の推進 成長するアジアを
∼自由化・調和・安定化∼ 中心に進展する 国内外投資環境
国際事業ネットワーク の整備・促進
EPAやWTO等を通じた貿易・投資
EPAや WTO等を通じた貿易・投資
自由化 の形成 アジアの投資環境整備
経済ルールの調和 国際事業ネットワーク形成 と情報インフラ整備
為替・金融市場の安定化 による生産性向上
日本の国際金融
「ビジネスコスト距離」短縮 他方で、中国の投資過熱等 センター化
グローバル化の進展 の課題
人的資本の整備と活用
人的資本の整備と活用
国内人材の育成・活用
高度な海外人材の活用 「人材競争」の激化
生産性向上を伴う
過剰流動性の増大と
対内直接投資の拡大 経常収支不均衡の拡大
国際資本移動
立地優位性の活用・情報提供 原油高⇔
原油高⇔オイルマネーの拡大(滞留なし)
オイルマネーの拡大(滞留なし)
規制緩和の推進 の活発化 世界インフレ懸念
M&A環境の整備
M&A環境の整備

経常収支モデルによる我が国対外経済関係の未来像
(名目GDP比:%)
2005年 2030年
経常収支 3.6 2.9
貿易・サービス収支 1.4 -1.6
輸出 14.3 23.5
輸入 12.9 25.1
所得収支 2.3 4.5
受取 3.1 6.7
支払 0.8 2.3
(資料)経済産業省作成。

66