リカバリー全国フォーラム 2010 Web 開催レポート http://www.comhbo.

net/

9/11(土)

【分科会 16】はじめようIMR〜リカバリーの実現をめざして!
司会進行: 加藤大慈(横浜市立大学附属病院精神科)
シンポジスト: 佐伯隆史(横浜市立大学医学部精神医学)
内山繁樹(横浜市立大学医学部看護学科)
渡辺厚彦(横浜市立大学附属市民総合医療センター心理室)
藤田英美(横浜市立大学附属病院心理室)
星竜平(積善会日向台病院)
水野直武(積善会曽我病院)
佐藤直子(横浜市立大学附属病院精神科)
長谷川竜文、他(日向台病院デイケア・IPS 利用者)
【はじめに】
疾病管理とリカバリー(Illness Management and Recovery:IMR)は、統合失調症などの精神
疾患をもつ人が、自分に適した方法で自らの精神疾患を自己管理し、リカバリーゴールを目指すた
めに必要な情報や技術を獲得することを目指す、パッケージ化された心理社会的介入プログラムで
す。EBP (Evidence-Based Practices)実施・普及ツールキットシリーズのひとつであり、ACT や家
族心理教育、援助付き雇用とともに、科学的根拠にもとづいた実践とされています。
私たちは、去年に引き続き、IMR についての分科会を開催しました。今年の出演者は、加藤(医
師)、佐伯(医師)、内山(看護師)、渡辺(心理士)、星(作業療法士)、水野(作業療法士)、
デイケアのメンバー4 名(当事者)、佐藤(精神保健福祉士)、藤田(心理士)(以上出演順)で
す。170 名以上のかなり大勢の方が参加してくださり、様々なご意見をいただくこともできました。
この分科会は、シンポジウム型で、以下のように、IMR の概説やケース報告、よくある Q&A など
のセッションを行いましたが、当日特に好評だったのが、メンバーさんが直接感想や意見を発表し
たセッションでした。
【当日のセッションの内容】
① 「IMR ってなに?」 (佐伯):IMR の概要などについて簡単に説明しました。
② 「外来での実践から」 (内山):横浜市大附属病院の外来で、IMRを実践した 2 人の
男性の取り組みを紹介し、今回 1 年半ぶりに改めて 2 人の方とお会いしてインタビューした様子もお
伝えしました。
③ 「デイケアでの実践から」 (渡辺):横浜市大附属センター病院では、普段のデイケア
で SST も行っていたため、その宿題も併用することが役立ち、リカバリーゴールを目指すようにな
った方を紹介しました。ご家族の変化も興味深いものでした。
④ 「IMR を経験した人からのメッセージ」 (長谷川さんほか当事者の人たち、星、水野、
佐藤):日向台病院デイケアでは、第 2 回目のIMRが実施されており、リカバリー目標を持って
生活を送っています。実施する中で、「IMRは難しいイメージがあったが、少しずつ“リカバリ
ー”という意味が見えてきた気がする」、「頭の中が整理されて、向かう目標が見つかり、生活が
充実している」、などの声が聞かれました。メンバーさんは、これから実践される方々へ、IMR を
はじめるきっかけになるメッセージを送るために参加しました。下記に、ある人のその日の原稿を、
本人の了解を得て、転載します(下記の★)。
⑤ 「こんなときどうしたらいいの? Q&A 集」 (藤田) :IMRを始めようとすると、
様々な疑問が頭に浮かびます。私たちもはじめのうち困った疑問などに、今の私たちの経験からお
答えしました。

リカバリー全国フォーラム 2010 Web 開催レポート http://www.comhbo.net/

【★ある当事者の発表原稿より】
はじめまして。僕は平成 20 年の 11 月から平成 21 年の 8 月まで、男女混合の 5 人のグループで
IMR を行いました。僕自身、最初は、IMR という言葉の意味も知りませんでしたし、リカバリーと
いう考え方に対するイメージもありませんでした。テキストを渡され始めた頃は、必要以上にかま
えたりもしましたが、プログラムが進んでいくうちに、IMR は障害から前を向いて、それぞれの未
来について考えるとても魅力的で待ち遠しい時間になりました。
良かった点はいろいろありますが、毎回出る宿題が一つです。自分の定めたリカバリーゴール
に対して思いを巡らす時、将来というものは、すべてが障害によって困難なものになっているので
はないと実感できたことはとてもうれしいことでした。ゴールへのスモールステップは簡単ではあ
りませんが、やりがいがあるものでした。もうひとつは一緒に参加していたメンバーさんについて
です。障害に個人差があるように、それぞれのゴールやスモールステップの達成具合にも個人差が
あると思います。一人ひとり自分の歩幅でそして自分の考え方を持って、取り組んでいる姿が参考
にもなり、刺激にもなりました。
僕の個人的な考えですが、リカバリーゴールは、ある意味、将来をある程度の範囲の中で公言
したものだと思っています。IMR はそのプログラムが終わったとしても、人生の中でいつも自分の
どこかに有言実行の証として残っています。それはプレッシャーではなく、わくわくするような感
覚です。モチベーションをあげるとともに、自らを励ますものにもなっている大切な気持ちです。
そういう面で、現在の生活にもとても役立っています。
これから IMR をはじめる人たちに伝えたいことは、テキストを使った勉強のように思えるプ
ログラムかもしれませんが、なるべく構えないで、自分の思考を自由に働かせると、より楽しめな
がら進めていけるということです。自分の将来を少しでも障害と切り離して考えられる機会になれ
ば良いと思います。あと、IMR を実践するメンバーさんを束ねるスタッフの方々も大変な苦労をす
ると思います。僕らをリードしてくださったスタッフの方はとても個性的でテキストに負けない、
オリジナルの IMR を形作ってくれました。IMR のテキストは、英語を翻訳したものなのでニュア
ンス的に伝わりにくい部分も多々ありました。スタッフの方々はメンバーさんの個性に合わせた独
自の解釈が必要になってくると思います。
とにかく、みんなで一つになって楽しみながらできる IMR を作ることが一番大事ではないで
しょうか。大切なのは、テキストそのものではなく、実際に取り組んでいく皆さんの未来だと思う
からです。
≪加藤大慈(企画委員)≫