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勤医協中央病院看護技術マニュアル 2008 版

28-1 身体拘束(抑制)基準 1/3

28-1.身体拘束(抑制)基準

Ⅰ.私たちの身体拘束(抑制)に対する考え方

身体拘束(抑制)は極めて非人道的な行為であり、人権侵害、QOL の低下を招く行
為であると考え、私たちは通常の場合、抑制をしない看護を選択し実践してきた。し
かし、急性期医療の中で治療を中心とした疾患や疾病管理が優先され、患者の安全確
保を目的に、やむを得ず抑制しなければならない事例も少なくない。私たちは、
「抑制
をしないための具体的なケア」を追及しつつ不要な抑制を少なくするために、十分な
査定と患者理解を行ない、根拠に基づいた安全で効果的な最小限の抑制を実施する。

① 抑制の必要があると判断された場合でも、身体・精神的合併の弊害とならないよう
に抑制以外の方法を必ず検討する。
② 身体抑制をやむなく行なう場合でも、抑制基準に従い行なう。必ず抑制中は経過観
察および再検討のための記録を行ない、早期に抑制解除計画を立案し実施する。

Ⅱ.身体拘束(抑制)の定義

身体拘束(抑制)とは、道具または薬剤を用いて、一時的に当該患者の身体を拘束
し、その運動を抑制する事を言う。

Ⅲ.身体拘束(抑制)の適応

1)意識障害、興奮性があり、身辺の危険を予知できない。
2)自傷、自殺、他人に損傷を与える危険がある。
3)治療上の必要な体位を守れない。
4)皮膚掻痒、病的反射などがあり、意思で体動を抑えられない。

以上いずれかの状態であり、且つ以下の3要件を全て満たすもの。

1)生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高い。
(切迫性)
2)身体拘束などの行動制限を行なう以外他の方法が見つからない。(非代替性)
3)身体拘束やその他の行動制限が一時的である。
(一時性)

2003 年 6 月作成
勤医協中央病院看護技術マニュアル 2008 版
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Ⅳ.身体抑制ガイドライン

安全面・事故防止の視点から対策の必要性のアセスメント(医師・看護師カンファレンス)

●脳の器質的変化の有無
●意識障害の有無
●激しい体動・徘徊の有無
●せん妄・不隠の有無

□患者の背景
年齢・性格・理解不足・不安定な心理状態・視覚障害・聴覚障害・
上記状態の原因に コミュニケーション障害・強度の不安やパニック
ついて検討 □身体状況
(医師・看護師) 疼痛コントロールの状態・睡眠障害・排泄のトラブル・感染・脱水・
電解質異常・代謝障害・低酸素・低血糖・発熱・体力の低下・薬物
中毒・痴呆・心疾患・脳血管障害
□環境
病室環境(騒音や同室者の状況)・時間や月日が認識できない環境
□治療
治療上必要な活動の制限(安静度)・長時間にわたる手術や緊急入
院・身体的心理的負荷の多い検査や処置・各種チューブ類(点滴・
ドレーン・カテーテル類)の挿入・気管内挿管・人工呼吸器装着・
体外循環施行中・使用薬剤の薬効や副作用

□ 可能な限り体動を制限する要因を早期に取り除く(医師との調整)
□ 睡眠の確保
□ 家族や近親者の面会
原因の除去に □ 痛みのコントロール
□ 危険行為が見られた場合、大きな声で注意を促す(現状認知能力
努める を高める)
□ 会話
□ 恐怖を与えないような対応
□ 気分転換や運動・散歩を取り入れる
□ リラクゼーション技法の活用
□ 必要時安定剤投与の検討

ケア方法の選択 □ 現在実施している治療方法の再検討(医師と調整)
□ 環境整備
抑制具の使用に代 病室の変更・音や採光の考慮・患者の日常生活行動に応じたベ
わる方法の検討 ッド柵の使用・点滴ライン整理と固定法の工夫・離床センサー

上記方法で不可能な場合:抑制具使用の判断を行う(医師の指示)

2003 年 6 月作成
勤医協中央病院看護技術マニュアル 2008 版
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身体拘束(抑制) □ 患者および家族への同意
【緊急やむを得ない身体拘束に関する説明書】をもらう。
の実施 ○ 患者家族に抑制がなぜ必要かを十分に説明し、誤
解を防ぎ協力と承諾書を得る。

□ 抑制の実施
身体抑制実施手順に基づき適正で必要最小限の身体抑制を
行う。
○ 状態にあった抑制タイプの選択。
○ 正しい装着と適切な技術。
○ 損傷事故を防ぐ。

□ 抑制の記録
『緊急やむを得ない身体拘束に関する経過観察表』を用い
て記録する。
○ 麻痺や損傷の有無の観察。
○ 抑制具による苦痛や不快の観察。

□ 抑制実施中の抑制解除のアセスメントと早期中止の検討
○ 最低 2 時間ごと、出来れば頻回に抑制具を除去す
る。
○ 看護師の体制や家族の協力があれば可能な限り抑
制を除去する。

抑制の解除:抑制中も継続的にその必要性をアセスメントする。
●抑制の適応と判断した症状や状況の消失。
●治療の進行に伴う生命維持装置からの離脱。
●症状の改善や治療目的のための「同一体位保持」が不必要になった場合。

Ⅴ.夜間・休日、家族不在時に身体拘束が必要となった場合の同意書について

① 夜間・休日に「緊急やむを得ず身体拘束が必要」になった場合、「同意書」をいた
だく事が困難なケースが想定される。
② その場合、「緊急やむを得ず身体拘束が必要」な状況をカルテに当直医師、または
看護師が記載し、緊急的に身体抑制を行う。
③ 但し、日中に主治医から身体抑制の必要性を本人・家族に説明し同意書をいただく。

2003 年 6 月作成