2011 年 8 月 4 日(木)

環境エネルギー政策研究所 ニュース

FIT 法案審議プロセス 6

FIT法 案 の 審 議 プ ロ セ ス 報 告

自然エネルギーの普及に向けて審議内容が注目される再生可能エネルギー買取法案(FIT法案)
について、7月14日から衆議院本会議での審議、15日から衆議院経済産業委員会における議論が
始まっています。また27日に審議2日目、29日は午前に参考人質疑、午後は通常の法案審議を行
いました。ISEPではこの審議プロセスを追い、皆様に状況を共有し必要なアクションを取って
いきます。今回は6回目の報告として、8月3日に開催された第4回目の衆議院経済産業委員会の
様子をお届けします。

今回の質疑者は自民党高市早苗議員、公明党佐藤茂樹議員、共産党吉井英勝議員、みんなの党山
内康一議員の 4 議員でした。高市議員は再生可能エネルギー発電の廃棄物処理について、佐藤議
員は買い取り価格設定について、吉井議員は賦課金 0.5 円/kWh の上限について、山内議員は
消費電力の見える化と電力自由化に関して質疑を行いました。

1. 賦 課 金 0.5 円 /kW h の 上 限 と 総 括 原 価 方 式 の 問 題 点
共産党の吉井議員からは、賦課金(サーチャージ)の上限が 0.5 円/kWh の規制をかけるとする
海江田大臣答弁に対する質疑が行われた。賦課金総額が 2020 年度に 4,900 億円で最大になると
試算されるが、このときの賦課金 0.5 円/kWh を超えないようにするとされている。一方で現在、
電源開発促進税による負担が一般家庭で月額 112 円であり、使用済み核燃料再処理が 66 円、高
レベル放射性廃棄物処分費 22 円、解体処分費 19 円月を加えると月額 219 円(kWh あたり 0.75
円)の原発関連費用が一般家庭の電気料金に含まれていることになると指摘した。電源開発促進
税などは原発の総括原価の中に含まれていて、このうち原子力関連予算が 91%であるというこ
とが吉井議員の指摘で分かった。
また、吉井議員は「電源開発促進税の使い道として、再生可能エネルギーに使うべきだ」と述べ

1

た。これに対して海江田大臣は「電源開発促進税も使い道が決まっており、現に(原発立地など
に)使われているから自然エネルギーの拡大のためにすぐに切り替えることはできない」と答弁
した。
さらに、総括原価方式による電気料金制度の問題として、太陽光促進賦課金は料金明細に記載が
あるのに対して電源開発促進税や核燃料再処理費用、廃炉処分費用などについてはいっさい記載
がされておらず、ブラックボックスになっていると指摘した。

2. 電 源 種 ご と の 買 取 価 格 の 必 要 性
公明党の佐藤議員から電源種ごとの買取価格の設定と議会の関与の必要性について指摘があっ
た。(買取価格設定については ISEP からの提言や本報告でも再三強調してきた論点である)。
佐藤議員はドイツに視察に行った際のヒアリングを参考にして「価格設定が 1 にも 2 にも大事
だ」と述べている。
価格設定については、佐藤議員は「ドイツでは(1)電源種別、(2)発電容量別、(3)設備稼
働年数別にきめ細やかな価格設定を行っている」と指摘し、日本ではどのような価格設定をする
のか質疑を行った。これに対して、海江田大臣は、太陽光発電と太陽光発電以外にわけ、太陽光
以外は新規設置が経済的に立ち行くこと、国際的な水準、サーチャージの負担を勘案した上で価
格設定をし、太陽光以外は一律にすると答弁した。一方で佐藤議員はそれには議論の余地がある
として返答した。
また国会の関与の必要性を強調している。具体的には買取価格の法律への明記についてである。
先日参考人(立命館大の大島堅一氏)の指摘を参考にしながら、ドイツの再生可能エネルギー法
(EEG)では買取価格が法律に明記されていることに言及した。国民的コンセンサスを得る必要
性から何らかの形で国会の関与が必要と述べた。
一方で海江田大臣は「買取価格は毎年変わっていく可能性があり、制度の立ち上げの時期は柔軟
にやらせていただきたい。その場合はあまり法律で書くということではない」と答弁した。また
海江田大臣はこの価格決定のプロセスについて総合資源エネルギー調査会の意見を聞きながら、
パブリックコメントを実施しつつ大臣が決定するという今までの経済産業省の意見を強調し、こ
れによって透明性が得られるとした。

3. 本 日 の 執 筆 者 コ メ ン ト
全ての議論に参加してきたが、今回が一番まともな再生可能エネルギーの普及に関する議論だっ
たと言うことができる。公明党の佐藤議員が指摘した再生可能エネルギーの電源種ごとの買取価
格の設定はこの制度を運用する上で最も重要な論点の一つである。佐藤議員は「何よりも価格設

2

定が重要」というドイツの関係者による言葉を紹介していた。再生可能エネルギー導入を抑制す
る制度にならないためにも一律価格ではなく、事業の内部収益率(IRR)が一定レベル確保でき
るコストベースの買取価格の設定をしっかりと定めなければならない。
またそれに加えて共産党の吉井議員の論点も重要である。電気料金に対して、燃料費調整制度に
よる化石燃料のコストや原発の様々なコストは、全量買取制度について経産省が試算している賦
課金(サーチャージ)の上限「0.5 円/kWh」よりも、明らかに高額になってきている上、将来
的にさらなる上昇が想定されている。しかしながら、家庭への電気料金の請求書では全量買取制
度や太陽光余剰買取のサーチャージのみが強調されており、消費者には偏った負担感を印象づけ
ている。これらのコストをすべて表に出した上で議論しなければならない。
そもそも再生可能エネルギーの普及が進むことによって、将来的に化石燃料のコストを抑制する
ことが明らかである。あたかも再生可能エネルギーの導入に伴う負担ばかりが強調されていると
しか思えない。化石燃料や原発との比較や、再生可能エネルギーの導入によるメリットなどの論
点をしっかりと盛り込んだ上でこの再生可能エネルギーの全量買取制度の議論を行うべきであ
る。
8 月 5 日に強行採決を行うという話がある一方で、自民・公明との修正協議でねじ曲がった制度
になる可能性も指摘されている。このような動きに対して国民としても十二分に注視していき、
ISEP としても必要なアクションを取っていきたい。
(執筆者:山下・道満)
4. 今 後 の 予 定
次回の委員会日程は未定
※ 傍聴に際しては、衆議院議員を通じて経済産業委員会委員長の許可を受ける必要があります。
5. 今 後 の 予 定
次回ニュースは第五回の経済産業委員会での審議内容について、委員会当日の配信を予定してお
ります。
■ このニュースに関するお問い合わせ
特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)
E-mail: info01@isep.or.jp
URL: http://www.isep.or.jp/
TEL: 03-6382-6061
FAX: 03-6382-6062
担当:山下・道満

3