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RENEWABLES 2011

GLOBAL STATUS REPORT

RENEWABLES 2011 GLOBAL STATUS REPORT 自然エネルギー世界白書 2011 日本語版 翻訳:NPO法人
RENEWABLES 2011 GLOBAL STATUS REPORT 自然エネルギー世界白書 2011 日本語版 翻訳:NPO法人

自然エネルギー世界白書 2011

GLOBAL STATUS REPORT 自然エネルギー世界白書 2011 日本語版 翻訳:NPO法人
GLOBAL STATUS REPORT 自然エネルギー世界白書 2011 日本語版 翻訳:NPO法人

日本語版 翻訳:NPO法人 環境エネルギー政策研究所(ISEP)

 21 世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク(REN21)

REN21は自然エネルギーへの急速な移行を目指し、世界中の多岐にわたるステークホルダーの統率力を結

集しています。さらに発展途上国や先進工業国の経済において、自然エネルギーを有効に利用するための 適切な政策を推進しています。

REN21は自然エネルギーに尽力するステークホルダーに幅広く開かれており、各国政府、国際機関、

NGO、業界団体、その他パートナーシップやイニシアティブを結びつけています。REN21は自然エネルギー

を迅速に拡大するために、彼らの功績を活用し、その影響力をさらに強めていきます。

REN21 運営委員

Sultan Ahmed Al Jaber アラブ首長国連邦・外務省

Adnan Z. Amin 国際再生可能エネルギー機関

Corrado Clini イタリア・国土環境省

Robert Dixon 地球環境ファシリティ 気候と化学物質のチーム

Michael Eckhart 米国・シティグループ

Mohamed El-Ashry 国連財団

Saliem Fakir 南アフリカ・WWF

Deepak Gupta インド・新・再生可能エネルギー省

Amal Haddouche モロッコ・エネルギー・鉱山・水利・ 環境省

Øivind Johansen ノルウェー・石油・エネルギー省

Kadri Nassiep 南アフリカ・国立エネルギー研究所

Mahama Kappiah 西アフリカ諸国経済共同体(ECOW

Rajendra Pachauri インド・エネルギー資源研究所

AS)自然エネルギーとエネルギー効 率化のための地域センター(ECREE E)カーボベルデ

Wolfgang Palz 再生可能エネルギー世界協議会

Manfred Konukiewitz ドイツ・経済開発連邦省

Mark Radka 国連環境計画 技術・産業・経済部

Hans-Jorgen Koch デンマーク・気候エネルギー省 デンマークエネルギー庁

Peter Rae 国際再生可能エネルギー同盟

Emani Kumar イクレイー持続可能性を目指す 自治体協議会南アジア事務所

Athene Ronquillo Ballesteros 世界資源研究所/ 緑の独立発電事業者ネットワーク

André Correa do Lago

Steve Sawyer

ブラジル・外務省

世界風力会議

Junfeng Li 中国・国家発展改革委員会エネル

Maria Sicilia Salvadores スペイン・イベルドローラ

ギー研究所/中国再生可能エネル ギー産業協会

Griffin Thompson 米国・国務省

David Hales

Bindu Lohani

米国・アトランティックカレッジ

アジア開発銀行

Kirsty Hamilton 英国・チャタムハウス

Ernesto Macìas Galàn 農村電化同盟

St. John Hoskyns 英国・エネルギー・気候変動省

Pradeep Monga 国連工業開発機関

Paul Mubiru

Didier Houssin 国際エネルギー機関 エネルギー市場とエネルギー安全

飯田哲也

エネルギー・気候変動対策部門

ウガンダ・エネルギー鉱物開発省

保障ディレクター

Nebojsa Nakicenovic オーストリア・

日本・環境エネルギー政策研究所

国際応用システム分析研究所

Ibrahim Togola マリ・フォルケセンター / 再生可能エネルギーと持続可能性 のための市民連合

Piotr Tulej 欧州委員会・環境総局エネルギー課

Veerle Vandeweerd 国際開発計画 エネルギー・環境グループ

Arthouros Zervos 欧州再生可能エネルギー評議会

免責事項

REN21の発行誌や報告書は、自然エネルギーの重要性を強調し、自然エネルギー促進のための主要な論点について議論を喚起すべく、REN21

が発表するものである。REN21のコミュニティによる考察や情報の賜であるが、当ネットワークの参加者が全ての点においてかならずしも見

解が一致しているわけではない。本報告書の情報は作成時に著者らが有する最善のものであるが、REN21とネットワーク参加者たちが情報の

精度と正確性の責任を負うものではない。

REN21 の自然エネルギー世界白書と 自然エネルギーインタラクティブマップ

REN21は自然エネルギーへの急速な移行を目指し、世界中の多岐にわたるステークホ

ルダーの統率力を結集するために2005年に設立された。REN21による自然エネルギー

世界白書(GSR)は、その年の後半に初めて発行された。それは世界の自然エネルギー

についての包括的な状況を初めて把握しようという試みから生まれた。本報告書は、

自然エネルギーがエネルギー市場や経済発展の面で主流となっていくという現実と理解

を結びつけていくことも目的としている。

数年にわたり、GSRは自然エネルギー市場と産業の驚くべき発展に伴い対象範囲を広 げ、詳細さを高めてきた。本報告書は世界中の数千ものデータ、数百の報告書や文献、 専門家との個別のやり取りをまとめた重要な成果となっている。当初の調査と執筆は全 てエリック・マーティノーと数多くの国際的な寄稿者からのデータ提供によるものであっ

た。本報告書は複数の著者、REN21の事務局スタッフと理事会メンバー、地域の研

究パートナー、100名以上の寄稿者や校閲者による真の協同の成果である。

GSRのデータ収集プロセスを最適化する必要性が高まり、2010年にREN21は自然エネ

ルギーインタラクティブマップを発表した。現在、それは自然エネルギーに関する進展 状況をオンラインで収集し共有する効率的な道具となっている。政策と市場の概要は 国、地域、技術、分野ごとに定期的に更新され、新しい情報にアクセスできるという 双方向性の特徴を持つため、インタラクティブマップによって重要な情報をこれまでより 容易に、時宜に応じて利用できるようになる。そのためGSRの研究者や読者は、より広 い自然エネルギーコミュニティと繋がり継続的に貢献できるようになる。自然エネルギー インタラクティブマップはwww.map.ren21.net/ からアクセスできる。

─2─

 目次

 目次

序文・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

世界白書要旨・・・・・・・・・・・・・・・・6

主要指標と上位5カ国・・・・・・・・・・・・11

第1章 世界市場の概要・・・・・・・・・・・ 12  電力市場・・・・・・・・・・・・・・・・ 13  熱利用および冷房市場・・・・・・・・・・ 24  輸送用燃料の市場・・・・・・・・・・・・ 29 第2章 投資フロー・・・・・・・・・・・・・ 32 第3章 産業の潮流・・・・・・・・・・・・・ 36 第4章 政策の展望・・・・・・・・・・・・・ 46  政策目標・・・・・・・・・・・・・・・・ 46  発電促進政策・・・・・・・・・・・・・・ 49

 グリーン電力購入と自然エネルギー電力証書・・56

表1. 自然エネルギー技術の現況:特徴とコスト・・・・・・・・・ 31 表2. 自然エネルギー促進政策・・・・・・・・・・・・・・・・50 表3. 農村地域(独立型)における自然エネルギーへの変革・・・65

図1. 世界の最終エネルギー消費における自然エネルギーの割合                   (2009年)・・・・・ 12 図2. 自然エネルギー設備容量とバイオ燃料生産の年間平均成長率

              (2005年〜2010年)・・・・・13

図3. 世界の電力供給における自然エネルギーの割合

                  (2010年)・・・・・13

図4. 自然エネルギー発電設備容量 途上国、EU、上位5カ国

                  (2010年)・・・・・14

図5. 世界の風力発電設備容量(1996年〜2010年)・・・・・15 図6. 風力発電設備容量 上位10カ国(2010年)・・・・・・15 図7. 世界の太陽光発電設備容量(1995年〜2010年)・・・・19 図8. 太陽光発電設備容量 上位10カ国(2010年)・・・・・19 図9. 太陽熱温水/暖房設備の新規設備容量

          上位12カ国/地域(2009年)・・・・・26

図10. 太陽熱温水/暖房設備の既存設備容量

          上位12カ国/地域(2009年)・・・・・27

図11. エタノールおよびバイオディーゼルの生産量

              (2000年〜2010年)・・・・・28

図12. 世界の自然エネルギー(大型水力を除く)への投資額

              (2004年〜2010年)・・・・・32

図13. 風力タービン製造上位10社による市場占有率

                  (2010年)・・・・・37

図14. 太陽電池製造上位15社による市場占有率

                  (2010年)・・・・・38

図15. EUの最終エネルギーにおける自然エネルギーの割合:          2005年、2009年、2020年目標・・・・ 47

 熱利用と冷房に関する政策・・・・・・・・ 58  交通政策・・・・・・・・・・・・・・・・ 59  都市や自治体による政策・・・・・・・・・ 60 第5章 農村地域(独立型)の自然エネルギー・・64

表参照・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71 用語集・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 91

設備容量の説明および報告に関する注釈・・・・94

追加情報および情報源に関する注釈・・・・・ 95 巻末注・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 96 略語一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・ 112 日本語版作成にあたって・・・・・・・・・・ 113

補足欄

補足欄1. 海洋エネルギー技術と商業化・・・・・・・・・・・・24 補足欄2. 2011年始めの投資トレンド・・・・・・・・・・・・・35 補足欄3. 持続可能性への注目:

     レアアース(希土類)鉱物と太陽電池リサイクル・・・39 補足欄4. 自然エネルギーによる雇用・・・・・・・・・・・・・・45 補足欄5. 自然エネルギーに関するIPCC特別報告書・・・・・・49 補足欄6. 固定価格買取制度とは?・・・・・・・・・・・・・・・53 補足欄7. 系統統合と補完インフラ

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・57

補足欄8. ライトニング・アフリカ:市場や技術革新から得る教訓

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・66

表参照

表R1. 自然エネルギーの

      新規および既存の設備容量(2010年)・・・・・71

表R2. 新規および既存の風力発電容量 上位10カ国

                  (2010年)・・・・・71

表R3. 新規および既存の太陽光発電容量           

              (2006年〜2010年)・・・・・72

表R4. 自然エネルギー発電設備容量(2010年末時点での既存容量)

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・73

表R5. 太陽熱温水器設備容量 上位12カ国 EUと世界総計

                  (2009年)・・・・・74

表R6. バイオ燃料生産 上位15カ国プラスEU(2010年)・・・75 表R7. 自然エネルギーの一次および最終エネルギーにおける割合  

          (2008年、2009年、目標値)・・・・・76

表R8. 自然エネルギーによる電力の割合、2009年値および

                将来の目標値・・・・・79

表R9. その他の自然エネルギー目標値・・・・・・・・・・・・・81 表R10. 固定価格買取制度(FIT)を採用している

             国/州/地域の累計数・・・・・84

表R11. RPS制度を採用している国/州/地域の累計数・・・・85 表R12. バイオ燃料混合規制・・・・・・・・・・・・・・・・・86 表R13. 都市および地域の自然エネルギー政策、主な事例・・・・87

レポートの引用

REN21.2011.Renewables 2011 Global Status Report (Paris:REN21 Secretariat).

─2─

 序文

 序文

昨年、前回の「自然エネルギー白書」が発行されてから、

世界中で様々な進展が見られ、直接的にも間接的にも

自然エネルギーに対して大きな影響が及ぼされた。

2010年、世界的な景気後退は新しい段階に入り、様々

な国、とくに欧州の国々が国家財政危機に陥った。これ

により、多くの国が太陽光発電システムに対する補助金

の削減を発表した。シェールガスの採掘技術が発達した

ため、天然ガスの価格は低い状態を維持しており、一

時的に自然エネルギーの市場競争力は低下している。

同時に、化石燃料や原子力エネルギーに依存することの セキュリティー問題、経済性、人件費に対する関心が世界

中で高まっている。3ヶ月にわたりBP社がメキシコ湾で起

こした石油流出事故は大規模な損害を引き起こし、その

地域の経済だけでなく、地域住民の生活をも脅かしつづ

けている。“アラブの春”と呼ばれる中東不安によって石

油価格が変動し、エネルギー市場は不安定な状態にある。

一方で世界の石油需要は生産能力を上回る勢いで伸び

ている。また日本の福島県における原子力発電所の事故

により、相対的に低炭素な電力を発電するという原子力

発電の役割について多くの国が再考することとなった。

2010年の世界平均気温は、統計開始以来、2005年と

並び過去最高となった。不況にもかかわらず、温室効果 ガスの排出量は過去最大となり、“産業革命前と比べた

年平均気温の上昇を2℃以内に抑える”という世界的な

目標の達成はますます困難になった。

この混乱の最中に数値が向上したのは、世界の自然エ

ネルギーの実績であった。2010年には、自然エネルギー

によって世界の最終エネルギー消費の推計16%がまかな

われた。年末までにはすべての発電容量の4分の1を占

め、世界の電力供給の5分の1を担った。太陽光発電に

おいては発電容量が1年前に比べ約2倍になっている。

一方で、自然エネルギー技術が様々な課題に直面して

いるにもかかわらず、それらの多くは屈することなく奮闘

している。太陽光発電は大幅に費用が低下したため、

他のエネルギーよりも収益率が高くなっている。

景気後退にもかかわらず、2010年の自然エネルギーに

対する投資は新記録を達成した。自然エネルギー由来

の電力や燃料への投資は2110億米ドルに達し、前年の

1600億米ドルと比較し32%の増加となった。先日発表さ

れた、本レポートの関連出版物である国連環境計画 (UNEP)の“Global Trends in Renewable Energy

Investment 2011”に示された通り、自然エネルギー関 連の企業、大規模発電やバイオ燃料プロジェクトに対す る途上国での投資が、先進国での投資を上回った。とく

に世界の投資の3分の1は、中国に向けられている。

中国や他の経済大国であるインド、ブラジル以外の発展 途上国でも、政策、投資、市場動向、製造業などの分 野で大きな展開が見られた。自然エネルギーに関する目

標値や支援政策を制定している118カ国のうち少なくとも

半分は途上国である。

さらに、自然エネルギーがより広い地域や国へ拡大する

ことにより、世界のより多くの人々が必要最低限の基本的

な需要を満たすだけでなく、経済的発展につながるよう

なエネルギーサービスを利用できるようになる。

発展途上国での取組みが増加していることは、今回の

報告書で提示されている重要な点の1つである。将来の

エネルギー需要の増大の多くは途上国で起こると考えら

れているため、これは明るい傾向である。

今日、ますます自然エネルギー由来のエネルギー容量が

増加し、価格が低下し、さらに世界中でエネルギー全体

に占める割合が上昇するにつれ、自然エネルギーの利

用者は増加している。本年度の世界自然エネルギー白

書は様々なデータを統合し、世界の実態を明示した。

REN21の運営委員会を代表し、本レポートの作成にご

協力いただいた方々に謝辞を申し上げたい。研究部長 であり主筆を務めたジャネット・セウィン、専門的アドバイ ザーであり、主筆であるエリック・マーティノー、プロジェ クトマネージャーであるラナ・アディブ、バージニア・オブ

ライエンが事務局長を務めるREN21事務局の方々、そ

の他に本レポートの作成にご尽力いただいた編集者、研 究員、寄稿者、校閲者などすべての方々に深く感謝する。 また、資金援助を提供してくださったドイツ政府、およびイン ド政府、ドイツ国際協力公社(GIZ)、国連環境計画 (UNEP)、そして経営面でのサポートをしてくださった

REN21事務局にもこの場をお借りしてお礼申しあげる。

本レポートが今までのものよりも、さらに多くの事柄をカバー

し、一層刺激的なレポートとなることを願う。これに関す

るご意見やご指摘をいただければ幸いである。

モハメッド・エル=アシュレイ

REN21代表

 謝辞

 謝辞

この報告書(英語版)は、REN21が主体となり、世界

の研究者ネットワークの協力のもとに作成された。ドイツ

連邦経済協力開発省(BMZ)とドイツ連邦環境・自然

保護・原子力安全省(BMU)、インド新・自然エネルギー

省、アジア開発銀行から資金サポートを受けている。ま

たこの報告書の研究の多くは、ボランティアを基本に成り

立っている。

研究ディレクターおよび主筆

ジャネット・L・セウィン Janet L. Sawin (スンナ研究所、ワールドウォッチ研究所)

名誉研究ディレクターおよび主筆

エリック・マーティノー Eric Martinot (環境エネルギー政策研究所 ワールドウォッチ研究所)

分野ごとの筆者

ダグラス・バーンズ Douglas Bernes エリック・マーティノー Eric Martinot アンガス・マックローン Angus McCrone (ブルームバーグ・ニュー・エネルギー・ファイナンス) ジョディ・ラッセル Jodie Roussell ジャネット・L・セウィン Janet L. Sawin  ラルフ・シムス Ralph Sims(マッシー大学) ヴァージニア・ゾンターク・オブライエン Virginia Sonntag-O , Brien(REN21事務局)

REN21プロジェクト・マネージャー

ラナ・アディブ Rana Adib(REN21事務局)

REN研究サポート

ジョナサン・スキーン Jonathan Skeen、エヴァン・ムッソリーニ Evan Musolino、ラナ・アディブ Rana Adib、リリィ・リアヒ Lily Riahi(REN21事務局)

編集・デザイン・レイアウト

編集 リサ・マストニ―  Lisa Mastny (ワールドウォッチ研究所) デザイン(ウィークス・デ・ヴェルヴェアーゲントァGmbH)

制作

REN21事務局、ドイツ技術国際協力公社(GIZ)

各国、各地域の研究者

サハラ以南のアフリカ: Mark Hankins (African SolarDesigns) Safiatou Alzouma Nouhou (IRENA) 西アフリカ: Bah Saho and Martin Lugmayr (ECOWAS Regional Centre for Renewable Energy and Energy Efficiency); Ibrahim Sani (Ministry of Mines and Energy, Niger);

K. A. Otu-Danquah (Energy Commission,Ghana) オーストラリア: Mark Diesendorf (University of New

SouthWales) ブラジル: Renata Grisoli and Suani T. Coelho (Brazilian Reference Center on Biomass,CENBIO) カナダ: José Etcheverry (York University)

中国:

Energy Industries Association) エジプト: Maged Mahmoud (Regional Centre for Renewable Energy and Energy Efficiency – RCREEE, Egypt) 東ヨーロッパ: Kerstin Schilcher and Eva Lacher (Austrian Energy Agency, enerCEE); Lili Ilieva 西ヨーロッパ: Lukas Hermwille, Jan Burck, Tatjana Regh, and Hanna Schmole (Germanwatch); Thomas Nieder (ZSW) イタリア: Francesco Francisci and Daniele Guidi (Ecosoluzioni) インドネシア: Chayun Budiono (Chazaro Gerbang International); Martha Maulidia インド: Tobias Engelmeier, Ali Adil, and Ashok Thanikonda (Bridge to India) 韓国: Kwanghee Yeom (Friends of the Earth Korea andFreie Universität Berlin); Sanghoon Lee (Energyvision) ラテンアメリカ・カリブ諸国: Gonzalo Bravo (Bariloche Foundation, Argentina) メキシコ: Odón de Buen Rodriguez (Energía, Tecnología y Educación) 中東・北アフリカ地域: Ashraf Kraidy (RCREEE, Egypt); Mustapha Taoumi (IRENA) パレスチナ: Basel Yaseen (Palestinian Energy and  Environment Research Center) フィリピン: Rafael Senga (WWF); Amalie Obusan (Greenpeace Philippines) ポルトガル: Luísa Silvério and Lara Ferreira (DGEG/

DSACIA) ロシア: Lili Ilieva 南アフリカ: Amanda Luxande (REEEP) 南アジア: Govind Pokharel (SNV Netherlands  Development Organization); Benjamin Sovacool スペイン: Miquel Muñoz (Boston University); Josep Puig (ECOSERVEIS); Hugo Lucas (IRENA) タイ: Chris Greacen (Palang Thai) チュニジア: Ulrich Laumanns (GIZ) トルコ: Yasemin Biro (World Bank) 英国: Miguel Mendonca 米国: Janet L. Sawin, Matthias Kimmel and Will Bierbower (Worldwatch Institute)

Junfeng Li and Ma Lingjuan (Chinese Renewable

テーマ別研究者

バイオエネルギー : Rana Adib (REN21 Secretariat); Dunja Hoffmann (GIZ); Rita Ramanauskaite(European Biogas Association) 都市: Eric Martinot (Institute for Sustainable Energy Policies); Monika Zimmermann (ICLEI WorldSecretariat); Maryke Van Staden (ICLEI Europe) 集光型太陽熱発電 : Frederick Morse(Morse Associates); Kurt Klunder (Klunder Consulting) 固定価格買取制度: Miguel Mendonca; Davis Jacobs (IFOK) 地熱エネルギー : John Lund (Oregon Institute of Technology); Ruggero Bertani (ENEL Green Power) 系統統合: Carlos Gasco (IEA); Eric Martinot グリーン電力料金: Lori Bird (NREL) 水力発電: Lau Saili (International Hydropower Association); Munof von Rudloff (Canadian Hydropower Association) 産業: Jodie Roussell 投資フロー : Virginia Sonntag-O’Brien(REN21 Secretariat); Angus McCrone (Bloomberg NewEnergy Finance) 雇用: Sven Teske (Greenpeace International) 政策: Ada Marmion (IEA) 政策目標: Janet L. Sawin; Jonathan Skeen and Evan Musolino (REN21 Secretariat) 農村地域の自然エネルギー : Douglas Barnes; Simon Rolland (Alliance for Rural Electrification) 太陽熱温水器: Werner Weiss (AEE INTEC – Arbeits gemeinschaft Erneuerbare Energie) 太陽光発電: Denis Lenardic (pvresources.com); Gaëtan Masson (European PV Industry Association) 風力発電: Birger Madsen (BTM Consult/Navigant); Shi Pengfei (Chinese Wind Energy Association); Andrew Kruse (Southwest Windpower)

その他寄稿者、研究者および校閲者

Rafee Alhallak (National Energy Research Centre, Syria); Fabiani Appavou (REN21 Secretariat); Marlon Arraes (Brazilian Ministry of Mines and Energy); Ana Bachurova(GIZ); Richard Bain (NREL); Sabin Basnyat (International Finance Corporation); Morgan Bazilian (UNIDO); AmelBida (RCREEE); Georg Bonsiepe (Büro Hans-Josef Fell MdB); Cao Boqian (CWEA); Milena Breisinger (Inter-American Development Bank); Uli Brunner (KfW);Kanika Chawla (REN21 Secretariat); Helena Chum(NREL); Ester del Monte (OLELA); Nikhil Desai; Bärbel Epp (Solrico); Karin Ericsson (Lund University); Matthias Fawer (Sarasin Bank); Lisa Feldmann (GIZ); Solomone Fifita (Secretariat of the

Pacific Regional Environment Programme); Árni Finnsson (Icelandic Nature Conservation Association); Lisa Frantzis(Navigant); Rachel Gelman (NREL); Stefan Gsänger(World Wind Energy Association); Vashti Guyadeen(Ministry of Energy, Trinidad and Tobago); Andreas Häberle (PSE AG); Robert Heine (GIZ); Amy Heinemann(North Carolina Solar Center); Issao Hirata (Brazilian Ministry of Mines and Energy); St. John Hoskyns (UK Department of Energy and Climate Change); Lian Jiang (Himin Solar); Oivind Johansen (Ministry of Petroleum and Energy, Norway); Thomas B. Johansson(Lund University); Mahama Kappiah (ECREEE); Claus Keller (F.O. Licht); Doug Koplow (Earth Track); Diana Kraft (GIZ); Amit Kumar (TERI); Arun Kumar (Indian Institute of Technology); Ole Langniss (Fichtner); Philippe Lempp (GIZ and German Federal Ministry for Economic Cooperation and Development); Diane Lescot (Observ’ER); Christine Lins (EREC); Carlos Alberto Fernandez Lopez (IDAE); Ludger Lorych(RCREEE); Abraham Louw (Bloomberg New Energy Finance); Fred Marree (SNV Netherlands Development Organization); Hironao Matsubara (ISEP); Jasmin Metzler (UNEP); Lars J. Nilsson (Lund University);Matt Nocella (National Hydropower Association); Alexander Ochs (Worldwatch Institute) Mika Ohbayashi (IRENA);Martina Otto (UNEP); Alexandra Parvulsecu (REN21 Secretariat); Vishal Persad(Ministry of Energy, Trinidad and Tobago); Magdolna Prantner (Wuppertal Institute); Tim Raabe (GIZ); Árni Ragnarsson (ISOR); Bernhard Raninger (GIZ); Robert Rapier (CTO, Merica International); Peter Rechberger(AEBIOM);Kilian Reiche (iiDevelopment GmbH); Wilson Rickerson (Meister Consultants Group); Denish Samanta(Waterhealth International); Steve Sawyer (Global Wind Energy Council); Tormod Schei (Statkraft AS); Martin Schöpe (BMU); Maria Sicilia (Iberdrola); Djaheezah Subratty (UNEP); Paul Suding (GIZ/IADB); Vicky C.L. Tan (Asian Development Bank); Jun Tian (Asian Development Bank); Frederic Tuille (Observ’ER); Björn Verse (REN21 Secretariat); Salvatore Vinci (IRENA); Arthur Wellinger (EBA); Christine Wörlen (Arepo Consult); Dimitrios Zevgolis (Global Environment Facility); Aiming Zhou (ADB),

その他、具体的な有効データを共有してくださった方々。

 世界白書要旨

 世界白書要旨

自然エネルギーはすべての最終消費部門で大き

く増加しつづけ、世界の投資は記録を更新した。

政策が広まるにつれ、自然エネルギーの地理的

分布も拡大している。

自然エネルギーの市場、投資、産業、政策は近年 急速に変化しているため、自然エネルギーに対す る認識は現実から数年遅れたものとなっている場

合がある。この報告書では、2011年初期の現実をと

らえ、世界の自然エネルギーに対する独自の概観

を紹介する。また、本報告書は現状とともに主要な

トレンドも含めるが、現状の分析や問題点の議論

や将来の予測は行わないこととする。

世界全体のエネルギー消費量は2009年に全体的に

減少し、2010年に再び増加した。それに反して、

2009年に自然エネルギーは減少することはなく電

力、熱、交通といったすべての最終消費部門で大 きく増加した。そして、世界のエネルギー消費量

の16%(推計)を自然エネルギーが供給した。ま

た2009年に新設された発電容量194GW(推計)の

うち約半分は自然エネルギー由来のものであった。

2010年には世界の電力供給の20%を自然エネルギー

が占め、2011年前半にはすべての電源の発電容量

の4分の1を占めることとなった。

熱と輸送燃料を含むエネルギー供給に占める自然 エネルギーの割合もいくつかの国で急速に伸びて いる。たとえば、

米国では国内の一次エネルギー生産のうち10.9%

を自然エネルギーが占め(原子力発電による電力

は11.3%)、2009年から5.6%増加した。

中国では系統連系型の自然エネルギーを29GW増

やし、全体で263GWに達した。この総量は2009年

に比べ12%増加であった。自然エネルギーは2010年

の中国国内における発電容量の26%、発電量の18%、

そして最終エネルギー消費の9%を占めている。

ドイツでは最終エネルギー消費全体の11%を自然

エネルギーが占め、電気消費量の16.8%、熱生産の

9.8%(主にバイオマス)、輸送燃料の5.8%に相当す

る。風力発電が自然エネルギー発電量の36%を占め、

続いてバイオマス、小水力、太陽光となっている。

いくつかの国では、2010年度全体の電力需要に

おける風力発電の割合が増加した。それぞれ、デ

ンマークでは22%、ポルトガルは21%、スペイン

は15.4%、アイルランドでは10.1%となった。

こうしたトレンドはすべての市場部門での着実な

成長と投資を反映している。2005年末から2010年

までに、太陽光、風力、太陽熱発電、太陽熱温水、 バイオ燃料といった多くの自然エネルギー技術の

容量は世界的に見ると年平均で15%から50%程度で

増加した。電力や熱生産におけるバイオマスや地

熱の成長も著しかった。最も伸びの大きかったエ

ネルギーは風力発電で、続いて水力発電、太陽光

となっている。

ほとんどの技術において、2010年は部品製造、販売

そして設備導入部門で成長が見られた。とくに太

陽光発電における技術コストの削減は製造部門に

おける高い成長率に直結した。風力タービンやバ

イオ燃料の処理技術のコスト削減も成長に貢献し

ている。同時に、とくにバイオマスやバイオ燃料の

産業で、より多くの企業合併があり、従来型のエネ

ルギー企業がますます自然エネルギー事業に参入

し、製造会社が事業開発に取り組み始めている。

2011年はじめには、少なくとも118カ国が国レベル

でなんらかの政策目標や自然エネルギー支援政策

を策定し、2005年の55カ国から増加している。ま

た国、州、地域レベルでも様々な政策が実施され

ている。政策目標を掲げる国の半数以上が発展途

上国であり、何らかの自然エネルギー支援政策を

実施している国の半数も発展途上国である。これ

らの国々は、自然エネルギー推進においてますま

す重要な役割を担っている。

より多くの国にこうした政策が広まるにつれて、 自然エネルギー利用の地政学も変化してきている。

たとえば、商業用の風力発電を建設した国は1990

年代にはわずかであったが、現在では少なくとも

83カ国に増加した。2010年には太陽光発電は100カ

国以上で設置された。発展途上国が自然エネルギー

容量の半分以上を占める一方、オーストラリア、

カナダ、日本など欧米以外の先進国でも自然エネ

ルギーは進歩し、技術は多様化している。

中国は今や市場の成長を示すいくつかの指針で

トップに立っている。2010年には風力タービンと

太陽熱温水システムの導入量、また水力からの発 電量においてトップであった。インドは風力発電

の累積導入量では世界5位で、バイオガスや太陽光

発電といった農村地域に適した自然エネルギー分

野でも飛躍的な伸びを示している。ブラジルはサ

トウキビ由来の世界のエタノール生産量のうち実

質的にほぼすべてを担っており、さらに水力発電、

バイオマス、風力発電や太陽熱利用システムも導

入している。

また中東、北アフリカ、サハラ以南のアフリカ20

カ国以上でも自然エネルギー市場は盛況である。

製造における牽引役もヨーロッパから中国、イン

ド、韓国といったアジア諸国へとシフトし、こう

した国は自然エネルギーをますます推進している。

このような市場や製造が地理的に分散することで、

自然エネルギーはある特定の国の政策や市場の混

乱に簡単には左右されないという信頼感が高まっ

ている。

自然エネルギーを推進する力の一つに、新しい産 業と共に何百万もの雇用が生み出されるとの期待 がある。自然エネルギー関連の雇用はいくつかの 国で数十万人に達している。世界規模では自然エ

ネルギー産業による直接雇用は約350万で、そのう

ち半数がバイオ燃料産業であるとされ、この数字

以外にも間接的な雇用が多くあると見積もられて

いる。

さらに自然エネルギー開発を加速させてきた要因 として多国間もしくは二国間の公的開発金融機関 があり、近年の世界経済悪化の間も自然エネルギー

への投資の中心となってきた。そのために2010年

には、政府の景気刺激策よりも開発銀行を通して多

くの公的資金が自然エネルギー市場に投資された。

自然エネルギーへの投資額は、2009年には1600億ド

ルであったが、2010年には全体で2110億ドルまで

膨れ上がり、調査開始年の2004年から毎年着実に

増加している。未報告である150億ドルの太陽熱温

水器への投資も含め、総計では2260億ドルを超え

る。さらに400億〜450億ドルが大規模水力発電に

投資された。

自然エネルギーの新たな事業規模発電設備(風力 発電所、太陽光発電所、バイオ燃料や太陽熱発電

所など)への融資は全体の60%となり、最大の投資

対象となった。小規模な分散型発電設備(主に太

陽光発電)への融資だけでも600億ドルを計上し、

これは自然エネルギー市場全体の投資の25%以上と

なった。発展途上国における自然エネルギー関連 の会社や事業規模の発電事業、バイオ燃料プロジェ クトへの投資額が先進国での投資額を初めて抜い

た。2010年の世界全体の投資額の3分の1は中国へ

向けられており、2年連続でトップとなった。

【2010年の市場・産業のハイライトとトレンド】

風力発電

風力発電は38GW増加して合計で約198GWとなり、

2009年の水準を保った。新設容量の半分以上を発

展途上国と新興市場が占めるのは初めてである。 これは、世界市場の半分を占める中国によるとこ ろが大きい。トレンドとしては、洋上風力が引き続 き発展し、コミュニティベースまたは小規模分散 型の発電が広まり、多様な地理的条件下での風力

発電プロジェクトが進んだ。2010年には、タービン

の平均的なサイズも大きくなり、5MWやそれを超

えるものもあり、ダイレクトドライブ方式のター

ビンが世界市場の18%を占めた。

太陽光発電(PV)

2010年の太陽光発電の世界市場は、前年の2倍以上

の規模へ成長するという驚くべき一年を経験した。

2009年には7.3GWを下回るほどであったが、2010

年には世界で17GW増加したと推定され、合計で

40GWとなった。これは5年前の容量の7倍を超える。

EUが世界市場を独占しており、これはイタリアや ドイツによる貢献が大きい。とくにドイツでは、

2010年の新規導入量が2009年の世界全体の新規導

入量を上回った。大規模太陽光発電の設置数は増

加傾向にあり5000件を超え、世界導入量の約25%

を占めた。太陽電池の製造はアジアへのシフトが

進み、製造企業の上位15社のうち10社がアジアに

拠点を置いている。産業界は統合、拡大、プロジェ

クト開発への参入に取り組むことで、価格の下落

や急速に変化する市場に対応した。

ス熱市場はEUを中心に米国、中国、インド、その

他の地域で着々と拡大している。トレンドとして

は、固形バイオマスペレット(発電および熱)消

費や、熱電併給システム(CHP)や地域熱供給シ

ステムにおけるバイオマス利用の増加がある。家

庭用バイオガスプラントの数では中国が世界を

リードし、ガス化装置はインドやその他の地域で

小規模から大規模の企業にまで熱利用のためによ

り多く使われるようになっている。とくにEUでは

発電や熱電併給システムの天然ガスに代わって、

バイオメタンガス(精製されたバイオガス)がガ

ス供給パイプラインに投入されている。

バイオ燃料

2010年の世界の道路輸送用燃料の約2.7%を液体バ

集光型太陽熱発電(CSP)

イオマスが占めた。エタノール産業は石油価格高

集光型太陽熱発電は数年間停滞していたが、2007

騰をきっかけに回復し、生産は17%増加した。な

年から2010年末までに740MWが新規導入され、成

かには、過去に倒産した企業の復活もあった。米

長を再開した。このうち、2010年の導入量が半分

国とブラジルがエタノール生産の88%を占めてお

を超える。トラフ式太陽熱発電が継続して市場を

り、数年間輸入国となっていた米国は、ブラジル

独占している。太陽光発電コストが飛躍的に削減

を抜いて世界を率いるエタノール輸出国となった。

されたことで、集光型太陽熱発電市場の成長を圧

EUは継続してバイオディーゼル生産の中心である

迫している。少なくとも米国では、複数の事業が

が、相対的に安価な輸入品によって競争が激化し

計画段階で大規模太陽光発電に変更された。同時

たために成長が滞った。先進的なバイオ燃料産業

に、集光型太陽熱発電の設置地域はスペインや米

において、急速に成長する新興企業、主要航空企業、

国南西部から、その他の地域、とくにMENA(中

および大手石油企業の参入によりプレーヤーの多

東および北アフリカ地域)にも広がっている。

様化が進んでいる。

太陽熱温水/暖房

地熱発電/熱利用

2010年の新規導入量は25GWthにのぼると推定さ

2010年に地熱発電プラントは少なくとも24カ国で

れ、合計で約185GWthになった(プール用の非ガ

稼動しており、地熱の直接熱利用は少なくとも78

ラス管式集熱器を除く)。太陽熱温水システムの世

カ国で行われていた。2010年は発電分野の成長は

界市場は引き続き中国が独占した。2010年のEU市

停滞し、世界の導入量は11GWを超える程度であっ

場は新規参入があったにも関わらず、経済の停滞 により縮小した。一位の中国には大きく差をつけ

た。一方で先進技術により新たな国で開発が可能 となり、今後の設置率を確実に加速させると期待

られたものの、市場規模は変わらず二位であった。

されている。地熱による熱利用は過去10年間、年

中国での新設は太陽熱温水器のみであったが、EU

平均9%で増加した。これは主に、地中熱ヒートポ

では温水器と暖房を組み合わせた比較的大きめの

ンプシステム利用の急速な成長による。熱電併給

システムを導入する傾向がある。工業プロセスで

システムにおける地熱エネルギーの利用も増加傾

の太陽熱の導入が、2009年から2010年の間に中国、

向にある。

EU、米国、その他の地域で行われた。

 

水力発電

バイオマス発電/熱利用

2010年の世界の電力供給量の16%を水力発電が占め

バイオマスが発電および熱利用に占める割合は増

た。新たに30GWが導入され、合計で1010GWにな

加しており、自然エネルギーによる熱生産の大半

ると推定される。水力発電の新規導入の動きは、

がバイオマスによる。2010年末時点で稼働してい

それぞれ中国とブラジルを中心としたアジア、ラ

たバイオマス発電容量は62GWであった。バイオマ

テンアメリカで最も活発であった。

海洋エネルギー

少なくとも25カ国が海洋エネルギーの開発を手が

けており、波力や潮力の発電技術は2010年に商業

利用に向けて大きな発展を見せた。2010年末まで

に合計6MW(2MWの波力発電、4MWの潮力発電)

の海洋エネルギー発電が主に欧州で導入された。

すべての自然エネルギー分野が引き続き成長して いくと期待されており、世界中で様々な段階のプ

ロジェクトが展開されている。中国のみで2011年

から2012年にかけて30GWを超える風力発電の導入

計画があり、インド、米国、英国、その他の国々

でも相当数が建設段階にある。米国では2010年末

までに少なくとも5.4GWの太陽光発電の導入が契

約済みである。世界的には2010年末までに2.6GW

近くの集光型太陽熱発電が建設段階に入っており、

2014年までにすべてが稼働する予定である。2010

年末までに世界中で地熱による発電と熱電併給シ ステムのプロジェクトが進められている。地熱の

新規導入は今後5年のうちに、46カ国で行われると

予想される。水力、海洋エネルギー、その他の自

然エネルギー源は重要な開発の段階にある。

2010年の詳しいデータや国別の順位についてはP11

の主要指標と上位5カ国の表を参照。

【ダイナミックな政策の展望】

2010年には世界的に長期的な政策の確実性や安定

性を欠いたことによる後退はあったものの、自然

エネルギーのシェアが増えつつあり、自然エネル

ギー促進政策は市場拡大の原動力となっている。

何らかの政策目標を掲げている国は現在少なくと

も96カ国にのぼる。これらの目標として、発電量

の割合(通常10%〜30%)、一次エネルギー供給あ

るいは最終エネルギー消費量に占める割合、熱供 給、様々な技術の一定量の導入や、道路輸送用燃 料におけるバイオ燃料の割合などの設定が挙げら れる。そういった多くの政策目標は国レベルだけ でなく、州など地方自治体レベルでも設定されて いる。規模が縮小したり、達成されなかった目標

もいくつかあるが、多くの国で2010年に設定され

た目標は達成されたか、目標を上回る結果となっ

た。スウェーデンは2020年に達成を予定していた

目標値をすでに実現した。フィンランドやドイツ、

スペインや台湾を含む多くの国ですでに目標値が

上乗せされ、南アフリカ、グアテマラ、インドな

どの国々で全く新しい目標が設定された。

自然エネルギー発電に関する政策は世界96カ国で

実施されており、最も広く普及した自然エネルギー 促進政策となっている。固定価格買取制度(FIT) は最も多く取り入れられている政策であり、少な

くとも61の国と26の地域で導入されている。2010

年におけるFIT関連の動きとしては、予想を上回る 勢いの市場、とくに太陽光発電の市場に関する既

存政策の改正が多く見られた。2010年から2011年

初期にかけて、多くの発展途上国や新興国で新し いFIT政策が施行された。自然エネルギー割当基準

(RPS)が10カ国と50以上の自治体で制定されてき

た。その中には、米国の30の州(ワシントンDCも

含む)や、新たな発電量の93%を自然エネルギー由

来のものとすることを義務づけたカナダのブリ

ティッシュコロンビア州も含んでいる。

自然エネルギー発電を促進する多くの追加的な政 策が取られている。直接投資への補助金、助成金、 リベート、税制優遇措置、エネルギー生産に応じ たインセンティブや税の控除、公的融資などであ る。分散型発電に対するネットメータリング法

(ネットビリング法)は少なくとも14カ国、たとえ

ばイタリア、日本、ヨルダン、メキシコ、そして ほとんどの米国の州などで採択されている。グリー ンエネルギー購入制度や、ラベリング制度のおか げで、欧州、米国、オーストラリア、日本、カナ

ダでは600万人以上のグリーン電力の消費者が存在

している。

自然エネルギーやバイオ燃料を普及させるための 政策に比べ、冷暖房への自然エネルギー利用導入 を推奨する政策の導入は消極的だった。しかし、 近年になり多くの推進政策が施行された。英国の 自然エネルギーによる熱供給に対する優遇措置や 南アフリカの助成プログラムなど、新しい政策が

2010年以降積極的に導入された。これまで政府は

自然エネルギーの熱利用システムへの投資を増や

すために、直接投資補助や税制控除に頼る傾向が

あったが、国家予算を中立的に供給する新しい政

策が支持されてきている。新築の建造物に対する

太陽熱温水システム設置の義務づけは国レベルで

も地方自治体レベルでも増加している。

バイオ燃料混合規制は29の州および自治体と31カ

国で制定されている。バイオ燃料を促進するため に、燃料税の免除や助成金も制定されている。フィ

ンランド、エチオピア、タイやスペインでは2010

年時点のバイオ燃料政策法が改正され、韓国やジャ

マイカでは新たなバイオ燃料混合についての規制

を制定した。

自然エネルギーによる供給や利用の推進過程にお

いて、都市や自治体はますます重要な役割を担う

ようになってきている。自治体の支援政策として、

自然エネルギーの将来の目標値、自然エネルギー

を都市開発に組み込んだ都市計画、自然エネルギー

を推奨あるいは義務づけする建築基準、税額控除

あるいは免除、自治体の建物や公共交通機関での

自然エネルギー導入への投資、助成金、補助金や

融資、地域レベルで自然エネルギーを促進するた

めの自主的な活動などがある。

【農村地域における自然エネルギー】

多くの隔絶された地域であっても、照明、通信、

調理、冷暖房、送水ポンプといった基本的なエネ

ルギーサービスを提供するという自然エネルギー

の役割はますます増加している。さらに、経済成

長にも繋がっている。ソーラーホームシステム、

風力発電、小水力またはハイブリッド・ミニグリッ

ド(化石燃料との併用システム)、バイオマスまた

は太陽光による送水ポンプ、その他の自然エネル

ギー技術は、発展途上国の農業地帯や系統に接続

されていない地域において、家庭、学校、病院、

農業や小規模工業で利用されている。

個別のプロジェクト推進者や民間企業によって自 然エネルギー事業が推進されるケースも増えてお り、自然エネルギーを利用している農村地域の世 帯数を見積もることは難しいが、数億に達すると 見られている。小規模の太陽光発電システムによっ て数百万の家庭に電気を供給しており、町や村落 規模の電力網に合わせた小水力発電が電気を供給 できる家庭の数はさらに多くなる。家庭用規模の

発酵槽バイオガスは4400万以上の世帯で照明や調

理に使われている。そして、1億6600万以上の世帯

がより効率の良いバイオマス調理ストーブを利用

している。

多くの発展途上国の農業地域において、オフグリッ

ド(独立型)の自然エネルギーソリューションは、

低価格で持続可能な選択肢としてますます認知さ

れている。こうした傾向は、エネルギーに関する

情報へのアクセスや製品の購入に対する障害を解

決しようとする場合にはとくに、市場開発に長期

的な影響を与えるだろう。

主要指標と上位5カ国

主要指標 2008年 → 2009年 → 2010年

主要指標

2008年

→ 2009年 →

2010年

自然エネルギー新規設備への投資額(年間)

(10億米ドル)

130

160

211
211

自然エネルギー発電容量(既存、水力を含まない) 

(ギガワット)

200

250

312

自然エネルギー発電容量(既存、水力を含む)

(ギガワット)

1,150

1,230

1,320 1,320
1,320
1,320

水力発電容量(既存)

(ギガワット)

950

980

1,010

風力発電容量(既存)

(ギガワット)

121

159

198
198

太陽光発電容量(既存)

(ギガワット)

16

23

40

太陽電池生産量(年間)

(ギガワット)

6.9

11

24
24

太陽熱温水器容量(既存)

(ギガワット熱)

130

160

185

エタノール生産量(年間)

(10億リットル)

67

76

86
86

バイオディーゼル生産量(年間)

(10億リットル)

12

17

19

政策目標を有する国

#

79

89

96
96

固定価格買取制度を採用している州/地域/国

#

71

82

87

RPS制度を採用している州/地域/国

#

60

61

63
63

バイオ燃料法(規制)を採用している州/地域/国

#

55

57

60

上位5カ国(2010年の年間合計)

新規設備への

風力発電の

太陽光発電の

太陽熱温水/

エタノール

バイオディーゼル

投資

新設

新設

暖房設備の新設 2

生産量

生産量

1位

中国

中国

ドイツ

中国

米国

ドイツ

2位

ドイツ

米国

イタリア

ドイツ

ブラジル

ブラジル

3位

米国

インド

チェコ

トルコ

中国

アルゼンチン

4位

イタリア

スペイン

日本

インド

カナダ

フランス

5位

ブラジル

ドイツ

米国

オーストラリア

フランス

米国

上位5カ国(2010年末時点の既存容量)

 

自然エネルギー

自然エネルギー

発電設備容量

(水力は含まない)

発電設備容量

(水 力を含む)

風力発電

バイオマス発 電

地熱発電

太陽光発電

暖房 2

1位

米国

中国

中国

米国

米国

ドイツ

中国

2位

中国

米国

米国

ブラジル

フィリピン

スペイン

トルコ

3位

ドイツ

カナダ

ドイツ

ドイツ

インドネシア

日本

ドイツ

4位

スペイン

ブラジル

スペイン

中国

メキシコ

イタリア

日本

5位

インド

ドイツ、インド

インド

スウェーデン

イタリア

米国

ギリシャ

注:順位は容量と生産量、またはバイオ燃料生産に基づいている。1人あたりの容量をもとにすると、順位は大きく異なると予想される。設

備容量(GW)よりも発電量(TWh)を考慮した場合、水力発電の国別順位は変動する。いくつかの国ではベースロードを水力発電に依存し ており、他の国では電力需要に追従したり、ピーク対応をさせているためである。 2010年の固定価格買取制度には、2011年初期の分も含まれている。

太陽熱温水/ 暖房設備は 2009 年の数値である。上記の表および当報告書全体を通じて、多くの数値は有効数字2桁での概算値である。 したがっていくつかの合計値では誤差がある場合がある。

─ 11 ─

 第 1 章 世界市場の概要

 第 1 章 世界市場の概要

自然エネルギーは2010年に世界で新たに導入さ

れた発電容量の半分を占め、熱利用や輸送分野

でも重要性を増している。

世界のエネルギー消費量は2009年に全体的に減少し

たが、2010年には再び大きく増加し、これまでの年

間平均成長率をはるかに上回る5.4%に達した 1 。自

然エネルギーは2009年に停滞することはなく、2010

年も引き続き安定した成長を遂げた。

2009年には自然エネルギーによって世界の最終エ

ネルギー消費 の推定16%が供給された。これには 伝統的バイオマス、水力、風力、太陽光、地熱、 近代的バイオマス、バイオ燃料が含まれる 2 (図1参 照)。発展途上国の農村地域で主に調理や暖房で利 用されている伝統的バイオマスは、エネルギー全

体の約10%を占める。水力発電は3.4%を占め、成長

はゆるやかであるが、大型水力発電が主流である。

2009年には他の自然エネルギーが約2.8%を占めて

おり、多くの先進国と一部の発展途上国で急速に

増加している。

自然エネルギーは、発電、冷暖房、輸送燃料、農

村地域/系統に接続していない独立型のエネル

ギー供給という4つの市場において化石燃料と原

子力の代替エネルギーとなっている。農村地域/

独立型のエネルギーについては本報告書の「農村

地域の自然エネルギー」の章で詳述する。

世界の自然エネルギー容量 は2005年末から2010年 の間に、太陽光発電(PV)、風力、集光型太陽熱 発電(CSP)、太陽熱温水器、バイオマスなどの自 然エネルギーの多くの分野で、年間平均成長率約 15% ~ 50%で伸びている。2005年末から2010年の 期間に、自然エネルギー分野の中で最も急速に拡 大しているのが太陽光発電 で、その後を追うのが バイオディーゼルと風力だった。太陽光発電の成

長は、過去4年間と比べて2010年に一気に加速した。

一方、風力発電の2010年の総発電容量の伸びは安

定している。またバイオ燃料の成長率は近年下降

しているが、エタノールについては2010年に再び

上昇した 3 (図2参照)。

水力発電、バイオマス発電と熱利用、地熱発電と 熱利用の年間成長率は3% ~ 9%と目立つものでは ないが、化石燃料(1% ~ 4%、途上国によっては これより高いところもある)の世界の成長率に引 けを取らないものである 4 。しかし、こうした自然 エネルギーが世界の平均成長率をはるかに上回っ ている国がいくつかある。(主要な自然エネルギー

とその特徴、コストのまとめについては表1を参

照)。

図1. 世界の最終エネルギー消費における自然エネルギーの割合(2009年)

化石燃料 81% 自然エネルギー 16% 16% 原子力 2.8%
化石燃料
81%
自然エネルギー
16%
16%
原子力 2.8%

風力/太陽/バイオマス/ 地熱による発電 0.7%

バイオ燃料 0.6%

バイオ燃料 0.6%

バイオマス/太陽熱/ 地熱による給湯と暖房 1.5%

水力発電 3.4%

伝統的バイオマス 10%

出典:本章の巻末注2を参照

巻末注はセクションごとに p96 から記載。 16% は最終エネルギー消費の割合。多くの統計資料で使用される一次エネルギー消費量の割合に対する従来の指標と比べると差異はあるが、同じく有効な指標である。欧州連 合は 2020 年目標で最終エネルギー消費量の割合を使っている。「自然エネルギー世界白書(GSR)」では 2007 年以降最終エネルギー消費量の割合を使用している。詳細は 2007 年版の補足欄 1 を参照のこと。2011 年に出版された IPCC の自然エネルギーと気候変動緩和に関する特別報告書では、世界の自然エネルギーの割合を 13% と記しているが、こ れは一次エネルギーの割合である。また 13% という数値は「direct equivalent」の手法をもとに一次エネルギーの割合を算出している。「substitution」手法を用いた場合、IPCC の数値は 16% になりうる(IPCC 報告書 Table A.II.1 in Annex II から)。 本章はエネルギーに関する推定データを含むが、主に設備容量のデータに着目している。p94 の「設備容量の説明および報告」を参照。 今年度版から「自然エネルギー世界白書」では、系統連系型太陽光発電に主に焦点を絞るのではなく、あらゆる太陽光発電(系統連系型と独立型)を取り上げている。図 2 では、 世界の年間平均成長率の変化を強調するためにすべての太陽光発電に加えて系統連系型のみの数値を入れている。太陽光発電に関する詳細は「設備容量の説明および報告」を参照。

図2. 自然エネルギー設備容量とバイオ燃料生産の年間平均成長率(2005年~2010年)

太陽光発電

太陽光発電(系統連系型)

風力発電

集光型太陽熱発電

地熱発電

水力発電

太陽熱温水/暖房

エタノール生産

バイオディーゼル生産

72% 49% 81% 60% 25% 27% 77% 25% 3% 4% 3% 3% 16% 16% 2010年
72%
49%
81%
60%
25%
27%
77%
25%
3%
4%
3%
3%
16%
16%
2010年
17%
23%
2005年末-2010年末の
5年間平均
7%
38%

出典:本章の巻末注3を参照

図3. 世界の電力供給における自然エネルギーの割合

  (2010年) 化石燃料 67.6% 水力 16.1% 水力を除いた 自然エネルギー 3.3% 原子力 13%
 
(2010年)
化石燃料 67.6%
水力 16.1%
水力を除いた
自然エネルギー
3.3%
原子力 13%

出典:本章の巻末注6を参照

電力市場

自然エネルギーは2010年に世界で新たに導入され

た推定194ギガワット(GW)の発電容量のうちの

およそ半分を占めている。世界全体の自然エネル

ギー由来の発電容量は2010年に前年比約8%増の推

定1320GWに達した 5 。自然エネルギーは今や世界

の発電容量(2010年に推定4950GW)のおよそ4分

の1を占め、世界の電力の20%近くを供給している。

この大半が水力発電によるものである 6 (図3参照)。 水力発電を除くと、自然エネルギーの総発電容量 は312GWで、 2009年比(250GW)25%増となった 7

(表R4参照)。2010年に自然エネルギーの中では風

力発電容量が最も伸び、世界全体で39GW増加した。

水力発電容量は約30GW増加し、太陽光発電容量は

約17GW増加した。

水力発電を除いた自然エネルギー発電容量におけ

る上位5カ国は、米国、中国、ドイツ、スペイン、

インドである。水力発電を含めた場合、2010年末

までの自然エネルギーの既存容量における上位国 は中国、米国、カナダ、ブラジル、インドおよび 同位のドイツとなる 8 (その他の順位はP11の上位5

カ国と図4を参照)。普及状況を測るのに有用であ

るが、自然エネルギー由来の電力割合の増加や一

人当たりの消費量などの項目で世界の順位を示す

データはない。

米国では2010年に自然エネルギーが新規発電容量

の推定25%を占め、2010年末には既存容量の11.6%

を占めた。2010年に自然エネルギーは国内の発電

量の10.3%強を供給した 9 。さらに、米国の一次エネ ルギー生産量における自然エネルギーの割合は約

10.9%(原子力発電の割合は11.3%)となり、2009

年と比べ5.6%増加した 10

中国は2010年に風力タービンと太陽熱温水器の新

規導入量で世界をリードし、水力発電の発電量で 世界をリードした。中国では系統連系型の自然エ

ネルギーの発電容量が推定29GW増加し、総設備容

量は263GWに達し、2009年比で12%増となった 11

中国での自然エネルギーは2010年に設備容量の約

26%、発電量の18%、最終エネルギー消費量の9%

以上を占めている 12

揚水発電を含む。世界全体で水力発電容量のうち、揚水発電は約136GWにのぼる。この手法は「自然エネルギー世界白書2012」で再考する予定。揚水式はエネルギー源ではないが、 化石燃料や原子力エネルギーの貯留のために利用されることが多い。さまざまな自然エネルギー源による発電の普及促進に重要な役割を担っている。

図4. 自然エネルギー発電設備容量 途上国、EU、上位5カ国(2010年)

ギガワット 350 その他 312 地熱 300 太陽光 250 バイオマス 風力 200 150 135 94 100
ギガワット
350
その他
312
地熱
300
太陽光
250
バイオマス
風力
200
150
135
94
100
56
50
49
50
26
16
0
世界
途上国
EU-27
米国
中国
ドイツ
スペイン
インド
*水力は除く
出典:本章の巻末注8を参照

欧州連合(EU) では2010年に自然エネルギーは

新規導入量の推定41%を占め、そのうちの半分以上

が太陽光発電だった 13 。2009年の新規導入量に占め

る自然エネルギーの割合が60%以上だったことと比

較すると、この割合はかなり低い。しかし、EUで の自然エネルギーの発電容量はこれまでになく増

加し(22.6GW)、総設備容量は前年(17.5GW)と

比べて31%増加している 14 。2009年には、自然エネ

ルギーはEUの総発電量のおよそ20%(そのうちの

42%が水力発電を除いた自然エネルギー)を占め、

EUの正味エネルギー消費量の総量に占める割合は 1999年の5.4%から2009年には9%に上がった 15

ドイツは2010年、最終エネルギー消費量の11%を自

然エネルギー源でまかなった。これは電力消費の

16.8%、熱生産の9.8%(大半がバイオマス)、輸送

燃料消費の5.8%に相当する 16 。2010年のドイツの電

力消費量の増加率は4.3%だった。しかし、自然エ

ネルギーによる発電量の割合は、2009年比で16.3%

増となった。風力発電(102テラワット時〔TWh〕)

が、自然エネルギー発電量の約36%を占めている。

バイオマス、水力、太陽光がこれに続く 17 。スペイ ンでは自然エネルギーは最終エネルギー供給の

13.2%、発電量の32.3%を占めた。2009年には最終

エネルギー供給の9.3%、発電量の26%だった 18

インドは2010年に系統連系型の自然エネルギー発

電容量を新たに推定2.7GW導入した。これは主に風

力だが、他にもバイオマス、小水力、太陽光/熱

による発電容量も含まれる。2011年1月には既存容

量が約19GWにのぼった 19 。独立型の自然エネルギー 発電容量もまた大幅に導入された 20 。2010年のイン

ドの電力の4分の1を大型水力で発電し、4%以上が

その他の自然エネルギーによるものだった 21 (国別

自然エネルギーの割合の表R7とR8を参照)。

風力発電

風力発電容量は2010年の新規導入量が39GWに達

し、自然エネルギー分野の中で最も成長した。5年

前の世界の風力発電新規導入量は11.5GWだった

が、その3倍に相当する 22 (図5)。そのため、既存

容量は2009年比で24%以上増加し、2010年末までに

世界の風力発電容量は約198GWに達した 23 。2010年

に少なくとも52カ国で既存容量が増加し、現在商業

規模で風力発電を利用している国は83カ国ある 24

2005年末から2010年末までの間に、風力発電の累

積容量の年間平均成長率は27%であった 25

しかし、世界の風力発電の年間市場は2010年に、

2009年の発電容量をやや上回っただけで大きな伸

びは見られなかった。これは鍵となる国々(米国 やスペインがその例)での政策が明確でなかった ことや、今なお続く経済の停滞によって資金調達 が困難になったこと、また先進国の多くで電力需 要が下がったために米国やヨーロッパで成長がゆ るやかだったことが要因である 26 。そのため、新設 タービンの大半が、従来の風力市場ではなく、発 展途上国や新興市場に導入された 27

2010年の風力発電分野での成長は、主に中国によっ

「欧州連合」あるいは「EU」はとくに EU27 カ国すべてを指している。

─ 14 ─

図5. 世界の風力発電設備容量(1996年~2010年)

ギガワット 198 200 150 121 159 94 100 74.6 59.3 47.6 39.4 50 31 3
ギガワット
198
200
150
121 159
94
100
74.6
59.3
47.6
39.4
50
31 3
24.2
17.4
10.0 13.5
61 7.6
0
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010

出典:GWEC, WWEA, EWEA, AWEA, MNRE, BMU, BTM Consult, IDAE, CREIA, CWEA

て牽引されたものだった。世界の風力発電容量に 占 め る 中 国 の 割 合 は2005年 に は4.4%だ っ た が、 2010年には50%を占めるようになった 28 (図6参照)。

中国の新規導入量は18.9GWで、2009年市場から

37%増となった。総設置容量は44.7GWに達し、中

国は世界1位となった 29 。2GW分を除いたこれらの 施設は実際にすでに電力網に電気を送っていたが、

推定13GWは年末になっても商用利用の認定を受け

ていなかった。試験期間を完了させ、系統運用者 との商業契約を結ぶまでには、報告の遅れも考慮 するともう少し時間がかかるだろう 30 。中国の導入

容量の30%以上が内モンゴル自治区に設置され、他

は甘粛省(10%)、河北省(10%)、遼寧省(9%)

に設置されている 31

米国の風力発電の新規導入量は2009年には10GW以

上だったが、2010年は5GWをやや上回っただけで、

総設備容量は2009年比15%増の40.2GWとなった 32

2010年末までに風力発電は総発電量の2.3%(2009

年の1.8%から増加)を占めており、米国の1000万

以上の世帯に電力を供給できる量となっている 33

テキサス州には10.1GWあり、2010年末の時点で米

国の既存設備容量の4分の1以上を占めている。事

業規模の風力プロジェクトを抱える38州のうち14

州で、各州の設置容量が1GWを超えた 34 。米国とカ ナダを合わせると世界市場の約15%を占めている 35

欧州連合は2010年に、2009年市場をやや下回る約

9.5GWを新たに導入し、総設備容量は約84GWと

なった 36 。風力は2007年以降初めて、電力の新規導 入量の割合において天然ガス、太陽光発電を下回

図6. 風力発電設備容量 上位10カ国(2010年) 中国 +18.9 米国 +5.1 ドイツ +1.5 スペイン
図6. 風力発電設備容量 上位10カ国(2010年)
中国
+18.9
米国
+5.1
ドイツ
+1.5
スペイン
+1.8
インド
+2.3
イタリア
+0.9
フランス
+1.1
英国
+0.9
2009年既存
カナダ
+0.7
2010年導入
デンマーク
+0.3
0
10
20
30
40
50

ギガワット

出典:GWEC, WWEA, EWEA, AWEA, MNRE, BMU, BTM Consult, IDAE, CREIA, CWEA

り、1位から3位となった 37 。ドイツでは2010年末時 点 で27.2GWが 稼 動 し て お り、 年 間 の 発 電 量 が 36.5TWhと、EUトップを維持した 38 。しかし新規

導入量は2009年比19%減の1.6GWとなり、国内風力

市場で1999年以降最も少ない導入量だった。廃止

されたシステムを計算に入れると、正味の新規導 入量は1.5GWとなる 39

スペインは新規導入量1.8GWで再びヨーロッパ1位

となり、総設備容量が20.7GW以上に達した。スペ

インは新規導入量で世界3位の市場となった 40 。ス

ペイン政府が設定する2005年から2010年までの目

標値を上回ったが、絶対量では2003年以降最もゆ

るやかな増加であった 41 。スペインは稼動中の容量 ではドイツに劣っているが、風況が良いことや最

新型タービンの設置のおかげで、2010年の発電量

ではドイツを上回った(43TWh) 42 。その他のEU

諸国の導入量の上位国はフランス(1.1GW)、イタ

リア(0.9GW)、英国(0.9GW弱)である 43 。ブルガ リア、リトアニア、ポーランド、ルーマニアなど EUの新興市場が大幅に成長したことによって、EU の成熟市場の減退を補った。それに加え、キプロ スも初めて風力タービンを設置した(0.08GW) 44

インドも2010年の市場で上位に入った。新たに

2.3GWを導入し、総設備容量は約13.2GWに達し、

総設備容量で世界5位を維持した 45 。他にも世界中 で新たな市場が軌道に乗り始めている。ラテンア

メリカとカリブ海諸島では、2010年に総設備容量

が54%増加した。ブラジルとメキシコの新規導入量

はそれぞれ0.3GWだった 46 。しかし、世界の風力発 電容量においてラテンアメリカが占める割合はか

なり小さい。アフリカと中東では2010年末時点で

少なくとも11カ国で商業規模の風力発電を設置し

たとはいえ、ラテンアメリカと同様と言える 47 。エ

ジプトでは、100メガワット(MW)を新規に導入し、

総設備容量は550MWに達した。これは、アフリカ

諸国の中で最も多い。また、モロッコがDahr Saadan風力プロジェクト(140MW)を開始した 48

イランは2010年に風力発電を導入していないが、

中東で唯一大規模な風力プロジェクト(0.9GW)を

抱える国である 49

洋上風力産業は風力発電容量全体に占める割合は

小さいものの、2010年末の時点で設備容量は1.2GW

から3.1GWに増加した。この大部分はEUで、他に

中国(0.1GW)、日本(0.02GW)となっている 50

EUの洋上風力市場は2010年に50%以上増加し、総

設備容量は3GWとなった 51 。英国が新規導入量約

0.7GWで世界をリードし、2010年末には1.2GW以上

に達した。続いて、デンマークが総設備容量約 0.9GWで2位、オランダが0.2GWで3位となった 52 。 ヨーロッパの国以外で初めて大規模洋上ウィンド ファームを導入したのは中国で、上海に近い東海

大橋で0.1GWの施設が2010年7月に正式に稼動を開

始した。その3カ月後、中国は江蘇省の沿岸沖で4

つのプロジェクトに着工し、2014年には完成する

予定である。総設備容量は1GWである 53 。他にも、

米国では2001年から提案されていた東海岸沖の

ケープ風力発電プロジェクト(約0.5GW)に、連邦

政府による最終的な建設許可が下りた 54

風力発電プロジェクトの規模は、洋上、陸上ともに 大きくなっていく傾向にある。それに伴い、主にコ ストの問題が浮上している(変電所や連系点、認可 や建設許可にかかるコストなどのインフラ面を含

む)。2010年末までに稼動している世界最大の陸上

ウィンドファーム(約0.8GW)は米国にあるが、他

にも最大級のウィンドファームが建設中である 55

それに加えて、コミュニティの風力発電プロジェ クトへの関心が、カナダなど数カ国で高まってい る。農村地域での電力の必要性や低コストの系統 連系用インバーターの開発、政府による刺激策が 推進力となり、小規模風力タービン の使用も増加 しつつある 56 。米国は2010年に小規模風力タービン

を推定0.02GW導入した。一方、英国の小規模風力

タービン市場は2009年比65%増え、総設備容量約

0.04GWにのぼった 57 。中国では2009年時点で、小

規模風力タービンによって推定150万人分の電気を

供給した 58

2010年末の時点で既存の風力発電により、世界の

電力消費量の推定2.0% ~ 2.5%を供給することがで きる 59 。2010年末までのEUに設置されている風力 発電によって、平年の風況ならEU域内の電力消費 量の5.3%をまかなえる(2009年は4.8%) 60 。2010年 に電力需要に占める風力発電の割合が伸びた国は

デンマーク(22%)、ポルトガル(21%)、スペイン

(15.4%)、アイルランド(10.1%)、ドイツ(6%)な

どいくつかある 61 。ドイツの4つの州では、2010年 の電力需要の40%以上を供給している 62

米国の風力発電をリードするアイオワ州は2010年

に、風力発電によって電力需要の15%以上を供給し

た。 テ キ サ ス 州 の 電 力 負 荷 の85%に 相 当 す る Electric Reliability Councilの管内では、2010年に 風力が発電量の7.8%を占めた 63 。中国では内モンゴ

ル自治区(12%)、吉林省、黒竜江省、新疆自治区(そ

れぞれ4%)などのいくつかの地域で風力の割合が

一層高まったものの、国内発電量における風力の 割合は1%だった(前年比の約2倍) 64

小規模の風力発電システムには通常家庭や農場、小規模ビジネスに十分な電力を供給できるタービンが含まれる。米国風力発電協会(AWEA)は「小規模」を 100kW 未満と定 義づけているが、サイズは需要や国と州の法律によっても異なる。

2010年末には多くのプロジェクトがさまざまな段

階で進んだ。中国だけで2011年~ 2012年の間に

30GW以上を導入する予定である。2011年始めまで

に米国(5.6GW)と英国(1.9GW)で大規模な施設

を建設中である 65 。EUで風力発電に参入した国は、 ボスニア(初めてのウィンドファームを計画中)と、

2010年に最大の陸上ウィンドファームの建設に着

工したルーマニアが含まれる 66 。ラテンアメリカ(と くにアルゼンチン、ブラジル、チリ、コスタリカ、 メキシコ、ニカラグア、ウルグアイ)やアフリカ でも風力発電推進の兆しがあり、エジプトやエチ オピア、ケニア、モロッコ、ナイジェリア、チュ ニジア、タンザニアで計画または建設中である。 これにはケニアの0.3GWのLake Turkanaプロジェ

クトとモロッコで建設中の0.7GWの風力発電が含

まれる 67

バイオマス発電 バイオマスは通常、電力生産や熱利用に使用され、 輸送用の液体バイオ燃料に変換されるものもある (後述の熱電併給プラントによる熱利用に触れた熱 利用および冷房市場の項および輸送燃料市場の項 を参照)。バイオマス由来の発電技術には、固形バ イオマスや自治体で回収される有機性廃棄物 、バ イオガス 、液体バイオ燃料の直接燃焼および混焼

(石炭あるいは天然ガスを使用)が含まれる。2010

年にはヨーロッパの多くの国で、また米国や中国、 インド、その他の途上国の一部で、発電のための バイオマスの利用が大幅に拡大した。世界全体で

バイオマス発電容量は2010年末時点で62GWと推定

される 68

米国が2010年のバイオマス発電で引き続き世界を

リードしている。ほかにもドイツやスウェーデン、 英国などのEU諸国やブラジル、中国、日本がバイ オマス発電を促進している 69 。米国では2010年に

0.3GW未満のバイオマス発電が導入され、総設備容

量は10.4GW(自治体の有機性廃棄物を除く)で、

発電量は約48TWhだった 70 。米国のバイオマス発電 のほとんどは、木材や農作物の残渣、産業分野に おける熱電併給システムで燃焼される黒液から生 産している 71 。埋め立て廃棄物から出たガスを利用

した方式が増加しつつあり、2010年には発電量

8TWhに達した。2011年4月中旬時点で、550以上の

プラントが埋立地ガスを燃料にしている。総設備 容量は1.7GWに達した(2008年に1.4GW) 72

EUのバイオマスによる正味発電量は、2008年から

2009年にかけて79.3TWhから87.4TWhに約10.2%増

した 73 。固形バイオマスは62.2TWhで約71%を占め、 それ以外はバイオマスが占めている。EUのバイオ マス発電量は電力のみの施設が半分を、熱電併給 プラント(CHP)が残りの半分を占めており、国 によってその割合は異なっている 74

EUでは、バイオガスの増加が最も著しいが(約

18%増加)、あらゆるバイオマスからの発電が急速

に拡大している 75 。たとえば2001年から2009年にわ

たり固形バイオマスによるEUの発電量は3倍に増

加し、2010年始めまでに約800もの固形バイオマス

発電所(推計7.1GW)が稼動した 76 。EUでの電力と 熱利用へのバイオマス利用の増加は、政策支援に よるところが大きくなっている。多くの国が、化 石燃料や二酸化炭素の排出に税を課したり、有機 性廃棄物の埋め立ての削減を要求するEU規制と合 わせた政策を実施している 77

EUの上位3カ国は、ドイツ、スウェーデン、英国で、

この3カ国でEUの2009年のバイオマス由来の発電

量の約50%を占めている。ドイツだけで、EUのバ

イオガス発電量の約50%、バイオマス発電量の約

30%を占めた 78 。他にもフィンランド、ポーランド、 イタリア、オランダがバイオマス発電を促進して いる。また、イタリアやフランス、スペイン、英 国でとりわけバイオガスの利用が将来伸びると予 測され、チェコ共和国、ハンガリー、スロバキア では新しい市場が出現している 79 。デンマークは上 位国には入っていないが、バイオマスによる発電

量の割合が、2000年の3.1%に比べ、2009年には8.1%

と急激に高まっている 80

ドイツのバイオマスによる発電量は、過去10年間

に 年 平 均22%以 上 増 加 し、2010年 に は 推 定 28.7TWh、総設備容量は4.9GWにのぼった 81 。2010 年末までに、バイオマスエネルギーはドイツのエ

ネルギー消費量の5.5%を占め、風力発電に次いで2

番目に大きい自然エネルギー源となっている 82 。ド イツのバイオマス発電はほとんどがバイオガスで

焼却処分される自治体の有機性廃棄物(自治体の固形廃棄物における有機物/生物有機物の割合)は GSR の表 R1 と R4 にあるデータには含まない。この点に関する詳細および 世界のバイオマスエネルギー開発の報告の課題については P94 の「設備容量の説明および報告」の注釈を参照のこと。 バイオガスは埋め立て(埋立地ガス)あるいは都市下水の嫌気性消化や排水処理施設(下水ガス)、スラリー、農作物残渣、食品廃棄物、家庭や草木の廃棄物から摂取したメタ ンから生産できる。

あり、2010年に設備容量は20%以上増加し、430万

世帯に電力を供給できる量となった 83 。ドイツはバ

イオガスで2010年に約13.8TWh発電した。次に多

いのは英国(6.8TWh)、そしてイタリア(2.1TWh)

だった 84

ブラジルのバイオマス発電はほとんどすべてが熱 電併給型で、こちらも着実に増加してきた。設備

容量は2010年末までに7.8GWに達し、総発電量は

28TWhだった 85 。発電量の大半は、製糖工場のCHP プラントによるもので、原料としてバガス(訳者注:

サトウキビの搾りかす)を使用している。2010年

の砂糖の収穫時期にバガスによって18.5TWhの電

力を生産した。そのうち8.8TWhの余剰電力は系統

に送られた 86 。コスタリカ、メキシコ、ウルグアイ などの他のラテンアメリカ諸国の中にもバイオマ ス電力が2010年に著しく拡大した国がある 87

日本は2010年に石炭混焼を除いて、推定10TWhを

バイオマスで発電した 88 。アジアでは他にも中国で バガス、固形バイオマス、有機性廃棄物、バイオ ガス(家畜の糞尿を含む)を組み合わせて使用し、 設備容量が2010年に25%増加し、4GWに達した 89

インドではバイオマス資源は、3つの一般的な方式

により発電に利用されている。系統連系型バイオ マス発電所、独立・分散型のバイオマス発電、製 糖工場などの産業での熱電併給である 90 。インドは

2010年に新たに約0.3GWのバイオマス発電容量を

導入し、総設備容量は同年末に3GWにのぼった 91

タイでは2010年に、固形バイオマス発電0.003GW

を新規に導入し、設備容量は1.3GWとなった。バイ

オガス設備容量は2009年時点で0.05GWに倍増し、

2010年にはさらに37%増の0.07GWに増加した 92 。マ レーシアもまたバイオガス発電の大幅な拡大を模 索している 93

アフリカと中東でも関心が高まっている。カメルー ン、ケニア、タンザニア、ウガンダなどの国で、 すでにバイオマス発電所を設置しているか、今後 の開発計画を持っている 94 。バイオガスプロジェク トの建設(とりわけ埋立地ガス)が南アフリカ、 エジプト、チュニジア、ヨルダンなどの国において、 京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)の 一環で進められている 95

100%バイオマスで運転する施設に加え、既存の石

炭火力発電所やガス火力発電所は、化石燃料を用い たバイオマス“混焼”に転換を進めている 96 。2010

年時点で米国に約40基、オーストラリアに約10基の

化石燃料利用のバイオマス混焼プラントがある 97 。 日本では、いくつかの石炭火力発電所でバイオマ スを使用した混焼の実証運転を行っている 98 。ドイ ツと英国では混焼による固形バイオマスの発電量

が増加しつつあり、2010年にEU全体で100基の混

焼プラントがあると推定される 99

太陽光発電(PV)

太陽光発電(PV)は2010年に100カ国以上で新た

に導入されるなど、依然として発電技術の中で最 も急速に伸びている 100 。世界全体で新規導入量が推

定17GW(2009年の新規導入量は7.3GW弱)となり、

世界の総設備容量は約40GWに達し、5年前の稼動

中の容量の7倍以上にのぼる 101 (図7)。

世界の太陽光発電容量は2009年と比べ72%増加し、

2005年から2010年の間の年間平均成長率は49%を

超えた(系統連系型のみの場合、対応する成長率

は81%と60%である)。薄膜型の売り上げは引き続

き増加しているものの、2005年以来初めて薄膜型

の市場占有率が下がり、2009年に17%だったものが

2010年には13%となった 102 。太陽光発電市場は、コ ストの低下(「産業の潮流」の章を参照)や新しい 用途、投資家の強い関心、継続的で強力な政策支 援によって動かされただけでなく、いくつかの国 で買取価格の低下が進んだことも影響した 103

世界の太陽光発電市場を独占しているのはEUで、

13.2GWの新規導入量によって、総容量は世界全体

の80%に達した。これでEUの約1000万世帯の電力

消費を満たすことができる 104 (図8を参照)。2010年 にドイツとイタリアによって、EUは初めて太陽光 発電の新規導入量が風力発電を上回った 105 。ドイツ が2010年 に 新 た に 導 入 し た 太 陽 光 発 電 容 量

(7.4GW)は前年度の世界の導入量を上回り、設備

容量は17.3GWとなった 106 。ドイツは2011年の第1四

半期には、太陽光発電によって2.75TWhを発電し、

2010年の同時期よりも87%増加した 107

イタリアでは2010年末までに送電網に連系した太

陽光発電容量が推定2.3GWで、総設備容量は約

3.5GWに達したと公式に発表された 108 。しかし実際 の設備容量はこの数字よりも高いと考えられる。な

今年度版の「自然エネルギー世界白書」から、とくに記述がなければ、太陽光発電のデータは、系統連系型と独立型の両方を含む。

─ 18 ─

図7. 世界の太陽光発電設備容量(1995年~2010年) ギガワット 40 40 35 30 23 25 20 16 15
図7. 世界の太陽光発電設備容量(1995年~2010年)
ギガワット
40
40
35
30
23
25
20
16
15
9.5
10
7
5.4
3.9
5
2.8
2.2
0.7 0.8
0.9
1.2
1.4
1.8
0
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010

出典:PV News, EPIA

ぜなら、2011年6月初めまでに公式発表された、イ

タリアで施行されている固定価格買取制度(FIT)

の対象となった総設備容量は5.8GWであるが、この

うちの一部は2010年に導入されていたと考えられ

るためである 109 。チェコ共和国ではFITの買取価格 が高いことに加え、太陽光発電の設備コストの低下

によって、2度目の大幅な伸びを示した年(導入量

1.5GW)となった。2008年の導入量は実質的にゼロ

だったが、2010年末の既存容量は2GWに増えた 110

他にも、2010年にヨーロッパで新規導入が進んだ

国は、フランス(導入量0.7GW)で、2009年比で3

倍以上増加した。続いてベルギー(0.4GW)、そし

て2009年比4倍増のギリシャ(約0.2GW)だった 111

スペインは、2010年の新規導入量が0.4GWで総設

備容量が3.8GWとなった。地上設置型における買取

価格の上限と新たな規制枠組みが不透明だったこ

とから新規導入量がピークだった2008年から2年連

続で大幅に減少した 112

ヨーロッパ以外の太陽光発電の主要な市場は、日

本(約1GW)、米国(0.9GW)、中国(0.6GW)だっ

113 。日本と米国の太陽光発電市場は2009年比でほ

ぼ2倍に拡大した。日本の設備容量は3.6GWに達し、

米国は2.5GWを上回った 114 。米国の導入量の4分の1

は事業規模のプロジェクトであることから、電力 事業者が今後米国の成長の鍵を握ることになると 考えられる 115 。米国では2010年末までに少なくとも 5.4GWの新規容量の契約を交わしている 116 。カリ

フォルニア州は市場の30%を占め、依然として国内

市場をリードしている(2004年/2005年の80%から

減少) 117 。韓国市場(0.1GW)は2年連続して低下

図8. 太陽光発電設備容量 上位10カ国(2010年)

ドイツ 44 % スペイン 10 % 日本 9 % 世界その他 6 % イタリア 9 %
ドイツ
44 %
スペイン
10 %
日本
9 %
世界その他
6 %
イタリア
9 %
韓国
2 %
EUその他
2 %
米国
6 %
ベルギー
2 %
中国
2 %
フランス
3 %
チェコ共和国
5 %

出典:EPIA, BMU, IDAE, GSE, KOPIA, CREIA

している。またオーストラリア市場(0.3GW)は

2009年比で4倍になった 118

事業規模の太陽光発電所 が増える傾向が続いてい

る。事業規模のシステムは2009年には3200基をや

や上回るほどだったが、2010年には5000基を超え

119 。こうした施設の総設備容量は2010年末までに

約9.7GWで、1年間に3GW以上増加し、世界全体の

太陽光発電容量の約25%に相当する 120 。EUが2010

年末までに世界の総設備容量の84%を占め、引き続

き世界をリードしている。ドイツだけで世界の新 規導入量の約3分の1を占める 121 。スペインは2010年

末までに、世界の事業規模の設備容量の32%を占め

た。2位以下は順にドイツ(26%)、イタリア(16%)、

米国(7%)、そしてチェコ共和国(6%)だった 122

他にも、2011年始めまでにブルガリアや中国、エ

ジプト、インド、イスラエル、マリ、タイ、アラブ 首長国連邦(アブダビ)などで事業規模の施設をも つ国が、少なくとも30カ国ある 123 。風力発電と同じ く、プロジェクトの規模を大きくしようとする傾向

があり、世界各地にある15の大規模太陽光発電所

プロジェクトのうち9つが2010年に完成した 124

2010年末時点で、稼動中の太陽光発電所のうち世

界最大の施設は、カナダのオンタリオ州サーニア

にある0.08GW規模の施設で、1万2800世帯に電力

を供給する見込みである 125

また、集光型太陽光発電(CPV)への関心も高まっ

ている。2010年から2011年始めまでに世界各地で

送電網にほぼ0.02GWが接続された。これには米国

カリフォルニア州やオーストラリア、エジプト、 フランス、イタリア、ヨルダン、メキシコ、スペ イン、南アフリカなどのいくつかの国でのプロジェ クトあるいは実証施設も含まれる 126 。2010年に数多

く の 米 国 の 大 規 模 プ ロ ジ ェ ク ト が 発 表 さ れ、 Southern California Electricと0.3GWの売電契約が 交わされた 127 。建物一体型太陽光発電(BIPV)へ

の関心も2010年に高まっている。フランスおよび

ドイツという従来からの市場を越えて、現在まで

で最大規模のBIPVプロジェクトが中国で発注され

128

現在の太陽光発電の設備容量の大半は系統連系型 で、独立型の割合が年々減少している 129 。しかし、 分散型かつ小規模のシステムへの関心が、とりわけ

発展途上国で、また先進国でも高まっている。オー

ストラリアでは、太陽光発電の推定70%が独立型で

あり、遠隔地の家庭や農場などにある。その中には

2010年に西オーストラリアに設置された太陽光と

ディーゼルのハイブリッド発電所の一部である国内 最大の太陽光発電追尾システムがある 130

1 3 0 。 地熱発電

地熱発電 地熱エネルギーは直接熱利用(「熱利用および冷房 市場」の項を参照)と電力供給で利用される。

2005年以降、アイスランド、インドネシア、ニュー

ジーランド、米国、トルコにおいて発電容量が大 幅に導入された。地熱による発電量は世界全体で 20%以上増加している 131 。2005年以降、エルサルバ

ドル(35%)、グアテマラ(58%)、パプアニューギ

ニア(800%以上)、ポルトガル(81%)などの発電

容量が少ない国の成長率が著しかった 132

2010年末までに世界の地熱発電の総設備容量は

11GWを超え、2009年から推定240MW増加した。

2010年には約67.2TWhが地熱発電所で発電された 133

2010年の地熱開発は2009年と比べてゆるやかだった

が、この小休止は一時的なものだと推測される 134 。 掘削装置の不足(石油、ガス産業との競合のため)が、 世界各地の地熱発電開発業者の妨げとなっている一 方、ケニアなどで能力のある労働力の不足が懸念さ

れている。2013年までに米国だけで掘削装置の需要

が約1.5倍にもなると予想されている 135

2010年にニュージーランド(これまでで最大の

0.1GW規模のシングルシャフトタービン・プロジェ

クト)、イタリア(0.04GW)、ケニア(0.04GW弱)

の3つの大型発電所が発注された 136 。新規導入量を

加えると、ケニアの地熱発電所は0.1GWに達し、ア

フリカ最大となった。これによって、ケニアの総 設備容量は約0.2GWとなった 137 。米国は2009年と比

事業規模の太陽光発電とは、200 キロワット(kW)を超える施設と定義づけられている。

─ 20 ─

べてやや減少したが、2010年に事業規模の地熱発

電を約0.2GW導入した 138 。トルコとメキシコでも 2010年に設備容量が増加している 139

2011年始めまでに、地熱発電所は少なくとも24カ国

で稼動しており、世界の設備容量の大半が、米国 (3.1GW)、 フ ィ リ ピ ン(1.9GW)、 イ ン ド ネ シ ア

(1.2GW)、メキシコ(1GW弱)、イタリア(0.9GW)

ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド( 約0.8GW)、 ア イ ス ラ ン ド (0.6GW)、日本(0.5GW)の8カ国に集中している 140 。 一人当たりの容量ではアイスランドがトップで、

2010年の国内発電量の約26%を地熱が占めた。フィ

リピンでは地熱が約18%を占めている 141

地熱発電市場の拡大が続いており、最新技術によっ

て新規参入国でも地熱計画の開発が容易になり、

開発のスピードが大幅に加速することが予測され

142 。米国では2011年初期の時点で、約0.8GWが掘

削もしくは建設段階にあり、2015年までに稼動でき

ると予測される。米国15州で合わせて123のプロジェ

クトが確定しており、一部は開発段階にある 143

アイスランドでは2011年に新たに約0.1GWが導入

される予定である。今後5年以内に46カ国で地熱発

電容量が導入されるという見通しがあり、世界中 でプロジェクトが進行している。地熱発電はより 一層拡大するとみられる 144 。ドイツには2010年後半

までに、推定150の進行中のプロジェクトがあった。

計画がすでに開発段階にあるのはチリ(0.2GW)、

コスタリカ(0.4GW)、インド(約0.3GW)、英国

(0.01GW)である 145

集光型太陽熱発電 集光型太陽熱発電(CSP)市場は数年間停滞してい

たが、2007年から2010年末の間に活気を取り戻し、

約740MWが導入された 146 。このうち半分(約478MW

以上)が2010年に導入され、世界の総設備容量は

1095MWに達した 147 。パラボリック・トラフ式発電

所が世界市場を独占しており、CSP発電所の90%、

稼動中の既存容量のほぼすべてを占めている 148

スペインは太陽エネルギーへの魅力的なプレミア ム価格を国王令で提示したため、国内企業がCSP

開発に注目し、2009年には大規模な導入が始まっ

た。スペインは2010年に新たに400MWを導入し、

稼動中の総設備容量が632MWとなり世界をリード

している 149

米国は2010年末までに78MWを導入し、総設備容

量が509MWとなった。これには2MWの石炭発電

所1基の附属施設と75MWのガス化複合発電の附属

施設(フロリダ州で初めての施設)が含まれる 150

2011年の始めに、新たに50MWの発電所(Extresol-2)

がスペインで正式に運転を開始した。モロッコでは、

20MWのCSPと天然ガスのバイブリッド発電所が稼

動を始め、エジプトでは20MWのCSPのEl Kuraymat ハイブリッド発電所の一部が稼動を始めた 151

CSPは今後も急速に成長すると予想される。スペ

インでは2011年4月の時点で新たに946MWが建設

中で、1789MWの新規容量が2013年末までに稼動

すると予想される 152 。米国では2011年始めの時点で

1.5GWのパラボリック・トラフ式およびタワー式発

電所が建設されている。また、少なくとも新たに

6.2GWの契約が交わされた。これは連邦政府による

融資保証、連邦政府の土地使用の許可、自然エネ ルギーに関する州の規定(「政策の展望」の章を参 照)による奨励によるところが大きい 153

北アフリカや中東でもCSPに大きな関心を寄せて いる。アラブ首長国連邦で建設中の発電所やアル ジェリア、エジプト、ヨルダン、チュニジア、モロッ コで計画されている発電所を含め、少なくとも

1.2GWの設備容量の開発が進行中で、2010年まで

に2GWの太陽熱発電容量を目標としている 154 。イ ンドでは複数のCSPプロジェクトが建設段階にあ り、中国はCSP発電所を導入する意向を表した。そ れには電力や室内暖房、もしくはプロセス熱を供 給する熱電併給型が含まれている 155 。オーストラリ ア、南アフリカ、メキシコ、イタリアも太陽熱発 電の普及をさらに促進する意向を表し、新たなプ ロジェクトもしくはMW規模の実証発電所を設置 してきた 156 。2010年の後半には世界全体で約2.6GW のCSP(大半が米国とスペイン)が建設中で、そ

のすべての施設が2014年までに稼動することが予

測される 157

同時に、太陽光発電(PV)のコストが劇的に下落 していることが、少なくとも米国でのCSP市場の成

長の足かせになりつつある。2010年に国内で計画

されていたいくつかのプロジェクトがCSPではな く事業規模の太陽光発電技術を用いるよう再設計 された 158 。こうした太陽光発電への転換は、今後も 続くと考える専門家もいる。その一方で、太陽熱

は蓄熱と輸送が可能であることが事業者にとって 魅力となると考え、CSPのコストの方がやや高いこ とを擁護する専門家もいる 159

水力発電 水力発電は現在約150カ国で利用されている 160 。世

界の水力発電による発電量は2010年に5%以上増加

した。これは中国で新規導入量が大幅に増えたこ とと、雨量が増えたことが原因である。水力発電 は世界の発電量の約16%を占めている 161 。発電容量

の推定30GWが2010年に導入され、世界の総設備容

量は推定1010GWに達した 162

水力発電容量の上位国は中国、ブラジル、米国、

カナダ、ロシアであり、これら5カ国で世界の設備

容量の52%を占める 163 。発電量の上位国は順に中国、 カナダ、ブラジル、米国、ロシアで、これはベー スロードの供給源として水力発電に依存している 国(カナダなど)もあれば、電力負荷に従ってピー ク時に対応するために使用されることが多い国(米 国など)もあるためである 164 。地域別では、アジア が世界の設備容量に占める割合で世界をリードし、 EU、南北アメリカが続き、アフリカはかなり遅れ て5位となっている 165

中国は2010年に新たに16GWの水力発電を導入し、

総設備容量は推定213GWに達した。これは稼動中

の設備容量が117GWだった2005年末から大幅に増

加した 166 。ブラジルでは約5GWが稼動し、総設備

容量は80.7GWとなり、さらに8.9GWが建設中であ

167 。 カ ナ ダ は2010年 に 水 力 発 電 に よ っ て 約

348TWhを発電し、同年末にまでに500MWを導入

して総設備容量は75.6GWとなった 168 。カナダ全体

で2011年始めまでに11GW以上のプロジェクトが建

設中で、2012年末までに推定1.3GWが稼動する 169

米国は経済不況が原因で、ここ最近の開発のスピー

ドは緩やかになっているが、2010年には0.02GWを

やや上回る新しい水力発電所が稼動し、設備容量

は78GW(揚水発電20.5GWは除く)となり、年間

257TWhを発電した(2009年は233.6TWh) 170 。ロ

シアは推定55GWで、国内の発電設備容量の5分の1

に相当する 171

ブラジルは国内の電力の約80%、カナダは約61%を

水力により発電している 172 。アフリカの多くの国で

は系統連系型電力のほぼ100%を水力で発電してい

る。ノルウェーもほぼ100%を水力に頼っている 173 。 ノルウェーとアイスランド、ニュージーランドは一 人当たりの水力発電量で世界をリードしている 174

ラオスの1.1GWのNam Theun2発電所と、中国の

2.4GWのJin'anqiao発電所、ブラジルの0.9GWのFoz

do Chapeco発電所、エチオピアの2つの施設(0.5GW

と0.3GW)などの水力発電の大型プロジェクトが

2010年に完成した 175 。ベトナムでは、東南アジアで 最大の水力発電(2.4GW)の一部が稼動を始めた 176

ほかにも多くの国で大規模から小規模まで水力発 電の開発が続いている 177 。2010年に、エクアドル (0.2GW)、 ト ル コ(0.02GW)、 ウ ズ ベ キ ス タ ン (0.05GW)でプロジェクトが完成した 178 。オースト ラリアでは初めて、処理済みの下水を利用した水 力発電の稼動が始まった。ニューサウスウェール

ズ州に建設されたこの発電所は、水が60メートル

のシャフトを落ちる際のエネルギーを利用する 179

インドの既存容量は40GW(そのうちの37.4GWは

大型水力)で、水力発電容量で世界6位である。

2010年に約0.3GWの小水力 を導入し、2010年末の

時点で小水力の累計発電容量は2.9GWとなった。

2011年始めには、新たに0.9GWの小水力の建設が

進行中である 180 。ブラジルは2011年始めまでに53の

建設中の小水力プロジェクト(0.7GW)があり、

149の新たな発電所(2.1GW)が認可された 181 。カ ナダ、イラン、カザフスタン、スイスも多くの小 水力発電所が建設中あるいは計画段階にある 182 。ル

ワンダは2015年までに小水力発電容量を0.04GWに

引き上げることを目標としている 183

アジア(中国が1位)とラテンアメリカ(ブラジル

が1位)は、水力発電の開発に最も熱心な地域であ

184 。中国では今後5年間に140GWの新設を予定し

ている 185 。中国はイランと共同で、イランのザグロ

ス山脈で1.5GWの世界で最も高い立地でのダムプロ

ジェクトを計画している 186 。ブラジルは2011年の後

半に3.2GWの貯水池式のプロジェクトなど、アマゾ

ン地域で2つの大型プロジェクトを計画している 187

北アメリカとヨーロッパでも新しい発電所を建設

しており、既存の発電所の近代化と揚水発電施設の

小水力は 10MW 未満の施設と一般的に定義づけられている。しかし、インド(25MW 以下)やブラジル(30MW 未満)など例外も多くある。詳細については「用語解説」の欄 を参照のこと。本報告書における水力発電の扱いについては「設備容量の算出と報告」の注釈を参照のこと。

設置を中心に進めている 188

揚水発電は、後に使用するエネルギーを蓄えるた

め水位が低い貯水池から高い貯水池に水をポンプ

で送る必要がある。そこでは変換ロスが発生する。

揚水発電そのものはエネルギー源にはならない。

揚水発電への関心は、とくに多様な自然エネルギー

源が比較的普及している地域や国で高まりつつあ

189 。揚水発電はまた、電力需要のピーク時に電力

価格が高くなるのを抑えるために利用されている。 大半の揚水発電は、EUや日本、米国にある 190 。中国、 ドイツ、スロベニア、ウクライナなど、世界全体

で2010年に約4GWが新たに導入され、世界全体で

稼動中の揚水発電所の容量は2005年の98GWから約

136GWに増加した 191 。2011年始めまでに設備容量

5GW以上が契約を交わしており、揚水発電市場は

今後5年間で60%増加すると推測される 192

1 9 2 。 海洋エネルギー

海洋エネルギー 海洋エネルギーは、この報告書で取り上げている 自然エネルギー技術の中では最も開発が遅れてい るが、様々な見込みのある技術として関心が高まっ ている 193 (補足欄1を参照)。発電するための海洋エ ネルギー技術には、波力、潮力(堰方式、タービン)、 浸透膜発電、海洋温度差発電(OTEC)システム などがある。

ランスの240MW潮力発電所は、フランス沖で1966

年に稼動を始め、年間約600GWhを発電し続けてき

194 。他にも潮力プロジェクトが長年にわたり、カ

ナダ、ロシア、中国で出現し、2001年には推定

262MWの施設が稼動していた 195 。だが、海洋エネ

ルギーの開発は最近までほとんど行われなかった。

2010年末に、潮力堰方式システムのみが商業ベー

スにのり、世界の海洋エネルギーの設備容量の大 半を占めている 196

しかし、2010年にはさまざまな技術を用いた商業

化前の発電プロジェクトがいくつかあった。他の 自然エネルギー技術と比べて既存容量は小さいが、 多くのプロジェクトが開発中あるいは契約済で、

少なくとも25カ国が海洋エネルギー開発に携わっ

ている 197 。2010年末には、波力発電(2MW)およ

び潮力発電(4MW)を合わせた推定6MWが、国

際エネルギー機関(IEA)の「海洋エネルギーシス

テムに係る実施協定」に加盟する18の加盟国で導

入された 198 。こうしたプロジェクトの大半がヨー ロッパで実施されており、主にポルトガルと英国 の沖で短期間の実証試験を行っている。商業化に むけて第一段階に入りつつあるプロトタイプが数 基ある 199

また、2010年には最初の事業規模の系統連系型の

波力発電機(0.25MW)が稼動してから10年を経て、

送電網を通じて約6万世帯に電力を送り、年平均稼

働率98%を達成した 200 。さらに、世界初の事業規模

の潮力タービン(1.2MW)が北アイルランド沖か

ら英国の送電網に2GWhを供給するという大きな節

目に到達した 201

海洋エネルギー利用の進展は、2010年にスウェー

デンが少なくとも0.04MWの実証プロジェクトに乗

り出したことやオーストラリア西部で継続的に 5MWを開発していることに現れている 202 。ノル

ウェーでは、11月に1.5MWのMorildⅡの浮力式の

潮力プラントが稼動した 203 。他にもドイツの電力会

社E.ON.が0.075MWのPelamis波力機の試験運転を

開始した 204 。カリフォルニアの電力会社が2008年~

2010年に、設置場所やコストの問題のために3つの

波力発電設備で開発を中止したが、波力エネルギー の開発が進んでいる州もある 205 。2010年にはハワイ

州の米国海軍基地の電力網に0.04MWの波力システ

ムが接続された。最終的にはオレゴン州沖で事業規 模の波力プロジェクトの建設が始まった 206

将来にむけて、世界中の多くの国々でプロジェク

トが計画されている。英国では2011年に7.4MWの

試作品が計画および製造の最終段階にあった。他

にも11MWのプロジェクトの許可が下り、また

23MWが英国の計画に入っている 207 。トルコ沖での 波力発電計画の他にも、インドネシア、イタリア、 インド洋沖のレユニオン島などでさまざまな海洋 エネルギープロジェクトが進められている 208

アジアで最初の商業用潮力発電所の建設が2011年

に始まることになっている。インドのグジャラート

州の沖で、50MWの施設が建設される予定であり、

今後その施設は総設備容量250MWにまで拡大する

計画である 209 。韓国ではいくつか小規模プロジェク ト が 進 行 し て お り、2011年 に 稼 動 す る 予 定 の

254MWのSihwa潮力発電所の建設によって、世界

の潮力発電の既存容量は約520MWに増加する 210 。 技術の評価を行っている国は、オーストラリア、カ ナダ、フランス、アイルランド、日本、ニュージー ランド、ポルトガル、スペイン、米国である 211

熱利用および冷房市場

近代的バイオマス、太陽、地熱のエネルギーは現 在世界中で数千万もの建物に温水や暖房を供給し ている。太陽熱温水器だけでも多くの学校、病院、

ホテル、政府機関や商業ビルに加えて7000万以上

の世帯(その多くは中国)で利用されている。さ

らに、産業で太陽熱によりプロセス熱を生み出そ

うとする傾向も強まっており、冷却目的での太陽

エネルギー利用に対する関心も増している。バイ

オマスと地熱エネルギーは産業、家庭、また農業

分野にも熱を供給している。パッシブソーラービ

補足1.海洋エネルギー技術と商業化

海洋エネルギー技術の商業利用は依然として限ら

れているが、2010年には将来の市場につながる取

り組みが増加した。2010年には、累積容量1GW

を超える100以上の海洋エネルギープロジェクト

が、さまざまな開発段階に達した。一方では、経 済的支援や政策支援の高まりが、新たなプロトタ イプの実験に必要なインフラの開発を加速した。

2010年、英国、デンマーク、スウェーデン、カナ

ダで、沖合実験施設が設置された。2011年始めま

でに、ポルトガル、スペイン、ノルウェー、アイ

ルランド、米国で新しい施設が開発中にある。

海洋エネルギー技術は比較的未発達なことから、

商業化に備えるために多様な機器を競争させて、

実験的な研究開発のさまざまな取り組みを促進し

てきた。こうした構想の多様性は、波力エネルギー

分野でかなり明確に表れている。英国やオースト

ラリア、米国の企業は”点集中式吸収”システム

のプロトタイプの実験を行っている。これは通常、

あまり波の大きさに関係なく、あらゆる方向から

のエネルギーを吸収するよう設計されている。

通常、波の大きさに強く影響され、波の方向に平

行に作動する「線式吸収器」も実海域実験を行っ

てきた。開発中の構想には他にも、生じる波に注

目し吸収あるいは「消波処理」する「消波工型」

がある。「振動水柱型」は、空気を圧縮し発電設

備を動かすために波を利用する。

潮力エネルギー分野も同様に多様な機器がある。

この4年間に、水平軸タービンがヨーロッパや北

ア メ リ カ の い く つ か の 企 業 で 開 始 さ れ た。 「oscillating hydrofoil型」のプロトタイプは2009 年に実験された。垂直軸(もしくは交差軸)ター ビンは実用試験段階に達している。

こうした開発は、とりわけヨーロッパ、北アメリ カ、韓国では、研究開発に対する公共の財政支援 による強力な後ろ盾がある。これらの政府は、プ ロジェクトやプログラム、実験施設、実証プロジェ クト、基礎調査などに対して通常1000万~ 1億ド ルの補助金や財政支援を提供している。最近では、 ベルギー、カナダ、デンマーク、アイルランド、 ポルトガル、韓国、米国が投資を行っている。

波力・潮力技術の進歩の一方で、温度勾配や塩分 濃度勾配をもとにしたエネルギーの開発などの海 洋エネルギー技術が国家プロジェクトの研究項目 に挙がりつつある。海洋エネルギー技術は一般的 にはまだ開発段階にある。この分野は風力エネル ギーと比べて15 ~ 25年遅れている一方で、風力 エネルギーと同様に多様な商業化の道をたどる準 備段階にある。

出典:本章の巻末注193を参照。

ルデザインは膨大な熱(および光)を供給しており、

その数もまた増加している。しかし世界規模のデー

タがないため、ここには含まれていない。

バイオマス熱利用 世界的にみれば自然エネルギー由来の熱利用の多 くは引き続き近代的バイオマスによって供給され ている。これは固形、液状、ガス状のバイオマス を燃焼させることで熱を得るものであり、調理や 温水、室内暖房、プロセス熱などに用いられている。 個人住宅規模の装置から熱電併給プラント(CH P)を含む大規模地域暖房システムにまで利用さ れている。最新の世界規模のデータが利用できる

2008年において、熱利用のための近代的バイオマ

ス利用は世界で1万1600ペタジュール(PJ)となっ

ている 212

2009年には推計234.5PJ(5.6 mtoe:million ton oil equivalent石油換算トン)の固形バイオマスとバイ オガス由来の熱がヨーロッパの熱利用市場で販売

されたが、その97%は固形バイオマスを利用したも

のだった。CHP(64%)と熱利用のみの施設(36%)

を組み合わせて熱を供給しているが、この混合率は 各国の資源利用可能性や現在のエネルギー供給シ ステム、補助政策によって異なる。屋内熱利用は個 人住宅システム(薪ストーブなど)によるか地域暖 房システムによるかにかかわらず、ヨーロッパでの 固形バイオマス販売の大部分を占めている 213 。バイ オマス熱利用市場はヨーロッパで堅調に拡大して

おり、2009年にはハンガリー、ポーランド、オラ

ンダが最高の成長率を示した 214

スウェーデン、フィンランド、デンマークはヨー ロッパのバイオマス熱利用市場を牽引しており、こ

の3カ国がEUの地域熱供給ネットワークで販売さ

れるすべてのバイオマス熱利用量の70%を供給して

いる。フィンランドは一人当たりの固形バイオマ ス由来の熱供給でヨーロッパをリードしている 215

しかし熱生産量は2009年にスウェーデンとフィン

ランドでわずかながら減少している。とくにフィ ンランドでは経済危機によって木材加工と紙パル プ産業がさらに縮小して生産高が下落を続けたた めに減少した 216

スウェーデンでは2008年にバイオマスが住宅向け

の主要なエネルギー源となり、暖房施設で直接に、

あるいは地域暖房スキームへ連結する形で使用さ

れている。地域熱供給ネットワークへの熱利用総売

り上げは2009年に減少したものの、固形バイオマ

スの売り上げは伸び続けており、スウェーデンの全 エネルギー供給(熱利用、発電および輸送)に占め

るバイオマスの割合(32%)が初めて石油(31%)

を超えた 217 。デンマークは発電の約10%と熱量の多 くをバイオマスCHPによって供給している 218

バイオメタン(精製バイオマス)はヨーロッパで数 十年にわたって発電と熱利用に利用されてきた。バ イオメタンは天然ガス供給網に導入され、主として ガス発電所の熱電併給プラントで利用されている。 オーストリアやオランダ、スウェーデンやスイスな どいくつかの国で採用例が増えている 219 。バイオガ スによる熱を最も供給しているのはドイツ、オラン ダ、フランス、ポーランド、そしてデンマークであ

220 。ドイツは2006年までバイオメタンの開発を始

めていなかったが今では他のヨーロッパ諸国を大 きく引き離して前進している。プロジェクト数は急 速に増加しているが、これは国内の固定価格買取制

度によって強力に牽引されたものである。2010年

11月までに44の施設がガス供給網に接続しており、

年末までには全部で60の施設が接続されると見込

まれている。これにより総量では1時間あたり4万

㎥を供給できるようになる 221

バイオマスペレットも同様にEU内で一般的な燃料 となっている。ペレットはベルギーやオランダで は主として発電に利用され、スウェーデンやデン マークではCHP用に燃焼されている。その他の国 では家庭用と商業ビル用の暖房に広く利用されて

いる。EUでは2010年に1100万トン以上の木質ペ

レットが消費されたが、これは2009年と比べて7%

の増加である 222 。スウェーデンは2010年に200万ト

ンという最大の消費国であり、ドイツは約100万ト

ンを消費している 223 。結果として木質ペレットはカ

ナダからヨーロッパへ輸出されるようになり(2010

年には100万トン)、米国からの輸出は2008年から

2010年の間に倍増した(60万トン) 224

熱利用のための屋内での薪利用も同様に一般的な

ものとなってきている。米国では多くの州で2000

年から2010年の間に熱利用のために薪かペレット

を利用する家庭が50%以上の割合で増加した。2011

年初頭までに推計1200万の薪ストーブおよびペ

レットストーブや暖炉が導入された。米国の家庭

の10戸に1戸がバイオマスストーブをもっているこ

とになる。210万から260万の家庭が主要な、ある

いは唯一の熱源として木質燃料を利用している 225

発展途上国では米やココナッツ皮のような農業廃 棄物を利用して小規模から大規模までの電力と熱 を供給するのが一般的である 226 。アルゼンチンや オーストラリア、ブラジル、中国、コロンビア、 キューバ、グアテマラ、インド、ケニア、モーリシャ ス、フィリピン、タンザニア、タイ、ウガンダなど、 大規模な砂糖産業がある先進国および発展途上国 では、バガスの電力と熱への利用が重要なものと なっている 227 。たとえばタイの固形バイオマス容量 (バイオマス発電の項目を参照)の大部分はCHPで 利用されるバガスによるものである 228

小規模バイオガス施設の利用も増加している。中

国では推計5000万の家庭がバイオガスを利用して

おり、施設数という点で世界をリードしている 229

インドは2010年に6万以上の小規模バイオガス施設

を増設して、国内の総施設数は430万となり、調理

用のエネルギー需要を満たすために利用されてい

230 。バイオマスガス化は零細、小規模、中規模企

業で熱利用のために採用される数が増えている。 また、バイオガスを製造してボンベに詰めたり、 パイプラインで送り届ける混合供給施設も一般的 になってきており、発酵後の固形残さは土壌の肥 料として利用されている 231

太陽熱の熱利用と冷房 太陽熱温水器の技術は普及しつつあり、数カ国で は給湯に大いに役立っている。中国、ドイツ、ト

ルコ、インド、オーストラリアは2009年の新規導

入設備容量において市場を牽引しており、中国、 トルコ、ドイツ、日本、ギリシャが同年末までの 総設備容量で上位を占めている 232 (図9、図10と表

R5参照)。

2010年、既存の太陽熱温水器および暖房設備の容

量は約25GWthで約16%増加し、およそ185GWthに

達した(非ガラス管式の温水プールでの利用を除 く) 233 。中国は推計17.5GWth(集熱器面積では 2500万 ㎡ 以 下 同 じ ) を 新 規 導 入 し、 総 量 で は 118GWth(1億6800万㎡)弱となった 234

残りの新規導入容量の大部分はEUが占めている。 しかし経済の停滞のためオーストリア、ドイツ、 フランスなど主要なヨーロッパ市場では新規導入 が減少を続けた。ギリシャとイタリアの市場では わずかに増加した一方で、スペイン市場は前年に は21%増加したものの2010年は変化がなかった 235 。 発展中のヨーロッパ市場、すなわちチェコ、デン マーク、ポーランド、ポルトガル、スイス、英国 の市場の成長も、大規模市場の減少を埋め合わせ

ることにはならなかった。2010年のEUでの新規設

置総量は2.6GWth となり、2009年に比べて10%の

減少、2008年市場に比べると約19%の減少であり、

既存設備容量は25.1GWhとなった 236

ドイツの新規設置量は引き続きヨーロッパで最大

であり、EU全体の約3分の1を占めているが、新規

設置が2年連続で減少した(2009年に比べて26%の

減少)。その主要な原因は国内の払い戻しプログラ

ムが一時的に停止・再構成されていることであり、

また天然ガス市場の価格が低下していることも影

図9. 太陽熱温水/暖房設備の新規設備容量 上位12カ国/地域(2009年)

中国 80.3 % ドイツ 3.1 % トルコ 1.8 % インド 1.1 % オーストラリア 1.0 %
中国
80.3 %
ドイツ
3.1 %
トルコ
1.8 %
インド
1.1 %
オーストラリア
1.0 %
イタリア
0.9 %
オーストリア、スペイン、ブラジル
各0.7 %
イスラエル、フランス
各0.5 %
その他
8.2 %
ギリシャ
0.4 %

出典:Weiss and Mauther, 2011

図10. 太陽熱温水/暖房設備の既存設備容量 上位12カ国/地域(2009年)

中国 64 % トルコ 5 % ドイツ 5 % existing capacity 日本、ギリシャ、イスラエル、
中国
64
%
トルコ
5
%
ドイツ
5
%
existing
capacity
日本、ギリシャ、イスラエル、
ブラジル、オーストリア
各2 %
インド、米国、
その他
12
%
オーストラリア、イタリア
各1 %

出典:Weiss and Mauther, 2011

響している 237 。ドイツは年末までに既存設備容量 9.8GWthに加えて0.8GWthを新規導入した 238 。温

水・暖房システムの割合は国内市場の約3分の2ま

で増加した 239 。オーストリア(3.2GWth)、ギリシャ

(2.9GWth)は全設備容量では引き続き2位と3位に

位置している 240

ブラジルは2010年に約0.6GWthを新規に設置した 241 。 ブラジル市場は近年急激に伸びており、その大部分 の設備は南東の州で導入されている 242 。ラテンアメ リカの他の地域ではチリやウルグアイのように非 常に小規模であるが成長している市場がある 243

中国以外では、日本とインドがアジアでの最大市場

である。2010年から2011年の間、インドは0.35GWth

(50万㎡)の太陽熱利用容量を増やし、2011年1月

末には全体で約2.8GWth(397万㎡)となった 244

米国市場(非ガラス管式の温水プールでの利用を除

く)は依然として比較的小規模ではあるが前進して

いる。カリフォルニアは先行していたハワイを追い

抜いたと見られ、さらにフロリダとアリゾナが続い

ている 245 。2010年には国全体で約3万5500のシステ

ム(約0.2GWth)が導入されて5%の市場成長を示

しており、全設備容量を2.3GWth近くまで押し上げ

246 。2009年に比べて成長率が低かったのは経済危

機のためと競合する家庭用暖房燃料の価格下落の

ためであり、これによって太陽熱利用システムの投

資回収期間が長くなってしまっている 247

アフリカではエジプト、エチオピア、ケニア、モロッ

コ、ナミビア、南アフリカ、チュニジア、ジンバブ エその他の国々に市場が拡大している 248 。たとえば

エジプトは2010年末までに1GWth(70万㎡)の太

陽熱システムを導入しており、モロッコの集熱器容 量は総計で約0.2GWth(28万㎡)となった 249

キプロスは全体では18位であるが、一人当たりを

基準にすると2009年末も引き続き世界の太陽熱利

用におけるリーダーであり、住民1000人当たりの

容量は554kWthであった。これに続くのがイスラ

エル(391kWth)である 250 。オーストリアは2009年

に住民1000人当たりの容量が315kWthであり、引

き続きヨーロッパ大陸の牽引役である。これに続

くのがギリシャ(266kWth)とドイツ(102kWth)

である 251

太陽熱による暖房と冷房も同様に、とくにヨーロッ パにおいて前進している。最も進んだ太陽熱市場は オーストリア、ドイツ、スペインであり、ここでは あらゆる規模の住宅やホテル向けの温水および暖 房設備、地域暖房や空調管理、冷房のための大規模 施設が導入されている 252 。太陽熱が導入されている

約115の地域暖房ネットワークと11の太陽熱冷房シ

ステムが2009年末ヨーロッパで操業されている 253

カナダとサウジアラビアもまた大規模なシステム

を導入した。2011年初頭、4万人の大学生に温水と

暖房を供給するためにリヤドで稼動した0.03GWth

のシステムは、デンマークのマースタル(Marstal)

における施設を追い越し、世界最大のものとなっ

254 。世界最大となると予想される太陽熱冷房施設

は2011年初頭にシンガポールで建設中であった

(3900㎡または0.003GWth) 255

太陽熱利用および蒸気利用もまた様々な産業プロ セスで利用が可能であるが、太陽熱技術のなかで 最も発展が遅れたものである。多くの産業プロセ

ス用の太陽熱利用設備が2009年と2010年に稼動し

たが、世界的にはわずかに100のプロジェクトが進

行中であるにすぎない 256 。一般に屋根に取り付けら れている比較的小規模なシステムで用いられる典 型的な平板型集熱器や真空管式集熱器によって 100℃以下の熱が供給されうる 257 。より高温の熱を 供給するにはパラボラトラフ式か線状のフレネル 型集熱器とCSPに適する程度の良好な日射が必要 であるが、一般的にはよく屋根に取り付けられ低 温で作動できる小規模システムを用いる 258 。2011年 初頭までには最大規模の太陽熱によるプロセス加 熱設備が中国の杭州で操業を始めるといわれてい た。その他の施設も中国で稼動しており、南アフ リカやその他の国にシステムを導入する計画が進 行中である 259

地熱直接利用