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インターネット上の多目的な

音声伝送システムに関する研究

広島市立大学大学院情報科学研究科情報工学専攻
情報ネットワーク講座

岸田 崇志
発表概要
 はじめに
 研究目的
 音声伝送の利用場面
 多目的音声伝送システムの実装
 評価・実証実験
 おわりに

2003.2.14 平成14年度修士論文発表会 2
はじめに
広域 LAN 等の広帯域ネットワークの普
―及
リアルタイム音声伝送も一
般化

音声伝送を用いた様々な利用場面の増加
― 遠隔講演,遠隔講義,遠隔合唱
etc.
一括りに音声伝送といっても利用場面は多岐にわた

それぞれの利用場面において必要とされる条件も異
なる
2003.2.14 平成14年度修士論文発表会 3
目的

利用場面に応じた音声伝送ツールが必要

•それぞれの利用場面で要求される条件に
ついての検討
•利用場面に対応できる多目的な音声伝送
システムの開発

2003.2.14 平成14年度修士論文発表会 4
音声伝送の利用場面
利用場面を大きく以下の 3 つに分類
 一方向が主,双方向での会話がほとんどない
   遠隔講演や遠隔講義
 議論が主,双方向の会話が多い
   遠隔会議や会話
 拠点間の音声のずれは許されず,双方向性が
非常に高い
   遠隔合唱や遠隔合奏
2003.2.14 平成14年度修士論文発表会 5
利用場面と要求条件
     利用 遠隔合唱 遠隔会議 遠隔講演
場面 遠隔合奏 (会話) 遠隔講義
主な通信の 双方向 双方向 一方向
方向性
双方向性 非常に高い 高い 低い

許容遅延時 100ms 未満 400ms 未満 任意


間 ITU-T G.114
より
パケット損失 低  中 高
等の耐性(ロ
バスト性)
主な要求条件 音声のタイミ 会話に支障が 確実に音声を
ングを同期さ ないこと 届けること
せること
ロバスト性が高いほどパケット損失などに対する耐性が強い
2003.2.14 平成14年度修士論文発表会 6
MRAT ( Multipurpose RAT)
全ての利用場面に対応
 MRAT ( Multipurpose
RAT) の開発
 利用場面ごとに 3 つのモー
ドを持つ
 Chorus モード
  ・・・低遅延
音声伝送
 Conversation モード

 Broadcast モード

・・・ロバスト性の
2003.2.14 強化
平成14年度修士論文発表会 7
各モードの位置づけ
遅延時 間   ( 転送遅延、 ジッタ、処理
遅延 )
遠隔講義・遠隔講演
400ms

遠隔会議・会話

100ms

遠隔合唱 遅延時間とロバスト性
はトレードオフの関係
0ms 低 高
ロバスト性
2003.2.14 平成14年度修士論文発表会 8
利用場面と各モードの対応
遅延  ( 転送遅延、ジッタ、処理遅延 )

Broadcast モ
遠隔講義・遠隔講演
400ms ード
ロバスト性優先

遠隔会議・会話
Conversation モ
ード 従来の RAT
100ms

Chorus モー 遠隔合唱 この 2 モードを追


ド 加
低遅延化優先
0ms 低 高
ロバスト性
2003.2.14 平成14年度修士論文発表会 9
Chorus モード
 低遅延化優先
 片方向の遅延時間 100ms 以内
Ex.) 遅延時間 150ms 程度の場

 オーディオデバイス上でのバッファ処
理のスケジューリングのパラメータを
変更 
→  低遅延化
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Broadcast モード
 ロバスト性を最大限に重視
ー通信の信頼性を高める方式
  ARQ ( Automatic Repeat
reQuest
損失したパケットを自動的に再送する方

法 再送処理のオーバヘッドのためリアルタ
イム伝送に向かない
  FEC ( Forward Error

Correction
送信側 )
パケット数個ごとに冗長パケットを生成,送信

受信側 パケット損失が発生すれば,冗長パケットから

復元 再送処理がないためリアルタイム伝送に
 向く
冗長パケットの生成にはブロック符号 Reed-Solom
符号方式を採用   バースト誤りに強い
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Reed-Solomon 符号を用いた
FEC

情報パケッ

・・・ 12 パケッ

15 パケッ
送信 ト
冗長パケッ

3 パケッ

ヘッ デー
ダ タ 3 パケットの損
 Reed-Solomon ( 15,12 )ブロ 失なら回復可能
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実装
 実装状況 → 実装済み
 Conversation モード
 Chorus モード 完成
 Broadcast モード

RAT に装備されているほぼ全ての音声 CODEC に
対応
 動作確認を行った環境
CPU PentiumⅢ 1.0GHz ~ PentiumⅡ300MHz
OS Vine Linux 2.1,Vine Linux2.1.5,Vine
Soundcard Linux2.5
SoundBlaster Live! Value

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MRAT の評価
 各モードでの遅延時間の測定
 Broadcast モード
 エラー回復能力を理論値と実測値との比較
 パケット損失が生じたネットワーク上での
実際の効果
 Broadcast モードを用いた実践
 Chorus モード
 遠隔合唱での実証実験

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遅延時間測定結果

モード 片側の遅延時間
Broadcast
143 [ms]
(15,11)
Broadcast
138 [ms]
(15,12)
Broadcast 全て要求条件
138 [ms]
(15,13)
Conversatio を満たしている
132 [ms]
n
Chorus 72 [ms]
この値は十分に速くトラフィックの少ないネットワークで測
定しており実際の MRAT の処理遅延に近い
実際はこの値に転送遅延が加算されたものになる
2003.2.14 平成14年度修士論文発表会 15
Broadcast モードのエラー回復
パケットロス
生成用 PC CPU PentiumⅡ  
1,2,4,6,8,10 300MHz
% の確率でパ
OS Vine Linux2.1
ケット損失発
生!

Ethernet
100Mbps
FEC デコード
後のパケット損
失率を測定
Host A Host B
CPU PentiumⅢ   CPU PentiumⅢ  
600MHz 1GHz
OS2003.2.14
Vine Linux2.5 平成14年度修士論文発表会
OS Vine Linux2.1 16
12
パケット損失 10 % FEC
10 なし
測定結果

~ ~

5
(15,13)実測値
(15 ,
(15,13)理論値
FEC復元後のパケット損失率 (%)

4
(15,12)実測値
13)
(15,12)理論値
3 (15,11)実測値
(15,11)理論値

2
(15 ,
12)
1

FEC あり (15,11) (15 ,


0 符号 11)
0 2 4 6 8 10 12
FEC復元前のパケット損失率 (%)
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Broadcast モード
での実践 (9 月~12月 )
佐賀大

広島市大-佐賀大 間
ジッタ: 4ms
JGN 平均パケット損失率:
   
(通信放送機
  0.000058 %
構)
RTT : 14.8ms
広島市立大学

各拠点で送信に使用する帯域
音声:  広島市大-広大 

ジッタ: 6ms
MRAT(160Kbps)
平均パケット損失率:
映像:  0.120%
広島大学
Mpeg2ts(5Mbps)
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Broadcast モードの効果
7.0%
FEC適用前
6.0% FEC適用後
パケット損失率 (%)

5.0%
4.0%
3.0%
2.0%
1.0%
0.0%
0 20 40 60 80 100
経過時間 (sec)

Reed-Solomon(15,11) 符号を
使用
2003.2.14 平成14年度修士論文発表会 19
Chorus モードでの
実証実験
白島小学校(ソプラノ)

伴奏+アル
伴奏
ト 広島市立大学
マメ de がんす
ソプラ 伴奏
ネットワーク
ノ 10Mbps 広域
70 ~
75ms アル LAN アルト+ソプ
ト ラノ
エンコード方式 Linear-16 (無圧縮
伴奏
伴奏+ソプラ サンプリングレ
PCM )
32kHz
ノ ート
チャンネル モノラル
転送遅延 2.1 ms
南観音小学校 ( アルト)
2003.2.14 ジッター
平成14年度修士論文発表会 7 ms 20
おわりに
 利用場面ごとに音声伝送に要求される条件の
検討
 それに基づいたシステムの実装,及び各項目
ごとの評価
 MRAT を用いて遠隔ゼミや遠隔合唱の実証実

今後の課題
各モードを用いた新たなアプリケーションの

提案
 ネットワークの状況に適応したロバスト性
2003.2.14 平成14年度修士論文発表会 21

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