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【「イソップ」からの伝言】金は使うべきか貯めるべきか - MSN産経ニュース 29/06/09 9:32 PM

【「イソップ」からの伝言】金は使うべきか貯めるべき

2009.5.5 08:13

 今回は動物ではなく、人間、それも「守銭奴」の話である。

 全財産を金塊に換えた男が、城壁の前にそれを埋めた。心配だからしょっちゅう、あ
るかどうか、確かめにきていた。するとそれに気づいた近所の男が金を盗んだ。盗まれ
た男は泣きわめいたが、わけを聞いた人がこう言ってなぐさめた。「同じ場所に石を埋
め、金と思うがいい。あるときに使わなかったんだから」

 そんな話だが、教訓として「使わなければ持っていても意味がない、ということをこ
の話は説き明かしている」(岩波文庫『イソップ寓話(ぐうわ)集』)と記している。

 定額給付金はそろそろ行き渡っているだろうか。景気対策という政府の趣旨から言え
ば、すぐに使ってもらいたいところだろう。しかし貯金好きという日本人の特性からし
て、消費にはあまり回らないとの見方もある。

 寓話のように金は使わなければ意味がない、という考えもある。「日本人は特に金の
使い方が下手」とも言われる。だがその一方で、年金をちゃんともらえるのか、健康保
険は大丈夫なのか、といった将来の不安がある以上、預貯金に回したがるのも仕方ない
という意見もあり、難しいテーマだ。

 ところで、この寓話とよく似た落語がある。「水屋の富」という。

 宝くじに当たった水屋が金を縁の下に隠した。心配だから朝夕、長い竿(さお)を縁
の下に突っ込み、確認していたが、それを怪しんだ近所の遊び人が、金を盗んでしまっ
た。

 気づいた水屋は「ないッ。ああ、これで苦労がなくなった」

 こちらは普通の庶民の噺(はなし)だけに、どこか切なくなる。(皿木喜久)

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