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【「イソップ」からの伝言】自分の悪性の証しを鳴らす - MSN産経ニュース 29/06/09 9:23 PM

【「イソップ」からの伝言】自分の悪性の証しを鳴らす
2009.6.2 08:12

 前に書いた猫の首に鈴をつける「鼠(ねずみ)の談合の事」にちょっと似た寓話(ぐ
うわ)がある。「鈴をつけた犬」だ。

 いきなり(人を)噛(か)む犬がいた。主人は鈴を作らせると、首に結わえつけ遠く
からでも分かるようにした。犬は鈴を振り振り、これ見よがしに広場を歩きまわった
が、老犬がこれを見て言うには「可哀そうに。何を自慢しているのじゃ。それは美徳や
お行儀の褒美ではない。己れの悪性の証しを鳴らしているんだぞ」(岩波文庫「イソッ
プ寓話集」から)。

 分かりやすい話といえる。周囲から鼻つまみ者として遠ざけられていることを勘違い
して得意になったり、事件を起こし刑務所送りになったりしてもそれを自慢するような
「悪党」はどこの世界にもいるからだ。

 国際政治でいえば、やはり北朝鮮を思い浮かべる人は多いだろう。

 国際社会の反対を押し切って核実験は強行するわ、長距離弾道ミサイルを飛ばす。他
国から将来のある若者を拉致する。ちゃんとした国家のやることとは考えられない「悪
事」をつくし、そのたびに国連決議や国際的制裁が行われる。あるときには「ならず
者」の烙印(らくいん)まで押される。

 ところが当人(国)は、そんな烙印に恥じ入るどころか、自慢するかのように、さら
に「悪事」を繰り返す。それを止める代償として別の経済支援を勝ち取ろうとする。
「鈴をつけた犬」そのものである。

 「瀬戸際外交」とも言われる。しかしそんな立派なものではなく「己れの悪性の証し
を鳴らしている」ということを忠告できる老犬の存在が必要だ。もっとも聞く耳を持つ
かどうかはきわめて微妙だ。(皿木喜久)

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