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【「イソップ」からの伝言】正直者に神が宿るべきだ - MSN産経ニュース 29/06/09 9:29 PM

【「イソップ」からの伝言】正直者に神が宿るべきだ
2009.5.12 08:16

 日本ではことのほか「正直」であることが重要視されてきた。「正直の頭(こうべ)
に神宿る」ということわざもある。昔話の「花咲じいさん」は、正直であったがゆえ
に、宝物に恵まれたことになっている。

 イソップにも「正直」をたたえる寓話(ぐうわ)がある。

 ある男が木を伐(き)っていて川に斧(おの)を落とした。土手で嘆いているとヘル
メス(富と幸運の神)が現れた。ヘルメスは川にもぐり、金の斧を持って上がり「これ
がお前の斧か」と尋ねると「それではない」と答えた。

 次に、銀の斧を持って「これか」と聞くと「違う」。3番目に、男の斧を持って上が
ると「これこそ自分のだ」と言う。ヘルメスは男の正直さを嘉(よみ)して、3つとも
授けた。

 話を聞いた別の男がこれをうらやましく思い、川にわざと斧を落とした。ヘルメスが
同じように金の斧を見せると、男はあせって「それだ」と、答える。神は金の斧どころ
か、男の斧さえ返してやらなかった。

 「木樵(きこり)とヘルメス」である。まさに「正直の頭に神宿る」だ。しかし、こ
の話で罰を受けた方の男にも、どこか憎めないところがある。

 なぜなら、この男も「正直者」を装ってヘルメスに対応しておれば、金の斧も銀の斧
も手に入れることができただろうからである。むしろ、こちらの方が欲望に「正直」
だったように思えるのだ。

 現代社会には、人の善意や弱みを利用する「振り込め詐欺」犯や、隣国の人の良さに
つけ込み、乱暴狼藉(ろうぜき)をはたらく独裁国がある。こちらの方が、はるかに悪
質であることは間違いないだろう。(皿木喜久)

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