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【「イソップ」からの伝言】定見がないとすべてを失う - MSN産経ニュース 29/06/09 9:35 PM

【「イソップ」からの伝言】定見がないとすべてを失う
2009.6.30 07:47

 イソップからの翻訳で、江戸時代によく読まれた仮名草紙『伊曽保物語』に「人の心
のさだまらぬ事」という話がある。小堀桂一郎氏は著書『イソップ寓話(ぐうわ)』
で、これは別の笑話集を元祖としていて「イソップ寓話でない」と言うが、極めて「イ
ソップ的」ではあるので、現代語に訳し要約する。

 市で馬を売ろうとする親子連れがいた。馬を先に立て親子がその後を苦しそうに歩い
ていると、道行く人が「馬は乗るためなのに」と言う。そこで子供を馬に乗せて歩く
と、別の人が「元気な者が馬に乗り、年寄りが歩いている」というので親が代わった。

 ところがこんどは「たくましい馬なのに、一緒に乗らないでくたびれるのはおかし
い」と言われ、子供も馬の尻に乗せた。そのうち馬がくたびれると「馬の4本の足を結
び、二人して荷(にな)っていけばいい」という人がいる。

 その次には「重い馬を荷うより、皮だけはいで持っていけば楽だ」といわれ、そうす
ると道々蠅(はえ)にたかられ、人たちに笑われたので、怒って皮を捨てて帰ってし
まった。

 定見のない人は、簡単に他の人に動かされるという警句だが、普通の人ならともか
く、社会のリーダーたちがそれでは困る。

 特に麻生太郎首相は就任以来、発言や方針が「ぶれる」と言われてきた。人の意見に
左右されることが多いのかもしれない。民主党の鳩山由紀夫代表も「他人の考えに動か
されがち」と批判されてきた。

 ともに元首相の孫という育ちのせいかもしれないが、きちんと自らの考えを貫かない
と、日本という国がせっかくの「馬」を失うことにもなりかねない。(皿木喜久)

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