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【「イソップ」からの伝言】「馬」に対し身勝手過ぎると - MSN産経ニュース 29/06/09 9:20 PM

【「イソップ」からの伝言】「馬」に対し身勝手過ぎる

2009.6.9 08:19

 人間は昔から、犬や馬、牛などの動物を飼い慣らし、仕事を手伝わせてきた。しかし
時として、それが自分勝手になることを示す寓話(ぐうわ)がある。「馬と兵士」であ
る。岩波文庫版『イソップ寓話集』から要約する。

 戦争が行われている間、騎士は馬を気高い戦友として、大麦や秣(まぐさ)で養って
きた。ところが戦争が止(や)んで騎士が街から給料をもらえなくなると、馬は丸太を
ひき出したり、雑多な荷を運んだりするようになった。みじめな麩(ふすま)で命をつ
ないだ。

 ところが新たな戦争の噂(うわさ)が走り、盾を磨き、馬を飾り、剣を研ぐよう促さ
れると、かの男も再び、馬に轡(くつわ)を銜(ふく)ませ、うち跨(またが)ろうと
した。しかし馬にもはや力なく、倒れ込んで言うには「俺を馬から驢馬(ろば)に変え
やがったくせに、どうして今度は驢馬から馬に戻そうとするのだ」

 人間同士の世界に置き換えて、思い出すのは今春、北朝鮮がミサイルを発射したとき
のことだ。

 政府は日本の領土や領海に落下してくる場合、迎撃する方針を決め、自衛隊のイージ
ス艦や地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を配備した。

 これに対し一部の政党や知識人から「ほんとに撃ち落とせるのか」「外れたら恥だ」
という自衛隊の能力を疑うような声が起きた。そういう人に限って、普段は「憲法違
反」としたり、防衛費の削減を求めたりで、自衛隊をイジメてきたのである。

 シビリアンコントロールを振りかざして、現場の自衛官の口を封じ、日陰者のような
立場に置く。いつまでもそんなことをしているようだと、寓話の騎士のように泣きを見
ることになりかねない。(皿木喜久)

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