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【軍事情勢】民主党は「安保の外道」
08/22 23:23

�「統率の外道(げどう)」

�「神風特攻」を採用した大日本帝國(こく)海軍の大西瀧治郎・中将(1891 1945年)の言葉である。日米の余り
の戦力格差に、帝國海軍は敵艦艇への航空機による体当たり(特別)攻撃を決心した。だが、海軍は将兵の死を
前提とする作戦・兵器は認めてこなかった。その伝統を破る決断を下した大西提督はこの言葉に、せめて「自嘲(じ
ちょう)」を込めたのだった。民主党は自民党を追い込むため国会において、安全保障関係法案の賛否で揺さぶり、
政局・政争の道具にした。国益を危険にさらすこの種の政治戦術は、国際的には「政治(安保)の外道」とされる。
翻って豪州では、保守政権が親中とみられていた労働党に替わっても、軍拡路線をひた走る中国への備えを着々
と進めている。民主党が政権を奪取したとして、豪州のごとき「安保の正道」は歩めまい。中国との「友愛」に偏重
し、国家・国民を危険にさらす「安保の外道」を、引き続き歩むに違いない。

�■「禁じ手」使う戦術

�当然ながら、海軍の歴史に「決死」は存在する。日露戦争(1904 05年)時、陸上砲台からの迎撃や機雷の危険
の中、旅順港口に船舶を沈め、ロシア艦隊を港外に出さぬようにした閉塞(へいそく)作戦はその好例だろう。だ
が、志願者を募ったうえで、あくまで生還を目指した。大東亜戦争(1941 45年)緒戦の真珠湾攻撃で出撃した
特殊潜航艇も生還が前提。人間魚雷にしても当初、海軍は若手士官からの提案を採用しなかった。試作に腰を上
げたときですら、脱出装置導入を条件とした。以上のような海軍の伝統に鑑(かんが)み「必死」である特攻は「統
率の外道」とされたのだ。

�安保を人質に取る民主党の国会戦術は、特攻同様の「禁じ手」。それでも、民主党の、保守系議員からですら、大
西提督が発したごとき「自嘲」を込めた言葉は聞かれなかった。代わりに、政権後は「自虐」という冠を戴(いただ)
いた史観が跋扈(ばっこ)するだろう。現に、民主党幹部は「中国への心からの反省」「60年前の戦争の検証」を公
言してきた。「自虐」を通り越し「媚中」に至る懸念さえ払拭(ふっしょく)できない。

�■対照的な豪州の備え

�その点「親中」といわれた豪州の労働党政権は、前の保守政権から、安保政策の土台をしっかり引き継いでいる。

�整備する主な兵器は▽第5世代戦闘機(F−35)100機▽新型潜水艦12隻▽艦載を含む新型攻撃ヘリコプター
24機▽新型海上哨戒機8機▽高々度長距離無人偵察機7機▽防空駆逐艦3隻▽1万 1万5000トンの輸送艦▽
新型フリゲート8隻▽多用途ヘリ46機▽掃海機能も有する多用途沿岸戦闘艦20隻−に加え、初めて海上配備型
長射程の巡航ミサイルも導入される。

�こうした兵器や5月に発表された国防白書から見えてくる豪州の軍事戦略はまず「他国に依存しない本土防衛」。
次いで「インドネシア→パプアニューギニア→東ティモール→ニュージーランド・南太平洋の島嶼(とうしょ)国家とい
う豪州を取り囲む列島線の安定」「貿易・エネルギー輸送路であるインド洋の安定」である。このほか「アジア太平洋
における域内各国との紛争協力対処」「アジア太平洋外における国際社会との紛争協力対処」を視野に入れ軍事
力整備が進められている。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/print/world/worldnews/292862/
�国防費も、2018年までに毎年実質3%増が保証される。さらに、18年から30年までは毎年実質2.2%の増額が提
示され、この間は2.5%に固定された物価指数に国防費をスライドさせる。その結果、豪州の国防予算は現行の1
兆6000億円から2兆7500億円と、飛躍的増額を果たす。太平洋侵出を念頭に、中国が軍拡路線をひた走り続け
ているのだから当然だといえる。中国と海を隔てて向き合う日本が、過去7年で2300億円も減額されている実態と
は対照的だ。

�■危険な軍縮傾向

�中国の党・軍要人が来日すると、決まって「自衛隊戦力の脅威」を口にしていたが、ここ数年は聞かれなくなった。
日中戦力格差は逆転、その差は年々広がり「中国軍戦力の脅威」は、軍縮路線をひた走る日本にとり 危険水域
に達したからだ。

�民主党政権になったとして、この「危険な軍縮傾向」に歯止めがかかるのだろうか。かかるまい。それどころか「近
隣諸国に脅威を与える」として、中国牽制(けんせい)の切り札となる長射程兵器の導入を控えるかもしれない。
「近隣諸国に脅威を与える」は、社会党の常套(じょうとう)句であった。「脅威にならない兵器」は抑止に貢献しな
い。そればかりか、力の空白を作り出し、日本だけでなくアジア・太平洋の安定を大きく損なう。その社会党議員の
多くが過去、民主党に大移動し、あまつさえ社民党との連立に舵を切り始めた。

�民主党の鳩山由紀夫代表(62)も幹事長時代、当時の前原誠司代表(47)が中国の軍事力を「現実的脅威」と講
演で発言するや「先制攻撃はしないというのが中国の方針だ。その意図も考えれば、党の方針ではそのような(現
実的脅威という)考えは採っていない」と明言している。中国は、軍事上の 正当防衛 として国際法上も認められて
いる「先制攻撃」どころか、ベトナム侵略(1979年)まで行っているのに、だ。

�鳩山代表は「対等な日米関係」を繰り返すが、中国には「隷属」しても良いらしい。
�(政治部編集委員�野口裕之/SANKEI�EXPRESS)

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http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/print/world/worldnews/292862/

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