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【石平のChina�Watch】風刺詩に見る中国の世相

2009.8.27 07:31

�中国のネットでは最近、次のようなブラックジョークが流布されている。

�ある私営企業の社長は、社員のやる気を引き出すために、ひとつのスローガンを全社員に配
布して会社の合言葉にした。

�「やりたいならすぐ行動に移せ」というスローガンだった。

�その日のうち、会社の財務係は公金30万元を横領して夜逃げした。

�2日目には、会社の若手常務は社長の美人の奥さんと駆け落ちした。

�3日目には、会社の精鋭技術者3人がよその会社の引き抜きに応じた。

�4日目には、全社員は給料引き上げと労働時間の短縮に関する要望書を社長に提出した。

�5日目には、例のスローガンをうわさに聞いた取引先の企業が、会社の売掛金1千万元を踏
み倒した。

�そして6日目、いよいよ社長本人は、全社員のクビを切って休業すると決めた。

�しかしその翌日、クビになった社長秘書は、社長が長年やっていた贈賄や商売上の詐欺に関
するネタを週刊誌にタレ込んで検察にも密告した。

�このように、皆は合言葉の通り、やりたいことを真っ先にやってしまった。

�中国社会が陥っている深刻な人間不信を風刺するこのブラックジョークは、この国で何らか
の商売をしている人間なら、おおむね納得するのではないか。

�次の風刺詩はまた、最近のネット上で一世を風靡(ふうび)した絶品のひとつである。

�中国で最大の殺人者訓練機関はどこか知っているか。

�それは自動車学校だ(訳者注、中国全土の交通事故死亡者数は2008年では7万3千人)。

�中国で最大の失業者量産機関はどこか知っているか。

http://sankei.jp.msn.com/world/china/090827/chn0908270733000-c.htm
�それは大学だ。

�中国で最大のヤクザ養成機関はどこか知っているか。

�それは警察学校だ。

�中国で最大の汚職研修センターはどこか知っているか。

�それは間違いなく、共産党幹部の通う党校だ。

�この風刺詩のオチは、警察学校が「ヤクザ養成機関」、党幹部を教育する党校が「汚職研修
センター」だと揶揄(やゆ)されるところだ。要するに詩の著者からみれば、中国の警察はすな
わちヤクザであり、共産党幹部はイコール汚職者なのである。そしてこの風刺詩が全国のネッ
トで大人気を博しいることからすれば、多くの人々はそれと同じような認識を持っていることが
よく分かる。

�中国の警察は果たしてヤクザそのものであるかどうか、党幹部は全員が全員で汚職している
かどうかは、ここではもはや重要な問題ではない。重要なのは、多くの人々が現にそう思って
いることだ。

�政府や警察をターゲットとする暴動の多発の背景にも、このような共通認識の存在があると
思うが、とにかくネットの世界では、「党幹部はけしからん」、「警察はけしからん」というのが一
種のコンセンサスとなっているようだ。

�7月16日掲載の本欄は、中国における「世論」の誕生を記したが、この新しく生まれた世論の
空間では、現実への強い不満と、党幹部と権力に対する強い不信が主流を占めていることは
明々白々である。

�このような世論の形成と増殖は、共産党政権にとってたいへん危険な前兆であるとは言うま
でもない。旧ソ連では、体制崩壊の前から政権批判のブラックジョークが氾濫(はんらん)して
いたことがよく知られているが、それと同じような現象は、今の中国で起きているのだ。次の
番となるのは、やはり中国共産党政権なのか。

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【プロフィル】石平

�せき・へい�1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学
院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『私はなぜ「中国」
を捨てたのか』など著書多数。

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