You are on page 1of 2

成りすましスパイ事件、捜査終結へ�警視庁

2008.8.13 12:16

�アジア系ロシア人の男が実在する日本人に成りすます「背乗(はいの)り」で30年以上もスパイ
活動をしていた事件で、警視庁公安部は13日午後、他人名義のパスポートを不正取得し出
入国したとして、平成9年に旅券法違反容疑などで国際手配していた氏名不詳の男を書類送
検する。

�公安部の調べで、男が昨年6月、パスポートを更新せずに期限切れで失効していたことが判
明。不正取得したパスポートで再入国する可能性がなくなったことなどから、書類送検する方
針を固めた。背乗りから40年、手配から10年以上を経て、捜査は終結する見通しとなった。

�調べでは、男は昭和40年ごろ、福島県内から失跡した店員、黒羽一郎さん=当時(34)=に
なりすまし、41年ごろから東京都港区内の貿易会社に勤務。公刊資料や知識人から日本の
政治、経済、軍事情報などを収集していたという。ロシアのSVR(対外情報局、旧KGB)の諜
報(ちょうほう)員とみられる。黒羽さんは突然、失跡しており拉致された可能性もある。

�男は50年ごろ、黒羽さんの戸籍を使い日本人女性と結婚。平成7年2月、中国・北京に向け
て出国し、9年2月に、この妻をモスクワ郊外の豪邸に招いたことが判明している。その後、妻
は日本に帰国している。

�直接の容疑は、4年6月29日、在オーストリア日本大使館で、黒羽さん名義でパスポートの更
新手続きを行い、このパスポートを使って2回にわたり日本に出入国した疑い。男は9年6月に
サンクトペテルブルクの総領事館でパスポートを再更新したが、昨年6月、更新手続きが取ら
れないまま有効期限が切れた。再更新直後の9年7月に公安部は旅券法違反容疑などで逮
捕状を取って国際手配したが、それ以降の足取りは分かっていない。

�男はロシア語、日本語のほかスペイン語が堪能だった。海外出張を繰り返しており、日本人
の立場を利用して西欧諸国などでも情報収集を行っていた可能性が高い。黒羽さんと同年代
で、生存していれば現在70 80代。在日ロシア大使館の一等書記官が男の諜報(ちょうほう)
活動をバックアップしていたとみられている。

�■SVR(ロシア対外情報局)�旧ソ連の情報機関、国家保安委員会(KGB)の流れをくむロシ

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080813/crm0808131217007-c.htm
アの情報機関の一つ。平成3(1991)年のソ連解体後、対外的な情報収集任務を引き継い
だ。ライバル機関に軍参謀本部情報総局(GRU)がある。平成17年には、東芝の子会社元社
員がSVR諜報員とみられる在日ロシア通商代表部員に軍事転用可能な機密情報を漏洩(ろ
うえい)した事件で、元社員と部員が背任容疑で書類送検されている。

Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital

© 2008 Microsoft

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080813/crm0808131217007-c.htm

You might also like