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【集う】遺骨収集シンポジウム(8月24日、東京・九段の靖国

会館)
2009.9.5 07:58

�■まだ115万人 「残された時間は少ない」

�海外で眠ったままとなっている戦没者の遺骨収集事業で、フィリピンに根を張る日本の
NPO(非営利団体)の活動が、驚異的な成果を挙げている。

�数年前までは高齢化などを背景に、年間数十体の収集にとどまっていた。しかし、最近は、現
地に滞在する民間人が、豊富な情報を持つ現地住民に協力を仰いで遺骨を探し出し、年間
4000体を超す遺骨を取り上げている。現地で尽力する隊員らによるシンポジウム(産経新聞
社主催)が開かれ、会社員、学生が熱心に耳を傾けた。

�シンポの3日前に1555体分の遺骨と帰国したアルピニスト、野口健さん(36)によると、海外
戦没者の半数の115万体の遺骨が各地で眠ったままという。4千を超す収集の背景を、NPO
空援隊(くうえんたい)の倉田宇山(うさん)さん(53)は「フィリピン人10人、その仲間の150人
が毎日山に入って情報収集している」と質の大切さを強調。一方で、熱帯の密林や洞窟(どう
くつ)で迎えを待つ115万の兵に思いをはせ、「一人一人に人生があった」と言葉を継いだ。

�JYMA日本青年遺骨収集団の赤木衛理事長(45)は「硫黄島で洞穴を開けたら時が止まっ
ていた。さっきまで日記を書いていたような様子に圧倒された」。ジャーナリストの笹幸恵さん
(34)は「初めて見た遺骨は慰霊碑脇に転がった太股(ふともも)だった。60余年、私たちは何
をしてきたのか」と語り、停滞の最大原因は「国民の無関心」と力を込めた。

�収集は「国家の責任」というが、厚生労働省、防衛省、外務省の連携は遅々として進まない。
終戦時20歳だった人が5年ほどで90歳に届く。情報の質も変わるだろう。会場では「残され
た時間は少ない」(野口氏)と悲鳴にも似た声が上がった。(牛田久美)

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http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/090905/acd0909050759001-c.htm

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