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My Wonder Studio, Level 2_059 Feb. 17, 2011 The Tree That Wanted to See the World

せ かい

き はなし

界 を見 たがった木 のお 話

 ある曲 がりくねった小 のほとりの草 地 に、カシ

の若 木 が生 えていました。そのそばには、優 で

ゆう が

とした大 きなカシの木 が2本 、そびえ立 ってい

ました。この小 さな若木の名 は、スプリグスとい

々 としたカシの木

どう

ほん

どう

いました。スプリグスは、この堂

あいだ

たちを尊 敬 していました。彼 らは長 い年 の間 、ずっ

けい

けい けん

かず おお

とここに立って、 見 たり経 したりしたことから数 多

くのことを学 んできたからです。

いま

 スプリグスはたびたび、今 までに見 てきたことに

ついての 話 をしてほしいと大 きなカシの木 にねだり

えだ

ました。彼 らは、枝 の下 に来 ては遊 んでいた子 ども

あそ

あらし

とき

たちについての話や、はげしい 嵐 をやり過 ごした時

の話、何 も雨 が降 り続 いて小 が土 からあふ

なん

ど て

こう ずい

れ、洪 になった時の話など、その辺 りの草 地 で起

あた

こった数 の出 事

で き ごと

来 についての話をしてくれました

けっ

が、スプリグスは決 して 聞 きあきることはありませ

んでした。

して 聞 きあきることはありませ んでした。 ぼん  3本 のカシの木 が生 えている草 く

ぼん

 3本 のカシの木 が生 えている草 地 は、美

くて 平 に満 ちていました。地 は草 におお

へい

われ、まるでやわらかい 緑 のカーペットを

しきつめたようでした。そして、そこらじゅう

みどり

に色 とりどりの花 が散 りばめられていました。

さくて白 いスノードロップに黄 いラッパズ

かぜ

イセン、それに赤 いポピーが、春 のそよ風 に吹

はる

かれてなびいています。ミツバチがせっせと仕

ごと

事 にはげむ中 、明 るい色 のチョウは優 にお

ゆう が

どりながらそこらじゅうを舞 っています。そん

な中で、この小さなカシの若 木 は、何 かが物

なに

もの

足 りなく感 じてしょうがありませんでした。

 ある晴 れた日 のこと、スプリグスはことさら

ところ

にふさぎこんでいました。「どこかちがう 所

なに

えていたらなぁ。ここはきれいだけど、何

わ す

こらない。あまりにも平 和 ぎるんだよ。」

 年 のカシの木 たちがそれを聞 き、 小 さな

ねん

若 の願 いについて、じっと考 えていました。

わか

かんが

「なぁ、スプリグスや。この場 こそ、創 造 主

しょ

ぞう ぬし

ば しょ

わしたちにお定 めになった場 なのだということを、

わすれてはいかんぞ。」 いちばん大 きなカシの木 が

いました。

せ かい じゅう

 「わかってるよ。だけど、それでもぼくは、世 中

いま

を見 てみたいんだ。ツバメさんが、今 までに見たり

て。それを全 見

聞 いたりした場 の話 をしてくれたんだけど、山 や、

ば しょ

さ ばく

ところ

や、ジャングルなんか、いろんな 所 があるんだっ

ぜん ぶ み

部 ることができたらなぁ!」

 すると、別 のカシの木 が言 いました。「確 かに創

そう

は、様 な不 議

てくださった。だが、わたしたちにはみんな、創造

ぞう

さま

ふ し ぎ

思 に満 ちた 美 しい世 を造 っ

せ かい

つく

あた

ば しょ

主の与 えてくださったそれぞれの場 があるんだ。

そしてここが、わたしたちの場所なんだよ。」

 「だけどぼく、小 やちょうちょや、ミツバチのブ

ンブンいう音 に、もうあきちゃった。冒 がしたい

んだよ!」

ぼう

 大 きなカシの木 が、 低 くとどろくような声 で言 い

ひく

ぞう

ました。「スプリグスよ。創 は、わしたちにそれ

ぞれ 祝 された場 をお定 めになった。養 があっ

しゅく

ふく

しょ

よう

て、ちゃんと成 していける場所をな。不 平

せい

ふ へい は禁 きん

もつ

じゃ。」

 小 の水 は、カシの木 が生 えている近 くからわき

出 していました。そのせいで、カシの木の根 は水

たっぷりとうるおっていました。 暖 かい日 しは豊

かにふり注 ぎ、 葉 っぱは必 な養 をたっぷりと作

ひ ざ

ゆた

つく

ひつ よう

よう

ることができました。がんじょうな樹 は、虫 の攻

撃 から木を守 ってくれていました。

じゅ ひ

こう

 時 折 、嵐 が来 ると 雷 がとどろき、稲 が空 いっ

おり

かみなり

いな

ひ がい

ぱいに光 り渡 りました。けれども、カシの木 に被 害

ぞう

がおよぶことはありませんでした。創 は、常

ひつ よう

なものを 供 し、守 ってくださっていたのです。

きょう

2

 若 木 は頭 をたれて、うなずきました。けれども、

なのに、若木にはもはや、それらのものが目 に入

ないのです。

れません。周 りは 美 しいものばかり

ぶん は全 まった く晴

* * *

 若 木 にとっては、秋 と春 が最 もつらい季 でした。

あき

はる

秋 には渡 り鳥 がみんな、より 暖 かい場 へと飛 び

あき

あたた

どり

ば しょ

立 つ準 備 をするからです。鳥 たちはカシの木 の枝

に集 まって、これから 出 しようとしている旅 につ

いて、いろいろとおしゃべりします。すると、スプリ

とり

えだ

あつ

しゅっ

ぱつ

のこ

グスはいっしょに行 けないので、取 り残 されたよう

に感 じて 悲 しくなってしまうのです。そして春が来 る

みなみ

と、鳥たちは渡りや 南 の暖かい場所についてのみや

ばなし

げ話 を持 って帰 ってきました。

と ち

 スプリグスは、見 たことのないすばらしい土 を

いつか見ることを夢 見 ていました。金 色

きん いろ に輝 かがや く砂 すな

いっぱいの海 辺 や、 分 い雪 の毛 に包 まれた雪

もう ふ

ゆき

山 、うっそうと生 い茂 った 草 でいっぱいのジャン

くさ

み ごと

グル、それに、見 なシロナガスクジラが海 で潮

よう す

く様 などを夢 見 ていました。

かんが

 スプリグスは 考 えていました。(より良 い世 への

かい

ぼう

の夢 なんだ。ミツバチやちょうちょや小 のせ

ねむ

さそ

ば しょ

せらぎがぼくを眠 りに誘 うような場 じゃなくてね。)

 若 木 は、旅 して 回 ることを夢 見 ては、目 めるた

め ざ

びにこのような静 かで冒 のない場 にいることを

なげきました。

ぼう

ば しょ

 けれども、ある日 の朝 、何 かが起 こったのです。

その朝、太 はいつもより明 るく、熱 く照 りつけて

なに

あつ

いました。こんなに太陽の日 しが強 かったことな

んて、今 までにありません。そればかりか、小 川

ひ ざ

いま

せせらぎも、もはや聞 こえません。小川がどこにも

み あ

なに

見 たらないのです。(何 が起 こったんだろう?) 

木 は思 いをめぐらしました。周 りのすべてが、今

いま

までとちがいます。

 辺 りを見 して、若 木 はあっと 驚 きました。いつ

もの草 地 の青 とした草 ではなくて、辺 り一 が金

色 の砂 ばかりです。植 はほとんど生 えていません。

まわ

あお

あた

いっ

きん

しょく

ただ、小 さな茂 みがここそこにまばらにあるだけで

す。小さなスプリグスが見 す限 り、周 りは砂 、砂、

砂ばかりです。

おも

 スプリグスは思 いました。(何 てヘンなんだろう。

とつ ぜん

突 、すべてが変 わってしまったなんて。それに、

ひ ざ

あつ

ああ、何て日 しの熱 いこと!)

 遠 くの 方 に、とても変 わった 植 が生 えている

とお

ほう

しょく

えだ

すく

のが見 えます。枝 の少 ない木 のようですが、枝には

ぜん

ぜん

からだ じゅう がト

葉 っぱが全 ありません。その代 わり、 体 中

ゲでおおわれています。

 「木 だって?」 その 植 は笑 って言 いました。「ぼ

しょく

わら

くは木じゃない。サボテンなんだ。」

 「うわぁ、面 いですね! サボテンなんて、今

おも

いま

で聞 いたことがありません。」とスプリグス。

 「そうかい。ぼくたちは、砂 が存 在 するのと同

じぐらい、ずっと長 くここにいるんだ。ぼくたちは、

さ ばく

おな

砂漠に生 える。ここが、ぼくたちのうちさ。」と、サ

おし

ボテンが教 えてくれました。

 「葉 っぱはどこにあるんですか?」と、若 木 はたず

ねました。

 「葉 っぱだって? ぼくたちサボテンには、木 のよ

ばく

うな葉っぱは生 えないんだ。あのなぁ、砂 はすご

く暑 くて、水 もあまりないんだ。だから、創 造 主

ぞう ぬし

なん

 (何 て変 わってるんだろう! 葉 っ

いっ たい

ぱは、一 どこについてるんだ?)

 そういえば、自 だって秋 に葉

あき

が落 ちると、冬 の間 は枝 しか残

ふゆ

えだ

のこ

りません。まるで、死 んだように

はる

えることさえありますが、春 に

なると葉はやがてまた生 えてきま

す。けれども、ここはちがいまし

た。突 やって来 た新 しい土 地

と ち

とつ ぜん

は、寒 くありません。事 、その

い日 よりも、ずっと暑いのです。

はん

です。草 地 での真 夏

ま なつ の最 さい

こう

 ついにスプリグスは好 に負

に呼 びかけま

した。「あのう・・・。あなたの

こう き

き みょう な植

しょく

けて、奇 妙

いま

ような木 は、今 までに見 たことが

ないんですけど。あなたは、木な

のですか?」

み ような木 は、今 までに見 たことが ないんですけど。あなたは、木な のですか?」 3

3

つく

ぼくたちをこんなふうに造 ってくださったんだよ。ほ

んの少 しの水 でも生 きてけるようにね。」

すこ

 「それはすごい。」とスプリグス。「確 かに、あな

たの言 うとおり、ここはすごく暑 いですね!」

 「君 は、ここで何 をしてるんだい? ここいらじゃ

なに

かお

あ、見 かけない顔 だが。」とサボテンが聞 きました。

 「よくわからないんですけど・・・。急 に、ここに

現 れたんです。ぼくが覚 えているのは、それだけな

をつい

いき

んです。」 そう言 うと、スプリグスはため息

て、

察 し続 けました。

周 りの 新 しい環 境

かん きょう を観

かん

 時 がたちました。最 初 、若 木 はこの 新 しい場

にわくわくしました。めずらしいものが、それはた

くさんありましたから! 小 さなトビネズミは、乏

しょ

しょ

い食 べ物 を探 し求 めて地 を掘 り起 こしたり、巣 穴

もと

さが

す あな

に向 かってちょこまかと飛 び跳 ねていました。はな

ところ

れた 所 では、ミーアキャットがまっすぐに立 ち上 がっ

てん てき

み は

て、 天 のハゲワシが来 ないか、見 りをしていま

した。ヘビが、自 のすぐ前 を静 かにすべるように

いま

はって行 くのも見 ました。スプリグスは、今 までに

ヘビを見たことは1度 しかありません。それも、ミ

ズヘビでした。水 のことを 考 えていると、ふとスプ

かんが

リグスは心 になりました。

しん

 (ここには水 がない。少 なくとも、目 に見 えるよう

すく

な水はね。それに、地

おく

くを 根 で探 っても、

さぐ

の奥 深

ぜん ぜん すい

を感 じないぞ。どうしたらいいんだろう?)

全 水 分

 何 もたつと、若 木 はだんだんと弱 ってきまし

ちゃ

た。葉 はしおれ、茶

色 くなっています。しまいには、

砂 の砂 の上 に倒 れ始 めました。世 を見 たいと

せ かい

さ ばく

はじ

ったがゆえに、今 は水 のない見 らぬ場 にひと

いま

しょ

りぼっちなのです。あるのは、砂と焼 け付 くような

と、そ

日 しだけです。スプリグスは、小 川

ひ ざ

お がわ と草 くさ

こい

れにちょうちょまでが恋 しくなりました。

 さて、太 が地 平 の向 こう 側 にしずむと、寒

たい よう

ち へい

せん

よる

ひどく寒いのです。

になりました。すべてが静 かで動 きがなく、そして、

 「今 は何 でこんなに寒 いんだろう?」 スプリグ

スは独 り言 を言 いました。「さっきまではあんなに暑

こん ど

ひと

あつ

こん ど

くて、葉 っぱもかれてしまったのに、今 は凍 てつく

ば しょ

くさ

ほど寒いなんて。何てヘンな場 なんだろう! 草

ところ

地 にもどりたいなぁ。こんな 所 、好 きになれそうも

ないや。」

 すると、何 の前 ぶれもなく、いきなり荒 しい風

が吹 いてきました。それは、草 地 で吹いていたそよ

風とはちがうし、今 までに経 した 嵐 とさえ、 全

しくすさまじい風で、何

あら

かぜ

まった

なん

いま

けい けん

あら

くちがっていました。荒 々

びゃく

もの砂 が、たけりくるうようにうずを巻 きな

がら砂 を横 って 来 たのです。一 の砂 が、

つぶ ひと

さ ばく

よこ ぎ

まるで 鋭 い針 のように、若 木 のやわらかい幹 につき

はり

みき

するど

のこ

いま

ささりました。残 っていたわずかな葉 っぱも、今 や

ぜん ぶ

えだ

全 はぎ取 られ、おまけに枝 もへし折 られてしまい

く つう

ました。何 という苦 でしょうか! それから風は、

はじ

始 まった時 と同 じように、前 ぶれもなく、ぴたりと

あと

止 んだのです。後 には、あわれな死 につつある若木

のこ

が残 されていました。

 「今 のは、砂 っていうんだ。」 明 らかに場 違

いま

すな

ば ちが

の若 木 に何 かしてやれないかと願 いながら、サボテ

ンがそっとささやきかけました。

なに

へん じ

 若 いカシの木 は、返 をすることさえできません。

ちから

ねむ

力 つきたスプリグスは目 を閉 じ、眠 ってしまいまし

4

た。

* * *

 スプリグスが目 を覚 ますと、 新 しい 驚

待 っていました。また元 気 になっていたのです! 新

おどろ きが彼 かれ

しい葉 が生 え、根 の周 りにも水 を感 じます。

すい

 辺 りを見 すと、奇 妙

まわ

き みょう な光 けい

こう

おどろ

景 がスプリグスの 驚

きに満 ちた目 に飛 び込 んできました。

 「おい、こいつを見 てみろよ!」 そばに立 ってい

けん び

る大 きな木 が声 をあげました。「顕 で見るよう

微 鏡

な、ちっぽけな木だぞ。」 そう言 うと、その木はどっ

おお わら

はじ

と大 いし始 めました。

いま

 「こんなにちっぽけなやつなんて、今 まで見 たこと

わら

ねぇな。」 曲 がりくねったツタも、笑 いながら言 い

ました。

 「ここじゃあ、まず、生 きてけないね!」 別 の木 が、

とどろくような声 で言 いました。

がりながら飛 び移 っています。ここの 植 たちはみ

うつ

しょく

かん きょう で元 げん

に生 い茂 り、幸 せそうですが、

しあわ

こ どく

んな、この環 境

スプリグスは自 がとても場 いで孤 に感 じまし

た。

 スプリグスは、不 でこわくてしかたがありませ

ん。「何 て変 わった 所 なんだろう。それに、何て暗

いんだろう! いつになったら朝 になるのかな。」

くら

いま

ひる

 「今 はもう、お昼 よ。」 そばに生 えているリアナ

(つる 植 )が、この見 れぬ木 をあわれに思 って、

しょく

み な

おも

おし

ねっ たい

りん

教 えてくれました。「熱 帯 雨 のここには、ほとん

ど日 光 が差 さないの。周 りに大 きな木がいっぱい生

こう

えてるせいでね。」

 今 が立 っている見 ら

いま じ

み し

ば しょ

ぬ新 しい場 は一 どんな

いっ たい

所 なんだろうと、若 木 は辺 り

を見 しました。どちらを見

あた

いま

ても、今 までに見たこともな

いような、背 の高 い巨 な木

ばかりです。あまりにも大

くて、こずえさえ見えません。

りはヘンな 植 でいっぱい

です。葉 っぱが乱 に生 い茂

り、 高 い木からは長 い根 がぶ

きょ

しょく

しげ

ら下 がっています。ここに生

すこ

えている植物はみんな、少 し

でも多 くの 地 をわがものに

しようと、生 存 競 を繰 り

ぞん きょう

そう

広 げているようです。

 色 とりどりの鳥 たちは、ペ

チャクチャしゃべったり、さえ

とり

ずったり、ギャーギャー鳴 き

わめいたりしながら、そこら

じゅう

中 を飛 び交 っています。サル

えだ

たちは、枝 から枝へとぶら下

じゅう と か 中 を飛 び交 っています。サル えだ さ たちは、枝 から枝へとぶら下 5

5

 「だけど、ぼくは自 の養 を作 るためには日 光 が

よう

つく

こう

ひつ よう

必 なんだ。」 スプリグスが不 そうに答 えまし

こた

た。「そうでないと、ぼくは死 んじゃうんだもの。」

 スプリグスは悲 しそうに、草 地 での暮 らしを思 い

出 していました。「うちにいた時 は、水 が十 ある

おも

じゅう

かなんて心 したことなかったし、日 しもちょうど

しん

ひ ざ

よかった。だけど、ここは暗 いし陰 気 だし、ものす

ごくじめじめしている。ここに生 えている 植 はみ

くら

しょく

ねっ たい

りん

にっ

んな、この熱 帯 雨 に合 っているんだ。あまり日

こう

ひつ よう

光 を必 としていないし、ぼくみたいに根 を張 らせ

るための地 もあまりいらない。ぼくはどうしたら

いいんだろう?」

いま

 今

になってスプリグスは、不 を言 ったり、ほか

ば しょ

の場 に生 えている木 をうらやんだりしなければよ

かったと思 いました。そして、草 地 で大 きなカシの

おも

い おも

じ ぶん の周 まわ

木が言 っていたことを思 い出 しました。「自 分

にあるものは、なくなった時 ほど感 謝 することは決

してないものだ。」 今になって、やっとスプリグス

けん めい

は、あのカシの木が言っていたことがどれだけ賢 明

なことだったか、わかったのです。草地では、スプ

リグスは 美 しいものや友 だちに囲 まれていました。

ミツバチやちょうちょもいたし、スズメやコマドリも

さえずってくれました。草地をちょこまか走 り回

もいました。でも、ここではそのすべてがち

しゃ

けっ

はし

しょう

どう

がいます。

けっ はし しょう 動 どう 物 がいます。 6 ひ さま み 様  もはやお日 を見

6

ひ さま

 もはやお日 を見

ることはできないか

もしれないといった

おも

思 いに、小 さなカシ

の若 木 スプリグスは

たえられませんでし

た。スプリグスはゆっ

くりと目 を閉 じ、そ

ねむ

して 深 い眠 りに落 ち

ていきました。

* * *

 まもなく、スプリ

ふ かい

つめ

グスは不 な冷 たい

かぜ

風 で目 を覚 ましまし

た。

こん ど

いっ たい

 「今 は一 どこ

くさ

なんだろう?  草

じゃないことは確

だな。だって、ここ

はすごく寒 いもの!」

おも

思 わず、スプリグス

は声 を上 げました。

 「君 がいるのは、高 の斜 だよ。」 低 い声 が、

こう

しゃ

ひく

スプリグスのすぐ 2,3 歩 ほど上 の方 に生 えている

ほう

松 の木 から聞 こえてきました。「わたしは、この山

まつ

いただき む

頂 に向 かって並 んで 生 えている、最 後 の木なんだ。」

なら

 その木 の向 こう 側 には、不 で岩 だらけの斜 が、

ふ もう

しゃ

の積 もった 頂 に向 かって続 いていました。上 の方

いただき

ほう

には、岩と雪しかないのです。地 は霜 が張 って白

くなっています。

しろ

 (まぁ、少 なくともここなら、太 にもっと近 いし、

すく

たい よう

ひ ざ

日 しをさまたげるものはだれもいないよね。)と

おも

スプリグスは思 いました。

 「ここは、いつもこんなに寒 くて 雪 が積 もってる

まつ

の?」 スプリグスは松 の木 にたずねました。

はる

 「いつもというわけじゃないよ。春 の終 わりごろか

ら夏 の始 まりにかけては、短 い間 だけど、雪 が解 け

はじ

て暖 かくなるからね。だけど、ほとんどの季 はす

ごく寒 いんだ。」

あたた

ふゆ

 「そうかぁ・・・。いつも冬 みたいな 所 にずっとい

おも

いき

たいとは思 わないなぁ。」 スプリグスは、ため息 を

ついて言 いました。

まつ

わか

 松 の木 をよくよく見 て、 若 はたずねました。「こ

みどり

んなに寒 いのに、どうしてそんなに 緑 でいられる

ふゆ

んだい? 冬 には葉 が落 ちないの?」

じょう りょく

じゅ

まつ

 「落 ちないよ。ぼくは 常 緑 だからね。」と、松

の木 が答 えました。「創 が、ぼくをそのように

こた

ぞう

造 ってくださったんだ。寒 さや風 や雪 にもめげずに、

つく

かぜ

ここで生 きていけるようにね。」

 「だけど、ぼくは松 の木 じゃない! ただの小 さな

まつ

からだ

ちから

カシの木なんだ。体 がだんだんしびれて、力 がぬけ

じゅ

えき

こお

はじ

てきたなぁ。樹 も凍 り始 めたみたいだし。ぼくは、

ここにいるべきじゃないんだ。草 地 にいるべきなん

だよ!」

 またもや、スプリグスは死 につつあるように感

は こお

ました。葉 は凍 りつき、もろくなりました。

まつ

おも

 (あわれなおチビさんだ。) 松 の木 はそう思 って、

7

りました。「創 よ、どうか、このあわれな若

をお助 けください。もとの草 地 にもどれますように。」

ぞう

* * *

 「スプリグスや、もう朝 だぞ!」 聞 きなれた声

す。

 「ここはどこ? 草 地 なの?」 スプリグスは、こ

わくて目 を開 けられません。

 「もちろん、ここは草 地 じゃ! おまえさんは、一

いっ

たい

が言 いました。

ここがどこだと思 っとる?」と、年 のカシの木

おも

ねん

 「草 地 にもどれて、ホントによかったぁー!」 満 面

笑 になったスプリグスが、声 を大 にして言 いまし

た。

まん めん

え がお

 「草 地 にもどれたって?」  別 のカシの木 が聞 きま

さく

した。「おまえはどこにいたんだい? 昨 はかな

りの 嵐 だったが、確 かにおまえはここにいたぞ。事

実 、嵐の 間 、おまえはずっと眠 ったままだった

ようだが。」

あいだ

ねむ

 「だけどね、ぼく、あちこち旅 してきたんだ! 最

さい

ば しょ

初 はものすごく暑 い場 で、サボテンや、いろんな

しょ

さ ばく

砂 の動 がいたんだよ。その次 は、ヘンな生 き物

どう

もの

ねっ たい

りん

たい よう

がたくさんいる熱 帯 雨 だった。太 がほとんど

見 えないんだ。そして最 後 は、高 い山 のてっぺん近

ちか

くだよ。とても大 きな松 の木 が立 ってた。ものすご

く寒 かったんだ!

まつ

ぜっ

くさ

 ぼくはもう、絶

対 に、 草

なんか

わないよ。ここの草地は

ひつ よう

にいることで不

すごくきれいで、ぼくに必

なものは、すべてそろってる。

そう

ぞう

は、ぼくをカンペキ

ば しょ

な場 に植 えてくださった

んだね!」

 「そういうことじゃ。」 2

本 のカシの木 が、 口 をそろ

ほん

えて 言 いました。

わり

ほん き い えて 言 いました。 お 終 わり がく しゅう の目 もく 学 習 ぞく

がく しゅう の目

もく

学 習

ぞく

が造 られた様 に満 足 するとはどういうことかを理 する。神 様 はみんなを、身 にも

つく

さま

さま

しん

たい

にもそれぞれちがうように造 られ、一 人一 人がかけがえのない存 在 で、それぞれに神 様 のご計 があ

せい かく

つく

さま

けい かく

ることに気 づく。また、その原 則 を基 にしている聖 句 に慣 れ親 しむ。

そく

もと

した

文:ディディエ・マーティン  絵:ゼブ  彩色:ディディエ・マーティン Copyright © 2011 年、ファミリーインターナショナル "The Tree That Wanted to See the World"--Japanese

http://www.mywonderstudio.com/level-2/2011/2/17/the-tree-that-wanted-to-see-the-world.html