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循環器内科 説明資料

心房細動
 心房細動とは、心臓の弁の病気、あるいはそれ以外の原因によっておきる不整脈をいいます。80
歳以上で3%前後あり、それほど珍しい病気ではありません。
 心房細動それ自体はすぐに命にかかわってくることはありませんが、慢性的に長く続くことによ
り心臓の機能がそこなわれたり、頭の血管に血栓がとん
で大きな脳 塞をおこすことがあります。 正常心臓
左心房
A. 慢性心房細動の場合。 右心房

1.心臓の機能がおちる。

 通常の心臓では心房が肺や全身からの血液を一時たく 脈がつくられる

わえ、心房の収縮後に心室にまとめておくりこみ、その 左心室
後心室が収縮して全身や肺におくりだすというしくみに 両方の心室に伝わる 右心室
なっています。
 ところが、心房細動のある心臓では、心房はぶるぶる
ふるえるだけで収縮せず、心室がときどき収縮して全身に
心房細動
左心房
血液を送り出します。心房と心室の収縮のリズムが崩れて
いるため、正常の人より心臓の機能が低下し、心室や心房 右心房
に負担がかかり、心不全をおこしやすくなります。
 したがって、むくみや息切れ、体重増加がみられる場
心房細動
合、心不全の症状の可能性がありますので、主治医の先生 心房はふるえる
左心室
に相談してください。
時々心室に伝わる 右心室
2.脳 塞の原因となる。

 心房細動では、普通の人の心臓のように心房が収
縮せず、そのため心房はぶるぶるふるえているだけ 心房細動
左心房
の状態になり、血液が流れにくくうっ滞します。そ
の結果、血が固まりやすい人では心房の中に血のか 右心房
血のかたまり
たまりをつくり、それがなにかの拍子に頭や全身に
とんで、 塞をおこします。
心房細動
 脳 塞全体の6∼23%が心房細動が原因といわ 心房はふるえる
左心室
れています。
 とりわけ、心房細動のうち、慢性心不全のある 右心室
人、高血圧、75歳以上、糖尿病、過去に脳 塞を
おこしたひとがおこしやすいとされています。
 従って、心房が収縮しない分、血液が凝固しないよう、抗凝固療法が必要となります。
 ビタミンKを阻害する薬であり、出血による合併症(脳出血、胃出血、鼻血など)も起きる可能
性があるため、十分なコントロールが必要になります。毎回来院時にPT-INRの採血を行っていただ
くのはこのためです。PT-INRは2.0∼3.0となるよう調節します。(75歳以上の高齢の場合、 PT-INR
は1.6∼2.6とします) ワーファリンのみでコントロールが困難な場合は、パラミヂンという薬を併用
することがあります。またビタミンKを含む食品をとると薬の効き目がなくなります。
3.脈の調整ができにくくなる

 心房細動がある場合、リズムを作るところがばらばらで伝わり方も一定でないため、脈が勝手に
速くなったり遅くなったりします。動悸があったり、夜間などにふらつきが起きる場合があります。
そうした症状がみられた場合、一日つける心電図の検査などによって詳しく脈の具合を調べたり、
脈を遅くする薬をつかって調節することがあります。

B. 発作性心房細動の場合
迷走神経緊張型 交感神経緊張型
 発作性の心房細動は、睡眠
年齢 60歳以下の若年 全年齢にわたる
不足、アルコール・喫煙、精
神的ストレスなどにより起こ 性別 男>女 なし
ると言われています。
 24時間以内に元に戻るこ 発症時間帯 夜間 日中 活動時
とが大半ですが、もともと何
基礎疾患 なし 心疾患・甲状腺亢進等
か心臓疾患のある場合、慢性
心房細動に移行する場合があ 誘因 睡眠・安静・食後・ 運動・緊張・ストレス・
ります。 飲酒後 飲酒後すぐ
 発作が起きると、頻拍・多
尿・胸痛がおこることがあり 慢性化 少ない 多い
ます。
経口治療薬 シベノール β-遮断薬
 根治治療のひとつにはカ
リスモダン プロノン
テーテルアブレーション(入
院して静脈経由で不整脈の元 タンボコール アンカロン
となる場所をカテーテルで根 サンリズム

アブレーション治療
代表的な不整脈薬の副作用

ジギタリス 脈がとぎれる、 食欲落ちる、 黄色に見える

リスモダン、 ノルペース 便秘、食欲不振、口渇、排尿困難

サンリズム 脈がとぎれる 低血糖

タンボコール 脈がとぎれる 薬剤相互作用

アンカロン 呼吸困難、咳、黄疸

ワソラン、ヘルベッサー 脈がとぎれる、血圧低下

治させる)があります。ただ、カテーテルアブレーションは成功率も70-80%と必
ずしも高くなく、また再発することが多いとされています。
他に、手術による治療方法もありますが、心房細動単独では行われず、他の心臓手術と一緒に行いま
す。

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