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アセアニア経済�関税撤廃�中国製品の奔流に悲鳴
03/01 19:13

�東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の自由貿易協定(ACFTA)に基づき、今年から一部で先行実施された関
税撤廃をめぐって、東南アジア各国から不満の声が高まっている。ASEANで最大の人口を抱えるインドネシアで
は中国製品の流入により深刻な打撃を受けるとして、中国に対しインドネシア側の関税撤廃延期の再交渉を求め
ているが、中国は消極的だ。マレーシアやフィリピンでも国内企業から何らかの規制を求める声があがる。ACFTA
の成否は、将来のアジア統一市場実現への試金石となるだけに、今後の成否に関心が集まっている。
�「勝算はわずかだ。中国政府に公式に要請したが、これまで中国から前向きな反応はまったくないようだ」。インド
ネシアのヒダヤット産業相は2月中旬、中国に対し、228品目の関税撤廃を2年程度延期するなどを柱とする再交
渉を要請したが、ほとんど進んでいないことを明らかにした。
�ヒダヤット産業相は「このままでは衣料品や玩具、電気製品、さらに鉄鋼の分野でも中国製品があふれる。インド
ネシアにとって最も厳しいFTAだ」と警告した。ACFTA導入に反対したインドネシア商工会議所の会頭を務めた
同相の発言は、インドネシア産業界の不満をそのまま代弁したものだ。
�みだし
�こうしたACFTAの本格始動に対する慎重論は発効前から根強かったが、ユドヨノ大統領は「インドネシアは
ASEAN経済の牽引(けんいん)役であることを期待されており、ACFTAは不可欠」として反対を押し切った経緯が
ある。
�インドネシアの民間シンクタンク「経済金融開発研究所(INDEF)」が1月中旬に発表した経済見通しでは、今年の
成長率は5・3%と、2009年の4・5%を大きく上回ると予測。一方、ACFTAによる関税撤廃で、中国からの輸入が
急増、製造業を中心に多くの企業が倒産に追い込まれ、「100万人が失業し貧富の差が拡大する可能性がある」
としている。
�インドネシア財務省当局者も「中国の安い商品は第2四半期に押し寄せるだろう」と述べ、4月以降の輸入の急増
に警戒感を示した。今後、こうした直接的な影響が出てきた場合、ユドヨノ大統領の政治的な責任を問う声が強ま
る可能性は高い。
�みだし
�ACFTAへの不満は、他のASEAN加盟国からもあがる。マレーシアの華人商工会議所は2月上旬、ACFTAの発
効に伴う中国製品の流入で、多くの国内企業が生き残りに必死になっていると指摘し、中国からの輸入の伸びを
年10%以内に制限する措置をとるよう政府に要求した。
�これに対し、マハティール元首相の息子で通商産業省のムクリズ・マハティール副大臣は、ベルナマ通信に対し、
「われわれも彼らの懸念は理解している。最も良い対処の仕方を考えている。だが、中国からの輸入を制限するこ
とは最も良い方法とはいえない」と述べ、制限をかけることには否定的な姿勢を示した。
�マレーシアにとって中国は、今年にはシンガポールを抜き、最大の貿易相手国となるのは確実なだけに、ナジブ政
権は関係拡大に積極的だが、国内産業の懸念はつのるばかりだ。フィリピンやタイ、さらに15年から同様に関税が
撤廃されるベトナム企業も不安を隠さない。
�みだし
�ASEANの対中貿易額は、09年に約1930億ドル(約17兆2580億円)となり、中国が米国を抜いて、日本、欧州連
合(EU)に次ぐ第3の貿易相手国となった。今後も対中貿易額は増えるのは確実だ。
�さらに、ASEAN各国は中国以外の国々とのFTA締結交渉も本格化させつつあるなかで、「競争力のない企業をい
つまでも保護するわけにはいかない。もはや後戻りはできない」(アブドル・ラーマン・ママット・マレーシア通産次官)
段階なのだ。アジア統一市場に向けて、ASEAN各国で企業の再編・淘(とう)汰(た)が進む可能性は高い。
�(シンガポール�宮野弘之)

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/print/economy/worldecon/363645/
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