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政府「日米共同宣言」案、中国潜水艦の監視強化盛る、

普天間先送りで対米配慮
2010.8.17 00:02

 政府は16日、日米同盟深化に向けて11月のオバマ米大統領訪日を機に策定する
「日米共同宣言」に、中国の脅威に対応するため、日本の潜水艦監視能力向上など新た
な防衛協力を盛り込む方針を固めた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜(ぎ)野(の)湾
(わん)市)移設問題の決着が先送りされる中、同盟を運用面で進展させることが狙
い。米側はなお普天間問題の進展を求めているが、日本側の有事対応能力を示すことで
理解を得たい考えだ。

 共同宣言に盛り込むのは「対中脅威認識の共有」と「運用協力の刷新」。たたき台は
今年2月に米国防総省が発表した「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)と、平成17年
10月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の合意文書だ。

 QDRは北東アジア地域への米軍の戦力投入を阻む中国の「接近阻止能力」を警戒。中
国の新型潜水艦などに対処することが紛争抑止に不可欠と位置付けた。

 共同宣言では日米運用協力の課題を改めて整理する。(1)情報、監視、偵察(ISR)
(2)米軍基地の防護(3)後方支援と空港・港湾使用-といった項目を想定している。
いずれも17年の合意文書で向上すべき項目として明記しながら、手つかずになっている
課題だ。

 台湾海峡有事の際、米空母は中国の最大の脅威となり、この地域への米空母展開を阻
もうと中国側は潜水艦戦力を増強しているため、日米両国は潜水艦探知能力を高めるこ
とが求められている。

 具体的には、ISRを担う海上自衛隊哨戒機のセンサーの能力を向上させ、衛星通信を
拡充して海自護衛艦を情報中枢艦として機能させる。日米の情報共有の迅速化に向けた
指揮通信システムの再構築や、出港時から潜水艦を把握できるよう日本の情報収集衛星
の追加導入も視野に入れる。

 QDRは海・空戦力の一体運用に重点を置く新構想「統合エアシーバトル」と米軍基地
の耐久性向上も提唱。台湾海峡有事で戦闘機の発進拠点となる米軍嘉手納飛行場(沖縄
県嘉手納町など)で米軍と自衛隊の共同運用を進め、防空面で共同対処能力を向上させ
る。
 後方支援と空港・港湾の使用は、「日本側の検討が遅れ、米側がいらだちを募らせて
いる課題」(防衛省幹部)。周辺事態法などにより、米軍が日本国内の民間空港・港湾
を使用する法的枠組みは整備されたが、実際に機能するかは未知数のため具体化を図
る。

 共同宣言のとりまとめに向けた具体案は、今秋をめどに審議官級協議などで集中協議
する方針だ。

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