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生物多様性を、

ビジネスに組み込む。

生物多様性条約市民ネットワーク
TEEB 作業部会 服部 徹
(特定非営利活動法人アースデイ・エブリデイ)
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 TEEB for Business
 ボトムラインを超えて - 情報公開と補償と商機

1.生物多様性の管理力が、操業ライセンスになる
2.生態系サービス毀損のリスクに対する補償と保険
3.計測力と情報公開力が操業リスクを逓減する
4.生態系サービスへの投資機会、
  生物多様性のコスト削減力・ブランド効果に注目せよ
5.認証、RED+、 ABS など国際制度やツールを積極活用せよ

TEEB / D3  あたらしい国際競争能力
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生物多様性を、ビジネスに組み込む

・ 経営のロジックと数字で、考える。
 Vision: ビジョン
 Strategy: 戦略立案
 事業環境分析、BSC
 Process : バリューチェーン、サプライチェーン
 PDCA
 Organization, Resource : 組織、リソース計画
 人材、情報、知識
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愛知目標 ←→ ビジョン (範囲(ドメイン)を決め
る)
■戦略目標A.各政府と各社会において生物多様性を主流化することにより、生物多様性の損失の根本原因に対処する。
▽ 目標1:遅くとも 2020 年までに、生物多様性の価値と、それを保全し持続可能に利用するために可能な行動を、人々が認識する。【 D4】
▽目標2:遅くとも 2020 年までに、生物多様性の価値が、国と地方の開発・貧困解消のための戦略及び計画プロセスに統合され、適切な場合には国家勘定、また報告制度に組み込まれてい
る。 【 D1、D2】
▽目標3:遅くとも 2020 年までに、条約その他の国際的義務に整合し調和するかたちで、国内の社会経済状況を考慮しつつ、負の影響を最小化又は回避するために生物多様性に有害な奨
励措置 ( 補助金を含む ) が廃止され、段階的に廃止され、又は改革され、また、生物多様性の保全及び持続可能な利用のための正の奨励措置が策定され、適用される。 【 D2】
▽目標4:遅くとも 2020 年までに、政府、ビジネス及びあらゆるレベルの関係者が、持続可能な生産及び消費のための計画を達成するための行動を行い、又はそのための計画を実施しており
、また自然資源の利用の影響を生態学的限界の十分安全な範囲内に抑える。 【 D1,2,3】

■戦略目標B.生物多様性への直接的な圧力を減少させ、持続可能な利用を促進する。
▽ 目標5: 2020 年までに、森林を含む自然生息地の損失の速度が少なくとも半減、また可能な場合には零に近づき、また、それらの生息地の劣化と分断が顕著に減少する。
▽ 目標6: 2020 年までに、すべての魚類、無脊椎動物の資源と水生植物が持続的かつ法律に沿ってかつ生態系を基盤とするアプローチを適用して管理、収穫され、それによって過剰漁獲を
避け、回復計画や対策が枯渇した種に対して実施され、絶滅危惧種や脆弱な生態系に対する漁業の深刻な影響をなくし、資源、種、生態系への漁業の影響を生態学的な安全の限界の
範囲内に抑えられる。
▽ 目標7: 2020 年までに、農業、養殖業、林業が行われる地域が、生物多様性の保全を確保するよう持続的に管理される。
▽ 目標8: 2020 年までに、過剰栄養などによる汚染が、生態系機能と生物多様性に有害とならない水準まで抑えられる。
▽ 目標9: 2020 年までに、侵略的外来種とその定着経路が特定され、優先順位付けられ、優先度の高い種が制御され又は根絶される、また、侵略的外来種の導入又は定着を防止するため
に定着経路を管理するための対策が講じられる。
▽ 目標 10 : 2015 年までに、気候変動又は海洋酸性化により影響を受けるサンゴ礁その他の脆弱な生態系について、その生態系を悪化させる複合的な人為的圧力を最小化し、その健全性と
機能を維持する。

■ 戦略目標C.生態系、種及び遺伝子の多様性を守ることにより、生物多様性の状況を改善する。
▽ 目標 11 : 2020 年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の 17 %、また沿岸域及び海域の 10 %、特に、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域が、効果的、衡平に管理され、かつ
生態学的に代表的な良く連結された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全され、また、より広域の陸上景観又は海洋景観に統合される。
▽ 目標 12 : 2020 年までに、既知の絶滅危惧種の絶滅及び減少が防止され、また特に減少している種に対する保全状況の維持や改善が達成される。
▽ 目標 13 : 2020 年までに、社会経済的、文化的に貴重な種を含む作物、家畜及びその野生近縁種の遺伝子の多様性が維持され、その遺伝資源の流出を最小化し、遺伝子の多様性を保護
するための戦略が策定され、実施される。

■ 戦略目標D.生物多様性及び生態系サービスから得られる全ての人のための恩恵を強化する。
▽ 目標 14 : 2020 年までに、生態系が水に関連するものを含む基本的なサービスを提供し、人の健康、生活、福利に貢献し、回復及び保全され、その際には女性、先住民、地域社会、貧困層及
び弱者のニーズが考慮される。
▽ 目標 15 : 2020 年までに、劣化した生態系の少なくとも 15 %以上の回復を含む生態系の保全と回復を通じ、生態系の回復力及び二酸化炭素の貯蔵に対する生物多様性の貢献が強化さ
れ、それが気候変動の緩和と適応及び砂漠化対処に貢献する。
▽ 目標 16 : 2015 年までに、遺伝資源へのアクセスとその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書が、国内法制度に従って施行され、運用される。

■ 戦略目標E.参加型計画立案、知識管理と能力開発を通じて実施を強化する。
▽ 目標 17 : 2020 年までに、各締約国が、効果的で、参加型の改訂生物多様性国家戦略及び行動計画を策定し、政策手段として採用し、実施している。
▽ 目標 18 : 2020 年までに、生物多様性とその慣習的な持続可能な利用に関連して、先住民と地域社会の伝統的知識、工夫、慣行が、国内法と関連する国際的義務に従って尊重され、生物
多様性条約とその作業計画及び横断的事項の実施において、先住民と地域社会の完全かつ効果的な参加のもとに、あらゆるレベルで、完全に認識され、主流化される。
▽ 目標 19 : 2020 年までに、生物多様性、その価値や機能、その現状や傾向、その損失の結果に関連する知識、科学的基礎及び技術が改善され、広く共有され、適用される。
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▽ 目標 20 :少なくとも 2020 年までに、 2011 年から 2020 年までの戦略計画の効果的実施のための、全ての資金源からの、また資金動員戦略における統合、合意されたプロセスに基づく資
金資源動員が、現在のレベルから顕著に増加すべきである。この目標は、締約国により策定、報告される資源のニーズアセスメントによって変更される必要がある
生態系サービス←→隠された競争条件を知る
 生態系サービス(種類)

 調整サービス (Regulating Services)


 気候調整(光合成による二酸化炭素吸収を含む)
 洪水制御
 廃棄物の分解と無毒化
 基盤サービス (Supporting Services) 国や自治体の
 栄養循環・土壌形成
 作物の送粉と種子の拡散
ガバナンス
 水と空気の浄化
 伝染病の防御
 保全サービス (Preserving services)
 資源利用の確保(遺伝的多様性および種多様性の維持)
 災害に対する備え(傾斜地崩壊の予防など)
 供給サービス (Provisioning services)
 食品の提供(猟場・漁場など含む) 企業の
 原材料(建築素材・繊維・染料・天然樹脂・接着剤・ゴム・油脂・医薬原料) ガバナンス
 エネルギー資源(水力・バイオマス燃料)
 文化的サービス (Cultural Services)
 文化的・知的・精神的な刺激 生活者の
 レクリエーション・エコツーリズム・バードウォッチング
ガバナンス
 科学的発見 Page 5
生態系サービスの「割引率」←→未来を読む

 価値決定の大きな要素が生態系サービスの「割引率」
 割引率は、未来に対するリスクの需給均衡値
 何事業と類推するか?、未来をどう評価をするか?

 質的リスク(ばらつき)
 未来需要の質の不確実性
 需要側のコミットメント  VS  見えない間接需要
 未来供給の質の不確実性
 生態系が持つ長期自律安定性  VS  相転移、気候変動、外来生物、乱獲
 量的リスク(ばらつき)
 未来需要量の不確実性
 相対的な需要の増加(人口爆発)  VS  ライフスタイルのばらつきと変動
 未来供給量の不確実性
 長期自律安定性、規模の利益性  VS  代替技術による提供
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定量化をブレイクダウン

・ 経営指標の体系の、どこに立ち現れるか?
・例: バランスドスコアカードなどの、管理会計のフレームワークで考える。

財務
 ・売上  : 商品・サービスの強化
 ・コスト : 追加コスト、監査コスト、低い広告宣伝費
 ・機会  : 新しいセグメントの構築、良い新人を確保、安定した顧客
 ・リスク : 事業リスク、生物多様性リスク、安定した供給先の囲い込みの増加

顧客
 ・ 顧客の質と量: マーケティングコンセプトとしての活用、公共性

オペレーション 
 ・ サプライチェーンへの組み込み: データベース化
 ・ プロセスの組み込み: PDCAの設計、活動の5 W1H 、報告体系

学習と成長
 ・ 横のネットワーク、良いメディアとの関係、
   顧客の学習、従業員のメンタルヘルス、情報システム
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生物多様性と事業環境の理解

 事業環境において、重要な生態系サービスとは何か?
 誰にとって、なぜ、大切か?

政府・自治体 新規参入事業者 市民・NGO

仕入元事業者 競合事業者 顧客

補完事業者 代替品事業者 メディア

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商品・ソリューション開発
  ~バリューチェーンでも見直す

 世界の多様な地理的環境下における生物多様性・生態系
サービスへの効用と影響を考える。

 自社の保有技術のバリューチェーンにおけるスコア化
 ターゲット顧客層への影響
 エコ・リッチな暮らしがしたい  16% /ストレスのない暮らしがしたい  94%
 何でダントツ優れているか?
 世界のどこの地域と響きあうソリューションか?  ★ ★ ★ ☆ ☆
 生物多様性/生態系サービスで、アライアンスが組めるか?
 現地あるいは他の効用との組み合わせでレバレッジできないか?
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顧客層を分けて、考える

6 人に 1 人が、生物多様性に配慮した商品を待つ
 生物多様性を配慮している商品を購入したり・投資を行ったり・募金をす
るなど、/自らのお金を使うことに対して、以下のいずれのスタンスが最も
近いと考えますか。
n %
全体 30313 100.0
挑戦派:   すでに、自然や生物多様性の保全のために寄 776 2.6
付や投資・活動などを積極的にお金を使って、社会を変
えようと挑戦している。
率先派:   良い機会があれば、率先してお金を使って、 4313 14.2
がんばっている企業やNGOを応援し、世論や市場を導き
たいと思う。
現実派:   世論も動き出し、具体的で現実的な手段や方 12190 40.2
法が整ったら、比較的早めにお金を出そうと思う
保守派:   世論が熟し、多くの友達から誘われたらお金 8574 28.3
を出さないことはないと思う
否定派:   自分のお金を使うつもりはない 4460 14.7
10 「いきもの意識しらべ 2009 」
特定非営利活動法人アースデイ・エブリデイ  2009
価値構成比率を、再設計する

バリューチェーンで、何を加え、何を引くことになるのか?

例:「店頭競争力(ついで買い誘発力)」。
   地域貢献生産要素を足し、汎用告知広告を引く(他に任せる)。

商品原価 コミュニケーション 営業・


媒体費 廃棄費
コンテンツ費 11  販促費
判断のための情報 原産地  :  インドネシア
製造場所: 日本・愛知県 
成分情報: 食品  ( 遺伝子組換でな
い)
負荷情報: エコロジカルフットプリント 5.2 平方
m /100g
貢献情報: 熱帯雨林オフセット実施済
監査情報: アジア生態系監査法人
1. [ 成分情報 ]  その商品やサービスそのものが、生態系を破壊しうる物品を使用している(化学
物質の使用等) (70.7%)

2. [ 製造情報 ]  提供に至るまで(サプライチェーン)の情報原産地・製造場所 情報 ( 69.6%)

3. [ 監査情報 ]  この記載情報は、誰が監査(本当だと認定)しているのか  (60.1%)


 
4. [ 負荷情報 ]  提供に至るまで(サプライチェーン)の情報その商品やサービス提供にあたって
直接使用している主な生物多様性の命の種類と大きさ (55.4%)
 
5. [ 貢献情報 ]  保全するプログラムに協賛している場合その保全プログラムがもたらす期待効果
は何か、保全活動の成功率はどれくらいなのか (50.0%)

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「いきもの意識しらべ 2009 」
特定非営利活動法人アースデイ・エブリデイ  2009

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