You are on page 1of 19

************** 以下 HP 掲載 用原稿案 *************

水道水の放射能汚染の測定値の発表について疑問を持ち、個人的に問い合わせた結果の報告を
脱原発の日ブログに 掲載していただけることになりました。

内容は、報告その1、報告その2、関連情報の転載その1、その2に分かれています。
ML に投稿した文をあまり加工せず、そのままのせていただくこととしました。

日本の食品に対する放射能暫定基準値は、福島第1原発事故後の3月17日に大幅に緩和されま
した。
子ども達への影響をできるだけ少なくするためには、正確な情報の公開が必要です。
この長い報告文の中に私の必要だと思う情報公開のあり方が記載されています。

個人でできることには限界がありますので、今後 NGO の共同組織として結成されつつある


『e シフト』(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)などへ、提起してゆこうと思います。

**************************************************************
報告その1
放射性物質による水道水・食品汚染データの公開を求める運動が必要
                                2011 年 4 月 13 日

水源開発問題全国連絡会に所属する氏家です。

放射性物質による水道水・食品汚染データの公開を求める運動が今すぐに必要であることを、
以下に述べます。

東京都の水道水の放射性物質汚染のデータ発表について、適正な処理が行われていないことに
以前から気が付いていましたが、今日、その経緯の一部がわかりましたので、投稿します。

東京都水道局金町浄水場のデータを例に取ります。
放射性ヨウ素(ヨウ素 131) 単位:Bq/キログラム(ベクレル/キログラム)
3月
22 日 210
23 日 190
24 日 79
26 日 34
27 日 不検出
以後不検出となっています。

この時点で、おかしいと気づき、調べたところ、20Bq/kg 以下の測定値を検出限界以下と表記し
ていました。

ところが、神奈川県茅ヶ崎市にある神奈川県衛生研究所内で、上水(蛇口)の水を分析した結果
では、
3月 31 日  6.3
3月 30 日  8.6
3月 29 日  9.9
3月 28 日  9.6
3月 27 日  9.2
3月 26 日  7.4
3月 25 日  4.9
3月 24 日  1.0
3月 23 日 0.75
3月 22 日 0.93
3月 21 日 0.58
3月 20 日 0.46
3月 19 日 0.43
3月 18 日  不検出

となっており、有効数字は 0.01Bq/kg、0.43Bq/kg でも測定値は発表されています。


元技術者としては、理解しがたい状況でした。

ところが、4 月 13 日になって、週刊現代4月23日号 p.36 の報道を読み、謎が解け始めました。

http://i.imgur.com/7TctZ.jpg より
「東京都立産業技術センター都内 3 箇所の浄水場の水質調 査を依頼しています。その際、水につ
いては 1kg あたり 20 ベクレル以下の場合には、放射性物質が検出されても『不検出』として報告
するよう指示が出されました。理由は都民に動揺を与えないためというものです」

この件に関して、更に詳しく把握するため、
問い合わせ先の水道局お客さまセンター(区部)
 電話 03-5326-1101
に電話をかけて、責任ある担当者から私の方へ電話をかけなおしてもらうことになりました。
東京都が不検出として値を公表しない 20Bq/kg は、3/16 日以前の規制値 10Bq/kg の 2 倍に当
たります。

放射性ヨウ素131についての世界の水道水の放射線基準値は下記のとおりです。
●世界の基準値
WHO基準      1 ベクレル(Bq/L)
ドイツガス水道協会 0.5 ベクレル(Bq/L)
アメリカの法令基準 0.111 ベクレル(Bq/L)

●3/17 までの日本の基準値
ヨウ素 I-131 10 ベクレル(Bq/L) 
セシウム Cs-137 10 ベクレル(Bq/L )

●3/17 以降・現在の日本の暫定基準値
・ヨウ素(I-131)131  300 ベクレル(Bq/L)
 飲料水 300 Bq/kg
・セシウム(Cs-137)137 200 ベクレル(Bq/L)
 飲料水 200 Bq/kg
 
20Bq/kg と言う値は、アメリカの法令基準の 180 倍です。
暫定基準値の 300Bq/kg に至っては、2702 倍となります。

この東京都の水道水を例にとっても、
正確な情報が公開されない限り、私達は安心して暮らすことが出来ません。

-----------今後に向けて-----------

水道水や、各種の食品について、地図上に面的な広がりをもつ形で、放射性物質の検出量が示され
ているデータ、同じ地点における経時変化が把握できるデータの分かりやすい公表が行われない
と、市民生活の不安と混乱が続くでしょう。

GIS 地理情報システムに各食品のデータをインプットすれば、分かりやすい形での情報公開はす
ぐに可能となります。

仮に、暫定基準値以下の放射能汚染であっても、検出限界以上の値は市民から 隠してはいけませ
ん。
東京都や、食品安全委員会、厚生労働省、原子力安全委員会は、国民から情報を隠して、よりいっそ
うの不安と混乱を巻き起こしています。

私達市民が力を合わせて、正確な情報の公開を求めてゆきましょう。
面的な把握ができるデータの公表、
経時変化が分かるデータの公表は、
国や県などの地方自治体の責務です。

以上です。

**************************************************************

報告その2
水道水の放射能汚染について水道局等との交渉結果
                         2011 年 4 月 18 日 

氏家(水源連)です。

水道水の放射性物質汚染のデータ発表について、
その後の報告です。

4 月 13 日の私の投稿の後、東京都水道局、東京都産業技術研究センター、神奈川県企業庁県営水
道、神奈川県衛生研究所などへ電話をかけ、詳細を問い合わせ、要請を行いました。

-----------------------------

東京都水道局への電話(4 月 14 日)

上水部上水課主事のたでい氏(組合員で、管理職ではない人)より、以下の説明を受けた。

・東京都の各浄水場では、6 時にサンプルを取り、14 時から 15 時に結果を公表しいる。

・東京都産業技術研究センターにサンプルを運び、全てのサンプルを分析している。

・ヨウ素 131 について、20Bq/kg 以下の測定値を不検出と表記している。

・週刊現代が記事にした、
「水については 1kg あたり 20 ベクレル以下の場合には、放射性物質が検出れても『不検出』とし
て報告するよう指示が出されました。理由は都民に動揺を与えな いため」
と言う内容は事実ではない。

・測定を行っている産業技術研究センターと相談しが 20Bq/kg 以下の測定値を不検出と決め


た。

これに対して、氏家からは週刊現代の記事の真偽を確かめるため、
・20Bq/kg 以下の測定値を不検出と発表している責任は水道局にある。
・誰がこの決定を下したのかなぜ答えないか理解できないので、責任者である吉田課長や保坂部
長と話をさせてほしい。
とお願いしたが、

たでい氏は、
・部長課長は今在席していない。
・後で電話をかけても担当者が対応することになる。
と、責任者との直接対話を拒んだため、結局、責任の所在は不明のままだった。

------------------

東京都産業技術研究センターへの電話(4 月 14 日)

技術系支援室上席研究員のいせ氏より電話で以下の説明を受けた。

・水道水の測定は、2 つのやり方で行っている。
・ひとつは各浄水場のサンプル測定は、速報性を重視して短い測定時間で行っている。
・この速報性により、値が高い時に浄水場で活性を投入し、放射能の吸着・除去の対策をとった。

・測定は、ガンマ線スペクトロメトリー装置で行っており、当初は 1000 秒間の測定、現在は


2000 秒間の測定時間で分析している。
・このような短い測定時間では、20Bq/kg の測定数値が出てもノイズとの区別がつかず、正確な
値としては発表できないため、不検出と表記している。
・東京都産業技術研究センターでは、大気中の放射能の測定など、数多くのサンプル測定を行っ
ているので、測定器の数が足りず、測定時間を長く取ることは難 しいのが現状だ。

・週刊現代の記事は事実ではない。
・もうひとつの測定は、健康安全研究センターが(新宿区百人町 3-24-1)、センターの水道直結
管の蛇口から採取したサンプルを、2 万秒約 6 時間の長い測定時間 で行っている。
・測定時間を長くすることで、ノイズを低減できるので、0.01Bq/kg 単位の値まで公表している。

・20Bq/kg 以下の詳しいデータは健康安全研究センターの発表を見て欲しい。

これに対して私の方からは、以下の指摘を行った。
・20Bq/kg 以下は不検出と言う発表は、科学的ではない。
・正確には検出限界値が 20Bq/kg であり、水道水には 20Bq/kg 以下であっても放射性ヨウ素
131が含まれているだろう。
・不検出と言う水道局の発表では、幼児を持つお母さんが読んで、放射能が水道水に含まれてい
ないと誤解する。

・ドイツの専門課から日本人へのアドバイスでは、乳児・幼児を含む子どもの飲食物は 4Bq/kg
以下にとどめるべきだとのアドバイスが出ている。
・このアドバイスに従うためには、水道局の 20Bq/kg 以下は不検出と言う発表は役に立たず、
ウソを言っていることになる。

・健康安全研究センターの水道水では、一番値が高かった日でも 37.2Bq/kg だった。


・これに対して、金町浄水場のサンプルでは 3 月 22 日に 210Bq/kg が検出されている。
・健康安全研究センターの水道水と金町浄水場からの水道水は水源が異なっているのだから、健
康安全研究センターの低い分析値を見ても、金町浄水場の水を飲んでいる人は誤解するだろう。
実際には高い汚染度の水を飲んでいるのだから、騙される結果となる。

・各浄水場のサンプルも、より精度を上げた測定が必要だ。
・20Bq/kg 以下は不検出と言う表記をすぐに止めて、検出限界値の 20Bq/kg 以下と発表すべき
だ。

いせ氏は、私との議論に際し、測定者として誠実な態度で科学的にきちんと説明してくれたので、
いせ氏の対応には感謝している。
しかし、低レベルの内部被曝の危険性に対する認識は私よりも低く、厚生労働省が定めた暫定規
制値 300Bq/kg(乳児は 100Bq/kg)以下であれば健康に問題ない、という認識のようだった。

私の電話の結果かどうかは確認していないが、4 月 15 日から東京都水道局の発表方法が以下の
様に 改善された。この改善は科学的であり、評価できる。
-------------------------
東京都水道局の HP より転載

○ 水道水の放射能測定値の公表については、これまで速報性を重視してきまし
たが、放射能濃度が低い状態が続いていること及びお客さまからより詳細な
データを知りたいとの要望が多数寄せられたことを受け、4月15日からは速
報性を損なわない範囲で測定時間を延長(従来の約1.5倍)して、より低い濃
度まで測定することとしました。
 これに伴い、これまで一律に「不検出≦20Bq/kg」と表記してきた方式を、
「検出限界値」を用いた新たな方式に変更しました。

1 最新の測定結果(4 月 17 日採水) 単位:Bq/kg


2 これまでの測定結果
(1)金町浄水場単位:Bq/kg 放射性ヨウ素   放射性セシウム
              (ヨウ素 131)   (セシウム 134)
               不検出      不検出
              (検出限界値 5) (検出限界値 5)

---------------------------
同じような趣旨の電話による問い合わせを、4 月 15 日に神奈川県企業庁県営水道にも行った。

その結果、神奈川県企業庁県営水道や神奈川県内広域水道事業団の各浄水場のサンプルは、毎日
横須賀市水道局へ運ばれ、NaI シンチレーション検出器によって 分析されている。
検出限界は9 Bq/kg で、この値以下は不検出と発表している。

私の家では谷ヶ原浄水場の水を飲んでいるのだが、これまで谷ヶ原浄水場の水道水の測定値の発
表は全て不検出と公表されてきた。下流にある寒川浄水場の水で は、3 日間に渡って 67.8~
10.3Bq/kg のヨウ素131の検出が発表されていた。

この県営水道の発表を見た私は、家の水道水は幸運にも放射能汚染を受けていないので、安心し
て飲めると判断したいた。しかし、電話によって事実を確認した 今となっては微量ではあるが汚
染された水を飲みつづけていた可能性が非常に 高く、騙された気分でいる。

この騙された気分は、事実を知った消費者の多くが感じることではないだろうか。

---------------------------
最後に、神奈川県衛生研究所への電話内容から気になった点を述べる。
対応に出た企画部(?)の中村氏によると、

・茅ヶ崎市にある衛生研究所の蛇口の水を毎日 2 万秒かけて、ゲルマニウム半導体検出器で測
定している。
・検出限界は 0.5Bq/kg

この中村氏の電話の態度は、自分は専門家、あなたは素人、という喋り方を一貫して行うので、対
話をしていて非常に不快だった。
私は元技術者で放射性物質の測定こそしたことはないが、各種分析機器を日常的に使いこなして
きた経験がある。そのことを伝えても、中村氏の話し方は変らなかった。

実は 3 月 23 日にも神奈川県衛生研究所へ電話し、私は中村氏に「浄水器によって放射性物質は
除去できるか」と質問した経緯がある。
このとき中村氏は「粒子が細かく、イオン化しているので、浄水器では除去できない」と断言した。
私はかなり食い下がって質問したが、素人の質問にうんざりした様子を隠そうとせず、除去でき
ないを繰り返した。

ところが、逆浸透膜純水器メーカーである寺岡精工が、飯館市の役場の汚染された水道水を純水
器にかけたところ、元の水が 600Bq/kg のヨウ素131であったが、逆浸透膜純水器で浄水する
と測定限界以下となったことを、分析結果の証明書とともにホームページで公表している。
http://www.teraokaseiko.com/news/topics/11_3_30/index.html

このことを 4 月 14 日に中村氏に対して指摘したが、
「データを確認していないので判断できないが、私は浄水器では放射性物質は除去できないと思
っている」
と、中村氏は態度を改めなかった。

「非科学的なのは中村氏のほうであり、あなたは私に嘘をついたことになる。あなたの傲慢な喋り
方とともに、嘘をついたことを反省すべきだ。」
と抗議して、電話を終わった。

------------------------------

私は、水源連や桂川・相模川流域協議会、相模川キャンプインシンポジウムといった、河川問題の
NGO で活動しているので、今回は水道水について個人的に電話での問い合わせと要請を行いま
した。
その後、東京都水道局では発表の仕方が改善されました。
(神奈川県営水道はいまだに改善をしていません。)

内部被曝をもたらすのは、飲料水だけではなく、様々な農産品、水産品があります。
これら全てに私が個人的に問い合わせ・要請を行うのは限界があります。

どこか、しかるべき NGO やグループが、各都道府県の担当課や機関へ何度も電話をかけなけれ


ば、事態は改善しないと思います。
また、全国の放射能汚染のデータをまとめている文部科学省と交渉し、より効果的な各地での食
品の放射能汚染の測定と、その発表方法へ、文部科学省の発表を改善してもらうことも効果的だ
と思います。

神奈川県に対しては、野菜の放射性物質の測定について、すでに地図上に面的な広がりをもつ形
で、放射性物質の検出量が示されているデータ、同じ地点における経時変化が把握できるデータ
の分かりやすい公表を電話で申し入れましたが、対応に出た女性は真摯な態度ではなく、『貴重
なご意見』として受け流していました。責任ある担当者と粘り強く交渉しなければ、野菜や魚でで
2000Bq/kg 以下のレベルの内部被曝を受けつづけることになります。

消費者が、自分の食べる食品の値を知った上で、自分で判断することができなければ、不安な食生
活をこの先ずっと続けることになります。

長い報告になってしまいましたが、以上です。

氏家

**************************************************************
追記
2011 年 4 月 19 日

私が注目している海外からの情報を以下に転載します。URL のみの記載だと、情報元が削除され
る可能性もあり、情報を 1 つにまとめておきたいので、長くなりますがご容赦ください。

日本における放射線リスク最小化のための提言
http://icbuw-hiroshima.org/wp-
content/uploads/2011/04/322838a309529f3382702b3a6c5441a31.pdf
より
********************* 以下転載その1 ***********************

ドイツ放射線防護協会            www.strahlentelex.de
                           2011 年 3 月 20 日

日本における放射線リスク最小化のための提言

 ドイツ放射線防護協会と情報サービス放射線テレックスは、福島原発事故の発生後の日本に
おいて、放射線核種[いわゆる放射性物質:訳者注]を含む食物の摂取による被ばくの危険性
を最小限に抑えるため、チェルノブイリ原発事故の経験をもとに下記の考察・算定を行い、以
下の提言を行う。

1.放射性ヨウ素が現在多く検出されているため、日本国内に居住する者は当面、
汚染の可能性のある*サラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念すること
が推奨される。

2.評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kg
あたり 4 ベクレル〔以下 Bq:訳者注〕以上のセシウム 137 を含む飲食物を与え
ないよう推奨されるべきである。成人は、1kg あたり 8Bq 以上のセシウム 137 を
含む飲食物を摂取しないことが推 奨される。

3.日本での飲食物の管理および測定結果の公開のためには、市民団体および基
金は、独立した放射線測定所を設けることが有益である。ヨーロッパでは、日本
におけるそのようなイニシアチブをどのように支援できるか、検討すべきであろ
う。

考察と算定

 以下の算定は、現行のドイツ放射線防護令の規定に基づいている。
飲食物を通じた放射性物質の摂取は、原子力災害後、長期間にわたり、身体にもっとも深刻
な影響を与え続ける経路となる。日本では、ほうれん草 1kg あたり 54,000Bq のヨウ素 131 が

出されたが、こうしたほうれん草を 100g(0.1 ㎏)摂取しただけで、甲状腺の器官線量は次の
とおりとなる(*1)。

乳児(1 歳未満):甲状腺線量 20 ミリシーベルト〔以下 mSv:訳者注〕(*2)


幼児(1~2 歳未満):甲状腺線量 19.4mSv(*3)
子ども(2~7 歳未満):甲状腺線量 11.3mSv(*4)
子ども(7~12 歳未満):甲状腺線量 5.4mSv(*5)
青少年(12~17 歳未満):甲状腺線量 3.7mSv(*6)
大人(17 歳以上):甲状腺線量 2.3mSv(*7)

 2001 年のドイツ放射線防護令第 47 条によれば、原子力発電所通常稼働時の甲状腺器官線量


の限界値は年間 0.9mSV であるが、上に述べたような日本のほうれん草をわずか 100g 摂取す

だけで、すでに何倍もこの限界値を超えることになる。原発事故の場合には、同第 49 条によれ
ば、甲状腺線量は 150mSv まで許容されるが、これはいわゆる実効線量 7.5mSv に相当する
(*8)。

 それゆえ日本国内居住者は、当面、汚染の可能性のある*サラダ菜、葉物野菜、
薬草・山菜類の摂取を断念することが推奨される。

 ヨウ素 131 の半減期は 8.06 日である。したがって、福島原発の燃焼と放射性物質の環境への


放出が止まった後も、ヨウ素 131 が当初の量の 1%以下にまで低減するにはあと 7 半減期、つ
まり 2 ヶ月弱かかることになる。54,000Bq のヨウ素 131 は、2 ヵ月弱後なお約 422Bq 残存し

おり、およそ 16 半減期、つまり 4.3 ヶ月(129 日)後に,ようやく 1Bq 以下にまで低減する。

長期間残存する放射性核種

 長期的に特に注意を要するのは、セシウム 134(半減期 2.06 年)、セシウム 137(半減期


30.2 年)、ストロンチウム 90(半減期 28.9 年)、プルトニウム 239(半減期 2 万 4,400 年)

といった、長期間残存する放射性物質である。
 通常、2 年間の燃焼期間の後、長期間残存する放射性物質の燃料棒内の割合は、
セシウム 137:セシウム 134:ストロンチウム 90:プルトニウム 239=100:25:75:0.5
である。

 しかしチェルノブイリの放射性降下物では、セシウム 137 の割合がセシウム 134 の 2 倍にの

ぼるのが特徴的であった。これまでに公表された日本の測定結果によれば、放射性降下物中の
セシウム 137 とセシウム 134 の割合は、現在ほぼ同程度である。ストロンチウム 90 およびプ

トニウム 239 の含有量はまだ不明であり、十分な測定結果はそれほど早く入手できないと思わ
れる。福島第一原発の混合酸化物(MOX)燃料は、より多くのプルトニウムを含んでいるが、お
そらくそのすべてが放出されるわけではないだろう。ストロンチウムは、過去の原発事故にお
いては、放射性降下物とともに比較的早く地表に達し、そのため事故のおきた施 から離れる
につれて、たいていの場合濃度が低下した。したがって、今回の日本のケースに関する以下の
計算では、
 セシウム 137: セシウム 134: ストロンチウム 90: プルトニウム 239 の割合は、
 100:100:50:0.5
としている。

 したがって、2001 年版ドイツ放射線防護令の付属文書Ⅶ表 1 にもとづく平均的な摂取比率



して、1kg につき同量それぞれ 100Bq のセシウム 137(Cs-137)とセシウム 134 (Cs-
134)、お
よびそれぞれ 50Bq のストロンチウム 90(Sr-90)と 0.5Bq のプルトニウム 239(Pu -239)に
汚染
された飲食物を摂取した場合、以下のような年間実効線量となる。

乳児(1 歳未満):実効線量 6mSv/年(*9)


幼児(1~2 歳未満):実効線量 2.8mSv/年(*10)
子ども(2~7 歳未満):実効線量 2.6mSv/年(*11)
子ども(7~12 歳未満):実効線量 3.6mSv/年(*12)
青少年(12~17 歳未満):実効線量 5.3mSv/年(*13)
成人(17 歳以上):実効線量 3.9mSv/年(*14)

 現行のドイツ放射線防護令第 47 条によれば、原子力発電所の通常稼働時の空気あるいは水の

排出による住民1人あたりの被ばく線量の限界値は年間 0.3mSv である。この限界値は、1kg あ

たり 100Bq のセシウム 137 を含む固形食物および飲料を摂取するだけですでに超過するため、

年間 0.3mSv の限界値以内にするためには、次の量まで減らさなければならない。

乳児(1 歳未満):セシウム 137 5.0Bq/kg


幼児(1~2 歳未満):セシウム 137 10.7Bq/kg
子ども(2~7 歳未満):セシウム 137 11.5Bq/kg
子ども(7~12 歳未満):セシウム 137 8.3Bq/kg
青少年(12~17 歳未満):セシウム 137 5.7Bq/kg
成人(17 歳以上):セシウム 137 7.7Bq/kg

評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kg あ
たり 4Bq 以上の基準核種セシウム 137 を含む飲食物を与えないよう推奨される
べきである。

成人は、1kg あたり 8Bq 以上の基準核種セシウム 137 を含む飲食物を摂取しない


ことが推奨される。

国際放射線防護委員会(ICRP)は、そのような被ばくを年間 0.3mSv 受けた場合、後年、10


万人につき 1~2 人が毎年がんで死亡すると算出している。しかし、広島と長崎のデータを独自
に解析した結果によれば(*15)、その 10 倍以上、すなわち 0.3mSv の被ばくを受けた 10 万人の

ち、およそ 15 人が毎年がんで死亡する可能性がある。被ばくの程度が高いほど、それに応じて
がんによる死亡率は高くなる。

********************* 転載その1以上 ***********************

桂川・相模川流域協議会市民部会 ML への投稿文 2011 年 4 月 18 日より転載


********************* 転載その2 ***********************
氏家です。

アメリカと日本の放射性物質対する考え方の違いが際立っている記事を転載します。

日本のテレビ、新聞のほとんどが電力会社からの広告費のお金で買われています。
マスコミに登場する原発の専門家、放射線医学の専門家は、原発推進のための予
算から研究費を得ている人がほとんどで、原発に懐疑的なことを言う専門家や評
論家はテレビから排除されています。

事故発生後数日間は、TBS に原子力資料情報室の市民側の専門家が出演していま
したが、その後、市民側の人はテレビにほとんど出演しなくなりました。ジャー
ナリストの上杉隆氏も、東電に 厳しい発言をしたため TBS ラジオ番組から突然降
板させられました。

また、政府の委員に任命されている学者も全て原発推進派であるため、情報の隠
蔽や、 対応の 遅れが繰り返されています。
この結果、日本のマスコミ報道だけを見ていると「放射能の健康に対する影響は
大きくない」と、刷り込まれてしまい、国民の多くが催眠状態に置かれて、知ら
ない間に被曝が進んでゆくことになります。

3 月 23 日に東京の水道水から検出されたヨウ素は 1 リットルあたり 210 ベクレ


ル。
これをピコキューリーとして換算すると、約 5670 ピコキューリーとなる。デン
バーの水道水に含まれるヨウ素の約 3 万 3 千倍だ。

驚いたのが、水道水に関する日米の安全基準のおおきな隔たりだ。米国環境保護
庁(EPA)の定める飲み水の最高汚染基準値は 3 ピコキューリー。日本の原子力安

全委員会が定めた水道水の基準値は 300 ベクレルだが、これを換算すると約


8100
ピコキューリーとなる。つまりアメリカの基準値の約 2700 倍なのである。

食品医薬品局などの政府機関は、十分な情報を提供するだけの手腕を持ち合わせ
ていないのでは、とラヴェラ女史は心配している。それに対してハーシュ氏は、
政府内に潜在的な利害の対立があるのではないかと危惧している。というのは、
米国は新しく原発増設のプロジェクトを推進しているから、その支持層を傷つけ
ることは避けたいので、福島原発の放射能汚染の危険性をわざと軽く扱っている
かもしれないからだ。

下の転載からの抜書きですが、日本と比べてごく微量の放射性物質が検出された
アメリカの方が、日本よりも敏感に反応しています。

日本とアメリカや欧州諸国との大きな違いは、情報が公開されているか、報道が
公正になされているかの違いに起因していると考えています。

今はネットの時代ですから、インターネットで情報を得ることによって、マスコ
ミに報道されない情報を得て、今何が起こっているのか、流域協議会としてどん
な取り組みが必要かを考えていただければと思います。
---------------------------------
Translators United for Peace

平和をめざす翻訳者たち
のサイトより転載です。

http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=935
より

速報 903 号 牛乳や飲み水、そして空気中からも放射性物質を 検出 ――アメリカは安


全なのか?

2011-4-16 3:17:53

放射性物質に国境はない
===================================
コロラド州でもあちこちで福島支援のイベントが開かれている。先週ボルダーの
市民広場で久しぶりに TUP の OB 笛吹氏とばったり顔を会わせた。タイムリーなゲ
スト翻訳作業に感謝します。
(宮前/TUP)
===================================
私の住んでいるコロラド州でも、3 月 30 日、デンバーの水道水から1リットルあ
たり 0.17 ピコキューリーの放射性ヨウ素 131 が検出された。これがどのくらいの
値なのか、日本の水道水の汚染度と比べてみた。

3 月 23 日に東京の水道水から検出されたヨウ素は 1 リットルあたり 210 ベクレル。


これをピコキューリーとして換算すると、約 5670 ピコキューリーとなる。デン
バーの水道水に含まれるヨウ素の約 3 万 3 千倍だ。

驚いたのが、水道水に関する日米の安全基準のおおきな隔たりだ。米国環境保護
庁(EPA)の定める飲み水の最高汚染基準値は 3 ピコキューリー。日本の原子力安
全委員会が定めた水道水の基準値は 300 ベクレルだが、これを換算すると約 8100
ピコキューリーとなる。つまりアメリカの基準値の約 2700 倍なのである。

翻訳・前書き:パンタ笛吹
===================================
牛乳や飲み水、そして空気中からも放射性物質を検出――アメリカは安全なのか?
著者:マイク・ラディック
トゥルースアウト 2011 年 4 月 12 日(火曜)

米国環境保護庁(EPA)によると、福島第一原子力発電所事故で発生した放射性
物質が、雨と共にアメリカ中の大都市に降っているという。

環境保護庁によると、牛乳や飲み水、そして空気中からも放射性物質が検出され
た。環境保護庁や他の政府機関は、原発事故の後、ある程度の放射性物質が米国
の地表に降下すると予測していたが、現時点での放射線量では健康への被害はな
いと主張し続けている。

しかしトゥルースアウトは政府のデータにずれを確認しており、原子力監視団体
らは公共機関が米国民に全容を伝えていないのではないかと懸念している。

アイダホ州のボイジーを検討してみよう。環境保護庁によると、雨水に含まれる
放射性ヨウ素 131 の値は、3 月 22 日に 1 リットルあたり 242 ピコキューリーだったの
が、3 月 27 日には 390 ピコキューリーにはね上がった。その他の 12 の都市で検出さ
れた雨水のヨウ素 131 の値は、8 から 125 ピコキューリーだったという。

ボイジーでの検出結果は、飲料水における最高汚染基準値に比べるとずいぶん高
いのではないか。安全飲料水法では、長年にわたり人びとが飲む水の安全基準
を、ヨウ素131に関しては1リットルあたり3ピコキューリーと定めている。

ボイジーの人びとにとって幸運だったのは、ヨウ素 131 の半減期が約 8 日間なの


で、最近の飲料水検査では、ヨウ素の値が 0.2 ピコキューリーに下がっていたこ
とだ。しかしいくつかの疑問に対する答えはまだ得られていない。

原子力監視団体、「ギャップに橋渡しする委員会」(CBG)のダン・ハーシュ氏
は、「雨水はすでに放射能汚染されているようだが、その汚染雨は放牧地や農業
用地にも降っている。しかし私たちは農産物についての検査値をまったく知らさ
れていないし、牛乳についてもわずかしか情報がない」と語った。

ハーシュ氏はトゥルースアウト紙のインタビューに、「政府は十分な検査を実施
していないし、関係省庁が測定結果を発表するにしても、情報操作をするので、
私には実際に放射線が人びとの健康を脅かしているかどうか確信が持てない」と
も語った。

米国内のいくつかの都市で、牛乳から放射性物質が検出されたが、ボイジーでは
牛乳に対する放射線検査は行われていない。アーカンソー州のリトルロックで、
3 月 30 日に牛乳を検査したところ、1 リットルあたり 8.9 ピコキューリーのヨウ素
131 が検出された。同じ週、アリゾナ州フェニックスでの牛乳検査では 3.2 ピコ
キューリー、カリフォルニア州ロスアンジェルスでは似た数値の 2.9 ピコキュー
リーが測定された。これらの検査結果は、サンプルを採取してから約1週間後に
発表された。

最もショッキングな数値は、米国本土より日本により近いハワイ島のヒロで測定
された。4 月 4 日にヒロで採取された牛乳サンプルからは、1 リットルあたり 18 ピ
コキューリーのヨウ素 131、24 ピコキューリーのセシウム 134、そして 19 ピコ
キューリーのセシウム 137 が検出されたのである。

これらの数値は、飲料水における放射性ヨウ素の最高汚染基準値、3 ピコキュー
リーに比べると気がめいるような高数値だと思うが、政府機関は、この汚染量は
健康に被害を及ぼすレベルよりはるかに低いから安心だと断言している。

それは、牛乳には安全飲料水法による最高汚染基準値が適応されていないからだ
とハーシュ氏はいう。そのかわり政府機関は、米食品医薬品局(FDA)により制
定された放射線緊急時の「派生介入レベル」(DIL)の基準値に頼っている。
「派生介入レベル」では、牛乳などの食品は、ヨウ素131の基準値を、1 キロ
グラムあたり 170 ベクレルと設定している。この基準値は、飲料水の最高汚染基
準値の 1500 倍も高い。

放射性物質で汚染された食品が一般消費者の手に渡るのを防ぐために、食品医薬
品局などの政府機関がどの時点で規制を始めるべきかを決めるガイドラインとな
るのが「派生介入レベル」だ。しかしその基準値は強制的なものではない。

食品医薬品局のホームページを見ると、「派生介入レベルは、人びとが大量の放
射線被爆を受けないように推薦された保護的な基準値であり、放射能濃度が安全
か危険かをはっきりと規定するものではない。」と書いてある。

ハーシュ氏はまた、「派生介入レベルは、放射能汚染がどの程度広がれば政府が
緊急時の介入を起こすかの手引きではあるが、その基準値はとうてい安全な値だ
とは考えられない。派生介入レベルは、米国内で原発のメルトダウンや汚い爆弾
(ダーティー・ボム)が爆発した場合という緊急状況に対応するために、誇張さ
れた値になっている。基準値を高めに設定しておけば、政府職員が緊急時に被害
者の援助などの優先順位を決めやすくなるからだ」」と主張する。

ハーシュ氏や他の原発批評家は、放射線被ばくに安全だといえる基準値などはな
く、たとえ微量の被ばくでもガンを引き起こしえる、という見解で合意してい
る。その見地は2005年に発表された国立科学アカデミーの研究報告によって
も支持されている。

環境保護団体「フード&ウォーターウォッチ」の副所長、パティー・ラヴェラ女
史は、こう批判している。

「政府機関は、日本から輸入する食糧や製品について、健康に被害を与えるほど
のものではない、とただ一律の発表を繰り返すのではなく、もっと放射線検査を
広げる必要がある。政府はこぞって、食品や飲み水から検出された放射線量を、
レントゲン検査や CT スキャンでの被爆量と比較してその類似点を強調しようと努
めているが、それはおかしい。なぜならそれは、リンゴとオレンジを比べるよう
なものなのだからだ。」

食品医薬品局は、通常は輸入水産物のうち 2%を点検し、1%を検査にかけている
が、ラヴェラ女史は、日本からの輸入食品の検査をどうしたらもっと厳しく徹底
させることができるか、具体策を練るように食品医薬品局に要求している。

米国の食品医薬品局はすでに福島第一原発周辺地域からの野菜や牛乳の輸入を禁
止しているが、他の国々の例に習って、日本からの水産物の輸入も一時的に禁止
すべきだともラヴェラ女史は言っている。

年齢や健康状態のそれぞれ違う米国民一人ひとりが食品について正しい選択がで
きるよう、環境保護庁から発表されたレベルにおいてさえも、政府機関は放射能
汚染により考えられる健康被害についてもっと正直に発表するべきだと、ハー
シュ氏と同様、ラヴェラ女史は求めている。

ラヴェラ女史はこうも語っている。

「政府内では、放射能汚染に関するきちんとした論議はされておらず、ただ『心
配はいりません。緊急事態になった時には皆さんにお報せしますから、それまで
は安心してください』と繰り返すだけです。しかし低濃度の放射線摂取でも健康
被害をもたらすという見解が増す中、個々人が自分で食品を選べるように、政府
はもっと多くの情報を公開すべきです。」

食品医薬品局などの政府機関は、十分な情報を提供するだけの手腕を持ち合わせ
ていないのでは、とラヴェラ女史は心配している。それに対してハーシュ氏は、
政府内に潜在的な利害の対立があるのではないかと危惧している。というのは、
米国は新しく原発増設のプロジェクトを推進しているから、その支持層を傷つけ
ることは避けたいので、福島原発の放射能汚染の危険性をわざと軽く扱っている
かもしれないからだ。

オバマ政 権は米国に多くの原子力発電所を建設する公約を断言しており、議会で
も、新しい原発を建設するための 540 億ドル(約 4 兆 5 千億円)もの補助金融資法
案を急いで通そうとしている、とハーシュ氏は指摘する。

カリフォルニア大学サンタクルーズ校で原子力政策についての講義もしている
ハーシュ氏は、「福島原発事故と似たような大災害はわが国でも起こりえる。こ
れは米国政府にとってある種のリハーサルみたいなものだ。わたしが米国政府の
成績評価をするなら、落第点しかあげられない」と語った。

********************* 転載その2以上 ***********************

You might also like