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2014.3.

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沖縄市サッカー場調査前回の調査課題抜粋
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
ディレクター 河村 雅美
6 月 13 日に沖縄市諸見里サッカー場で発見されたドラム缶の調査では、調査機関と専門
家から以下の課題などが挙げられていた。
調査に係わった機関の報告書から挙げられた課題を抜粋してまとめておく。
1)沖縄防衛局
『旧嘉手納飛行場(25)
』土壌等確認調査調査報告書[考察と提案]平成 25 年 7 月
沖縄防衛局 調達部/ 一般財団法人 沖縄県環境科学センター
P.19 (太字は調査報告者による)
提案
(1)土壌汚染対策
調査対象地では、土壌汚染対策法が定める要措置区域の指定に係わる基準について、砒
素及びその化合物、ふっ素及びその化合物が基準値を超過し、土壌汚染が確認された。し
たがって、土壌汚染対策法に則り「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイド
ライン(改定第 2 版)
」にしたがい、土壌汚染調査および措置を実施することを提案する。
(2)埋設ドラム缶対策
調査対象地には、現在複数のドラム缶が埋設されていることが確認されている。また、
これらのドラム缶も今回調査されたドラム缶と同様に、油類、ダイオキシン類、2,4,5-トリクロ
ロフェノキシ酢酸(2.4.5-T)あるいは PCP といった農薬類に汚染されている可能性があり、早急
に撤去されることが望ましい。埋設ドラム缶を撤去する際には、作業中に新たに埋設ドラ
ム缶が発見されることも考えられ、周辺環境への汚染拡大防止、作業者の安全確保、廃棄
物の適正な処理を行うために、
「埋設農薬調査・掘削等マニュアル」、
「建設工事で遭遇する
廃物混じり土対応マニュアル」、
「建設工事で遭遇するダイオキシン類汚染土壌対策マニュ
アル」にしたがった調査・掘削・廃棄を提案する。
(3)その他
本調査では、埋設地点土壌について、砒素及びその化合物、ふっ素及びその化合物が基
準値を超過して検出され、ダイオキシン類濃度が環境基準および調査指標値を下回る量で
はあるが、日本国内各地の値と比較すると高い値を示している。ドラム缶付着物(水)に
ついては、ダイオキシン類が 28pg-TEQ/L および 2,4,5-T が 0.087mg/それぞれ検出された。
よって、ドラム缶付着物による地下水汚染の有無を確認するため、ドラム缶埋設地周辺 4
方位に観測井を設け、地下水の流向を確認した後、地下水下流側で地下水の水質汚濁に係
わる環境基準項目、ダイオキシン類および 2,4,5-T を調査することを提案する。なお、ダイ
オキシン類の調査については、
「ダイオキシン類測定のための地下水の採水に係る留意事項
について(平成 12 年環水企 231 号)」を参考に、地下水試料への土壌粒子の混入に留意し
調査することを提案する。
本調査では、2,4,5-T が検出され、また、ダイオキシン類の異性体分布から PCP の存在も
推定された。これらは、人や環境への毒性、難分解性、高蓄積性及び人等への長期毒性等
を有することから現在、農薬取締法で販売・使用が禁止されている。農薬取締法で販売・
使用が禁止されている農薬は、27 種類あるが、2,4,5-T 以外の農薬の調査は、今回行ってい
ない。他の農薬による汚染の有無を確認するために、ドラム缶付着物の 2,4,5-T 以外の農薬

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の調査は、今回行っていない。他の農薬による汚染の有無を確認するために、ドラム缶付
着物の 2,4,5-T 以外の農薬取締法で販売・使用が禁止された農薬の調査を提案する。
本調査では、ダイオキシン類の異性体分布の解析を行い、PCP および PCB の存在を推定
した。しかしながら、ダイオキシン類の異性体分布の解析は、高い専門性が必要であるこ
とから、ダイオキシン類の専門家もしくは研究機関等において、さらに詳細な解析を行う
ことを提案する。
・愛媛大学農学部客員教授森田昌敏氏の評価 (沖縄防衛局が依頼 2013.8.2 発表)
○米軍より返還された土地(現在、沖縄市サッカー場)について埋没されていたドラム缶
および周辺土地および水の分析が行われ、米軍枯葉剤作戦に用いられた枯葉剤汚染との関
連性について調査がされ、報告書がまとめられた。その内容についてのコメントは以下の
とおり。
○ダイオキシンが環境基準を超過して見出されているものとして、ドラム缶の試料及び場
内のたまり水が見出されている。そのダイオキシンの異性体パターンは、除草剤 2,4,5-T に
含まれていたものを示している。
それ以外に毒性(TEQ)ベースでは微量のダイオキシンがみられている。しかし、これ
らの起源は除草剤 PCP、PCB 及び焼却過程からの発生を示している。しかし、これらの起
源は全体の中ではわずかであり、現在のデータを見る限り問題とならない。
○TEQ ベースで大きな成分は 2,3,7,8-TCDD であり、除草剤 2,4,5-T に不純物として含まれ
ていたものと推定される。除草剤として用いられた 2,4,5-T 製剤由来であるか或いは枯葉作
戦で用いられたオレンジ剤に由来であるかの特定は難しく、本調査をもってオレンジ剤由
来と断定することは出来ない。
○ドラム缶周辺に溜まった水の調査結果は、環境基準を上回っている。しかし、水のサン
プリングにあたって、底質などを巻き上げて濁水試料が採水され、分析されると超過する
ことが少なくない。
ダイオキシンは底質に高濃度で含まれており、水に本当に含まれているかは再検証の必
要がある。
○その他にヒ素およびフッ素の濃度超過の見られた試料がある。これらについては追加的
なデータを取ることにより、一部原因が明らかとなるかも知れない。例えばある種のヒ素
化合物(カコジル酸)が作戦除草剤に含まれていた(ブルー剤)とされておりその可能性
を判断する事が出来る。
2)沖縄市
「沖縄市サッカー場土壌等調査業務委託 調査報告書」 平成 25 年 7 月株式会社南西環境
研究所
p.35 (赤字は調査報告者による)
1)表1より、ドラム缶内容物(No.1~22)のダイオキシン類濃度は、ダイオキシン類の処理
を必要とする。基準値 1000pgTEQ/g を越している試料(No.3,5)があり、また、要監視濃
度 250pg-TEQ/g 以上の試料(ドラム缶埋設場所の土壌を含む)が多数認められることから、
再調査による汚染範囲の特定とその汚染対策が急がれる。
また、サッカー場土壌残土とサッカー場表層土壌のダイオキシン汚染は極めて少なく、
緊急対策の必要はないが、ドラム缶埋設場所周辺水のダイオキシン類濃度が環境基準
1pg-TEQ/g より高く、ドラム缶埋設場所から流出しているものと思われ、周辺の地下水、河
川水などの緊急な調査と対策が望まれる。

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2)ダイオキシン類汚染源の推定
本調査結果を基に、ダイオキシン類の組成を図化すると(図 1)
、まず PCDDs が PCDFs
よりも濃度が高く、特に 8 塩素-DD が高いことから、全体として、ポリ塩化フェノール類
(ペンタクロロフェノール、除草剤)に起因するところが大きいと考えられる。しかしな
がら、比較的に高濃度の TEQ 値を示す試料においては(表 1)、Total-TEQ に占める
2,3,7,8-TeCDD の割合が高く、しかも、これらの試料では、2,4,5-T が検出されていることか
ら、2,3,7,8-TeCDD の割合が高く、しかも、これらの試料では、2,4,5-T が検出されているこ
とから、2,4,5-T 由来のダイオキシン汚染であると思われる。さらに、PCBs, DDTs とその分
解物、ヒ素、フッ素などが比較的に高い濃度で検出されている。つまり、本調査地は、枯
葉剤及びその他の除草剤 PCP から由来したダイオキシン類とその他の有害物質による複合
汚染であるといえる。
4.1 結果のまとめ
本調査により判明したダイオキシン類をはじめとする有害物質等による汚染内容を下表
に示す。なお、特に問題となる部分は赤字で示した。
[引用者注:表 4.1.1. 分析結果のまとめ略]
上記より、地中より掘り出されたドラム缶の内容物及びその周辺に位置する埋設場所土
壌、周辺水が汚染されており、適切な処分方法、対策が必要と考えられる。
4.2 評価
分析結果から、ドラム缶が埋設されていた周辺の土壌、地下水について、ダイオキシン
類や農薬類、PCB および油分により汚染されている可能性がある。
ドラム缶の埋設時期が数十年以前であり、存在していた有害物質が分解しやすい場合、
影響は小さくなるが、難分解性の物質については広範囲に汚染が拡大した可能性が考えら
れる。
ドラム缶については、内容物がダイオキシン類の土壌環境基準を大幅に超過する試料が
あり、処分方法を含め、取扱いに注意が必要である。その他にも 2,4,5T や PCB の検出が見
られることから、専門家の指摘にあるように複合汚染が考えられる。
ここで、内容物の分析結果からは、ダイオキシン類の毒性等量に対し 2,3,7,8TCDD の存
在割合が大きいこと、枯葉剤の成分の1つとされる 2,4,5-T が検出されたこと、また、ドラ
ム缶の表示が枯葉剤製造会社であること、発見された場所が米軍施設跡地であることを考
慮すると、埋設されたものは除草剤のみでなく、枯葉剤も含まれていた可能性はあると考
えられる。
サッカー場の表層土や残土(ドラム缶埋設場所周辺上層)、搬出土壌は、分析結果からは
特に問題なしと評価する。
ただし、ドラム缶埋設場所の下部については汚染が拡散した可能性があり、さらに詳細
な調査が必要である。
なお、調査当日にも、埋設されたドラム缶が新たに発見されていることから、他にも埋
設物が存在する可能性があり、敷地全体についても埋設物調査を実施し、平面的な汚染の
影響範囲を確定させ、詳細調査による深度方向についての確認を実施することが望まれる。
また、今後実施する詳細調査では PCP(ペンタクロロフェノール:除草剤)も汚染原因物
質と考えられるため、その確認のため、調査項目として計画に追加しておくことが望まし
い。

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その他の第三者意見として、沖縄・生物多様性市民ネットワークから沖縄県に送付した
意見書でも以下の提言がある。
・環境総合研究所「旧嘉手納基地返還跡地から発見された有害物質分析調査についての暫
定評価報告書―沖縄防衛局と沖縄市の調査の比較を中心として ―」
(2013 年 8 月 30 日)
(報告書全体を参照)
・摂南大学名誉教授 宮田 秀明
「沖縄市諸見里サッカー場工事現場の調査結果に対するコメント」(平成 25 年 9 月 18 日)
p.5
以上の既述した内容を総括すると、当該地域に埋設されていたドラム缶付着物には、多
様な 2,4,5-T 製品、農薬の PCP、焼却関連物質、PCB などの混合物に由来するダイオキシン
類で汚染されていたものと推測される。また、調査結果から、ドラム缶に封入された内容
物は不均一であるため、汚染源物質の種類・濃度やダイオキシン類の濃度・構成組成が大
きく相違したものと判断される。
発見されたドラム缶は長期間にわたって埋設されていたことから、傷みも激しく封入物
の漏出・拡散の可能性もある。従って、当該地域における詳細な汚染調査を実施し、汚染
範囲を確定することが緊急課題である。

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