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18テンション
18テンション
∼複雑な響きをもつ和音∼
テンション(9th 11th 13thとそのヴァリエーション)は7thコードの上にさらに音を積み重ねてい
ったコードの構成音の事です。このテンションを使用する事によってコード内に不協和な音程が
生じます。それ故、通常のトライアドや 7 thのコードよりも複雑なサウンド、緊張感のある響き
といったものが生まれ、楽曲の表現が多彩に、且つ深くなっていきます。
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Root 3rd 4th 5th 6th 7th 9th 11th 13th
・ナインス・コード
テンションが含まれるコードは沢山種類がありますが、その中で最もよく使われるのがナインス
・コードです。まずはテンションコードの基本であるナインス・コードを見ていきましょう。
4つの音で構成される「セブンス・コード(七の和音)」の上に、さらにもう1つ音を加えたのが
「ナインス・コード 九の和音(ninth chord)」です。一番上に積まれた音は、ルート音から9度
の位置にあるため、「第9音」「ナインス(ninth)」と呼ばれます。5つの音で構成されるため
「五和音」と呼ばれることもあります。セブンス・コードよりも複雑な音の響きを持っています。
E m7( b 9)
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B m7(b 5 b 9)
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C M7(9) D m7(9) F M7(9) G 7(9) A m7(9)
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※注
B m7(b 5 b 9) C M7( # 5,9) E 7( b 9) F M7( # 9) G #dim7(A)
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w
( ) ( )
A mM7(9) D m7(9)
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・第9音の使用には規則がある!?
ナインス・コードの場合、第9音は「ルート音から9度上に置かれる」のが基本です。上記の譜面
のうち、カッコでくくったコードはルート音と第9音の幅が「長9度」以外(短9度や増9度)な
ので、通常はあまり使われません。また、第7音のないコードに第9音を加えるケースもあります。
C add9 C madd9
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ww b ww
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・コードタイプが「ドミナントセブンス(属七の和音)」の時は特別と覚えよう!
前ページで「※ 注」と書かれたコードは、第9音がルート音から短9度の位置にありますが、特
別によく使われます。このような例外は「ナインス・コード」の母体である「セブンス・コード」
が「ドミナントセブンス・コード」(属七の和音)のときにおこります。母体におけるコードが
「ドミナントセブンス・コード」であれば、第9音は「短9度」「長9度」「増9度」の三種類を
置けるのです。なお、「短9度」と「増9度」の第9音を「オルタード・テンション(altered
tension)」といいます。これらは「属音の上に作られる九の和音」という意味で「属九の和音」とも
呼ばれます。
ちなみに増9度の音が加わったコードは、通称「シャープ・ナインス」のコードとも呼ばれます。
G 7( b 9)
#
www b www # www
G 7(9) G 7( 9)
∼9th以外のテンション・ノート∼
テンション・ノート(tension note)は、コードに加えることで「緊張感を生み出す」音です。一
般的には、ルートから数えて「第9番目の音」とされます。第9音(9th)以外にも、第11音
(11th)、第13音(13th)があります。
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・テンション・ノートの決まり
・第11音(11th) の条件
第11音はルートから数えて11度の音です。「完全11度」「増11度」の2種類があり、
和音に第7音や第9度がなくても加えられます。
完全11度:完全11度の第11音は「イレブンス(11th)」と呼ばれます。
増11度:増11度の第11音は「シャープ・イレブンス(#11th)」と呼ばれます。
11th # 11th
w #w
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・第13音(13th) の条件
第13音はルートから数えて13度の音です。「長13度」「短13度」の2種類があり、
コードに第9音や第11音がなくても加えられます。
長13度:長13度の第13音は「サーティーンス」と呼ばれます。
短13度:この第13音は「フラット・サーティーンス」と呼ばれます。
13th b 13th
w bw
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・ベーシックコードにおいてのテンションの分類
テンションはコードの種類によって使いやすいもの、使いにくい(響きが悪い)ものがあります。
響きも含めてしっかりとおぼえておくと良いでしょう。
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基本的な4声のヴォイシングの作り方
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Cm C m6 C m7 9th 11th
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#w bw w
C7
bw w bw
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基本的な4声のヴォイシングの作り方
◦9thをテンションとして用いる時はルートを省略します。
◦♯11thをテンションとして用いる時は3rdを省略します。
◦13thをテンションとして用いる時は5thを省略します。
◦♭9thをテンションとして用いる時はルートを省略します。
◦♯9thをテンションとして用いる時はルートを省略し、♭13thを補い、5thを省略します。
◦♭13thをテンションとして用いる時は5thを省略し、♭9thを補い、ルートを省略します。
#
C 7( 11) C 7( b 9) C 7( # 9, b 13) C 7( b 9, b 13)
b # wwww
C 7(9) C 7(13)
◦Diminished 7 th コード 使用可能なテンション Keyによって変わります。
Diminished 7 th コードのテンションの見つけ方は元になるDiminished 7 th コードの各構成音
を全音あげた音の中から使用されている場所のKeyのダイアトニックスケールに含まれている音が
テンションとして使用できます。
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C dim7(D) C dim7(F) C dim7(B)
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基本的な4声のヴォイシングの作り方
テンションとして使用した音の全音下の構成音
# ww b # wwww
を省略します。
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◦ディグリー表示による使用可能なテンション一覧
Ⅰ6 使用するテンション 9 省略する音 1
ⅠM7 使用するテンション 9 省略する音 1
&
Ⅱm7 使用するテンション 9 省略する音 1
使用するテンション 11 省略する音 3
&
Ⅲm7 (使用するテンション 11 省略する音 3)
&
ⅣM7 使用するテンション ♯11 省略する音 3
使用するテンション 9 省略する音 1
Ⅳ6 使用するテンション 9 省略する音 1
&
&
Ⅵm7 使用するテンション 9 省略する音 1
使用するテンション 11 省略する音 3
&
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Ⅴ7 of Ⅴ 使用するテンション 13 省略する音 5
使用するテンション ♭13 省略する音 5 (更に♭9を補い1を省略)
使用するテンション ♯11 省略する音 3
使用するテンション 9 or ♭9 省略する音 1
&
Ⅴ7 of Ⅱ 使用するテンション 13 省略する音 5
使用するテンション ♭13 省略する音 5 (更に♭9を補い1を省略)
使用するテンション 9 or ♭9 省略する音 1
使用するテンション ♯9 省略する音 1 (更に♭13を補い5を省略)
&
&
&
Ⅶm7(♭5) 使用するテンション 11 省略する音 3
使用するテンション ♭13 省略する音 ♭5 (♭13 → ♭5に進行する時のみ使用)
&
Ⅳ7 使用するテンション 13 省略する音 5
使用するテンション ♯11 省略する音 5
使用するテンション 9 省略する音 1
使用するテンション ♯9 省略する音 1
&
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