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美人草

予が弓に心ざす事は竹馬にむちをうちしより以来常に心がけ八才の年学文にのぼりし時
もはなたず月日を送もて行に十六才の年近きあたりに小笠原流をくわしく知りたりし人
有りその人に近付て是をまなぶといえ共心にそまず日置流と云は弓のつよみよわみのせ
んさくをして矢を飛せ物によく当よしを傳聞爰にをひて心をかけぬれば則吉田助左衛門
を師匠として海山を隔ぬれどもたへずあゆみをはこび然處に佐々木右衛門督殿御ぼつら
くの時に助左衛門尉一ぞく衆もさすらへ人とならせければ舎弟左近右衛門といふ人を久
しくかゝへたがひに弓矢のさひくとうにいたる迄吟味し侍りぬ其後露滴老雪荷老各一類
衆常に立よられければさま の事を語られし故委聞といへどもをろかなればそのかひ
,
なし然に予が廿三才の年粉骨を尽くしぬる至にや熊野の牛王をひるがへし以血判心底に
残らざるとの請紙をし助左衛門印可をこひき別に又美人草一巻弓箭一巻其外巻数七八巻
相添はんへりぬ然に彼美人草に序なし愚意に筆をそめそこはかとなき事を書付る者也則
かの序をくふうす夫弓は半月のよそほひたりとは月弓に似りと云事あればや左右のてに
うとの二をそなへたるとはきようとて焉なり是をおしてにとれり則日の事也子細口傳に
有べしきよくととはうさぎの事也是をかつてにとれり則月の事也子細口傳に有あくまを
かうぶくすとは左右の手に日月あればなりそれ兵と云から三界の語なり兵とは爰にては
武具と心得べし天道是をよしとせずやむ事をえずして是をもちゆる則天道也とは世の法
度をそむきみだりにきやうする時は此兵を出してしづめ国土もあんぜんの時は弓を袋に
入ると云儀也爰を以神明につうじ仏法に近しとは神はしやうじきをむねとし給ふが故神
の御心にもかなひ佛の御なひしやうにもいたらんと也ゆふげんの時猶是をすてがたきと
は聞へたるまま也爰に日置のなにがしと云より日置のうはさをいへり出生出世を知らず
とはいづくの人いかなる人としらねばまことにけ人のやふなる人と聞えたりきとく成事
のをゝければつねの人とも聞えずさのことく成人はふしやうふめつにもあらんか弓を調
矢をただすとは弓の善悪をしらべ矢をえらびなどして百度はなつて百度中らるゝ程の上
手とほめたる事也此道におゐてめゐたつとは弓にくらき處なしと云儀なりむかし寒国に
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こうけひをめひじとはもろこしの事成にきやうわらと云みかどの時天に十日の出候国土
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をてらす事火のごとし是によつて万物せうこせずとて草木ももえて人民たへがたし時に
こうけひと云弓の上手有ければかれにをほせて日をいさせらるゝ九つまでいおとしぬ是
焉にてたちまちしらてうよくをおとすと云り本朝にも頼政を免じて五雲のぬえをいさせ
五雲てんしやうとてだひりの事也御門の御なふも卒復し給ふと也其人ことなりとはいえ
共そのしゆつは一也とは射たる人は別也といへども弓のとくはひとつ也と云り此二めう
いかでかくのごときの人にをよんとはこうけいにも頼政になもまさらんとほうびしたる
事也然におふみの国吉田出雲守此しゆつとしたふといへ共かつてゆるさずとは色々こん
ほうせらるるといへ共そうして同心なしと也ふんこつさひしんの心ざしの心ざし有を以
之故にとは骨をくだき身をくだても真実の處をみせばやと執心したる儀也是によつても
ゝしくする事をえずしてとは物もいわずして射る事也然をおしへとはいわれぬやうに成
ぬれば是非なふしておしへしと也一くわんをかれにしやよすとて巻物を渡されしと也け
だし弓馬の道つづる事なしとは弓法はそでなし此故に当流には弓法をすつるといへり殊
更武田小笠原両家に此ことを取沙汰してその家とする也当流の心得ぞ千釣弩為鼷鼠不発
気と云事あれば弓法はまなびややすしやすきを捨てがたきにつゐてがうじやくの二字に
かゝり利をもとむる事を本とす也よう をばつすひすとはかむようの事也扇にてはか

+
なめのやうなる處をぬひてと也則ばつすひとはしへをぬくと云儀也一覧の図となすとは
一目にみるやうに法をしたると云事也あへてたけんにをよぼすとは人にみせぬ事也此故
に美人草と名付し也
読めない文字は、やはり徳
田先生からいただいた慶長 夫弓者為半月粧偈左右
から寛永年間の全編万葉仮
名表記の美人草を参考にし 之手備烏兎之二以降伏
ている部分があります
悪魔矣夫兵者不詳之器
其道悪之不得己而用也是
天道也者所以保国家也
以是通神明近佛法幽玄
時猶将弄之奥日置某
之一老人不知出生出世本来
不生不滅之化人也調弓
矯箭百發百中於此
道明達也昔漢國命后
羿令射九日焉本朝召
頼政令射五雲鵺其人
雖異其術一也此二妙争
及若人乎然名近江州吉田
出雲守雖慕斯道曽不
許終以有粉骨砕身志
故不獲黙止而授与一巻於
深益弓馬之道無盡
依之抜華用要以作一覧
之図聊不可及他見所以
称其名美人草爾云
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美人草目録巻㐧一
4

一 弓のおこりの事
一 箭のをこりの事
一 烏兎の二を表手の事
一 まきわらの事
一 あしふみの事
一 弓かまへの事
一 どうつくりの事
一 弓なり身なり四つのすまし
一 弓の金身の金といふ事
一 打おこしの事
一 目あての事
一 懸に三指の用有ゆびに五つの手をつかふと云事
一 弓の立臥に強弱の有事
一 勝手の高低の事
一 にぎりの高低の事
一 物によりて弦に異在
一 物によりて弓に異在
一 弦みちの事
一 かけに十文字の事
一 ひとつめの事
一 ふたつめの事
一 三つめの事
一 鵜のくびといふ事
一 いろこがたと云事
一 さうまくりの事
一 さぐりの子細の事
一 大すぢかひの事
一 小すぢかひの事
一 かけこゑの子細の事
一 弦輪に心持の事
一 弦の目の事
一 弓に長短有事
一 つくばひにどうづくりの事
一 たてうらのかねの事
一 肩につく勝手つかぬ勝手の事
﹁ひぢにの﹂となっている 一 ひぢの小がへしの事
一 ひぢにこころの
一 根に大根の小根小根の大根と云事
一 根の大小に好悪有事
一 雨ふりのゐやう有事
一 遠矢にかけ合の事
一 遠矢に足ふみの事
一 とほ矢にかまへの事
一 遠矢に弓のおこしの事
一 遠矢に三町つぼと云事
﹁心﹂は空白で見えない 一 遠矢を射時心持様有事
一 をい風の事
一 むかふ風の事
一 よこ風の事
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一 道有道に依て達者より起る稽古は心より起る稽古より鍛錬をこるたんれんより神変
起る神変より畢持起る
この部分青字にしていない 右美人草之内撰出有用所之物五十ケ條以作一巻 此分御相傳之時者大形一通相澄請
が怪しい文字あり
猶以誰家法 心之輩在之者重而以其次之巻可有御傳授者也
寛永廿一年
漆谷太郎左衛門尉
正月吉日 印 花押
   
美人草巻㐧一
一 弓のをこりの事
一 矢のをこりの事とは当流には弓法を捨といへ共さすが又かんようの事をうちつけに
﹁しゆしやう﹂は万葉仮名 かゝんもいかゞなれは爰にしるす物也そも 弓はしゆしやうをへうすといへり矢
+
版では﹁柱杖﹂
はほつすをへうすと云り又弓は五たひ五りんをへうす共云り其故はゆがめるそとば
に藤のかゝりを老人立寄てつえをば付てはなつ是よりして此事をこるとなん一見卒
都婆永離三悪道とは卒都婆を一目みて永く三悪道をはなるゝと云事なれば卒都婆の
くどく計がたし又此弓のいくわうにをそれて人よこしまなる事を出ざれは正路に至
くどく又卒都婆におとるべきか又矢は求むは悪なれは人をたすくる道理も爰にかな
ふ物が神明につうじ佛法にちかしとぞ爰に有が猶に調も有となむ
一 うとの二を手にへうするとは前かどに委有り
一 まきわらの事とはしきせうの時に至ては色々ゆひめなどに子細も有と聞ゆ又懸物を
懸て射事も有又有せつにまきはらを射をつくらのあそびと云とぞしるせん當流には
内々のけいこなれば其時にのぞみ見苦敷からぬやふに射て立のくべき事也と也
一 足踏の事おしてかつて定ば足踏かくなる物にてと也足踏悪しければ矢所すわらぬも
の也此故に當流には是をせんにする也をよそかくのごとく踏申候なり
あたりとうと云も足踏にあり大佛のほそんをつめ一つにてもそのかたち出ける
たとへ是也但弓ての足の大指に有り
一 弓かまへの事是に重位あまた籠り候左のかひなとつるの間大かた四寸斗ありて矢先
はまきわらにすこしはづれ申程成が能候をよそこぐちの二尺七八寸斗のまきはらの
時事也
一 筒作の事是又かんよう也弓斗にあらず諸げいにも此筒ひとつと聞へし弓にてはあん
座して居時なりのどうずくりと云處のたゝみにつくやうになをりその筒をおぼへべ
き也
一 弓成身成四のすましとは両のもゝね両のかたさきとひとつにみゆる様に弓をかまへ
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候へば弓なりも身なりも能物也
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一 弓のかね身の金とは是も弓のかねより身のかねも直に成物にて候但弓の金も身の金
もいらず候臍の真中の筋ねぢり候はぬ様にかまへ射申候へばいづくも能く當流の弓
かまへは他流に替てかまへにくき事なれば弓かまへの事は前かどしるすといへ共大
かたに心得て後に悪敷成人多しその故にまた爰にしるすもの也
一 うちをこしの事専也がうじやくの上の重そうまくりなど此内に籠候也殊外能重也殊
﹁本け﹂は万葉仮名版では 本けとて本よりかへるをきらひ申也此重位よわければ本けさす物也其外さま 口

,
﹁本性﹂
傳有事也
一 懸に三指のよう有ゆびに五つの手をつかふと云事は右にも左にも指を一つゝぬすめ
ると云事有口傳
一 かつてのかうていとは高しひくしの二つ也いづれかまさる儀也爰にをゐてくらひ有
べし
一 にぎりのかうていとは高しひくしの二也人によりことによりそのしやべつ有べし遠
矢などの時はすこしとりさげて射申たるが能候但其引やうによるべし長矢束などの
とりさげて射候はゞ悪しかるべしねらひ物などは取つけてはあしかるべし小兵の人
はさも有べし
一 つる道の事甲をきて射時の心得有事也立物などにさわらぬ様に射事也但手の内まわ
り候へばあしく候也
﹁しゆら﹂は﹁修羅﹂ 一 ものによりてつるに異有とは的まきわらなどは同じかるべし又しゆら遠矢射ぬきな
どは又おなじ
一 物によりて弓に異有とは第一弓の木をみしり候事かむよう也大のきめうきまつめか
らすめ枝木めなどゝて有是はいづれもさえたる木也鶉めしこか木尾ふち小のきめな
どとて替り有是はいづれも目の入組たるしつ成木也りうもくはあまりあさ木にて用
に立ぬ物也弓の木は大かた矢の心をひくがよし弓に矢相應なれば也いづれをしゆら
遠矢的まきわらとしやるつ有べし
一 一つめとは小指をしむるを云也弓かへりのためつよみのため也是よわければ弓とは
見へぬなり本けさす物也
一 二つめとはむめい指をしむる事也小指にちからをそへんため也よくしめよと云儀也
一 みつめとは中指也是真のつのみにたひする事也
一 うのくびとははじゐてしむると云儀也是をはじくとは小を捨て大につくがごとく又
ママ
﹁羽六﹂となっているが万 羽六には出してはを取と云に似たり
葉仮名版は﹁雙六﹂
一 懸に十文字とは則つると指と十文字と心得べし又一文字とをしゆる人有り是は少替
たるやうなれ共本は遥ちがひ候也
一 いろこがたとはいろこと云もん有是を弓にかたどる處有口傳
一 そうまくりとは上の重の根本也是よはければ弓とは見えず猶本けさして悪き事多口傳
一 さぐりの子細とは夜の用意と見へたりそれのみならぬ事あまた有べし今更熊さぐり
をいわぬ人有こしかたの日置吉田の代々皆ゆひ来りぬ此人々今の世の射手にをとる
べきやかゝるわたくしなる事また有りとをぼつかなし乍去但他云有まじき事也
一 大筋かひの事とは手の内也てをうつ時此位を射ばたちまちうちやむ事にて候子細口傳
一 小筋かひの事とは是もての内也ほんの手の内と大筋かひの間なるべし其程わくにし
たがひてをうつ人に射させ申なり
一 かけこゑの子細の事とは昔はあうむの字二字をうけてあと云いきをのみてうんとは
なてるに然に日置よりこの方ゑひと聲をかけけるは日置と竹中にて矢いくさをせら
れし時節雨降出ければ日置持たれける弓白木にてねばりうせめればそれをてきに知
られじとゑひと聲をかけて射られければ敵又聲をかけぬと也其時日置のうたに
永と云その聲だにも日置似てをしてかつては畠水れん
とよまれしと也又趾に聲をかくるにあまたの子細有第一にてまへはやくくづれざる
徳有第二に矢いくさの時矢はしりのよきやうに敵にをもわする徳有り第三に気をお
しむと云事有是は極意なれば口傳なしでは永と云字ごおんとてきやうなどにはよう
とよむかんのんとて詩などにはゑひとよむゑひさひとてけんにん寺の上人の名也
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一 つる輪に心持とはくるふ弓とくるわぬ弓有べしその内にてくるふ弓にはつるわをゆ
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るくかけ申也是口傳有
一 弓に長短有とは七尺五寸の弓に十二束の矢束を相應とする也一束に付弐寸五分宛也
其ながさ三尺也然を本朝弓前神記と云書には弓を七尺五寸にけづる事は七徳出きや
うをかたどる故也矢を三尺弐寸に切事は三才二儀をへうせりと也それを中の三尺に
切いわれ有り釈尊観てのたまわく人百年に身のたけ一寸と年一宛しゞまんと也釈尊
の御時の人のたけ八尺有と聞へし其時より御入滅すでに二千五百年成にをよべりし
ゞまる所二尺五寸余と云物也今の世の人わづかに五尺五寸にたらず思ひ合にたがわ
ず本朝弓箭神記と云物は神功皇后の時代の書也其時の定矢束は三尺弐寸と覚たり夫
より二千五百余年を越たり中頃の矢束を三尺とすと覚たりと又十一束の矢束を定矢
束とす是二尺七寸五分を定矢束とせりおよそつうしつかうし傳りぬ矢束によりて其
心有べしとは七尺五寸を十二にわれば六寸二分分中也たとへば十二束矢束なればと
て六寸二分余と云物を切べきにはあらず其時口傳在べし三寸をとりと云はあまりに
つまりたる弓也猶それよりつまりたるはあまりの事成べし
一 つくばいに筒作とはつねの筒に替事はなけれ共すこし心持あり弓をおこしざまに筒
をすへて射事也左候ねば弓すわらぬ物なり
一 たてうらの金の事とは楯のうらにて射時たてにはづれぬやうに射事也他流より當流
の弓はむねとしりと出ぬればたてにあふまじきとあざける人有と聞しげにもみる時
はさもありぬべし人の身はそばさま四寸の物也むね出て四寸しり出て四寸 さ候へ
ば一尺二寸也いまだ三寸あまりたり此つもりをしらずして云候也當流のつもりは他
流のをよぶ事にてはなし
一 肩に付かつてつかぬ勝手有とは付を吉とする也大石を縄にてまわすたとへ是也
一 ひぢのこがへしとは懸に三指の用わりとて指を一つぬすめると云爰にて候其外にじ
のかけも是より出るつねの事にはあらず
一 ひぢに心の事とははなれのつよき處をほんとす猶口傳有
一 根に大根の小ねこねに大根とは大根にも小ね有小ねもまた大ね有口傳在し也
一 根の大小によしあし有とは門の戸びらを石にて打ぬくたとへ是也ねをかけて射と云
は鑓わきの時ならでは射ぬ物なれば相應と云事は有べからず少も大ね能候也其上鑓
わきにては矢こし申候物なればおもき根にてはさがり申心もよきかと也
一 雨降に射様有とは雨降候へばにぎりかわぬれて手の内まわり候ていられぬ物也其時
はぬのをまきて射もの也つねにもたしなみかんよう也
一 遠矢にかけ合の事とはかけあひよからねば矢つまあしく矢のとぶ事なし先かろきは
矢つま悪しくてかけかろければ早落也此故にかけあひをせんにする也 根をかけて
ねのかた二三分ほどもおもきをよしとす但人により今は二三分も根のかたかろきを
吉と云人も有是は人により候也射み候へば知れ申事也
一 遠矢に足踏の事とは常に替事は此あしふみ也大かた當筒もいらざる故先心易様にい
よと申事也口傳
一 遠矢に弓かまへの事とは是も常に替事はなけれ共弓かまへあほのき候へばいづくも
ちがひ申故先 かまへ候也足ふみ弓かまへちがへ候てうちをこし候へばろくに成

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事也
一 遠矢に弓のをこしの事とは是も常に替はなけれ共弓かまへあしふみちがひ候へばあ
らぬやうにをもわれてをこしもちがふ物也随分ちがわぬやうに射べき也
一 遠矢に三町の坪と云事は二町四方の事也是を八町ま地と云と候也弓のをこし處はな
れ處捨處此みつを知しめんため也二町四方を三町が坪と云から人の心得かたき事也
この図の﹁射所﹂の上の﹁ニ﹂ 則図にあらわす也
のようなのは射手の足の絵
   
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一 遠矢を射とき心持の事とは遠やに出る時とをきためをし候事羽をねぶり候事走羽を
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下へなし候事矢先さがりにかくる事但壱分斗重位に立ては虹のかけ上の重の事何も
重位捨がたきといへども此本は必矢念なきやうにと也
一 をひ風に射には高きが吉と定たりさりながらあまり高く候へば其矢後にはこづけ候
て落付處にてさかさまに立候也さやうは有まじけれ共あまりの事にかやうに云とお
ぼえたり 四時分の日をみる程に射てしかるべし併高ひききの位人により候べし是
も射てみてたむれむあるべしとかく位其處かむよう也
一 むかふ風にはひくきを吉と申也是は前の浦にて候也
一 よこ風に射には風をそむく也かやうに射心は東風の吹時南より北へ射候へば矢はざ
あしき也其時はたつみよりうし虎の方へが射やうに心持かむようなり
一 風なき時は常のごとしかわる事なし
一 道は道によつて達者よりをこるとはその道々に近付事也夫々の道に心を懸ずしてす
きとおればつゐにはかむのうのほまれも有事也稽古は心よりおこるとはまがふ處な
しけいこよりたん連おこるとはけいこをすればをのづからたん連も出くる也たんれ
んより神へむおこるとは萬事を捨てたんれんすれば神へむもきめうも出けると也は
たして稽古せよと云むため也能々心得たまふべし

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