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2011 High-Performance Liquid Chromatography Analysis of Copper Electroplating Additives Used For Via-Filling
2011 High-Performance Liquid Chromatography Analysis of Copper Electroplating Additives Used For Via-Filling
技術論文
高速液体クロマトグラフィー法を利用した
ビアフィリング硫酸銅めっき用添加剤の濃度分析
西 谷 伴 子 a,本 間 英 夫 b,*
b
関東学院大学 工学部(〒 236︲8501 神奈川県横浜市金沢区六浦東 1︲50︲1)
Recently, via-filling plating used build-up processes has been an active topic of study. Generally, polyethylene glycol 4000 (PEG4000)
has been used as a carrier with a wide concentration range of 100-1000 ppm. In addition, Bis-(sodium sulfopropyl)-disulfide (SPS) is used
as a brightener with a very narrow concentration range of 1-10 ppm. The concentration of additives is considered to affect via-filling plating
strongly. However, no simple analytical method has been reported for these additives. This study analyzes the concentrations of PEG4000
and SPS in a simulated plating bath. These additives were analyzed using a high-performance liquid chromatography (HPLC) system
incorporating boron-doped diamond (BDD) as the electrochemical detection electrode material. Results show that PEG4000 and SPS in the
simulated plating bath were detectable in separation. The correlation coefficients between added concentration and peak currents were 0.988
for PEG4000 and 0.999 for SPS.
Keywords : Via-Filling Method, Additives, Electrochemical Detection, HPLC, Boron Doped Diamond
化学的検出を高感度で行えるという特徴を持っている 4)。ま
1 .緒 言
た,従来の金属電極では,電極表面に異物が吸着した場合に,
硫酸銅めっき技術は,半導体基板などの小型デバイスへの 電極研磨などの作業が必要であったが,ダイヤモンド電極の
さらなる応用が期待されており,多層プリント配線板の製造 場合は高電位をかけた時に発生する OH ラジカルなどの活性
においても,導体層と絶縁層を交互に積層させ,ビアフィリ 酸素種の強い酸化力を利用して,電極表面に吸着した異物の
ング(Via-Filling)によって層間接続を行う製造方法が注目を 除去が可能である。そのため,メンテナンスが容易であり,
集めている。これらのめっき技術では,ビアの穴埋め性の向 工業利用への応用化もしやすい。ダイヤモンド電極の電気化
1)
上を目的として微量添加剤が使用される 。最近では,めっ
,2)
学センサーへの応用では,フローインジェクション分析法
き 抑 制 剤 と し て Polyethylene glycol( 平 均 分 子 量 4000 : (Flow Injection Analysis:FIA)が広く利用されており,アミン,
PEG4000), 促 進 剤 と し て Bis-(sodium sulfopropyl)
-disulfide DNA,尿酸などの微量分析に活用できることが報告されて
(SPS)を利用する二成分系の添加剤の構成でめっきが行われ いる 5)。我々研究グループでは,今までに,ダイヤモンド電
る。ここで,PEG4000 は 100 ~ 1000 ppm,SPS は 1 ~ 10 ppm 極を利用した電気化学検出法を利用し,さまざまなめっき添
の濃度範囲でそれぞれ使用され,適正な濃度範囲で使用され 加剤の検出を試みてきた 6)∼9)。ビアフィリング添加剤につい
ないとめっき不良の原因となってしまう。これらの添加剤は, ては,PEG4000,SPS,また平滑化剤として利用される Janus
そのビア底部や開口部での吸着挙動などについても盛んに研 Green B(JGB)の三成分について,高速液体クロマトグラ
3)
究されており ,ビアフィリングめっき技術において,重要 フィー(HPLC)の検出器に導電性ダイヤモンドを作用極とし
な役割を持つ成分である。我々研究グループでは,ダイヤモ た電気化学検出器を設置し,それぞれの成分の分離検出が行
ンド電極をセンサーに用いて,これら微量添加剤の濃度分析 えることを報告した 10)。しかし,この報告では実際のめっ
法の検討を進めている。ダイヤモンド電極は,白金やグラッ き浴中からの分離検出ではなく,移動相(HPLC 用アセトニ
シーカーボン電極と比較して,広い電位窓を持ち,バックグ トリル 35 容量に対して,10 mM リン酸および 100 mM 硝酸
ラウンド電流が非常に小さいことから,多数の化合物の電気 ナトリウムの混合溶液を 65 容量となるよう調製)に三成分を
溶解させ,そこから分離検出をしたものであった。本法を工
*
E-mail : honma@kanto-gakuin.ac.jp 業的に利用するためには,めっき浴中からの分離検出が必要
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230 技 術 論 文 表面技術
3 .結果および考察
3.1 測定条件の決定
HPLC システムを利用した検出の場合,さまざまな条件設
定の検討が必要となる。例えば,分離カラムの選定,検出電
位,移動相の組成など,それぞれをどのような条件で組み合
わせ,測定を行うかの検討が必要となる。今回の場合,今ま
でに,PEG4000,SPS,JGB の三成分の分離検出を行ってき
たことから,この分離条件を基に測定条件を決定した。まず,
分離カラムについては,マルチモードカラムを使用した。マ
ルチモードカラムは複雑なマトリックス成分の分離検出に有
効とされているため,めっき液などの分離検出には有効であ
ると考えた。移動相については,測定環境をできるだけめっ
き浴内部と同じ状態にするため,硫酸銅(Ⅱ)・五水和物を移
動相の電解質に利用し,硫酸酸性とした。検出の際の電位に
ついては,移動相およびサンプルに銅イオンが含まれること
Fig. 3 (a)Chromatograms of a simulated plating bath with 0-1000 Fig. 4 (a)Chromatograms of simulated plating bath with 0-10 ppm
ppm PEG 4000. Conditions: separation column, TSKgel SPS. Conditions: separation column, TSKgel SuperAW2500
SuperAW2500(6.0 mm I.D.×15 cm), TSKguardcolumn (6.0 mm I.D.×15 cm), TSKguardcolumn SuperAW-L
SuperAW-L(4.6 mm I.D.×3.5 cm); mobile phase, 2 mM (4.6 mm I.D.×3.5 cm); mobile phase, 2 mM H2SO4, 100 mM
H 2 SO 4 , 100 mM CuSO 4 ·5H 2 O; flow rate, 0.4 mL min -1; CuSO4·5H2O; flow rate, 0.4 mL min-1; injection volume, 50 μL
injection volume, 50 μL; BDD electrode potential, +1.7 V vs. ; BDD electrode potential,+1.7 V vs. Ag/AgCl.(b)Calibration
Ag/AgCl.(b)Calibration curve of 0-1000 ppm PEG4000. curve of 0-10 ppm SPS.
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232 技 術 論 文 表面技術
である。また,最近ではクロノポテンシオメトリーを利用し
た添加剤管理法などについても報告がされている 14)。ビア
フィリング硫酸銅めっき技術は,その手法の開発・応用がま
だまだ盛んにされており,品質管理法についても同じく研究
が盛んに行われている。確実なビアフィリング技術を提供す
るためには,正確な添加剤管理法が必要不可欠であり,本論
文における分析技術もその手助けの一つになれば嬉しく思う。
文 献
見ると,その相関係数は 0.998 となり,装置の測定に対する
安定性も良好であり,PEG4000 の有無も SPS の濃度定量に ₁ )K. Oyamada ; Kanto Gakuin University Graduate School of
は影響がないことがわかった。また,50 ppm という高濃度 Engineering, doctor thesis, p.22(2006).
の SPS を 添 加 し, ピ ー ク 検 出 を 行 い,0 ~ 1 ppm,0 ~ 2 )H. Ogiwara, R. Kimizuka, H. Honma ; Journal of Japan Institute of
Electronics Packaging, 9, 113(2006).
10 ppm の間での SPS の測定結果と合わせて検量線を作成し
₃ )N. Takahashi, T. Yamashita ; J. Surface Finish. Soc. Jpn., 60, 814
てみても,その相関係数は 0.999 となり,同条件下にて,広
(2009).
い濃度範囲の定量が行えることが確認できた。 ₄ )Y. Einaga ; NEW DIAMOND, 24,(2), 3(2008)(in Japanese).
₅ )A. Fujishima, Y. Einaga, T. N. Rao, D. A. Tryk ; Diamond
4 .結 言
Electrochemistry, p.261(ELSEVIER and BKC, 2005).
ビアフィリング硫酸銅めっき用添加剤について,HPLC を ₆ )T. Nishitani, A. Kawaguchi, K. Takami, Y. Kikuchi, I. Sakurada ; Proc.