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組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の是非
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の是非
3 年 福永 啓佑
私はテロ等準備罪の法案について、法案の廃止自体は求めないが、法制度の内容について、多くの議論を必要と
し、さらに細かく処罰の対象となる具体案などを話し、国民が納得いくような説明ができてから、法案を通すべきではない
かと考えている。これから、なぜ私がテロ等準備罪に完全な反対ではないのかを述べていく。
この法案を通すことによって国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結することができるからである。この条約に
みである。この条約に締結することで人身取引の被害者の保護と送還や密入国の防止、組織的犯罪者の引き渡しと
締約国内の法で罰することができるなどの締結国間で国際的な組織犯罪の防止のための国際協力を促進することがで
きる。オリンピックが開かれるから、テロに備えてなどという口実ではなく、この条約を結ぶことでより平和な国際社会を作る
ために、この条約を結ぶべきではないかと思う。
この新法案を通すことがなくても現行の法案で条約に締結することはできるという意見もあるが、国際組織犯罪防止
条約の第 5 条の加盟条件を見ると次のようなことが書いてある。
1.締約国は、次の一方又は双方の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措
置をとる。
1、物質的利益を得ることに関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者
と合意することであって、国内法上求められるときは、その合意の参加者の一人による当該合意の内容
を推進するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの
2、組織的な犯罪集団の目的等を認識しながら、組織的な犯罪集団の犯罪活動等に積極的に
参加する個人の行為
2.締約国は、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の実行を組織し、指示し、ほう助し、
教唆し、若しくは援助し又はこれについて相談することを犯罪とするため、必要な立法その
他の措置をとる。
これを見ると共謀罪的法律がないため加入ができないのだと思う。187 か国が日本の加入を認めないのはこの法がな
いからのではないかと思う。増加している国際テロや犯罪資金の資金洗浄を防ぐためにも、国際的恩恵につながるために
も、この条約の加入はするべきではないかと思う。
他にも多くの人々が恐れる一般の人も捜査の対象になることや、正当な組織が犯罪集団として罰されるのではという
疑いについてだが、準備罪の適用範囲を見たところ、ごく一般的な犯罪とみなされるような罪を起こそうとでも考えない限
り、共謀の罪に問われないと思う。しかし、それでも著作権に関する問題など不明瞭な部分があるので、曖昧にしないで
細かい部分まで議論を進めるべきだと思う。
また、共謀の合意の定義について定義できないため警察の思う通りなのではといった意見には、政府は今の捜査のシ
ステムと同じように裁判所の判断によって捜査の適正が確保されると述べているため、裁判官の公正さが大切になってくる
のではないかと思う。警察や裁判所のクリーンさを証明するためにも取り調べの可視化などは必要なのではないかと思う。
犯罪の事前逮捕ということがそもそも可能なのかという疑問も湧き出るが、警察が 100%犯罪を起こすであろうという確
証を裁判官と警察でもってから行動するといったことが必然となると思う。
また、この法案が通ることで監視社会になるのではないかという恐れについてだが、政府は通信傍受法が拡大されるこ
とはないと述べている。私はこれについて 100%監視社会にならないという確証はないと思う。現在すでにアメリカ社会は
NSA によって監視されていたことをスノーデンが暴露したように日本もそのような社会になるのではないかと思う。政府機関
がビッグデータを操る権利を握りだしたら監視の恐れがあると思う。そのためこの法律が通るなら同時に個人情報の取り扱
いに関する監査機関を設けるべきではないかと思う。政府だけでなく、警察、裁判官、電話会社、SNS 会社などすべて
に対して、ビッグデータを正しく取り扱えてるか判断できる組織を追加すべきだと思う。
今回テロ等準備罪について賛成派の意見も反対派のどちらも言い分も見てこの法案をどうすべきなのか自分の中でも
かなり迷っている。少なからずいえることは常たる監視社会にしてはいけないこと、と政府はもっと議論を深め具体的な例
などを揚げ、国民を納得させ、そもそもテロや組織犯罪対策はどうあるべきなのかを入念に話すべきだ。今のような質疑応
答ができないようなものでは話にならないと思う。また木曜日の議論に向けて、テロ等準備罪のより深い理解と、監視社
会について深く調べたい。