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サイエントロジー

この世界をより良いものにする
L. ロン ハバードによって創設、開発されたサイエントロジーは応用宗教哲学であり、それ
は、誰もが精神的存在としての真実と簡潔さを取り戻すことのできる、正確な道筋を示して
います。
サイエントロジーは、存在に関する源および根本にある原理を定義している特定の公理と、
自然科学における広範な観察から成り立っています。それは文字通り人生のすべてに適用で
きる哲学的な研究の集成です。
この広範にわたる知識の集成は、この主題のふたつの適用へとつながっています。1 番目
は、多くの偉大な哲学の教えが追求していた、人の精神としての意識を向上させ、自由を達
成する技術です。2 番目は、人が自分の人生を向上させるために使うことのできる、非常に多
くの基本原理です。実際、この 2 番目の適用においてサイエントロジーが提供しているもの
は、私たちの存在に関するすべての側面をより良いものとする実用的な手段 ― 新しい生き方
をつくり出す方法です。そしてここから、あなたがこれから読もうとしている主題が生まれ
ました。
これは L. ロン ハバードの著作からまとめられており、ここに示されているデータは、『サ
イエントロジー・ハンドブック』に紹介されている道具、手段のひとつにすぎません。包括
的な手引書であるこのハンドブックには、サイエントロジーの適用法が数多く含まれており、
人生における他の多くの領域に向上をもたらすためにそれらを使うことができます。
この冊子には、内容を紹介する短い文章、演習、成功した適用例が編集者によって付け加
えられています。
あなたの理解を高めるためのコースの数々、またあなたの知識を広げるためのさらなる教
材はサイエントロジー教会、およびミッションでご利用になれます。教会とミッションは、
www.scientology.org でご覧になれます。
サイエントロジーでは、人間と人生に関する多くの新しい現象が説明されているので、こ
の冊子を読む中で見慣れない言葉に出合うかもしれません。それはこの冊子の中で初めて出
てきた時に説明されていますが、この冊子の終わりにある用語解説にも掲載されています。
サイエントロジーは、使うためのものです。これは、実用的な哲学であり、人が実際に行
うものです。これらのデータを使って、あなたはさまざまな状態を変えることができます。
何百万という人たちが、自分の周りの世界で目にしている状態に対して何かをしたいと考
え、この知識を適用してきました。その人たちは、人生の状況を向上させることができるの
を知っています。そして、その人たちは、サイエントロジーには効果があるのを知っています。
この冊子で読んだものを使い、自分自身そして他の人たちの手助けをしてください。そ
うすれば、あなたもそのことを知るようになるでしょう。

国際サイエントロジー教会
「人間は、コミュニケーションができればできるほど、生き生きとしてい
」L. ロン ハバードはこう書いています。そしてコミュニケーショ
るのです。
ンは、彼が実に奥深くまで研究した人生の側面のひとつです。彼は最終的に、
この極めて重要な主題について、何十万にも及ぶ言葉を書き残しました。コ
ミュニケーションの技術は、人と人とが関わり合う、あらゆる領域において
大変重要なものです。実際、程度はどうであれコミュニケーションは、結局
のところ、すべての人々が共有している唯一の行動なのです。

効果的なコミュニケーションがもたらす益は、あまりにたくさんあって
数え上げることができないほどです。それは、効果的なコミュニケーショ
ンが、個人的なことから職業に関することまで人生のあらゆる側面を向上
させるからです。コミュニケートする能力は、あらゆる試みを成功させる
ためには、必要不可欠なものです。

この小冊子では、良いコミュニケーションとは、どのようなものから構
成されているのか、悪いコミュニケーションはどのように見分けるのか、
また、コミュニケーションの構成部分はどのようなもので、それをどのよ
うに活用するのか、そして、コミュニケーションを取ることを減らすので
はなく、より多くのコミュニケーションを取ることで、どうして個人によ
り大きな自由がもたらされるのかを学ぶことができるのです。

さらにこの小冊子には、ハバード氏が開発した数多くのドリルが含まれ
ており、それは、その人のコミュニケーション・レベルを向上させ、人生
において実用的に使えるもので、大いに適用することができます。このデー
タを完全に理解することによって、あなたに、永遠に使うことのできる道
具が与えられることになるのです。■

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コミュニケーションとは
何か ?

相手が聞いてくれたり、相手に理解してもらえるように話
をするには、どのようにしたらいいのでしょうか ? 話を聞く
にはどのようにしたらいいのでしょうか? 自分が聞き入れら
れて理解されたかどうかは、どのようにして知ることができ
るのでしょうか ?

コミュニケーションについてのこれらの点はみな、これま
で分析されたこともなければ説明されたこともありませんで
した。

人々はコミュニケーションが人生の重要な部分であることを知っていますが、い
かにコミュニケーションを行うかを誰かに教えることができる人は、これまで誰一
人としていませんでした。

サイエントロジー以前には、コミュニケーションという主題は重要視されず、研
究されたこともありませんでした。いくらか注意が向けられたのは、その機械的な
部分であり、技術者の領域でした。しかし、人類の何かをしようとする努力はすべ
て、コミュニケーションの真の基本原則を完全に知り、理解することに懸かってい
るのです。

コミュニケーションを身に付けるためには、まずそれが何なのかを理解しなくて
はなりません。

サイエントロジーでは、コミュニケーションは、人生をより深く理解することに
つながる才能と定義されています。

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コミュニケーションとは、本質的には、空間のある部分から別の部分への粒子の
移動のことです。
「粒子」とは、コミュニケートされるものです。その粒子は、物
体、書かれたメッセージ、話された言葉、また考えの場合もあります。ありのまま
の定義によると、これがコミュニケーションなのです。

このコミュニケーションの簡単な概説は、以下の完全な定義へとつながります。

コミュニケーションとは、源点から距離を越えて受領点へと、衝動あるいは粒子
を押し進めるという考えおよび行為のことであり、それには源点から発せられたも
のに対するデュプリケーションおよび理解を受領点にもたらそうとする意図が伴っ
ています。

「デュプリケーション」とは、何かを正確に複製する行為です。発せられたとは、
「出された」という意味です。

コミュニケーションの公式は、起因、距離、受領であり、それには意図、注意、
理解を伴うデュプリケーションがあります。

コミュニケーションの定義と公式は、この主題を理解することを可能にしました。
コミュニケーションを構成部分に分けて調べることによって、それぞれの機能を見
ることが可能になり、それによってその全体をより明確に理解することができます。

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どのようなコミュニケーション
にも粒子が含まれており、
それは以下の 4 つのカテゴリー
のうちのどれかになります。
物体…

…書かれたメッセージ…

ボール

…話された言葉…
ボー ル

…または考え。

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言ったことが
理解される、
という意図
ジョーンズは
すぐに参ります。




源点

距離

受 付
成功するコミュニケー
ションはどんなものでも、
ここに示されたすべての
要素を含んでいます。
何がいけなかったのかを
はっきりさせる目的で、
うまくコミュニケート
できなかった時のことを、
これらの各構成要素と
比べて分析することが
できます。

デュ プ リ ケーシ ョ ン と
理解

受領点

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コミュニケーションの
要素
さて、ふたつの生命体を考察することによって、コミュニケーションの構成要素
のいくつかをもっと綿密に調べてみましょう。生命体のひとつを「A」、もうひとつ
を「B」とします。「A」と 「B」は、ターミナルです。ターミナルとは、コミュニ
ケーションを受け取り、中継し、送る点という意味です。
初めに、「A」の意図があります。これは「B」のところでは注意となります。そし
て真のコミュニケーションが起こるためには、「A 」から発せられたものが「B」に
おいてデュプリケーションが起こらなければなりません。
コミュニケーションを発するためには、もちろん、まず「A」が 「B」に注意を向
けていなければなりません。そして、このコミュニケーションを少なくとも聞くか
受け取るかするには、「B」はそのコミュニケーションに、いくらかの意図を注がな
ければなりません。そうして、起因と受領の両方が意図と注意を伴うことになります。

意図 と 注意

A B
意図 と 注意

起因 受領

さて、もうひとつ非常に大切な要素があります。それはデュプリケーションという
要素です。私たちはこれを現実性と言い表すこともできるでしょうし、また合意と言
い表すこともできるでしょう。このコミュニケーション・サイクルの中で「A」と「B」
との間で達した合意の度合いがふたりの現実性となり、そしてこれは機能的にはデュ
プリケーションによってなされるのです。言い換えると、このコミュニケーション・サ
イクルにおいて達成される現実性の度合いは、デュプリケーションの量によって決ま
るのです。サイクルの最初の部分が実施されるためには、受領としての「B」は、起因
としての「A」から発せられるものをある程度デュプリケートしなければなりません。

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デュプリケーション

A B
起因 受領

次にそのコミュニケーションを完結させるためには、今度は「A」が受領として、
「B」から発せられたものをデュプリケートしなければなりません。これが行われれば、
害のある結果になることはありません。

デュプ リ ケーシ ョ ン

A B
受領 起因

このデュプリケーションが「B」で起こらず、そのため「A」でも起らなかったとした
ら、それは未完了のアクションのサイクルという結果になってしまいます。例えば、「A」
から発せられたものを「B」が漠然とでもデュプリケートしなかったら、コミュニケーショ
ンのサイクルにある最初の部分は果たされず、おびただしいランドミティー(予測しない
動き)や弁解や議論などが生じるといった結果になるかもしれません。それから、もし
「B」が 2 番目のサイクルで起因である時に、「A」が「B」から発せられたものをデュプリ
ケートしなかったら、ここでもまた未完了のコミュニケーションのサイクルが生じ、現実
性がないという結果に終わってしまうでしょう。さて、もちろん現実性が低下すると親愛
の情も低下します。ですから、デュプリケーションが欠けているところでは、親愛の情
( 愛情や、何かまたは誰かを好きだと思う気持ち)も欠けているように見えるのです。
完了したコミュニケーションのサイクルというのは、結果として高い親愛の情をもたら
します。もし私たちがこれらの要素のうちのひとつでも乱すと、コミュニケーションのサ
イクルは完了せず、「A」または「B」のどちらか、もしくは両方がサイクルの終了を
待つことになります。このようにして、コミュニケーションは害のあるものになってしま
うのです。

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未完了のコミュニケーションのサイクルは、答えへの渇望と呼ばれる状態をつく
り出します。自分が発したコミュニケーションが受け取られたという合図を待って
いる人は、入ってくるどのようなコミュニケーションも受け入れてしまう傾向にあ
ります。非常に長い間、届かない答えを待ち続けていると、その人が答えの不足を
補おうとする努力として、答えのようなものがあらゆる方向から、その人のもとに、
しかもその人によって引き入れられるのです。

答え

質問
A B 答えなし

答え 答え

未完了のコミュニケーションのサイクルは、答えの欠乏をもたらします。現在扱っ
ている主題に漠然とでも似通っている限り、その答えがどのようなものだったのか、
またどのようなものになるのかはあまり重大なことではありません。強迫的なコミュ
ニケーション、または取り付かれたようなコミュニケーションに見られるように、全
く思いがけない答えが与えられた時や、また何の答えもない時に問題となるのです。
コミュニケーションそのものが有害なものになるのは、起因からのコミュニケー
ションが突然で、その環境との脈絡が全くなく ( 非論理的に ) 発せられる時だけで
す。ここでは、注意力と意図の規則に反していることになります。
ここで興味という要素も入ってきますが、これはずっと重要性が低いものです。しか
し、それは人間の行動に関して実に多くのことを説明するものです。「A 」には、
「B 」を
「B」は話し掛けられて興味を引くものとなります。
興味を引くものにする意図があります。

興味を 持つ 興味を引 く

A B

起因 受領

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同様に、「B」がコミュニケーションを発する時には、「B」は興味を持つ側であり、
「A」は興味を引く側になっています。

興味を引 く 興味を持つ

A B
受領 起因

ここで、コミュニケーションの公式の一部として ( しかし、より重要性の低い部分で
すが )「A」または「B」というターミナルのどちらもが、興味を持つ側から興味を引く
側へと連続的に交替します。起因は興味を持ち、受領は興味を引きます。
より重要なのは、「A」の側にコミュニケーションを受け取ってもらおうとする意図が
「A」はデュプリケーションされ得るものになる必要があるという事実です。
あるのなら、

受け取られる
と い う 意図
A B
起因 受領

もし「A」が少しもデュプリケーションされ得るものでなかったら、もちろんそのコ
ミュニケーションは「B」において受け取られることはないでしょう。「B」にとって
は、「A」をデュプリケートすることができないので、そのコミュニケーションを受け
取ることができないのです。
この例として、「A」が中国語で話し、「B」はフランス語しか理解できないとします。
「A」は、フランス語しか理解しない「B」にフランス語で話すことによって、自分自身
「A」がある言語、
をデュプリケーションされ得るものにする必要があります。 「B」が別
の言語を話し、ふたりの間に共通の言語がない場合には、模倣という要素を使うことができ

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「A」に手があると仮
ます。ですからコミュニケーションは依然として起こり得るのです。
定して、その手を上に挙げるとします。「B」にも手があると仮定して、その手を上に挙
げるとします。それから「B」がもう一方の手を挙げ、「A」がもう一方の手を挙げると
すると、模倣によるコミュニケーションのサイクルが完了します。
基本的に、すべての物事はコンシダレーションです。私たちは物事がそこにあると考
えます。だからそれらはそこに存在するのです。考えはエネルギー、空間、時間、質量
の構造よりも常に上位にあります。これらとは全く違ったコミュニケーションについての
考えを持つことも可能でしょう。しかしながら、これらはたまたまこの宇宙においてコ
ミュニケーションに関する共通の考えとなっているものであり、この宇宙の生命体に
よって利用されているものなのです。
ここで挙げたコミュニケーションの公式の中には、コミュニケーションという主題へ
の基本的な合意があります。考えはこれより上位にあるため、ビーイングはこのコミュ
ニケーションの公式に加え、厳密にいってコミュニケーションはどのように行われるべ
きかに関する独自の考えを持つこともあります。そして、もしこの考えが一般的に合意
されていなかったら、その人は確実にコミュニケーションから外れてしまうでしょう。
ある現代主義的な作家の例をとってみましょう。彼はすべての単語の最初の 3 文字は
省略すべきである、または文章は終わらせてはならないと主張します。彼は自分の読者
たちの合意を得ることができないでしょう。
絶え間ない自然淘汰があり、それが一風変わった、あるいは独自のコミュニケーショ
ンの考えを排除してしまうといえるかもしれません。人々は、コミュニケーションを保
つために、ここにあるような基本的な規則を固持します。そして、誰かがこれらの規則
から大きく離れていこうとすると、人々は単にその人をデュプリケートせず、結局その
人はコミュニケーションから外れてしまうのです。
さてここで、コミュニケーションを取るためには、生命体は何を自ら進んで経験し
なければならないのかという問題が出てきます。まず、最初の源点は、自ら進んでデュ
プリケーションされ得るものにならなくてはなりません。少なくとも受領点にいくら
かの注意を向けることができなくてはなりません。最初の受領点は、自ら進んでデュ
プリケーションを行わなくてはならず、自ら進んで受け取らなくてはならず、コミュ
ニケーションを送るために自ら進んで源点へと変わるか、もしくはそれに対して答え

デュプ リ ケー ト
さ れる と い う 意図

A B
自らデュプ リ
ケー ト する
起因 と い う意志 受領

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を返さなければなりません。そして最初の源点は、今度は自ら進んで受領点にならな
ければなりません。
私たちは基本的に、構造ではなく、考えを扱っているのですから、起因点と受領点の
間に次のような心の状態がなければならないことになります。それぞれが意のままに自
ら進んで起因または受領となり、意のままに自ら進んでデュプリケーションを行い、意
のままに自ら進んでデュプリケーションされ得るものとなり、意のままに自ら進んで変
わり、意のままに自ら進んで 2 点間に距離をおく、つまり、自ら進んでコミュニケー
ションを取るという気持ちです。

起因 受領

距離
A B
受領 起因

人または集団がこのような状態にあるのであれば、その人たちは正気です。
進んでコミュニケーションを送ったり受け取ったりしなかったり、
人々が、
方向性もなくデュ
プリケーションされ得るものになろうともせずに、取り付かれたように、あるいは強迫的にコ
ミュニケーションを送ったり、またコミュニケーションを受け取る立場にある人たちが黙って
いて、アクノレッジも返事もしない場合、そこには理性的ではない要素があることになります。

理性的でない道筋においては、次のような状態が起こり得ます。つまり、コミュニケー
ションを発する前にデュプリケーションされ得る形になり損ねること、受け取られまいと
する意図、自ら進んでコミュニケーションを受け取ったりデュプリケーションをせず、自
ら進んで距離をおこうとせず、自ら進んで変化しようとせず、自ら進んで注意を注ごうとせ
ず、自ら進んで意図を表現 しようとせず、自ら進んでアクノレッジしようとせず、そうし
て全般的に、自ら進んでデュプリケーションをしようとしないといった状態になります。

ある人は、コミュニケーションを解決する方法は、コミュニケーションを取らないこ
とだと考えるかもしれません。初めからコミュニケーションを取っていなければ、ここ
でこんな厄介な目には遭っていないだろうにと言うかもしれません。恐らくこれにはい
くらかの真実が含まれているでしょう。しかし、人間はコミュニケーションができなけ
ればできないほど死んでいるのです。人間は、コミュニケーションができればできるほ
ど、生き生きとしているのです。

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2 方向のコミュニケーション
コミュニケーションのサイクルと、2 方向のコミュニケーションは、実際にはふた
つの異なったものです。もし私たちがコミュニケーションの構造(実際の構造とそ
を厳密に調べてみれば、コミュニケーションのサイクルそのものは、2
の構成部分)
方向のコミュニケーションではないということがわかるでしょう。

もしあなたが下の図 A を調べてみれば、コミュニケーションのサイクルがわかる
でしょう。

図 A

ジョー ビル

ジョー' ビル '

ここではジョーがコミュニケーションを始める人です。それが彼の第一の衝動で
す。この衝動がビルに向けられます。ビルはそれを受け取り、次にビルは、答えか
アクノレッジメントをビル’ として発し、そのアクノレッジメントはジョー’ に送り返され
ます。例えばジョーが「調子はどうだい ?」と言ったとします。ビルはそれを受け取り、そ
れからビルは(2 番目の起因となって)ビル’ として、ジョー ’ に送り返す「元気だよ」と
いう言葉で、それに答えます。このようにして、そのサイクルは終わります。

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さて、2 方向のコミュニケーションと呼ばれるものは、下の図 B にあるようなサイ
クルが続くことによって起こるでしょう。

図 B

ジョー ビル

ジョー' ビル '

ここではビルがコミュニケーションを発します。ビルは「景気はどうだい ?」と言
います。ジョーはこれを受け取り、それからジョー ’ または 2 番目の起因として、
「う
ん、まあまあだね」と答えます。そしてこの答えは、ビル ’ によって受け取られた時
にアクノレッジされます。

これら両方の図を見てみると、図 A においては、2 番目の起因に対するアクノレッ


ジメントは、ジョー ’ によるうなずきや、満足そうな様子によって表されるというこ
とがわかります。そしてまた図 B でも、ジョー ’ の「うん、まあまあだね」という言
葉はビル ’ のうなずきや、何かコミュニケーションを受け取ったということを表現す
るものによって、実際にアクノレッジされます。

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もしジョーとビルの両方が「頑固で、物静かな男」だとしたら、彼らはこれらの
サイクルの一部分を省略してしまうことでしょう。最も目に余る省略や、非常に頻
繁に「コミュニケーション・ラグ」として理解されているものは、図 A における
ジョーが「調子はどう? 」と言い、ビルが黙ってそこに立っている、というような
ものです。(「コミュニケーション・ラグ」とは、質問を尋ねてから、質問された人
がその特定の質問に答えるまでの時間の長さを意味します。)

ここではジョーがコミュニケーションを発していますが、ビル ’ はそのサイクルを
続けることに失敗しています。私たちは、受領点としてのビルがそれを聞いていた
かどうか知りませんし、それを要求もしませんし、興味もないのです。私たちは少
なくともビルがそこにおり、ジョーはビルに聞こえるくらいの大きさの声で話し、ビ
ルの注意力はジョーのどこか近くにあったというふうに考えます。このようにして、
コミュニケーションのサイクルを続ける代わりに、ジョーはサイクルが完了しない
ままそこに取り残され、彼がジョー ’ になる機会は決して与えられないのです。

コミュニケーションのサイクルが完了されないようにする、いくつかの方法があ
ります。そして、それらは以下のように分類できます。

1. コミュニケーションを発することができないジョー。

2. コミュニケーションを受けることができないビル。

3. 自分の受け取ったコミュニケーションに対して応答できないビル ’。

4. ビル ’ の言ったことが聞こえたという合図または言葉を使って、アクノレッジす
ることができないジョー ’。

これらすべてについて、いろいろな理由を与えることができます。しかし、ここ
での私たちの目的とは、なぜ私たちはコミュニケーションのサイクルを完了しない
かということに理由を与えることではありません。私たちの目的はすべて、このコ
ミュニケーション・サイクルが完了しないという事実のみに関わっているのです。

さて、図 A において、ジョーは、誰かが彼に注意力を向けていようといまいと、ま
たこれらのコミュニケーションが現存する状況と何らかの関係があろうとなかろう
と、強迫されたように、続けざまにコミュニケーションを発している人だとします。
ジョーはコミュニケーションをする時に、彼の言っていることを聞かない不注意な
ビルがおり、そのために返事をするビル ’ はおらず、そのためにアクノレッジする
ジョー ’ は決していないという状態に出くわす傾向があるのです。

同じ状況を図 B で見てみましょう。ここではビルがコミュニケーションの発信源
であるとします。同じくジョーが取り付かれたようにアウト・フローして ( コミュニ

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ケーションを外に送り出して ) います。ビルは「調子はどう? 」と言います。そのサ
イクルは完了しません。というのも、ジョーは自分の取り付かれたようなコミュニ
ケーションのラインに夢中になっておりジョー’ にはならず、
ビルがビル ’ となってア
クノレッジする機会を与えることもないからです。

さて、別の状況を見てみましょう。ジョーがコミュニケーションを発しています。
そして、ビルは決してコミュニケーションを発することのない人だとします。ジョー
が必ずしも強迫観念に支配されたように、また取り付かれたようにコミュニケー
ションを発する人である必要はありません。しかしビルは、コミュニケーションを
発するのを抑制されているのです。ジョーとビルは一緒に仕事をしていて、次のよ
うな行動に入り込んでしまいます。ジョーがコミュニケーションを始め、ビルがそ
れを聞き、ビル ’ となってそれに答え、そのことはジョーがジョー ’ になる機会を与え
るのです。これはかなり調子良く続くのですが、遅かれ早かれ 2 方向のサイクルは行
き詰まってしまうでしょう。ビルが決してコミュニケーションを始めないために、2
方向のサイクルが妨げられてしまったのです。

2 方向のコミュニケーションのサイクルは、次のように機能します。ジョーはコ
ミュニケーションを始め、それを完了した後、ビルがジョーに対してコミュニケー
ションを始めること、つまり 2 方向のコミュニケーションのサイクルの残りを完成さ
せるのを待ちます。ビルはコミュニケーションを始め、これはジョーによって聞か
れ、ジョー ’ によって答えられ、そしてビル ’ によってアクノレッジされます。

このようにして、ふたつのターミナル間での、通常のコミュニケーションのサイ
クルが起こります。この場合はジョーがターミナルであり、ビルがターミナルであ
り、そしてふたつのターミナルの間でコミュニケーションが流れているのが見える
のです。このサイクルは、ジョーがコミュニケーションを始め、ビルがコミュニケー
ションを聞き、ビルがビル ’ になってコミュニケーションに答え、ジョー ’ がコミュニ
ケーションをアクノレッジし、それから次にビルがコミュニケーションを始め、
ジョーがそのコミュニケーションを聞き、ジョー’ がそのコミュニケーションに答え、
ビル ’ がコミュニケーションに対してアクノレッジすることで成り立っています。

もし彼らがこれを行っていたとしたら、話している内容いかんにかかわらず、彼
らは決して口論することはなく、たとえ互いに敵対し合っていたとしても、彼らは
最終的には合意に達することでしょう。彼らの困難や問題は解決され、彼らはお互
いの関係において良好な状態となるでしょう。

2 方向のコミュニケーションのサイクルは、どちらかのターミナルが、自分の番に
なった時にコミュニケーションを始めるのに失敗した時に崩壊するのです。私たち
は、社会全体がこの方面において大変な困難を抱えているということを発見しまし

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た。人々はあらかじめお膳立てされた娯楽にあまりにも慣れてしまい、そしてコミュ
ニケーションできない両親や、教育やその他の原因によって、あまりにもコミュニ
ケーションを発することを抑制されているために、コミュニケーションを始める能
力が乏しくなってしまうのです。コミュニケーションを行うには、まずコミュニケー
ションを発することが必要です。

したがって、人々が主に話しているのは、外部からの原因が彼らに話すようにと
強いる事柄についてなのです。人々は事故を見て、それについて話します。人々は
映画を見て、それについて話します。彼らは外部からの発信源が、会話をする機会
を与えてくれるのを待っているのです。しかし実際は、ふたりともコミュニケーショ
ンを発する能力が低いという事実、そしてこれは想像力の乏しさとして述べること
もできるのですが、このことを考慮に入れると、最初の衝動を外部からのものに頼っ
ているような人々は、多かれ少なかれ強迫的に、または抑制されたようにコミュニ
ケーションを行い、そのためにその会話は急に、そして著しく方向転換していき、驚
くような悪意 ( 敵意のある感情 ) や惨めな結末に終わるかもしれない、ということが
発見されるのです。

ジョーの側の、最初にコミュニケーションを発する衝動の欠如が、彼を強迫され
たような、取り付かれたようなコミュニケーションの状態をもたらしたとしましょ
う。そして私たちは、ジョーはアウト・フローにあまりに忙し過ぎて、自分に話し
掛けてきた人の話を聞く機会がないということ、そしてもし聞いたとしても、ジョー
はその人に答えることはない、ということがわかります。一方ビルは、最初の起因
になる力が非常に弱い ( つまりコミュニケーションを始める能力が低い ) ため、彼は
決してビル ’ に移行することはなく、もし彼がそうしたとしても、自分の意見を決し
て示すことはないでしょう。このようにバランスが崩れたまま、ジョーはますます
強迫されたようなコミュニケーションへと陥ってしまうのです。

前述のこれらの図を見ると、いくつかの新しい状況をつくり出すことができます。
抑制された答えと同様に、取り付かれたような答えといった問題もあるでしょう。あ
る人は答えたり、正当化したり、弁解したりすること(このどれも同じことなので
すが)にずっと時間を費やし、彼の側から最初に始められたコミュニケーションは
何もないということになるかもしれません。もうひとりの人、つまり図 A のジョー ’

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または図 B のビル ’ のような人は、アクノレッジすることに自分の時間をすべて費や
すかもしれません。そこにアクノレッジするようなものが何もなかったとしてもで
す。しかし、よく見受けられ、最も目につく徴侯とは、強迫されたように、または
取り付かれたようにコミュニケーションを始めることであり、受け取っておいて答
えをしないことであり、答えをアクノレッジしないということなのです。そして私
たちは、これらの中に固着したフローを発見するのです。

この宇宙における唯一の犯罪は、コミュニケーションすることのように思えるた
め、そして人の唯一の取り柄はコミュニケーションすることであるため、結果とし
てコミュニケーションの混乱が確実に起こる、ということが容易に理解できます。し
かし、私たちが理解しなければならないことは、幸運なことに、今ではそれは解決
され得るということなのです。

このひと組みのコミュニケーションのサイクルにおいて、以下のものが欠けてい
るとフローは固着してしまいます。

1. コミュニケーションを発すること。

2. コミュニケーションを受け取ること。

3. 受け取ったコミュニケーションに答えること。

4. 答えに対してアクノレッジすること。

ですから、結果として起こるたくさんの奇妙な徴候にもかかわらず、図 A と図 B の
どちらにおいても逸脱する可能性があるのは、これらの 4 つの部分のみであるという
ことがわかります。

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コミュニケーション
トレーニング・ドリル
コミュニケーションの構成部分とその公式を学んだ今、この知識をどのように使
いますか ? コミュニケーションの公式について、たった今学んだことをどのように
実行に移しますか ? あなたの一部であるも同然と思われるほど、コミュニケーショ
ンの法則を、楽に自然に適用するのに、どのようにしますか ? 実際、どのようにコ
ミュニケーションを効果的に行いますか ?

サイエントロジーには、どのような人でもコミュニケーションの技能のレベルを
向上させることのできるドリルがあります。ドリルとは、学習や訓練の方法のこと
で、この方法によって、その技能を完璧なものにするために何度も何度も手順を行
います。これらのコミュニケーション・ドリルは、「トレーニング・ルーティン」、
あるいは略して 「TR」と呼ばれますが、コミュニケーションの公式のさまざまな
部分を扱うものです。

TR はもともと、サイエントロジーの技術を適用する実践者を訓練するために開
発されました。というのは、この活動には高いレベルのコミュニケーションの技能
が必要不可欠だからです。しかし、これらの TR を使って、コミュニケーションの
公式の各部分をドリルすることによって、どのような人のコミュニケーション・サ
イクルを習得する能力も、またそれによって他の人とより良くコミュニケートする
能力も、大きく改善することができるのです。

これらのドリルを行うことによって、他の人にあなたのコミュニケーションを理
解させる方法を学ぶでしょう。また、他の人があなたに話すことを本当に理解する
方法、いわゆる「聞き上手」となる方法、他の人とのコミュニケーション・サイク
ルを導いていく方法、他の人たちのコミュニケーション・サイクルの失敗に気付い
てそれを修正する方法を学ぶことになります。

これらはすべて、毎日毎日の生活において計り知れない価値のある技能です。あ
なたの仕事がどのようなものであれ、あなたがどのような活動に従事していようと
も、たやすく、また確実にコミュニケートする能力は必要不可欠なものなのです。

TR は、単独で行うものではありません。他の人に助けてもらって行うものです。
これを行う方法は、あなたが他の人と組になって、一緒にドリルを行うというもの
です。これは、交代制で行われます。あなたがドリルを行っている時、もう一方の
人はあなたがドリルに習熟する手助けをします。それから交代して、もう一方の人

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がドリルを行う間、あなたがその人を助けます。ドリルの間、他の人を手助けする
行為を、コーチングといいます。

ドリルでは、生徒とコーチの役割についてのやり方が示されています。あなたが
ドリルを練習している時に、あなたは「生徒」と呼ばれ、人がドリルを終える手助
けをしている人は、「コーチ」と呼ばれます。

あなたが最初に生徒となり、相手がコーチとなって始めても、あるいはその逆で
も構いません。生徒、それからコーチと交代して行うことで、お互いに、相手のド
リルを終わらせます。この交代制によってお互いが TR を終える手助けをすること
で、あなた方はふたりともコミュニケーション・サイクルを完全に使う方法を学ぶ
ことができます。

ですから、TR に取り掛かる前に、この生徒とコーチの交代制に基づいて、ドリ
ルを一緒に行う人を見付けてください。

TR の練習を始める前に、あなたもパートナーも、これらのドリルすべてを終わ
りまで読み、理解することがとても重要です。また、誰かを正しくコーチする方法
について説明している別のセクションがドリルの後ろにあります。これについて
も、ドリルを開始する前に、完全に勉強して理解していなくてはなりません。とい
うのも、コーチングは大変正確な手順だからです。TR から可能な限りの向上を得
るためには、正しいコーチングがとても重要になります。

それぞれの TR には番号と名前があり、これは単に、参照するための番号です。

「指示」とは、コーチする際に、ドリルを開始し、継続し、終了する時に使う、話
された言葉であり、また TR を行っている間に使われる質問、言葉のことです。

各ドリルでは、あなた方の座るべき「位置」も示されています。

それぞれの TR であなたが身に付けようとしている特定のコミュニケーション技
能は、
「目的」の欄に書かれています。

「トレーニングでの強調点」には、ドリルをどのように行うべきか、また、コー
チする際に、重点を置き、強調すべき重要な点について書かれています。

21
その手順の間に、さまざまな指示や質問がどのように使用されるのか示すため
に、いくつかのドリルに「決まり文句」が含まれています。サイエントロジーでは、
「決まり文句」という言葉は、ただ単にドリルの特別な表現方法という意味です。

書かれてある通りに、熱心にそして正確に行えば、これらのドリルによって、ど
のような人でもコミュニケーションにおいて成功することができます。

以下のことを行ってください :

1. この後のページにあるドリルと、「コーチング」という題のセクションを、最
後まで通して読んでください。

2. お互いにドリルを終えられるように、パートナーとして一緒に行ってくれる人
を見付けてください。

22
3. パートナーに、ドリルのすべてと「コーチング」のセクションを読んでも
らってください。

4. どちらが最初にコーチをするか決めてください。

5. それでは、最初の TR 始め !

23
番号 : T R 0 そこにいる
名称 : そこにいる

指示 : コーチは、ドリルを始めるために「始め」と言います。コーチはドリルを終
わらせるために、また生徒に誤りを指摘するために「それまで」と言います。例 : 生
徒が眠ってしまいます。コーチは「そこまで。眠りました。始め」と言います。

このドリルと他のすべてのドリルにおいて、生徒がドリルの目的を達成したら、
コーチは「合格」と言います。

実際には、このドリルにはほとんどコーチングは含まれていませんが、それでも
いくらかはコーチングが必要です。コーチはドリルを開始し、生徒が合格するまで
これを続けさせなくてはなりません。

位置 : 生徒とコーチは互いに向かい合い、心地よい距離 ( 約 1 メートル ) を保って


座ります。生徒は目を閉じます。

TR0 そこにいる 目的 : 楽にそこにいられるようにトレー


ニングします。要は生徒が相手の前、約 1
メートル離れたところに楽にいられるよ
うにします。ただそこにいて、ただそこに
いる以外何もしないでいられるようにし
ます。

コミュニケーションを開始するために、
あなたはコミュニケーションを発する場
所にいなくてはなりません。もしあなたが
そこにいなかったら、あなたは適切にコ
ミュニケーションを開始できないでしょ
う。そこにいることは、良いコミュニケー
ションをするために不可欠なことです。こ
れより複雑なことは何もありません。

最初のステップとして、そこにいるのを容易にするために、このドリルで生徒は
目を閉じます。目を閉じているので、他の人に直面するという必要条件が付け加え
られることはありません。しかし、楽な状態で、そこにいることに単に慣れること
ができます。

24
トレーニングでの強調点 : 生徒とコーチは互いに向かい合って椅子に座ります。生
徒は目を閉じます。会話はありません。これは無言のドリルです。ひきつったり、動
いたり、
「方式」や方法は使われません。そこにいる以外に何かを付け加えることも
ありません。何か他のものを付け加えたりはしません。身体を使って何かをするこ
と、冴えた状態でいようとして背中を椅子に押しつけることは、ただそこにいる代
わりに使用する方式や方法の例です。

普通、目を閉じている時は、黒いものが見えたり部屋の中のある部分が見えたり
します。楽にそこにいてください。

生徒を冴えた状態でいさせること、ドリルを続けさせることが、コーチの仕事です。

背もたれの真っすぐな椅子に、真っすぐな姿勢で座ってください。このドリルを、
もじもじしたり、引きつったり、動いたり、位置を変えたりといった傾向や欲求が
なくなるまで行ってください。このようなものが「出てきた」ら、それらがフラッ
トになるまでドリルを続けてください。
「フラットになる」とは、それがもはや反応
しなくなるまでドリルが続けられたという意味です。

生徒は、引きつったり、動き回ったりしたいという衝動がなく、またそのような
衝動を抑える必要もなく、静かに楽な状態で、いくらでも長い間座り続けられると
疑いなく完全に確信するまで、このドリルを行わなくてはなりません。

生徒が楽にそこにいることができ、大きくて安定したウィンに達した時に、合格
が与えられます。

TR を行っている間、通常、人々はたくさんの向上を経験します。直面したりコ
ミュニケートする能力が向上したり、知覚がより鋭敏になったりします。こういっ
たものは「ウィン」と呼ばれます。それは、生徒がコミュニケーション能力と意識
を向上させたいと願っており、また、そうしたものが成功に達することは、それ自
体がそれぞれウィンです。大きくて安定したウィンとは、生徒がそのドリルを行う
ことができ、そのドリルを行う技能と能力が安定した段階まで達成したことを意味
します。大きくて安定したウィンとは、著しい、長続きする向上のことです。

25
番号 : T R 0 直面する
名称 : 直面する

直面するとは、立ち向かうことができることと定義されます。
「人が直面している」
と言う時、人は、ひるんだり、避けたりすることなく、立ち向かっています。直面す
る能力とは、実際に、楽にそこにいて、知覚することができる能力です。

指示 : コーチの使う指示は「始め」
、「それまで」
、「不合格」の 3 つです。

コーチはいくつかの言葉を使います。最初の言葉は「始め」で、その瞬間にドリ
ルが開始されます。生徒が姿勢を崩したり、前かがみになったり、無意識になった
り、引きつったり、目をきょろきょろさせ始めたり、またはどのような方法でも正
しくない姿勢を示したりしたら、そのたびに、コーチは「不合格」と言い、困難な
点を正します。コーチは再び「始め」と言い、ドリルは続きます。コーチが何かを
言いたい時は「それまで」と言い、その点を正し、それから再び「始め」と言います。

位置 : 生徒とコーチは互いに向かい合い、心地よい距離 ( 約 1 メートル ) を保って


座ります。ふたりは互いに相手を見ます。

目的 : 緊張せずに、黙って座り、誰かを見ることのできる技能を得ます。

「TR 0 そこにいる」の次のレベルの技能です。ここでも、生徒は直
このドリルは、
面しなくてはなりません。

直面することなしに、本当の意味でのコミュニケーションはあり得ません。あな
たのことを見ようとしない人に話し掛けようとしたことがありますか ? 直面するこ
とが欠けているということは、本当のコミュニケーションに対する障壁なのです。

神経質な引きつりや緊張、すべては直面したくない気持ちから起こります。直面
しようとする気持ちが回復されると、これらの身体的な障害は消えていきます。

トレーニングでの強調点 : 生徒とコーチは互いに向き合って椅子に座ります。ふた
りは話をしたり、興味を引くようなことはしません。ふたりは、数時間ただ座り、互
いに見つめ合いますが、言葉を発したり、動作を起こしたりはしません。生徒は、話
をしたり、そわそわしたり、くすくす笑ったり、恥ずかしがったり、眠ったりして
はなりません。

26
往々にして生徒は、
「ただ直面することができずに、身体のある部分を使って直面
しようとすることがわかります。身体のある部分を使って直面しようとすると、そ
の身体の部分が痛くなったり、不快に感じたりするようになります。この解決法は、
ただ直面し、そこにいるということです。

基本的な法則は、生徒の緊張している部分が、直面する時に使っている部分だと
いうことです。もし生徒の目がひりひりしてきたら、生徒は目を使って直面してい
るのです。もし生徒のお腹が突き出て、緊張してきたら、彼はお腹を使って直面し
ているのです。もし彼の肩や、後頭部さえも緊張してきたとしたら、生徒は肩や後
頭部を使って直面しているのです。熟練したコーチは、この場合「それまで」と言
い、生徒を正して、新たにドリルを始めます。

TR0 では、まばたきは不合格ではありません。また、「まばたきをしないこと」は
必要条件ではありません。コーチは、生徒がまばたきしているかどうかに注意を払
う必要はありません。ただ、彼が直面しているかどうかだけに注意を払います。

しかし、目を大きく見ひらいて見つめることは不自然なことであり、生徒が目を
使って直面しようとしていることを意味します。このような場合、生徒がそれを続
けると、彼の目は涙目になり、赤くなって痛みだします。目でひどく苦労している
「TR0 直面する」を再び試みる前に、
生徒は、 「TR0 そこにいる」に戻ってから、そ
のドリルを習得すべきです。
TR0 直面する
「TR0 そこにいる」でのように、生徒は単
にそこにいること以外に、直面するための
いかなる方式も方法も使いません。もし直
面することの意味が何かを行うということ
だったら、このドリルの名称は不適切であ
ることになります。すべての行動は、言い
訳したり、動いたり、びっくりしたり、恥
ずかしがったり、自己を弁護することなく、
他の人の約 1 メートル前で生徒が楽にそこ
にいるのに慣れさせるためのものです。

引きつったり、尻ごみしたり、他の兆
候がもはやなくなり、抑制される ( それら
が知られず、見られないようにされてい
る ) 必要がなくなるまで、このドリルを続
けてください。出てきたものは、何でもフラットになります。

生徒は、ただそこにいて、直面することができるようになり、大きくて長続きす
るウィンに達した時に、合格が与えられます。

27
番号 : TR0 ブルベイト
名称 : ブルベイトに対する直面

「ブルベイト」という言葉は、ドリルを行っている生徒がコーチに反応して注意をそら
されるような、行動、言葉、フレーズ、癖、または主題を見付けるという意味です。
「ブ
お う し

ルベイト (bullbait) 」という言葉は、鎖で縛られた雄牛 (bull) に犬をけしかけるという意


味の「ベイティング (baiting) 」というイギリスとスペインの娯楽に由来しています。

TR0 ブルベイ ト
その汚いシ ャ ツ を 不合格。
ど こ で手に 笑いま し た。
入れたの ?
始め。

生徒 コーチ 生徒 コーチ
1 2

その汚いシャツを
どこで手に
入れたの ?

生徒 コーチ 生徒 コーチ
3 4

上の写真では、コーチは生徒のボタンを見つけ (1)、生徒が直面をやめたことについて不合格にします (2) 。コー


28 チはドリルを再開し、生徒を反応させたフレーズを繰り返して言い (3) 、生徒がそれに反応せずに、楽に直面で
人は、自分に何らかの反応を起こさせる特定のものがあることに気付くでしょう。
サイエントロジーでは、これをボタンと呼んでいます。人に反応を生じさせるよう
なアイテム、言葉、フレーズ、主題または領域のことです。

例えば、コーチが生徒に、
「君の耳は大きいね」というようなことを言います。生
徒は抑えられずに笑うといった反応をします。コーチはこのようにしてその生徒の
ボタンを見付けます。これがブルベイトするということです。

指示 : コーチは「始め」「それまで」「不合格」と言います。

聞き な さ いよ。
その汚ら しい
シ ャ ツ をど こ で
手に入れたの?

生徒 コーチ 生徒 コーチ
5 6

不合格。
ねえってば ! 尻ごみ
し ま し た。

生徒 コーチ 生徒 コーチ
7 8

きるようになるまでそれを繰り返します (4、5、6) 。他のボタンを見付けながら、コーチはブルベイトを続けます。コー


チがそれを見付けたら (7) 、理由を告げて生徒を不合格にします (8)。そして今度は新しいボタンをフラットにするため 29
にドリルを続けます。
位置 : 生徒とコーチは互いに向かい合い、心地よい距離 ( 約 1 メートル ) を保って
座ります。

目的 : 他の人の言動に、緊張させられたり、狼狽させられたり、混乱させられたり、
反応させられたりしないように、黙って座り、誰かを見ることのできる技能を得ます。

前のドリルでは、生徒はただ静かに座ってコーチに直面する方法を学びました。
「TR0 ブルベイト」では、生徒の直面する能力はより向上し、生徒はコーチの行うこ
とで狼狽させられないようになります。

このことによって、いかなるものにも注意をそらされることなく、社会や人生に
おけるどのような状況においても、そこにいて他の人にコミュニケーションを伝え
ることのできる能力が向上します。

例えば、あなたが誰かに話し掛けたのに、その相手の人が別の話題を持ちかけて
きて何も言えなくなったり慌ててしまった経験はありませんか ? 他の人が言ったこ
とに対して、そうしたくはなかったのに、感情を抑えられずに反応をしたことがあ
りますか ? このドリルにより、コミュニケーションのあらゆる面で、より起因に立っ
てコントロールできる能力を向上させることができます。

トレーニングでの強調点 : 生徒が TR 0 直面する、に合格し、ただそこに楽にいる


ことができるのであれば、
「ブルベイト」を始めることができます。そこにいること
に何かを付け加えたなら、コーチは厳しく不合格を与えます。引きつる、目をしば
たたかせる、ため息をつく、そわそわするなど、ただそこにいること以外のことは、
それが何であれコーチはすぐに不合格を与え、生徒にその理由を伝えます。

コーチの決まり文句 : 生徒が咳をしました。コーチは、
「不合格 ! 咳をしました。
始め」と言います。これがコーチの決まり文句です。

直面される対象としての決まり文句 : コーチは椅子を離れること以外なら、何を
言っても、何をしても構いません。しかし、コーチはコーチングの際には現実的で
なくてはならず、毎日の生活の中で生じるような実際の状態や状況をつくり出さな
くてはなりません。コーチは生徒の身体に触ってはいけません。

生徒のボタンを見付けたら、もはや何の反応も生じなくなるまで、それを猛烈に
押しまくります。コーチの言葉以外に対しては、生徒は何の反応もしてはいけませ
ん。生徒が反応したら、コーチはすぐにコーチの役目を行います ( そして上記の決ま
り文句に従います )。

生徒が楽にそこにいることができ、コーチのどのような言動にも、狼狽させられ
たり、混乱させられたり、反応させられたりすることなく、大きくて長続きするウィ
ンに達した時、合格が与えられます。

30
番号 : TR1
名称 : 相手が理解するようにコミュニケーションを伝える

目的 : 聞き手に特定のコミュニケーションを伝え、それを理解させる技能を得る。

今までに、自分のコミュニケーションが相手に受け取られたかどうかも知らずに
ただ話し続ける人を目にしたことがありますか ? 相手に自分の言うことを理解させ
るということは、コミュニケーションの公式の重要な一部です。

指示 : 『不思議の国のアリス』の本から、セリフ (「と○○は言った」の部分は省
く)を抜き出し、コーチに対して読み上げます。これは、コーチが自分のいるところ
に生徒の読んだセリフが届いたと満足できるまで続けられます。

位置 : 生徒とコーチは互いに向かい合い、心地よい距離を保って座ります。

トレーニングでの強調点 : コミュニケーションは本から生徒へと伝わり、生徒は自
分自身のコミュニケーションとしてコーチに伝えます。本からコーチへ行ってはい
けません。コミュニケーションは、わざとらしくなく、自然に聞こえなければなり
ません。発声法(言葉を発音する方法)や演説法(公衆の前で話すやり方や技巧)は
関係ありません。声の大きさは関係があるかもしれません。

コーチは「いいですね」と言う前に、コミュニケーション ( あるいは質問 ) をはっ


きりと受け取り、それを理解していなく
てはなりません。
TR 1
『不思議の国のアリス』の本を使うこ
とに、特別な意味はありません。このド
リルでは、言うことをつくり出すのでは
「それはチェシア猫です。」
なく、本から引用して言います。

どのような考えも、あなた自身のもの
にしているので、あなた自身のものにな
るのです。本から考えを得る時、その考
えはあなた自身のものになり、そしてあ
なたはそれを自分自身の考えとして誰
かに伝えます。ドリルはこのようにコー
チされます。コミュニケーションは、本 コーチ 生徒
からコーチへと伝えられることはあり

31
ません。それは本から生徒へ伝わり、生徒自身の考えとなります。さらにその考え
がコーチへと伝わるように、生徒はその考えを自分自身のものにしてから、コーチ
に表現します。

ある人が考えを得てそれを自分のものとし、他の人にコミュニケートするという
最初のステップを踏めない場合、私たちにはすぐ、その人が自分の考えをコミュニ
ケートできないことがわかります。

コーチをする際には、生徒が『 不思議の国のアリス 』の中でフレーズを見付け、


それを自分自身の考えとして取り上げ、正確にコーチにコミュニケートします。生
徒のコミュニケーションが届いたと思う、とコーチが言うまで、生徒は同じフレー
ズを何度でも、生徒の好きな言い方で繰り返し言うことができます。

コミュニケートするのは意図であり、言葉ではありません。相手にコミュニケー
トするという意図が伝わった時、コミュニケーションが届きます。

意図は、ひとまとまりの時間の中で、コミュニケートしたり、コミュニケートさ
れなければなりません。それは、前回繰り返されたものが再び繰り返されるのでは
ありません。現時点において、新しい、別のものがコミュニケートされているので
す。コミュニケーションがいったん首尾よく伝達されれば、その人はもうひとつの
コミュニケーションを見付け、それをコミュニケートすることができます。

決まり文句 : コーチは「始め」と言い、コミュニケーションを受け取ったならば、
新たにドリルを開始するのではなく「いいですね」と言い、またコミュニケーショ
ンを受け取らなかった場合には「不合格」と言います。
「始め」を再び使うことはあ
りません。
「それまで」という言葉は、話し合いのためにドリルを中断したり、単に
そのドリルを終了させる場合に使われます。話し合いのためにドリルを中断した場
合は、コーチは再開する前に、もう一度「始め」と言わなくてはなりません。

生徒が緊張したり、わざとらしかったり、演説調に頭を上下させて身振りを交え
たりすることなく、コミュニケーションを自然に伝えることができ、さらにそれを
容易に、くつろいで行えた時にのみ合格が与えられます。

32
番号 : TR2
名称 : アクノレッジメント
「アクノレッジメント」とは、相手が言ったことや行為が、注目され、理解され、受
け止められたということを知らせるために、言ったり行ったりすることです。
目的 : 相手の発言や意見、コメント
TR2
に対して、すべて完全に、また最終的
にアクノレッジする技能を得ます。そ
のアクノレッジメントで、その相手は 「僕はフ ラ フ ラ だよ。
それが完全に受け取られ、理解され、も ハムサン ド を く れよ。」
うそれ以上繰り返したり続ける必要が
ないことに満足感を得るのです。
アクノレッジメントは、コミュニケー
ション・サイクルの中でのコントロールを
左右する要素です。それは、あらゆる状況
のどのようなコミュニケーション・サイク
ルにも当てはまります。コントロールの公
式とは、スタート、チェンジ、ストップで
す。仮に何かをスタートでき、それからそ コーチ 生徒
れをチェンジし、ストップできるのであれ
ば、それをコントロールしていることにな
ります。アクノレッジメントは 「ストッ
プ」です。ですから、相手のコミュニケー
ションに適切なやり方でアクノレッジす
れば、その人はコミュニケーションをコン
トロールできるのです。 「わかったわ。」
相手に「続けてください」または「話し
続けてください」と言うのであれば、あな
たはその人にアクノレッジをしていないこ
とになるでしょう。完璧なアクノレッジメン
トとは、「あなたのコミュニケーションを
聞きました」ということだけをコミュニ
ケートするものです。それは、ただ自分に対
する相手のコミュニケーションを受け取っ
コーチ 生徒
たということをはっきりと示しています。言
葉がコミュニケーション・サイクルを終わら
せるのではなく、意図が終わらせるのです。

33
人生において、自分がアクノレッジされていると知ることは、実際、非常に治癒
的な効果があります。
指示 : コーチは『 不思議の国のアリス 』のセリフを、「 と ○○は言った」という部
分を省いて読み、生徒はそれを完全にアクノレッジします。生徒は「いいですね」
「結
構です」
「はい」「わかりました」など、コミュニケーションに対してふさわしいと思える
ものならば、どのようなアクノレッジをしても構いません。それによって、そこに座ってい
る人に、それが聞こえたということを実際に納得させるようにします。コーチは、自分が本
当にアクノレッジされなかったと感じたら、必ずそのセリフを繰り返して読みます。
位置 : 生徒とコーチは互いに向かい合い、心地よい距離( 約1メートル)を保って座ります。
トレーニングでの強調点 : コーチの言ったことが最終的に完全に受け取られ理解
されたので、もう繰り返す必要はないとコーチが納得するように、生徒はアクノレッ
ジしなければなりません。
生徒は、コミュニケーション・サイクルがその時点で完全に終わることを意図し、実
際そこで終わらせることによって、これを行います。コーチをがっかりさせたり、動揺
させたりしなければ、生徒はこれを行うのに何をしても構いません。生徒は、コーチの
コミュニケーションに適切な方法でアクノレッジして、コーチに生徒がそれを受け取っ
たことを納得させます。
時々生徒に、コーチが何を言ったかを尋ねなさい。過剰なアクノレッジメントや不十分
なアクノレッジメントにならないように抑制しなさい。最初は、アクノレッジメントを届
けるために生徒には何でもやらせなさい。それから、むらなくできるようにしなさい。ア
クノレッジメントとはストップであり、新しいコミュニケーションのサイクルの始まりで
もなければ、他の人が話し続けるよう促すものでもないことを教えなさい。また、アクノ
レッジメントは、相手のコミュニケーションにふさわしいものでなくてはならないことを
教えなさい。生徒が、
「いいですね 」、
「ありがとう」と言うのが、あたかも唯一のアクノ
レッジメントであるかのように、ロボットのように使う習慣を付けてはいけません。
このドリルにおけるもうひとつのポイントは、アクノレッジメントを伝えるのに失敗したり、
アクノレッジメントによって人を止めるのに失敗したり、
過剰なアクノレッジメントによって人
をうんざりさせてしまったりすることがあり得る、ということを生徒に教えることです。
決まり文句 : コーチは 「始め 」と言い、本からセリフを読み上げます。コーチは、ア
クノレッジメントが不適切だと感じた時はいつでも、
「不合格 」と言います。コーチは
「不合格 」と言った後に同じセリフを繰り返して読みます。「それまで」という言葉は、
話し合いのためにドリルを中断したり、単にドリルを終了する場合に使われます。話し
合いのためにドリルを中断した場合は、もう一度「始め」と言います。
このドリルは、生徒が、相手の発言や意見、コメントに対して、その相手が自分のア
クノレッジメントが完全に受け入れられ、理解され、もうそれ以上繰り返したり続けた
りする必要がないことに満足感を得るよう、完全に、また最終的にアクノレッジできる
ようになった時にのみ、合格が与えられます。

34
番号 : TR2 1/2
名称 : ハーフ・アクノレッジメント

「ハーフ・アクノレッジメントとは、相手が自分のことを聞いていると感じさせな
がら、人に話を続けさせる方法です。

目的 : 話をしている人に、話を続けるように促す技能を得ます。

人とコミュニケーションを取っていて、相手の人が言いたかったことを言い終え
たように見えるが、実際は完了していなかったと気付くということは珍しいことで
はありません。そのために、相手がコミュニケーションを完了する前にアクノレッ
ジして、コミュニケーションを途中で遮断してしまったことがあったかもしれませ
ん。そのような場合には、相手がもっと言いたいことがあるかどうかを、注意深く
観察しなければなりません。そして、そのコミュニケーションのフローを完全に終
わらせるだけでなく、相手に話を続けようと促すようにします。そうすれば、その
人は自分自身のコミュニケーションを実際に完了させることができます。

例えば、自分が誰かと会話をしていて、相手が言っていることをもっと知りたい
ので、その人に話し続けてもらいたいと思っているとします。ハーフ・アクノレッ
ジメントはこれを促すために使う方法です。

指示 : コーチは、
『 不思議の国のアリス 』のセリフを、
「と○○は言った」という
部分を省いて読みます。生徒はコーチに対して、コーチに話を続けさせるようにハー
フ・アクノレッジを与えます。コーチは、生徒がハーフ・アクノレッジをしなけれ
ばならないような不完全な発言をすべきです。コーチは、自分がハーフ・アクノレッ
ジを与えられなかったと感じた場合には、そのセリフを繰り返して読みます。

位置 : 生徒とコーチは互いに向かい合い、心地よい距離を保って座ります。

トレーニングでの強調点 : ハーフ・アクノレッジメントは、人が話し続けるのを促
すものであるということを生徒に教えます。過剰なアクノレッジメントにならない
よう注意し、人が話し続けるのを止めてしまわないようにします。さらに、ハーフ・
アクノレッジメントは、人に対し「自分の言うことが聞かれている」という気持ち
にさせ、人に話し続けさせる方法であることを生徒に教えます。

35
生徒は、コーチに話し続けさせるように、うなずいたり、ハーフ・アクノレッジメ
「それから ?」
ントを与えたりします。生徒はこの目的を達成するために、 、「続けて」
など直接的に言ってはいけません。微笑んだり、うなずいたり、その他の方法が使わ
れます。コーチは話し続けるように説得されたと感じなければなりません。

コミュニケーションのフローを止めてしまうような明確なアクノレッジメント
や、コーチに話し続けさせるように見つめたり振舞ったりすることができない場合
は、不合格とされて、ドリルをもう一度始めます。

TR 2 ½
決まり文句 : コーチは「始め」と言い、セリフを
読み上げます。コーチは、ハーフ・アクノレッジメ
「若い頃、 僕は法律を
ントが不適切だと感じた時はいつでも、
「不合格」と
専攻し ていて…」
言います。コーチは「不合格」と言うたびに、同じ
セリフを繰り返して読みます。
「それまで」という言
葉は、話し合いのためにドリルを中断したり、単に
ドリルを終了する場合に使われます。話し合いのた
めにドリルを中断した場合は、コーチは再開する時
に、もう一度「始め」と言わなければなりません。

自分の思いのままに相手に話し続けさせる自信が

コーチ 生徒 ついた時に、合格が与えられます。

「あ ら ゆる訴訟について
「え ぇ 。」 妻 と 議論し た も のです。」

コーチ 生徒 コーチ 生徒

36
番号 : TR3
名称 : 質問に対して答えを得る

目的 : 横道にそらされても、質問に対するひとつの正確な答えを得る技能を身に
付けます。

質問をしても答えを得られなかったことがこれまでにありましたか ? コミュニ
ケーション・サイクルが不完全で宙に浮いたままになっていると、これが動揺を引
き起こすことがあります。

社会的な状況、あるいはその他の状況では、質問に対する答えを得て、コミュニ
ケーション・サイクルを完了させるということがとても重要になります。あなたは、
このドリルによってその能力を身に付けることができます。

指示 : 「魚は泳ぎますか ?」
、あるいは「鳥は飛びますか ?」

位置 : 生徒とコーチは互いに向かい合い、心地よい距離を保って座ります。

トレーニングでの強調点 : 生徒は、ひと区切りの時間の中で、ひとつ質問を尋ね、
その質問の答えにアクノレッジし、そこでそれを終了します。生徒が、横道にそれ
て、指示を変えてしまわないようにすること。

生徒は自分が尋ねた質問の答えを得なかったり、全く同じ質問を繰り返さなかっ
たり、コーチによって脱線させられて Q&A した場合には、不合格となります。

Q & A とは、「Question and Answer ( 質問と答え )」の短縮形です。それは、人の


質問に対する答えを得ないこと、何かを完了し損なうこと、または意図されている
行動の進路からそれることを意味します。例 : 質問 : 「鳥は飛びますか ? 」答え : 「鳥
」質問 : 「どうしてですか ?」答え : 「だって鳥は汚いから。
は好きではありません。 」
これが Q&A です。それは、もともとの質問に対して答えが得られないまま、その質
問が途絶え、その質問をした人はそこからそれてしまいました。この人は、「Q&A
した」と言えます。

質問が繰り返されるたびに、論理的かつ純粋には、その質問は時間の中のある瞬
間に存在し、現時点において、それ自体の意図をもって言葉として発せられます。

生徒が、ただ質問を何度も繰り返すだけの機械になっている場合には、そこに意
図は存在していません。ですから、人が質問を繰り返す場合には、意図を伴って質
問が現時点で表現されていなければなりません。質問が常に現時点において発せら
れている場合には、何度も何度も繰り返しても何も問題はないでしょう。新たな意
図を持たずに質問を何度も何度も繰り返している場合には、骨の折れるものになっ
てしまいます。

37
決まり文句 : コーチは「始め」
「それまで」を、これ以前の TR と同じように使い
ます。コーチは、
「始め」と言った後で、必ずしも生徒の質問に答えなくてはならな
いわけではありませんが、生徒を混乱させるために、その質問の本当の答えではな
い、コメントのような答えをしても構いません。コーチは頻繁に、生徒が実際に尋
ねる質問に答えるべきです。例えば、

生徒 :「魚は泳ぎますか ?」

コーチ : 「はい。

生徒 :「いいですね。

実際に答えるよりもいくぶん少ない頻度で、生徒を Q&A に引き入れようとした


り、生徒を動揺させようとします。次がその一例です。

生徒 :「魚は泳ぎますか ?」

コーチ : 「お腹すいてない ?」

生徒 :「ええ。

コーチ : 「不合格。

質問に対する答えが得られない場合は、その質問に対する答えが得られるまで質
問を繰り返さなければなりません。質問とアクノレッジメント以外の言葉は何であ
れ不合格となります。必要のない質問の繰り返しも不合格となります。下手な質問
の伝達 ( 例えば、意図が欠如している場合 ) も不合格となります。下手なアクノレッ
ジメントも不合格です。Q&A も ( 例にある通り ) 不合格となります。生徒が動揺し
たり、混乱した場合も不合格となります。次の質問を発するまでのコミュニケーショ
ン・ラグが長くなってしまった場合も不合格となります。

相手の言うことを中断してしまうようなアクノレッジメントや、早過ぎるアクノ
レッジメントも不合格となります。アクノレッジメントがない ( あるいはアクノレッ
ジメントにはっきりしたコミュニケーション・ラグを伴う ) 場合も不合格となりま
す。コーチからの言葉で、その質問に対する答えや、
「始め」
「不合格」
「いいですね」
あるいは「それまで」以外のどのような言葉も、生徒には何の影響も及ぼしません。
生徒はただ、質問を再び繰り返すだけです。

「始め 」
「不合格」「いいですね」そして「それまで」という言葉は、生徒を混乱させた
り、罠にはめたりするために使ってはいけません。それ以外の言葉であれば、あらゆる言
葉を使うことができます。コーチは内向させるような言葉、例えば「今、ある認識があっ
たんです」というようなものは使うべきではありません。「コーチの脇道にそらそうとす
る」言葉はすべて、コーチではなく、生徒に関係したものであるべきです。それによって、
生徒を狼狽させたり、コントロールを失わせたり、生徒の行っていることを見失わせるよ

38
うなものでなくてはなりません。生徒がしなくてはならないことは、指示とアクノレッジ
メントだけを使って、どのようなことがあろうとドリルを続けることです。生徒が上記以
外のことをしたら、それは不合格となり、コーチはそれを告げるべきです。

質問に対する答えが脇道にそらされたにもかかわらず、生徒が一貫して自分の質
問に対する答えを得ることができるようになった時に、合格が与えられます。

TR 3
?
「鳥は飛びますか?」 「君の髪、 ボサボサだよ。」

コーチ 生徒 コーチ 生徒
1 2

?
「 う ん、 飛ぶよ。」
「鳥は飛びますか?」

「あ り が と う 。」

コーチ 生徒 コーチ 生徒
3 4

39
番号 : TR4
名称 : オリジネーションを処理する

定義 : このドリルで使われているように、
「オリジネーション」という言葉は、自
分自身のこと、自分の考え、反応、困難に関して、人が自発的に言ったり不意に行
うこと、という意味です。

TR 4

?
「魚は泳ぎますか ?」 「こ の部屋は
と て も暑いね。」

コーチ 生徒
コーチ 生徒
1 2

「わか り ま し た。
「ど う ですか ? 」
?
エア コ ン を
つけま し ょ う 。」 「さっきよ りいいね。 あ りがと う。」

「 いいですね。 魚は泳ぎますか ?」

コーチ 生徒 コーチ 生徒
3 4

40
目的 : 相手のオリジネーションによって、驚いてものが言えなくなったり、びっ
くりしたり、脇道にそれてしまったりせず、オリジネーションの間中ずっと相手と
良いコミュニケーションを保ち続けることを生徒に教えます。

人々はたびたび、とてもびっくりすることを言って、他の人に不意打ちをかける
ことがあります。

これまでに経験したほとんどすべての口論は、オリジネーションを処理しなかっ
たことが原因です。例えば、誰かが入ってきて、学校中で一番の得点で合格したと
言います。そして、他の人は、どれほど自分が空腹かを彼に言います。次にその人
は、彼と喧嘩することになります。彼は、無視されたように感じているのです。

オリジネーションを処理することは、人が言ったことを相手の人が聞いたとその
人に伝えるだけのことです。これは、アクノレッジメントの一形式と呼ばれるかも
知れませんが、実際はそうではありません。これは逆のコミュニケーションの公式
なのです。一緒に話をしていた人は今、コミュニケーションの起因点にいて、あな
たに話し掛けているのです。したがって、もともとのコミュニケーション・サイク
ルを完了させるために、今、このオリジネーションを処理して、起因点としての役
割を再び果たさなければならないのです。

指示 : 生徒はコーチに「魚は泳ぎますか ?」あるいは「鳥は飛びますか ?」と尋ね


ます。コーチは答えますが、46 ページにある予め用意されたオリジネーション・シー
トの中から、時折びっくりするようなコメントを与えます。

位置 : 生徒とコーチは互いに向かい合い、心地よい距離を保って座ります。

トレーニングでの協調点 : 生徒はオリジネーションを聞き、次の 3 つのことをする


ように教えられます。(1) オリジネーションを理解し、(2) それにアクノレッジし、(3)
もともとのコミュニケーション・サイクルが完了できるように、その人をそのサイ
クルへ戻す。コーチは、生徒がぶっきらぼうであるとか、時間がかかり過ぎるとか、
理解が足りないと感じたなら、より良い処理ができるように生徒を修正するように
します。

決まり文句 : すべてのオリジネーションとは、コーチ自身に関することであり、
コーチの考え、反応、困難に関することです。生徒に関するものは、オリジネーショ
ンではありません。その他の決まり文句は、これ以前の TR と同じです。生徒の決ま
り文句は、次の要素により決定されます。(1) そのオリジネーションの内容を明確に
し理解すること、(2) そのオリジネーションにアクノレッジすること、(3) その質問
を繰り返すこと。これ以外のものは、すべて不合格になります。

41
生徒は、動揺を防ぐよう心掛けなければなりません。また、オリジネーションし
ている人に、重大な問題が起こっているのか、それともただその人を脇道にそらせ
ようとしているのかを見極められるように教えられなければなりません。生徒は、(1)
理解する、(2) アクノレッジする、(3) その人をもともとのコミュニケーション・サ
イクルに戻す、という以外のことをしたら不合格になります。

コーチは前にあった TR3 の時と同じように、生徒の個人的なことに関する言葉を


投げ掛けて邪魔をしようとします。これらのコメントと、コーチが自分のことに関
するオリジネーションとを ( コメントを処理しようとして ) 区別し損なうと、生徒は
不合格にされます。

どの TR でも、生徒が途中で失敗した場合は不合格になりますが、この TR では特
に厳しく扱われます。コーチはオリジネートするために、いつでもオリジネーショ
ン・シートから読み上げるわけではなく、独自のオリジネーションをつくり出して
も構いませんし、コメントを言おうとする時に、いつでも生徒の顔を見なければな
らないわけでもありません。
「オリジネート」とは、生徒としての自分の様子や、自
分の空想上の心配、感情、態度などについての発言や意見を言うことです。
「コメン
ト」とは、生徒や部屋にのみ向けられる発言や意見のことです。生徒は、オリジネー
ションを処理しますが、コメントは無視します。

生徒 :「鳥は飛びますか ?」

コーチ :「はい。

生徒 :「ありがとう。

生徒 :「鳥は飛びますか ?」

コーチ :「昨日魚釣に行きました。

生徒 :「教えてくれてありがとう。鳥は飛びますか ?」

コーチ :「はい。飛びます。

生徒 :「とてもいいですね。

生徒は、驚いたり、狼狽してしまったりせず、穏かにオリジネーションを処理し、
オリジネーションをしている間ずっと、良いコミュニケーションを維持することが
できるようになった時に、合格が与えられます。

42
コーチング
コーチングは、それ自体が技術であり、サイエントロジーの勉強に欠かせない部分で
す。どの TR のドリルを始める前にも、本人とそのパートナーはこれをしっかりと理解
すべきです。
優れたコーチングによって、生徒が素晴らしい結果を伴ってドリルを終了するか、少
しもドリルが終わらないかという点で、違いがもたらされます。
コーチであることに関して、あなたがコースで最善を尽くす助けになるように、以下
にいくつかのデータを挙げておきましょう。
1. 目的を持ってコーチする。
コーチをする時は、生徒がそのトレーニング・ドリルを正しく身に付けることをゴー
ルにしなさい。目的を持ち、このゴールの達成に向かいなさい。コーチとしてその生徒
を正す時にはいつでも、何の理由も目的もなしにそれをしてはいけません。生徒がその
トレーニング・ドリルをよりよく理解し、自分の能力の限りを尽くしてそれを行うとい
う目的を常に心掛けなさい。
2. 現実性を持ってコーチする。
コーチする時は現実的でありなさい。生徒にオリジネーションを言う時には、こう言
うべきであると書かれてあることをそのまま言うのではなく、本当のオリジネーション
として言い、まるで実際の状態や状況下で言っているように、それを生徒が解決しなく
てはならないもののようにします。しかし、これは生徒に言っていることを自分が実際
に感じなくてはいけないということではありません。例えば「足が痛い」と言うような
場合、これは自分の足が本当に痛まなくてはいけないということではなく、自分の足が
痛むということが生徒に伝わるような言い方で言うべきだということです。もうひとつ
のことは、コーチをするのに、あなたの過去の経験を使ってはいけないということです。
現時点において創意をこらしなさい。
3. 意図を持ってコーチする。
すべてのコーチングの背後にあるべきものは、そのセッションの終わりまでには、生
徒が始めに比べてもっとうまく行っていることに気付くようにしようというコーチの意
図です。その生徒は、どれほど些細なことであれ、そのトレーニングのステップにおい
て何かを成し遂げたという気持ちを持つようでなくてはいけません。あなたのコーチし
ている生徒がより能力のある人間になり、コーチされているものに対してより大きな理
解を得ることが、コーチングをしている間のあなたの意図であり、また常にそうなるよ
うにコーチするべきです。
4. コーチングにあたっては、一度にひとつのことだけを取り上げる。
例 : TR4 を行っていて、その生徒が TR4 のゴールを達成したとしたら、以前の TR を
ひとつずつ調べていきなさい。生徒はあなたに直面していますか。彼は質問を毎回自分
のものとしてオリジネートし、本当にあなたにそれを受け取ってもらおうとしています
か。彼のアクノレッジメントはコミュニケーションのサイクルを終わらせているか、な
43
どです。しかし、これらのことを一度にひとつだけコーチし、決して一度にふたつまた
はそれ以上のことをコーチしてはいけません。次のトレーニングのステップにいく前に、
生徒がコーチされているものを、ひとつひとつ正確に行っていることを確認しなさい。
生徒がある特定のドリルや、あるドリルの特定の部分を上手にこなすようになればなる
ほど、あなたはコーチとして、彼により高い水準の能力を要求するべきです。これは「決
して満足するべきでない」と言っているのではありません。人は常に向上できるという
ことです。彼をある特定の能力水準に達成させたなら、新たな水準に向かって働き掛け
なさい。
もし生徒がドリルのひとつで苦労しているのに気付いたら、まず最初に行うことは、
彼にそのドリルのテキストを読み直させ、彼が完全に理解していないすべての単語を見
付け出して、辞書で調べさせることです。これで状況が改善されなければ、彼が行き詰
まっているのがより以前のドリルではないか調べます。もしそうであることがわかれば、
彼が行き詰まっている以前のドリルに戻り、彼にそのドリルを合格するまで行わせます。
それが終わったら、次のドリルに取り掛かり、合格するまでそれを行い、再び後の方の
ドリルに進んでいきます。
コーチとしてあなたは、常により良く、より正確なコーチをすることを目指していな
くてはいけません。決していい加減なコーチングをしている自分自身を認めてはいけま
せん。というのは、その生徒にひどい仕打ちをしてしまうことになるからです。それに、
あなたは同じような扱いを受けたいとは思わないでしょう。
コーチングにあたって、決して意見を述べてはいけません。 「…だと思うよ」とか
「うーん、こうかもしれないね」といった言い方は避け、いつも直接的な言い方で生徒を
指導するようにしなさい。
コーチとしてあなたは、何よりもまずそのセッションとその生徒が得られた結果に対
して責任があります。
生徒は何か間違ったことをした時、自分がしていることを釈明したり、正当化したり
することがあります。彼は説明や「理由」をあなたに言うことでしょう。そんなことを
くどくどと言ったところで、達成できるものはほとんどありません。TR のゴールを達成
し、どのような意見の相違をも解決する唯一の方法とは、トレーニング・ドリルを実行
することなのです。それについて話すよりも、それを実行したほうが先へと進むことが
できます。
コーチは TR において、
「トレーニングでの強調点 」および 「目的 」にあるデータに
基づいてコーチしなくてはいけません。
これらのトレーニング・ドリルでは、時に生徒が気分を害する傾向があります。ドリ
ルの最中に生徒が怒ったり、気分を害したりすることがあります。そうなったとして
も、コーチはドリルを終えて、苦しんでいる生徒を放っておくのではなく、生徒がその
動揺を通り抜けるように手助けしなくてはなりません。このような場合、実際には、生
徒をただその場に座らせたままにしておくのは、ドリルを抜けさせるよりもひどい動揺
を抱えさせることになってしまいます。ドリルの意図は、生徒にコミュニケートするこ
とを教えることです。ですから、どのような混乱もみなドリルに付随して起こるもので
しかなく、何の役にも立ちません。
44
些細なことですが、ほとんどの人は次のことを忘れています。つまり、生徒がドリル
を正しく習得したり、ある特定のステップをうまく行った時に、そのことを生徒に伝え
るということを忘れてしまっているのです。誤りを直すだけでなく、正しいことを誉め
る行為も存在するのです。
「自己コーチング」( 生徒が自分自身を直そうと試みること )に相当するものに対して
は、その生徒をはっきりと「不合格」にします。この理由としては、生徒が内向する (自
己の内面を見る )傾向に陥ってしまい、ただドリルを行うのではなく、自分がどうやっ
ているか、あるいは何をやっているかということに注意を向け過ぎてしまうからです。
コーチとして、常に生徒に注意を向け、彼の調子に気を配りなさい。自分自身がして
いることに注意を取られるあまり、生徒をないがしろにして、彼がドリルを正確に行え
るかどうかがわからなくなってしまうようではいけません。笑わせたり、少し芝居が
かったりして、生徒に対して「興味を引くもの」になるのは簡単です。しかし、コーチ
としてのあなたの本当の仕事は、生徒がそれぞれのトレーニング・ドリルをどれだけう
まく行えるかを確認することであり、それこそあなたが注意を向けるべきことなので
す。すなわち、生徒がどれだけうまくやっているかということです。
生徒の進歩は、規範的なコーチングによって大きく左右されます。良い結果が、より
良い人々をつくり出すのです。
いったんあなたとあなたのパートナーがコーチングを理解したら、いつでも TR のド
リルに取り掛かることができます。記述されているようにこれらのドリルを行うこと
が、ドリルを首尾良く習得する鍵となります。
ドリルを完璧にするには、その練習に何時間もかかりますが、それは有意義な時間で
す。各 TR はそれぞれ、生徒がドリルの目的に達し、その TR を行うことができるよう
になるまで行われます。
生徒は、その TR の能力を本当に手に入れ、それを維持するところに達する前に、何
らかの TR で長時間費やすことがあります。これは特に、TR 0 「そこにいる」、TR 0
「直面する」および TR 0 「ブルベイト」について当てはまります。
合格するのにある特定の時間を必要とする TR がひとつあります。TR 0 「直面する」
がそれで、生徒はそれを楽に 2 時間続けて行うことができるところに達するまで、その
ドリルを行わなければなりません。
コーチは、生徒が能力の向上を達成し、うまくそのドリルを行うようになるまで、特
定の TR に生徒と一緒に取り組みます。しかし TR は、ひとつのものにずっと留まった
り、初めから生徒が悪い方向に向かってしまうほどコーチが厳しくするよりも、TR 0
「そこにいる」から TR4 までを順番に、その都度厳しくしていきながら、何度かやり通
す方がいいでしょう。
厳しく、しかし正しいコーチを適切な段階に沿って行うことで、直面することが求め
られるどのような状況においても、コミュニケーションの公式を適用する自分の能力に
確信を持って、生徒はこれらの TR を完了することでしょう。
これは、その人が身に付けていく能力の中でも最も価値のあるもののひとつです。
45
オリジネーション・シート
コーチは、トレーニング・ルーティン No.4 で、時々これらを使います。
オリジネーションの処理

お腹が痛い。

部屋が大きく見える。

身体が重苦しい。
けいれん

足が痙攣している。

沈んでいく感じがします。

部屋の色が明るくなった。

頭が傾いているような感じです。

素晴らしい気分です。

ひどく恐ろしい気がします。

私の話を聞いてくれた人は、あなたが初めてです。

長年頭痛を持っていたことに、たった今気が付きました。

こんなことばかげていますよ。

すっかり混乱しています。

背中に鋭い痛みを感じました。

何となく気持ちが軽くなりました。

あなたには言えません。

実に嫌な気持ちですよ… 何かを失ったような、そんな感じなんです。

わあー ! そんなこと知りませんでした。

部屋がだんだん暗くなっていくようです。

とても緊張しています。

本当に立派なオフィスをお持ちですね。

身体中ポカポカする。

ところで、昨日テニス・トーナメントで優勝したんですよ。

頭の周りにきついバンドが巻きついている感じがします。      続く・・・

46
いつ髪を切りに行くんですか ?

どうもすっかり閉じ込められてしまったような気がします。

決勝戦で勝つのは誰でしょうね ?

この椅子はとても座り心地が良くて、眠くなってしまいそうです。

今朝、私に向かって笛を鳴らしたあの警官のことが頭から離れません。

これを、どのくらい続けなくてはいけないんですか ?

顔がヒリヒリします。

眠たくなってきました。

お腹がぺこぺこです。お昼を食べに行きましょう。

急に、とても疲れてしまいました。

すべてがぼんやりとしてきました。

この部屋は揺れていますか ?

今までずっと自分がどんなに間違っていたかに気付いたところです。

顔にクモの巣が張り付いているような感じです。

左の膝が痛い。

すごく軽く感じます !

ここは、だんだん暑くなってきませんか ?

初めて泳ぎに行った時のことを思い出したところです。

もう何年も背中がこんなふうに痛むんです。

結婚しているんですか ?

すごく淋しい。

しゃべれないような気がします。

身体中が震え出しています。

脇腹が痛い。

何もかも暗くなってきたように思えます。

私みたいな人間の話を聞くのはうんざりしませんか ?

47
コミ ュニケーショ ンが命
人生のあ ら ゆ る 局面において成功か失敗かの違いを も た ら すのは、 人の コ ミ ュ ニ
ケーシ ョ ン能力です。 あ なたの知 り 合いで、 いつ も 努力が報われて成功する 人たち
と い う のは、 高い コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ン能力を持っ てお り 、 逆に、 その能力を持っ て
いない人たちは成功し ない と い う こ と がわか る で し ょ う 。

コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ンは、 単に出世する ための方便ではな く 、 人生の要 と な る も の


です。 それは、 人生を理解し 成功に満ちた人生を送る ための も ので、 限 り な く 上位
にあ る要因なのです。
あ が

私たちは本能的に、 偉大な芸術家や画家、 音楽家を崇め ます。 そ し て、 社会全体


と し て も 、 彼 ら を非凡な存在 と し て見な し てい ますし 、 実際彼 ら は非凡な存在なの
です。 し か し 、 コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ンに対する 理解 と 、 その上手な利用は、 芸術家の
ためだけの も のではな く 、 すべての人たちのための も のです。

コ ミ ュ ニケーシ ョ ン と い う 主題全体を検討し てみる と 、洞察力のあ る人な ら ば、自


分の周囲で実際に コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ン を と っ てい る 人は全 く と いっ ていいほどお ら
ず、 自分が コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ン を し てい る と 思いなが ら も 実際にはそ う し ていない
人が大勢い る と い う こ と を発見する こ と が よ く あ り ます。

見せかけでは、 コ ミ ュ ニケーシ ョ ン を取る よ り も 取ら ない方がいい よ う な場合 も


あ り ますが、 それは実際には決 し て本当の こ と ではあ り ません。 コ ミ ュ ニケーシ ョ
ンは、 あ ら ゆ る 人間の問題に対する 解決策です。 コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ン その も のを理
解する こ と は、 サ イ エン ト ロ ジー以前には不可能な こ と で し た。

コ ミ ュ ニケーシ ョ ンの公式に関する 徹底的な知識 と 、 その適用の際の さ ま ざ ま な


困難が どの よ う に知 ら れて正 さ れ る のか と い う 理解が、 幸せな生活を送る のに不可
欠な道具 と な り ます。 こ の小冊子に含まれ る 知識 と ド リ ルに よ っ て、 人は成功への
道へ と 踏み出す こ と がで き ます。 プ ロ の レベルの能力は、 サ イ エン ト ロ ジー教会の
ハバー ド ・ プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナル TR コース で得る こ と がで き ます。 こ こ では、 コ ミ ュ
ニ ケーシ ョ ン能力を完璧な も のに し たい と 願 う 人々が、 優れた監督 と それに関する
完全なデータ を利用する こ と がで き る よ う にな っ ています。

コ ミ ュ ニケーシ ョ ンは命です。

それがな く ては、 私たちはあ ら ゆ る人に と っ て、 死んでい る こ と にな り ます。

私たちは、コ ミ ュ ニケーシ ョ ンがで きればで き る ほど、生き生き と し てい る のです。■

48
演習
これはコミュニケーションに関する演習です。これらの演習を行うことで、この小
冊子に含まれている知識について、さらに深く理解できるようになります。

1 周囲を見回して、コミュニケーションを構成するさまざまな要素の例を観察し
てください。観察している会話で、どの要素が使われ、また使われていないか
に気を付けてください。( これには、意図、注意、デュプリケーション、理解、
そして関係している人々が実際に起因点と受領点のどちらにいるのか、という
ことが含まれます。) 簡単にコミュニケーションのさまざまな要素を識別でき、
また欠けていたり正しく使われていないどのような要素も識別できるように
なるまで、周囲のコミュニケーションを観察し続けてください。

2 コミュニケーションにおける、アクノレッジメントに注目してください。話し
ているふたりの人を観察し、それぞれのアクノレッジメントの使い方に特に注
意してください。同様に、どのようなアクノレッジメントの欠如にも気を付け
てください。アクノレッジメントがない場合と比較して、アクノレッジメント
がある場合に、あなたが観察したコミュニケーションにおける違いはどのよう
なものでしたか ?

3 ふたりの間で行われる 2 方向のコミュニケーションを観察してください。コ
ミュニケーションが円滑かどうかに気を付け、良いコミュニケーションを構成
するさまざまな要素、あるいはそれらが欠如していることを観察してくださ
い。この同じ演習を繰り返して、他の 2 方向のコミュニケーション・サイクル
を観察してください。

4 TR のそれぞれを行ってください。誰かをパートナーにして一緒にドリルを
行ってください。TR0 「そこにいる」から始めます。コーチングを適切に使い
ながら、あなたとパートナーの両方が完全にそれぞれのドリルに合格するま
で、この小冊子で述べられている通りに、正確にそれぞれのドリルを行ってく
ださい。

49
適用の成果
個人の成功のレベルは、その人のコミュニ 「 このコースは 1 日に 2、3 時間しか時間をと
ケーションの段階と直結しています。良いコ りませんでした。あの頃、娘と私は、実のとこ
ミュニケーションの基本を理解している人々 ろお互いに口をきいてもいませんでした。ほと
は、周囲の人々に、心地良い感じ、自分が理 んど『こんにちは』と『さようなら』だけだっ
解されているという感じ、自分が認められて たのです。コミュニケーション・コースを通し
いるという感じを与えます。つまり、彼らは、 て、私たちは再びコミュニケーションを始めら
他の人たちに、自分には価値があり重要な存 れるようになっただけではなく、他の人とコ
在であると感じさせるのです。 ミュニケーションを取ることに関して、とても
価値のあることをいくつか学びました。私たち、
以下の話は、人はコミュニケートできるだけ生 他の人々の中で楽にいられる方法や、聞き上手
き生きとしているものであり、コミュニケー でいながら効果的に話をする方法、自分たちの
ションは普遍の解決策である、ということを証 問題や一般的な問題に対して逃れないで直面す
明しています。 る方法を学んだんです。その数時間で私たちが
学んだことは、一生私たちのものでしょう。」
■ ヨーロッパでは、ある母親が 16 歳になる自分
の娘とのコミュニケーションに大きな困難を抱え ■ 南アフリカ在住のあるボランティア看護婦
ていました。2 人の関係は、母親が娘の麻薬の使用 が、他の何人かと一緒にタクシーで移動してい
に気付いてから、一層緊張したものになりました。 ると、ひとりの猛り狂った男性が、ナイフを振
以下の話は、彼女たちが薬物使用中止のプログラ り回して乗客にお金を強要してきました。その
ムの一環として一緒に参加した、サイエントロ 時、彼女はこう自問しました。
「以前、出席した
ジーのコミュニケーション・コースについて、母 サイエントロジーの講習会で学んだデータで、
親がどうしても話したいと思っていたことです。 今使うことができるのはどんなデータだったか
しら」と。彼女はコミュニケーションについて
学んだことがあったのですが、自分がしなけれ
コ ミ ュ ニケーシ ョ ンの公式の ばならないことは、その男とこの状況に直面し
ト レーニングによ る向上
て、コミュニケーションの技能を使うこと以外
サイエン ト ロ ジーの
にはないと決心しました。そして彼女はその男
コ ミ ュ ニケーシ ョ ンの
ト レーニングを終えた に静かに話し掛け続けて、わずかばかりのお金
人々に、 コースから
得られた最も のために、後で悔やむようなことはしないよう
大き な向上を
19% に、と語り掛けたのです。このことがその犯罪
書いても ら う よ う に
人生において
44% よ り 起因に立て る
お願いし ま し た。 者に理解されて、彼はタクシー内の乗客全員に
コ ミ ュ ニケー ト する よ う になっ た
能力の大き な向上 お金を返しました。彼女は、サイエントロジー
人生に直面する
8% よ り 高い能力 の講習会で得たコミュニケーションの技能を
7% よ り 大き な理解 使って状況を解決できて、誇らしく思いました。

10% 7% 精神的な能力の向上
■ ひどく落ち込んでいたハワイ出身のある若い
5%
その他 よ り 大きい個人的な安定 男性が、まさに飛び降りるために高い建物を探し
ていたところでした。幸いにも、飛び降りるのに

50
十分な高さの建物が見付かる前に、彼はある友人 時のこと、突然、急ブレーキの切り裂くような
に、そんなことよりもサイエントロジーでコミュ 音とドスンという音を耳にしました。彼女たち
ニケーション・コースを始めるようにと勧められ が足早に事故現場へと向かうと、飲酒運転の車
ました。どうにか読み書きができる程度だったに に、ひとりの男性がはねられていました。ただ
もかかわらず、彼は思い切ってコースを行ったの コミュニケーションの公式と状況をコントロー
です。その彼がこう言っています。 ルする方法を知っていて、それを使っただけで、
数多くの混乱を解決することができた、と夫人
「僕は、打たれる方の釘でいたいと思う人間
は語ってくれました。
から、打つ方の金槌のような人間になったんだ。
それは完全に僕の人生を変えてくれたんだ ! 僕
「その男性が痛がっているのは明らかでした。
の友人も、僕に起きた奇跡的な変化を信じられ
私の夫はすぐにその男性にサイエントロジーの
なかったんだ。」
基本的な技術であるアシストを始め、私には、環
■ ロサンゼルス出身のある少女にとっては、10 代 境に秩序を取り戻すようにと言いました。そこ
の子供として成長していくことが、非常に困難な で私は、酔った運転手と他の 4 人の手に負えな
ことでした。自分が望むようには両親とコミュニ い酔っ払いの男たちを車から降ろして、彼らを
ケーションができなかったからです。彼女はこう 自分のコントロール下に置きました。その時ま
語っています。 でに 50 人近い人々が集まってしまい、私はコ
ミュニケーションについて学んだことを使っ
「私、両親のことを愛していました。でも、
て、彼らもコントロール下に置きました。警察
私のコミュニケーションが両親に通じないこ
が現れた時、実のところ、彼らがすべきことは
とがあったんです。私は、もちろん、このこと
もう何もなかったんです。私は警官のひとりに
で両親を責めましたよ。でも、コミュニケー
私たちがしたことを話しました。すると、私た
ションの公式や、2 方向のコミュニケーション
ちの一連のコミュニケーションを聞いていな
がどういうものかを学んだら、両親に話し掛け
かった別のもうひとりの警官が、私にロープの
ることなんてとても簡単なことだって気が付
外へ出るように言いました。すると、私と話を
いてとても驚きました。私たち、今ならほとん
した先ほどの警官が、
『彼女はいいんだ。彼女こ
ど何でも話し合うことができるし、お互いの間
そ俺たちの仕事をしてくれた人なんだから』と
に理解があります。以前はなかったんですよ。
その警官に言ってくれたんです。運転手は拘置
親子の間に愛情が生まれ、私、とてもその愛情
所に連行され、はねられた方の男性も病院へ向
を求めています。このことは私の人生にどれほ
かう途中にみるみる回復しました。私たちは警
ど大きな変化をもたらしたでしょう。ハバード
察署に連れられて、目撃者としての報告書を提
さん、どうもありがとう。」
出し、ニューヨーク市警に感謝されました。巡
■ ニューヨーク市では、L. ロン ハバードのコ 査部長は、もっと多くの人が私たちと同じこと
ミュニケーションの技術を学んだばかりのある ができるようになればいいのに、と話していま
女性が、ある晩、夫と一緒に家へと歩いていた した。これは、本当に効果があるんです ! 」

51
用語解説
Q&A : 「Question and Answer」の短縮形。それは、人の質問 る」という意味のラテン語 「scio」と、「言葉または外
に対する答えを得ないこと、何かを完了し損なうこと、ま に表れた形で、それによって内にある考えが表現され、
たは意図されている行動の進路からそれることを意味す また知られるようにされたもの」という意味のギリシャ
る。例 : 質問 : 「鳥は飛びますか ?」答え : 「鳥は好きでは 語 「logos」から来ている。したがってサイエントロジー
ありません。」質問 : 「どうしてですか ?」答え : 「だって とは、知ることについて知る、という意味である。
鳥は汚いから。」これが Q&A である。それは、もともと 親愛の情 : 愛情、好意、あるいはその他の感情的な受け止め
の質問に対して答えが得られないまま、その質問が途絶 方のこと。好意の程度のこと。親愛の情の基本的な定義
え、その質問をした人はそこからそれてしまっていると とは、良かれ悪しかれ距離に関する考えである。
いう状態。それていってしまっている人を、 「Q&A した」
ターミナル : コミュニケーションを受け取ったり、中継した
と言う。
TR : トレーニング・ルーティン (Training Routine) の省略形。 り、送ったりすることのできる人や点、あるいは位置の
こと。
この用語解説にある 「トレーニング・ルーティン」を参
照のこと。 ダイアネティックス : 「~を通って」という意味のギリシャ
アクションのサイクル : ある行動がなされていく順序。そ 語「dia」と、
「魂」を意味する 「nous」からきている。ダ
こでは、行動が開始され、必要なだけ続けられ、それか イアネティックスはL. ロン ハバードによって開発された
ら予定通りに完了される。 方法論であり、望ましくない不快な感覚や感情、いわれ
アクノレッジする : ( 誰かに ) アクノレッジメントを与えるこ のない恐れや心因性の病気といった軽い病気や慢性の病
気を軽減するのに役立つ。最も正確には 「魂が心を通し
と。この用語解説の「アクノレッジメント」も参照のこと。
て肉体に行っていること」と表現される。
アクノレッジメント : 相手が言ったことや行為が、注目さ
れ、理解され、受け止められたということを知らせるた
段階 : 何かに対して徐々に取り組む方法であり、それはス
めに、言ったり行ったりすること。 テップごと、またはレベルごとに取られる。そのステッ
プまたはレベルひとつひとつは楽に達成できるもので
ウィン : 望まれている向上が達成されること。ウィンの例と
ある。そして最終的にはかなり複雑で困難なことを、比
は、人がコミュニケーション能力を向上させたり、幸福
較的簡単に行うことができるようになる。この用語「段
感の高まりを経験したり、自分の人生のある特定の領域
階」は、このような取り組み方で取られる各ステップに
に対して確信が高まったりすることだろう。トレーニン
も当てはまる。
グ・ルーティンで、生徒がそのドリルを行うことができ、
そのドリルを行う技能と能力が安定した段階にまで達 直面する : ひるんだり避けたりすることなく何かに向かうこ
成した場合、大きくて安定したウィンと呼ぶ。それは、 と。直面する能力とは実際、心地良い状態でその場所に
著しい、長続きする向上のことである。この用語解説に いて、知覚する能力である。
ある「トレーニング・ルーティン」も参照のこと。 デュプリケーション : 何かを正確に複製する行為。
大きくて安定したウィン : この用語解説にある「ウィン」を
トレーニング・ルーティン : 人がコミュニケーション技能
参照のこと。
のレベルを向上させることができるようになるトレーニ
現実性 : そのように見えるもの。現実性は基本的には同意の ング・ドリル。これらのドリルを行うことによって、誰
ことである。人々が到達する同意の程度である。私たち でも他の人たちとコミュニケーションをとる能力を大き
が現実であると同意するものは現実である。 く向上させることができる。
現時点 : 今現在の時間のことで、観察されるのと同じ速さで
ドリル : ある人が技能を完璧なものにする目的で何度も何度
過去になってゆく時間。この用語は、概して今現在ある
もその手順を行う、学習やトレーニングの方法。
環境を意味する。
コミュニケーション :現実性とは、物質宇宙における知覚と ブルベイト : ドリルを行っている生徒がコーチに反応して注
データに対する同意である。私たちが現実として確信で 意をそらされるような、ある行動、言葉、フレーズ、癖、
きるのは、私たちが現実であると同意しているものだけ または主題を見付けるということ。 「ブルベイト」は特定
である。同意とは、現実性の本質である。 のトレーニング・ルーティンにてコーチが行う。 「ブルベ
イト (bullbait)」という言葉は、鎖で縛られた雄牛 (bull) に
コミュニケーション・ラグ : 質問を尋ねてから、質問された
犬をけしかけるという意味の「ベイティング (baiting)」と
人がその特定の質問に答えるまでの時間の長さ。
いうイギリスとスペインの娯楽に由来する。この用語解
サイエントロジー : L. ロン ハバードによって開発された応
説にある 「トレーニング・ルーティン」も参照のこと。
用宗教哲学。これは精神と、それ自身、いくつもの宇宙、
およびその他の生命との関係における研究および対処 ボタン : 個人の中に感応あるいは反応をもたらすアイテム、
のことである。「サイエントロジー」という言葉は「知 言葉、言い回し、主題または領域。

52
L. ロン ハバードに
ついて

この簡潔な声明以上に、L. ロン ハバードの人 なく、自分自身の健康をも取り戻すことができた


生を表すのにふさわしい言葉はありません。「私 のです。
は他の人たちを助けるのが好きです。そして、人 5 年間のさらなる集中的な調査の後、ロンの
生を日々曇らせていた影を人が取り払うのを見 数々の発見は『ダイアネティックス : 心の健康の
ることは、私の人生における至上の喜びであると
ための現代科学』として世に送り出されました。
考えています。」これらの極めて重要な言葉の背
『ダイアネティックス』は、人間の心について書
後には、人類に対する奉仕の生涯、また誰もの念 かれた初めての一般向けの手引書であり、人類に
願である幸福と精神的自由への夢をかなえるの とっては新たな希望の時代の先がけとなり、著者
を可能にした知恵という遺産が存在しています。 にとっては人生の新たな局面を開くきっかけと
1911 年 3 月 13 日ネブラスカ州ティルデンに生 なりました。しかし彼は、自分の調査をやめたり
まれ、人生の早い時期に、彼の発見の旅と人類へ はしませんでした。そして 1951 年の末、相次ぐ
の貢献が始まりました。19 歳になるまでに、彼は 新発見が慎重に集成され、応用宗教哲学サイエン
ジャワ、日本、インド、フィリピンの文化を調べ、 トロジーが誕生しました。
40 万キロ以上にわたる旅をしました。 サイエントロジーは生命全体を説明するもの
1929 年にアメリカに戻ったロンは、正式な教 であるため、それ以後の L. ロン ハバードの仕事で
育を再開し、数学、工学、そして当時では新しい は、人間の存在の側面すべてが取り扱われていま
分野であった核物理学を勉強しました。これらは す。アメリカ、イギリスのさまざまな土地に移り
すべて、継続中の調査に欠かせない道具を彼に与 住みながら彼が続けた調査は、教育水準の低下や
えるものでした。その調査の費用をつくるため、 蔓延する薬物の乱用といった社会の病に解決策
ロンは 1930 年代初期に文筆業を始め、まもなく を提示しました。
最も広く読まれる人気フィクション作家のひと サイエントロジーとダイアネティックスに関
りになりました。それでも彼は自分の最初の目標 する L. ロン ハバードの全著作は、総計 4 千万語に
を決して見失うことなく、さらに旅と探険を通じ も及ぶ講演テープ、書籍、文書に収められていま
て、自分にとって主となる調査を続けたのです。 す。そしてこれらすべてが、1986 年 1 月 24 日に生
第二次世界大戦の勃発とともに彼は中尉とし 涯を閉じた彼の遺産となっているのです。とはい
て米国海軍に入隊し、対潜水艦用コルベット艦の え、L. ロン ハバードの死は決して終わりを意味す
指揮官を務めました。戦闘中の負傷がもとで視覚 るものではありませんでした。なぜなら、現在も
と足に部分的な障害が残り、1945 年には身体障害 1 億冊以上の彼の著書が出回っており、何百万も
が一生残ると診断されました。しかしながら、心 の人々が向上すべく毎日彼の技術を適用してい
に関する彼の理論を適用することによって、彼は るからです。まさに、ロンは私たちの最も素晴ら
仲間の兵士たちを助けることができたばかりで しい友人であると言えるでしょう。■
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クス、Celebrity Centre、L. Ron Hubbard、L. ロン ハバード、
Flag、フラッグ、Freewinds、L. ロン ハバードのサイン、
先の尖ったサイエントロジーの十字架および先の丸いサイ
エントロジーの十字架は Religious Technology Center が
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54 使用にあたってはその許可が必要です。

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