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とくてい ぎ のう ごう

特定技能1号

いんしょくりょうひんせいぞうぎょう ぎ のうそくてい し けん
飲 食 料 品製造 業 技能測定試験

がくしゅうよう
学 習 用テキスト
しょはん ねん がつ
初版(2019年9月)

いっぱんざいだんほうじんしょくひんさんぎょう
一般財団法人 食 品産 業 センター
<はじめに>

いんしょくりょうひんせいぞうぎょう ぎ のうそくてい し けんがくしゅうよう とくてい


飲 食 料 品製造 業 技能測定試験学 習 用テキストは、特定
ぎ のう ごう いんしょくりょうひんせいぞうぎょう しょくひんこうじょう はたら
技能1号として飲 食 料 品製造 業 ( 食 品工 場 など)で 働
ひつよう き ほんてき ち しき ぎ のう しょうかい
くために必要となる基本的な知識と技能を 紹 介するもので
つか に ほん ご
す。また、このテキストで使われている日本語についても、
いんしょくりょうひんせいぞうぎょうぶん や しょくひんこうじょう はたら ひつ
飲 食 料 品製造 業 分野( 食 品工 場 など)で 働 くうえで必
よう き ほんてき
要となる基本的なものです。
いんしょくりょうひん いんりょう しょくりょうひん
※飲 食 料 品とは飲 料 と 食 料 品のことです。

ぎょう む ひつよう き ほんてき ち しき


このテキストでは、 業 務に必要とされる基本的な知識と
ぎ のう しょうかい ないよう じっさい はたら
技能などを 紹 介していますが、内容によっては実際に 働 く
きん む さき ちが ば あい き ほんてき かんが
勤務先のルールなどと違う場合があります。基本的な 考 え
かた きん む さき ちが
方は同じでも、勤務先によってやり方が違うことがあります。
ば あい きん む さき したが
その場合は、勤務先のルールに 従 ってください。

p. 2
もく じ
<目次>

だい しょう しょくひんあんぜん ひんしつかん り き ほんてき ち しき


第1 章 食 品安全、品質管理の基本的な知識
しょくひんあんぜん たいせつ
1. 食 品安全はなぜ大切か
あんぜん しょくひん ていきょう ぜんたいぞう
2.安全な 食 品を提 供 するための全体像
しょくちゅうどく かん き そ ち しき
3. 食 中 毒に関する基礎知識
しょくちゅうどくぼう し げんそく
4. 食 中 毒防止の3原則
しょくちゅうどく お び せいぶつ ぞうしょく よう そ
5. 食 中 毒を起こす微生物が増 殖 する3つの要素
おん ど
(1)温度
すいぶん
(2)水分
えいようぶん
(3)栄養分
び せいぶつ ぞうしょく おん ど じ かん かん り
6.微生物を増 殖 させないための温度と時間の管理
び せいぶつ ぞうしょく おん ど じ かん かんけい
(1)微生物の増 殖 には温度と時間が関係
もんだい
(2)カビの問題
しょくひん せいぞう おん ど じ かん かん り たいせつ
(3) 食 品の製造では温度と時間の管理が大切

だい しょう いっぱんえいせいかん り き そ ち しき
第2 章 一般衛生管理の基礎知識
さ ぎょうじょう はい まえ おこな
1.作 業 場 に入る前に 行 うこと
p. 3
けんこうかん り えいせいかん り
(1)健康管理と衛生管理
さ ぎょうふく ちゃくよう
(2)作 業 服の 着 用について
ねんちゃく て あら
(3)粘 着 ローラー、エアーシャワー、手洗い、
さ ぎょうくつ あつか
作 業 靴の 扱 いなど
さ ぎょうまえ おこな
2.作 業 前に 行 うこと
さ ぎょうないよう かくにん
(1)作 業 内容の確認
き かい そう ち き ぐ し ようまえ かくにん
(2)機械、装置、器具の使用前の確認
き かい そう ち き ぐ せんじょう さっきん
(3)機械、装置、器具の洗 浄 と殺菌
さ ぎょうちゅう ちゅう い じ こう
3.作 業 中 の 注 意事項
いっぱんてき ちゅう い じ こう
(1)一般的な 注 意事項
き かいそう さ かん ちゅう い じ こう
(2)機械操作に関する 注 意事項
さ ぎょうちゅう えいせいじょう ちゅう い じ こう
(3)作 業 中 の衛生 上 の 注 意事項
さ ぎょうちゅう せいひん とりあつか じょう ちゅう い じ こう
(4)作 業 中 の製品の取 扱 い 上 の 注 意事項
さ ぎょう ご
4.作 業 後に行うこと
かつどう と く
5.5S活動の取り組み
い ぶつこんにゅう もんだい かん り
6.異物混 入 の問題と管理

p. 4
だい しょう せいぞうこうていかん り き そ ち しき
第3 章 製造工程管理の基礎知識
げんざいりょう かん り
1.原材 料 の管理
げんざいりょうかん り き ほんてき かんが かた
(1)原材 料 管理の基本的な 考 え方
げんざいりょう うけ い けん さ
(2)原材 料 の受入れ検査
せいぞうこうてい かん り ちゅう い じ こう
2.製造工程の管理と 注 意事項
げんざいりょう し かかりひん ちゅうかんせいひん ほ かん
(1)原材 料 ・仕 掛 品( 中 間製品)の保管
か ねつこうてい
(2)加熱工程
れいきゃくこうてい
(3)冷 却 工程
とうけつこうてい
(4)凍結工程
ほうそうこうてい
(5)包装工程
せいひん かん り
3.製品の管理
せいひん び せいぶつけん さ
(1)製品の微生物検査
せいひん ほ かんかん り ちゅう い じ こう
(2)製品を保管管理するときの 注 意事項
ほ かん かん り ちゅう い じ こう
(3)保管サンプルを管理するときの 注 意事項
ゆ そう じ おん ど かん り ちゅう い じ こう
(4)輸送時の温度を管理するときの 注 意事項
しょくひん かん り
4.アレルギー 食 品の管理
かん り たいしょう ぶっしつ
(1)管理の対 象 となるアレルギー物質
こう さ お せん ぼう し
(2)交差汚染の防止
p. 5
やくざい かん り
5.薬剤の管理
やくざいせんよう ほ かん ば しょ つく
(1)薬剤専用の保管場所を作る
やくざい にゅうしゅっ こ だいちょう き ろく
(2)薬剤の 入 出 庫台 帳 に記録する
よう き やくざいめい か
(3)容器に薬剤名などを書く

だい しょう せいぞうこうてい えいせいかん り かん ち しき


第4 章 HACCP による製造工程の衛生管理に関する知識

1.HACCP とは?
き がいよういん し
2.危害要因を知る
げんそく
3.HACCP の7つの原則
せいぞうげん ば まか じゅうよう
4.製造現場に任されている 重 要なこと
じゅうようかん り てん し
(1)どこが 重 要管理点かを知る
かん り き じゅん せってい ち し
(2)管理基 準 の設定値を知る
じゅうようかん り てん かん し
(3) 重 要管理点を監視(モニタリング)する
けっ か き ろく ほ かん
(4)モニタリング結果を記録し、保管する

だい しょう ろうどうあんぜんえいせい かん ち しき
第5 章 労働安全衛生に関する知識
さ ぎょうじょう さまざま き けん
1.作 業 場 には、様々な危険がある
き けん い しき
2.
「かもしれない」で危険を意識する
p. 6
あんぜん さ ぎょう ただ ふくそう
3.安全な作 業 は正しい服装から
き さ ぎょう て じゅん
4.決められた作 業 手 順 を守る
あんぜん たか
5.5S活動をしっかりやり安全を高める
あんぜん さ ぎょう じっ し さ ぎょうじょう あんぜん
6.安全な作 業 をみんなで実施し作 業 場 を安全に
い じょう じ たい ろうどうさいがい はっせい
7.もし異 常 事態や労働災害が発生したら!

p. 7
だい しょう しょくひんあんぜん ひんしつかん り き ほんてき ち しき
第1 章 食 品安全、品質管理の基本的な知識

p. 8
しょくひんあんぜん たいせつ
1. 食 品安全はなぜ大切か

しょくひんこうじょう しょう ひ しゃ あんしん た


 食 品工 場 は 消 費者 が安心 して、おいしく食 べられ
しょくひん つく
る 食 品を作らなければなりません。
しょう ひ しゃ あんぜん あんしん しょくひん もと
 消 費者は安全で安心できる 食 品を求めています。
あんしん た しょくひん しょう ひ しゃ けんこう まも
 安心して食べられる 食 品とは、 消 費者の健康を守る
あんぜん かく ほ しょくひん
ために安全が確保された 食 品のことです。
た しょくひん か
 もちろん、おいしく食べられる 食 品でなければ買っ

てもらえません。

p. 9
あんぜん しょくひん つく た ひと びょう き
安全でない 食 品を作ると、それを食べた人が 病 気になる
しょう ひ しゃ ふ あん しょくひん たい ふ しんかん
などにより、消 費者が不安になり、食 品に対する不信感を
たか けっ か しゃかいぜんたい おお えいきょう あた
高めます。結果として社会全体に大きな影 響 を与えること
しょうひん う
になります。それだけではなく、その 商 品が売れなくなり、
かいしゃ しんよう じ ぶん しょく ば えいきょう およ
会社の信用がなくなり、自分たちの 職 場にも影 響 が及びま

す。

p. 10
あんぜん しょくひん ていきょう ぜんたいぞう
2.安全な 食 品を提 供 するための全体像

しょう ひ しゃ あんぜん しょくひん ていきょう あんぜん げんざい


消 費者に安全な 食 品を提 供 するためには、安全な原材
りょう せいぞうかんきょう しょくひん えいせいてきとりあつか じょうけん
料 ・きれいな製造環 境 ・ 食 品の衛生的取 扱 いの3 条 件
く あ ひつよう
がピラミッドのように組み合わさっていることが必要です。
じゅうよう ず げんざいりょう うけいれ いっぱんてき
重 要なことは、図のように原材 料 の受入から、一般的な
えいせいかん り かん り く あ せいぞう
衛生管理、HACCP管理を組み合わせて製造することです。

あんぜん しょくひん ていきょう ぜんたいぞう


<安全な 食 品を提 供 するための全体像>

p. 11
しょくちゅうどく かん き そ ち しき
3. 食 中 毒に関する基礎知識

しょくちゅうどく ゆうがい び せいぶつ か がくぶっしつ ふく いんしょくぶつ


食 中 毒は、有害な微生物や化学物質などを含む飲 食 物
た けんこうしょうがい お
を食べたために健康 障 害を起こすことです。
た す の す いた げ り
食べ過ぎや飲み過ぎでおなかが痛くなったり、下痢になる
しょくちゅうどく い
こともありますが、これは 食 中 毒とは言いません。

しょくちゅうどく げんいん ぶっしつ


(1) 食 中 毒の原因となる物質
しょくちゅうどく げんいん ぶっしつ さいきん び せい
食 中 毒の原因となる物質は、細菌やウイルスなどの微生
ぶつ か がくぶっしつ
物や、化学物質などがあります。
しょくちゅうどく げんいん おお さいきん
ここでは、食 中 毒の原因になることの多い細菌とウイル
しょうかい
スについて 紹 介します。

しょくちゅうどく ぶんるい
(2) 食 中 毒の分類
び せいぶつ ひ お しょくちゅうどく さいきん
微生物 によって引 き起 こされる 食 中 毒 は、細菌 による
しょくちゅうどく しょくちゅうどく ぶんるい
食 中 毒とウイルスによる 食 中 毒に分類されます。
さいきん しょくちゅうどく かんせんがたしょくちゅうどく どく
このうち細菌による 食 中 毒は、
「感染型 食 中 毒」と「毒
そ がたしょくちゅうどく しゅるい わ
素型 食 中 毒」の2種類に分けられます。
p. 12
かんせんがたしょくちゅうどく た しょくひん さいきん
「感染型 食 中 毒」は、食べた 食 品についていた細菌が
なか ふ さいぼう は かい どく そ つく
ヒトのおなかの中で増え、細胞を破壊したり、毒素を作って
けんこうしょうがい お ちょうかんしゅっけつせいだいちょうきん
健康 障 害を起こすものです。腸 管 出 血性大 腸 菌、サルモ
ぞくきん ぞくきん ちょうえん よ
ネラ属菌、カンピロバクター属菌や 腸 炎ビブリオと呼ばれ
さいきん だいひょうれい
る細菌が代 表 例です。

どく そ がたしょくちゅうどく しょくひん なか さいきん ふ どく そ


「毒素型 食 中 毒」は、 食 品の中で細菌が増えて毒素を
つく しょくひん た けんこうしょうがい お おう
作り、その 食 品を食べて、健康 障 害を起こすものです。黄
しょく きゅうきん きん きん きん
色 ブドウ 球 菌、ボツリヌス菌、ウエルシュ菌、セレウス菌
よ さいきん だいひょうれい
と呼ばれる細菌が代 表 例です。

しょくちゅうどく ば あい おお げんいん
「ウイルス」による 食 中 毒の場合は、その多くの原因と
か き に まいがい そんざい
なっているのがノロウイルスです。牡蠣などの二枚貝に存在
おも てゆび しょくひんとう つう かんせん つよ かん
し、主にヒトの手指や 食 品等を通じて感染します。強い感
せんりょく しゅうだんかんせん お とくちょう
染 力 があるため、集 団感染が起こりやすいのが特 徴 です。

p. 13
しょくちゅうどく ひ お おも さいきん
食 中 毒を引き起こす主な細菌とウイルス

ぶんるい さいきん げんいん おも しょうじょう おも よ ぼうたいさく


分類 細菌ま 原因になりや 主な 症 状 主な予防対策
しょくひん
たはウ すい 食 品
イルス
めい

かんせんがた ちょうかん や さい はげ げ り しょくざい ちゅうしん ぶ
感染型 腸管 野菜 激しい下痢 食 材は、 中 心部まで
しょく しゅっけつせい しょくにく ぎゅう けつべん じゅうぶん か ねつ
の食 出 血性 食 肉( 牛 血便 十 分に加熱します。
ちゅうどく だいちょうきん にく ふくつう い じょう ぷん い じょう
中毒 大腸菌 肉) 腹痛 75℃以 上 、1分以 上
い ど みず か ねつ
(O157 な 井戸水 加熱します。
ど) など ちょう り き ぐ せんじょう
調 理器具などを洗 浄
します。
や さい げ り しょくざい ちゅうしん ぶ
サルモ 野菜 下痢 食 材は、 中 心部まで
ぞく
しょくにく とりにく ふくつう じゅうぶん か ねつ
ネラ属 食 肉(鶏肉) 腹痛 十 分に加熱します。
きん
けいらん はつねつ い じょう ぷん い
菌 鶏卵 発熱 75℃以 上 、1分以
じょう か ねつ
など 上 加熱します。
ちょう り き ぐ せんじょう
調 理器具などを洗 浄
します
しょくにく とり げ り しょくざい ちゅうしん ぶ
カンピ 食 肉(鶏 下痢 食 材は、 中 心部まで
ロバク にく ふくつう じゅうぶん か ねつ

ター 肉) 腹痛 十 分に加熱します。
はつねつ い じょう ぷん い
ぞくきん
属菌 発熱 75℃以 上 、1分以
じょう か ねつ
上 加熱します。
ちょう り き ぐ せんじょう
調 理器具などを洗 浄
します
ちょうえん かいすい ぎょかいるい はげ げ り しょくざい ちゅうしん ぶ
腸 炎ビ 海水の魚介類 激しい下痢 食 材は、 中 心部まで
さし み ふくつう じゅうぶん か ねつ
ブリオ 刺身 腹痛 十 分に加熱します。
す し い じょう ぷん い
寿司 75℃以 上 、1分以
じょう か ねつ
など 上 加熱します。
ぎょかいるい ま みず せん
魚介類は真水でよく洗
じょう たいせつ
浄 することが大切で
す。

p. 14
どく そ がた おうしょく きず ひと は け か ねつ きん つく
毒素型 黄色ブ 傷のある人の 吐き気 加熱しても菌が作った
しょく きゅう て ちょう り と どく そ ぶんかい
の食 ドウ 球 手で 調 理さ おう吐 毒素は分解しません。
ちゅうどく きん ふくつう しょくざい ていおん じょうたい
中毒 菌 れたもの 腹痛 食 材を低温の 状 態に
たも どく そ つく

おにぎり 保ち、毒素を作らせな
す し いようにします。
寿司 て ゆび きず ひと
べんとう 手や指に傷のある人は
弁当 ちょう り

など 調 理しないようにしま
す。
かんづめ は け さいきん ねつ つよ が ほう
ボツリ 缶詰 吐き気 細菌は熱に強い芽胞
きん
づめ と じょうたい
ヌス菌 びん詰 おう吐 (※)の 状 態になりま
しんくう こ きゅうこんなん
真空パック 呼 吸 困難 す。
かんづめ しんくう しょくひん
しょくひん
食品 など 缶詰や真空パック 食 品
し ば あい い じょう ふん
など 死ぬ場合も などは 120℃以 上 、4分
い じょう じゅうぶん か ねつちょう り
あります。 以 上 で 十 分加熱 調 理
します。
にくるい や さいるい ふくつう さいきん ねつ つよ が ほう
ウエル 肉類や野菜類 腹痛 細菌は熱に強い芽胞の
きん
つか たい げ り じょうたい
シュ菌 を使って大 下痢 状 態になります。
りょう ちょう り じ かん か
量 に 調 理、 100℃で1~6時間の加
ほ ぞん ねつ が ほう い のこ
保存された 熱でも芽胞は生き残り
しょくひん
食品 ます。
ちょう り た
調 理したらすぐに食べ
に もの
煮物 るようにします。
ちょう り ご はや
カレー または、 調 理後に早く
い か れいきゃく ほ
など 20℃以下に冷 却 し、保
ぞん ひつよう
存することなどが必要
です。

p. 15
こめ こ むぎ は け さいきん ねつ つよ が ほう
セレウ 米や小麦など 吐き気 細菌は熱に強い芽胞の
きん
つか ちょう と じょうたい
ス菌 を使って 調 おう吐 状 態になります。
り しょく お じ かん か ねつ
理された 食 を起こすも 90℃、1時間の加熱で
ひん が ほう い のこ
品 の も芽胞は生き残りま
げ り
す。
べんとう ちょう り た
弁当 下痢 調 理したらすぐに食べ
ふくつう
ちゃーはん
炒飯 腹痛 るようにします。
お ちょう り ご はや
ピラフ を起こすも または、 調 理後は早く
ていおん れいきゃく ほ ぞん
パスタ の 低温に冷 却 し、保存す
など ひつよう
ることなどが必要で
す。

か き に げ り しょうりょう ちょう
ウイル ノロウ 牡蠣などの二 下痢、おう 少 量 のウイルスで 調
スによ イルス まいがい そんざい と ふくつう り つう かんせん
しょく 枚貝に存在し 吐、腹痛や 理などを通じ感染しま
る食 ます。 はつねつ お
す。
ちゅうどく 発熱を起こ げ り ひと しょくひん
中毒 します。 下痢のある人は 食 品を
か き た
あつか
牡蠣などを食 扱 わないようにしま
かんせん
べて感染した す。
ひと ちょう り て あら てってい ちょう り
人が 調 理し 手洗いを徹底し、 調 理
しょくひん みず き ぐ せんじょう さっ
た 食 品や水 器具をなどの洗 浄 と殺
かんせん きん おこな
から感染しま 菌を 行 います。
しょくざい ちゅうしん ぶ
す。 食 材は、 中 心部まで
じゅうぶん か ねつ
かんせんりょく つよ 十 分に加熱します。
感染 力 が強 い じょう
しゅうだんかんせん 85℃~90℃以 上 、
く 集 団感染 びょう い じょう か ねつ

します。 90 秒 以 上 加熱しま
す。

が ほう いち ぶ さいきん せいいく かんきょう つく から かぶ


(※)芽胞とは、一部の細菌が生育しにくい環 境 になったときに作る殻を被っ

たね ねつ かんそう た せいいく かんきょう


た種のようなものです。熱や乾燥などに耐えます。生育しやすい環 境 に

つうじょう じょうたい もど つうじょう じょうたい ねつ し


なると通 常 の 状 態に戻ります。通 常 の 状 態では熱で死にます。

p. 16
しょくちゅうどくぼう し げんそく
4. 食 中 毒防止の3原則

つけない
せいけつ び せいぶつ お せん
これは清潔なものに微生物をつけない、汚染させないとい

うことです。
じ ぶん じ しん けんこうかん り えいせいかん り せいけつ
自分自身で健康管理と衛生管理をして清潔にしていれば、
むずか
難 しいことではありません。
て あら てってい
⚫ 手洗いを徹底します。
し よう き ぐ そう ち き かい つね せいけつ
⚫ 使用器具、装置、機械などを常に清潔にしておくことが
ひつよう
必要です。
さ ぎょうじょう つね せいけつ たも ひつよう
⚫ 作 業 場 を常に清潔に保つことが必要です。
さ ぎょうじょう そと さいきん も
⚫ 作 業 場 には外から細菌を持ちこまないようにします。
ば あい かなら しょく ば せきにんしゃ
⚫ おなかをこわした場合には、 必 ずすぐに 職 場の責任者
ほうこく さいきん しょくちゅうどく き
に報告します。細菌やノロウイルスによる 食 中 毒の危
けんせい
険性があります。
か ねつまえ しょくひん か ねつ あと しょくひん せっしょく
⚫ 加熱前 の 食 品 と加熱 した後 の 食 品 を接 触 させないよ
く べつ
うに区別します。

p. 17

増やさない
び せいぶつ おん ど すいぶん えいようぶん そんざい ぞうしょく
微生物は温度、水分、栄養分の存在などによって増 殖 し
ぞうしょく ふせ じゅうよう れいとう れいぞう び せい
ます。この増 殖 を防ぐことが 重 要です。冷凍、冷蔵で微生
ぶつ ぞうしょく おさ
物の増 殖 を抑えることができます。
しょくひん てきせつ おん ど ほ かん
⚫ 食 品は適切な温度で保管します。
か ねつ しょくひん はや れいきゃく
⚫ 加熱した 食 品はできるだけ速く冷 却 します。
れいぞう こ れいとう こ てきせつ おん ど かん り
⚫ 冷蔵庫、冷凍庫は適切な温度で管理します。
せいぞう し よう き ぐ そう ち き かい よご お
⚫ 製造に使用した器具、装置、機械などは、汚れを落として、
かわ
よく乾かします。

ころ
殺す(やっつける)
び せいぶつ ころ もっと こう か しょくちゅうどく よ ぼう ほうほう
微生物を殺すことは 最 も効果がある 食 中 毒予防の方法

です。
さっきんほうほう さっきんざい かん ただ ち しき み てきせつ
⚫ 殺菌方法、殺菌剤に関して正しい知識を身につけて、適切
さっきん おこな
な殺菌を 行 います。
しょくひん か ねつ さっきん てきせつ おん ど じ かん おこな
⚫ 食 品を加熱して殺菌するときは適切な温度と時間で 行

います。

p. 18
しょくちゅうどく お び せいぶつ ぞうしょく よう そ
5. 食 中 毒を起こす微生物が増 殖 する3つの要素

おん ど
(1)温度
いっぱんてき び せいぶつ きゅうそく ぞうしょく
⚫ 一般的な微生物は 30℃~40℃で 急 速に増 殖 します。
い か い じょう ぞうしょく
⚫ 4℃以下、60℃以 上 ではほとんど増 殖 しません。
しょくひん か ねつ さっきん
⚫ 食 品を加熱することで殺菌できます。

すいぶん
(2)水分
び せいぶつ すいぶん ぞうしょく
⚫ 微生物は水分がなくては増 殖 できません。
せいぞう し よう き ぐ そう ち き かい あら えいようぶん
⚫ 製造に使用した器具、装置、機械などはよく洗って栄養分
よご れ お かんそう ひつよう
になる汚れを落として、乾燥しておく必要があります。

えいようぶん
(3)栄養分
び せいぶつ ぞうしょく えいようぶん ひつよう しょくひん び せい
⚫ 微生物が増 殖 するには栄養分が必要です。 食 品は微生
ぶつ えいようげん とく すいぶん おお えいよう すい
物の栄養源です。特に水分が多く、栄養バランスのよい水
さんぶつ ぞうしょく
産物では増 殖 しやすいです。
せいぞう し よう き ぐ そう ち き かい あら えいよう
⚫ 製造に使用した器具、装置、機械などはよく洗って、栄養
ぶん よご お ひつよう
分になる汚れを落とす必要があります。
p. 19
び せいぶつ ぞうしょく おん ど じ かん かん り
6.微生物を増 殖 させないための温度と時間の管理

び せいぶつ ぞうしょく おん ど じ かん かんけい


(1)微生物の増 殖 には温度と時間が関係
おお び せいぶつ い じょう ぞうしょく
⚫ 多くの微生物は 60℃以 上 で増 殖 をしにくくなります。
かんぜん ころ ひつよう か ねつ じ かん おん ど
しかし、完全に殺すために必要な加熱時間と温度は、そ
び せいぶつ こと か ねつ じ かん び せいぶつ
れぞれの微生物で異なります。加熱時間などは微生物を
かんぜん ころ せってい したが か ねつおん ど
完全に殺すために設定されています。 従 って加熱温度
ひく か ねつ じ かん みじか び せいぶつ
が低かったり、加熱時間が 短 かったりすると、微生物が
のこ か ねつ さっきん とき
残っていることがあります。加熱して殺菌をする時は、
き おん ど じ かん かなら かくにん
決められた温度と時間を 必 ず確認します。

おん ど あいだ
び せいぶつ ぞうしょくきょくせん
⚫ 温度 が 10℃~60℃の 間 微生物の 増 殖 曲 線
び せいぶつ ぞうしょく
では、微生物は増 殖 しますが、
もっと ぞうしょく はや
最 も増 殖 が速 いのは 30℃か
あいだ
ら 40℃の 間 です。 このため、
か ねつ しょくひん しつおん なが ほう
加熱 した 食 品 を室温 で長 く放
ち おん ど さ
置して、温度をゆっくり下げる
あいだ び せいぶつ ぞうしょく か のうせい か ねつ
と、その 間 に微生物は増 殖 する可能性があります。加熱し
p. 20
しょくひん れいきゃく はや おこな じゅうよう
た 食 品の冷 却 は、できるだけ速く 行 うことが 重 要です。
い か おお び せいぶつ ぞうしょく
⚫ 4℃以下では多くの微生物は増 殖 しにくくなりますが、
し めつ れいぞう こ ほ ぞん
死滅することはありません。したがって冷蔵庫に保存し
しょくひん そと だ なが ほう ち び せいぶつ ぞうしょく
た 食 品を外に出して、長く放置すると微生物が増 殖 し
はじ れいぞう こ おん ど かん り だい じ れいぞう こ
始めます。また冷蔵庫の温度管理も大事です。冷蔵庫の
なが あ
ドアを長く開けたりしないようにします。

び せいぶつ ぞうしょく つぎ ず しめ いってい


⚫ 微生物の増 殖 は、次の図で示されるように、ある一定の
じ かん ばい せ だいこうたい じ かん
時間で倍になります。これを世代交代時間とよびます。
おな じ かん ばい び せいぶつ かず ばい ばい
その同じ時間でさらに倍になり、微生物の数は倍、倍と
きゅうげき ふ び せいぶつ
急 激に増えていきます。微生物をコントロールするた
じ かん ひつよう
めには時間 もコントロールする必要 があることがわか

ります。
せ だいこうたい じ かん
世代交代時間

さいしょ ふん ご ふん ご
最初 20分後 40分後

p. 21
もんだい
(2)カビの問題
び せいぶつ なか どく つく しゅるい
カビも微生物です。カビの中にはカビ毒を作る種類もある
はっせい おさ じゅうよう
ので、発生を抑えることが 重 要です。
まめ こくるい や さい くだもの お せん
豆、穀類、野菜、果物などがカビに汚染されやすいので、
ほ ぞん き げんざいりょう つか
保存に気をつけましょう。これらを原材 料 として使うとき
じゅうぶん あら つか
は、 十 分に洗って使うようにしましょう。カビはほとんど
そんざい かんぜん
のところに存在します。これを完全になくすことはできませ
しょくひん ていおん ほ ぞん ぞうしょく ふせ
ん。食 品はできるだけ低温で保存し、カビの増 殖 を防ぎま

しょう。

しょくひん せいぞう おん ど じ かん かん り たいせつ


(3) 食 品の製造では温度と時間の管理が大切
しょくひん せいぞう き おん ど じ かん まも
食 品の製造では、決められた温度と時間が守られている
て じゅんどお かんさつ き ろく じゅうよう
かどうかを、手 順 通りに観察し、記録することが 重 要です。
き おん ど じ かん まも
もし、決められた温度と時間が守られていないときには、
せきにんしゃ ただ ほうこく せいぞう ちゅう し ひつよう
責任者に直ちに報告し、製造を 中 止することが必要です。
せいひん ふ てきごうひん じょがい せきにんしゃ し じ したが
その製品は不適合品として除外し、責任者の指示に 従 って
しょ り ひつよう
処理する必要があります。
ただ おん ど じ かん かくにん
そして正しい温度と時間になっているか確認します。
p. 22
だい しょう いっぱんえいせいかん り き そ ち しき
第2 章 一般衛生管理の基礎知識

p. 23
さ ぎょうじょう はい まえ おこな
1.作 業 場 に入る前に 行 うこと

けんこうかん り えいせいかん り
(1)健康管理と衛生管理
こ じん けんこうかん り おこな
⚫ 個人で健康管理をしっかり 行 います。
たいちょう わる
・ 体 調 が悪 かったり、おなかをこわした
か ぜ ひ とき かなら じ ぶん
り、風邪を引いている時は、 必 ず自分の
しょく ば せきにんしゃ ほうこく し じ したが
職 場の責任者に報告し、指示に 従 いま

す。
こ じん えいせいかん り おこな
⚫ 個人で衛生管理をしっかり 行 います。
て ば あい かなら じ
・ 手 などにケガをしている場合 も、 必 ず自
ぶん しょく ば せきにんしゃ ほうこく し じ したが
分の 職 場の責任者に報告し、指示に 従 い

ます。
からだ せいけつ き つ つめ の
・ 体 の清潔に気を付け、爪などを伸ばさないようにします。
し ぶつ も
⚫ 私物の持ちこみはしないようにします。
と けい ほうせきるい そうしょくひん からだ
・ 時計、宝石類、装 飾 品などは 体 からはずし、ロッカーに
ほ かん いえ お
保管しておきます。これらはできるだけ家に置いてくる

ようにします。

p. 24
さ ぎょうふく ちゃくよう
(2)作 業 服の 着 用について
さ ぎょうふく ただ ちゃくよう
⚫ 作 業 服は正しく 着 用します。
さ ぎょうふく せいけつ
 作 業 服 は い つ も 清潔 な
もの き
物を着ます。
よご さ ぎょう
 ロッカーで汚 れた作 業
ふく さ ぎょうふく
服 ときれいな作 業 服 が

くっつかないようにしま

す。
よご さ ぎょうふく き
 汚 れた作 業 服 は決 めら
ば しょ お せんたく
れた場所に置いて洗濯に

出します。
ぼう し き どお ちゃくよう
 帽子、マスクは決まり通りに 着 用します。
せんぱつ ていきてき おこな か いち ど め やす
 洗髪は定期的に 行 います。2日に一度が目安です。
ぼう し せいけつ ただ つか
 帽子は清潔なものを正しく使います。
こうすい し よう
 香水は使用しません。
かみ ぼう し だ うちがわ し よう
 髪が帽子からはみ出していません。ネットを内側に使用

します。

 マスクをつけます。

p. 25
そうしょくひん み
 イアリング、ネックレスなどの装 飾 品は身につけません。
なが かみ
 長めの髪はたばねます。
さ ぎょうふく ちゃくよう
 作 業 服はポケット、ボタンのないものを 着 用します。
さ ぎょうふく した な ちゃくよう
 作 業 服の下にTシャツなどボタンの無いものを 着 用し

ます。
さ ぎょうふく せいけつ ちゃくよう
 作 業 服は清潔なものを 着 用します。
と けい ゆび わ
 時計、マニキュア、指輪などをつけません。
さ ぎょうふく そで しぼ し よう
 作 業 服の袖はゴムなどで絞りがあるものを使用します。
つめ みじか き
 爪は 短 く切ります。
せいけつ
 清潔なはきものをはきます。

p. 26
さ ぎょうふく ただ き かた
⚫ 作 業 服の正しい着方
さ ぎょうじょう はい まえ さ ぎょうふく き もう
作 業 場 に入る前に作 業 服を着るときは、できるだけ毛
はつ しょくひん ま き つぎ
髪が 食 品に混ざらないように気をつけるようにします。次
しめ ほうほう いっぱんてき き かた かがみ み かくにん
に示す方法が一般的な着方です。鏡 を見てよく確認します。

かみ け
ぼうし
髪の毛をよくブラッシングし ヘアーネットを かぶ 帽子 を きち んと かぶ り
ておきます。 ります。 ます。

つ とき ちゅういてん
ヘアーネットを着ける時の注意点

さぎょうふく き さいご ふくそう ただ もうはつ


作業服を着ます。ボタ 最後 に 服装 が 正 しい 毛髪 がはみでてい
かくにん
ン、ジッパーはきちん かどうか確認します。
と るのはダメ
と留めます。

p. 27
ねんちゃく て あら い さ ぎょうぐつ あつか
(3)粘 着 ローラー、エアーシャワー、手洗い、作 業 靴の 扱

いなど

ねんちゃく
≪粘 着 ローラー≫ ≪エアーシャワー≫

かみ け ねんちゃく
髪の毛やほこりなどを粘 着 ローラーやエアーシャワーで
お さ ぎょうじょう はい
落として作 業 場 に入ります。

p. 28
て あら
≪手洗い≫

せん ざい つめ なか

みず よご じゅうぶん お
洗剤をつけしわ、爪の中まで
水で汚れを 十 分に落とす ねん い
念入りに洗う
あら

しょうどくえき
つか す
みず じゅうぶん あら
使い捨てペーパーか 消 毒液をすりこみ
水 で 十 分 に洗 い ふ と
なが
流す エアータオルで拭き取る しょうどく
消 毒する

p. 29
さ ぎょうぐつ あつか い
≪作 業 靴の 扱 い≫
さ ぎょうじょう はい まえ つうきんぐつ さ ぎょう
 作 業 場 に入 る前 に通勤靴 から作 業
ぐつ は か
靴に履き替えます。
さ ぎょうぐつ つね せいけつ
 作 業 靴は常に清潔にしておきます。
さ ぎょうぐつ お せん く ひ お せん く はい
 作 業 靴 は汚染区 から非汚染区 に入 る
とき かなら き しょうどくえき つか
時には 必 ず、決められた 消 毒液を使
せんじょうそう ち しょうどく
った洗 浄 装置で 消 毒します。

さ ぎょうまえ おこな
2.作 業 前に 行 うこと

さ ぎょうないよう かくにん
(1)作 業 内容の確認
じ ぶん たんとう ば しょ はい ち ひょう かくにん
 自分の担当の場所を配置 表 で確認します。
し ごと ひつよう さ ぎょう て じゅんしょ かくにん
 仕事に必要なマニュアル(作 業 手 順 書)を確認します。

き かい そう ち き ぐ し ようまえ かく
(2)機械、装置、器具の使用前の確
にん

よご ふ び てんけん
 汚 れや不備 がないかなどを点検

します。

p. 30
てんけんひょう つか
 もし点検 表 があれば、それを使 って
かくにん ひつよう
確認をすることも必要です。

き かい そう ち き ぐ せんじょう さっきん
(3)機械、装置、器具の洗 浄 と殺菌
せんじょうざい さっきんざい し ようほうほう たし
 洗 浄 剤、殺菌剤は使用方法を確かめ
し よう
てから使用します。
し ようのう ど き
 使用濃度も決められたとおりかどう
かくにん
か確認します。
せんじょうざい さっきんざい のこ
 洗 浄 剤、殺菌剤が残らないように、
あら なが
よく洗い流します。

さ ぎょうちゅう ちゅう い じ こう
3.作 業 中 の 注 意事項

いっぱんてき ちゅう い じ こう
(1)一般的な 注 意事項
さ ぎょうちゅう み
 作 業 中 によそ見をしないようにします。
さ ぎょうじょう ばなし や
 作 業 場 でのムダ 話 は止めます。
さ ぎょうじょう はし
 作 業 場 では走らないようにします。
ふ し ぜん し せい さ ぎょう や
 不自然な姿勢での作 業 は止めます。
p. 31
きょうどう さ ぎょう れんらく あい ず かくじつ おこな
 共 同でする作 業 では、連絡や合図を確実に 行 います。
さ ぎょう かなら さ ぎょう て じゅん まも おこな
 作 業 は 必 ず作 業 手 順 を守って 行 います。
き けん か しょ み せきにんしゃ ほうこく
 危険な箇所が見つかったら、責任者にすぐに報告します。
ほか ひと き けん さ ぎょう み ちゅう い
 他の人が危険な作 業 をしているのを見たら 注 意します。
む だん しょく ば はな
 無断で 職 場を離れないようにします。
かくにん し さ こ しょう
 確認のために指差呼 称 (※)を行います。

し さ こ しょう
※指差呼 称
き けん よ ち しんごう ひょうしき けい き さ ぎょうたいしょう
危険を予知するために、信号、 標 識、計器、作 業 対 象
あんぜんかくにん もくてき ゆび さ どう さ おこな
などを安全確認などの目的で、指で指す動作を 行 い、その
めいしょう じょうたい こえ だ かくにん
名 称 と 状 態を声に出して確認すること。

き かいそう さ かん ちゅう い じ こう
(2)機械操作に関する 注 意事項
き かい した けっ
 機械の下は決してくぐらないようにします。
うんてんほうほう き かい そう さ
 運転方法のわからない機械の操作はしてはいけません。
うご き かい ぜったい て い
 動いている機械には絶対に手を入れてはいけません。
き かい い じょう み とき き かい と せき
 機械の異 常 が見つかった時は、機械を止めて、すぐに責
p. 32
にんしゃ ほうこく
任者に報告します。
ていでん ば あい き
 停電の場合はスイッチを切ります。

さ ぎょうちゅう えいせいじょう ちゅう い じ こう


(3)作 業 中 の衛生 上 の 注 意事項
お せん く ひ お せん く く べつ にんしき
 汚染区と非汚染区の区別をはっきりと認識するようにし

ます。
よご し よう き ぐ き ば しょ お
 汚れた使用器具などは決められた場所に置きます。
い あと かなら せんざい て あら つぎ
 トイレに行った後は、 必 ず洗剤で手を洗います。次に、
しょうどくえき しょうどく
アルコールなどの 消 毒液 で 消 毒 しま

す。
かみ け はな ふ て さ ぎょう
 髪の毛や鼻などに触れた手で作 業 をし

てはいけません。
さ ぎょうふく て ふ
 作 業 服などで手を拭いてはいけません。

さ ぎょうちゅう せいひん とりあつか じょう ちゅう い じ こう


(4)作 業 中 の製品の取 扱 い 上 の 注 意事項
せいひん みず
 製品に水がかからないようにします。
か ねつ れいきゃく なが しつおん ほう ち
 加熱したものや、冷 却 したものを長く室温で放置しない

ようにします。

p. 33
げんざいりょう せっしょく せいひん き ば
 原材 料 などと接 触 しないように、製品を決められた場
しょ お
所に置きます。
せいひん い じょう み とき せいぞう と せきにん
 製品に異 常 が見つかった時は、製造ラインを止め、責任
しゃ ほうこく
者にすぐに報告します。

さ ぎょう ご おこな
4.作 業 後に 行 うこと

せんじょう まえ き かい そう ち かくじつ き
 洗 浄 の前には、機械または装置のスイッチが確実に切ら
し さ こ しょう かくにん
れているかどうかを指差呼 称 で確認

します。
よご き かい き ぐ かなら せんじょう
 汚れた機械、器具などは 必 ず洗 浄 し
かた づ
て片付けます。
し よう き ぐ き ば しょ もど
 使用器具なども決められた場所に戻し

ます。
さ ぎょうじょう せいそう き おこな せいけつ
 作 業 場 の清掃も決められたとおり 行 い、いつも清潔に

します。
こうたい ば あい かなら ひつよう もう おく
 シフト交代のある場合は、必 ず必要なことを申し送りし

ます。

p. 34
よご さ ぎょう ぎ かなら せんたく
 汚れた作 業 着は、 必 ず洗濯します。
よご さ ぎょうぐつ せんじょう かんそう
 汚れた作 業 靴も洗 浄 して乾燥させます。

かつどう と く
5.5S活動の取り組み

かつどう せい り せいとん せいそう せいけつ しゅうかん


 5S活動とは整理、整頓、清掃、清潔、 習 慣(5つのサ
ぎょう こと ば い み
行 の言葉)を意味します。
かつどう せいひん あんぜん ひんしつ ほ じ いっぱんえい
 この5S活動は製品の安全、品質保持につながる一般衛
せいかん り うえ じゅうよう かつどう
生管理の上で 重 要な活動です。

せい り ひつよう ほ かん ふ よう す せい り
整理 ― 必要なものは保管し、不要なものを捨てて整理
する。

p. 35
せいとん ひつよう と だ お ば
整頓 ― 必要なものがすぐに取り出せるように、置き場
しょ き
所を決めておく。

せいそう さ ぎょうじょう しゅうへん そう じ


清掃 ― 作 業 場 とその 周 辺 をいつもきれいに掃除 す
る。

せいけつ せい り せいとん せいそう じょうたい たも


清潔 ― 整理、整頓、清掃がされてきれいな 状 態に保つ。

p. 36
しゅうかん き つね まも じっこう しゅうかん
習慣 ― 決められたことを常に守って実行する 習 慣を
つける。

しょく ば しゅうかん か
※ 職 場によっては「 習 慣」の替
とき
わりに「しつけ」という時もあ
しゅう
ります。このテキストでは「 習
かん
慣」といいます。

い ぶつこんにゅう もんだい かん り
6.異 物混 入 の問題と管理 」とい
このテキストでは「習慣
しゅうかん

います。
せいひんちゅう きんぞく かみ け むし い ぶつ はい
⚫ 製品 中 に金属やガラス、髪の毛や虫などの異物が入って
けんこう ひ がい よういん しょう ひ しゃ ふ
いると、健康被害の要因になります。また、 消 費者に不
あんかん ふ かいかん あた い ぶつこんにゅう とく
安感や不快感を与えることになります。異物混 入 で特に
おお かみ け むし
多いのは、髪の毛と虫です。
い ぶつこんにゅう けんこう ひ がい お しょう ひ しゃ ふ あん
⚫ 異物混 入 による健康被害が起きると、 消 費者が不安に
かいしゃ しんよう お そんがいばいしょう もと
なり、会社の信用を落としたり、損害賠 償 を求められた

りします。
い ぶつ こんにゅうぼう し てってい
⚫ このため、異物の混 入 防止を徹底しなければなりません。
げんざいりょう けん さ おこな ちゅう い ぶか い ぶつ はい
⚫ 原材 料 の検査を 行 い、注 意深く異物が入っていないか
p. 37
たし
どうかを確かめます。

さ ぎょうちゅう い ぶつこんにゅうぼう し つと じ ぶん
⚫ 作 業 中 での異物混 入 防止に努めます。それには自分で
い ぶつこんにゅう お ちゅう い
異物混 入 を起こさないように、 注 意します。
ちゅう い ぶか かんさつ い ぶつ はい はい
⚫ また 注 意深く観察し、異物が入りそう、または入ってい
ただ ち さ ぎょう と せきにんしゃ ほうこく
るのがわかったら、直ちに作 業 を止めて責任者に報告し

ます。

むし せいぞう い がい ぶ
⚫ 虫を製造エリアに入れないようにするには、外部からの
しんにゅう ふせ こうじょうない はっせい
侵 入 を防ぐとともに、工 場 内で発生させないようにす
ひつよう
ることが必要です。

p. 38
だい しょう せいぞうこうていかん り き そ ち しき
第3 章 製造工程管理の基礎知識

p. 39
げんざいりょう かん り
1.原材 料 の管理

げんざいりょう かん り き ほんてき かんが かた


(1)原材 料 の管理の基本的な 考 え方
あんぜん ひんしつ よ せいひん つく あんぜん ひんしつ よ げんざい
安全で品質の良い製品を作るには、安全で品質の良い原材
りょう つか ふ か けつ しょくひん ば あい げんざい
料 を使うことが不可欠です。なぜなら、 食 品の場合、原材
りょう ひんしつ せいひん ひんしつ おお えいきょう およ
料 の品質が製品の品質に大きな影 響 を及ぼすからです。そ
せいぞうこうてい はじ だんかい げんざいりょう かん り たいへん
のため、製造工程の始めの段階となる原材 料 の管理は大変
じゅうよう
重 要です。
げんざいりょう かん り てきせつ おこな げんざいりょう
原材 料 の管理を適切に 行 うためには、原材 料 における
き がい よういん めいかく ひつよう だい しょう
危害の要因を明確にすることが必要です(第4 章 HACC
せいぞうこうてい えいせいかん り かん ち しき しょうかい
Pによる製造工程の衛生管理に関する知識で 紹 介します)。

p. 40
げんざいりょう うけ い けん さ
(2)原材 料 の受入れ検査
げんざいりょう うけ い けん さ けっ か ご せいぞうこうてい
原材 料 の受入れ検査の結果は、その後の製造工程でどの
たいしょ はんだん じゅうよう
ように対処すべきかを判断する 重 要なデータです。
うえ ず しめ げんざいりょう き がいよういん ていりょうてき めい
上の図で示したように原材 料 の危害要因を定 量 的に明
かく か うえ おう うけ い けん さ おこな もんだい
確化した上で、それに応じた受入れ検査を 行 い、問題のな
げんざいりょう う い こころ
い原材 料 を受け入れるように 心 がけます。

p. 41
せいぞうこうてい かん り ちゅう い じ こう
2.製造工程の管理と 注 意事項

げんざいりょう し かかりひん ちゅうかんせいひん ほ かん


(1)原材 料 ・仕 掛 品( 中 間製品)の保管
び せいぶつ ぞうしょく おん ど
ア)微生物の増 殖 と温度
び せいぶつ ぞうしょく ず おん ど みっせつ かんけい
微生物の増 殖 は図のように温度と密接な関係があります。

び せいぶつ ぞうしょく おん ど じ かん
微生物 が増 殖 する 10℃~60℃の温度 にある時間 をでき
みじか じゅうよう
るだけ 短 くすることが 重 要です。そのためには
こうおん ほ かん
⚫高温で保管する

⚫すぐに食べる
p. 42
すみ れいきゃく
⚫速やかに冷 却 する
れいぞう れいとう ほ かん
⚫冷蔵や冷凍で保管する
ひつよう
ことが必要です。
れいとう こ れいぞう こ かん り
イ)冷凍庫、冷蔵庫の管理
しょくひんえいせいほう き てい れいとう こ い か れいぞう こ
 食 品衛生法の規定では、冷凍庫は-15℃以下、冷蔵庫は
い か ほ かん しょくにく ぎょかいるい い か ほ
10℃以下で保管しますが、 食 肉、魚介類は 4℃以下で保
かん
管します。
こ ない おん ど てい き てき そくてい けっ か き ろく
 庫内の温度は定期的に測定し、その結果を記録します。

か ねつこうてい
(2)加熱工程
び せいぶつ ぷんかん か ねつ し めつ
ほとんどの微生物 は 75℃、1分間 の加熱 で死滅 します。
い じょう し めつ が ほうきん ねつ つよ
しかし、100℃以 上 でも死滅しない芽胞菌(※)など熱に強
び せいぶつ か ねつ さっきん てきせつ おん
い微生物があります。このため、加熱による殺菌は適切な温
ど じ かん せってい
度と時間を設定しなければなりません。

が ほうきん が ほう さいきん
(※)芽胞菌:芽胞をつくる細菌

p. 43
れいきゃくこうてい
(3)冷 却 工程
か ねつ ご い のこ び せいぶつ ぞうしょく ぼう し
加熱後に生き残った微生物の増 殖 を防止するためには、
すみ ぞうしょく おさ おん ど れいきゃく ひつよう
速やかに増 殖 が抑 えられる温度 まで冷 却 することが必要
おも れいきゃくほうほう かぜ あ ひ ほうほう れい
です。主な冷 却 方法には「風を当てて冷やす方法」や「冷
すい ひ ほうほう
水で冷やす方法」などがあります。

とうけつこうてい
(4)凍結工程
しょくひん とうけつ ふう み
食 品をゆっくり凍結させると、風味やテクスチャ―など
ひんしつ れっ か とうけつおん ど ていおん
の品質が劣化します。このため、できるだけ凍結温度を低温
p. 44
たん じ かん とうけつ ひつよう きゅうそくとうけつ
にして、短時間で凍結することが必要です。また 急 速凍結
とうけつまえ おん ど さ
するためには、できるだけ凍結前の温度を下げておくことが
じゅうよう
重 要です。

ほうそうこうてい
(5)包装工程
ほうそうこうてい じゅうよう かん り じ こう きんぞくけんしゅつ き せん い ぶつ
包装工程での 重 要な管理事項は、金属検 出 器やX線異物
けんしゅつ き かん り き げんひょう じ かん り
検 出 器の管理、そして期限 表 示管理です。
きんぞくけんしゅつ き き がい お い ぶつ きんぞく けんしゅつ
金属検 出 器 は危害 を起 こす異物 である金属 を検 出 する
かん り き き おお せいぞう つか
管理機器として、多くの製造ラインで使われています。
せん い ぶつけんしゅつ き きんぞく い がい い ぶつ いし
X線異物検 出 器は金属以外の異物である石やガラスなど
き けん い ぶつ けんしゅつ さいきん げんざいりょう
の危険異物を検 出 することができます。最近では原材 料 の
うけ い かん り せいぞうこうてい き けん い ぶつ み ゆうこう しゅだん
受入 れ管理 や製造工程 での危険異物 を見 つける有効 な手段
ふ きゅう とくせい せいひん いり
として普 及 してきました。また、その特性により製品の入
すう ぶ そく けいじょう ふ りょうひん つか
数不足 のチェックや形 状 不 良 品 のチェックなどにも使 わ

れています。
き げんひょう じ かん り おお ひ づけかん り しょう
期限 表 示管理においてミスが多いのは日付管理です。賞
み き げん き げんひょう じ しょうひんかいしゅう なか もっと おお
味期限などの期限 表 示のミスは、商 品回 収 の中で 最 も多
ひ づけかん り げんいん おお かんちが
いとされています。日付管理ミスの原因の多くは勘違いなど
p. 45

のケアレスミスです。このケアレスミスを起こさないための
く ふう ひつよう たと ほうそう とうじつ しょう み き げん
工夫が必要です。例えば、包装ラインに当日の 賞 味期限や
けい じ じっさい いん じ
ロットナンバーなどを掲示すること、さらに実際に印字した
ほうそう き と き ろく のこ
包装フィルムなどを切り取って記録として残しておくこと

などです。

せいひん かん り
3.製品の管理

せいひん び せいぶつけん さ
(1)製品の微生物検査
けん さ こうもく き じゅん ほうりつ さだ ば あい
検査項目と基 準 は、法律で定められている場合はそれに
したが
従 います。
じ しゅてき けん さ おこな ば あい いっぱんてき けん さ こうもく いっぱんせい
自主的な検査を 行 う場合の一般的な検査項目は、一般生
きんすう だいちょうきん だいちょうきんぐん しゅたい ひつよう おう
菌数、大 腸 菌、大 腸 菌群を主体としています。必要に応じ
おうしょく きゅうきん ぞくきん ぞく
て黄 色 ブドウ 球 菌、サルモネラ属菌、カンピロバクター属
きん けん さ
菌なども検査します。

せいひん ほ かんかん り ちゅう い じ こう


(2)製品を保管管理するときの 注 意事項
ほ かんおん ど ほうりつ さだ ば あい
 保管温度は法律やガイドラインで定められている場合は、
p. 46
したが ほうりつ さだ ば あい
それに 従 います。法律などで定められていない場合は、
いっぱんてき れいとう こ い か れいぞう こ い か き じゅん
一般的に冷凍庫は-15℃以下、冷蔵庫は 10℃以下が基 準

となっています。
せいひん のうにゅう き げん かん り さきいれさきだし さき
 製品の納 入 期限を管理するため、先入先出(先にできた
せいひん しゅっ か おこな
製品から 出 荷すること)を 行 います。

ほ かん かん り ちゅう い じ こう
(3)保管サンプルを管理するときの 注 意事項
せいひんしゅっ か ご はっせい ば あい そな せい
 製品 出 荷後、クレームなどが発生した場合に備えて、製
ぞう せいひん なか ほ かんよう いってい わりあい
造 した製品 の中 から保管用 のサンプルを一定 の割合 で
ちゅうしゅつ ほ かん
抽 出 して保管しておきます。
ほ かん せいぞう び ほ かん のぞ
 保管サンプルは製造日ごとにまとめて保管することが望

ましいです。

ゆ そう じ おん ど かん り ちゅう い じ こう
(4)輸送時の温度を管理するときの 注 意事項
せいひん ゆ そう じ おん ど へん か ひんしつ れっ か
 製品の輸送時の温度変化によって品質が劣化しないよう
おん ど かん り てってい
に温度管理を徹底します。

p. 47
れいぞうしゃ れいとうしゃ ゆ そうちゅう おん ど き ろく そう ち
 冷蔵車または冷凍車には輸送 中 の温度を記録する装置
つ おん ど き ろく てい き てき かくにん
が付いていますので、この温度記録を定期的に確認しま

す。

しょくひん かん り
4.アレルギー 食 品の管理
かん り たいしょう しょくひん
(1)管理の対 象 となるアレルギー 食 品
しょくひんひょう じ ほう もと とく はっしょうけんすう おお
食 品 表 示法に基づき、特にアレルギーの発 症 件数が多
ひ じょう おも しょうじょう しゅるい
いものや非 常 に重 い 症 状 になるおそれのある 7種類 の
しょくひん とくていげんざいりょう ひょう じ ぎ む
食 品は、特定原材 料 として 表 示する義務があります。ま
とくていげんざいりょう くら はっしょうけんすう すく おも しょうじょう
た、特定原材 料 と比べ、発 症 件数が少なく、重い 症 状 に
すく しゅるい しょくひん ひょう じ
なることの少ない 20種類の 食 品についても、 表 示するこ
のぞ し てい
とが望ましいものとして指定されています。

とくていげんざいりょう ひょう じ ぎ む しょくひん


≪特定原材 料 として 表 示義務がある 食 品≫
こ むぎ にゅう らっ
① えび、②かに、③小麦、④そば、⑤たまご、⑥ 乳 、⑦落
か せい
花生

p. 48
ひょう じ のぞ しょくひん
≪ 表 示することが望ましいとされる 食 品≫

① アーモンド、②あわび、③いか、④いくら、⑤オ

レンジ、⑥カシューナッツ、⑦キウイフルーツ、
ぎゅうにく
⑧ 牛 肉、⑨くるみ、⑩ごま、⑪さけ、⑫さば、
だい ず とりにく ぶたにく
⑬大豆、⑭鶏肉、⑮バナナ、⑯豚肉、⑰まつたけ、

⑱もも、⑲やまいも、⑳りんご、㉑ゼラチン

こう さ お せん ぼう し
(2)交差汚染の防止
しょくひん た せいひん こんにゅう こう さ
アレルギー 食 品 が他 の製品 に混 入 することにより交差
お せん お げんざいりょう とりあつか せいぞう お せん
汚染が起きます。原材 料 の取 扱 いと製造ラインでの汚染が
おも げんいん ちゅう い
主な原因ですので、 注 意しましょう。
げんざいりょう く ぶん ほ かん
ア)原材 料 の区分保管
しょくひん ふく げんざいりょう
アレルギー 食 品を含む原材 料 は、
ふく げんざいりょう く ぶん ほ かん
含まない原材 料 と区分して保管しま

しょう。

p. 49
し よう き ぐ く ぶん
イ)使用する器具の区分
せいぞうこうてい し よう よう き き
製造工程 で使用 する容器 や器
ぐ しょくひん
具 などは、アレルギー 食 品 を
ふく げんざいりょう ふく げんざい
含 む 原材 料 と 含 ま な い 原 材
りょう つか わ
料 で使い分けします。
よう き き ぐ いろ わ
容器や器具を色分けしたり、
ひつよう
マークをつけることが必要です。
せいぞう せんじょう
ウ)製造ラインの洗 浄
おな せいぞう た せいひん しょくひん ふく
同じラインで製造する他の製品が、アレルギー 食 品を含
げんざいりょう ば あい せんじょう てってい しょくひん
む原材 料 の場合は、洗 浄 の徹底によりアレルギー 食 品が
のこ とくていげんざいりょう ふく せいひん せい
残らないようにします。また、特定原材 料 を含む製品を製
ぞう ば あい いちにち お せいぞう く ふう
造する場合は、一日の終わりに製造するなど、工夫をするこ
のぞ
とが望ましいです。
た ちゅう い じ こう
エ)その他 注 意事項
とくていげんざいりょう ほか げんざいりょう うえ かさ お
 特定原材 料 は、他の原材 料 などの上に重ねて置かない

こと。

p. 50
かいふう ず なか み こんにゅう か のうせい
 開封済みのものは、中身がこぼれて混 入 する可能性があ
とく ちゅう い
るので、特に 注 意すること。

やくざい かん り
5.薬剤の管理

せんじょうざい さっきんざい あやま つか しょくひん こんにゅう こ


洗 浄 剤や殺菌剤を 誤 って使い、食 品に混 入 したり、故
い こんにゅう じ こ じ
意に混 入 させてしまうことがあります。こうした事故や事
けん ぼう し てきせつ ほ かん つか かた じゅうよう
件などを防止するためには適切な保管や使い方が 重 要です。
やくざいせんよう ほ かん ば しょ つく
(1)薬剤専用の保管場所を作る
やくざい てきせつ ほ かん さ ぎょうげん ば べつ ば しょ
薬剤を適切に保管するためには、作 業 現場とは別の場所
やくざいせんよう ほ かん ば しょ つく ひつよう さ ぎょうげん ば
に薬剤専用の保管場所を作ることが必要です。作 業 現場に
ひつよう りょう だ し よう のこ やくざい さ ぎょうげん
は必要な 量 だけを出し、使用しないで残った薬剤が作 業 現
ば ほう ち
場に放置されないようにします。

やくざい にゅうしゅっ こ だいちょう き ろく


(2)薬剤の 入 出 庫台 帳 に記録する
やくざい し ようりょう のこ りょう てきせつ は あく し よう
薬剤の使用 量 や残った 量 を適切に把握するため、使用す
やくざい にゅうしゅっ こ だいちょう か き ろく ひつよう
るごとに薬剤の 入 出 庫台 帳 に書いて記録することが必要

です。

p. 51
だいちょう か ざい こ すうりょう じっさい すうりょう
また、台 帳 に書かれている在庫の数 量 と実際の数 量 が
おな ほ かん ば しょ しら べ かくにん じゅうよう
同じかどうか保管場所を調べて確認することも 重 要です。

よう き やくざいめい か
(3)容器に薬剤名などを書く
やくざい あやま し よう ぼう し やくざい よう き かなら
薬剤の 誤 った使用を防止するために、薬剤の容器には 必
やくざいめい し ようほうほう か よう き やく
ず「薬剤名」、
「使用方法」などを書きます。また、容器に薬
ざい は よう き いろ やくざい か
剤のラベルを貼ったり、容器の色を薬剤ごとに変えたりする
あやま し よう ぼう し
ことで、 誤 った使用がさらに防止できます。

p. 52
だい しょう せいぞうこうてい えいせいかん り かん
第4 章 HACCPによる製造工程の衛生管理に関
ち しき
する知識

p. 53
1.HACCPとは?

HACCP(ハサップ)とは Hazard Analysis Critical


りゃく ご き がいよういんぶんせき
Control Point の 略 語です。
「HA」とは危害要因分析のこ
なに き がいよういん あき
とで、何が危害要因になるのかを明らかにします。また「C
せいぞうこうてい なか じゅうよう
CP」とは製造工程の中で、ミスすることができない 重 要
かん り てん
管理点のことです。
げんざいりょう うけ い さいしゅうせいひん しゅっ か
すなわち、原材 料 の受入れから最 終 製品の 出 荷までの
こうてい び せいぶつ お せん い ぶつ こんにゅう き がい
工程ごとに、微生物による汚染や異物の混 入 などの危害を
よ そく うえ き がい ぼう し とく じゅうよう こうてい かん
予測した上で、危害を防止するために特に 重 要な工程を監
し き ろく せいひん あんぜん
視(モニタリング)し、記録することにより、製品の安全を
かく ほ えいせいかん り しゅほう さいしゅうせいひん ぬきとりけん さ くら
確保する衛生管理手法です。最 終 製品の抜取検査に比べて、
こう か てき あんぜんせい もんだい せいひん しゅっ か ぼう し
より効果的に安全性に問題のある製品の 出 荷を防止できる

とされています。

p. 54
き がいよういん し
2.危害要因を知る

たいしょう けんこう き がいよういん つぎ


HACCPで対 象 とする健康危害要因には次の3つがあ

ります。

せいぶつてき き がいよういん
(生物的危害要因)
ゆうがい さいきん ちょうかんしゅっけつせいだいちょうきん おうしょく きゅう
有害な細菌( 腸 管 出 血性大 腸 菌O157、黄 色 ブドウ 球
きん ぞくきん
菌、カンピロバクター属菌など)やノロウイルスなどによっ
お き がい よういん
て起こる危害の要因
p. 55
か がくてき き がいよういん
(化学的危害要因)
げんざいりょう はい のうやく こうせいぶっしつ さ ぎょうじょう し よう
原材 料 に入っていた農薬や抗生物質、作 業 場 で使用す
せんじょうざい さっきんざい お き がい よういん
る洗 浄 剤や殺菌剤などによって起こる危害の要因

ぶつ り てき き がいよういん
(物理的危害要因)
きんぞく いし こうしつ き けん い ぶつ こん
金属、石、ガラス、硬質プラスチックなどの危険異物の混
にゅう お き がい よういん
入 によって起こる危害の要因

げんそく
3.HACCPの7つの原則

げんそく
HACCPには、
「7つの原則」があります。

げんそく き がいよういんぶんせき
≪原則1≫危害要因分析(HA)
き がいよういんぶんせき じゅうようかん り てん き ひつ
危害要因分析は 重 要管理点(CCP)を決めるために必
よう き がいよういんぶんせき はじ げんざいりょうおよ せいぞうこう
要です。危害要因分析では、まず始めに原材 料 及び製造工
てい かんが き がい つぎ き
程から 考 えられる危害をリストアップします。次にその危
がいよういん じゅうよう かん り き がい ふせ
害要因がどれくらい 重 要か、どのように管理して危害を防

ぐかを決めます。
p. 56
げんそく じゅうようかん り てん けってい
≪原則2≫ 重 要管理点(CCP)の決定
き がいよういん かん り とく じゅうよう こうてい じゅうようかん り てん
危害要因を管理するため、特に 重 要な工程を 重 要管理点
たと か ねつさっきんこうてい きんぞくけんしゅつ き
(CCP)とします。例えば、加熱殺菌工程や金属検 出 器、
せんけんしゅつ き
X線検 出 器などです。

げんそく かん り き じゅん せってい


≪原則3≫管理基 準 (CL)の設定
せいぞうこうてい しょくひん あんぜん かく ほ き じゅん かん り き
製造工程 で 食 品 の安全 を確保 するための基 準 を管理基
じゅん せってい
準 (Critical Limit)として設定します。

げんそく かん し ほうほう せってい


≪原則4≫監視(モニタリング)方法の設定
じゅうようかん り てん てきせつ かん り
重 要管理点(CCP)が適切に管理されているかどうか
かん し ほうほう せってい
を監視(モニタリング)する方法を設定します。モニタリン
ほうほう れんぞくてき てきせつ ひん ど き ろく
グ方法は連続的または適切な頻度でチェック、記録できるこ
ひつよう
とが必要です。

p. 57
げんそく しゅうせい そ ち せってい
≪原則5≫ 修 正措置の設定
けっ か かん り き じゅん まも
モニタリングの結果、管理基 準 が守られていないことが
かくにん ば あい ただ じょうたい もど て じゅん
確認された場合に、正しい 状 態に戻すための手 順 や、その
とき せいぞう せいひん しょ ち じ ぜん き
時に製造された製品の処置について事前に決めておきます。

げんそく けんしょうほうほう せってい


≪原則6≫検 証 方法の設定
けいかく てきせつ さくせい てきせつ じっ し
HACCPの計画が適切に作成され、適切に実施されてい
かくにん ほうほう き
るかどうかを確認する方法を決めます。

げんそく き ろく い じ かん り
≪原則7≫記録の維持管理
しゅうせい そ ち き ろく と ほ かん
モニタリングや 修 正措置の記録を取り、それを保管して

おきます。
き ろく ほ かん ほ かんかん り せきにんしゃ ほ かん き かん ほ かん ば
記録の保管については保管管理責任者、保管期間、保管場
しょ めいかく ひつよう
所を明確にしておくことが必要です。

p. 58
さ ぎょうげん ば まか じゅうよう
4.作 業 現場に任されている 重 要なこと

じゅうようかん り てん し
(1)どこが 重 要管理点かを知る
げんそく き た じゅうようかん り てん とく
HACCP原則2で決めた 重 要管理点は、特にしっかり
かん り ひつよう こうてい
管理する必要がある工程です。
じ ぶん たんとう せいぞうこうてい じゅうようかん り てん
自分の担当する製造工程のどこが 重 要管理点になってい
し まん いち じゅうようかん り てん い じょう はっけん ば あい
るかを知り、万が一、重 要管理点で異 常 を発見した場合は
かん り しゃ ほうこく
すぐに管理者に報告します。
じゅうようかん り てん しょくひん た お
重 要管理点は、食 品を食べることで起きるかもしれない
しょくちゅうどく など はっせい ふせ えいきょう
食 中 毒やケガ等の発生を防いだり、影 響 ないレベルまで
さ せってい じゅうよう こうてい
下げるために設定された 重 要な工程です。
たと か ねつさっきんこうてい じゅうようかん り てん だいひょうれい
例えば、加熱殺菌工程は 重 要管理点の代 表 例です。
か ねつさっきんこうてい しょくひん そんざい び せいぶつ へ
加熱殺菌工程は 食 品に存在する微生物を減らし、あらか
せってい しょう み き げん しょう ひ き げん ほ しょう
じめ設定した 賞 味期限や 消 費期限を保 証 するためにとて
じゅうよう こうてい
も 重 要な工程です。
きんぞくけんしゅつ き せん い ぶつけんしゅつ き きんぞく
また、金属検 出 器やX線異物検 出 器は、金属やプラスチ
など き けん い ぶつ かん し せってい こうてい
ック等の危険異物を監視するために設定された工程で、これ
じゅうようかん り てん せってい
も 重 要管理点に設定することがあります。
p. 59
じゅうようかん り てん い こう こうてい き がい はっせい ぼう し
重 要管理点は、それ以降の工程では危害の発生を防止で
さい ご こうてい
きない最後の工程でもあります。

かん り き じゅん せってい ち し
(2)管理基 準 の設定値を知る
げんそく き かん り き じゅん き がいよういんぶんせき
HACCP原則3で決めた管理基 準 は、危害要因分析で
とくてい じゅうようかん り てん てきせつ かん り き じゅん
特定した 重 要管理点を適切に管理するための基 準 です。す
せいひん あんぜん かく ほ うえ じゅうよう こうてい
なわち、製品の安全を確保する上で 重 要な工程です。
か ねつさっきんこうてい かん り き じゅん たと おん ど
加熱殺菌工程の管理基 準 は、例えば「温度が 80℃~90℃
はん い あと ふんかん い じょう ほ じ せっ
の範囲になった後、5分間以 上 保持する」というように設
てい きんぞくたん ち き かん り き じゅん いってい おお
定します。また、金属探知器の管理基 準 は、一定の大きさ
てつ けん ち はいじょ せってい
のステンレスか鉄を検知し、排除できるように設定します。
かん り き じゅん かん り さ ぎょうげん ば はたら ひと たんとう
これらの管理基 準 の管理は作 業 現場で 働 く人が担当す
ひ じょう じゅうよう ぎょう む
る、非 常 に 重 要な 業 務です。

じゅうようかん り てん かん し
(3) 重 要管理点を監視(モニタリング)する
げんそく かん し じゅうようかん り
HACCP原則4の監視(モニタリング)は、 重 要管理
てん れんぞくてき き ひん ど
点(CCP)を連続的または決められた頻度でチェックし、
かん り き じゅん まも かくにん
管理基 準 が守られているかどうかを確認します。
p. 60
たんとうしゃ なに ひん ど
モニタリングでは、どの担当者が、何を、どのような頻度

で、どのようにチェックするかが、しっかりと決められてい

ます。
かん り き じゅん まも かくにん
モニタリングは管理基 準 が守られていることを確認する
ひ じょう じゅうよう ぎょう む
非 常 に 重 要な 業 務です。

けっ か き ろく ほ かん
(4)モニタリング結果を記録し、保管する
げんそく き ろく とり く しょう こ
HACCP原則7の記録は、HACCPの取組みの 証 拠
しょくひん あんぜんせい もんだい しょう ば あい あんぜん
です。また、 食 品の安全性に問題が 生 じた場合には、安全
しょくひん はん い とくてい げんいん ついきゅう
でない 食 品の範囲を特定したり、原因を追 究 したりするた
じゅうよう じょうほう
めの 重 要な 情 報になります。
き ろく したが せいかく か もと
したがって、記録はルールに 従 って正確に書くことが求
ひ じょう じゅうよう ぎょう む
められる非 常 に 重 要な 業 務です。

p. 61
だい しょう ろうどうあんぜんえいせい かん ち しき
第5 章 労働安全衛生に関する知識

p. 62
ろうどうあんぜんえいせい
<労働安全衛生について>

いんしょくりょうひんせいぞうぎょう じ ぎょうしゃ ろうどうあんぜんえいせいほう もと


飲 食 料 品製造 業 の事 業 者は、労働安全衛生法に基づい
はたら ひとたち あんぜん けんこう まも
て、 働 く人達の安全と健康を守らなければなりません。
じ ぎょうしゃ さ ぎょうじょう あんぜんかん り しゃ えいせいかん
このため、事 業 者は作 業 場 ごとに安全管理者や衛生管
り しゃ せきにんしゃ さだ はたら ひとたち あんぜん けんこう まも
理者などの責任者を定め、 働 く人達の安全と健康を守って

います。

はたら ひとたち き みずか まも じ ぎょうしゃ


働 く人達は、決められたことを 自 ら守るほか、事 業 者
おこな ろうどうさいがい ぼう し とりくみ きょうりょく
などが 行 う労働災害の防止の取組に 協 力 しましょう。
はたら けいけん すく ひとたち さ ぎょう な
働 いた経験が少ない人達は、作 業 に慣れておらず、また、
き けん き なが はたら ひと ろうどう
危険に気がつきにくいので、長く 働 いている人よりも労働
さいがい お
災害が起こりやすいです。

いんしょくりょうひんせいぞうぎょう
飲 食 料 品製造 業 はいろいろありますが、ここでは、ど
し ごと きょうつう さ ぎょうじょう ろうどうあんぜんえいせい
んな仕事 にも 共 通 する作 業 場 の労働安全衛生 について
しょうかい
紹 介します。

p. 63
さ ぎょうじょう さまざま き けん
1.作 業 場 には、様々な危険がある

はたら けいけん すく ひとたち さいがい おお お


・ 働 いた経験が少ない人達の災害が多く起きています。
しょく ば さまざま き けん
・ 職 場には様々な危険があります。
はたら けいけん すく ひとたち ろうどうさいがい おお じゅん
・ 働 いた経験が少ない人達の労働災害は多い 順 に、
「はさ
ま こ てんとう き
まれ・巻き込まれ」、
「転倒」、
「切れ・こすれ」などです。
さ ぎょう て じゅんしょ き けん さ ぎょう さ ほうほう ふく
・ 作 業 手 順 書には、危険な作 業 を避ける方法が含まれて
かなら さ ぎょう て じゅん まも あんぜんそう ち
いるので、 必 ず作 業 手 順 を守りましょう(安全装置や
ひ じょう かくにん
非 常 スイッチの確認)。

p. 64
き けん い しき
2.
「かもしれない」で危険を意識する

い しき さ ぎょう じゅうよう
「かもしれない」を意識して作 業 することが 重 要です。
い しき さ ぎょう
「かもしれない」意識で作 業 をしましょう!

ひと
人は モノは
うご
・ はさまれる ・ 動く
ま こ まわ
・ 巻き込まれる ・ 回る
あ と
・ 当たる ・ 飛ぶ
・ ころぶ お


・ 落ちる
・ 落ちる ぬ

「かもしれない」
・ 抜ける
・ やけどする も 「かもしれない」
かんでん ・ 燃える
・ 感電する たお
こし いた ・ 倒れる
・ 腰を痛める
ちゅう ど く ・ くずれる
・ ガス 中 毒になる ば く はつ

さんけ つ ・ 爆発
・ 酸欠になる も

ゆ う がいぶつ ・ 漏れる
・ 有害物にやられる

p. 65
あんぜん さ ぎょう ただ ふくそう
3.安全な作 業 は正しい服装から

あんぜん さ ぎょう ただ ふくそう はじ


【安全な作 業 は正しい服装から始まる】
さ ぎょう とき さだ あんぜん ふくそう ちゃくよう
・ 作 業 をする時には、定められた安全な服装を 着 用する。
さ ぎょうふく からだ おお あ けいそう
・ 作 業 服は 体 の大きさに合った軽装なものとする。
ながそで ば あい そでぐち し うわ ぎ すそ なか い
・ 長袖の場合には袖口を締め、上着の裾はズボンの中に入

れる。
は もの なか い さ ぎょう
・ 刃物 やドライバーなどをポケットの中 に入 れて作 業 し

ない。
て くび ま ま
・ タオルや手ぬぐいを首に巻いたり、えり巻き、ネクタイ
ま こ ちゃくよう
など巻き込まれるおそれのあるものは 着 用しない。

p. 66
ほ ご ぐ ただ ちゃくよう
【保護具は正しく 着 用する】

・ヘルメットのあごひも、ゆるみをチェックする。
ふる きず
・古いもの、傷つい
かく
ていないことを確 ほ ご ぼう
にん 保護帽
認する。
か がくぶっしつ やくざい
・化学物質や薬剤を みみ せん
耳栓
し よう
使用するときに
そで し
ぼう ご め がね て 袖を締める
は、防護眼鏡や手
ぶくろ ちゃくよう
袋 を 着 用する。
あんぜんぐつ
安全靴

き さ ぎょう て じゅん まも
4.決められた作 業 手 順 を守る

ちゅう い じ こう
【 注 意事項】
き さ ぎょう て じゅん まも い がい ほうほう
・決められた作 業 手 順 をきちんと守り、それ以外の方法で
さ ぎょう
作 業 しない。
p. 67
あんぜんそう ち ひつようせい じゅうぶん り かい はず む こう
・安全装置の必要性を 十 分理解し、外したり、無効にした
さ ぎょう
りして作 業 しない。
さ ぎょう て じゅんしょ か さ ぎょう て じゅん く かえ れんしゅう
・作 業 手 順 書に書かれている作 業 手 順 を繰り返し練 習
おぼ
し、よく覚える。
あんぜんじょう
・安全 上 やるべきこと、やっては
り かい
いけないことをよく理解する。
さ ぎょう て じゅん わ とき
・作 業 手 順 が分からない時は、
せきにんしゃ かなら かく
そのままにせず、責任者に 必 ず確
にん
認する。
な ちゅう い かる どう さ ごういん どう さ
・慣れによるケガに 注 意し、軽はずみな動作や強引な動作

をしない。

あんぜん たか
5.5S活動をしっかりやり安全を高める

かつどう だい しょう いっぱんえいせいかん り き そ ち しき


5S活動については、
「第2 章 一般衛生管理の基礎知識」
かつどう と く しょうかい かつ
の「5.5S活動の取り組み」でも 紹 介しました。この活
どう あんぜん たか
動をしっかりやることで安全を高めることができます。5S
かつどう ろうどうあんぜん かんけい い か しめ
活動と労働安全との関係を以下に示しました。
p. 68
せい り ひつよう ほ かん ふ よう す せい り
⚫ 整理 必要なものは保管し、不要なものを捨てて整理

する。
さ ぎょうこうりつ てんとうさいがい き けん へ
→作 業 効率があがり、転倒災害の危険も減りま

す。
せいとん ひつよう と だ お ば しょ
⚫ 整頓 必要なものをすぐに取り出せるように置き場所

を決めておく。
じ かん へ せいひん ひんしつ こうじょう
→ムダな時間が減り、製品の品質も向 上 します。
せいそう さ ぎょうじょう しゅうへん そう じ
⚫ 清掃 作 業 場 とその 周 辺をいつもきれいに掃除す

る。
き かい せつ び き のう い じ てんとうさいがい き けん
→機械、設備の機能が維持され、転倒災害の危険

も減ります。
せいけつ せい り せいとん せいそう じょうたい たも
⚫ 清潔 整理、整頓、清掃がされて、きれいな 状 態を保つ。
せいひん ひんしつこうじょう しょくちゅうどく よ ぼう い ぶつこんにゅうぼう
→製品の品質向 上 、食 中 毒予防、異物混 入 防
し こう か
止に効果があります。
しゅうかん き つね まも じっこう しゅうかん
⚫ 習慣 決められたことを常に守って実行する 習 慣を

つける。
く かえ い しき し ぜん あんぜん
→繰り返すことで、意識しなくても自然に安全、
えいせいてき こうどう
衛生的な行動ができるようになります。
p. 69
あんぜん さ ぎょう じっ し さ ぎょうじょう あんぜん
6.安全な作 業 をみんなで実施し作 業 場 を安全に

ま こ さいがいぼう し
(1)「はさまれ・巻き込まれ」災害防止のポイント
き かい せいそう しゅう り と
⚫ 機械の清掃、 修 理は止めてから!
せいそう
 コンベア、ロールなどの清掃、
ちょうせい かなら と おこな
調 整 は 必 ず止 めてから 行

いましょう。
き かい と さ ぎょう ふ い
⚫ 機械を止めた作 業 は不意の
き どう ぼう し
起動を防止!
しゅう り ちゅう ひょう じ き
 「 修 理 中 」などの 表 示、起
どう さ ぎょうしゃ ほ かん ふ い き
動スイッチを作 業 者が保管したりすることで、不意の起
どう ぼう し
動を防止しましょう。
かこ い あんぜんそう ち き のう
⚫ 囲い、安全装置などはその機能
ころ
を殺さない!
てんけん せい び き のう ゆうこう
 点検、整備で機能が有効かどう
かくにん
か確認しましょう。

てんとう さいがいぼう し
(2)「転倒」災害防止のポイント
p. 70
ゆか つね せい り せいとん せいそう せいけつ あんぜん
⚫ 床は常に「整理」「整頓」「清掃」「清潔」で安全に!
ゆか ぬ ふ と せいそうちゅう か しょ
 床の濡れをきちんと拭き取りましょう。清掃 中 の箇所は
ゆか ぬ ちゅう い
床が濡れているところに 注 意しましょう。
ふ よう てんとう げんいん
 不要なものがあると「つまずき」、転倒の原因になります。
おお もの おも もの はこ だいしゃ
⚫ 大きい物、重い物を運ぶときは「台車」
し よう
を使用しましょう!
だいしゃ つか ふた り も
・ 台車を使えないときは、二人で持つか、
なんかい わ はこ
何回かに分けて運びましょう
い どう もの も
⚫ 移動するときは物を持たないようにしましょう!
もの も い どう てんとう き けん おお
 物を持って移動すると「転倒」の危険が大きくなります。
つう ろ しょう ど じゅうぶんかく ほ
⚫ 通路の 照 度は 十 分確保しましょう!

き さいがいぼう し
(3)「切れ・こすれ」災害防止のポイント
か こう き かい は ぶ せいそう ちゅう い
⚫ 加工機械の刃部の清掃に 注 意!
き かい てんけん そう じ しゅう り き かい てい し かんぜん と
 機械の点検、掃除、 修 理は、機械を停止し、完全に止ま
かくにん さ ぎょう とく しょく
っていることを確認してから作 業 しましょう。特に、食
ひん か こう き かい たいへんおも さいがい おお はっせい
品を加工する機械などでは、大変重い災害が多く発生し
p. 71
ています。
ほうちょう つか う お かた お ば じょ あんぜん
⚫ 包 丁 を使うときは置き方、置き場所を安全に!
せい り せいとん せいそう せいけつ しゅうかん てってい つか
 5S(整理、整頓、清掃、清潔、 習 慣)を徹底し、使い
お ほうちょう かた
終 わった包 丁 はきちんと片 づけましょ

う。

ねっちゅうしょう さいがいぼう し
(4)「熱 中 症 」災害防止のポイント
こうおん た しつ さ ぎょうじょう ねっちゅうしょう き けん
高温多湿な作 業 場 では「熱 中 症 」の危険があります。
ねっちゅうしょう よ ぼう
⚫ 熱 中 症 を予防しましょう!
すいみん ぶ そく たいちょう へん か き しゅう い き
・ 睡眠不足など体 調 の変化に気をつけます。 周 囲にも気
くば
を配りましょう。
つう き せい きゅうしつせい そっかんせい ふく き
 通気性のよい、 吸 湿性・速乾性のある服を着ましょう。
きゅうけい すいぶん ほ きゅう
 こまめに 休 憩と水分補 給 をしましょう。

しょうじょう ねっちゅうしょう
⚫ 次の 症 状 があると「熱 中 症 」のおそれがあります!

p. 72
た てあし
 めまい、立ちくらみ、手足のしび
きんにく がえ き ぶん わる
れ、筋肉のこむら返り、気分が悪


ず つう は け おう と けんたいかん きょ
 頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚
だつかん よう す ちが
脱感、いつもと様子が違う
つぎ しょうじょう おも ねっ
⚫ 次 の 症 状 があるときは重 い熱
ちゅうしょう
中 症 のおそれがあります。
へん じ い しきしょうしつ あつ
 返事がおかしい、意識 消 失、けいれん、からだが熱い。

しょうじょう ひと で せきにんしゃ れんらく つぎ


⚫「 症 状 」のある人が出たときには、責任者に連絡し、次
そ ち
の措置をとります!
すず ば しょ ひ なん
 涼しい場所へ避難させます。
い ふく ひ とく くび わき
 衣服をゆるめ、からだを冷やします。特に、首まわり、脇
した あし つ ね ひ
の下、足の付け根を冷やします。
すいぶん えんぶん みず しょくえん とう と の
 水分や塩分、または水に 食 塩とブドウ糖を溶かした飲み
もの あた
物を与えます。
じ りき みず の い しき ば あい
 自力で水が飲めない、または意識がない場合は、すぐに
きゅうきゅうしゃ よ
救 急 車を呼びます!
p. 73
ようつうしょう さいがいぼう し
(5)「腰痛 症 」災害防止のポイント
おも もの と あつか ば あい さ ぎょう し せい どう さ
⚫ 重い物を取り 扱 う場合の作 業 姿勢や動作
おも もの からだ ちか じゅうしん ひく
 できるだけ重い物に 体 を近づけ、 重 心を低くするよう
し せい と あつか
な姿勢で取り 扱 います。

おも もの も あ ば あい
【重い物を持ち上げる場合】
かたあし すこ まえ だ ひざ ま こし じゅうぶん お おも
片足を少し前に出し膝を曲げ、腰を 十 分に下ろして 重
もの かか ひざ の た あ
い物を抱え、膝を伸ばすことによって立ち上がります。
おも もの も あ こ きゅう ととの ちから
重い物を持ち上げるときは、呼 吸 を 整 え、おなかに 力
い おこな
を入れて 行 うようにします。

p. 74
おも もの も い どう
【重い物を持っての移動】
い どうきょ り みじか おも もの も かいだん のぼ お
移動距離を 短 くし、重い物を持って階段を昇り、降りする

ことは避けます。

ようつう よ ぼう たいそう
⚫ 腰痛予防のための体操
ちゅうしん ようつう よ ぼう たいそう
ストレッチを 中 心とした腰痛予防のための体操をしましょ

う。

p. 75
い じょう じ たい ろうどうさいがい はっせい
7.もし異 常 事態や労働災害が発生したら!

い じょう じ たい ろうどうさいがい はっせい


(1)もし異 常 事態や労働災害が発生したら!
い じょう じ たい はっけん なに お
①異 常 事態を発見したら、まず何が起こっているかをすば
かくにん
やく確認します。
せきにんしゃ どうりょう おお こえ し
②まわりにいる責任者や同 僚 に大きな声で知らせます。
ひつよう ひ じょうてい し き かい と
③必要なときは非 常 停止ボタンで機械を止めます。
せきにんしゃ し じ き どうりょう きょうりょく てきせつ しょ ち と
④責任者の指示を聞き、同 僚 と 協 力 して適切な処置を取

ります。
ひと り かっ て こうどう
⑤一人で勝手な行動はしません。

p. 76

【知らせよう!】

き かい じょうたい ちが せきにんしゃ
機械の 状 態がいつもと違っていたら、責任者など、まわ
ひと し
りの人にすぐに知らせましょう。
へん
変な においがします

へん おと
変な 音がします
レバーが ぐらぐらします

あお

あか
青いランプが
赤いランプが ついています き
消えています

てん めつ
ランプが 点滅しています あつ
さわると 熱いです

○○が ありません

ろうどうさいがい はっせい
(2)労働災害が発生したら

ろうどうさいがいはっせい か のうせい
◆労働災害発生の可能性をゼロにはできない!
ひ ごろ ひ じょう じ さいがい じ くんれん
◆日頃から非 常 時、災害時の訓練を!
まんいち ろうどうさいがい はっせい つぎ たいおう
◆万一、労働災害が発生したら、次の対応を!

p. 77
ろうどうさいがいはっせい じ たいおう れい
労働災害発生時の対応(例)

p. 78
<おわりに>

がくしゅうよう いっぱんざいだんほうじんしょくひんさんぎょう
この学 習 用テキストは、一般財団法人 食 品産 業 センタ
き ばんきょう か えいせい ひんしつかん り じっ
ーによる「HACCP基盤 強 化のための衛生・品質管理実
せん こうせいろうどうしょうほか せいぞうぎょう む み じゅく
践マニュアル」
、厚生労働 省 他による「製造 業 向け 未熟
れんろうどうしゃ たい あんぜん か ん り さんこう がいこく
練労働者に対する安全管理マニュアル」などを参考に、外国
じん かた り かい さくせい
人の方が理解しやすいように作成しました。
しょくひん き ぎょう しょくひん き ぎょうだんたい がくしきけいけん
このテキストは、 食 品企 業 、 食 品企 業 団体、学識経験
しゃ きょうりょく え いっぱんざいだんほうじんしょくひんさんぎょう と
者のご 協 力 を得て、一般財団法人 食 品産 業 センターが取

りまとめました。
さくせい きょうりょく かんけいしゃ
このテキストの作成にご 協 力 いただきました関係者に、
あらた おんれいもう あ
改 めて御礼申し上げます。

p. 79
ちゅう い じ こう
注 意事項
ちょさくけん
⚫著作権について
いんしょくりょうひんせいぞうぎょう ぎ のうそくてい し けんがくしゅうよう
「 飲 食 料 品製造 業 技能測定試験学 習 用 テ キ ス
ちょさくけん いっぱんざいだんほうじんしょくひんさんぎょう い
ト」の著作権は、一般財団法人 食 品産 業 センター(以
か とう き ぞく
下、「当センター」という。)に帰属します。

⚫リンクについて
おこな ば あい きょ か れんらく ひつよう
リンクを 行 う場合 の許可 や連絡 は必要 ありません
せってい さい いっぱんざいだんほうじんしょくひんさん
が、リンクの設定をする際は、
「一般財団法人 食 品産
ぎょう むね めい
業 センターホームページ」へのリンクである旨を明

示してください。
しゅってん き さい
⚫ 出 典の記載について
ないよう り よう ば あい しゅってん き
このテキストの内容 を利用 する場合 には 出 典 を記
さい ないよう へんしゅう
載してください。また、このテキストの内容を編 集 ・
か こうとう り よう ば あい じょう き しゅってん べつ
加工等 して利用 する場合 には、 上 記 出 典 とは別 に、
へんしゅう か こうとう おこな き さい
編 集 ・加工等を 行 ったことを記載してください。ま
へんしゅう か こう じょうほう とう さく
た、編 集 ・加工した 情 報をあたかも当センターが作
せい たいよう こうひょう り よう
成したかのような態様で公 表 ・利用してはいけませ

ん。

p. 80
めんせき
⚫免責について
とう り ようしゃ ないよう もち
当センターは、利用者がこのテキストの内容を用い
おこな いっさい こう い ないよう へんしゅう か
て 行 う一切の行為(このテキストの内容を編 集 ・加
こうとう じょうほう り よう ふく なん
工等した 情 報を利用することを含む。)について何ら
せきにん お ないよう よ こく
責任を負いません。またこのテキストの内容は、予告
へんこう い てん さくじょとう おこな
なく変更、移転、削除等が 行 われることがあります。

p. 81

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