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世銀グループへの官民連携支援(要約)2017 年 10 月発表

World Bank Group Support to Public-Private Partnerships; Lessons from Experiences in Client
Countries, FY02-12

背景

• 評価期対象間は 2002 年から 2012 年の 10 年間。


• IFC は 176 案件、62 億ドル、MIGA は 81 案件 51 億ドルの政治リスク保証供与、世銀
/IDA は 353 件の融資と部分的リスク保証 12 件、計 76 億ドルを供与。このほかに世
銀研究所(WBI)から T/A 112 件、PPIAF から 683 件、計 134 百万ドルの資金を供与。

PPP 促進戦略の妥当性

• 過去に策定された計画の中で PPP 促進は繰り返し謳われており、戦略は適切であった。

• 他方で国別支援計画の中にどう組み入れるか、世銀グループ間でどう協調して取り組むかについては

不明確であった。

• 世銀と PPIAF のこれから PPP を導入しようとする国々に対する上流部門への支援(PPP の枠組み

作り等)は適切であった。

• IFC の助言支援は低中所得国とサブサハラアフリカに焦点を当てていたが、出融資は PPP 制度が確

立した国々になされ、より PPP 導入新興国に支援を差し伸べる余地があった。

政策改革や制度構築への支援

• PPP に共通する課題はガバナンス、不十分な規制枠組み、セクターの構造であった。

• 世銀の上流支援はセクター改革で、財務的持続性(健全性)、セクター組織の改革、運営能力

強化、規制枠組みの強化、民間参入余地の導入といった内容だったが、これらは達成が困難な項

目である。
• 成功率はセクター改革を目指した世銀融資の 55%に留まる。

• 適切なセクター改革は往々にして PPP 導入の必要条件で、特に水道、エネルギー分野ではこれが必

須だが、成功率は低い。

• PPP 実施能力と司法・制度的枠組みの構築がセクター改革の次に必要な要素だが、世銀のこれら

に対する支援はうまく機能した。また PPP 導入のためのコンセンサス成立、規制委員会の設置はセ

クター改革よりは成功した。

• 国家レベルでの PPP unit の設置の効果はまだ現れていないが、「PPP チャンピオン」の特定は省庁間

の調整に役立った。

• PPP 導入による政府部門の偶発債務はプロジェクトレベルで殆ど考慮されていない。

• 政府の強いコミットメントと政府内部のチャンピオンの存在が上流部門支援を成功に導いた最も重

要な要件。

• PPP の活用が世銀の国別融資計画の中でどのように位置づけられるのか、また知識がどのように認

識され活用されるのかが大きく結果を左右する。PPIAF の国別計画策定段階での早期の関与が

PPIAF のより戦略的な活用につながる。

• 開発途上国側では PPP 案件組成に関する技能と財源が深刻な課題

PPP は果たすべき役割を果たしたか?

• 開発効果を概ね達成。IFC が支援した 176 件の内、83 件が満足すべき水準以上の評価を受けて

いる
• 但し IFC が支援した国は PPP の実施経験のある国であり、差し引いて考える必要がある。

• 他方で積極的な監理も行われ、これ無しには成功はなかった

• 貧困削減という視点からはより多角的な評価が必要だが、データが稀少。既存のモニタリング、評価

基準は PPP の経営的に評価するために制定されており、上記視点の評価には不十分。新たな評

価の視点の早急な導入が必要。

• データがある場合、サービスへのアクセス改善は達成されたと確認できるが、効率や質に関するデータ

は稀少。

• PPP の案件組成、承認手続きが構築されており、長期に亘って案件を実現されているなどの受け入

れ準備が整っている国においては、評価結果が高い傾向にある。一般的に規制枠組みが強化され

ている国では水道、電力でプロジェクトが成功している。相手国の事情に加え、確立されたビジネスと

しての例や、能力のあるスポンサーの存在が成功の要因。

• IFC が支援した PPP 案件は他の案件より常に高い開発効果を示しているが、これは IFC による徹底

的なデューデリジェンスの賜物である。(但し、IFC の支援するプロジェクトは PPP が確立された国のも

のであることに留意。)

• IFC は制度がより整っていない国に対する支援を行うことを通じて、これらの国々への民間投資が可

能であるというデモンストレーション効果をもたらす。

• IFC の助言サービスで応札まで到達した PPP 案件は 97%だが、落札まで到達した案件は半分であ

り、契約締結まで到達した案件では、政府の強いコミットと IFC の支援が最も大きいな成功要因。


• 低中所得国やサブサハラ諸国に対し IFC が助言サービスを提供することで、より上流部門への関与

が重要である、これらの国々の市場に対する IFC の関与を内外に示すことになる。

• MIGA 保証は投資家の信頼を増し、彼らの資金調達を容易なものとした他、政府との紛争協議の

仲介にも一役かった。MIGA プロジェクトにおいても、世銀案件同様規制制度の欠陥や政治経済が

案件の成功と失敗を方向付けている。

• 世銀が支援した PPP プロジェクトの実施段階では、62%が成功しているが、これは IFC の成功率より

も低い。世銀が IFC の投資対象よりもよりリスクの高い国に融資を行っていること、非常にプロジェク

トが複雑で実施のスケジュールが非現実的であることがその理由として挙げられる。IFC や MIGA の

場合と同様、政府のコミットメントが重要である。また環境社会配慮への対処には時間がかかるた

め、プロジェクトの利益を見えにくいものとしている。(だが環境社会配慮は不可欠。)

• PPP 契約が締結された時点でモニタリングを止めるという世銀の今のやり方では不十分で、IFC の助

言サービスの様に、主要期間も引き続きモニタリングを行う手筈を整えることが必要。

• 世銀グループが PPP を支援することはデモンストレーション効果として重要であり、時として規制環境

を作ることにもつながっている。

世銀グループ一体としての協業

• 世銀グループの支援は上流部分の環境整備から下流部分の調達、施工監理まで幅広い内容を

含んでおり、グループ内のさまざまな部署の連携が必要となっている。この連携の成否は各機関が比

較優位を発揮するのに重要である。
• 世銀グループ内各機関の比較優位の効果を引き出すことはうまく機能しているが、これを一方推し

進めて世銀グループ一体として機能することを将来中心に据える。

• システマティックな相手国の分析を通じて支援計画を改善することが PPP にとっては極めて重要にな

る。

• また世銀グループとして unsolicited bids をどう扱うか、共通する施策を策定する必要がある。

他の多国籍金融機関との経験

• アジア開発銀行は評価を行い、PPP に対してより組織に対応するためのより現実的な戦略を策定

している他、アフリカ開発銀行も民間ンセクター開発戦略と連携した実施枠組みを策定。

• アジア開発銀行、アフリカ開発銀行、米州開発銀行においても上流、下流部分への支援が重要と

の認識で共通

世銀グループへの勧告

戦略・組織に関する勧告

 IFC の投資を PPP の投資環境の整備されていない国々により振り向けること。

 案件形成の上流での関係者間の協議を確実なものとし、政府の関与をより確実なものとするよう、

IFC の助言サービスを再考すること。
オペレーションに関する勧告

 横断的な解決策が求められる分野を特定し、世銀グループの PPP 戦略の実施枠組みに反映させ

ること。

 インフラと社会サービスへの民間参入、財務インパクトの査定について開発途上国政府を支援するこ

とを組織的に取り込むこと。

 Unsolicited PPP 提案に対応するためのガイダンスをスタッフに提供すること。

 長期間に亘り PPP をモニターするための原則を確立すること。

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